相談援助の理論と方法 前期第7回講義レジュメ後半 ソーシャルワークのモニタリング、方法、内容、経過観察とは

相談援助の理論と方法 前期第7回 レジュメ<後半> 2011/05/26 
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)
6章1節 モニタリング(経過観察) テキストP132から
<ポイント

・モニタリングとは、介入(支援、サービス)開始後の経過の観察・点検のことである。
・実施された介入が、計画どおり進められているか,新しい問題や予期せぬ障害が発生していないかについて、判断する。必要に応じ、援助過程の見直しへと進む。
  
1 モニタリングの目
・提供された支援・援助・介入が的確か否かの評価を行なう。
 計画通りにサービスが提供されているか、また援助の効果の測定を行なう。
場合によっては再アセスメント・プランニングの必要が生じる。

<補足:モニタリングの必要性
・介入・援助計画が実施されていても,計画された援助・サービス・支援が、当初目指した結果につながっていない、またクライエントの環境が変化したことにより、援助計画による介入の継続が、効果を発揮しないこともある。
 これらの問題を防ぐために、ソーシャルワーカーは、援助・サービスの過程を、モニタリング・経過観察することが必要である。
・モニタリングにおいて,順調に問題解決や課題達成がなされていると判断した場合は,評価・終結に至るが,計画 通り展開していなかったり新たな問題が発生した場合には,再度アセスメントを行ない,修正された計画・実施に向かうという重要な機能を持っている。

・例として、在宅の高齢者の援助にあたって、アセスメントの段階では、軽度の認知症の症状のみを顕していて、6ヵ月後には症状が悪化し、当初の計画による家事援助のみでは、自立生活を支えられないことが明らかになることもある。モニター・点検により、クライエントを含めた状況の変化を早期に発見し、変化する状況に適した介入・援助の方法に切り替えていくためにも、モニタリングが必要である。

2 モニタリングの対
・支援開始後の、クライエントやその家族の、変化を捉えるために情報収集,確認を行なう。支援・介入を変化に即したものにしていくためである。
・モニタリングにおいては,サービス利用者や家族からとサービス提供事業者や介護者からの双方から情報を収集する。
 アドボカシーの機能も必要となる。
 援助者と利用者、必要に応じて関連機関で内容を確認する。
・パートナーシップ:計画された援助に固執せず、利用者に応じた歩調で援助を実施する。

3 モニタリングの方
・モニタリングはクライエント,ソーシャルワーカー,関係施設・機関などによって行なわれる。
・援助活動を、日常生活の観察,面接場面での観察などをつうじて行なわれる。
・クライエントやその家族との面接による確認。
・生活場面面接は有効な手法である。(家庭訪問等での観察)
生活場面面接とは,例えば,廊下や居室・病室、家庭における生活場面での面接などが含まれる。

・サービス提供状況のモニタリングの方法としては、ケア会議・カンファレンスが考えられる。
・チェックリストによる援助効果の確認,あるいはソーシャルワーカーや関係施設・機関の記録の見直しなどをつうじて行なわれる。

・モニタリングは,援助過程を終了させるか継続させるかの見極めが重要であるため、
①誰が参加するのか,②モニタリング情報をどのように集めるのか,③見直しの課題をどのように設定するのかを頭に入れながら展開していくことが要求される。

4 モニタリングの内容
*モニタリングの具体的内

①援助計画の実行状
・支援計画の進行状況、計画通りサービスが提供されているか確認する。
・スケジュールと実施内容のバランス,クライエントの権利保護状況など。

②援助計画で設定した課題の達成
・役割の遂行状況。

③援助内容に対するクライエントのニーズ充足

④新しいニーズの発
・利用者や家族の新たな課題(ニーズ)は発生していないか確認する。

・介入・サービス開始直後や状態変化が著しいときには,モニタリングもこまめに行わなければならない。
・援助が期待された効果を上げなかった場合、過程をさかのぼってアセスメント、プランニングが行なわれる。
このようなモニタリングの結果は、再アセスメント,支援計画の見直し等につなげていく。

6章2節 再アセスメントと支援の強化
<ポイント>
・再アセスメントとは、状況や課題の再検討することである。
クライエントの問題や状況をモニタリングし、改善が不十分であったり、悪化していると判断されれば、速やかにこれを実施する必要がある。

1 再アセスメントの考え方
・状況の変化、潜在的なニーズ、新たに得られた情報を把握する。
・クライエントとその家族の生活の継続という課題に焦点を当てる。
・支援計画の変更、新たな計画の立案につなげる。
・新たな問題・ニーズの解決・改善を図るため、支援体制を強化する。
 予防的な対応も考えられる。

2 再アセスメントの方法
・緊急性の高いニーズには、即応する。
・各実践モデル・アプローチ・理論は、ある側面に視点を定め、アセスメントに活用ができる。例えば、クライエントとその家族の、顕在化していない、不安感や負担感、関係の特徴などに焦点を当てた分析・評価に有効である。
・クライエントとその家族の問題解決の意欲や、クライエント・家族の問題に対処する独自の手法・力がある。ストレングスに着目することも重要である。

3 支援目標の再設定
・再アセスメントの結果に基づき、目標を再設定する。
 クライエントと家族の生活の継続のため、支援体制を強化する。
 新たな問題・ニーズの解決・改善を図る。
 予防的な対応も考えられる。
・実践モデル・アプローチ・理論を活用して、家族の関係・コミュニケーションの改善や、
介護者・家族の役割遂行を支援するなどの目標も考えられる。
・クライエント・家族の主体的な生活を支えるため、ストレングス視点を用いて目標を設定することも重要である。
・生活の主体はクライエント・家族であり、課題に取り組む人々を支援する視点の目標も重要である。
・ソーシャルワークは、解決できない問題・課題を抱えたまま生活を続けなければならない状況にも取り組む。問題・病理の治療を目標とする治療的アプローチとは異なる、生活モデルの考え方も重要である。

4 支援内容の見直しと強化
・状況の変化や新たなニーズは、サービスの変更、強化で対応できる場合もある。
・近隣等のインフォーマルサポートにも着目し、サポートネットワークを強化する。
 専門職のサービス、フォーマル・サポートも必要である。しかし、クライエントの生活環境における資源・サポートも考慮する。
・関係者の共通理解のために、担当者会議などを、クライエント・家族を交えて開催し、再度、支援内容について検討する。
・緊急時の対応、予防的な対応を考慮する。
・クライエント・家族との話し合い等に、生活と問題解決はクライエント・家族自身が主体であり、その取組みを支持するというエンパワメントの姿勢で働きかけることは重要である。


3節 支援の終結と効果測定、評価、アフターケア テキストP140から
<ポイント

・「終結」とは、支援・援助を終わりにする段階である。
・終結とは、専門的援助関係の終了と、契約により始まったクライエントとソーシャルワーカーの援助契約の終了を示す局面である。

1 支援の終結
*終結の条

・対象問題が解決された、もしくは改善された場合に終結となる。
・利用者が提起した問題が解決され,もはやこれ以上援助を必要としないと双方で判断した場合,終結段階を迎える。
・今後の課題は残るが、利用者自身で解決可能な場合も終結となる。自己解決の見込みが援助者、利用者間で合致する必要がある。

*終結の意
 必要以上の関わりは、弊害(援助者への依存等)を生じる。
 また、援助過程を経験する中で、利用者の問題対処能力が向上し、利用者の自立生活の為、意図的な終結もあり得る。意思の合致が必要である。

*終結のプロセス
①ソーシャルワーカーが、終結が近くなったら援助過程の終了を予告する。面接回数を徐々に減らす
②クライエントとソーシャルワーカーは,援助過程を振り返り評価を行なう。
③援助過程が終了することに対してクライエントとソーシャルワーカーは,感情を分かち合う
④クライエントとソーシャルワーカーは,援助過程で獲得したクライエントのパワーを確認し,今後に維持・継続,あるいは発展させていく内容について話し合う。

*移行の支
・これまで継続してきた専門的援助関係を断絶させ,利用者は自らの力量で自立していかなくてはならない。
 この分離を利用者の成長・発達の経験としてどのように役立てるかが問題となる。
・ソーシャルワーカーがクライエントの力量に着目し,終結後の生活を視野にいれた援助を実施する。

*利用者の主体性を尊重し,積極的な参加や関与を促進する努力が行われたとしても,援助者に対する依存性は少なからず存在する。
 援助者は利用者との分離に際して慎重な配慮と新たな体験を有効に活用できるように準備が不可欠である。
*自立と依存のアンビバレンスをどのように処理し,自立に向けての動機づけと支援の方策を十分に考慮しておく必要がある。

*終結に向けての準
・終結に向けた準備は援助展開の後半期から開始する。
 面接間隔の調整 ─ 利用者の独力での問題への対峙を図る。
・終結の告知 ─ 利用者側の準備。
・終結に伴う感情を分かち合う。
 終結に伴う感情を表現するよう援助する。
・過程において学んだことを回顧してみるように求める
 援助過程で起こった変化と、そのために行なった努力の過程を整理していくことが重要である。この作業をとおしてクライエントは,援助関係を終了した後に起こる問題や課題に対処する方法を獲得し,今後の生活の安定を目指そうとするのである。

*終結における援助内容
1 問題解決過程の評

・利用者の問題解決への努力を肯定的評価
2 残された問題の確
・対処が独力で可能なことを示し、それに向けた援助
3 再利用の可能
・再利用の受け入れが可能であることを伝達する。

<留意点
・援助過程において、終結・終わるということから、最も重要な感情が表出することもある。
= 「ドアの"とって(ノブ)"効果(療法)」
*援助者とクライエントの互いの成果をまとめる十分な時間が必要である。
*援助は終わるものの,ここで得たものを糧として,クライエントが次の生活へと移っていく移行の時期でもある。
*次の生活にスムーズに移行していけるように援助する。

2 効果測定と評価 P141
*サービスの供給が利用者にとってどのような意味と効果をもたらしたかを総合的に判断する過程である。
 援助者側の基準でサービスの効果測定を行うだけではなく,利用者側からも援助者側の対応の内容やあり方を点検する。
 端的には,利用者がサービス供給内容や仕方について評価をすることが一般的になりつつある。

・科学的根拠に基づく実践=エビデンス・ベースド・プラクティス(ソーシャルワーク)。
・処遇を開始する前の段階における問題の状態と、処遇開始後の状態とを、時間の流れのなかで継続して観察したデータを用いて、比較することによって処遇の効果を明らかにしようとする。

・ソーシャルワーカーの援助技術の蓄積として,あるいは所属する施設・機関の方針や方向性を確立していくものとして有効活用するものでなければならない。

3 アフターケア テキストP141から
*利用者がサービス利用を終結した後にも,利用者は不安や生活上の困難に遭遇するときがあるが,そうした事態に対応して終結後もフォローアップをしなければならないケースが少なからずある。

*以上のように社会福祉援助活動(ソーシャルワーク)は申請者のインテークから始まって終結に至るまで,さまざまな知識・技能・手法等を活用して援助実践を試みるものであるが,あくまでも典型的なモデルとしての過程であって,実際にはさまざまな展開をみせるものであり,柔軟かつ弾力的な対応が求められる。


<相談援助の理論と方法 第6回講義 社会福祉士養成科トワイライトコースにて
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第6回講義レジュメ<前編>アセスメントとは 5/19 社会福祉士養成科トワイライト
 5節 ニーズ確定から事前評価・アセスメントまで
 1 アセスメントのための情報収集など
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第6回講義レジュメ<後編>アセスメントとは 5/19 社会福祉士養成科トワイライト
 5章 相談援助の展開過程Ⅰ・続き
 6節 事前評価・アセスメントから支援標的・目標設定まで 理論と方法Ⅰ P118~
 1 アセスメント結果 など


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法


*続き・用語解説は下記をクリック




○解説:家族介護
 介護を家族が担うこと。高齢化の結果,高齢者層が厚くなり高齢者が高齢者を介護する老老介護や介護の長期化が指摘されている。また,少子化の結果,一人の介護者が複数の要介護者を介護するといった現象も多くなっている。家庭という密室のなかで行われる介護は,ストレスを生み虐待の温床になる可能性もある。良好な家族関係を継続させる家族介護の課題は,家族内部の協力と社会的介護のバックアップである。

○解説:家族介護者
 介護を担っている家族。家族介護者の問題は,他の家族や親族から一人の家族介護者に「おまかせ」の傾向がみられ,家族介護者のなかでも負担が特に女性に集中する現象がみられることである。介護から解放されることのない家族介護者は,自分の生活を犠牲にしているという不満をもつこともある。家族介護と社会的介護との適切なバランスをとることが重要である。近年は,老夫婦世帯の増加や非婚率の上昇等によって、男性家族介護者も増加傾向にある。

○解説:老老介護
 厚生労働省の「平成12年介護サービス世帯調査の概況」によると,介護を行っている人の年齢は50代が28.9%,60代で23.6%,70代は17.1%となっている。このように,介護の必要な高齢者を,高齢者が介護することを「老老介護」という。この場合,介護者である高齢者自身が要介護状態であることもあり,介護している高齢者が健康を害して倒れると,介護されてきた相手も介護してくれる人がいないために共倒れになってしまうケースが増えている。

○解説:介護の社会化
 家庭のなかで行われてきた介護を社会全体で担うこと。介護を社会的に支える一つの方策として介護保険制度がある。少子高齢化,医療の進歩,疾病構造の変化等に伴う介護ニーズの複雑化,多様化,そして総量としての増加は,従来のような要介護者の介護を家族等だけに頼る家族介護を崩壊の危機にさらした。老人虐待,心中,殺害等の事件も発生した。そこで,このような問題を解決するために,家族以外の担い手による職業としての介護サービスの提供が社会的に要請された。

○解説:説明責任・アカウンタビリティaccountability
 専門職や社会福祉サービス機関などが,理事会,クライエント,財源提供者,機関や事業の支援者,地域の住民に対して有する,サービスの内容,質,成果などについての説明責任をさす。また,機関内部では,ソーシャルワーカーが専門職として提供するサービスに関する倫理,効果,支援方法やその根拠などについての説明責任をさす。

○解説:単一事例実験計画法
single subject research design ; single case experimental design
 社会福祉の実践現場において過程評価と結果評価の両方を行うために実施される調査方法で,一事例で調査・分析を実施することができる。単一事例実験計画法では,援助開始前に分析対象となる行動や意識を一定期間継続的に測定し,援助終結まで分析対象となる行動や意識の測定が継続的に行われる。そして,援助開始前と援助開始後(援助開始から終結まで)で,分析対象となる行動や意識がどの程度変化したかを比較し,援助効果を評価する。


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by yrx04167 | 2011-05-27 17:15 | Comments(0)