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相談援助の理論と方法 第8回講義レジュメ5 ソーシャルアクションとは 社会福祉士養成科トワイライトコース

相談援助の理論と方法 第8回講義レジュメ5 2012/6/4 5・6時限(16:30-19:40)
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)にて 担当:当ブログ講師
6章4節 予防的対応とサービス開発・続き
7 ネットワークと連

・ケアマネジメントの導入以降、サービス担当者のチーム体制、関係機関のネットワーク構築が一般的となってきている。地域の問題解決・対応能力として、ネットワークの充実の必要性がある。ソーシャル・サポート・ネットワークの構築、関係機関との連携協力体制を強化することなどが含まれる。

<補足:ネットワークの構築> 
・コミュニティワークは,歴史的には慈善活動を行なう団体間の連絡調整からスタートしたと言える。
またコミュニティワークは,社会資源の開発の技術として大きな役割を発揮してきた。
 今後も,さまざまな住民諸団体や福祉施設・団体・機関などの連携・調整機能,新たな福祉サービスの開発機能を発揮することが求められている。
 「ネットワーク」とは、実践を行なう際に連携したり,連携の必要があると考えられる(組織間)のネットワークを構築していくということを指す。
 ソーシャルワークにおいては、人々の諸問題の改善,ニーズの充足を援助するにあたって,ひとつの組織による相談援助やサービス提供だけでは効果的でないことは少なくない。
効果的かつ総合的な援助を行うために,関連する諸組織・団体間のコミュニケーションを促進し、目標を共有して協働するネットワークづくりが必要である。

8 ソーシャルアクション
*社会活動法(ソーシャル・アクション)の解説
<概要

・ソーシャルアクション(社会活動法)は、間接援助技術の一つであり、ソーシャルワーカーが主導のパターンもあるが、市民や当事者によって、専門家の援助がなくても行われ得る。
・社会福祉制度やサービスの新設・改善を目指して、議会や行政機関に対応を求める組織的な行動およびその方法である。
 伝統的な方法として、署名、陳情、請願などがある。また、社会資源の開発等を行なう場合もある。
・社会的に弱い立場にある人の権利擁護を主体に,その必要に対する社会資源の創出,社会参加の促進,社会環境の改善,政策形成等,ソーシャルワークにおける重要な援助および支援方法の一つである。社会福祉活動法または社会活動法と訳される。

<発展の経緯
・イギリスにおける社会改良運動を源流とする。
・戦前の日本における代表的な例として、救護法制定・実施促進に向けての方面委員の社会活動が挙げられる。
・ソーシャルワークの展開過程では,コミュニティ・オーガニゼーションの一形態として発生し,1960年代のアメリカを中心に,頻発した社会問題に鋭く対立した社会運動,特に公民権運動や社会福祉運動をリードする問題解決型の(マクロ)ソーシャルワーク援助方法として用いられた。同時期に,日本では公害運動などに影響を与えた。

・近年では,現代社会の福祉問題(社会的排除や摩擦,孤立)のなかで,当事者の立場や利害を代弁するアドボカシー(権利擁護・弁護)および社会資源の拡充・創設,社会福祉の運営の改善をめざす組織化活動として用いられることが多い。
 また,ソーシャル・アクションには二つの流れがあり,一つは,社会的発言力が弱く,身体的・精神的ハンディキャップのある対象者にかわって,対象者と関わるソーシャルワーカーが中心に活動する活動形態,もう一つは,対象者みずからを主体として,ソーシャルワーカーがそのニーズの実現のためにさまざまな社会資源を組織化し,対象者を支援する活動形態である。
・近年では、多様な社会活動が全国段階、自治体段階、小地域レベルで展開され、一定の成果が得られている。  
*ソーシャル・アクションの「セルフ・アクション、セルフ・リアクション型」は、自治体の首長自らが住民にアクションを仕掛け、住民からの反応を受け止めて福祉シフト化に生かそうとする新しいモデルである。

○補足:ソーシャルアクションの具体
・ソーシャルアクションは、例えば貧困層や,社会的差別や抑圧を受けている人々、暴力・虐待を受けている人々などの生活を保障し、基本的人権を保障していくために,法改正や立法化等を求めて運動するというものである。社会正義の回復,社会変革の実現を図る役割といえよう。

・期待する成果として、政策や法制度、施策の変化を引き起こすためには、次のような行動が必要となる。
①現状と制度の分析,
②立法過程等に関する知識・情報の獲得、
③関連職種の人々や関連組織・団体と連携し運動の連合体を構成する,
④要求する改正点や問題の焦点をしぼる
⑤必要な時間・エネルギーなどを含めて十分な計画を立てる,
⑥運動への結集を確保・維持するための方法を練る,
⑦広報に力を入れ世論を巻き込む(関係職種や住民向けの集会の開催),
⑧ロビー活動を行う,
⑨場合によっては、訴訟という手法も検討する。
・具体的には、制度・施策について,専門職団体として意見を表明する(キャンペーン)、自治体や国に申入れ等を行なう。
・これらを当事者や市民を巻き込んで運動を展開する。
この運動を主導することは、ソーシャルワーカーの所属によっては困難な場合もあるが、専門職団体の一員として、もしくは運動体・連合体に専門家ボランティアとして参加し、実施することは可能なはずである。
・ソーシャルワーカーは、ソーシャルアクションによる政策・制度の発展に貢献する役割を自覚し,社会のウエルビーイングの増進のために、何らかの形で活動することが望まれている。

<課題:マクロ領域に関して
・環境への視野や、エンパワメントの視点を広げていくと、社会問題(政策、雇用、差別等)へと行き着く。
利用者等の人間の生活、その機能と成長には、社会構造の欠陥、差別、抑圧、社会的・政治的・経済的不公正、多様性、加えて世界規模の経済問題が影響しているとも考えられる。
・個別の、もしくはネットワーク、専門職団体が、マクロの課題として、不公平と社会的、政治的、経済的不公正、差別等に立ち向かう、ソーシャルアクションや政策提言を担うことができるのか。ソーシャルワークの価値、倫理綱領には含まれているが。
・それは、ミクロの課題である、人間の尊厳、価値、および独自性と多様性、人間の生来の能力と可能性を尊重する実践のためにも必要なものであろう。

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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科


*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
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by yrx04167 | 2012-06-06 23:00 | Comments(0)