福祉施設職員のメンタルヘルス支援研修 講義レジュメ 看取り介護、社会起業福祉分野、社会資源開発

<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>

(9) 福祉施設職員のメンタルヘルス
 燃えつきの症状の一つである不眠は、不眠そのものによって心身を消耗させ、燃えつきを促進させることもあり、放置することは悪循環に繋がる。そして、心身の健康への悪影響、体力の損耗、不眠によって注意力が損なわれることにより事故に繋がるといったリスクマネジメントの点からも、早期の対処が求められる。1週間程続いた場合には、医療機関の受診や、相談等の職場外の資源を活用した対処が必要ではないだろうか。 
 不眠の原因となっている問題の緩和も当然ながら追求すべきではあるが、主治医の診断によっては、睡眠を助ける薬を用いることも一つの方法である。同様の対処が、アルコール依存症や気分障害等の職員のメンタルヘルスの問題にも当てはまる。予防と適切な対処の必要がある。
 また身体的なセルフケアとして、下園は、看護師へ呼吸法等の心身のリラックスを図る具体的な方法を勧めている 。他にも、教師等を対象とした休息、落ち着くことを促進する方法の勧めもある 。
 援助者のメンタルヘルスを維持するために、気分転換やストレスの緩和に繋がる身体的な健康促進法も重要である。換言するならば、これはストレスや疲労の蓄積を避け、心身の健康管理を含めたストレスケアの一つなのである。

(10) 喪失と成長-看取り介護など、人間の根源的なもの
 利用者の生の終わりは、移行の支援であると、キューブラー・ロスは示している。つまり、生の過程は、喪失の連続であり、誰もが大切だと思ってきたもの、例えば若さ、体力、親しい人、地位等が自らの側から離れていくことや、失うことを経験する。これらには、永続的に独占して所有できるものなど無く、やがて時が来たら失うのである。ロスによれば、喪失という痛みを経て、人間として成長することが出来る。
 看取り介護の課題とは、最大の喪失である、いのちの終結に伴う痛みに利用者が耐えるときに、寄り添い支える存在が求められるという点にある。福祉施設職員は、加齢、疾病、死などの人間にとって最も重要なライフイベントに関わるのであるが、喪失とその痛みから学ぶという姿勢が求められる。このような視点から捉えるるならば、実践を通して援助者とその感受性は磨かれ、利用者も援助者も共に全人的に成長することが望める。

 総じて、援助者自身も実践の困難、職場のストレスに意識が縛られ、心身の慢性的疲労のなかで自尊感情が損なわれることがある。実践のストレス、燃えつきは、援助者の価値観、生き方を含めた全人的な問題とも言えよう。援助者自身の生きていることの意味、最終的に目指すものが問われる側面がある。全人的なセルフケアと自身のサポートネットワーク、サポーティブな職場によってリジリエンスを高め、情緒の摩滅からの回復、自信を持つことが必要である。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

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東京都社会福祉協議会登録講師派遣事業


相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第16回講義レジュメ概要2
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015/7/29 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


6章4節 予防的対応とサービス開発 続き
5 サービス開発・事業企画 テキストP152

 社会福祉領域、ソーシャルワークにおいてクライエントのニーズは多様であり、制度で対応困難なこともある。
 コミュニティの協力者等のインフォーマル・サポートの活用や、社会資源の開発なども必要である。コミュニティソーシャルワークとしても、地域住民との協働によるサポートの展開が、今日、求められている。

*社会資源の開発と事業化
 社会福祉士機関・施設として対応可能ならば、組織として事業化を図る。
 所属機関において、企画案を提示し、機関の事業として承認を得、実施する。また、関係する機関・人々に協力を要請するなど、具体的な準備、計画が必要となる。

*社会資源開発とソーシャルワーク コミュニティを基盤とした相談援助へ
 資源開発は、今後のソーシャルワーカーにとって、大きな役割となる。コミュニティを基盤に住民との協働で、自然な協力、相互扶助を活かしながら資源を創る。
 ソーシャルワーカーには、その促進プロセス、組織のコーディネートの専門職としての役割が、求められる。 また、協力を呼びかけるプレゼンテーションやスピーチ、ワークショップ等の技術が必須となる。

*福祉の社会起業、創造のソーシャルワーク
 社会福祉領域には、現行の関連制度の、フォーマル資源の課題、問題点を挙げる関係者も目立つ。
 しかし、政策提言も必要であるが、自分たちで資源を創る姿勢、社会起業の取り組みも求められる。
 この講義でも紹介しているように、各地で社会資源開発、福祉領域の社会起業が活発に展開されている。この講義が、更なる社会起業の種まき、創造力を生み出すことを願っている。


◎ソーシャルワークにおけるインターベンションでは,クライエントやその環境及びその両者への介入を行い,状況に応じて社会資源の開発などを行う。
◎(社会資源の活用・開発)社会資源充実のために当事者の意見に耳を傾ける。
*精神保健福祉領域における地域援助技術(コミュニティワーク)
◎地域社会の偏見・差別というバリアの除去や軽減が含まれる。
◎精神障害者の地域生活を支え,希望を実現していく機会や資源の開発が含まれる。


<社会資源開発-社会福祉領域における社会起業のすすめ>
・福祉ニーズを持つ人々、同様のコミュニティに対する社会資源・社会福祉援助システムが効果的に機能しなかったり,最初から資源・援助システムがなかった場合には,必要に応じて資源・援助システムを開発することが、必要になる。
・ソーシャルワーカーは、その実践において,特定の集団(例 DV被害者,精神障害者,ホームレスなど)のニーズを充足する施策が既存の制度にないこと,あるいは既存の施策ではニーズ充足が不十分なことを認識することが少なくない。
 新しい事業・プログラムの構築の必要性を認識したならば,地域の関係する組織・団体(町内会、社会福祉協議会),住民に,問題への関心をもってもらい,積極的な関与を引き出すための組織づくりを行って,その組織を中心に新しい事業(プログラム)の創設を図っていく。
 地域レベルで創設された新たな社会資源・事業を,他の地域でも実施する、展開すること
略 マクロソーシャルワークの役割といえる。 専門職団体の役割 略
・新たなニーズに対応して、組織化の課題への対応や資源開発に取り組むことが求められている。
 地域におけるソーシャルワークは、住民が持つ自立、自助、協働の理念に働きかけ、 略 開発に力点をおく 略

*コミュニティ(当事者の集まりや、関心を持つ市民の組織を含む)と共にあるソーシャルワーク
 新たな社会資源の開発において、住民、当事者の主体的な参加を引き出す為の、動機づけなど働きかけの力量、ワークショップ等のスキルが求められる。
 住民参加の促進-住民への具体的な働きかけ、協力の呼びかけは、どのように進めるか?
 アジア諸国や、ラテンアメリカでは、民衆劇等の手法を用いて、住民に働きかけていく。
 まちづくり、コミュニティ・デザインの領域では、ワークショップ等の手法が用いられている。参考にしたい。

*ファシリテーターとしてのソーシャルワーカー
 専門職のスキルとしての、ファシリテーションの必要性。
 ファシリテーターとは、「行動やある過程を容易に促進する」という意味のfacilitateから転じた言葉であり、ある課題を容易にするために議論する過程において、進行役や引出し役となる人のことを指す。
 しかし、単なる進行役でも、指導者でもなく、参加者と対等に位置しながら、参加者の主体的な参加、意欲、知識、智慧、経験等を的確に引出し、コミュニケーションを促進していく役割を担う。

*地域福祉ワークショップのあり方
 多様な領域において、参加体験型のワークショップという学びの手法の有効性が注目を集め、その場づくりを担うファシリテーターの役割が重視されている。
 ファシリテーターは、福祉問題の例を提示し、住民は、身近な課題に対して興味を持つように関心を引き出し、その問題意識に働きかけていくスキルも必要になる。

*住民協働のコミュニティソーシャルワーク
 住民、当事者のコミュニケーション、相互支援活動、ディスカッション、ワークショップなど、コミュニケーションの場を通じて自己を探究するという雰囲気も創っていく。コミュニケーションを深めるこれらのプロセスを通じて、住民は相互に交流を深め、仲間意識、一体感、協調、コミュニティへの所属と開放感を取り戻す。もし、コミュニティ内に争い、諍いが過去にあったならば、和解も考えていく。

*まちづくり型地域福祉 コミュニティの所属と責任とは
 これらの新たな地域福祉活動を経験することにより、コミュニティの一員として作業する達 成感を実感し、コミュニティの「絆」づくりを住民もソーシャルワーカーも体感する。
 このコミュニティ内の活動の集まりは当初は小さな種でも、やがて成長し、全ての人々のための活動に、多くの人々がつながる場になるであろう。
 もし、住民や専門職が、コミュニティに対して根無し草のようなあり方であるなら、何につながっているのか、どこに向かっているのかも見失い、成長することも望めない。
 コミュニティという地面に根をおろしてこそ、実を結ぶことができる。根付くとは、コミュニティや住民に対する、自然な使命感を持って生きるようになるということである。その原動力は、個々ではなく、共同体の人々の緩やかな繋がりの中でこそ生み出される。


・社会資源の開発は、現状の社会資源・援助システムでは充足されていないニーズの把握・分析から開始される。
①日常的業務からのニーズ把握
・地域社会の福祉ニーズを把握するには、社会調査も重要であるが、日常的な業務を通じてニーズを把握する 略
 個別の相談事例から地域全体のニーズや問題を把握することも重要である。

②社会調査法によるニーズ把握
・必要に応じ、社会調査によるニーズ把握を実施する。

・なお、予備的なニーズ把握として、地域社会の福祉ニーズを把握するため、行政の資料等から情報を収集する。
・また、地域の専門職や当事者、関係者から、自由面接調査やグループインタビューを行なうことも有効 略
 加えて、専門職や地域の連絡会議等における問題の明確化、共有化も有効な手法 略
 環境、まちづくりが課題であるときは現地踏査も行なう。
・各地域の社会資源の整備状況は 略
・近隣の見守り、支え合いや傾聴ボランティアなど、インフォーマル資源も必要 略
・より良い援助を提供するために、地域の社会資源の不足が障壁となる場合もある。
 不足する資源を開発する 略

*既存資源の再資源化
・既存資源の再資源化とは、既存の資源ではあるが、一部の当事者・クライエントに対してサービス対象に含めていない現状の改善を図り、対象の拡大や、サービス提供の範囲を超えた対応を求めていくことである。
・各施設・社会資源は、クライエントの要件を定める。しかし、他に適切な資源がなく、その資源がサービス提供能力をもっている場合、その資源に対して利用要件の緩和や柔軟な対応をはたらきかけ、調整する 略
 加瀬は、「容易とはいわないが再資源化しうる社会資源は存在する」-協議の重要性。

・略 利用要件の緩和は簡単には進まない。
 交渉の技術が求められる。
 協調的交渉と競合的交渉のうち、前者が必要であろう。双方の利益を示す。「言い分」と「本吉・欲求」の見極めから、最優先事項を絞り込むことや、「問題」を見直すことなど 略

*新たな社会資源の開発
①一つの機関・団体が単独でサービスを設立し、自ら運営する場合
②地域の機関や団体の共同で開発・運営を行う場合(運営は単独の場合も 略
・資源開発は従来から社会福祉協議会等が行ない、近年は多様な取り組み 略

*不足する資源の発見
・個々のクライエントのニーズと資源との調整を図る中で、資源の不足によりニーズの充足が困難になる場合もある。
①ケースアドボカシー=個々の事例に関して、資源側との交渉等により解決を図る。
②コーズアドボカシー=同様の資源不足の状況に置かれている多数の当事者に対して、資源開発 略

*社会資源開発の展開
・鈴木による、社会資源開発の展開
①自己の確立(変革)、コア(核)となる「ひと」の確立
②「組織」の確立(変革)、組織化

 組織のニーズへの対応、サービス内容や質の評価を活かし進化する仕組み 略
③「地域」での福祉サービスを確立し、実践を地域化する
 「組織化」されたものを「地域化」する。地域に合わせたアレンジ、具体化。
④実践や社会資源の改善・開発を社会化する
・社会資源開発は、地域のネットワーク、協働作業から展開 略

6 予防的対応 テキストP152
 住民の要援護・問題の深刻化に対する、早期発見・早期対応の姿勢は重要である。
 地域ケアの過程で、地域の声かけ、見守り体制構築などの予防的な活動が重視される。
 支援者の協力体制構築は、問題発生に備えるための準備体制でもある。会議等によるネットワークづくりが必要である。

<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中



ブログ閲覧中の皆様、卒業生、学生、福祉施設や機関の職員の皆様にお知らせ
ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士の実践報告 公開
関心をお持ちの方、どなたでも参加可能です。
日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科 主催
参加無料 参加申し込み不要、直接会場へ
2015年8月29日(土)14時半から16時半

福祉現場の語り 実践力


講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

講義レジュメ 支援計画事例、生活保護受給者の金銭管理支援とは 生活困窮者のコミュニケーション問題

講義レジュメ 地域包括支援センター、アウトリーチとは 福祉施設職員のセルフケア研修、レジリエンス

低所得者支援と生活保護練習問題 貧困の文化、履歴効果とは ひとり親世帯就職サポート事業、障害者就職率

新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


ブログ閲覧中の社会福祉士国家試験受験生の皆様へ
<当ブログ筆者の社会福祉士 国家試験対策講座 模擬試験+ポイント解説>
 日本福祉大学の社会福祉士受験対策講座
【社会福祉士養成校協会】全国統一模試+ポイント解説講座
講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
10月25日(日)東京会場
10月31日(土)岡山会場

お問い合わせは日本福祉大学名古屋オフィス 電話052-242-3069



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by yrx04167 | 2015-08-12 19:08 | Comments(0)