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社会福祉士の相談援助 入門講座1 社会福祉士、働く分野、ソーシャルワークとは 相談援助の基盤と専門職

社会福祉士の相談援助 予習講座1
<web予習・参考資料>


1.社会福祉士の資格と仕事の概要
<要約>
 相談援助(ケースワーク)が、社会福祉士(ソーシャルワーカー)の実践の中心である。
 加えて、グループワーク等の社会福祉援助技術=ソーシャルワークを用いて、個人、家族、グループ、コミュニティ等を支援する。
 多様な困難を抱え、生きづらさを抱えながら生活している人々からの相談を受け、支援するソーシャルワーク専門職(ソーシャルワーカー)の国家資格が社会福祉士 である。

 社会福祉士の相談内容の主要なものは、生活問題(貧困・生活困窮、退院・退所後の地域生活、孤立等)、家族問題(虐待・暴力、家族介護 等)、就労支援、福祉制度・サービスの利用、これらに関わる内面の問題(アルコール依存症、引きこもり等)である。

・社会福祉士は、昭和62年5月に制定された 「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、相談援助等の社会福祉業務に携わる、専門職の国家資格である。

■「社会福祉士及び介護福祉士法」第2条より
 「この法律において「社会福祉士」とは、第28条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第47条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第7条及び第47条の2において「相談援助」という。)を業とする者をいう。」
社会福祉士及び介護福祉士法

2.社会福祉士の働く領域
■社会福祉士の働く領域
児童・家庭・子育て支援、医療福祉、教育、地域福祉、障害者、貧困と生活保護、高齢者、・ひとり親世帯、女性、等の多様な領域の、社会福祉行政、相談機関、福祉施設、福祉団体・NPOなど、もしくは医療機関(医療ソーシャルワーク)、学校(スクールソーシャルワーク)にて、ソーシャルワークを担う専門職が、社会福祉士である。
 また、起業し独立した社会福祉士として、成年後見や相談援助を業務とする社会福祉士も現れている。

*社会福祉士は、相談援助を含むソーシャルワークを用いて、次のような領域において、実践を行なっている(卒業生の就職傾向も踏まえて)。
<具体的な社会福祉士の働く領域>
*医療福祉・医療ソーシャルワーク
・医療機関における医療ソーシャルワーカーの相談援助、退院援助、療養の援助等。

*児童・家庭福祉
・子ども家庭支援、子育支援領域における相談援助、家庭訪問等。
・児童相談所における児童虐待や「子どもの貧困」、非行問題の相談、一助保護、児童養護施設への入所措置、里親委託等。
・児童養護施設における自立支援、「貧困の世代間連鎖」の緩和。
・母子生活支援施設におけるシングル・マザーと子どもの相談援助、ドメスティック・バイオレンスDVからの保護、生活支援、自立支援。

*地域福祉
・社会福祉協議会の生活福祉資金の貸付、コミュニティ・ワーク、NPOやボランティアの支援。
・福祉NPO等による相談援助事業、巡回相談、自立支援プログラム、宿泊所の運営。

*障害者福祉
・身体・知的障害者等福祉施設における地域生活支援、自立・就労支援。

*高齢者福祉
・地域包括支援センターにおける総合相談、高齢者虐待への対応、介護予防。

*貧困・低所得者支援
・福祉事務所における生活保護の実務、公的扶助ケースワーク、自立支援。
・生活保護施設、ホームレス自立支援施設における相談援助、自立支援、生活支援。

*スクール・ソーシャルワーカー
 不登校、家族問題、子どもの貧困への対応

 その他、開業社会福祉士・成年後見等。

3.社会福祉士の役割
<社会福祉とは何か>
社会福祉は、例えば、子ども、高齢者、障害者等で、生活上なんらかの支援を必要とする人や、貧困・生活困窮者などに対し、生存権の保障、社会生活上の困難の解決や、地域での生活を支援し、QOL(生活の質)を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供すること、あるいはそのための制度や設備を整備することを指す。

*「社会福祉」とは、社会福祉制度(例:生活保護制度や介護保険制度等)とソーシャルワークから構成される。

<ソーシャルワークとは何か>
 ソーシャルワークとは,個人のもつ生活問題への相談援助,家族やグループ,地域住民への支援,さらに、福祉施設・機関の運営管理、地方自治体の福祉サービスの運営や、福祉関連政策の管理・運営などを実践の領域としている。
 これらの実践の基盤は,幅広い人間の問題と社会問題に対処する、多様な専門知識、支援技術、専門職としての価値・倫理にある。

■ソーシャルワークのレパートリー
①ケースワーク -相談援助・個別援助技術-
・クライエントの内面(心理的な問題)を、面接によって支持する。
・多様な生活問題(例:経済的困窮、社会参加)の相談と、社会福祉関連の制度・サービスの利用支援、コーディネート、権利擁護(アドボカシー)を実施する。
・家族問題などの相談と、人間関係の調整を行なう。

②グループワーク -集団援助技術-
・高齢者や障害者のデイケア、通所福祉施設、社会復帰施設などにおける、グループを活用した援助活動である。
・自立生活のトレーニング、生きがいづくり、レクリエーションなどのプログラムを企画し、実施する。

③コミュニティワーク -地域援助技術・地域福祉活動-
・地域社会において,地域の福祉問題・ニーズの解決をめざす。
・地域で暮らす当事者を、ソーシャル・サポート・ネットワークの構築や、小地域福祉システム等により支援する。

*他、福祉機関・施設等の運営・管理(アドミニストレーション),社会福祉調査等のメソッドがある。また、権利擁護等の役割を担う。
 
<社会福祉士養成カリキュラム>
*社会福祉士は2009年4月より、新しい養成カリキュラムのもとに教育がスタートしました。
 社会福祉士国家試験については、第22回試験(2010年1月)より、新カリキュラムに基づく国家試験が実施されます。
<新試験科目>
人体の構造と機能及び疾病
心理学理論と心理的支援
社会理論と社会システム
現代社会と福祉
社会調査の基礎
相談援助の基盤と専門職
相談援助の理論と方法
地域福祉の理論と方法
福祉行財政と福祉計画
福祉サービスの組織と経営
社会保障
高齢者に対する支援と介護保険制度
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
低所得者に対する支援と生活保護制度
保健医療サービス
就労支援サービス
権利擁護と成年後見制度
更生保護制度

<参考資料>
社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年五月二十六日法律第三十号

<抜粋>
(目的)
第一条  この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(略)
第四章 社会福祉士及び介護福祉士の義務等
(誠実義務)
第四十四条の二  社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立つて、誠実にその業務を行わなければならない。

(信用失墜行為の禁止)
第四十五条  社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉士又は介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

(秘密保持義務)
第四十六条  社会福祉士又は介護福祉士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士又は介護福祉士でなくなつた後においても、同様とする。

(連携)
第四十七条  社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービス(次項において「福祉サービス等」という。)が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
2  介護福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、認知症(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第八条第十六項 に規定する認知症をいう。)であること等の心身の状況その他の状況に応じて、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

(資質向上の責務)
第四十七条の二  社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

*社会福祉士の倫理綱領 前
 われわれ社会福祉士は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。
われわれは、社会の進展に伴う社会変動が、ともすれば環境破壊及び人間疎外をもたらすことに着目する時、この専門職がこれからの福祉社会にとって不可欠の制度であることを自覚するとともに、専門職社会福祉士の職責についての一般社会及び市民の理解を深め、その啓発に努める。

倫理綱領 「価値と原則」(抜粋)
1 人間の尊厳
  社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。
2 社会正義
  差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現を目指す。
3 貢献
  社会福祉士は、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。

(誠 実) 社会福祉士は、本倫理綱領に対して常に誠実である。
(専門的力量)  社会福祉士は、専門的力量を発揮し、その専門性を高める。

<予習のために 下記をクリック>
平成25年版厚生労働白書 -若者の意識を探る- (本文)|厚生労働省

平成25年版厚生労働白書 資料編|厚生労働省


広がるか 認知症 “本人が決めるケア” - NHK クローズアップ現代 2009年2月17日(火)放送
引用「増加する認知症の人に対し、今世界中で「パーソン・センタード・ケア(本人中心ケア)」が注目を集めている。本人の意志を最優先して医療や介護を進めるケア方法である。背景にあるのは、認知症の早期診断技術の向上。年若く、意識や体力が十分に残っている段階で認知症と診断される人が増えたことで、「何も分からない、心が失われる」とされてきた認知症の“常識”が変わったのだ。先進地オーストラリアでは、認知症の本人が症状の詳しい説明を受け、できる範囲で治療や介護方針の決定にも参加できる体制が整いつつある。日常的なケアも、本人の話をじっくり聞くことから始まり、カウンセリングや介護の専門家がサポートする。日本とオーストラリアの現場から、認知症ケアの新潮流の行方をさぐる」。

幼い命を守れ   NHK クローズアップ現代 2013年5月28日(火)放送
引用「小児医療の進歩でより多くの命が救われるようになる一方で、治療を行うNICUや小児病床はパンク状態。安全に出産できる体制を確保し、その後の成長につなげるためには、ある程度回復した子どもを退院させて自宅でケアする必要がある。しかし、その体制の整備は必ずしも進んでいない。親が24時間ケアに追われ、働けなくなったり、精神的に追い込まれたりするケースも多発している。そこでいま注目されているのが、医療と福祉のエキスパートが連携して行う、訪問サービスやデイサービスだ。家族にゆとりが生まれるばかりか、デイサービスのケアや自宅で家族と触れ合う時間が増えた結果、子どもの体調が改善するケースも出てきている」。

日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です



<お知らせ:進路検討中の皆様へ>
社会福祉士の仕事・医療ソーシャルワーカーの実際 説明会・相談会
2/26(水)18時から19時半 参加無料
会場:日本福祉教育専門学校 高田校舎

 社会福祉士養成学科卒業生の多くが活躍中の医療ソーシャルワーカー。病院の相談室で相談援助を行う社会福祉士=医療ソーシャルワーカーの仕事内容、やりがい等の実際を当ブログ筆者(社会福祉士、本校専任講師)が解説します。個別相談も行います。
 社会福祉士=相談援助の専門職の資格と仕事等に関心をお持ちの皆様、お気軽にご参加ください!!

*お問い合わせ先 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255
by yrx04167 | 2014-02-17 12:48 | Comments(0)