相談援助の理論と方法 第27回講義レジュメ1 治療・生活(ライフ)・ストレングスモデルとは

相談援助の理論と方法 第27回講義レジュメ1 2011/10/20 6・7時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

2節 治療モデル、生活モデル、ストレングスモデル
<補足>
*診断主義学派の特

・1920年代からのケースワークは,リッチモンドの社会診断の流れを引きながらも,第一次世界大戦後の戦争神経症の治療に用いられたS.フロイトの精神分析学に接近した。とりわけそのパーソナリティ論にひかれ,環境との関係を次第に弱め,個人の心理的問題への関心に傾斜していった。このようなケースワークが,後に「診断主義ケースワーク」と呼ばれることになった。
・診断主義の流れは,ニューヨーク社会事業学校のG、ハミルトン(G.Hamilton)による『ケースワークの理論と実際』(1940年)に集約される。その後、診断主義のケースワークは,1960年代にはF.ホリス(F.Hollis)の「心理・社会的モデル」として発展し,現代のソーシャルワークの理論モデルの一つとなった。また,ヴインターらの「治療的モデル」グループワークにも受け継がれている。
 診断主義(診断派)ケースワークの特徴とは、①利用者の問題の心理的側面の重視、②パーソナリティの発達に焦点を当てた過去の生活史の重視、③面接を中心とした長期的援助関係における援助者の主導性、④調査→診断→治療の過程を重視する といった点が挙げられる。
 診断主義ケースワークは、リッチモンドと同様に面接を重視し,家族関係を中心とした環境を重視したが,関心は主として利用者の内面・心理的環境にあって,リッチモンドのように貧困,疾病,労働などを含めた社会的環境の全体が視野に入れられていなかった。
・診断主義ケースワークは、S.フロイトの精神分析の理論と方法を取りいれた。利用者のもつ問題やその原因は、社会環境よりも個々の精神内界にあると捉え、ケースワークに「治療的意味」をもたせた。つまり、利用者の問題を病理・病的状態ととらえ、これらを治療するのは援助者であるという専門職中心の医学モデルである。
・診断主義ケースワークの援助の過程とは、専門職からの、利用者の内面の問題の原因の探求と解決の過程である。つまり「援助者が利用者に働きかける過程」であった。その目的は、自我の強化とそれによるパーソナリティの社会環境への適応を図ることにある。
・社会福祉士受験支援講座・教員日記。

3 生活モデル テキストP133
・テキストP133表6-4:生活モデルの特徴
○概要:ライフ・モデル・アプローチ
 1960年代以降アメリカでは,複雑で多様な生活問題に対する援助の社会的要請が高まり,従来の個人のパーソナリティに治療の焦点をおいた伝統的なアプローチに対する批判が高まった。そのソーシャルワークの限界を打開するために,生態学や一般システム理論などの新たな理論的枠組を背景に登場したのがジャーメインらによって体系化されたライフ・モデル(生活モデル)である。このモデルでは,人,環境のどこに問題があるのかを問うのではなく,問題は生活空間における不適切な交互作用(transaction)にあると考え,人と環境の接触面(interface)に焦点をあてていく。ソーシャルワーカーの社会的目的は,人々の成長と発達を最大限にし,環境を改善する交互作用を生み出すように,人々の適応能力と環境の特性を結び合わせることとされる。そこでは,生活体の適応能力を高めると同時に環境を改善するという二つの実践の焦点があり,人も環境も等しく重要であって,この両者の互恵的適応関係のバランスがいかに獲得されるのかに最大の関心が払われる。したがって,ソーシャルワーカーが扱う対象は人と環境の「開かれた」連鎖的交互作用であり,「人と環境の適合性」(person-environmental-fit)である。

<テキスト解説
・生活モデルは、1980年代の提起以降、中核的なモデルとされている。
・ソーシャルワーク理論のなかに、一般システム理論が摂取され、ピンカスとミナハン、ゴールドシュタイン、コンプトンとギャラウェイらにより、理論が構築された。
・実践対象を構造・要素・機能・時系列変容からとらえていく視点をもたらした。
・システム論による「機械論」的理解のあり方に批判が向けられた。

・生態学を学問的基盤にした「生活モデル」が、ジャーメインらによって提唱された。
ソーシャルワークにおける中核として摂取されてきている。
・生活モデルは、生物と環境の間のバランスのとれた相互依存関係について追究する生態学の特徴を、「人と環境」との関係において考究したものである。
人と環境の交互作用が、焦点となる。「生活過程」は、生活の・空間・時間・環境におけるさまざまな要素との間でのやりとりの過程としてとらえる。環境との間の関係性が重要となる。

・人が環境との関係性のなかで生活を営むことは、環境からの要求・要請に応答することが求められる。
 生活上の問題・課題は、人と環境の交互作用のなかでその調和が崩れること、環境からの要求・要請への対処が困難であり、それが生活ストレスとなって、過重な負担となることにより発生する。

・クライエントの生活課題が人と環境の交互作用のなかで生じ、その生活課題を、環境からの要請に応答する対処の実態といった複合的視点でとらえることが可能となる。このことにより、課題の解決に向けた主要目標を、対処による適応に定めることができる。

・クライエントの適応へのコンピテンスを高めていくことが重要となる。
・コンピテンスとは、具体的目標の達成に向けられた動機づけや認知的能力、また、環境に対する制御能力や自己統御力であり、生活モデルはソーシャルワーカーに、包括・統合的な視野や視点を提供する。

・一般システム理論と生態学理論双方のプラスの側面を取り込み、融合させたエコシステムという表現を用い、その視野・視点を強調する立場もみられる。
社会福祉士受験支援講座・教員日記

4 ストレングスモデル テキストP134
○概要:ストレングス視点 strengths perspective

 アメリカのソーシャルワーク実践理論において,1980年代以降提唱されている視点。それまで支配的であった病理・欠陥視点を批判する立場をとる。ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である。

<テキスト解説
・ソーシャルワーク実践におけるストレングスへの着目は、1980年代後半より提唱された。
 今日、主要概念の一つとなっている。
・サリーベイやラップが研究を進めた。
・ソーシャルワーカーが支援課題をとらえるとき、「強さ」や「能力」に焦点を当てようとするモデルであり、「豊かな能力、活力、知恵、信念、確信、望み、成長、可能性、自然治癒力など現在から将来に至るまでの強さに着目し、それらを引き出し、活用して問題を解決しようとする」支援観である。
・個人、グループや地域社会・コミュニティ - クライエント個人の外部環境の「強さ」にも複眼的に着目していくことが期待されている。
・治療モデルへの批判から生成されたモデルである。
・治療モデルがクライエントを「対象」としてとらえるのに対し、ストレングスモデルは「主体」としてのクライエントを強調する。
・支援課題把握の際、クライエントの抱える「問題」を「分類」し、直接的因果関係として特定しようとする治療モデルの方向性に対し、クライエント等の「強さ」を見出し、それを「意味づけ」ていくことを重視する。
 治療モデルが客観的証拠(エビデンス)を重視するのに対し、クライエントのナラティブの尊重し、「客観性」に対する「主観性」が強調される。
・ストレングスモデルは、クライエント、その資源のなかに「強さ」や「能力」、「よさ」を発見し、新たな「像」、視点を獲得するという強みをもつ。

*レジュメ2に続


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ソーシャルワーク実践研究会11/5(土)14:00開始 社会福祉士現場レポート<公開シンポジウム・社会情勢と社会福祉士>会場:日本福祉教育専門学校 高田馬場校舎4階245教室 *参加無料・一般公開 日本福祉教育専門学校・敬心祭
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法
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by yrx04167 | 2011-10-19 19:05 | Comments(0)