相談援助の理論と方法Ⅰ<3章 人と環境の交互作用>レジュメ2 *社会福祉士受験対策

相談援助の理論と方法Ⅰ<3章 人と環境の交互作用>
  レジュメ2


*社会福祉士 受験対策

第3章 人と環境の交互作用<続き>

3 人と環境の全体性-システム理論からの視点-(4 システムの作動)理論と方法Ⅰ P58から
<概要>
・1980年前後からシステム理論とエコロジカル理論は,社会と人間の関係をつなぐ概念として,対人支援専門職の関心を集めた。これらの理論は,個人,家族,小集団,地域の諸領域で人間の機能の概念化において重要概念である。

1)システム思考
・システムとは、全体のなかの部分同士が目的をもって組織される状態を指す。
・社会福祉の分野では,貧困や精神的・心理的な障害の原因を対象者自身の態度や生活史に求める考え方が主流であった。しかし,社会環境との摩擦や環境自体のもつ問題,各環境要因の不調和などが原因で利用者の困難が生じていることが見直され(「リッチモンドに帰れ」),利用者とその周辺の環境要因をシステムとして捉え,援助の対象と考えるようになった。
・現在ではこのシステム理論に基づき,ソーシャルワーカーが直接援助・間接援助の技術を使い分けながら多様な実践を行うジェネラリスト・アプローチという考え方が定着してきていると言える。

2)一般システム論の特徴
*一般システム論とは、専門分化された諸科学の概念や知識を、統一された方法論によって統合する普遍的原理として提唱された。
*システム理論は、現在のソーシャルワークを支える理論の1つである。システムとは諸要素のまとまりという意味をもち、全体は諸要素より成り立っており、その個々の要素は全体と無関係のものではなく、相互に作用しあって、全体を構成しているという考え方を全体的モデルという。

■一般システム論とは
 一般システム理論 general systems theory は、1968年に生物学者ベルタランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。 具体的には,①有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,②開放システムによる外的諸条件との相互作用,③構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。
 生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。
 社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。
*ベルタランフィによる一般システム理論の概念には、開放システム、閉鎖システム、エントロピー、定常状態、インプット、アウトプット、情報・資源処理システムなどがある。 

◆開放システム
*一つの対象となるシステムが他の様々なシステムと相互関係をもち、それによってシステム内部に変化が起きるものとみなすとき、これを「開放システム」と呼ぶ。一般システム理論が対象とするのは開放システムである。

◆閉鎖システム
*一つの対象をシステムとして捉え、他のシステムや要素との相互関係を排除するとき、もしくは、ある特定のシステムとその内的要素のみの相互関係に限定するとき、これを「閉鎖システム」と呼ぶ。

◆インターフェイス
*システムは環境や他のシステムと資源・情報・エネルギーを交換する境界をもつ。この境界(相互接触面)をインターフェイスという。

◆ホロン
*システムはそれが最小のシステムでない限り、より小さなシステム要素よって構成され、同時にそれが最大のシステムでない限り、さらに大きなシステムを構成するシステム要素である。システムをこのように捉える概念をホロンという。

◆エントロピー
*システムは発展、安定、均衡(定常状態)を維持するためにエネルギーを消費し、最終的には死滅(非活性状態)に至る。これをエントロピーという。

◆互酬性
*システム内の一つのサブ・システムが変化すると、その変化が他のサブ・システムと相互作用を行い、結果としてシステム全体が影響を受ける。これを互酬性という。

◆シナジー
*システムはその構造と特徴を保持する傾向がある。エントロピーを防ぐために環境から新たな資源・情報・エネルギーをインプットすることにより、システムを強化する力のことをシナジーという。

*G.ハーンは一般システム論をソーシャルワーク理論に応用することが可能であると考え、1950年代にその成果を発表した。
 これは、初期のジェネリック・ソーシャルワーク理論である。


5 システム理論によるソーシャルワーク論 理論と方法Ⅰ テキストP62~
* A.ピンカスとA.ミナハンは、1973年、ソーシャルワークを一つのシステムと捉え、システム理論に基づくソーシャルワーク実践では,ソーシャルワーカーは以下の四つのサブシステムの相互作用に関心をもたねばならないとしている。
①クライエント・システム
・個人,家族,グループ,組織など,ソーシャルワーカーが援助の対象とするシステムである。
 クライエント・システムとは、社会福祉サービスを既に利用しているか、サービスを必要としている、援助活動を通して問題解決に取り組もうとしている個人や家族などから構成されている小集団を指す。

②ワーカー・システム=チェンジ・エージェント・システム(ワーカーとその所属機関)
 ワーカー・システムとは、援助活動を担当するソーシャルワーカーとそのワーカーが所属する機関や施設とそれを構成している職員全体を指す。

③ターゲット・システム(目標達成のために変革しなければならない人や組織)
 ターゲット・システムとは、クライエントとワーカーが問題解決のために変革あるいは影響を与えていく標的とした人々や組織体を指す。
 標的は、クライエントが選択される場合や、クライエント以外のワーカーやワーカーが所属している機関や施設も含む人々や組織体が選択される場合もある。

④アクション・システム(目標達成のためにターゲットに働きかける媒体)
 アクション・システムとは、変革に影響を与えていく実行活動に参加する人々や資源のすべてを指し、実行活動のチームワークを構成する人々をいう。
*援助者は必然的に四つのシステムと重層的に関係し、発展させていく。

*システム理論は、現在のソーシャルワークの基本的視点と枠組みを支える理論の1つとして機能している。

2)生活モデル
*ジャーメインとギッターマンのエコロジカル・生活(ライフ)モデルは、人が生活環境と共存するための能力を対処能力(コービング)、そして環境が人間のニーズに適応することを応答性(レスポンス)と呼び、対処能力が弱かったり応答性が親和しない場合に生活ストレスが発生するとした。
*このモデルでは、社会福祉援助技術は、生活ストレスを改善するために、利用者の能力が高められるよう能力付与(エンパワメント)を行い、周囲の環境を変えたいという動機に働きかけると同時に環境に対しては組織集団による圧迫や支配的な権利の乱用を指摘し、その修正に働きかける一連の活動ということになる。
*ジャーメインは、モデルの実践のために、利用者のエンパワメントを強調する。このエンパワメントは、生活ストレスを緩和させるための精神的支援など、利用者へのあらゆる働きかけを意図する。
 エコロジカル・生活モデルにおいては、援助者はエンパワメントを援助の中心概念とし、問題の発生している人と生活環境の接点(インターフェイス)を明確にし、生活ストレスを生み出しているストレッサーを解明(アセスメント)するものとしている。また、環境に働きかける役割として、仲介者の役割、代弁者の役割、組織者の役割を強調する。

*A.ハートマンとJ.レアードは、1980年代、エコシステムの視点を基礎とした家族中心ソーシャルワークのモデルを提示した。


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■エコシステム
・ある地域のすべての有機体(生物)と,そこに存在するすべての物理的条件の間に発生する,物質の循環,エネルギーフロー,情報伝達といった相互作用を機能の観点から捉えたシステム。マイヤー(Meyer, C. H.)は,ソーシャルワークに多大な影響を与えてきた生態学理論とシステム理論の統合を試みるなかで,このエコシステムの概念をソーシャルワーク実践の文脈に則してエコシステム視点として体系化した。
 エコシステム視点では,クライエントと環境との間にある相互関連性に焦点をあてることをワーカーに奨励している。アセスメントでは,クライエントのみならず,クライエントを取り巻く環境(家族,友人・知人,関係社会機関,地域など)からの影響をも含めた包括的なアセスメントを行うことで,クライエントがおかれている状況を理解することが求められる。
 エコシステム視点によって,ワーカーは多様な介入方法を考察するための認識論的枠組を得ることができたと評価される一方で,ワーカーによって介入方法の選択が相対的になるとの批判もある。

■ストレスへの対処 stress-coping
・ラザラス(Lazarus, R. S.)らの「ストレス―対処理論」によれば,ある刺激がストレスとなるかどうかは,人間と環境の関係を個人がどのように認知的評価(appraisal)をするかによると考えられている。そして,ストレスとなりうる状況下では,それをどのように認知的評価をし,どのような行動をとるかが,ストレスを緩和するうえでの鍵となる。絶えず変化する環境において,このような認知的評価を継続的に繰り返していく過程にみられる一連の認知的評価や行動をさして,彼らは「対処」(コーピング coping)と定義している。対処は,その機能から,情動中心の対処(emotion-focused coping)と,問題中心の対処(problem-focused coping)とに分類される。また,対処には,価値観や情動といった個人の内面的側面や,ソーシャルサポートのような環境的側面も大きく関与している。ラザラスのストレス―対処理論は,ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)によるエコロジカル・アプローチにおいて,ストレスや対処が重要な構成概念として用いられるなど,ソーシャルワーク実践においても有用な知見が含まれている。

・対処・コーピング(coping)とは、生活過程で生起するストレス状況において,生活体がそのストレッサーを回避したり,自身が利用可能な対処資源を駆使することによってストレッサーに対抗しようとする対処行動をコーピングという。これには,個人の対処資源だけでなく,多様な社会資源や援助技法の活用も含まれる。最近では,ソーシャルサポート・ネットワークもコーピングの機動性を高める要因として作用することが指摘されている。

■ジャーメインGermain,CarelBailey (1916-95)
・アメリカのコネチカット大学社会福祉学部名誉教授。生活モデル(ライフ・モデル・アプローチ)の提唱者。1970年代からギッターマン(Gitterman, A.)とともに人と環境との交互作用に焦点を当て,個人と環境の間での継続的な相互交換のなかで,個人と環境は相互に影響し合うと提唱した。生活モデルには,人と環境の交互作用の下位概念として,相互交換や適応,ストレス,対処(コーピング)がある。[主著] The Life Model of Social Work Practice, 1980 (with Gitterman, A.).

■アメニティ amenity
・19世紀なかば以降のイギリスの都市計画において形成されてきた考え方で,「居心地のよさ」「快適な生活環境」を作り出す複合的な諸要因の総体を意味する。イギリスのアメニティ法(Civil Amenities Act)で「しかるべき場所にしかるべきものがあること」と定義されるように,地域の特性や人々の生活様式に応じて異なり,その要件となるのは,自然も含め,歴史のなかでつくられた文化財などのように,人間の生活の営みと結びつきながら保存されている場合である。アメニティは,地域に固着し売買するのが困難な地域固有財(location-specific goods)とされ,またその喪失は不可逆的で絶対的な損失をまねく面をもつ。



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by yrx04167 | 2009-07-13 12:55 | Comments(1)
Commented by 得津 昌枝 at 2010-02-14 20:57 x
システム理論がややこしく困っていたんですが、少し解った気がしました。ありがとうございました。