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相談援助の基盤と専門職 後期12回 講義レジュメ・前半*ジェネラリスト*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期12回 講義レジュメ・前半
*社会福祉士養成学科 にて講義 12月13日
2節 ジェネラリスト・ソーシャルワークの特質 テキストP158

*家庭、児童、障害者福祉など各分野に共通な概念、知識、方法、社会資源など、基本となる原理、過程、技術を示す総合的ソーシャルワークを指す。

・ジェネラリスト・ソーシャルワークの特質を、テキストは158頁の表で、5つのポイントを示している。次に、その特質に関して述べる。

1 点と面の融合
・個別事例への援助と、地域を対象とした活動を一体的、総合的に捉え、実践することが求められる。
・そのため、ソーシャルワークの三大援助技術・方法の融合と、統合した活用が必要である。

・この統合化に影響を与えた理論的動向として、ソーシャルワークにシステム理論、生態学等が導入されたことがあげられる。
 その影響の一つは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークがそれぞれ対象とする個人、グループ、コミュニティは本来分断されたものでなく、最小のシステムである個人を内包したシステムとしてとらえられたことである。
 そしてもう一つの影響は、ソーシャルワークにおいて重視されてきた「状況の中の人」を「システム」としてとらえ、そこへの介入という視点が明確化されたことであった。

*コーズ・アドボカシーとソーシャルアクションの明確な位置付け

○解説:エコロジカル・アプローチ ecological approach
・エコロジカルアプローチは、生態学に基づいてジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)によって提唱され,生活(ライフ)モデル・アプローチとして体系化されている。

2 システム思考とエコシステム テキストP160
・ジェネラリスト・ソーシャルワークは、システム理論と生態学から影響を受けている。

・エコシステム視点とは、何らかの問題を抱える事例を、様々な環境(自然環境、社会環境、人間環境)と別々のものとして捉えるのではなく、一体的なシステムとして捉える方法である。
・エコシステム視点では,クライエントのみならず,クライエントを取り巻く環境(家族,友人・知人,関係社会機関,地域など)からの影響、クライエントと環境との間にある相互関連性をも含めて包括的に理解することが求められる。

*エコシステム的視座
・生活問題とは個人や家族と,彼らを取り巻く環境間とその接触面(インターフェイス)における不適切な相互作用の結果として発生するとみなす。また、人間のプラスの側面に目を向け,適応(コーピング)能力を高め,環境の応答性(レスポンス)を増してストレスを軽減し,新しい適応のバランスを得ることをめざして援助を行うという方向性である。
人間:環境:時間:空間を全体的に把握することが必要とされる。

*相互作用・交互作用
 相互作用とは、広義には二つの存在が互いに影響を及ぼしあうことを指す。
 交互作用は、3者以上の作用である。

*エコシステムとしての環境、コミュニティ
・問題(ストレス)は、一つの要因ではなく、上位・下位システムの影響等もあって発生する。具体的には、コミュニティ等である。

・コミュニティ communityの多様な定義で共通項となるのは,地域性と共同性をその条件に営まれる生活活動であり,ある範域における利益や価値観を共有する人々の集まりとして規定されてきた。コミュニティは市民と国家の中間組織として位置する。

*機関
機関=「場所」とは、ソーシャルワーカーの所属組織であり、社会福祉機関、福祉施設、医療機関などである。

<参考:一般システム論
・システムとは、全体のなかの部分同士が目的をもって組織される状態を指す。
*システム理論は、現在のソーシャルワークを支える理論の1つである。システムとは諸要素のまとまりという意味をもち、全体は諸要素より成り立っており、その個々の要素は全体と無関係のものではなく、相互に作用しあって、全体を構成しているという考え方をいう。

○一般システム論とは
*ベルタランフィによる一般システム理論の概念には、開放システム、閉鎖システム、エントロピー、定常状態、インプット、アウトプット、情報・資源処理システムなどがある。 

◆開放システム
*一つの対象となるシステムが他の様々なシステムと相互関係をもち、それによってシステム内部に変化が起きるものとみなすとき、これを「開放システム」と呼ぶ。一般システム理論が対象とするのは開放システムである。

◆閉鎖システム
*一つの対象をシステムとして捉え、他のシステムや要素との相互関係を排除するとき、もしくは、ある特定のシステムとその内的要素のみの相互関係に限定するとき、これを「閉鎖システム」と呼ぶ。

◆インターフェイス
*システムは環境や他のシステムと資源・情報・エネルギーを交換する境界をもつ。この境界(相互接触面)をインターフェイスという。

◆ホロン
*システムはそれが最小のシステムでない限り、より小さなシステム要素よって構成され、同時にそれが最大のシステムでない限り、さらに大きなシステムを構成するシステム要素である。システムをこのように捉える概念をホロンという。

◆エントロピー
*システムは発展、安定、均衡(定常状態)を維持するためにエネルギーを消費し、最終的には死滅(非活性状態)に至る。これをエントロピーという。

◆シナジー
*システムはその構造と特徴を保持する傾向がある。エントロピーを防ぐために環境から新たな資源・情報・エネルギーをインプットすることにより、システムを強化する力のことをシナジーという。

3 本人主体 テキストP162
・ジェネラリスト・ソーシャルワークにおいて、本人主体の問題解決過程が重要となる。
 方向性を与えるのが、エンパワメントとの概念である。

*エンパワメント
エンパワメントとは、主体的な生活を諦めた無力状態(パワーレス)に陥った人々が、再び、本来持っている力・パワーを取り戻し、自分たちの問題を自分たちで解決していけるよう、その能力を強めていこうとする援助である。

4 ストレングス・パースペクティブ(視点) strengths perspective  テキストP163
・個人のみならず、環境=地域全体のストレングスにも着目し、クライエントの参画、地域との協働において、実践を展開していく。

5 マルチシステム テキストP165
・マルチシステムとは、援助対象を複数の人で構成されるシステムと捉える「マルチパーソンクライエントシステム」と、援助する側もシステムである「マルチパーソン援助システム」として捉えたものである。

<参考:システム論に基づくソーシャルワーク>
* A.ピンカスとA.ミナハンは、1973年、ソーシャルワークを一つのシステムと捉え、システム理論に基づくソーシャルワーク実践では,ソーシャルワーカーは以下の四つのサブシステムの相互作用に関心をもたねばならないとしている。
①クライエント・システム
・個人,家族,グループ,組織など,ソーシャルワーカーが援助の対象とするシステムである。
 クライエント・システムとは、社会福祉サービスを既に利用しているか、サービスを必要としている、援助活動を通して問題解決に取り組もうとしている個人や家族などから構成されている小集団を指す。
②ワーカー・システム=チェンジ・エージェント・システム(ワーカーとその所属機関)
 ワーカー・システムとは、援助活動を担当するソーシャルワーカーとそのワーカーが所属する機関や施設とそれを構成している職員全体を指す。
③ターゲット・システム(目標達成のために変革しなければならない人や組織)
 ターゲット・システムとは、クライエントとワーカーが問題解決のために変革あるいは影響を与えていく標的とした人々や組織体を指す。
 標的は、クライエントが選択される場合や、クライエント以外のワーカーやワーカーが所属している機関や施設も含む人々や組織体が選択される場合もある。
④アクション・システム(目標達成のためにターゲットに働きかける媒体
 アクション・システムとは、変革に影響を与えていく実行活動に参加する人々や資源のすべてを指し、実行活動のチームワークを構成する人々をいう。
*援助者は必然的に四つのシステムと重層的に関係し、発展させていく。

*システム理論は、現在のソーシャルワークの基本的視点と枠組みを支える理論の1つとして機能している。

<後半に続く>


<前回の講義レジュメ・練習問題 下記をクリック>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期11回 講義レジュメ 前半 12月6日*社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期11回 講義レジュメ 後半 12月6日*社会福祉士養成学科


<卒業生、在校生、一般の皆様へお知らせ 下記をクリック>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : ご案内 12/18(土)14時半から「ソーシャルワーク実践研究会」開催 社会福祉士養成学科・養成科

日時 : 2010年12月18日(土) 14:30~16:00
テーマ :「住宅支援からみたソーシャルワーク実践の課題と留意点」
会場:日本福祉教育専門学校 高田馬場校舎
参加費:無料(どなたでも参加できます。)


*用語解説は下記をクリック


○一般システム論
・社会福祉の分野では,貧困や精神的・心理的な障害の原因を対象者自身の態度や生活史に求める考え方が主流であった。しかし,社会環境との摩擦や環境自体のもつ問題,各環境要因の不調和などが原因で利用者の困難が生じていることが見直され(「リッチモンドに帰れ」),利用者とその周辺の環境要因をシステムとして捉え,援助の対象と考えるようになった。
・現在では、このシステム理論に基づき,ソーシャルワーカーが直接援助・間接援助の技術を使い分けながら総合的かつ多様な実践を行うジェネラリスト・アプローチという考え方が定着してきていると言える。
*一般システム論とは、専門分化された諸科学の概念や知識を、統一された方法論によって統合する普遍的原理として提唱された。

 一般システム理論 general systems theory は、1968年に生物学者ベルタランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。
 具体的には,①有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,②開放システムによる外的諸条件との相互作用,③構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。
 生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。
 社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。

○エンパワーメント empowerment
・ソーシャルワークにおいて一致した定義はいまだないが,おおむね,個人,家族,集団あるいはコミュニティが,その個人的,対人関係的,社会経済的および政治的な影響力(パワー)を強め,それによってその取り巻く環境の改善を実現させていくこと,あるいはそれらが実現された状態を意味している。
パワーの脆弱化,無力化をディスエンパワーメント(disempowerment),パワーの欠如状態をパワーレスネス(powerlessness)とそれぞれよんでいる。この概念に基づくソーシャルワーク実践は,すべての人間はどのような悪い状況にあってもそれを改善していける能力とパワーを有しているという基本的人間観にたち,クライエントとワーカーとのパートナーシップを通して,クライエント自身がエンパワーメントしていくことが目標になる。
加えて,以下のような特徴があることが指摘されている。
①制度や社会構造との関係において人はパワーが欠如した状態におかれ,その結果,社会資源をコントロールしたり,獲得することが困難になる,
②クライエント= ワーカー関係におけるパワーの不平等性はクライエントのエンパワーメントを阻害する恐れがあるために,両者がパワーを共有しあえる協働関係の樹立が望まれる,
③クライエントとそれを取り巻く環境の強さ(strength)が強調される,
④ワーカーの介入は,ミクロからマクロにまたがるジェネリックなアプローチが基本とされる,⑤パワーの欠如状態を発生せしめた原因は主にマクロ的なものであるという認識から,特に資源配置上の公平性確保といった政治的パワー回復が重視される,
⑥問題解決の前提として,クライエントが変化に向けての責任をもつべきであるという視点にたつ。

○ストレングス・パースペクティブ
・アメリカのソーシャルワーク実践理論において,1980年代以降提唱されている視点。それまで支配的であった病理・欠陥視点を批判する立場をとる。ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。従来のソーシャルワークの実践は利用者の「弱さ」に焦点を当てていたことへの批判から、人や家族、グループ、コミュニティが潜在的にもつ力や能力に視点を置いたソーシャルワーク援助である。
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by yrx04167 | 2010-12-13 12:50 | Trackback | Comments(0)
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