相談援助の理論と方法 前期第10回講義レジュメ前半 他者理解と自己理解、自己覚知、アセスメント面接とは

相談援助の理論と方法 前期第10回講義レジュメ 2011/06/16 5・6時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

9章 相談援助のためのアセスメントの技術
1節 ソーシャルワークにおけるアセスメントの特性、援助的関係、面接・続き
<ポイント

・アセスメントとは、介入の前段階の、分析・評価の過程である。つまり、何が問題で,問題の要因と背景を探求し、かつ、クライエントの十分に機能している健康な面と、クライエント本人の課題を評価する。次の過程で、適切な目標の設定と,介入方法と援助計画の決定の基盤となる重要な作業である。

<前回の補足>
1 アセスメントの特性・補足

・ピンカスとミナハンは,診断的視点の持つ危険性を指摘し,変化する状況認識に焦点化し修正可能なアセスメントこそがソーシャルワークに役立つと示唆した。「アセスメントは,二つの部分からなるプロセスである。すなわち,(一つ目は)クライエント・システムとその環境に関する適切なデータを収集すること,(二つ目は)インターベンション計画を展開するための基礎になるデータを評価することであると定義している

・メイヤーによると,「(アセスメントとは)問題の意味を探すことであり,すなわち,ソーシャルワーカーがいかにして,かなり複雑であるケースを理解するかという認識の過程」であると定義している。

・これらを整理すると,「アセスメントとは、クライエント・システムの問題に対して,ソーシャルワーカーとクライエントや関係者たちが、可能な限り必要かつ適切な情報収集を行ない、その情報に基づき生活問題、状況の理解と、援助計画や実践展開に必要な資源や方法の提供を目指して専門的判断を行なう過程である」と理解することができる。

2 アセスメント面接を支える援助的関係・補足
1.自他理解と自己覚

・自己覚知とは、自己の言語,感情及び行動の特性・メカニズムを,自己が多面的に理解することである。

*自己覚知・自己理解とは
・自己覚知とは、援助者が,他者と自分をも含めた状況(援助関係やその時々に起こっている事柄)を的確に理解し,とらわれなく対象者に相対できるように,ありのままの自己に気づき受容することをさす。それは肯定的であれ否定的であれ自らの価値観,偏見,先入観,行動や反応パターン,パーソナリティなどのより深い自覚である。

*なぜ、自己覚知が強調されるのか
・ソーシャルワーク・相談援助において、最重要な資源は専門職自身である。
・ソーシャルワーク・相談援助は、他者(助けを必要としている当事者)への働きかけであると同時に、自己への働きかけである。
 その作業は、自己の欠点の洗い出しや反省ではない。ストレングス視点で行ないたい。

2.他者理解と自己理
・他者を援助するに当たっては,適切な他者理解が必要である。
 他者理解を得るためには,適切な自己理解が必要である。
・人は誰でも主観をとおして感じ,そのフィルターを通して意味づけする。
 人はそれぞれ各自の経験によって自分なりの基本的傾向や基本的前提をもっている。
他者への理解、関わりは、援助者側の個別的要因が関係していると言えよう。
・他者への関わり・援助に、自己理解は深く関連していると言える。

*自己覚知の必要
・ソーシャルワーク専門職が自己とは異なった価値観を持った利用者を理解し、受容するためには"自己覚知=自己の価値観と向き合い、自己を知ること"の過程が必要不可欠である。
社会福祉専門職が,専門職としての自分やその価値観について,明確に認識すること=自己覚知は重要である。
 第一に,利用者の価値観と援助者の価値観は区別しなければいけないからである。異なる価値観を持った利用者を批判、排除してはならない。
 第二に,稀に利用者の誤った価値観(反社会的、自傷他害の恐れ)を問題にしなければならない時もある。この時に援助者が明確な価値基準を堅持していなければ援助ができない。
 第三に,価値の葛藤が生じたときでも、何が優先されるべきか、価値基準を明白にしていれば混乱を避けることができるからである。

*自己覚知を深める方
スーパービジョンなどが代表的である。実践事例を中心としてその過程において現れた自己について検討する。
 また,事例の援助過程を振り返り吟味することも役にたつ。
 また、ワークショップ等も有効である。

3 面接における言語反応一留意すべき点 テキストP180
<ポイント

・アセスメントにおけるクライエントからの情報収集の方法には,観察や面接がある。面接時には、質問や面接・コミュニケーションの技術を用いる。

<解説>
*アセスメント面接の目

・アセスメント面接の目的達成のために、言語・非言語のコミュニケーションの慎重さ、的確さが必要である。クライエントの言語メッセージを傾聴し、適切な反応と、必要な情報の収集が必要である。

・クライエントに対する適切な反応のためには、クライエントの話の内容が理解できる、利用者とその領域に関する知識が必要である。
 テキストの展開例1-2には:「ライフサイクル・高齢期の特徴」の「喪失体験」者のプロセスに関する知識が、理解のために必要である。
・これらの知識は、ソーシャルワーカーの観察力、感受性、コミュニケーション力があって、活かされる。
・面接能力には、クライエントの考えや思いを理解し、相手に理解したことをフィードバックする能力と、必要な情報を、クライエントにとって意味のある"やり取り"として問いかける力が含まれる。
・情報を収集し、多くの情報の間にある関連性の理解、統合し、分析する作業が必要となる。その作業を支えるのも言語である。

*面接における言語反応の分類の例(渡部による
 場面構成、受け止め・最小限の励まし・促し・非指示的リード、明確化・認知確認、相手の表現の繰り返し、言い換え、感情の反射・感情の明確化、要約、質問(開かれた質問、閉ざされた質問)、支持・是認・勇気づけ、再保証、情報提供、提案・助言、解釈・説明、焦点化・見えていない点に気づき新たな展開を開く。

*後半に続く


社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第8回講義レジュメ前半6/2 資源開発・ソーシャルアクション 社会福祉士養成科
6章4節 予防的対応とサービス開発
1 個別援助から地域支援へ テキストP143から
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第8回講義レジュメ後半6/2 アウトリーチとは 社会福祉士養成科
1 アウトリーチの必要性 テキストP151


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法


*レジュメ・続きは下記をクリック



<面接技術・抜粋 詳しくは12章で解説>
1 質問の技法
 質問は、面接において重要な技術である。
*質問の明確化
1)質問は、クライエント自身の事柄か、クライエント以外の人物(例 家族、友人)の事柄か。
2)質問しているのは、事実か、感情か、考えか。
3)質問しているのは、話題の時点・現在か、話題以前か、未来か、普段のことか。
・援助者の解釈の押しつけ、クライエントへの非難・誘導尋問かのような印象を与える質問、一度に複数の質問をすることは避ける。

*開かれた質問(オープン・クエスチョン)
 質問に答えることで、多くのことが語れる質問であり、関連した感情や考えの表現が可能である。
・開かれた質問とは、「なに」「どんな」「どのように」などを使って,「具体的にはどのようなことですか」「もう少しそのことについて話していただけますか」「どんなふうにお感じですか」のように問う方法である。
 開かれた質問は,クライエント自身が自分の言葉で表現することで,みずから問題や課題を探究して内容を明確化していくことを助けることができる。
<例>
「今日はどのようなご相談でおいでになりましたか」と面接を開始する。夫婦関係がうまくいかず,すく、喧嘩になると訴えるクライエントに対して「どんなふうなやりとりをされておられるのか,具体的に話していただけますか」と聞いたりする。
<補足>
・一般的に「なぜ」「どうして」という質問は,非難されているような印象を与え,防衛的にさせてしまう危険があることから使用する際には注意を要する。
例:「なぜそのとき相談されなかったのですか」と聞くより,「相談するということについて,そのときはどんなふうに思っておられたのですか」と聞く方が,状況が表現されやすい。

*閉ざされた質問(クローズド・クエスチョン)
「はい」「いいえ」等の一言で答える質問であり、事実の確認や状況に応じて用いる。
<補足>
 閉ざされた質問は,「お住まいはどちらですか」「もう市役所に行かれたのですか」などである。面接を進めるのに必要な重要な情報を得るときに用いる。
<例>
「うちのお父さんが急に倒れて入院してしまって,もうどうしたらよいかわからないんです‥‥‥」と相談に来た場合に,「お父さんというのはご主人のことですか」と確認することは,状況を理解するために必要な情報であり,面接の初期に質問しておくべき事柄である。
・コミュニケーションに何らかの障害をもつ人の場合,開かれた質問では応答できない場合もあるため,閉ざされた質問を適宜使用する必要がある。

・開かれた質問と閉ざされた質問を適切に組み合わせて用いる。
 クライエントが話しやすいように使い分けることも重要である。
・援助者からの質問が多くなりすぎることは避ける。閉ざされた質問は、一方的な情報の「聞き取り」に陥りやすい。また、クライエントが自分で考えたり探索する機会を奪ってしまう。

2 最小限度のはげまし……うなずき,相槌などで,相手の話しを促す
・援助者が、クライエントにその話を傾聴し、受容している姿勢を示す1つのしるしである。また、クライエントに話し続けるよう促し、励ますためである。うなずき等、反応を示しながら聞くことで、傾聴しようとする援助者の意思が伝わり、相手も話しやすくなる。
・非言語的な「最小限度のはげまし」とは、視線をあわせ、興味を持ち聴いていることを示すために上体をすこし前に傾けること、うなずく(首を縦に振る反応)等である。うなずきが相手の話の腰を折る危険性は少ない。
 一方、援助者が無表情、緊張し過ぎる、動きが大げさになり過ぎてはならない。

・言語的な「最小限度のはげまし」は、クライエントに共感を表現するものである。
  1.「なるほど」「そうですか」「ええ?」「そう?」「それで?」「それから?」
  2.1語または2語のくり返し。
  3.「もっとつづけて話してください」
  4.「うむむ……」「うーん」
  5.クライエントが話をした文章の最後の数語をそっくりくり返す。
・これらは、頻繁すぎるとわざとらしくなり、相手の話の腰を折ることにもなる。

・沈黙も有効に活用する。援助者の応答をはじめる前に、援助者が数秒間待つことを意味する。クライエントに話をつづけさせたり答えさせたりするための時間を与える。

<例>
 来談者:最近,何もやる気がしなくて、家から出るのも億劫で、何もかもがつまらないのです。
 援助者:ふん,ふん,それで?
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by yrx04167 | 2011-06-17 19:54 | Comments(0)