相談援助の理論と方法 前期第18回講義レジュメ2 人と環境の交互作用、ソーシャルワーク、社会システムとは

相談援助の理論と方法 第18回講義レジュメ2 2011/08/18 6・7時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

3章 人と環境の交互作用・続き
5 システム理論による一つのソーシャルワーク論
<補足

・人間を取り巻く(囲繞する)システムは,新たな情報・資源・エネルギーを提供する。
環境的要因によりクライエントやワーカー・システムは影響を受け,それに即した対応や自己変容を行なうことによって,均衡や安定が維持される。環境を遮断した人間の社会生活やソーシャルワークの存在はありえない。相互の変容と調整が必要となる。
 システム間,システムの要素間の不調和に関わること(=媒介者)がソーシャルワーク実践活動の本質の一つである。

<テキスト解説
・システムの行動(作動)は、「情報ならびに情報処理によって制御された資源ならびに資源処理」(情報-資源処理)と抽象的に一般化される。

*情報-資源処理(システム理論の一般化
・人や社会システムの行動は、動機づけ(動因喚起と目標設定)に規定されながら、必要な物事を認知し、評価し、指令を出すという形で行われている。
 この機能の「制御機能を果たす記号」の集合が「情報」であり、システムは、情報を貯蔵、伝達し、情報の意味を変換する「情報処理」を行なっている。
・動因喚起とは、当該システムの「要件不充足状態」の情報である。
・目標設定とは、当該システムの「要件充足状態」が情報化されることである。
・未情報化や誤情報化があり得る。

*資源の4分類
①物的資

 自然(生態)環境、建物、材料等の各種の物質的エネルギー的資源を包括する。(例:食糧)
②情報的資
 上記の制御機能を果たす以外の記号の集合、各種情報処理用具を含む(例:盲導犬)。
③人的資
④関係的資
 3種の資源に対する「所有」を保障する社会関係(例:貨幣と権利、生存権)

・例:生活保護の受給により、貨幣という関係的資源を獲得し、それにより、他の3種の資源を購入できる。権利という関係的資源が豊かになれば、資源へのアクセスが可能となり、要件充足の可能性が高まる。

・資源の処理とは、資源を貯蔵し、移送し、資源の用役を変え、資源の所有の仕方を変えるといった変換を意味する。

・「所有」「制御能」とは、資源の処理に対して、自主的・実効的な意思決定の可能性を意味する。
ただし、事実上の所有・制御能と権利上の所有・制御能を混同できない。
*資源空間の4区分
①事実のうえでも権利のうえでも制御された資源の集合  =内部環境
②権利上は制御されていないが事実上は制御された資源の集合 =準内部環境
③権利上は制御されているが事実上は制御されていない資源の集合 =外部環境
④事実上も権利上も制御されていない資源の集合 =外部環境
・資源が内部環境に組み込まれる度合いが多ければ、豊かさを示す。
・資源処理は情報処理によって制御されており、システムの資源環境のあり方により情報処理の精度も影響を受けるため、資源は情報処理を規定する。

*システム理論からのソーシャルワーク理
・人や社会システムは、情報処理により資源処理を行ない、要件を充足しようとする過程にある。
 「要件」とは、そのシステムの成立・存続・発展に必要な情報一資源処理のストック水準・フロー水準である。
・人、社会システムは、要件充足を目指して行動(作動)している。
 行動・作動がうまくいかない状態が、援助が必要な状態である。
・その要因
①充足すべき要件に関して、未情報化・誤情報化している場合。人的資源の情報的資源の側面での欠損状態(神経的情報処理の不適切性)。
・相談援助には、クライエントの情報処理の機能、あり方を探る側面も含まれ、不適切な情報処理によって生じている未情報化ないし誤情報化を修正する援助でもある。

・情報処理が適切であることが、要件充足への必要条件であるが、十分条件ではない。
 要件充足・指令情報の実行を妨げるのは――資源空間が保障されず、人体の機能性や情報処理用具が不足し、内部資源や準内部資源が欠乏、資源が外部化されている。

・援助者が関係的資源を供給することにより、内部資源を豊富にすることが必要になる。
例:ソーシャル・サポート・ネットワークによる関係的資源の提供。

・外部、上位システムの物的資源の不足や、システムの作動が不全である場合もある。
例:支援機関が活動しようとしても周囲に十分な資源がない。
 それらの資源をどう豊かにするか、資源の作動をどう機能的にするかという課題が生じる。

・援助者側も情報-資源処理システムである。援助者側も、認知-評価-指令の情報処理過程を経て、資源を処理している。
 援助者が所属する施設・機関のあり方が、その資源空間をどの程度、用意しているかが問われる。
・援助者のもつ情報ストックと、それを基礎にした情報処理(フロー)は、対象システムを把握する際に決定的な影響を与える。

・情報-資源処理パラダイムによるソーシャルワーク理論の構成は、援助のスケルトン(骨格)である(テキスト)。

*システムを考えることの重要
①人の生存は、必ず何らかの環境のなかで、環境と相互作用しつつ、相互に影響を与えながら営まれている。
②環境は「資源の蔵」のみならず、環境がアフォードする価値的性質(環世界)によって、人-環境のシステムを形成している。援助者側からみた客観的環境の側面だけではなく、「その人にとっての環境」という主観的側面を把握しなければならない。
③人は、正負のフィードバックを駆使しつつ、外部も含めた全システム内に位置を占めながら、形態維持や形態形成を行っている。
④人もしくは社会システムをとらえたとしても、システムとしての同型性により、自己組織性による維持・変動過程を想定できる。
⑤システムには自己組織性が備わっているのであり、その性向を強化する援助、環世界のアフォーダンスを強化する方向での援助が考えられる。

*レジュメ3に続


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by yrx04167 | 2011-08-22 08:58 | Comments(0)