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相談援助の理論と方法 第20回講義レジュメ3 ケースマネジメント・アセスメントとソーシャルワーク

相談援助の理論と方法 第20回講義レジュメ3 2011/09/01 6・7時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

5節 ケースマネジメントの特徴 テキストP45
1 ケースマネジメントの特徴
<補足

 クライエントのニーズを解決するため、必要なサービス提供者のネットワークを構成し,ネットワークがよりよく機能して,必要なサービスが調和を保って効果的に,合理的に提供されるよう調整・コーディネートする役割がケースマネジメントの中心である。
 ケースマネジメント過程の各段階において,ケースマネジャーの役割も異なるものとなる。支援者チームは利用者のニーズによって構成されるが、利用者のニーズが変化すれば,サービスも変わり,構成員の何人かが交替することもある。

*調整(コーディネーション)機能による生活の維持・向上への支
・ケースマネジメントとは、クライエントの生活の支援を中核とする、身体・心理・社会的アプローチである。全体の改善を図り、QOLの向上を図る。

・身体機能面、精神心理面、社会環境面における逆機能(=人々の欲求充足や目標達成を妨げる、マイナスの働き)から、クライエントの生活ニーズを把握する。
・生活ニーズの充足を実現するために、必要な社会資源の確保、ニーズと資源の調整を行なう。この調整機能がケースマネジメントの主たる機能である。

*ケアプランによる計画的な支
・計画策定(plan)⇒対策行動の展開(do),評価(see)の枠組みで、計画的に支援が実施される。
・ケアプランは,クライエントに、必要なサービスを総合的・一体的にパッケージとして示し、またサービスの利用計画である。

*価値・知識・技術による支
・ケースマネジャーには、価値・知識・技術を一体的に確保することが求められる。
・知識・技術には、コーディネーション、コミュニケーション、交渉・ネゴシエーション等が含まれる。
・価値は、利用者の尊厳,擁護が,ケースマネジャーに要求される。

・また、支援の方向性として、利用者が,ほかの誰かが決めた生活を生きるのではなく,自分自身の求めている生活が維持できるように自らが判断し,決定することを支援する。
 ケースマネジメントの過程における決定は、支援者チームの構成員全員の参加によって行なうべきであり,利用者がその場に参加していることが原則である。

*チームアプローチによる支
・支援者チームの構成員は,利用者の支援に関わるすべての人が含まれる。それぞれのメンバーは同一機関の職員ではなく,異なる機関に属する多職種である。
 また、フォーマルサービスの提供者も、インフォーマルサポートの提供者も,チームの構成員は,対等な関係で,利用者の生活問題を解決するために必要な情報を共有する。
・チームの構成員は支援計画に沿って,ニーズを解決するための役割分担を明確にし,それぞれ分担したサービスを提供する。
・支援者チームがよりよく機能するためのコーディネーターがケースマネジャーである。

*セルフケア、インフォーマルケア、フォーマルケアでの生活支
・これら三種のケアを統合して、生活支援を行なうところに、ケースマネジメントの特徴がある。
・セルフケアとは、自分のことを自分で世話するという意味であり,保健・医療の分野においては,自らの健康問題に自ら対処する態度や行動をいう。健康の維持・増進,サービスの的確な利用,疾病の自己管理など,健康管理,病気の予防を含む広い概念である。
・利用者が可能なかたちでセルフケアにより自立して生活していけるように,フォーマルサービスやインフォーマルサポートを、自ら活用できるような能力,生活維持能力を高めるように支援を行なうことが必要とされている。

*潜在的なセルフケアの活
・セルフケアを可能とするためには,ソーシャルワーカー等の専門職による指導や専門的援助も必要とされ,必要に応じて,自立に向けた教育,指導,訓練が行われるべきである。
 クライエント自身の意欲を引き出すことが求められる。

6節 ケースマネジメントとソーシャルワークの関係 テキストP48
1 ケースマネジメントとソーシャルワークの関係
*ケースマネジメントを担う専門

・海外では、ソーシャルワーカーに加え、保健師、OT・PT、医師等がこれらの業務に従事している。ケースマネジャー=ソーシャルワーカーではない。
 イギリス=ソーシャルワーカーが中心、アメリカ=長期ケアを要する高齢者は保健師、精神障害者はソーシャルワーカーが中心である。 

*ケースマネジメントの位置づけ
・1970年代後半以降、アメリカのソーシャルワーク領域は、ケースマネジメントに着目した。
全米ソーシャルワーカー協会は、1976年5月、1979年5月の2回、「ソーシャルワークの概念枠組み」に関する会議を開催した。
・第1回会議において、モリスは、新しいソーシャルワークの方法としてケースマネジメントに関心を向けている。治療からケアへの移行のなかで、ケースマネジメントという、地域レベルでの広範囲のサービスを連携させる動向が生じてきていると認識していた。
・第2回会議において、シーゲルらは、地域精神保健部門での実践において、ケースマネジメントが必要であり、「ケースマネジメントの役割を明確化し、発展させることにより、ソーシャルワークはコミュニティケアでの将来の実践において強力な基礎を築くことができる」と予測した。
 モンクは、高齢者の特性、ニーズに対応するうえで、ケースマネジメントが不可欠であると述べた「ケースマネジメントでは利用者を個別化する。ケースマネージャーと利用者の関係は特異で個別的なものであり、ケースマネジメント過程それ自体は、高齢の利用者に対する自己決定的で、かつ全体的な観点を基礎にしているからである」としている。

・1987年、全米ソーシャルワーカー協会は、ソーシャルワーカーがケースマネジメントの第一義的な提供者であり、ケースマネジメントの全分野で専門ソーシャルワーカーを活用するよう主張した。 
同時に協会は、社会福祉系大学の学部・大学院カリキュラムにケースマネジメントを含めることも勧告した。
・1992年、全米ソーシャルワーカー協会「ソーシャルワーク・ケースマネジメントの基準」を示し、ソーシャルワーカーによるケースマネジメントの特徴・役割を示した。

*ソーシャルワークとケースマネジメントの共通
・カーストアシュマンらは、2つは人々の問題解決や対処の能力を促進し、資源を得る、組織を人々のニーズに合わせる、利用者と環境との関係を増進することを、共通の目標にしていると述べた。

*ソーシャルワークがケースマネジメントを重要としてきた要
①限定された環境のもとでクライエントを支援していくことを強調
②クライエントを施設外で支援することを目的
③高齢者をできる限り在宅で支援
④クライエントの保健・医療やケアのコスト抑制に努める
⑤活用する資源がわからないクライエントの権利に関心を向ける
⑥能力上の問題があり通常の送致では対応できないクライエントがいることに気づく
⑦クライエントの問題に環境が影響していることに焦点をあてることが増大
⑧医学モデルによる実践が衰退
⑨福祉サービスが増大し、それらのサービスの複雑化と断片化が増加
⑩連邦政府の法律でケースマネジメント・サービスが明記された

*日本の介護支援専門員に関して テキストP50参照。
・日本社会福祉士会は、社会福祉士をケースマネジメントの中心的担い手として位置づけるべく、研修等で、社会福祉士のレベルアップを図っている。
・多くの専門職がケースマネジメントを担っているが、ソーシャルワーカーが実施するケースマネジメントの特徴を明らかにし、独自性を強調することが必要である。
・両者の関連を明らかにすることが求められる。

*ソーシャルワークとケースマネジメント
・ケースマネジメントをソーシャルワークの機能として捉える場合、ポーリンは、ミクロやメゾ(小集団)対象の介入には、カウンセリングとケースマネジメントの方法が活用されるとしている。
・ケースマネジメントは、具体的には五つのソーシャルワーク機能から構成される。
①サービスとの連結(の支援、クライエントの発見を含む)
②サービスとの調整(多様なサービスを専門職と調整し、目標の共有化を図る)
③サービスとの交渉(クライエントと制度・サービスとの障害の改善)
④資源の動員(領域を超えたの資源)
⑤クライエントの弁護(サービス提供者がクライエントのニーズに対応するよう働きかける)

・人々と環境との接点に介入することを基礎にしている点は、ソーシャルワークとケースマネジメントは合致している。
・「ケースマネジメントがソーシャルワーク実践の中核の機能を占めるといっても過言ではない(テキストP51)」。具体的には、ケースマネジメントは人々と社会制度を結びつけ、人々の内的な発展や社会制度の改善を目指すものであるからである。

*3つのモデル テキストP52 表2-2
・ケースマネジメントのとらえ方は多様である。
・ソーシャルワーク実践全体のなかでのケースマネジメントの位置づけは、ケースマネジメントの機能の捉え方により変る。
・「最小限モデル」:ケースマネジメントはソーシャルワークのごく一部であるが、中核的な機能を果たすことになる。
・「包括的モデル」:ケースマネジメントはほぼソーシャルワークに近いものである。

・ソーシャルワーカーのケースマネジメントの独自性として、人々と環境との関係の障害として生活ニーズをとらえ、生活ニーズを社会制度と結びつけ、人々の対処能力を高めたり、社会制度を改善していくことに目を向け実施していくことが挙げられる。

*用語解説
○補足:ケアコーディネーション

 看護・保健分野で用いられてきた用語であり,内容的には,ケアマネジメントとほとんど変わらないとされる。
(後述)

*レジュメ4に続く

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第19回講義レジュメ1 ソーシャルワークとグループ 8/25 社会福祉士養成科夜間部
 集団(グループ)をどうとらえるか <概要:グループワーク>

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第19回講義レジュメ4 ケース・ケアマネジメントの定義 社会福祉士養成科夜間8/25
 ケース(ケア)マネジメントの基本

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第20回講義レジュメ1 ケース・ケアマネジメントの過程・プロセス解説 社会福祉士
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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第20回講義レジュメ2 ケースマネジメント・アセスメントとは 社会福祉士養成科
ケースマネジメントにおけるアセスメントの特徴

日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法



*用語解説は下記をクリック  ケアコーディネーション



*用語解説
○補足:ケアコーディネーションcare coordination

 看護・保健分野で用いられてきた用語であり,内容的には,ケアマネジメントとほとんど変わらないとされる。高齢者・障害者が地域で自立した生活を実現するため,ケアマネジメントの手法と異職種のチーム・アプローチをもって,各サービスを調整して提供する方法のことをいう。
by yrx04167 | 2011-09-03 09:32 | Comments(0)