相談援助の理論と方法 前期第8回講義レジュメ後半 アウトリーチ、具体的な方法、対象、地域包括支援センターとは

相談援助の理論と方法 前期第8回 レジュメ<後半> 2011/06/02 5・6時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

7章1節 アウトリーチの意義と目的
<ポイント

・アウトリーチとは、地域において、社会的なつながりから孤立し、フォーマルな援助に結びついていない人々を発見し、支援や情報提供を実施する、専門職が出向く形態の支援の方法である。

1 アウトリーチの必要性 テキストP151
・クライエントの日常生活の場(自宅など)に出向き、必要な情報やサービスを提供する活動であり,特に行政機関や地域福祉関連の機関において求められるソーシャルワーカーの機能である。また,地域のなかで生活困難に直面している人々を見つけだすことも意味し,その場合はケース発見と同義に使われる。いずれも,利用者の来訪をただ待つのではなく,ソーシャルワーカーが積極的に地域に出ていくという側面が強調されている。
・地域において孤立し、援助にアクセスしていない非自発的・拒否的なクライエントを発見し、援助に結びつけることが役割である。

2 アウトリーチとは テキストP151
・根本による狭義と広義のアウトリーチ。
 狭義のアウトリーチとは「客観的に見て援助が必要と判断される問題を抱え、社会的に不適応の状態にありながら、自発的に援助を求めようとしない対象者に対して援助機関・者側から積極的に働きかけ、その障害を確認し、援助を活用するように動機づけ、問題解決を促進する技法、その視点のこと」である。
 広義:①ニーズの掘り起こし、②情報提供、③サービス提供、④地域づくり等の過程における専門機関における積極的取り組みを含むものである。

*アウトリーチのポイント
・自ら援助を求めようとしないクライエントの動機づけを高め、サービス利用や問題解決を促す援助技術を含む。
・アウトリーチの対象は、自ら援助を求めようとしない個人だけでなく、(本来は)周囲の地域社会そのもの、関係機関までも含む。
・ネットワーク構築まで含む。

3 アウトリーチを必要とする対
・アウトリーチの対象とは、生活上の問題を抱えながらも、自ら援助にアクセスしない多問題家族などと呼ばれていた人々である。接近困難なクライエントと考えられていた。
・問題は複数、かつ慢性化
・社会的孤立状況
・強い不信感
・近年では、様々な問題により、専門職からの積極的なアプローチなくしては問題が解決されない人々の存在が指摘されている。

4 アウトリーチの担う機能 テキストP153
*ニーズの掘り起こし

・専門職のみでは困難であり、ニーズ発見のシステムが必要である。

*情報提
・適切な情報の提供。サービスへの誤解があるならば、それを解き、利用を支援する。

*サービス提
・クライエントの「変化への抵抗」に対し、信頼関係を構築し、状況を変えることへの動機付けを高める。サービスや専門職への拒絶を解消しなければ、サービス利用に結びつかない。

*地域づくり
・地域住民とのつながりの構築と、地域と相談機関の関係づくりが課題となる。

7章2節 アウトリーチの方法と留意点 テキストP155~
<ポイント

・アウトリーチの手法についての解説―ケース発見、サービスへの誤解を解き、拒絶を解消することから開始する。アウトリーチには、包括的アセスメントが必要とされる。また、バックアップ体制も必要となる。
1 援助過程とアウトリーチの具体的方法
*ケース発

・クライエントレベルでの対応
アウトリーチは、地域に出向き、ケースを発見する機能がある。
発見した場合、専門職は、ケースを援助過程へと引き入れていく努力をする。
・ケースは、自らの現状について問題意識をもっていないか、解決の動機づけに乏しい。
・現状を問題と感じるように促すことからはじめる必要がある。
・サービスを利用への抵抗感があることもある。
過去の否定的な被援助・拒絶体験や、誤った情報による誤解から生起していることもある。
・ワーカーは、クライエントの抵抗感の背景を理解し、適切な情報を提供することで誤解を解くことにより、問題解決の動機づけを高めるよう働きかける。
・このため、クライエントとの間に信頼関係を構築することが不可欠であるが、単に献身的にかかわれば実現するのではない。
・トロッター(C.Trotter)は、「ワーカーとクライエントの役割をクライエントが理解するように支援すること(正確な役割の明確化)、社会的にみて望ましいと思われる行動をクライエントがとることを示し、賞賛や何らかの心理的報酬によって強化していくこと(向社会的価値のモデリングと強化)、クライエントが定義した問題の解決に協働で取り組むことなどが有効」。
・クライエントがワーカーに対し、「これまでの人とは違う」と実感することが信頼関係を築くことを促進する。
このような関係を継続し、クライエントのところに何度も足を運び、気にかけていることを示す必要がある。クライエントが感じている問題に共感するスタンスが不可欠である。

・孤立・セルフネグレクトを脱け出すために、率直な言葉、訪問の繰り返しという行動で配慮と尊重を伝える。
・人間は、困難によって、怒りや絶望のなか、他者との関わりを閉ざすこともある。根底にあるのは、他者への不信であり、他者との関わりを怖れてもいる。
 しかし、関わりたい、繋がりたいという、人間への希求も存在し、アンビバレントな内面の状態だと言えよう。
・緩やかなつながり、拠りどころを創るアウトリーチへと展開していく。
 自らの力と希望、現実との絆を取り戻すことを、訪問のなかで目指していく。居場所を創る。
 人の集まり、繋がりのなかでこそ、人間は支え合える。その繋がりを創り、深めていくことを求めていきたい。
 やがて繋がりは、相互に支え合う拠りどころに成長していく。

・システムレベルでの対
・イギリスのケアマネジメントは、最初の段階を「情報の公開」と示している。
関連システムの、市民に対する広報・啓発が重要であり、市民のアクセス向上につながる。
・住民や関係機関による、ケース発見のネットワークを構築することも重要である。
インボランタリー・クライエントの早期発見・早期対応を可能にする重要な課題である。

*アセスメント
・情報収集と包括的なアセスメントが必要である。情報とは、心理・社会的、過去、内的世界の理解をもたらす情報などである。インボランタリー・クライエントの情報は乏しい。
・クライエントの関係者によるカンファレンスを開き、情報の共有と、共通理解を図ることは有効である。
・クライエントの家庭訪問は、生活の様子、戸外の都市環境、住宅の物理的環境、近隣関係の把握に有効である。クライエントの本心も語りやすい。

*モニタリング
・援助開始後も、アウトリーチは有効である。クライエント宅訪問によるモニタリング面接は、生活の状況や、サービス利用後の生活の様子を理解しやすい
・インフォーマルな支援者の協力がある場合は、訪問時に訪ね、近況の確認による情報収集と、負担への配慮することは、支援関係の維持のために必要である。
・サービス利用を行なっている場合は、機関の担当者を訪ね、情報収集や協議をすること、サービス提供の現場を訪ねることも有効である。
社会福祉士受験支援講座・教員日記

2 アウトリーチを行なうための留意点 テキストP158
*アウトリーチを可能にする要

 座間によるアウトリーチを可能にする要因
①職員に対する要因
アウトリーチの必要性に対するワーカーの認識・力量、職員体制の課題。
②サービスに関する要因
クライエントの個別性に合わせた工夫、柔軟なサービス提供。
③組織的要因
ワーカーが資源活用に関する実質的な権限をもつ、他機関と積極的に連携をとる。
④地域の状況
ワーカー・機関と地域との関係の構築。

*地域包括支援センターの地域連携・地域づくりの活動例
①広報活動:市民に相談機関の存在をアピールする。
②地域ケア会議の開催:関係者のカンファレンス実施。
③民生委員・児童委員、学区社会福祉協議会、各種関係機関等との連携
④出前講座、相談会の実施
⑤社会資源調査と情報発信
⑥実態把握活動

*アウトリーチ活動を行なうワーカーのバックアップ体制
・アウトリーチは、機関のバックアップ体制が不可欠である。
・アウトリーチを正当な業務として認める管理者・機関の姿勢が必要である。
・アウトリーチ・ワーカーは、成果の報告により、その必要性について理解を得ることに努める。


福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント論文 業績一覧


<相談援助の理論と方法 第7回講義 社会福祉士養成科トワイライトコースにて
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第7回講義レジュメ前半5/26 援助計画・プランニングとは  社会福祉士養成科
5章 相談援助の展開過程Ⅰ・続き
8節 支援の計画(プランニング)から支援の実施
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6章1節 モニタリング(経過観察) テキストP132から
1 モニタリングの目的 ・モニタリングとは


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法

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<用語解説>
○解説:多問題家族 multiproblem family
 貧困・傷病・心身障害・問題行動など複数の問題群をかかえた家族をいう。このような家族においては,自らの問題解決能力が低く社会資源の活用が望まれるが,社会資源の活用にも一定の能力が必要とされるため,そのような状況から脱却することは容易ではない。多様な職能によるネットワーキングや当事者の自尊感情を低下させずに問題解決を行うための技術の開発が必要である。今日では,ハイリスク家族と表現される場合もある。

○解説:接近困難なクライエント
 重篤な生活問題があり,周囲の通報や来所の促しがあるにもかかわらず,社会機関などへの援助は求めず,ワーカーなどの訪問に対しても拒否的,攻撃的であることから,問題解決が困難となる援助対象者のこと。多問題家族ケースで知られてきたが,近年では児童虐待への対応としても,アウトリーチやネットワークなどの新たな課題となっている。

○解説:民生委員
 民生委員法に基づいて住民のなかから選任される委員で,自治体の人口規模によって定められた配置基準に従って70~440世帯の区域を担当し,住民の生活状態の把握,相談・援助,福祉サービスに関する情報の提供,社会福祉事業を行う団体や行政に対する協力・支援などを行っている。3年の任期で厚生労働大臣から委嘱され,給与は支給されない。また児童福祉法による児童委員を兼ねている。1948年に民生委員法が制定されて以後,行政の協力機関という立場で,行政から依頼される調査や相談・援助等を行うことを活動の中心としていた。しかし,2000年に行われた法改正で,民生委員は住民の立場にたった活動を行うものであるということが明記され,それまであった「名誉職」という規定が削除された。これらによって,住民の福祉サービスの利用を支援する者としての役割が期待されるようになっている。

○解説:児童委員
 児童福祉法に基づき,市町村の区域ごとに厚生労働大臣が委嘱した民生委員が兼務する特別のボランティア。児童・妊産婦の状況把握と保健福祉サービスの情報提供,児童福祉司と社会福祉主事への協力,要保護児童通告の仲介,児童の福祉増進と健全育成等を目的として活動している。児童委員のなかから主任児童委員が指名され,もっぱら児童福祉にかかわる連絡・調整と児童委員の支援にあたる。2001年12月1日現在,全国の児童委員は22万人(うち主任児童委員は2万人)。


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by yrx04167 | 2011-06-02 23:19 | Comments(0)