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障害者に対する支援と障害者自立支援制度等 練習問題 IL自立生活運動、CBR地域リハビリテーションとは

障害者に対する支援と障害者自立支援制度、
相談援助の理論と方法 練習問題

*社会福祉士受験対策・専門科目

問題1 障害者運動及び民間活動に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい

1 IL運動(自立生活運動)を象徴するCIL(自立生活センター)は,1990年代初めにアメリカで障害をもつ学生の当事者運動から始まった。
2 障害者インターナショナル(DPI)は,1981年の国際障害者年を契機に設立され,身体障害にとどまらず知的障害や精神障害等様々な種類の障害のある人が活動する場となっている。
3 国際リハビリテーション協会(RI)は,1920年代に結成された世界物理医学会が母体となり発展した。
4 CBRとは,「地域に根ざしたリハビリテーション」のことで1970年代に北欧において開始され,現在では専門家が障害者宅に直接出向くアウトリーチ活動を行っている。
5 インクルージョン・インターナショナル(II)は,さまざまな障害をもつ子どもの統合教育を推進する国際団体で,国際連合が認めるNGO(非政府組織)である。


問題2 次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい

1 クライエント本人による自己決定が明らかに困難であると判断された場合、ソーシャルワーカーは、利用者の権利擁護の役割を担う。
2 秘密保持の原則は、クライエントの個人情報を他の専門家と共有することが有用と判断される場合等でも、個人情報の第三者との共有をいかなる場合にも禁止している。
3 個別化の原則とは、利用者を特定の人格を持つかけがえのない存在として接するべきであるという原則であり、利用者の基本的人権の尊重と生活状況などの特殊性、問題解決能力などの独自性などを重視し、援助にあたって利用者に最適の援助方法を実現しようとするものである。
4 知的障害者や認知症高齢者等は、自己決定が難しい場合もあるが、クライエントの自己決定能力の有無について、ソーシャルワーカーが一方的に決めつけてはならない。
5 統制された情緒関与とは、援助者が自己の感情をコントロールし、利用者の感情的側面に対して援助者の感受性を働かせることによって,感情の意味について理解し,意図的に反応することである。

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ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士現場報告等
2012年8月18日(土)14:30から16:00<一般公開>
会場:日本福祉教育専門学校高田校舎(旧高田馬場校舎)

日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科

社会福祉士及び介護福祉士法

*解答・解説:自立生活運動、国際リハビリテーション協会、障害者インターナショナル
 CBR地域リハビリテーション、バイステックの7原則等 は下記をクリック




*解答

問題1 答2

問題2 答2
2 誤り。秘密保持は援助者あるいは援助者集団の倫理的義務であると同時に,身につけていなければならない基本的態度である。
しかし、利用者の秘密を部外者と共有する必要のある場合は,利用者にその必要性を説明し,納得を得る。利用者の秘密保持に対する権利は絶対的なものではない。

<解説>
*自立生活運動 independent living movement
 1970年代に世界各地で同時発生的に起こった,障害当事者による障害者の権利獲得運動である。一般的にアメリカのカリフォルニア大学バークレー校が運動発祥の地として知られているが,例えば日本やイギリス等においてもほぼ同時期に同様の動きが開始されており,この運動はアメリカ発というよりも,アメリカで最も早く理論的に整理され,また,自立生活センターという組織的活動が開始されたと理解すべきである。日本における自立生活運動は,1970年代の青い芝の会の運動や施設から地域での生活をめざした公的介護保障運動等を基盤として,80年代にアメリカの影響を受け,86年のヒューマンケア協会設立を皮切りに,各地で自立生活センターが活動を始め,91年に全国自立生活センター協議会が発足した。
 自立生活運動でいう自立とは,「人の助けを借りて15分かかって衣服を着,仕事に出かけられる人間は,自分で服を着るのに2時間かかるために家に居るほかない人間より自立しているといえる」というものである。このような自立観は,経済的自立や身辺的自立が最優先されるリハビリテーション・モデルを転換させた。すなわち,障害者の社会参加のために各種の社会的支援が必要であり,その支援は障害を体験的に最もよく理解している障害者自身が担うべきであるという自立生活モデルが提唱されたのである。

*自立生活センター center for independent living ; CIL
 自立生活運動における代表的な組織で,障害者の権利擁護運動を担うと同時に,地域で生活する障害者に対して,生活の基盤となるサービスを提供するサービス提供組織としての側面をもつ。提供しているサービスには,ピア・カウンセリングや自立生活プログラムおよび情報提供といった障害者をエンパワーするための支援と,介助サービス等の地域での自立生活を支えるサービスがある。1991年に15団体で発足した全国自立生活センター協議会(2003年8月現在の加盟団体数は125)では,障害当事者主体を貫徹するために,同協議会の会員資格として,意思決定機関の責任者および実施機関の責任者が障害者であること,意思決定機関の構成員の過半数が障害者であることを課している。また,1995年に創設された国の施策である市町村障害者生活支援事業は,このような自立生活センターの活動を参考に事業化された。

*障害者インターナショナル Disabled Peoples' International ; DPI
 1980年にカナダのウィニペグで開催された国際リハビリテーション協会(リハビリテーション・インターナショナル)で,各国代表団の半数を障害者組織の代表にするという提案が否決されたことが発端となり,障害者自らが「われら自身の声」を発し,行動していくために,1981年にシンガポールで結成された障害当事者主体の国際NGOである。2001年3月現在,世界158カ国にDPIの国内組織がある。DPI日本会議は1986年に発足した。

*リハビリテーション・インターナショナル Rehabilitation International ; RI
 障害の予防,障害をもつ人のリハビリテーション,障害をもつ人や家族の機会均等化に携わる国および国際的な組織や機関で構成される連盟である。1922年にその前身がアメリカで結成され,現在90カ国の200の組織が加盟している。日本では,日本障害者リハビリテーション協会と日本障害者雇用促進協会が加盟している。2002年には,日本で第12回RIアジア太平洋会議が開催された。

*地域リハビリテーション(障害者) community-based rehabilitation ; CBR
 元来は,WHO(世界保健機関)によるプライマリ・ヘルスケアの一つとして提唱されたリハビリテーションで,「障害予防とリハビリの普及に関する考え方」で提示されたものである。その概念は,「地域におけるリハビリの発展,障害のあるすべての人々の機会均等や社会的統合を目指した戦略であり,障害者自身,その家族,そして地域住民,さらに個々の保健医療,教育,職業,社会サービスなどが一体となって努力する中で提供されるもの」と定義されている。また,障害のある人々が地域において暮らす権利,障害者一人一人が健康で快適な生活を楽しみ,職業や教育,社会,文化,経済等の面においても完全に参加する権利を促進するものでもある。
 わが国においては,「障害のある人々や高齢者が住み慣れた地域で,そこに住む人々とともに,生涯安全に生き生きとした生活が送れるよう,医療や保健,福祉および生活にかかわるあらゆる人々が行うすべての活動」を示す。具体的には,保健・医療・福祉分野から,地域在宅生活を支える訪問介護や訪問看護,通所介護,福祉用具や住宅改修などテクニカル・エイド・サービス,また入院・入所などの施設利用も含めたケアのための直接的援助,地域での支援に関係する組織や人材のネットワーク化,そして地域住民への,障害や高齢化についての理解と支援体制を図る介護教室やボランティア活動,健康づくりなどの教育・啓発活動の諸活動を同時一体的に実施することである。実際には,広島県公立みつぎ病院や,兵庫県や横浜市総合リハビリテーションセンターなどでは,行政との連携をシステム化し,多様な実践活動が展開されている。

*解説:バイステックの7原則
 ケースワークにおけるワーカーとクライエントの援助関係の最も重要な原則としてバイステック(Biestek, F. P.)が唱えたもので,①個別化,②意図的な感情表出,③統制された情緒的関与,④受容,⑤非審判的態度,⑥クライエントの自己決定,⑦秘密保持,の七つである。バイステックは,ワーカーとクライエントの良好な援助関係の形成がケースワーク実践のすべてに影響を与えるとして,それまで曖昧であった援助関係の概念を分析した。すなわち,援助関係をワーカーとクライエントの間に生まれる態度と感情による力動的な相互作用と捉え,この関係の目的はクライエントの適応の過程を支援することにあるとした。援助関係における相互作用を三つの方向に分類し,援助関係全体の構成要素として,クライエントの共通した基本的なニーズから七つの原則を見出した。クライエントは,①個人として対応してほしい,②感情を表現したい,③共感してほしい,④価値ある人間として受け止めてほしい,⑤一方的に非難されたくない,⑥自分の人生は自分で決めたい,⑦他人に秘密を知られたくない,というニーズをもっている。これらのニーズから導き出された原則はワーカーの行動原理ともいえる。
by yrx04167 | 2012-07-24 21:44 | Comments(0)