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相談援助の基盤専門職 後期1回講義レジュメ1 ソーシャルワーク倫理的ジレンマ事例、リアリティショックとは

相談援助の基盤と専門職 後期第1回講義 レジュメ概要1 2013/09/20,25
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科(昼間部1年制)にて当ブログ筆者(本校専任講師)が講義
*はじめに

・相談援助実習と、価値・倫理の必要性-「リアリティ・ショック」と、実践の指針としての価値・倫理
・リアリティ・ショックとは、理想と現実のギャップとも言えよう。対人援助領域の実習、新人の実践で語られることが多い傾向にある。
 高い期待と実際の職務での失望させるような経験との衝突である。専門職のモチベーション等に影響を与える。

*事例:怪我をした利用者の家族と老人保健施設の職員

3節 ソーシャルワーク実践における倫理的ジレンマ
1 倫理的ジレンマの内容 テキストP132

・倫理的ジレンマとは、相反する複数の倫理的根拠が存在し、何れも重要と考えられる場合、専門職として葛藤し、方針の決定が困難となることである。
・ソーシャルワーカーはクライエント、所属組織、行政、専門性、社会のそれぞれ、または全てに対し義務を負っている。
・義務と価値が対立する場合、どれを優先するのかのジレンマが生じる。
 全てが尊重すべき価値であり、果たすべき義務でもある。

<補足>
・実践のジレンマが全て倫理的なものではない。多様な要素が含まれることもある。
 ジレンマが、制度的な問題であるのか。
 組織的な制約が要因になっているのか。
 ⇒解決の手法が異なる。

*守秘義務と第三者の利益を守る義務
・事例:虐待の「加害」側と、ピアカウンセリングの「ルール」。
 事例:HIVの当事者とパートナー


・守秘義務は、専門職の明確な義務であるが、状況によりジレンマの要因となる。
・クライエントが第三者を害する可能性に関する情報等は、守秘義務と第三者の権利や利益を守る義務が対立する。
・第三者への影響の度合いや、情報の信憑性などを考慮して対処するべきである。

・社会福祉士及び介護福祉士法 抜粋
(秘密保持義務)
第四十六条  社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。

*守秘義務と社会に対する義務
・事例:問題行動を秘密にしてほしいと懇願し、支援の拒否等をほのめかす少年。

・情報の内容により、守秘義務と社会に対する義務が対立する場合がある。
 守秘義務と、市民としての義務、所属組織等への報告義務が対立する。 
 複数の義務の優先度と、その実行の方法等のジレンマが生じる。

*自己決定とクライエントの保護義務
・犯罪被害により危機的状況であるのに、治療・サービスの拒否を自己決定するホームレス。

・クライエントの自己決定が、本人に不利益、脅威を与えると予想される場合。
・危機・脅威の内容や程度の検討、クライエントの判断能力の確認、情報の有無、真の自己決定であるのかを検討する必要がある。第三者の権利・利益の侵害の可能性も確認する。

*クライエントに対する義務と所属組織に対する義務
 テキスト事例:組織・同僚を守るため、施設の利用率向上のためのジレンマ等。

・特に、社会福祉以外の価値に基づく組織ではこれらの差異が生じる可能性が比較的高い。
・一時しのぎの対応ではなく、日頃から所属組織の価値・方針の改善を図る。

*同僚に対する義務と専門性への義務
・テキスト事例:同じ専門職である同僚の、倫理違反行為を知った場合の対応。

・専門性とのジレンマは、情報の信頼性が低いほど、倫理違反の同僚が否定するほど、ジレンマは深まる。

<参考資料>
*妊娠中絶 abortion
 略 詳細は講義にて。 

*プロライフ/プロチョイス prolife / pro-choice
 略 詳細は講義にて。
 
<当ブログ関連記事バックナンバー>
相談援助の基盤と専門職 前期第14回講義レジュメ1 倫理綱領、社会正義、プライバシー尊重、人間の尊厳とは : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

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その他の科目 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

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社会福祉士養成学科「貧困問題と相談援助」報告 日本福祉教育専門学校
 

*当ブログ筆者が試験問題の解説を執筆
2014社会福祉士国家試験過去問解説集 第23回―第25回全問完全解説 中央法規出版


*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です。日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255

<お知らせ>
<お知らせ>
社会福祉士の仕事の実際<医療ソーシャルワーカー編>説明会 社会福祉士養成学科・養成科 
10/10(木)18:00から19:30 参加無料
会場:日本福祉教育専門学校 高田校舎

 当ブログ筆者(社会福祉士養成学科専任講師、社会福祉士)が、当学科卒業生の多くが活躍する、医療機関で働く医療ソーシャルワーカーの分野について、仕事の実際をご説明します。

by yrx04167 | 2013-09-20 12:55 | Comments(0)