相談援助の理論と方法 第21回講義レジュメ1 人間の発達とグループ、集団経験、社会化、再社会化とは

相談援助の理論と方法 第21回講義レジュメ1 2011/09/08 6・7時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

3章1節 グループを活用した相談援助
1 人間にとって集団が意味するもの テキストP55
*社会的環境としての集

・人間の社会性。人間は社会的存在である。

*集団経験の重要
 集団と「社会化・再社会化」との関連(既に解説済み)。
 集団からの影響。

*補足:ライフサイクルと集団経
・ライフサイクルとは生活周期と訳される。人間の誕生から死に至る一生にはいくつかの段階がある。
(1)乳幼児
・両親をはじめとする家族との様々な相互作用を通じて「人間らしさ」への第一歩を踏み出し、人間としての基盤を形成する。
・子どもが家族を出て、幼児の仲間グループに所属する。自分の努力や能力によってグループでの地位や役割を獲得できる水平的な構造である。家族グループとは違うヨコの人間関係によって結ばれるグループに所属する。
・自己中心性を抑制し,しだいに他人の立場を認め、仲間への協力、自律、責任などのパーソナリティの諸特性を発達させていく。

(2)児童
・仲間グループや学校集団が大きな影響力をおよぼす。
・この時期、他者の経験を自分の経験と比較することができるようになる。社会性においても自己中心性から脱却し、自分の行動基準に他者が入り込む。
・グループの独自の規範や文化をつくり、団結を強める。このような仲間グループにおいて、自主性,積極性,個性,自律性を身につけていく。

(3)青年
*青年とは子どもでもなく、かといって大人でもない「マージナル・マン」(境界人)である。
 またモラトリアム期(役割猶予期)と呼ばれ,子どもと大人のどちらの世界にも帰属しない中途半端な過渡的段階である。
*帰属への強い欲求と、自我の分裂から抜け出すために,新しい自我の確立を目指していく。自己の安定化が図れるような、友人関係が得られる仲間グループが必要となる。自分の内面を本当に理解し合う「心の友」を求める。

(4)成人
・ライフサイクルにおける段階のなかで最も変化に富んだ時期である。課せられた責任や義務を果たさなければならない。
・40歳を過ぎると働き盛りであり、また家庭生活、社会生活においてもいろいろな課題を抱え,困難な段階を迎える。
・困難な局面を乗り越え,40歳後半から50歳にかけては人生で最も充実した段階を迎える。
・この段階は職場グループ,家族、地域社会におけるグループに囲まれている。
職場グループは成人の発達に大きな影響力をおよぼす。職場グループには、人為的に組織化されたグループ、自然発生的に形成された仲間グループが存在する。

(5)高齢
・身体的にも精神的にも機能の衰えがみえ始め,老化現象が起こる。
・再び地域での個人的生活が中心となる。家族グループにおいても、再び夫婦中心の生活となり、独立した子ども夫婦との協力関係となる。
・高齢期においては,多くの人はいま一度「生きがい」を求めての人生設計をし直すことになる。

◆補足:今日の環境と集団の意
*児童期において、個人的世界にこもりがちの子どもたちを仲間グループに方向づけるような取組みが必要になる。
*青年期では、地域における仲間同士のグループ活動を積極的に展開し、青年が不安定な自己を安定させ,愛情と思いやりの心に裏づけられた人間関係を保ち,将来の地域社会の一員として役割を果たせるようなグループへの参加を促す。
*成人期や高齢期では、都市化と産業化のなかで見知らぬ人々がどのように共同意識を生み出していくか、過疎化した農山漁村でもいかにして共同意識をつないでいくかが課題である。
 閉鎖的で孤立した生活の一般化のなかで、成人や高齢者がどのようにグループとの関わりをしていくかが問われている。

■用語解説:モラトリアム
 本来,経済的な債務支払の猶予・猶予期間を意味する用語を,エリクソンが心理学の領域で用いた概念。
 続きは後述。

■用語解説:アイデンティティ
 自己同一性。エリクソンが理論化した精神分析的自我心理学の基本概念。
 続きは後述

■用語解説:エリクソン(1902-94)
 ドイツ生まれで,ウィーン精神分析協会で学んだフロイト派に属する精神分析学者。
 続きは後述

■用語解説:発達課
 ハヴィガースト(Havighurst, R. J.)が初めて用いた概念。
続きは後述

*補足:マズローの欲求段階説(五段階
・マズローMaslow, Abraham Harold (1908-70)は、アメリカの心理学者で,欲求段階説の提唱者として知られる。人間の欲求・動機を階層構造として捉え,第1段階は生理的欲求、第2段階は安全・安定欲求、第3段階は所属と愛情・社会的欲求、第4段階は自尊・尊敬欲求、第5段階は自己実現である。低次元の欲求が満たされてはじめてより高次元の欲求の満足が求められるという考え方を提示した。
 前提条件は「言論の自由、自己防衛の自由、正義、公正」等とされる。 

*心理社会的欲求(所属と愛情、自尊)のような個人的欲求は,ほかの人間との相互作用によって満たすことができる

*レジュメ2に続く


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*レジュメ続き・用語解説は下記をクリック  モラトリアム、アイデンティティ、エリクソン、発達課題、マズロー 



■用語解説:モラトリアムmoratorium
 本来,経済的な債務支払の猶予・猶予期間を意味する用語を,エリクソンが心理学の領域で用いた概念。若者が大人社会の課業や義務を免除され,さまざまな社会的役割を試行錯誤しながらアイデンティティ形成をしていく時期の特徴を表す。青年期のモラトリアムは近代産業社会の産物であり,中産階級の高学歴の若者のみが受けられる特権であったが,高等教育の大衆化によって,その社会層の幅は広がった。しかしその自由な時期が阻まれる場合,質的なモラトリアムが得られないことから,青年のアイデンティティ拡散の徴候が現れるといわれる。

■用語解説:アイデンティティidentity
 自己同一性。エリクソンが理論化した精神分析的自我心理学の基本概念。自己の斉一性,連続性と一貫性,帰属性の3基準から定義される,主体的実存感覚あるいは自己意識の総体。「自分は自分,これでよし」という自己への肯定感や受容感,存在感,有能感などの実感から感覚的に自覚される。アイデンティティの確立は青年期の課題で,これに失敗するとアイデンティティ拡散が起こり,病理的な現象を引き起こすことがある。
■用語解説:エリクソン Erikson, Erik Homburger  (1902-94)
 ドイツ生まれで,ウィーン精神分析協会で学んだフロイト派に属する精神分析学者。ナチスの迫害を逃れて渡米。精神分析理論を下敷きとしつつも,幼児期決定論にとらわれず,生涯を通じて自我が発達していくものと捉え,おのおのの時期ごとの発達課題を8段階図式として提案した。青年期をアイデンティティの危機とその乗り越えの再編期と捉え,そこでのモラトリアムの重要性を指摘するなど,自我論研究に社会や歴史との関連を盛り込み,大きな足跡を残した。

■用語解説:発達課題 developmental tasks
 ハヴィガースト(Havighurst, R. J.)が初めて用いた概念。彼は,人間の発達段階には,その期に成功裡に成し遂げられなければ,その後の本人の不幸と社会からの非難やその後の課題解決に困難をもたらすような課題があるとし,身体の成熟,自我やパーソナリティの形成,社会的・文化的基礎概念の三つの側面からその課題を設定した。ストレートマイヤーやエリクソンらも独自の視点から発達課題を示した。

*マズローMaslow, Abraham Harold (1908-70)
 病理現象を扱う傾向の強い旧来の心理学へのアンチテーゼとして,人間の成長性・全体性・創造性を強調した心理学を提唱。彼の理論は,人間の動機づけに関する経営論にも大きな影響を及ぼした。1962年にはアメリカ心理学会会長をつとめた。[主著] Motivation and Personality, 1954 ; Toward a Psychology of Being, 1962.


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by yrx04167 | 2011-09-09 19:17 | Comments(0)