相談援助の理論と方法 第28回講義レジュメ3 課題中心アプローチとは 社会福祉士養成科夜間部

相談援助の理論と方法 第28回講義レジュメ3 2011/10/27 6・7時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

4節 課題中心アプローチ
・クライエントの訴える問題を優先し,クライエントとともに課題を設定,遂行する援助方法である。具体的な課題を設定する計画的なプロセスを明らかにしたこと,課題とケース目標を整理し,契約することによってケースに関わる者すべてが課題を共有すること,課題の遂行状況をモニターし評価する手順を明確にしたことなどが,課題中心アプローチの特徴であり,ソーシャルワークへの貢献であると考えられる。
・利用者の問題を、利用者が解決しなければならない課題として取り上げ、いかにその課題を解決するかについて、利用者と援助者が協力して解決しやすい方法を検討し、計画を立て、実行していく方法。
 具体的な作業計画の策定、実行、評価を通じて、短期間内で問題の解決を図る。
 課題の達成状況に焦点が当てられ、ワーカーはクライエントが実行可能な課題の設定やその達成に向けての作業に対して援助を行う。

・このアプローチは,援助技法というよりは,援助の枠組を提供するものであり,ケースワークの範疇を越え,今日ではソーシャルワークの重要なアプローチとして広く認知され応用されている。

1 起源と基盤理論 テキストP153
・1970年代、リードとエプスタインにより理論構築された。心理社会的アプローチや問題解決アプローチ、行動変容アプローチから影響を受けた。折衷アプローチであり、各アプローチの基盤となる理論を摂取している。
・最大の特徴は、短期処遇を明確に示していることにある。短期間の計画的な実践を志向し、プラグマティズムの影響を受けている。

2 課題中心アプローチを理解するためのキーワード
*プラグマティズム
 「実用主義」と訳される。

*課
 クライエント自身によって着手される一連の問題解決行動。

計画的短期
・課題を設定し、援助を計画的に実行する。

3 適用対象・適用課題 テキストP154
・限定された期間において、クライエント自身が認識し、解決できる可能性がある具体的な生活諸課題が対象である。分野・領域は柔軟性をもって適用が可能とされる。

○補足:課題中心アプローチの対象問題、問題選択
 このアプローチにおいて、対象となる問題を7つに分類している。
*第1の問題-対人関係の葛藤
・人と人との交わり(相互作用)のなかで生ずる摩擦であり,家族関係の問題が含まれる。

*第2の問題-社会関係上の不満
関係における孤独、他人への過度の依存、積極性の欠如等、他者との付き合いのなかでの不満が含まれる。

*第3の問題-組織体との問題
・福祉サービス機関や病院,学校などとの関わりのなかで生ずる葛藤。

*第4の問題-役割の遂行に伴う困難
・自分に課せられた社会的役割を遂行することに困難を感じる場合である。

*第5の問題-社会的過渡期の問題
・社会的状況が変化することによって生ずるものであり、適応上の困難などがある。

*第6の問題-反応性の情緒的苦悩
・特定の出来事がきっかけとなって生じる不安や抑うつ状態をいう。

*第7の問題-不十分な資源
・経済的な問題、住まい、医療など適切な資源が無いことの問題である。

・このアプローチにおいて、取り組む問題を選び出す場合に,次の視点が必要となる
①クライエントが認める問題を対象としなければならない。
 クライエントが自ら「これが私の問題である」と認めた問題を優先的に処遇の対象とする。

②対象となる問題はクライエント自身の努力によって解決できうるものでなければならない。
 現実の場面でのクライエントの行動が重要と考える。現実の場面で,ワーカーの援助なしにクライエント自らが行動すること、自らが解決できなければならない。

③かつ具体的な問題でなければならない。

4 支援焦点
・クライエント自身の段階的な問題解決行動により、問題解決と社会的機能を改善する。

5 支援展開

・課題中心アプローチの支援過程(3段階・4ステップ)⇒テキストP154図参照。
・第1ステップ-問題の明確化と選
クライエントの認識と解決可能な具体的問題を選択。
○補足
 問題の内容を具体的に例をあげる。問題が生起する場所と,解決に役立つフォーマル・インフォーマル資源などを整理する

・第2ステップ-契
目標を設定し、面接の回数や頻度・期間を合意し、動機づけを高める。
○補足
 処遇目標の例:毎朝登校前になると学校が嫌いだ、身体の具合が悪い等を訴え、登校を嫌がる子に対し,学校へ送り出すまでが「戦争」だと訴える親が,毎朝「戦争」なしに「いってきます」「いってらっしゃい」と子どもを送り出せるようになることが,問題の解決された状態であるというのならば,それが処遇目標となる。
・目標が定められると,この明確になった問題の解決と処遇目標の達成に向ってワーカーとクライエントはともに努力してゆくことになるが,両者の決意はこの段階で契約という形で公にされる。この契約のなかには,目標達成に必要とされる期間、面接回数によって大まかではあるが示される。契約は,短期間での処遇を実現させるのに不可欠であると考えられている。

・第3ステップ-課題遂
 クライエントとの協働作業。行動療法的方法(ロールプレイ、シミュレーション等)を活用する。
○補足
 問題を解決するために必要な課題が設定されることになる。課題の設定は,問題をさらに詳しく分析し問題を持続させている要因を明らかにすることによって行なわれる。課題はこのような要因を良い方向に変化させるためにクライエントがとらねばならない具体的な行為からなっている。
例:夫婦間の会話が乏しいことに問題を感じている夫婦が,食事時の会話の時間を有効に使っていないことに気づいた。この時間を有効に生かすことが問題解決のための最初の課題となる。食事の直後10分間はテレビを消し新聞は片付けて,お茶を飲みながら今日あったことを話し合う。互いに相手のいうことを最後まで聞き,それについて感想を相手に伝える,というような具体的な行動が課題のなかに示されていなければならない。
 また,このように設定された課題が,クライエントによって遂行されたかどうかが観察され評価される必要がある。したがって課題を設定する場合には,評価の基準も明らかにされねばならない。

・ワーカーとクライエントがこれらの点で合意に達し、課題スケジュールが明確に定まれば,ロールプレーや行動リハーサルといった方法を用いて行なわれる。
・リハーサルが成功すれば、実際の場面でクライエントによって課題が実行に移されることになる。評価により、課題の遂行がむずかしいと判断された場合には,何がクライエントの円滑な課題遂行を妨げているのかが検討され,必要であれば,段階を戻り修正が加えられる。遂行に問題がないと判断された場合には,課題の達成が定められた基準に達しているかどうかが評価される。ワーカーとクライエントの両者が基準に達したと判断した場合には,もし他に解決すべき問題があれば,それを解決するための課題設定,課題遂行が,これまで述べてきたのと同様のプロセスで行なわれる。
 もし他に解決すべき問題がない場合には,終結の準備がなされケースは終了へと進むことになる。

・第4ステップ-終
・評価により、課題の修正や契約の更新を検討する。

・基本的に3~4か月間に、8~12回の面接を実施する。

○補足:課題中心アプローチ
・「課題中心モデル」は,パールマンの「問題解決モデル」の流れを引きながら,短期処遇の方法として登場した。その基礎には,人には課題を達成する能力があるという考え方により、クライエントは多くの問題をかかえている場合でも,その中からいくつかの「ターゲット(変化の標的)」としたい問題を選び,その問題の解決のために取り組むべき課題を設定する。「問題」が困難を来している事態あるいは変化を必要としている事態そのものを指すとしたら,その問題を解決するためになすべきこと、あるいは達成すべきことに具体化したものが「課題」であるといえよう。
 したがって,課題中心モデルでは,クライエントが必要な助言や励ましを受けながら積極的に自分の問題を探究し,ターゲットをしぼり,課題を設定して計画を立て,ワーカーや関係機関との間で「契約」をしたうえで,課題を遂行し,評価していくという過程を重視する。
つまり、利用者の問題を、利用者が解決しなければならない課題として取り上げ、どのようにその課題を解決するのかについて、利用者と援助者が協力して解決し易い方法を検討し、計画を立て、実行していく方法である。利用者が自分の問題に意識的に取り組むことが重要で、短期的に効果をあげたい場合に有効とされている。
 また、実践の効果を評価する測定法も、このアプローチにより考案された。

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by yrx04167 | 2011-10-28 08:09 | Comments(0)