相談援助の理論と方法 第46回講義 レジュメ後半 スーパービジョンの方法、形態とは

相談援助の理論と方法 第46回講義 レジュメ・後半 10/11/19
*社会福祉士養成科・夜間部にて講義

2節 スーパービジョンの方法と留意点
1 スーパービジョンの形態 テキストP196
*個人スーパービジョン

・スーパービジョンの原型であり、スーパーバイザー-スーパーバイジーの1対1で実施される。
・個別スーパービジョンでは、スーパーバイザーはケースワークと同じような面接技法を用い、また、スーパーバイジーの援助記録をもとにディスカッションが行われることが多い。
・スーパーバイジーの自己覚知や自己実現を含む個別の課題、関心に合わせて実施できる。
 これらを掘り下げることが可能である。

・しかし、スーパーバイザーの人材の課題や、スーパービジョンの時間の確保が困難という問題もある。

*グループスーパービジョン
・スーパーバイジーが複数で、グループ形式のスーパービジョンの形態をさす。
・個別に深く検討できないという問題がある反面,スーパーバイザー以外にも他参加者から多様な意見,評価,示唆,支持を得ることができ,スーパーバイジー同士が相互に影響し合い、それぞれ学びあうことが可能である。その機能は個別スーパービジョンと同様であり,方法は,事例研究的方法,ロールプレイ,共通の課題について検討する共同参加型法などがあり,目的に合わせて使い分けることが望ましい。

・グループ・スーパービジョンは、グループを活用してスーパーバイジー同士の相互作用による質的な向上を目指すものであり、その過程は、グループワークの過程とほぼ同じである。
<詳細は後述>

*ライブ・スーパービジョン
・スーパービジョンとして、「今,この場で」(here and now)職員の指導や援助を行う方法である。
・面接や指導等の実践場面で,スーパーバイザーがスーパーバイジーの関わり方を指導したり,効果的な関わり方を実際にモデルとして見せることをさす。スーパーバイザーは,スーパーバイジーの感想や意見を交えながら,方法・技術そして援助の基本的な考え方にも及んで教育的にスーパービジョンを行う。
・ライブ・スーパービジョンは実践場面で起きていることを中心に行われるため,教育的スーパービジョンとしての効果が高い。
・ライブ・スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが進行中のケース(事例)に一緒にあたる、つまり、実際にクライエントに接しながら(援助しながら)行われる。

*ピア・スーパービジョン
・一般的に,スーパービジョンとは,実践への経験および知識をもつスーパーバイザーによって実施されるが,ピア・スーパービジョンとは,上下関係の生じない仲間や同僚間で行われるスーパービジョンのことである。
・ピア・スーパービジョンにおいて、ソーシャルワーカーや学生同士が互いに事例を出し合ってスーパービジョンを行うこともある。

・アメリカ合衆国では、スーパービジョンを終了し、自立したワーカーが自主的に学習集団をつくって活動している形態をピア・スーパービジョンと呼んでいる。

*セルフ・スーパービジョン
・ワーカーが自分自身で行なうスーパービジョンである。
困難な場面において、状況(出来事、自身の気持ち、自分自身の行動、その結果)など、記録等を活用し、過去の自らを客観視して、自身に助言を行なう。

2 スーパービジョン関係形成の重要性 テキストP198
・効果的にスーパービジョンが行われるかは、スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係が重要となる。

*スーパービジョン関係とは
・スーパーバイザーとスーパーバイジーとの間に結ばれる関係をスーパービジョン関係という。スーパービジョン関係を通してスーパービジョンは行なわれる。

・スーパービジョンの支持的機能では、困難な状況にあるワーカーを支え、自分自身と向き合うようにはたらきかける。ワーカーは、スーパーバイザーに受容、共感されることによって安心を得、自己覚知を深める。葛藤を抑圧することなく自己開示する勇気を得る。
スーパービジョン関係は、情緒的な関係であるといえる。

・教育的機能からは、スーパービジョン関係は、専門職として必要な知識・技術・価値を伝授する専門職業的な関係である。
施設・機関、専門職としての要請からくるものである。
・管理的機能からは、スーパーバイザーは、ワーカーが組織の目的や方針に沿って、一定水準のサービスの実施を図る管理上の責任がある。

*援助関係のモデルになるスーパービジョン関係
・ソーシャルワークにおいて、専門的援助関係が重要な要素であったように、スーパービジョンにおいてはスーパービジョン関係が重要な要素となる。
この二つの関係には同様の感情面での困難が出現する。二つの関係にはつながりがある。これをパラレルプロセスという。
・パラレルプロセスは、スーパービジョン場面における対人援助場面の無意識の繰り返しである。「模倣」テキスト参照
・パラレルプロセスに象徴されるが、スーパービジョン関係は援助関係のモデルになる。
よい援助関係を形成するためには、よいスーパービジョン関係が必要である。

*将来のスーパーバイザー養成のために
・ワーカー自身が、スーパーバイジーとして体験したスーパービジョン関係をモデルに、新たなスーパービジョン関係を築く。


○補足:グループ・スーパービジョンの過程と実際
・施設や機関の状況から、個人スーパービジョンを行なうには時間的な制約もある場合など、1人のスーパーバイザーによるグループ・スーパービジョンが極めて効果的に目的を達成できる。
・グループ・スーパービジョンの過程とは,グループワークにおける準備期,開始期,作業期,終結期とほぼ同じである。
グループワークでの援助者の役割をスーパーバイザー,メンバーを援助者と置き換えることによって理解できる。

<グループ・スーパービジョンの過程>
1.準備段階

 準備段階としては,援助者が採用される,あるいは配属された時点から,スーパーバイザーとの出会いが始まる。職員となり、職場の方針,目標,仕事内容の説明を受けることになる。また,スーパービジョンのシステムについても説明を受けることになる。

2.開始段階
 開始段階としては,スーパーバイザーとグループのメンバー,つまり指導する者と学ぶ者との職務上の関係が始まる段階である。開始期では,施設・機関側からみるスーパービジョンの目標を明らかにすることから始まっていく。
 スーパービジョンは,メンバーを交えて彼らのニーズに基づく目標を設定することになる。次に,目標達成方法を互いに討論し,決定していく。また,グループ指導方法,会合時間,回数,開始日,グループ・スーパービジョンでの内容はメンバー以外には秘密保持をすることなどの具体的内容の契約をすることにする。

3.作業段階
・作業段階においては,まずメンバーはスーパーバイザーやほかのメンバーと親しくなると同時に,互いを内密に評価判断していく段階でもある。メンバーは参加する援助者相互の知識や経験を共有化することによって,視野をより拡大してくことができる。メンバーはグループに対して信頼度を深めかつ安心感をもつことができるようになると,ほかのメンバーを恐れずに意見を述べることができるようになり,自立した知識や技術の把握が可能となってくる。ほかのメンバーから支持をされる場合もあれば,厳しい指摘を受けることがあるかもしれない。しかし,困難な事例に直面しているほかのメンバーの苦悩や問題の解決の場面にともに参加し,同じ経験をすることができることから,仲間が苦悩し,それを互いが助け合い,支え・支えられる関係がいつしかグループに芽生えてくる。グループの許容的雰囲気のなかで自由な発言ができるようになり,そのことから専門職者としての態度や判断力を発達させ,かつ自立した知識や技術を身につけていくことになる。
・この段階におけるスーパーバイザーに要求される技術としては,援助者が自分のグループに必要とされる技術と同じものである。例えば,焦点を合わせた傾聴法,質問技術,無言の意味を理解する技術などの面接技術,あるいは感情移入技術,感情を分かち合う技術,障害を指摘する技術,情報を分かち合う技術などである。

4.終結段階
・終結段階では,スーパービジョンの目標を達成したことから,指導内容を終結するという段階を迎える。

<グループ・スーパービジョンの方法>
・グループ・スーパービジョンでは,個人に対するスーパービジョンと同様に,援助者の援助過程記録,いわゆるケース記録を討論の主たる資料に使用する。参加する援助者が交代でケースや課題を提出する場合,ほかの援助者に意見を求めたい援助者が毎回ケースや課題を捏出する場合,あるいは1人の援助者が一定の期間にわたって継続してケースや課題を提出するなどの方法がある。
・グループ・スーパービジョンの場合,個人スーパービジョンと比べて,そのほかのいろいろな方法も可能になる。例えば,実際のケースを材料にして,あるいは複数の登場人物によるロールプレイングができる。これを討論の教材にしながら教育的目的や支援的、運営的な目的を達成することができる。
これをビデオに録画したり,テープレコーダーで録音したりして面接技術や集団援助技術の学習や評価検討の材料とすることも可能である。
 また,共通する特定のテーマについての研究会や専門家を招いての講演会なども可能である。さらに,自分たち自身が企画運営するグループとして自発的な現任訓練なども可能であろう。
 しかし,援助者の専門的知識や経験の程度によって,あるいはスーパーバイザーが要請をしたり援助者自身が要請をした場合などは,個人スーパービジョンとの効果的な組み合わせをする必要がある。


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by yrx04167 | 2010-11-21 16:10 | Comments(0)