講義レジュメ ソーシャルワークの終結段階、移行支援、アフターケア、メイヤロフの補充関係とは 相談援助

相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第15回講義レジュメ概要2
 当ブログ筆者(専任講師)が、社会福祉士養成学科にて、2015/07/22 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


6章3節 支援の終結と効果測定、評価、アフターケア テキストP146から
<ポイント>

・「終結」とは、支援・援助プロセスを終わりにする段階である。
・終結とは、専門的援助関係=クライエントとワーカー間の相互作用による全人的な関係の終了と、契約により始まったクライエントとソーシャルワーカーの援助契約の終了を示す局面である。
・終結のなかには、学校における卒業、通過施設の退所等のように、定められた期間の終了によって、迎えるものもある。
 期限内でどのように支援するか、組織としてのアフターケアにどのように繋げるか
 例 生活保護施設の通所事業等。

1 支援の終結 テキストP146
*終結の条件

・対象問題が解決された、もしくは改善された場合に終結となる。
・利用者が提起した問題が解決され,もはやこれ以上援助を必要としないと双方で判断した場合,終結段階を迎える。
・今後の課題は残るが、利用者自身で解決可能な場合も終結となる。自己解決の見込みが援助者、利用者間で合致する必要がある。

*終結の意義
 支援の必要以上の関わりは、弊害(援助者への依存等)を生じる可能性がある。
 人間関係への依存-相互性があるか。

*人間関係への依存と、その相互性
・他者との関わりを拒否するか、生活の全てが支配されるほどに、その人間関係に依存してしまうか。関係依存は、拒絶か度を越した依存か等、これらの現れ方がある。
 援助者にも人間関係依存の傾向があるのではないか-利用者、関係者等に頼られること、自らが必要とされること、他で見出だせなかった自らの存在価値を見い出すこと。
 職業選択の理由の一端として、あるのかもしれない。人間関係への不器用さと、人と関わり繋がり、役に立ちたいという願いがある。

*ケアの「補充関係」
 援助者側のこれらの事柄を、メイヤロフの「補充関係」のように、肯定的に捉える考え方もある。
 苦境にある人の支援、その人の成長のため、ある意味、自らも、成長していく。援助者側の自己実現である。
 実践において、自らが必要とされることによって、世界のなかに居場所を獲得する


*なぜ、援助の関わりを終わらせなければならないのか。
 利用者は、本来、支援する人と、支援される人が2つに分かれたコミュニティ、関わりを求めていたのではない。
 支え合う、自らと他者が一つになるコミュニティを望んでいるはずである。

*全人的な成長、自己実現という約束の地への旅
 ソーシャルワークは、その探求の旅を支援する役割を担う。人が、孤独や無力感、諦めに支配されていた状態を脱して、それぞれの自己実現の探求にに取りくみ、内なる気づきを持てるように、全人的な成長を目指すソーシャルワークとして、支える力になる。
 利用者が、他の人にはない個性、独自性、自分の隠れた強さ、力、光、生きている意味を見いだすように支えること、全人的な支援である。終わりを迎えることによって、利用者の新しい生き方、探求への旅立ちを支える役割を完遂することになる。


・また、援助過程を経験する中で、利用者の問題対処能力が向上し、利用者の自立生活の為、意図的な終結もあり得る。クライエントとの意思の合致が必要である。
・終結と援助プロセスの中断は異なる。

<補足>
*終結のプロセス

◎モニタリングにおいては、これまで進めてきた援助過程が効果的な結果をもたらしているか否かに焦点を当て,評価・終結への判断を行う。
◎終結の際には,残された問題の確認とその解決方法についての検討を行う。
◎クライエントとともにこれまでの経過を振り返り,その結果に対する彼らの合意を得て,終結を決定する。

*移行の支援 成長の機会としての終結
・これまで継続してきた専門的援助関係を断絶させ,利用者は自らの力量で自立していかなくてはならない。
 この分離を利用者の成長・発達の経験としてどのように役立てるかが問題となる。
⇒支援とは-人間的な成長のための支援であり、援助者も支援を通じて成長する。


・ソーシャルワーカーがクライエントの力量に着目し,終結後の生活を視野にいれた援助を実施する。
・利用者の主体性を尊重し,積極的な参加や関与を促進する努力が行われたとしても,援助者に対する依存性は少なからず存在する。
 援助者は利用者との分離に際して慎重な配慮と新たな体験を有効に活用できるように準備が不可欠である。

*自立と依存のアンビバレンス
 これをどのように処理し,自立に向けての動機づけと支援の方策を十分に考慮しておく必要がある。
⇒援助の対象が児童等の場合は、更に慎重さと配慮、働きかけが必要となる。


*終結に向けての準備
・終結に向けた準備は援助展開の後半期から開始する。
 面接間隔の調整 ─ 利用者の独力での問題への対峙を図る。
・終結の告知 ─ 利用者側の準備。

*終結に伴う感情をクライエントと分かち合う。
 終結に伴う感情を表現するよう援助する。

*終結という喪失からクライエントの成長の促進へ
 クライエントの深い感情を呼び起こす。せっかく親しい関係が成立したのに、終結するということで,終わるということを拒否したり,喪失感をもつ。
 クライエントの感情の特徴-「見捨てられる」という意味づけと怒り。
 否定、回避。
 関わりの終わりの感情の大きな動きは、働きかけの効果が増す、成長のチャンスでもある
 もっと継続をしたいという強硬な態度が示される
 時間ばかりかけて何も役立つものがなかったというような「否定」をする

・過程において学んだことを回顧してみるように求める-ワーカーとの共同作業の振り返り。
 援助過程で起こった変化と、そのために行なった努力の過程を整理していくことが重要である。 
 この作業をとおしてクライエントは,援助関係を終了した後に起こる問題や課題に対処する方法を獲得し,今後の生活の安定を目指そうとする。
・最終的な別れの機会を設ける。

*終結における援助内容
1 問題解決過程の評価
・利用者の問題解決への努力を肯定的評価
2 残された問題の確認
・対処が独力で可能なことを示し、それに向けた援助
3 再利用の可能性
・再利用の受け入れが可能であることを伝達する(オープン・ドア)。

<留意点>
・援助過程において、終結・終わるということから、最も重要な感情が表出することもある。
 「ドアの"とって(ノブ)"効果(療法)」

・援助者とクライエントの互いの成果をまとめる十分な時間が必要である。
・援助は終わるものの,ここで得たものを糧として,クライエントが次の生活へと移っていく移行の時期でもある。
・次の生活にスムーズに移行していけるように援助する。
 ホームレス自立支援施設、生活保護の更生施設施設等にとって、大きな課題である。
 児童養護施設の、家庭への復帰、再統合という課題 虐待リスクが増大するという課題もある。
ここまで



<生活困窮者、アルコール依存症者支援による援助者側のストレス・続き 当ブログ筆者の論文から>
2.生活困窮者支援を継続する理由
 筆者の実践における経験や、寿町のソーシャルワークや医療の専門職の聞き取りから抽出した、実践を継続する理由は次のものである。ストレスケアの一つの道標となるであろう。
(4) 援助者の居場所としての実践-当事者との補充関係
 先述のように、援助者は自らの選択によって社会の主流から離脱したとも言えよう。寿町地域と組織、実践を居場所としている側面がある。それは、拠り所としての居場所という意味だけではなく、援助者としての役割を果たす「拡張された自己」の成長の場でもある。メイヤロフが「補充関係」として提示しているように、広義のケアの実践と当事者の存在によって、援助者自身の生の質が補われている側面がある(Mayeroff, Milton『ケアの本質―生きることの意味』ゆみる出版,1987)。つまり、援助者も自己実現と、自らの生きる真の意味とその場所を、実践のなかで見出し拡充しているのである。
 
(5) 柔軟かつ自然体の実践へ
 自らの実践を含む社会福祉や医療専門職、専門機関による支援の限界を認めた、自然体の実践が力となる。柔軟性を持ち、目に見える成果のみを急いで求めることなく、利用者や関係者とその関わりを尊重する姿勢である。援助者の人間性が問われているとも言えよう。
 総じて、当事者とのパートナーシップによる支援と、実践による援助者とその実践思想の成長、援助者と当事者の相互に補い合う関係性が特徴と言えよう。つまり、実践思想と当事者との関わりは、援助者のストレス要因でもあるが、実践や成長の力の源泉でもあるという二面性がある。

 寿町地域とは、横浜市中区の簡易宿泊所が密集した「ドヤ街」 である。現在は、高齢化した元日雇労働者や精神障害者等の生活保護受給者が単身で集住する地域である。筆者は、1999年からは寿町の「ことぶき共同診療所」における精神科デイケアにおいて、主にグループワークの実践を継続して今日に至っている。利用者は簡易宿泊所に単身で住む生活保護受給者であり、アルコール・薬物(覚醒剤等)依存症、統合失調症等の多様な疾患・障害を持つ。

 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中

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内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「障害者福祉施設におけるグループワークの基礎」講座番号45
内容 障害者福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

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当ブログ筆者の「学生のメンタルヘルス公開講座」のレポート
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by yrx04167 | 2015-07-24 15:54 | Comments(0)