相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ3 社会システムとは 社会福祉士養成科トワイライト

相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ3 2011/08/04 6・7時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

3章 人と環境の交互作用・続き
3 人と環境の全体性-システム理論からの視点 テキストP58
○補足:一般システム論
1)システム思考とソーシャルワーク

・社会福祉の分野では,貧困や精神的・心理的な障害の原因を対象者自身の態度や生活史に求める考え方が主流であった。しかし,社会環境との摩擦や環境自体のもつ問題,各環境要因の不調和などが原因で利用者の困難が生じていることが見直され(「リッチモンドに帰れ」),利用者とその周辺の環境要因をシステムとして捉え,援助の対象と考えるようになった。

・現在ではこのシステム理論に基づき,ソーシャルワーカーが直接援助・間接援助の技術を使い分けながら多様な実践を行うジェネラリスト・アプローチという考え方が定着してきていると言える。
・システム理論は、現在のソーシャルワークを支える理論の1つである。
・G.ハーンは一般システム論をソーシャルワーク理論に応用することが可能であると考え、その成果を発表した。これは、初期のジェネリック・ソーシャルワーク理論である。

2)一般システム論の特
・一般システム論は、専門分化された諸科学の概念や知識を、統一された方法論によって統合する普遍的原理として提唱された。
 システムとは諸要素のまとまりという意味をもち、全体は諸要素より成り立っており、その個々の要素は全体と無関係のものではなく、相互に作用しあって、全体を構成している。

<テキスト解説>
*システム理論の概

・交互(相互)作用する「人とその環境」は、統一体として把握する方法論が必要である。
 システムは、簡潔には「相互作用する要素の集合」と定義される。

*ホロン
 システムはそれが最小のシステムでない限り,更に小さなシステム要素(サブシステム、下位システム)によって構成され,同時にそれが最大のシステムでない限り,さらに大きなシステム(スープラシステム、上位システム)を構成するシステム要素である。このようにシステムを部分からできあがっている全体とみなし,同時に全体の一部とみなす概念がホロンである。

*補足:ホロン、サブシステム、スープラシステム
 一つのシステムは多数の小さなシステム要素(サブシステム)から構成されているが,そのシステムは同時に,さらに大きなシステム(スープラシステム)を構成するシステム要素となっていると見なす概念である。

*開放システム
・システムが他の様々なシステムと相互関係をもち、それによってシステム内部に変化が起きるものを「開放システム」と呼ぶ。
 一般システム理論が対象とするのは開放システムである。
・現実に存在しているシステムは、開放システムである。

*閉鎖システム
・一つの対象をシステムとして捉え、他のシステムや要素との相互関係を排除するとき、もしくは、ある特定のシステムとその内的要素のみの相互関係に限定するとき、これを「閉鎖システム」と呼ぶ。
 閉鎖システムはほぼ理論的存在といってよい。

<補足>
*インターフェイス

 システムは環境や他のシステムと資源・情報・エネルギーを交換する境界をもつ。この境界(相互接触面)をインターフェイスという。

<テキスト解説>
*システムの階層

 テキストP59  表3-1 参照
・高次のレベルは一般にそれよりも低次のレベルを前提としている。
・ソーシャルワーク実践は、人と社会-文化システムを主として対象とするが、システムは低次のレベルを前提として、低次レベルの動きが高次のレベルに影響している。

・高次システムは低次システムの影響を受けるが、それのみには還元できない=還元主義の限界の指摘である。高次システムの創発的特性を意味する。

*社会システム
・補足:社会システム理論は社会をシステムの観点から読み解こうとする理論である。

・社会システムは複数の人間の行為を要素とするシステムである。
 行為を行なう人間自体は、システムにとってみれば環境となる。

・人間も、社会システムも、相互作用は人間の反省的・意味的・解釈的な状態把握を介在して行なわれ、自然システムのような直接反応的な相互作用とは異なる。

・パーソンズは、社会システムを「複数の個人行為者が、少なくとも物的ないし環境的側面を含む状況において、お互いに相互行為していることにほかならないが、その場合に、複数の行為者は『欲求充足の最適化』への傾向によって動機づけられており、お互いを含む各自の状況に対する関係は、文化的に構造化され、そして分有されたシンボル体系によって規定され、媒介されている」と定義している。
・パーソンズの社会システムは、システムの維持・存続・発展にとって必要な機能要件を想定 する特徴がある。

*AGIL理
 Aは適応Adaptation)、Gは目標達成(Goal-attainment)、Ⅰは統合(Integration)、Lは潜在性(Latency)を意味する。システムは、これら機能分化した下位システムを備えることで維持・存続・発展する。

・補足:社会システムはその目的を達成するため、まず<外的状況に適応し目標達成の条件を整え(A)> ⇒ 状況の諸要素を統制することによって<目的達成(G)>し ⇒ システムの構成単位間の相互調整を行い<統合(I)> ⇒ 構成単位のパターンの維持に努める(L)というものである。
これら4機能の充足は同時になされるものではなく、A→G→I→Lという一連の運動としての位相運動であり、上位システムの下位システムに対する分担機能を意味しているともとれる。

○パーソンズ  Parsons, Talcott (1902-79)
 後述

*講義レジュメ4に続く


*前回講義のレジュメ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第16回講義レジュメ1 コミュニティ・エンパワメントとは 社会福祉士養成科
14章 相談援助のための交渉の技術
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第16回講義レジュメ2 エンパワメント・専門職の課題とは 社会福祉士養成科
1節 交渉の意義と目的
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第16回講義レジュメ3 ソーシャルワーク・多職種チームワーク 社会福祉士養成
2節 交渉の方法と留意点 1 交渉という技術
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第16回講義レジュメ4 交渉の方法、エンパワーメントとは 社会福祉士養成科
3 他機関との交渉


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法



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○解説:パーソンズ  Parsons, Talcott (1902-79)
 アメリカの社会学者。一般行為理論の構築,構造= 機能分析の確立,比較社会論や社会システム理論の展開などによって社会学に大きく貢献した。また,パーソンズの社会システム理論をはじめとするシステム理論は,ソーシャルワークの基礎理論として導入され,ソーシャルワーク理論の発展に大きな影響を与えた。[主著]Parsons, T., The Structure of Social Action, 1937 (稲上毅ほか訳『社会的行為の構造』全5巻, 木鐸社, 1974-89).
Parsons, T., The Social System, 1951 (佐藤勉訳『社会体系論』青木書店, 1974).
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by yrx04167 | 2011-08-07 07:15 | Comments(0)