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社会福祉士・相談援助入門講座web 7 ソーシャル・インクルージョンとは 相談援助の理論と方法等予習資料

社会福祉士・相談援助web入門講座 第7回
<予習・参考資料>

*「相談援助の基盤と専門職」と「相談援助の理論と方法」などの予習・プレ学習として活用して下さい。
*続き
*ソーシャルワークとは
介護・ケアワークが身体的機能に主に焦点をあてるのに対し、ソーシャルワークは心理社会的問題に焦点をあてる。
 社会生活上の困難の要因が、人・パーソナリティに問題がある場合、環境に問題がある場合、その双方、相互作用に問題がある場合が挙げられる。

・ソーシャルワーカー・社会福祉士は、利用者の主体性を重視しながら,人と環境の相互作用に着目し,両者の適合、利用者のエンパワーメントと環境の改善を図っていくことを役割としている。
・つまり、ソーシャルワーカーとは、生活問題・心理社会的問題に対応する、トータルな生活支援を目指した社会福祉サービスを提供する専門職である。

*ソーシャルワークにはなぜ専門性が必要なのか
・具体的なソーシャルワーク実践とは、社会福祉学を基に、ケースワーク(個別援助技術)、グループワーク(集団援助技術)、コミュニティワーク(地域援助技術)等の、方法レパートリーを用いて、社会的に支援を必要とする利用者とその環境に働きかけることを指す
 これら方法レパートリーは、相互に関連しあうことで援助の有効性が高まる。それぞれのソーシャルワーカーがさまざまな場面でこれらの技術を相互に、あるいは連鎖的に用いることが必要とされる。
 これらの実践には、専門的な価値・知識・技術が求められる。

*ソーシャルワークの特性
①視点:利用者中心の視点
②焦点:人間と環境による固有な生活世界をとらえる生活概念、
③目的:社会参加、自己実現の支援
④手段:問題状況の改善・向上
⑤方法:科学的方法、利用者の問題解決能力の育成
<ソーシャルワークのフィードバック>
⑥運動:社会福祉サービスの改善 = フィードバック
⑦過程:ミクロからマクロへの循環
⑧特性:人間と環境への介入

*ソーシャルワークのレパートリー(相談援助・ケースワーク以外)
*グループワーク -集団援助技術-
 グループを活用した援助活動である。
 各種デイケア施設や社会復帰施設(授産施設等)で、社会生活の練習、生きがいづくり、レクリエーション、作業(福祉的就労)などを提供する。

<グループワーク・集団援助技術のポイント>
・集団援助技術とは、小集団を対象とし、グループ内での活動や経験を通じ、集団の持つ諸特性を活用して構成員個々の成長や発達を図るものである。
・最大の特徴は,生活問題を抱えるグループメンバーの課題解決を,利用者とワーカーとが参加し協働する小グループ活動場面の構成と過程の展開を通じて支援するところにある。

・集団援助技術では、ソーシャルワーク関係、メンバーの相互作用、プログラム、社会資源が援助の媒体となる。
・ソーシャルワーカーの機能とは、グループの相互作用や、プログラム活動により個々のメンバーの成長と望ましい社会的諸目標の達成に貢献することである。
 
・集団援助技術の展開プロセスとは、準備期→開始期→作業期→終結期となる。
 援助の一つのレパートリーとして、ケースワークと組み合わせることが多い。

*コミュニティワーク -地域援助技術-
  地域社会において,地域の福祉問題・ニーズの解決をめざす。地域社会における当事者の生活をネットワークを構築し、支援する役割もある。

地域援助技術において、問題に取り組み解決する主体は、住民でありその組織・団体などである。
 地域援助技術は、地域の福祉問題の解決に住民自身が主体的に取り組むことができるように側面から援助していく機能がある。
 さまざまな状況を考え、住民の問題解決能力などその主体性を強めるために、コミュニティワーカーとしての専門的知識・方法・技術などを提供するのである。
 ソーシャルワーカーは、近隣集団、あるいは住民のニーズを住民自ら明確化できるように援助し、ニーズを充足するための計画が可能になるよう集団を組織化していくことが求められる。

*協働活動の原則
・地域援助技術では、住民組織や関係機関・団体・施設が互いの個性や役割を尊重し合い、役割を分担して一緒に行動する。
 多様化・高度化する地域の福祉ニーズに応えるためには、地域に存在するさまざまな異なった種類の社会福祉施設・機関が互いに連携・協働し、各種福祉サービス間の連絡調整が行われて、より高度で実効性のある社会福祉援助が行われることが必要である。

*他、社会福祉施設運営管理,社会福祉調査等のメソッドがある。また、権利擁護等の役割を担う。

<相談援助・ソーシャルワークの今日的なテーマ=ソーシャル・インクルージョン>
 ソーシャル・インクルージョンは、2000年12月,厚生省社会・援護局による「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」の報告書において,新たな福祉課題への対応の理念として位置づけられた。
 社会福祉制度の網の目からもれ,社会的排除・摩擦や社会的孤立という状況にある人々を,社会的つながりを構築することによって社会の構成員として包み支えあうこと,という意味で使われる。社会で暮らす人々を孤立や孤独、排除から援護し、社会の一員として包み支えあうという理念である。今後,社会の構成員としての権利と義務とは何かを問うこととともに,それを具現化するために,「つながり」に内在する利害関係や権力関係を明らかにしたうえで連帯や協働を考えることが課題となる。

<参考>
*「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書より
(平成12年12月8日  厚生省社会・援護局)
・基本的な考え方
 社会福祉も「貧困からの脱出」という社会目標に向け、一定の貢献をしてきたことは評価されてしかるべきであろう。しかしながら、その後の都市化と核家族化の進展や、産業化、国際化の中で人々の「つながり」が弱くなってきたことも否定できない。
 社会福祉に関わる諸制度も、このような社会の変化の中で、逐次、整備が図られてきた。
 貧しい社会における貧困者の救済を中心とした選別的な社会福祉から、豊かな社会の中における国民生活の下支えとしての社会福祉へ、少子・高齢社会において安心できる社会福祉へと普遍化が図られてきた。
 一方、近年、社会福祉の制度が充実してきたにもかかわらず、社会や社会福祉の手が社会的援護を要する人々に届いていない事例が散見されるようになっている。
 社会福祉は、その国に住む人々の社会連帯によって支えられるものであるが、現代社会においては、その社会における人々の「つながり」が社会福祉によって作り出されるということも認識する必要がある。(中略)  
 人々の「つながり」の構築を通じて偏見・差別を克服するなど人間の関係性を重視するところに、社会福祉の役割があるものと考える。
 なお、この場合における「つながり」は共生を示唆し、多様性を認め合うことを前提としていることに注意する必要がある。(中略)
 イギリスやフランスでも、「ソーシャル・インクルージョン」が一つの政策目標とされるに至っているが、これらは「つながり」の再構築に向けての歩みと理解することも可能であろう。
 諸外国におけるこのような試みに鑑みると、「社会的援護を必要とする人々に社会福祉の手が届いていない」事例は、それがたとえ小さな事例であったとしても、その集積と総合化の中から「つながり」の再構築への道筋が浮かび上がってくるものと思う。
 本検討会ではこのような考え方から、制度論からではなく、実態論からのアプローチを行った。すなわち、いくつかの現在生起している課題の実態を踏まえ、個別具体的な解決の方法を考え、それらを総合化していくという検討方法である。

・対象となる問題とその構造
 従来の社会福祉は主たる対象を「貧困」としてきたが、現代においては、
・「心身の障害・不安」(社会的ストレス問題、アルコール依存、等)
・「社会的排除や摩擦」(路上死、中国残留孤児、外国人の排除や摩擦、等)
・「社会的孤立や孤独」(孤独死、自殺、家庭内の虐待・暴力、等)
といった問題が重複・複合化しており、こうした新しい座標軸をあわせて検討する必要がある。
 このうち、社会による排除・孤立の現象は、いわば今日の社会の支え合う力の欠如や対立・摩擦、無関心といったものを示唆している。

小児がん 新たなリスク NHK クローズアップ現代  2011年1月31日(月)放送
 子どもが亡くなる病気で最も多い小児がん。かつては不治の病とされていたが、医学の進歩によって、長期に生存できる子どもも増えている。しかし、命を取りとめても、抗がん剤や放射線に治療によって、成長後に「晩期合併症」と呼ばれる重い後遺症や障害を発症する実態が明らかになってきた。推計10万人といわれる小児がん経験者。厚生労働省が行った初の調査で、およそ半数が晩期合併症に苦しんでいる事が分かった。しかし、日本には、そうした患者を、医療的にフォローしていく態勢はない。番組では、晩期合併症と闘ったある患者の生涯を辿りながら、小児がんの新たなリスクにどう向き合うか考えていく。

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*社会福祉士とは
  「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、相談援助、運営管理等、ソーシャルワークに携わる専門職の国家資格です。
 各種の相談機関、福祉行政機関、福祉施設・団体、医療機関などにおいて,専門的知識と技術をもって,福祉サービス利用者の相談援助や,グループワーク、施設の運営管理、地域福祉活動等を行なう社会福祉専門職です。
 社会福祉士は、子ども、コミュニティ、障害者、貧困、女性、高齢者、更生保護等、多岐にわたる領域で、相談援助等の実務を担っています。
社会福祉士及び介護福祉士法


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です


<進路検討中の皆様等にお知らせ>
社会福祉士の仕事の実際 説明会&相談会 社会福祉士養成学科・養成科
2/13(水)18時から19時半 参加無料
日本福祉教育専門学校高田校舎 JR山手線・東京メトロ東西線 高田馬場駅徒歩7分

 相談援助の専門職である社会福祉士は、児童や障害者、高齢者等の福祉機関・施設、医療機関で働き、虐待や貧困などの問題にも取り組んでいます。社会福祉士の仕事の実際、就職について、当ブログ筆者(日本福祉教育専門学校 専任講師、社会福祉士)が解説します。
*お問い合わせ:日本福祉教育専門学校 電話 0120-166-255


<社会福祉士養成学科・養成科の入学前講義 入学予定・検討中の皆様へ>
認知症高齢者問題の現状と課題 社会福祉士入門講座

2/21(木)19時から21時 日本福祉教育専門学校高田校舎
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by yrx04167 | 2013-02-11 18:12 | Comments(0)