相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ4 ソーシャルワークとシステム理論 社会福祉士養成科

相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ4 2011/08/04 6・7時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

3章 人と環境の交互作用・続き
<システム理論の歴史的発展段階>
*第一世代=一般システム理

・第一世代システム論は、環境と相互作用しながら自己維持しつづける機構はどのようなものであるかという問いが要である。

・第一世代は、開放性の動的平衡システム(外部環境と情報やエネルギーのやりとりをしながら安定化を図りつつ変動するシステム)という基本構想をもつ、一般システム理論である。

○解説:一般システム論(後述
 一般システム理論 general systems theory は、1968年に生物学者ベルタランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。
 この理論は,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。

*ベルタランフィによる一般システム理論の概念には、開放システム、閉鎖システム、エントロピー、定常状態、インプット、アウトプット、情報・資源処理システムなどがある。 
・全体性、相互依存性、複雑性の階層構成、目標志向性、適応、均衡、安定性等が鍵概念であり、「オーガニゼーション(有機構成)」の成立が鍵となる。

・キャノンのホメオスタシス(恒常性維持)概念も代表的なものである。
生物は外部環境のなかで、安定を保つ方法を習得している=内的(内部)環境の恒常性を保つ機構をホメオスタシスと名づけた。

*第二世代=自己組織化
・第一世代システムは、定常的形態や定常的関係の秩序維持がシステムの主要な現象であったのに対し、第二世代システムはこの秩序形成そのものが問われる。

・システムに内在的に含まれる、規則からの逸脱としての「ゆらぎ」が、増幅され、システム全体を巻き込み、質的に全く異なった新しい領域に向かってシステムが動いていく過程、「自己」そのものを組織化するシステムの解明である。

・社会システムレベルの自己組織性は、意図的・計画的なものと、人間の自省作用を基礎にした遂行的・自生的なものがある。

*第三世代=オートポイエーシス
・補足:自己創出、自己産出とも訳される。
・オートポイエーシス・システムの特徴は、自律性、個体性、境界の自己決定、入力と出力の不在の四つである。
・自律性:動的平衡による自己の保持
 個体性:栄養摂取において同一性を保つ
 境界の自己決定:免疫システムによる自己と非自己の境界の区分
 入力と出力の不在:システムはただひたすら自らの構成要素を産出し、その構成要素がシステムを構成し、そしてさらにシステムが構成要素を産出するという循環を繰り返すだけである

・オートポイエーシス論は未だ解明の途中であるとされている(テキスト)。

<システム理論の補足>
*インプット

 資源・情報・エネルギーが環境から境界を越えて、システムに流入すること。

*アウトプット
 システム内部で処理・自己調整された結果は、境界を越えて新たな資源・情報・エネルギーとして流出され,環境に何らかの影響を与える。この流出のことを指す。

*エントロピー
 システムは発展,安定,均衡(定常状態)を維持するためにエネルギーを消費する。もし,システム境界を越えて資源・情報・エネルギーのインプット(流入)がなくなると,システムは急速に退化,死滅の道を辿る。開放システムであっても,すべてのシステムはエントロピーによって支配されており,発展や成長のピークを過ぎると,徐々に衰退を始め,最終的には死滅もしくは非活性状態に至る宿命をもつ。

*シナジー
 システムの衰退や死滅を防ぐために,環境から新たな資源・情報・エネルギーをインプットすることにより,システムを強化し,衰退・死滅を防ぐ力のこと。これはエントロピーを抑止,軽減することで,ネゲントロピーとも呼ばれる。

*定常状
 システムはインプットされたものを取り入れながら,システム自身の安定的な状態を維持する。
・開放システムは他のシステムとの間で資源・情報・エネルギーの流入,流出を繰り返しながら,安定した定常状態を保つ。それは一つには安定的現状維持と変化に対する適応である。

・もう一つは発展・成長をしながら,その都度保つ安定した定常状態で,これを発展的定常状態もしくは力動的定常状態という。

*ホメオスタシス
 システムはインプットされたものがシステム自身を変容させるものであっても,それを内部で処理・調整し、均衡のとれた定常状態を維持する。

*非総和
 複合的全体であるシステムは構成する要素システム(下位システム)の総和以上のものをもつこと。なお,現象学や心理学ではこの特性をゲシュタルトと呼ぶ。

*互酬
 一つのシステム要素(下位システム)が変化すると,その変化が他の要素群と相互作用を行い,他の要素群に影響を与え,結果としてシステム全体が影響を受ける。

*等結果性
 異なった方法や道筋を辿っても同じ結果に至ることがあること。

*多結果性
 上記の逆で,同じ方法や道筋を辿っても,異なった結果に至ることがあること。


*今回講義のレジュメ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ1 人・環境・交互作用、環境アセスメント 社会福祉士養成
3章 人と環境の交互作用  1 実践における人と環境
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ2 環世界、ニッチ、ハビタットとは 社会福祉士養成科
3章 人と環境の交互作用・続き  2 人にとっての環境の意味
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第17回講義レジュメ3 社会システムとは 社会福祉士養成科トワイライト
3章 人と環境の交互作用・続き  3 人と環境の全体性-システム理論からの視点


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法



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○解説:一般システム論
 一般システム理論 general systems theory は、1968年に生物学者ベルタランフィ (Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。
 具体的には
①有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,
②開放システムによる外的諸条件との相互作用,
③構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。
生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。
 社会福祉分野では,方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。
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by yrx04167 | 2011-08-08 08:46 | Comments(0)