相談援助の理論と方法 第23回講義レジュメ1 自助、セルフヘルプグループの特徴とは ミーティング

相談援助の理論と方法 第23回講義レジュメ1 2011/09/22 6・7時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

3章2節 自助グループを活用した相談援助・続き
○前回の補足:セルフヘルプ・グループの特徴、機

・通常、定期的に行われる例会・ミーティングにおいて、メンバーが一人一人、自分の感情を吐露し、他のメンバーはルールとして、それを批判してはならない(=言いっ放し、聞きっ放し)。

・多くの場合、何らかのスティグマや他人に対する不信感があるため、通常、最初から自ら関心をもって参加する人は少ない。自発的な参加が原則である。
しかしグループでは、非難されず、むしろ暖かく迎え入れられ(脱スティグマ化、尊重される経験)、自分と同じ体験をもった人に出会う(体験の共有、感情の分かち合い、自分の立場の客観化、直視する)。

・さらに参加を重ねることで、自分が自分と同じように苦しんでいる人への助け手になることも経験する。(ヘルパー・セラピー原則)
・相互扶助、対等な関係性である。

*セルフヘルプグループと内なる・外なる変
・アルコール依存症者がセルフヘルプグループに入って断酒できた場合のように、セルフヘルプグループでは相互に援助しあって状況が改善したりすることもある。しかし、それだけに留まるものではない。セルフヘルプグループのメンバーには内なる変革・外なる変革が伴って生じるのである。
 仲間同士が出会って孤立から解放され、抑圧されない対等な関係の中で、情報を交換し、体験を語り合い、感情を表現する。そうした出会いを通して、ありのままの自分が仲間に受け入れられることで、自己否定やとらわれから解放され、ありのままの自分を受け入れることができるようになる。そして自分への信頼や自信を回復して人間としての尊厳性を自覚し、自立への意欲が喚起される=内なる変革である。
 その過程を通して、社会の矛盾に気づき、病気や障害をもったまま生き生きと生きられる社会の実現をめざして、社会へとスピークアウトしていく。平均的状況からの逸脱を許さない社会、少数者を偏見によって差別し、排除しようとする社会の非人間性と不正常さを訴える。そして一般市民の理解を得て意識や態度の変更を求め、さらには新たな社会制度や社会サービスの創出や整備を図る=外なる変革である。

・また当事者は、自分の実感を大切にして専門職に体験を伝え、仲間とともに異議を申立て、社会の主人公は専門職ではなくて生活主体者である市民にあることを訴えていく。

<テキスト解説>
3 自助グループ結成への援助 テキストP69

・自助グループは、「ボランティア活動」としての要素も含む=メンバーの自発的な参加に基づく無償の活動であり、責任を担い合う。
 単にグループ結成を励ます、支援するという専門職の姿勢は望ましくない。

*セルフヘルプ・クリアリングハウス
・クリアリングハウスは、米国、ドイツを中心に運営されている。
 日本では「セルフヘルプ支援センター」等の名称で運営されている。
・クリアリングハウスの活動、機能とは、
①セルフヘルプ活動に関する情報収集・提供
②自助グループの相談:グループ紹介等
③広報:社会への啓発と提言
④調査・研究:グループ実態把握調査など

・クリアリングハウスの活動は、規模や形態によってそれぞれであるが、上記のような活動を実施している。
・社会福祉協議会、精神保健福祉センター等が、これらの機能を担っている。

*専門職による自助グループ結成への支援 P70
・セルフヘルプグループヘの援助方法については,グループに直凄的に参与して援助する「直接的援助」とセルフヘルプ・クリアリングハウスなどを通して援助する「間接的援助」がある。
・ボランティア活動にはボランティアセンターという専門の援助組織が必要なように,セルフヘルプ活動にはセルフヘルプ・クリアリングハウス)のような専門組織が求められる。

<補足:セルフヘルプ・グループに対する、専門職・ソーシャルワーカーの役割
・グループの設立時や初期の段階での側面的援助
・当事者やグループ全体が求めている専門的知識や情報の提供
・側面・周辺的なサポート(会合場所の提供、事務や連絡)
・グループの存在を知らない利用者に対して、(社会資源として)グループの存在を紹介する

4 自助グループとの連携 テキストP71
*対等なパートナーシップ

・自らのクライエントとの同一視という問題
 ⇒ グループとの対等なパートナーシップを構築することは困難である。
・援助の対象ではなく、連携のパートナーである。
 グループへの干渉をしない。

*自助グループの支援の特質 P72
・グループの特徴とは、「体験的知識」と「自己解放的な要素」である。

・専門職とその援助、枠組み、価値観との違いがある。

*自助グループの組織的課題 P73
・グループのリーダーシップ等の課題がある。

・中心的な活動メンバーと、「フリーライダー」的な参加者。

○補足:欧米のセルフヘルプグループの発
・アルコホリックス・アノニマス(AA,1935年創設)
・精神障害者の再発と慢性化を防ぐ回復者協会(1937)
・脳性マヒ協会(1947)
・「精神遅滞児協会」(1949)
・1950年代後半から60年代にかけて,とくに多くのグループが設立された。背景としては,公民権運動,反戦運動などの動きが盛んな時代であった。

*補足:日本のセルフヘルプグループの発
わが国では,第二次世界大戦後から設立されるようになった。
・日本患者同盟(結核,1948)、全国ハンセン氏病患者協議会(1951)は,患者自身による自主的な組織として設立された初期の代表的なグループである。
 終戦後の患者のおかれた状況に対して,医療,生活保障などの要求運動などのソーシャル・アクションが中心的な課題であった。
・子どもたちの未来をひらく父母の会(サリドマイド児親の会,1963),カネミ油被害者の会(1969),水俣病患者同盟(1974)などの公害・薬害などに関するグループも多く設立された。
・60年代後半から70年代にかけて,前述の欧米型のSHGが,次々と組織されるようになった。80年代では,地方レベルでもさらに増大している。

  1952 全日本精神薄弱者育成会(手をつなぐ親の会)
  1960 日本リウマチ友の会
  1961 全国肢体不自由児(者)父母の会連合会(全肢連),日本糖尿病協会
  1963 全日本断酒連合会(全断連),全国心臓病の子どもを守る会
  1964 小鳩会(ダウン症児親の会)
  1965 全国精神障害者家族連合会
  1968 自閉症児親の会全国協議会(1989年より日本自閉症協会に)
  1969 人工肛門造設者の会
  1973 胆道閉鎖症の子どもを守る会,てんかんの患者を守る会(小児てんかんの子供を持つ親の会と合同で,1976年より日本てんかん協会に)
  1978 あけぼの会(乳ガン手術体験者)

・この他にも、全国組織のない,ある地域だけの小さなグループも全国にはたくさんある。

*地域福祉活動との関
・セルフヘルプグループ、当事者組織の組織化の支援もコミュニティワークの課題である。こうした活動を通じて、地域住民の主体性と自治力を強めることが重要である。福祉ニーズを抱える当事者である地域住民自身が活動することによって、より具体的な地域福祉施策への提言ができ、早い時期に行政による対応や住民による参加が可能になるのである。

○解説:断酒
 酒をやめるための自助グループ
(後述)

*アルコホリクス・アノニマス Alcoholics Anonymous ; AA
 12ステップといわれる回復のための指針を示したプログラムに従って,アルコール依存・乱用の当事者同士が体験談や自己について語り合いながら,「今日一日」酒を飲まずに過ごそうとする自助グループ。
(後述)

*当事者活動 self help activity
 差別を受けたり,問題の渦中にある本人(当事者)たちの組織・団体が,その課題を明確に認識し,改善や解決をめざして行政等に積極的に行動を起こしていく活動。
(後述)

*障害者運動 disability movement
 障害を抱えている人たちやその親,あるいは関係専門職従事者などのそれぞれの当事者がつくる組織。
(後述)

<レジュメ2に続く

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第22回講義レジュメ1 コノプカによるグループワーク14原則とは 社会福祉士養成科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第22回講義レジュメ2 自助・セルフヘルプ・グループとは 社会福祉士養成科9/15


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*続き・用語解説は下記をクリック 断酒会、アルコホリクス・アノニマス、当事者活動、障害者運動



○解説:断酒会
 酒をやめるための自助グループで,いくつかの流れがあったが,現在は1963年に高知と東京の断酒会が合同して結成された全日本断酒連盟が主流となり,都道府県の連合組織,地区断酒会を含めて600を超す断酒会が毎週のように開かれている。断酒例会は,本人・家族の体験談を語り合うことを中心に進行する。その基本原則は,自助即互助の原則で,自分の断酒を堅持する自助が,仲間に励ましと勇気を与えるというかたちで互助になり,また仲間に支えの手を差し伸べることが自分の断酒を鍛えることにつながる。このように,共通体験の共有化と相互受入れによる,断酒仲間の支え合いが重視される。近年では医療や行政との連携を図るとともに,市民との連携を模索してNPO活動も展開している。

*アルコホリクス・アノニマス Alcoholics Anonymous ; AA
 12ステップといわれる回復のための指針を示したプログラムに従って,アルコール依存・乱用の当事者同士が体験談や自己について語り合いながら,「今日一日」酒を飲まずに過ごそうとする自助グループ。通常はたんにAAとよばれる。会員は生まれや職業やそして本名をあえて明らかにせずニックネームなどで呼び合うことから,アノニマス(匿名性)と称する。もともとは1930年代のアメリカにさかのぼる歴史をもつが,現在は日本を含め世界各国にAAグループが活動をしている。

*当事者活動 self help activity
 差別を受けたり,問題の渦中にある本人(当事者)たちの組織・団体が,その課題を明確に認識し,改善や解決をめざして行政等に積極的に行動を起こしていく活動。すなわち,社会変革を担うソーシャル・アクションと位置づけられ,近年ではHIV(エイズ)感染者やハンセン病患者,障害者による運動などが大きな成果をあげている。

*障害者運動 disability movement
 障害を抱えている人たちやその親,あるいは関係専門職従事者などのそれぞれの当事者が組織をつくり,日常生活での体験のわかちあいや,医療,福祉,生活などの各種情報の共有を通して,社会保障制度の改善や社会を啓発していく,一連のセルフヘルプ・グループ活動をさす。ノーマライゼーション思想やWHO(世界保健機関)で検討された障害者観の普及に伴い,障害をその個人の問題として捉えるのでなく,環境との関係において捉えていくという考え方が少しずつ社会に定着してきた結果,物理的障壁の除去,教育・労働の機会の保障,医療・福祉・保健サービスの整備など,以前から障害者団体が主張してきた対策がようやく社会的に推し進められつつある。また,情報技術を活用し,肢体,聴覚,視覚,知的,精神などさまざまな障害をもつ人たちの意見交換も容易に可能となり,障害種別を超えた団体の連携も活発に行われている。
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by yrx04167 | 2011-09-23 13:26 | Comments(0)