ストレングス、人間関係支援、ソーシャルワーク人間観、マターナルディプリベーション 相談援助理論講義

相談援助の理論と方法 前期第5回講義レジュメ概要
 当ブログ筆者(本校専任講師、社会福祉士)が、社会福祉士養成科トワイライト・ナイトコースにて、2016/5/18に講義            
<この記事は、ダイジェスト版と講義当日の補足。レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


*人間関係というソーシャルワークの主要な課題
・人と人との.あいだで営まれるさまざまな関係こそ、人間に真の幸福をもたらす主要な、おそらくは唯一の源泉と考えられるからである 。
・その逆もいえる。すなわち貧しい人間関係こそ、人に不幸をもたらすもっとも重要な唯一の源泉 である。

 バイステック(Biestek, F. P.)『ケースワークの原則』1965 より

*人間関係の重要性
・クライエントとの、人格的交流の重要性-社会福祉の全領域における不変の課題である。
・クライエントにとって、ソーシャルワーカーとの間の専門的援助関係は、コミュニケーション能力や社会的スキルを身につける新たな経験、全人的な成長の機会となる。
 それは、双方向な関わりであり、援助者にとっても影響がある。援助者の側も専門性、人間的とも磨かれる。


・クライエントとの関わりの初期における、その期待を確認する-例えば、様々な「変わりたい」という願い。
・人間関係における、役割の明確化の働きかけ-援助関係と、クライエントの周囲の関係における課題でもある。
・クライエントとの援助関係、援助プロセスにおいて、クライエントの情緒面の重要な存在になることが課題の一つである。
 そのことによって、クライエントの深い感情や、「秘密」の打ち明け、率直な語りの促しに繋がる。
 クライエントの意味づけ、隠された思いを発見する。それは、クライエントの自己探求の支援でもある。
・クライエントとの関係における、「純粋性」の原則-相互の思いに真っ直ぐに、援助者も生身の人間として率直に関わること。
 援助者とクライエント双方の感情を、豊富なボキャブラリーで表現することが課題となる。

・援助者の自己開示
 必要に応じて、自己の経験を語り、クライエントとその援助に活かす。

2 ソーシャルワークの人についての見方
・ここでの人・人間とは、福祉サービス利用者とその周辺、クライエントシステムのことである 。 
 自力で解決困難な生活問題を抱え、専門的な社会福祉の援助を求めて訪れる来談者等である 。
 全ての人が、問題を抱える可能性があり、クライエントになり得る。誰でも問題を抱え、自力で解決が出来なくなることが起こり得る。
 特に家族介護の困難、病気、ターミナル、多様な生活問題である。
・人間支援の課題としての人生における「喪失」、すべてのものはやがて失う。
 ソーシャルワーカーは、喪失と痛みといった苦境のなかにある人々の隣人としての専門職である。

・人は落胆や苦痛を隠すために強がる-語り、言葉の矛盾として現れる。


*クライエント・システム 略
 個人,家族,グループ,組織など,ソーシャルワーカーが援助の対象とするシステムのことである。
 ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)は,ソーシャルワーク実践の構成要素をクライエント・システム,ワーカー・システム,ターゲット・システム,アクション・システムとして整理した。

*ホリスティックな視点-全人的な捉え方
・ソーシャルワークに求められる視点で,人間を全体として,包括的に捉える見方である。
・ホリス「全体関連的な状況のなかにある人」。

・身体と心理、情緒のシステムである人間が、家族や地域社会等と相互作用している。
 総合的かつ包括的な支援、全人的、全領域にわたる支援-アセスメント。

*解説:ホリスHollis, Florence (1907-87) 略
[主著] Hollis, F., Casework : A Psychosocial Therapy, Random House, 1964 (本出祐之・黒川昭登・森野郁子訳『ケースワーク――心理社会療法』岩崎学術出版社,1966).
・公民権法が成立し,「偉大な社会」計画のもとに差別と貧困の解消を目指す社会政策が推進された時期に,ホリス(Hollis,F.)は『ケースワーク:心理社会療法』を刊行し,「状況の中にある人間」をケースワークの中心概念に位置づけた。
・ホリス(Hollis,F.)は,「状況の中の人」という視点から,心理社会的アプローチを確立した。
・ホリス(Hollis,F.)は,人と状況と,この両者の相互作用の三重の相互連関性で  ある「状況の中にある人間」をケースワークの中心概念に位置づけている。

*生活の全体性
 アセスメントでは,クライエントの生活の全体性を見て,多様な環境と人との相互作用のうち,どれが問題に関連しているかを検討できる広い視野が必要である。

*ストレングス視点やエンパワメント・アプローチが重要視されている 。
 ストレングスとは,人が上手だと思うもの,生得的な才能,獲得した能力,スキルなど,潜在的能力のようなものを意味する。
 ストレングス視点とは,援助者がクライエントの病理・欠陥に焦点を当てるのではなく,上手さ,豊かさ,強さ,たくましさ,資源などのストレングスに焦点を当てることを強調する視点であり,援助観である 。
・ストレングスによる面接における支持、肯定する、「~さんなら出来ますよ」等。

・ストレングスとは、人間の内なる可能性、潜在能力、才能、望みなどを含む。
 また、肯定的な心理状況等(自信、意欲、抱負、希望など)。
・先ずはワーカーがストレングスを認め、高くその光を掲げることを促し、社会も気づき、認めること
・自らとその潜在能力を見つめなおすという、クライエントと援助者双方の課題がある。
 自分の強みが何であるかを知って、それを生かすようにすること。
 自分の強みを知るだけでなく、それを日々の生活に生かす努力が必要である。

・他者からの評価ではない、自分の価値を見い出す。
 他人と自分を比較することから解放された生き方への転換の促進である。


・クライエント自身が、自分の長所に注目し、自らの強みを自覚することから、変化ははじまる。
⇒そのプロセスを支え潜在能力を促進するストレングスによる実践。

・ストレングスを活用した実践-クライエントとのパートナーシップのなかで、動機付けを高める。
 クライエントの生活の質を高めることを、語り合いのなかで強調する。

・当事者の生き抜く技法のシェアの必要性-グループワークの場にその可能性がある。

・ここでのエンパワメント-クライエントに外部から援助や指導を注入するのではなく、内なる力、意欲、解決策を引き出し、促進する、強化する。

・人は環境から多大な影響を受けるが、環境を変えていく力(潜在能力)、可能性を持つ。

*人生における幸福の3要素とは、楽しさ(快楽)、充実した人生、人生の意味。
・「意義のある人生」、しかし意義を見失う人々もいる(特に貧困領域 )

ソーシャルワーク定義 国際ソーシャルワーカー連盟2000年 相談援助の基盤と専門職 ブログ筆者講義レジュメ



心理学理論と心理的支援 練習問題 初級
社会福祉士・精神保健福祉士共通科目
<この4月から学習を開始した受講生向き練習問題の入門編>

問題1 ボウルビィ(Bowlby,J.)らの愛着(アタッチメント)の理論に関する次の記述のうち,誤っているものを一つ選びなさい。

1 愛着の理論は,ガンなどの鳥類のすり込み現象,サルの母子関係の成立時における接触快感の重要性を明らかにした動物の行動の研究の影響が大きい。
2 人間発達の初期における愛着の形成は子どもの発達にとって決定的に重要であり,それは特定の人物に向けて焦点化されるとしている。
3 情緒的に不安定な状態にある子どもであっても適切な愛着関係を形成することにより,順調な発達が望めるとしている。
4 子どもの適切な愛着の形成には,子どもの発する信号に気付き,適切に解釈し,機敏に応答するという養育者の敏感性が大切であるとしている。
5 愛着の形成には時期が重要であり,その時期は一般的におよそ乳児期から7歳ごろまでであるとしている。

*解答と解説 ボウルビィ(Bowlby,J.)の愛着(アタッチメント)理論、ジョン・ボウルビィ、マターナル・ディプリベーションとは
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日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


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お問い合わせ 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255
日本福祉教育専門学校本校舎は高田馬場駅から徒歩1分
新宿区高田馬場2-16-3


*解答・解説 は下記をクリック



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<解答>
問題1 答5
5が誤り

<解説>
*ボウルビィ(Bowlby,J.)の愛着(アタッチメント)理論
 ボウルビィは,子どもと特定の養育者との親密な関係の形成を愛着 (アタッチメント)と呼んだ。人間発達の初期における愛着の形成は子どもの発達にとって決定的に重要であり,それは特定の人物に向けて焦点化されるとしている。生後2~3年ほどの時期が重要としている。
 子どもは社会的、精神的発達を正常に行うために、少なくとも一人の養育者と親密な関係を維持しなければならず、それが無ければ、子どもは社会的、心理学的な問題を抱えるようになる。愛着理論は、心理学者であり精神分析学者でもあるジョン・ボウルビィによって確立された。

*ボウルビィ Bowlby, John Mostyn (1907-90)
 イギリスの精神分析医であり,特に児童精神医学の研究に従事した。ボウルビーは,乳幼児と母親あるいは母親に代わる者との愛情豊かな人間関係が子どもの発達に重要であると強調したうえで,集団収容型の児童の保護における「母性的養育の喪失」(マターナル・ディプリベーション)が子どもの健全な発達に悪影響を及ぼしていると指摘した。このような彼の研究は世界各国に大きな影響を与えた。[

*マターナル・ディプリベーション
 母性剥奪と訳される。何らかの理由で親による養育が不可能な子どもは,施設などで養育されることになるが,その場合一貫した養育者が継続的に関わることが困難となる。このように,養育者との一貫した関係が奪われた乳児の状況をいう。家庭における養育であっても,親により適切な対応がなされない場合には同様な状況となる。こうした状況で養育された場合,子どもに精神的・身体的問題が生じるといわれる。
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by yrx04167 | 2016-05-14 15:45 | Comments(0)