相談援助の理論と方法 第13回講義レジュメ4 児童虐待の子どもへの影響、リスク要因とは 1 社会福祉士養成

相談援助の理論と方法 第13回講義レジュメ4 概要 2012/7/9 5・6時限(16:30-19:40)
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)にて 担当:当ブログ講師

<補足:資料>
1 児童虐待の概要・前半
*児童虐待 child abuse

 家庭内における親,きょうだい,祖父母などの親族による身体的・心理的・性的暴力や,主たる養育者による子どもの放置を指すことが一般的である。広くは,学校や社会福祉施設などにおける教職員による暴力も包括する。
 児童虐待防止法第1条によれば、
「この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする」。

*子ども虐待の定義
 児童虐待防止法第2条において、「この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一  児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二  児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三  児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四  児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」。

*具体的には、以下のものが児童虐待に該当する。
ア.身体的虐待(第1号)

・外傷とは打撲傷、あざ(内出血)、骨折、頭蓋内出血などの頭部外傷、たばこによる火傷など。
・生命に危険のある暴行とは首を絞める、殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、熱湯をかける、溺れさせる、逆さ吊りにする、異物をのませる、冬戸外にしめだす、一室に拘束するなど。
意図的に子どもを病気にさせる。 など

イ.性的虐待(第2号)
 子どもへの性交、性的暴行、性的行為の強要・教唆など。

ウ.ネグレクト(第3号)
・子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど。例えば、(1)家に閉じこめる(子どもの意思に反して学校等に登校させない)、(2)重大な病気になっても病院に連れて行かない、(3)乳幼児を家に残したまま度々外出する、(4)乳幼児を車の中に放置するなど。
・食事、衣服、住居などが極端に不適切で、健康状態を損なうほどの無関心・怠慢など。
 例えば、(1)適切な食事を与えない、(2)下着など長期間ひどく不潔なままにする、(3)極端に不潔な環境の中で生活をさせるなど。
・親がパチンコに熱中している間、乳幼児を自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳幼児だけを家に残して火災で子どもが焼死したりする事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきである。
・祖父母、きょうだい、保護者の恋人などの同居人がア、イ又はエに掲げる行為と同様の行為を行っているにもかかわらず、それを放置する。 など

エ. 心理的虐待(第4号)
・ことばによる脅かし、脅迫など。 子どもを無視したり、拒否的な態度を示す。
・子どもの心を傷つけることを繰り返し言う。 子どもの自尊心を傷つけるような言動など。
・他のきょうだいとは著しく差別的な扱いをする。
・子どもの面前で配偶者やその他の家族などに対し暴力をふるう。

*虐待を判断するに当たっての考え方
・「虐待の定義はあくまで子ども側の定義であり、親の意図とは無関係です。その子が嫌いだから、憎いから、意図的にするから、虐待と言うのではありません。親はいくら一生懸命であっても、その子をかわいいと思っていても、子ども側にとって有害な行為であれば虐待なのです。我々がその行為を親の意図で判断するのではなく、子どもにとって有害かどうかで判断するように視点を変えなければなりません。」(小林美智子,1994)
 また、保護者の状況、生活環境等から総合的に判断するべきである。

*虐待の子どもへの影響
 虐待の子どもへの影響としては、死亡、頭蓋内出血・骨折・火傷などによる身体的障害、暴力を受ける体験からトラウマ(心的外傷)を持ち、そこから派生する様々な精神症状(不安、情緒不安定)、栄養・感覚刺激の不足による発育障害、安定した愛着関係を経験できないことによる対人関係障害(緊張、ひきこもり)、自尊心の欠如(低い自己評価)等、様々な内容、程度がある。

*心的外傷
 トラウマともいう。
 後述

*心的外傷後ストレス障害 posttraumatic stress disorder ; PTSD
 後述

*虐待の世代間連鎖
 講義にて解説。

2 児童虐待への対応・概要
<子ども虐待対応の手引き等 より>
*児童虐待に至るおそれのある要因(リスク要因)
1 保護者の要因

○妊娠そのものを受け入れることが困難(望まない妊娠・10代の妊娠)
○子どもへの愛着形成が十分に行われていない
(妊娠中に何らかの問題が発生したことで胎児への受容に影響がある。長期入院)
○産後うつ病などの気分障害や精神的に不安定な状況
○元来性格が攻撃的・衝動的
○医療につながっていない精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存
○被虐待経験
○育児に対する不安やストレス(保護者が未熟等)

2 養育環境の要因
○未婚を含むひとり親家庭
○内縁者や同居人がいる家庭
○子連れの再婚家庭
○夫婦関係をはじめ人間関係に問題を抱える家庭
○転居を繰り返す家庭(住民登録をしない場合は特に注意)
○親族や地域社会から孤立した家庭
○生計者の失業や転職の繰り返し等で、経済不安のある家庭
○夫婦不和、配偶者からの暴力等不安定な
状況にある家庭
○定期的な健康診査を受診しない
○親子の長期分離歴がある
○すでに、きょうだいが施設入所している家庭

3 子どもの状態
○乳幼児
○未熟児
○多胎児
○障害のある子ども
○何らかの育てにくさを持っている子ども

*留意点
 虐待発生のリスク要因を踏まえておくことは、子どもに及ぶ危険性を予測するうえで非常に重要である。しかし、リスク要因を多く有しているからといって、必ずしも虐待に至るわけではないことにも留意が必要である。反面、虐待はどこの家庭にも起こりうる問題として認識し対応することが不可欠である。 適切に判断するためには、リスク要因とともに、当事者の持っている問題解決への肯定的、積極的要因や、家庭や地域における虐待発生抑止要因等とのバランスを意識して、情報を収集し、アセスメントすることが必要である。

 後半に続く

*レジュメ5に続く

<講義レジュメ>
相談援助の理論と方法 第13回講義レジュメ3 効果測定、独立変数、従属変数とは 7/9 社会福祉士養成科 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

相談援助の理論と方法 第13回講義レジュメ2 モニタリングの手続き、手法とは 概要 7/9 社会福祉士養成科 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会福祉士 実習の目標(例) 相談援助実習指導レジュメ 前期第6回 社会福祉士養成学科にて



*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
社会福祉士及び介護福祉士法

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*心的外傷
 トラウマともいう。戦闘体験,災害,事故,犯罪被害,暴力,虐待など,これまで築いてきたストレスへの対処能力をはるかに超えるような出来事に遭遇し,その反応として生じる心理的・感情的苦痛を伴う精神的な変調状態をいう。極度のストレス体験の後,心的外傷反応は一過性のものとなる場合が多いが,一部の人は慢性化し,心的外傷後ストレス障害(PTSD)として診断されることがある。

*心的外傷後ストレス障害 posttraumatic stress disorder ; PTSD
 死に匹敵するほどの強い衝撃の後で,侵入症状(その体験の記憶が,当時と同じ恐怖と現実感を伴ってよみがえる),過覚醒症状(自律神経系の緊張状態。物音などに過敏となり,落ち着かず,不安,不眠,いらだちを生じる),麻痺・回避(体験の記憶・現実感が麻痺し,思い出させるものを無意識に避ける)の3症状が1カ月以上持続するもの。体験の程度が軽い場合や,持続が1カ月未満のものは含まない。
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by yrx04167 | 2012-07-13 08:08 | Comments(0)