社会調査の基礎 第8回講義 レジュメ後半 質問項目、ダブルバーレル質問、キャリーオーバー効果とは
社会調査の基礎 第8回講義レジュメ<後半> 2011/06/17 3時限
ソーシャルケア学科 にて講義
2章 量的調査の手順と調査技術・続き
C.質問項目のガイドライン
・設問では多様な聞き方ができるが、集計・分析のことを考慮しておく必要がある。
質問項目、回答形式,長さ,質問順序,所要時間により調査結果が影響されることもあるので十分に考慮することが必要である。
*質問項目の作成方法・留意点
①明瞭な表現を用いる
不明確な表現を避ける。
・曖昧な用語、指定代名詞(それについて,そのような等)はなるべく避ける。
多様に解釈できる言葉は避ける。
・簡単、明瞭な設問とする。
②質問文は短くする
長すぎる文章にしない(それだけ解釈の幅が広がるので、回答が絞れない)
③ダブルバーレル質問(2つ以上の論点・概念がひとまとめにした質問)を避ける。
*ダブルバーレル質問とは、1つの質問文に2つ以上の意味や論点を含んでいる質問のことである。
(例)あなたがお持ちの携帯電話の機能やデザインに満足していますか?
○満足している ○どちらともいえない ○満足していない
このダブルバーレル質問の例では携帯電話の機能には満足だが、デザインには満足していない場合は答えることができない。
*このような場合は、「機能に満足していますか?」「デザインに満足していますか?」と質問を2つに分ける必要がある。
④専門用語・難解な言葉、略語などは使わない。
調査対象者のすべてが設問中の言葉の意味を理解できないと調査は成立しない。特に、専門用語(例えば、社会福祉、コンピュータ関係など)、流行語(特にファッション関係など)、カタカナ言葉などは避ける。
調査対象者のすべてが理解・回答できる言葉を使うことに努める。
⑤回答を誘導する質問を避ける
・言葉の言い回し(ワーディング)
・誘導的な質問にしない(「携帯電話のマナーの悪さが指摘されていますが…」など)
・不必要な前振りをして質問しない。前振りが回答者の回答を誘導してしまう。
誤った例:「最近、日本人がイラクで亡くなりましたが、自衛隊のイラク派遣について、賛成ですか、反対ですか」 ⇒ 前振りによって、「反対」の意見が多くなるだろう。
⑥否定語を避ける
*質問項目の中の用語を明確に定義する。
(例:高齢者"という語を用いた場合,人により何歳を高齢者と呼ぶか違うので定義をしておく。)
・ひとつの言葉でいくつもの解釈が出来る言葉は避けるか、限定する。
例:「問●.あなたは、お酒を飲みますか。」
お酒をどのように解釈するか(ワインか日本酒か)。発泡酒は入るのか、など。
*ステレオタイプ語(固定したイメージがある言葉)は使わない。
これは、嫌悪感や反感を持たせるイメージを持つ言葉、プラス・マイナスのイメージを持つ言葉は避けるということである。
×「天下り」 ⇒ ○「外郭団体などの要職に再就職する」
・偏見の疑いのある言葉づかいをしない。
無意識に、性差別や人種差別などをすることに気をつける
*客観的事実・実態を問う設問なのか、主観的評価・意識・態度を問う質問であるのか、充分に検討する。
*仮定にもとづく質問を避ける
×「もし明日、地球が滅亡するとしたら、どうしますか」
おそらく、回答者は考えたこともないだろうから、単なる思いつきで答えられてしまう。
*個人的なこと(プライバシー)をたずねる質問の際は、倫理上・実際上の理由から、注意を払う。
直接的(無遠慮)な質問は、相手に失礼であり、怒った回答者に、回答を打ち切られてしまう。もしくは、正しい回答を得られない。
一般性を強調するアプローチや、他人事を装うアプローチが必要となる。
*質問が回答者の記憶に頼る場合の問題に気をつける。
過去の記憶を、うまく思い出せないかもしれない。
過去の記憶は、美しく書き換えられているかもしれない。
■質問紙の構成
<1> 質問項目のガイドライン
①一つの質問番号に一つの質問
②行間を一定にする(見易いレイアウト)
③ 調査対象に配慮した文字のフォント・大きさ
④ 自由記述のスペースの確保
⑤ 回答の仕方について分かり易く説明する
<2>質問項目の順序
・最初の質問は、気楽に答えられるものにする。
・回答を容易にするため、質問の順は、1.簡単なものから、2.関連する質問は近くにする。
*キャリーオーバー効果(エフェクト)に注意する。
配列上の問題で前の質問の答えが,次の質問の答えに影響する可能性があるかということである。
・選択肢の作り方では、イエス・テンデンシーといって一般的に「はい」と答える傾向があるので「はい」と「いいえ」が混じるようにしたり,選択肢の並び方においても,回答が多そうな選択肢をいつも一番最初におかないように気をつける。
*調査者の都合(仮説の検証など=論理的順番)を優先するのではなく、回答者が回答しやすい順番(=社会心理学的順番)を考える
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第6回講義レジュメ・前半6/3 実験、EBP、独立変数、従属変数とは ソーシャルケア学科
<実験・効果測定 1>
1 実験、効果測定の考え方
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第6回講義レジュメ・後半6/3 単一事例実験計画法とは ソーシャルケア学科
<実験・効果測定 1・続き>
*概要:単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第6回講義練習問題6/3 グラウンデッド・セオリーとは ソーシャルケア学科
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。
社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です。
社会福祉士及び介護福祉士法
ソーシャルケア学科 にて講義
2章 量的調査の手順と調査技術・続き
C.質問項目のガイドライン
・設問では多様な聞き方ができるが、集計・分析のことを考慮しておく必要がある。
質問項目、回答形式,長さ,質問順序,所要時間により調査結果が影響されることもあるので十分に考慮することが必要である。
*質問項目の作成方法・留意点
①明瞭な表現を用いる
不明確な表現を避ける。
・曖昧な用語、指定代名詞(それについて,そのような等)はなるべく避ける。
多様に解釈できる言葉は避ける。
・簡単、明瞭な設問とする。
②質問文は短くする
長すぎる文章にしない(それだけ解釈の幅が広がるので、回答が絞れない)
③ダブルバーレル質問(2つ以上の論点・概念がひとまとめにした質問)を避ける。
*ダブルバーレル質問とは、1つの質問文に2つ以上の意味や論点を含んでいる質問のことである。
(例)あなたがお持ちの携帯電話の機能やデザインに満足していますか?
○満足している ○どちらともいえない ○満足していない
このダブルバーレル質問の例では携帯電話の機能には満足だが、デザインには満足していない場合は答えることができない。
*このような場合は、「機能に満足していますか?」「デザインに満足していますか?」と質問を2つに分ける必要がある。
④専門用語・難解な言葉、略語などは使わない。
調査対象者のすべてが設問中の言葉の意味を理解できないと調査は成立しない。特に、専門用語(例えば、社会福祉、コンピュータ関係など)、流行語(特にファッション関係など)、カタカナ言葉などは避ける。
調査対象者のすべてが理解・回答できる言葉を使うことに努める。
⑤回答を誘導する質問を避ける
・言葉の言い回し(ワーディング)
・誘導的な質問にしない(「携帯電話のマナーの悪さが指摘されていますが…」など)
・不必要な前振りをして質問しない。前振りが回答者の回答を誘導してしまう。
誤った例:「最近、日本人がイラクで亡くなりましたが、自衛隊のイラク派遣について、賛成ですか、反対ですか」 ⇒ 前振りによって、「反対」の意見が多くなるだろう。
⑥否定語を避ける
*質問項目の中の用語を明確に定義する。
(例:高齢者"という語を用いた場合,人により何歳を高齢者と呼ぶか違うので定義をしておく。)
・ひとつの言葉でいくつもの解釈が出来る言葉は避けるか、限定する。
例:「問●.あなたは、お酒を飲みますか。」
お酒をどのように解釈するか(ワインか日本酒か)。発泡酒は入るのか、など。
*ステレオタイプ語(固定したイメージがある言葉)は使わない。
これは、嫌悪感や反感を持たせるイメージを持つ言葉、プラス・マイナスのイメージを持つ言葉は避けるということである。
×「天下り」 ⇒ ○「外郭団体などの要職に再就職する」
・偏見の疑いのある言葉づかいをしない。
無意識に、性差別や人種差別などをすることに気をつける
*客観的事実・実態を問う設問なのか、主観的評価・意識・態度を問う質問であるのか、充分に検討する。
*仮定にもとづく質問を避ける
×「もし明日、地球が滅亡するとしたら、どうしますか」
おそらく、回答者は考えたこともないだろうから、単なる思いつきで答えられてしまう。
*個人的なこと(プライバシー)をたずねる質問の際は、倫理上・実際上の理由から、注意を払う。
直接的(無遠慮)な質問は、相手に失礼であり、怒った回答者に、回答を打ち切られてしまう。もしくは、正しい回答を得られない。
一般性を強調するアプローチや、他人事を装うアプローチが必要となる。
*質問が回答者の記憶に頼る場合の問題に気をつける。
過去の記憶を、うまく思い出せないかもしれない。
過去の記憶は、美しく書き換えられているかもしれない。
■質問紙の構成
<1> 質問項目のガイドライン
①一つの質問番号に一つの質問
②行間を一定にする(見易いレイアウト)
③ 調査対象に配慮した文字のフォント・大きさ
④ 自由記述のスペースの確保
⑤ 回答の仕方について分かり易く説明する
<2>質問項目の順序
・最初の質問は、気楽に答えられるものにする。
・回答を容易にするため、質問の順は、1.簡単なものから、2.関連する質問は近くにする。
*キャリーオーバー効果(エフェクト)に注意する。
配列上の問題で前の質問の答えが,次の質問の答えに影響する可能性があるかということである。
・選択肢の作り方では、イエス・テンデンシーといって一般的に「はい」と答える傾向があるので「はい」と「いいえ」が混じるようにしたり,選択肢の並び方においても,回答が多そうな選択肢をいつも一番最初におかないように気をつける。
*調査者の都合(仮説の検証など=論理的順番)を優先するのではなく、回答者が回答しやすい順番(=社会心理学的順番)を考える
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第6回講義レジュメ・前半6/3 実験、EBP、独立変数、従属変数とは ソーシャルケア学科
<実験・効果測定 1>
1 実験、効果測定の考え方
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<実験・効果測定 1・続き>
*概要:単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)
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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。
社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です。
社会福祉士及び介護福祉士法
by yrx04167
| 2011-06-20 17:40
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