福祉施設職員のストレス セルフケア研修 講義レジュメ 問題解決意欲モチベーション向上、援助契約

<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>
(3) 実践ストレスのセルフケアのプロセス
 実践ストレスのセルフケア、特に燃えつきからの回復と再出発にはプロセスがある。要諦は、自らの燃えつき、心身の慢性的疲労の状態を自覚することから回復は始まるということである。 換言するならば、自らの実践と心身の状態を理解していないところからは、復元は望めない。
 第一段階は、燃えつき状態であることの自覚と、その問題を認めることである。
 この段階は、心身の慢性的疲労や意欲の減退が、単なる身体的な疲労のみが要因なのではなく、心理的かつ職場環境の要素が関連していることを自覚することが重要である。
 また、燃えつきの要因でもある実践に関わる「完璧主義」が、自身の痛み、疲労の自覚と、他者への表現を困難にしている。痛みを分かち合うこともできない。
  併せて職員の家族や同僚、現場リーダーによる早期発見と、本人への助言が重要である。

 第二段階は、休養によって実践から距離をとることである。
 自身と職場・実践との間に心理的かつ物理的な距離をとり、実践に関わる思いを休止することにある。職務を継続しつつ心理的な距離をとることは容易ではない。休養によって職場との間に物理的な距離をとるのが有効である。
 しかし、休養することへの 「罪の意識」 が回復を妨げてしまう。症状の悪化に繋がる前に、適切に判断し、回復に踏み出す必要がある。必要に応じて、外部の資源、とりわけ医師などにも相談する。聞き取り等からは、この段階が遅れる程、職場への復帰が困難となる傾向がみられた。

 第三段階は、健康と安定の回復を図る。
 心身ともにリラックスし、健康を取り戻すことが、 この段階の要諦である。 しかし、ストレスが高まり疲労が蓄積され、心身の緊張状態を解くことは容易なことでない。焦らず、充分な睡眠や心身の安定を取り戻していくことが必要である。

 第四段階は、価値観の再検討を図る。
 今までの自らの働き方と生活を振り返り、 自身の再発見と価値観の再検討を行う。燃えつきからの回復のために、職務に傾斜し過ぎていた自己と生活を見直す必要がある。当然ではあるが、職務の手抜きの勧めではなく、生活の中で何を大切にし、何を改めるべきかを自らに問い直す作業である。
 具体的には、完璧主義や他者に依存しない姿勢を克服する。燃えつきからの回復、職務へ復帰するために最重要な段階である。

 早期に回復のプロセスを開始出来たならば、ここまでの段階で、職場への復帰も可能であろう。しかし、復帰が極めて困難な場合は、キャリアの再出発として、次のプロセスに進む。
 第五段階は、新たな働きの場を探す。
 自らと新しい価値観により適合する職場を求める。必要に応じてリカレント教育等を受けて、新たな職場を選ぶこともある。
 第六段階は、キャリアの新生である。
 新しい環境において、生活と働き方のスタイルを再設計していく。新たなキャリアへの出発である。

(4) ストレッサーの自己分析
 ストレッサーとは、ストレスを生じさせるものである。例えば、実践上のアクシデントや、自身の病気やけが、災害、犯罪被害といった非日常的な出来事から、多くの人が経験する日常的な出来事に至るまで、多様な出来事、人物、環境がストレッサーとなりうる。しかし、何がストレッサーとなるか、どの程度のストレスを生じさせるのかは、個人差がある。
 このため、ストレスに関する自己分析が必要である。
 一、何がストレッサーなのかであり、
 二、どんな影響を自らにもたらし状態(ストレン)はどうかであり、
 三、緩和し得る資源、モデレーターを見出すことである。
 なお、援助者の家族も、モデレーターとして重要な存在である。家族によって、ストレスから護られ、回復するためには、家族内の関係性が重要なことは言うまでもない。
 職員にとってのストレッサーが、自身の日常生活上のストレス、また職場外の家庭等の人間関係の場合もある。公私を含めて、自分にとって、何が大切なのか、自己の経験による価値観、考え方への影響や、感情等の特性に向き合う作業も必要である。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月



お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

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相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第17回講義レジュメ概要3
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015/8/5 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>

2 ソーシャルワーク援助過程における契約の意義 テキストP170
*契約の意義①=対等性、自己決定の尊重を具現化

 契約の意義は、援助過程において対等な関係性を確立し、クライエントの自己選択、自己決定権を保障・尊重することにある。
・これらの理念の前提条件として、クライエントを信頼に値し、自己決定・問題解決の力を持つ存在とする、肯定的な視点、人間観が必要となる。

・医療においても、患者の権利の尊重を背景として、従来のパターナリズムの姿勢からインフォームドコンセントへと移行している。患者の、自己決定権の尊重につながる。
・ソーシャルワークにおける契約尊重の立場は、医療のインフォームドコンセントと同様である。
・権利の保障を図るアドボカシーと、クライエントの自己決定・選択の尊重は、ソーシャルワークの要である。

*人間への信頼感を取り戻す援助 伴走型ケースワーク
・伴走型の支援は、クライエントを信じることからはじまる。
 それは、全ての人は、かけがえのない存在であり、変化すること、成長することができる、お互いに深く関わることもできると信じることである。
 この援助者からの揺るがない信頼によって、クライエントは、自他への不信を乗り越え、自分自身を信じることができるようになる。人間への信頼感を回復するプロセスがはじまる。

*緩やかに繋がり、信じ合えるコミュニティの生活へ
 それは、人間として生きることの本質を取り戻すという精神的な支援の実践でもある。相互に尊重、尊敬し合い、繋がり、協力、調和と一体感を持ったコミュニティで共に生きる。親密な関係の中でこそ、人は生きていくことができる。
 人間支援の基本は、いかなる時も共にあるという確固とした姿勢にある。


*自尊感情を回復する相談援助
・生活の困窮のなかで、人は自信、意欲をも失ってしまう。
 社会的、心理的な困難な状況、つまり目に見える現状は容易には変わらなくても、パートナーシップによる支援の場というクライエントの居場所を創ることが、生き方を含めた全人的な支援の要点の一つである。
 クライエントは、決して独りではない。支援の場や生活するコミュニティのなかの一つの部分として存在し、そこに居場所がある。人間が、主体的な生き方と自らの居場所を取り戻すこと、併せて居場所における共感と分かち合いに至ることが、支援の目指すところでもある。
 何故なら、そこには孤立や心配からの解放、緩和が待っている-助け合い、相互の承認、痛みの共有による。

*コミュニケーションの促進 誇りと居場所を取り戻すということ
 具体的には、その居場所は非階層的、つまりヒエラルキーがない対等な場でなくてはならない。誰にでも責任と役割があり、全てのメンバーが共同体の感覚を持つ。
 また、個々の意見や感情を分かち合える、安全で相互に補完的なコミュニケーションを媒介とする。
 一人ひとりの自由な創造力、意欲が活かされ、自らの誇りを回復する場が切実に求められている。


*契約の意義②=協働作業、相互作用の促進
・ソーシャルワークは、クライエントの問題解決を代行するものではなく、双方が積極的に関与していく必要がある。契約は、問題解決を目指す過程が協働作業であることを具体化する。

*脱代行のソーシャルワーク 双方向のつながりの力
 問題解決の代行主義を脱し、クライエントの主体的な生き方を総合的に支援する、エンパワメントを徹底したソーシャルワークへと変革していく。
 契約によって、ソーシャルワーカーとクライエントの相互作用を促進する。双方向の関わりの力を引き出す。


*契約の意義③=問題解決のモチベーションの向上
・契約の合意形成の作業を通して、クライエントの問題解決への意欲を高める。
・援助者のクライエントへの信頼が本人の自己評価を高め、問題解決への自信を生み出し、意欲を高める。
・契約の内容には、目標やその達成方法、ソーシャルワーカーとクライエントの役割・課題・行動も含まれる。クライエントが、決定に参加することで自らの課題・行動の意味も理解し、意欲も高まる 略

<事例 契約事項:在宅介護を受ける高齢のクライエントの場合>

①援助のゴール
・在宅における自立生活の継続
②援助の方法
・現在の生活を支えるために、必要なフォーマル・サービスと、それ以外のサービスを見つけ出し,サービスが適切に受けられるように調整を行なう。
③援助者の役割
・必要なサービスが何かについてのアセスメント
・サービスをより良く提供する事業所・人々を把握し,それらの条件をクライエントに説明する。
・クライエントの選択に基づき,サービスをクライエントが使い易いように連絡・調整する。
④クライエントの役割
・援助者が収集したサービスの情報を聞き.自らにとって適切なものを選ぶ
・インフォーマル資源について、自分が援助を頼める人やグループなどを、援助者に伝える。有償サービスの使用希望の有無の表明
⑤サービス提供の条件
・各サービスにかかる費用(有償のものか無償かを明確に示す)
・契約内容の変更こ関して(再交渉が可能、変更も可能であること)
・援助の期間
・援助の進捗状況・成果の評価、見直しについて

<補足>
・契約段階では,大きく「利用者の問題状況の明確化」と「援助を提供したり,活用するうえでの内容・方法・諸手続きに関する明確化」という二つのことがらが含まれている 略
・また契約は,利用者と援助者との間で合意に達すれば変更される 略
・契約の過程で現れてくる両者間の顕在的・潜在的な不一致を早期にみつけ,それらを解消するための相互関係上の技能習得が援助者側に必要 略

*契約の方法
・契約の取り交わし方は,抵抗を示す利用者,疑い深い利用者,危機状態にある利用者など,特定の利用者やそのおかれている状況に応じて柔軟かつ適切になされていかなければならない。
 略 拒否的なクライエントの場合には,利用者との間に契約がうまく成立しない場合も考えられる。
 契約の活用は,問題や課題に対する取り組み方を明らかにし,問題解決過程自体が有する利用者と援助者との協働作業的な特質 略

<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中



ブログ閲覧中の皆様、卒業生、学生、福祉施設や機関の職員の皆様にお知らせ
ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士の実践報告 公開
関心をお持ちの方、どなたでも参加可能です。
日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科 主催
参加無料 参加申し込み不要、直接会場へ
2015年8月29日(土)14時半から16時半

福祉現場の語り 実践力


講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

講義レジュメ 支援計画事例、生活保護受給者の金銭管理支援とは 生活困窮者のコミュニケーション問題

講義レジュメ 地域包括支援センター、アウトリーチとは 福祉施設職員のセルフケア研修、レジリエンス

新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


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<当ブログ筆者の社会福祉士 国家試験対策講座 模擬試験+ポイント解説>
 日本福祉大学の社会福祉士受験対策講座
【社会福祉士養成校協会】全国統一模試+ポイント解説講座
講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
10月25日(日)東京会場
10月31日(土)岡山会場

お問い合わせは日本福祉大学名古屋オフィス 電話052-242-3069



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by yrx04167 | 2015-08-09 11:54 | Comments(0)