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社会福祉士 相談援助講座第17回 教育扶助、住宅扶助、生活保護窓口とは 子どもの貧困と栄養、家庭環境調査

社会福祉士 相談援助入門講座 第17回
<4月から社会福祉士を目指す方などを対象としたweb予習・参考資料。プレ学習として活用して下さい。 詳細は4月からの講義にて解説>

社会福祉 各領域の概要・生活保護・公的扶助(1)
<低所得者に対する支援と生活保護制度の概要>
*保護の種類と内容及び方法
*「生活保護」には、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類の扶助がある。
 貧困・低所得者に対する支援施策の要である。

◆生活扶助 

◎衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの等を,原則として居宅で金銭給付する。
 生活扶助は、個人単位の費用である第1類の経費(飲食費・被服費等)と世帯単位の費用である第2類の経費(光熱費・家具什器等の世帯共通費用)、各種加算、及び一時扶助と勤労控除を中心に構成されており、原則として金銭給付により一か月分を世帯主又はこれに準ずる者に対して交付される。 
 第1類の経費;飲食費、衣服費(世帯の中で個人が消費する生活費)
 第2類の経費;電気・ガス・水道等の料金、家具や生活用品(世帯が消費する)

*被保護者が入院・入所している場合には,入院患者日用品費,介護施設に入所している場合には介護施設入所者基本生活費が生活扶助として行われる。

■用語解説:生活扶助基準
 生活扶助基準は,現在では水準均衡方式で算定しており,厚生労働大臣が毎年改定を行っている。当該年度と前年度までに想定される一般国民の消費動向(政府の民間最終消費支出)をもとに,一般世帯との均衡状態を保つための調整を行い,これをもとに生活扶助基準の改定率を決めようとする方式である。

■用語解説:勤労控除
 生活保護で収入の認定を行うに際し,勤労に伴う必要経費として,勤労収入から一定額を控除すること。生活保護法4条が定める「保護の補足性」の原則の例外をなしている。これには,勤労に要する経費を補填するとともに,受給者の勤労意欲を増進することにより経済的自立を促進する。

◆教育扶助
 「教育扶助」の対象となるのは、義務教育の就学に必要な費用で、金銭給付され、通常は生活扶助と併せて支給される。(第13条)
①教科書等の学用品,②通学用品,③学校給食等の費用の不足分を,原則として金銭給付する。ただし,義務教育段階までが対象である。

◆住宅扶助
 「住宅扶助」の対象となるのは、住宅の確保及び住宅の維持のために必要な費用で、具体的には家賃・修繕費であり、原則金銭給付で生活扶助と併せて支給される。(第14条)
①家賃・地代,②家屋補修等(新築は不可)に必要な費用の不足分を,地域別の基準の範囲で,原則として金銭給付する。宿所提供施設の利用・委託のかたちで現物給付することも認められる。

◆医療扶助 
 「医療扶助」の範囲は、診察、薬剤又は治療材料、医学的処置・手術及びその他の治療並びに施術、居宅における治療上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その看護、移送、と規定されている。(第15条)医療費のみ不足する者には単給されることもある。近年では,高齢化に伴って被保護人員の約8割が受給している。
*医療扶助の根拠・生活保護法第15条
第15条 医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
 1.診察
 2.薬剤又は治療材料
 3.医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
 4.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
 5.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
 6.移送

◆介護扶助
・2000年度から実施された介護保険法に対応して,生活保護法15条の2で新設された扶助である。生活困窮の要介護者・要支援者に対し,居宅介護,福祉用具,住宅改修,施設介護,移送などを行うサービスである。ただし,生活保護法4条の「保護の補足性」により,介護保険の保険給付が行われる場合には,当該保険給付が優先し,自己負担部分が保護費の支給対象となる。 介護扶助は原則として現物給付である。(生活保護法第15条2) 
*第15条の2 介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者(介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第3項に規定する要介護者をいう。第3項において同じ。)に対して、第1号から第4号まで及び第8号に掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要支援者(同条第4項に規定する要支援者をいう。第6項において同じ。)に対して、第5号から第8号までに掲げる事項の範囲内において行われる。
 1.居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る。)
 2.福祉用具
 3.住宅改修
 4.施設介護
 5.介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る。)
 6.介護予防福祉用具
 7.介護予防住宅改修
 8.移送

◆出産扶助
・「出産扶助」の範囲となるのは、分娩の介助、分娩前後の処置、分娩に伴って必要となる衛生材料費である。(第16条)原則、金銭給付である。

◆生業扶助 
・生業に従事できずに最低限度の生活を維持することができない者や,そのおそれのある者の,稼働能力を引き出し、それを助長することによって自立を図ることを目的としている。収入増加・自立助長の見込みがある場合に限って,①生業費,②技能修得費,③就労支度費を,原則として基準額の範囲で金銭給付するが、授産施設利用という現物給付の方法もある。他の扶助と異なり,「そのおそれのある者」も対象とするが,積極的な運用が課題である。(第17条)
*2005年度から、高等学校での就学に必要な費用の支給が開始された。義務教育ではないため「自立支援」の観点から生業扶助費として支給される。

◆葬祭扶助
 「葬祭扶助」は、死体の運搬や火葬、その他葬祭に必要な最低費用で、給付は原則金銭給付である。(第18条)
第18条2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
 1.被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
 2.死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

*生活保護の相談・申請窓口
 生活保護の相談・申請窓口は、福祉事務所の生活保護担当である。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置している。
(注)一部、福祉事務所を設置している町村もある。

生活保護法(昭和二十五年五月四日法律第百四十四号)抜粋
(用語の定義)
第六条  この法律において「被保護者」とは、現に保護を受けている者をいう。
2  この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。
3  この法律において「保護金品」とは、保護として給与し、又は貸与される金銭及び物品をいう。
4  この法律において「金銭給付」とは、金銭の給与又は貸与によつて、保護を行うことをいう。
5  この法律において「現物給付」とは、物品の給与又は貸与、医療の給付、役務の提供その他金銭給付以外の方法で保護を行うことをいう。

*参考 下記をクリック
厚生労働省:生活保護制度


日本福祉教育専門学校 新入生の皆様へ 4月2日入学式 社会福祉士受験支援講座筆者 社会福祉士養成学科教員

日刊 社会福祉ニュース 関連情報クリップ
子どもの貧困と栄養状態・食事、今秋初調査へ 栄養状態と家庭環境分析 厚生労働省
2015/04/04 18:42 【共同通信】

引用「厚生労働省が子どもの食事、栄養状態と、保護者の収入や家庭環境との関連性について、初の全国調査を実施することが4日、分かった。18歳未満の6人に1人が貧困状態にあるとされ、「子どもの貧困」が社会問題になる中、不十分な食生活を送っている子どもたちの家庭の社会的、経済的傾向を分析し、支援策づくりに役立てる。9月に実施し、来年3月までに結果を公表する予定だ。
 調査は、10年ぶりとなる乳幼児栄養調査の一環として行われる。食物アレルギーについても、症状や食事制限の有無、医師への受診状況などを、初めて調査項目に加える」。引用ここまで

子供の貧困対策で基金創設 「子供の未来応援国民運動」で取り組み
2015/04/02 20:16 【共同通信】

引用「政府は2日、子供の貧困対策に幅広く取り組むため、財界、労働組合や地方自治体の代表らを官邸に招き「子供の未来応援国民運動」の発起人集会を開催した。経済的な苦境にある子供らを支えるための基金も創設。
 安倍晋三首相は「子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることのないよう、社会を挙げて取り組んでいきたい」とあいさつ、年内に子供の貧困対策に関する政策パッケージをまとめると表明した。
 趣意書によると、全国的に寄付を募って基金を創設し、貧しい子供の学習支援や生活支援をしている団体を助成するほか、スポーツや芸術などの分野で意欲や能力のある子供を支援」。引用ここまで

目黒区、生活困窮者発見へライフライン事業者と協定 電気、ガス
2015.3.16 産経ニュース

引用「目黒区は、生活困窮などで支援が必要な人を早期に発見するため、電気、ガスなどライフライン事業者3社と、情報の提供に関する協定を結んだ。協定では、ライフライン事業者は、検針や器械交換などの訪問時の状況から、住民が行政の支援が必要と思われる場合、区に通報する。区は必要な関係機関に連絡し、訪問による安否確認や相談支援を実施し、地域での孤立や孤立死防止を図る。
 同区は、高齢者見守りネットワークで、協力団体や事業者と、地域の高齢者を見守る体制を構築してきた。今回の協定では、高齢者だけでなく、生活困窮者に関する情報も把握し、早期の支援を図るという」。引用ここまで

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<ブログ閲覧中の皆様へ>
ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士の現場報告 一般公開 卒業生、4月入学の学生、ブログ閲覧中の皆様
日時 2015年4月18日(土) 14:30から16:30(研究会の終了予定時刻)

会場:日本福祉教育専門学校 高田校舎(旧高田馬場校舎)
 毎回さまざまなテーマで、本校卒業生の社会福祉士からの実践報告や、それぞれの経験からの知識を共有するディスカッションを行っています。当ブログ筆者(本校専任講師)等の教員も参加予定です。2015年3月の卒業生の方々や、この4月に入学の学生の皆さん、もちろん他の年次の卒業生、福祉職員の皆様も、是非ご参加ください。参加申し込みは不要です。

*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部(通学)です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース、通学)です。
 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255



<当ブログ筆者 最新>
『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号」,産労総合研究所


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by yrx04167 | 2015-04-05 11:34 | Comments(0)