講義レジュメ 予防アプローチ、社会資源サービス開発、メゾマクロソーシャルワーク、エコシステム視点とは

相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第16回講義レジュメ概要1
 当ブログ筆者(専任講師)が、社会福祉士養成学科にて、2015/07/29 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


6章4節 予防的対応とサービス開発
<ポイント>

・ソーシャルワークは、個別援助からメゾ・マクロ実践へと取り組みを拡大していく。マクロ実践の成果を、ミクロレベル、つまり個別の利用者へと還元させる。
・具体的には、地域におけるネットワーク構築、ソーシャルアクション、社会資源の開発が挙げられる。地域社会のボランティア、協力者に対するコンサルテーションの提供もソーシャルワーカーに求められる役割である。

1 個別援助から地域支援へ テキストP149から
・ミクロ・レベル実践=個別援助の過程から、
 メゾ・レベル=機関の運営・地域福祉活動等、
 マクロ・レベル=制度の改善を図る政策提言やソーシャル・アクション等へと視野、実践の拡大が求められる。
・個別支援を踏まえて、複数のクライエントに共通するニーズを集約し、地域のニーズや社会資源の課題への視点の拡大が必要である。

*ポイントは、ミクロから、メゾ、マクロへの展開が、ソーシャルワークの特質、最重要な点である。
 クライエント個人や家族からコミュニティまで、生活のデザインを促進する実践とも言えよう。


<補足:社会資源の課題とその改善>
・どのような施設・機関であっても、社会資源・組織側の要因のために、クライエント・サービス利用者が,問題解決やニーズ充足を妨げられているようであれば、その要因を分析し,状況の変革・改善を求める働きかけを行なう必要がある。変革の役割とも言える。
 例えば、情報不足、対応の不適切さ、制度上の課題等によって,相談へのアクセスが困難な事例 略

・これらを実施するにあたっては,
①調査:問題の実態・事実に関するデータを収集
②計画:変革・改善のための計画の立案
③組織化:変革への話し合いワークショップ形式を取り入れる。
④活動:専門家としての使命・倫理などに基づき働きかける。更に調査を重ねる。

2 予防的対応とサービス開発の意義 テキストP150
・個別支援のみならず、ニーズの集約、サポート・システムの課題の発見、潜在的ニーズへの対応の必要性について働きかけ、サポート・システムの機能向上を図る役割もある。
・現行のサービスでは対応が困難なニーズに対して、地域においてネットワークを構築し、新たなサービスや予防活動の開発を進める。

3 地域におけるニーズ テキストP150
・コミュニティへの専門職の働きかけは、中立になり得るのか。ソーシャルワークは、マイノリティの側に立った支援を実践する専門職である。
 事例 略

*エコシステム視点と地域
・それぞれのコミュニティにおいて、他に代わりがない役割、居場所を全ての人が持っている。自然環境と同様に、全ての生きとし生けるものがつながり合って生きている。このソーシャルワークにおけるエコシステムの視点によって、コミュニティを捉えることが出来る。

*多様性という希望-コミュニティワークにとって
・これまでの人類の歴史のなかで、民族や宗教、文化等を、自分と他者とを隔てる壁、「違い」として捉えてきた。現在において、これらの「違い」が、コミュニティを成長させ、更に豊かな実を結ぶ経験と智恵の種、創造力の源であると捉えるべきではないか。
 コミュニティワークは、これらの過程を媒介する。コミュニティの未来像の共有を図っていく。

*サポーティブなコミュニティづくり-成長するコミュニティへ
・コミュニティ全体が、障害を持つ人、困窮した人への自然な配慮を持つこと。異質な人を排除するのではなく、困難を背負い、疲れている人を休ませるオアシスになっていくこと。更には、その重荷を軽くし、社会的にも内面も束縛しているものから解き放たれることを支えること。これらの働きを促進するのがコミュニティワークの役割である。 
 拠り所を見出すことが難しくなった社会の中で、それぞれの痛み、困難、思いを分かち合い、共感し合えるコミュニティへのシフトが切実に求められている。
 コミュニティワーカーの目標、使命とは、コミュニティとその住民が、相互に尊重し合い、成長していくことである。

・地域におけるニーズの四分類

①現行の保健福祉サービスで対応可能なニーズ=ニーズの顕在化
 ニーズが集約化され、現状の地域ケアシステムにおいては顕在化している。
 よくある課題&資源がある課題=集約化

②現行の保健福祉サービスでは対応困難なニーズ=ニーズの点在化
 略
 現状では、社会資源がない、フォーマルサポートの欠乏、対応が無い。
 ボーダーライン、難病の事例。

③現行の保健福祉サービスでは対応困難なニーズ⇒現在は問題状況や課題は無いもの
 略
 専門職の予防防的視点、見守り・働きかけの継続と、困難が生じた場合の早期の対応が求められる。
 ニート等は、20年後のコミュニティにおいてどのような課題となるのか。

④地域としてのニーズ

 地域の状況、住民共通のニーズをとらえ、明確にしていく必要がある。住民懇談会などで住民の声を集約し、地域福祉活動に反映させていく。
 その他、地域の生活課題、「買い物難民」、地方における公共交通機関の縮小による高齢者の生活への影響。
・地域住民に共通するニーズの集約と、住民の声を地域福祉に反映させるべきである。

*参加型の地域福祉-未来のコミュニティへの責任
・コミュニティにおける地域福祉活動の計画や運営を参加型にしていくことによって、住民がコミュニティの生活に影響する事柄に対して、意見を表明することが、かたちになる。それは、住民一人ひとりの声を尊重し、またコミュニティへの貢献へと繋いでいくものである。
 コミュニティにおいて、住民それぞれのビジョンを語り合うことからはじまり、ディスカッションや対話の中で磨きをかけ、プロジェクトを立案し、その実行に向けて、それぞれの得意分野を持ち寄って協働していく。
 また、具体的な役割と、コミュニティへの責任を住民が担うことが、全人的な成長につながる。


<補足>
*地域の福祉ニーズ解決機能

・ソーシャルワークには、地域に存在する福祉ニーズ、福祉事業運営や福祉活動の課題、などを解決する機能、社会資源の整備・開発の機能がある。
・地域における、どのような福祉ニーズ,運営課題を解決しようとするのかで,援助技術の方法・内容や援助のあり方は異なる。
 それぞれの地域の特性(例 人口動態,特に高齢化率や出生動向)、社会資源の整備状況や、連絡調整・ネットワークの状況なども、大きく関わる。
例:子どもに関連して、所謂「声掛け事案」。
 フォーマルなシステム:PTA、学校、町内会、市役所、警察
 インフォーマルなシステム:ママ友、隣近所
背景には、人口構成、交通、地域社会の関係性が関わる。

*ネットワーク構築(組織化)を支援する手法の例
 ①町内会・自治会などをはじめとする住民諸組織を支援して問題解決を図る。
 ②ボランティア活動等の、新たな組織づくりを支援する。
 他、役割を担ったボランティアとして、民生委員等
 ③個別の当事者あるいは保護者・家族の組織づくりそのものを支援する。
 セルフ・ヘルプグループ
 ④事業者の連携あるいは協働組織づくりによって問題解決を図る。

*自然な支援者
例:近隣関係、学校におけるピア・サポーター
 生活の場で、自然な関係のなかで支援を行なう。
 同じ住民、学生としてのつながりを基盤とする。
 お互いの話に耳を傾け、仲間として共感し、助け合い、共にコミュニティをつくっていく。


*これらの協力者、ボランティアに対して、ソーシャルワーカーは、コンサルテーションを提供することも必要である。
・地域社会におけるコンサルテーション技能とは、情報の提供と分析、アセスメント 略

*地域に対する働きかけに求められる専門職の資質や能力
①社会福祉の各領域にわたる専門知識と,保健・医療,関連分野の専門職と話のできる幅広い知識。
②幅広い人間関係を形成していけるコミュニケーション能力と、信頼関係を形成し,継続できる 略
例えば、「町内会」。実習において、地域福祉の現場としての町内会体験実習も、地域福祉型実習に組み入れるべきではないか。
③地域社会の問題や課題,新しい社会資源の開発への関心と熱意,積極的な姿勢,企画力,行動力 略
・これらを行なう福祉専門職は,専門的学習と経験の蓄積,上司(スーパーバイザー)による指導・訓練が必要である。 略

*マイノリティのコミュニティにおける人間関係重視の傾向に対して、どのように関係を構築していくのか。コミュニティと話し込み、入っていくという伝統的手法こそ、その答えであろう。


4 ニーズの集約 テキストP151
 ミクロ実践における複数のケースを通して明確になった、サポート・システムの課題の改善に取組むためには、地域のニーズ、課題として集約する必要がある。
 地域の関係機関の連絡会議等で、地域の関係者たちの共通課題やニーズを集約する。
潜在的ニーズをキャッチするための取組みも必要である。 略 ニーズ調査も必要である。
 住民の会合への参加、現状の把握、課題のボトムアップも重要である。

相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第16回講義 練習問題 キーワード
<練習問題は講義にて配布し実施。解説の詳細は講義にて>

セツルメント
トインビー・ホール
バーネット夫妻Barnett, Samuel (1844-1913),Barnett, Henrietta (1851-1936)

隣友運動
友愛訪問
チャルマーズChalmers, Thomas (1780-1847)

ヨーク市貧困調査
貧困線
マーケット・バスケット方式
ラウントリーRowntree, Benjamin Seebohm (1871-1954)

チームアプローチ
ピアサポーター
インターベンション
モニタリング
再アセスメント
援助過程の終結
守秘義務


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中

当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


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地域福祉理論練習問題 コミュニティディベロップメント、インターグループワークとは 認知症排泄ケア支援
 

新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
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【社会福祉士養成校協会】全国統一模試+ポイント解説講座
講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
10月25日(日)東京会場
10月31日(土)岡山会場

お問い合わせは日本福祉大学名古屋オフィス 電話052-242-3069

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by yrx04167 | 2015-07-31 10:30 | Comments(0)