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社会福祉士・相談援助入門講座web19 高次脳機能障害、障害受容、発達障害者とは 相談援助の理論と方法等

社会福祉士・相談援助web入門講座 第19回
<予習・参考資料>

*「相談援助の基盤と専門職」と「相談援助の理論と方法」などの予習・プレ学習として活用して下さい。
<障害者(障がい者)福祉の概要・後編>
1 障害の例 高次脳機能障害
 一般に、外傷性脳損傷、脳血管障害等により脳に損傷を受け、その後遺症等として生じた記憶障害、注意障害、社会的行動障害などの認知障害等を指す=高次脳機能障害 であり、具体的には、「会話がうまくかみ合わない」、「段取りをつけて物事を行うことができない」等の症状があげられる。これにより、日常生活や社会復帰に困難を来す「高次脳機能障害者」が少なくない。
 これらは、日常生活において大きな支障をもたらす場合があるが、一見してその症状を認識することが困難であることなどから、国民や関係者の間に十分な理解が得られている状況にはない。

*認知障害の傾向
・注意障害:ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。ふたつのことを同時にしようとすると混乱する。

・遂行機能障害:自分で計画を立ててものごとを実行することができない。人に指示してもらわないと何もできない。いきあたりばったりの行動をする。

・社会的行動障害:以下のようなものを指して社会的行動障害という。
1  依存性・退行:すぐに他人を頼るようなそぶりを示したり、子供っぽくなったりすること。
2  欲求コントロール低下:我慢ができなくて、何でも無制限に欲しがること。好きなものを食べたり、飲んだりすることばかりでなく、お金を無制限に遣ってしまうことにもみられる。
3  感情コントロール低下:場違いの場面で怒ったり、笑ったりすること。ひどい場合には、大した理由もなく、突然感情を爆発させて暴れることもある。
4  対人技能拙劣:相手の立場や気持ちを思いやることができなくなり、良い人間関係をつくることが難しいこと。
5  固執性:一つのものごとにこだわって、容易に変えられないこと。いつまでも同じことを続けることもある。
6  意欲・発動性の低下:自分では何もしようとはしないで、他人に言われないと物事ができないようなボーとした状態。
7  抑うつ:ゆううつな状態が続いて、何もできないでいること。良く尋ねれば、何をするかは分かっている。

*高次脳機能障害者の支
 高次脳機能障害者の支援については、厚生労働省の「高次脳機能障害支援普及事業」により、病院などの支援拠点機関に相談支援コーディネーター(社会福祉士、保健師、作業療法士等)を配置し、専門的な相談支援、関係機関との連携や調整を行うなど、地域での高次脳機能障害者支援の普及を図っている。
 また、国立障害者リハビリテーションセンターでは、高次脳機能障害支援普及全国連絡協議会の開催や、支援拠点機関などの職員の研修会などを実施するとともに、高次脳機能障害情報・支援センターを設置して、高次脳機能障害に関する情報を集約しホームページで発信している。

・高次脳機能障害者に対して、家族や周囲のインフォーマルサポートを含めつつ,医療・保健・福祉従事者,学校や職場関係者等の、障害の特性を理解した適切な対応が求められる。

2 中途障害者の障害受容の過
*中途障害者=疾病や事故による受傷、後遺症により人生の途中で障害を負った人
・障害受容の過程は、ショック期、回復への期待の時期、混乱と苦悩の時期、適応への努力の時期、適応期に分かれる。(諸説あり)

 障害受容の過程は、適応に向かって一段階ずつ前進するのではなく、一進一退しつつ移行する。
①ショック期
今まで不自由なく動いてきた体が突然の事故・病気により動かなくなりショックと混乱に陥る。
 医師の診断を疑うなど、現実を逃避した行動も見られる。

②回復への期待と障害の受容
 障害を徐々に受け入れながらも回復への期待を膨らませ、リハビリ・訓練に励む。

③自己の再構築
 様々な苦難に遭いながらも障害を克服しようと努力し、自分の将来に向けて自問自答しながら『機能回復』よりも『どうすれば自分の残された機能を活かせるか』に重点 を置き、前向きに社会進出を行い、社会人として適応していく。

・障害受容には,当事者の価値観や人生観なども影響するので,必ずしも一定の過程を辿るものでもなく、障害の程度とは一致しない。
 当事者相互の支援活動であるピアカウンセリングや、当事者の集まりである自助グループも有効である。
 当事者の家族同士の交流も有効である。
 
*発達障害者の支援
・高機能自閉症とは,自閉症のうち知的障害を伴わない状態を言う。
・注意欠陥・多動障害(AD/HD)の子どもは,中度・重度の知的障害や自閉症が認められないにもかかわらず,「不注意」,「多動性」,「衝動性」などによって日常生活に困難を伴う。

 発達障害については、2004(平成16)年12月に「発達障害者支援法」が成立し、発達障害の法的位置づけが確立され、発達障害の早期発見や発達障害者の生活全般にわたる支援をすることとされた。
 また、障害者自立支援法等改正法により、発達障害者が障害者自立支援法・児童福祉法のサービスの対象であることが明確化された。

* 「発達障害」の法的位置づけ
・広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー等)
・学習障害
・注意欠陥・多動性障害
 その他これらに類する脳機能の障害で、その症状が通常低年齢で発現するもの(発達障害者支援法第2条)
 ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)におけるF80-98に含まれる障害(2005(平成17)年4月1日付け文部科学事務次官、厚生労働事務次官連名通知)

(1)発達障害者に対する地域支援体制
 地域において、医療・保健・福祉・教育・雇用などの関係者と連携して、発達障害者やその家族に対する相談支援などを行う「発達障害者支援センター」の整備を推進し、2011(平成23)年度末において47都道府県・18指定都市で実施されているところである。
 これに加え、「発達障害者支援体制整備事業」により、
・乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援を行うための保健所、保育所などの支援関係機関のネットワークの構築
・発達障害に係る理解を深めるとともに地域における支援につなげていくためのアセスメントツール(発達障害を早期に発見し、その後の経過を評価するための確認票)の導入を促進する研修会の実施
・発達障害者の子育て経験のある親であって、その経験を活かし、子どもが発達障害の診断を受けて間もない親などに対して相談や助言を行うペアレントメンターの活動とその活動をコーディネートする者の配置を推進している。

(2)発達障害者への支援手法の開発・早期支援や普及啓発の実施
 発達障害者一人一人のニーズに対応する一貫した支援を行うことができるよう、先駆的な取組みを通じて有効な支援手法を開発・確立するとともに、発達障害者支援に携わる専門的な人材を育成している。
 また、発達障害などに関して知識を有する専門員が保育所等を巡回し、施設の職員や親に対し、障害の早期発見・早期対応のための助言などの支援を行う「巡回支援専門員整備事業」について、実施市町村の拡大を図ることとしている。
 2007(平成19)年12月に、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とする決議が国連で採択されたことを受け、厚生労働省・日本自閉症協会の主催により都内でシンポジウムを開催するなど、自閉症をはじめとする発達障害に関する正しい知識の浸透を図っている。全国各地においても、「世界自閉症啓発デー」や4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」(関係団体等が提唱)において、様々な啓発活動が実施されている。

<当ブログ関連記事バックナンバー>
日刊 社会福祉ニュース 大人のADHDとアスペルガー症候群と就職、ニート支援・雇用、高齢ニート : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


*精神保健医療福祉の現状と課題について
 精神疾患については、その患者数が近年急増しており、2008(平成20)年には320万人を超える水準となった。
 治療薬の発展などにより新規患者の入院期間は短期傾向にあり、1年以内に退院する新規入院患者が約9割となった一方で、精神障害による入院患者(約33万人)のうち、1年以上の長期入院者が3分の2(約22万人)を占める状況となっており、精神病床は、昭和30年代以来、長期療養を前提とした少ない人員体制(一般病床に比べ、医師は3分の1、看護職員は4分の3)となっていることから、入院期間をより短くしていくことが重要であるが、そのためには、精神病床の機能分化を進めるとともに、入院中心から外来・訪問など地域生活を支えるための医療の充実が必要である。
 また、精神障害者の入院には、任意入院、措置入院、医療保護入院が主な形態となっている。このうち、自らが病気であるという認識を持たない患者などを対象にする現行の医療保護入院は、保護者の同意がなければ退院できないため入院が長期化しやすく、また、患者本人の意思に反する場合もあるため、本人と保護者との間にあつれきが生まれやすいといった問題があり、特に精神障害当事者やその家族から長く見直しが求められている。

<国家試験受験対策 重要ワード 障害者に対する支援と障害者自立支援 精神保健福祉士共通科目>
知的障害者の権利宣言1971年
 「知的障害者は可能な限り,他の人と同等な権利を有する」
1948年、世界人権宣言「すべて人間は生まれながらにして自由であり,尊厳と権利において平等である」
障害者権利宣言 75年国際連合総会「障害者の権利に関する決議」
1981年、国際障害者年「完全参加と平等」
障害者に関する世界行動計画
1983年から92年「国連・障害者の十年」
1993年から2002年「アジア太平洋障害者の十年」

障害者権利条約「障害者の権利に関する条約」2006年の国連総会で採択。2008年発効。
障害者差別解消法「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
 合理的配慮の不提供の禁止
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(基本方針)
障害者差別解消支援地域協議会

ピアカウンセリング

注意欠陥・多動性障害ADHD

『この子らを世の光に―近江学園二十年の願い―』糸賀一雄


*続く

<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


<予習のために 下記をクリック>
平成24年版厚生労働白書 -社会保障を考える- (本文)|厚生労働省

平成24年版厚生労働白書 資料編|厚生労働省


<社会福祉士web入門講座バックナンバー>
社会福祉士・相談援助web予習講座1 社会福祉士とは 相談援助の基盤と専門職、相談援助の理論と方法等 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

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*社会福祉士とは
  「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、相談援助、運営管理等、ソーシャルワークに携わる専門職の国家資格です。
 各種の相談機関、福祉行政機関、福祉施設・団体、医療機関などにおいて,専門的知識と技術をもって,福祉サービス利用者の相談援助や,グループワーク、施設の運営管理、地域福祉活動等を行なう社会福祉専門職です。
 社会福祉士は、子ども、コミュニティ、障害者、貧困、女性、高齢者、更生保護等、多岐にわたる領域で、相談援助等の実務を担っています。
社会福祉士及び介護福祉士法

日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

日本福祉教育専門学校の夜間通学部

<入学予定・検討中の皆様へ―社会福祉士養成学科・養成科の入学前講義>
私はこうして国家試験に合格した! 社会福祉士入門講座
3/21(木)19時から21時 日本福祉教育専門学校高田校舎
 JR山手線・東京メトロ東西線 高田馬場駅歩7分

入学前講義最終回は、在校生の合格体験報告会です。

・社会福祉士を目指す方を対象としたプレスクール・入学前講義です。これから本校の受験を検討されている方、すでに本校に合格された方が対象です。参加無料。

社会福祉士入門講座 日本の社会保障制度・何が問題か 日本福祉教育専門学校
3/7(木)19:00から21:00 参加無料
日本福祉教育専門学校高田校舎 ※校舎が2つありますので、ご注意ください。
 社会福祉士を目指す方を対象としたプレスクールです。実際の授業を受講できる入学前教育です。
これから本校の受験を検討されている方、すでに本校に合格された方が対象です。
<お問い合わせ先> 
 学校法人敬心学園 日本福祉教育専門学校
 電話:0120-166-255


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by yrx04167 | 2013-03-04 17:19 | Comments(0)