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権利擁護アドボカシー、社会正義、社会的コンフリクト、価値の内在化とは 相談援助基盤講義レジュメ 救貧法

相談援助の基盤と専門職 前期第5回講義レジュメ概要1
 当ブログ筆者(本校専任講師、社会福祉士)が、社会福祉士養成学科にて、2016年5月に講義            
<この記事は、ダイジェスト版と講義当日の補足。レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


2.利用者を大切にする相談援助のために テキストP64
・ソーシャルワークは、その価値に基づく専門的技術である。また、専門職各自の価値の内在化と、価値を基盤とする言動と実践、姿勢が求められる。その基礎となる概念を整理する。
◎「無差別平等」,「秘密保持」,「自己決定の尊重」は,社会福祉援助活動に限らず,他の専門職にも共通して取り上げられることの多い重要な倫理項目といえる。
・ソーシャルワーカー社会福祉士は、これらを護るというミッションを持つ専門職とも言えよう。
 その技術に、内面に宿っていなければならないもの=内在化の必要性。


・国際ソーシャルワーカー連盟の定義からは、人権尊重と社会正義がソーシャルワークの原理であると掲げられている。
A.人権尊重  テキストP64
・人権とは、人が生まれながらに当然に有する権利とされるもの。たんに人権,あるいは基本的人権ともいう。
・人権の固有性-全ての人は人間としての権利を持つ
・人権の不可侵性-公権力に侵害・制限されない
・人権の普遍性-全ての人々と共有できるもの

・社会のなかの差別(例:ホームレス、生活困窮者、非正規労働者、精神障害者等)、経済等の格差(子どもの貧困)、慣行(地域社会)等により、この3点の特性は脅かされる。
 事例によっては、社会問題化する場合もある。マクロの側面。
 しかし、社会的コンフリクトは、相互理解、関係構築への可能性も含む。
・ソーシャルワーカーとその実践には、差別の緩和、解消を目指し、マイノリティのいのちと権利を護り、理解を拡げる使命がある。
 ミクロの側面-事例における関係者全ての人権を守ることが出来るのか?

・人権の尊重が、ソーシャルワークの志向性として重要な位置付けである
-実践に活かすために、多面的な視点と理解が必要不可欠となる。当事者と共感的に交流することから。
⇒関係者それぞれの視点で考えること-多様な捉え方を知り、理解し、受容する。


*「社会福祉士の倫理綱領」価値と原則  テキストP65
 「社会福祉士は、すべての人間を、出自、人種、性別、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況等の違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」

<補足>
・「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利において平等である」とした「世界人権宣言」(1948年国際連合第3回総会で採択) 略 講義にて解説
 国際障害者年」とそれに続く「国連・障害者の10年」を通して世界的に広まった「ノーマライゼーション」の思想が、「生活の質quality of life、QOL」 略 講義にて解説
・教育における保障
 民主主義の根幹

・差別、人権侵害に反対することは、ソーシャルワークの昔も今も変わらぬ使命、日々、実践していく。

B.社会正義 テキストP65
・社会正義とは 略  社会的公正とも同義。

(倫理綱領)
「(社会正義)社会福祉士は、差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす。
 (貢献)社会福祉士は、人間の尊厳の尊重と社会正義の実現に貢献する。」

*人権の尊重、社会正義の実現に重要な事柄
・ソーシャルワーカーは、人々を差別、貧困、抑圧、排除、暴力等から解放するための実践を行なう専門職である。問題意識と実行力が求められる。 
例 貧困による心身の健康、逃避(薬物、飲酒、ギャンブル)、犯罪、暴力の世代間連鎖といった問題がある。
 貧困問題とその関連領域=フォーマルとインフォーマル(労働、犯罪、薬物等)への関心の必要性。
 領域ごとの専門知識(理論と実践知)の深化が必要である。
 社会問題への関心と理解を深めること、当事者との交流等も有効である。

・社会正義の実現のため、ミクロ・メゾ・マクロ領域において、人と環境の問題を対象に、ソーシャルワークの方法・メソッドを用いる。

・社会の合意形成-相互扶助

*補足:正義
 アリストテレス
 配分的正義と矯正的(整調的)正義
 自然的正義と人為的正義

確認小テスト キーワード 講義にて解説
アドボカシー  権利擁護
精神保健福祉士法  精神科ソーシャルワーカー
社会福祉援助技術  ソーシャルワーク
社会福祉士及び介護福祉士法  名称独占資格、業務独占
「信用失墜行為の禁止」や「秘密保持(守秘)義務」


ストレングス、人間関係支援、ソーシャルワーク人間観、マターナルディプリベーション 相談援助理論講義
 相談援助の理論と方法 前期第5回講義レジュメ概要 社会福祉士養成科にて

現代社会と福祉 練習問題 初級
社会福祉士・精神保健福祉士共通科目
 今年4月から学習を開始した受講生向き 練習問題基礎


問題2 次の文章の空欄A、B、Cに該当する語句の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
 1601年、「<  A  >救貧法」と称せられる、救貧立法の集大成がなされ、17世紀を通じて< B  >の救貧行政の基本法となった。教区を救貧行政の単位とし,治安判事の監督のもとで,貧民監督官が貧民の保護・監督を行ない,その費用としての<  C  >の課税・徴収を行った。
(組み合わせ)
   A        B       C
1 エリザベス    イギリス    救貧税
2 チャーチル    フランス    消費税
3 カルロス     スペイン    所得税
4 チャールズ    ポルトガル   人頭税
5 ビスマルク    プロイセン   酒税

*解答・解説:救貧制度、救貧法、ワークハウス、ワークハウス・テスト法、ギルバート法とは 記事下方をクリック

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問題2  答1
1の エリザベス、イギリス、救貧税が正しい。

<解説>
*救貧制度 poor-relief system
 公的な貧困対策の一つ。公的制度としての貧困対策は,事前的な防貧対策(公的年金制度など)と,事後的に貧困者を救済する制度がある。この事後的な救済制度を総称して救貧制度という。
 世界最初の救貧制度は資本主義の発達とともにイギリスで制定された。1601年の救貧法は代表的な例である。
 わが国の救護法(1929年),生活保護法(1946年,50年全面改正)も救貧制度といえる。現在では一般的に公的扶助が用いられ,権利としての生存権が保障されている。

*エリザベス救貧法 Elizabethan Poor Law
 イギリス絶対王政の救貧諸立法を集大成するかたちで,1597年法および1601年法として成立した公的救済制度の基本法。教区を救貧行政の単位とし,治安判事の監督のもとで,貧民監督官が貧民の保護・監督の責任を負い,その費用としての救貧税の課税・徴収を行った。労働能力のない貧民には扶養が与えられ,労働能力のある貧民には就労が強制され,これを拒否する場合は処罰された。両親に扶養義務を期待できない児童は徒弟にだされた。1834年の改正で新救貧法が成立。1948年の国民扶助法制定によって廃止となる。

*ワークハウス
 イギリスの救貧法に位置づけられた貧困者の収容施設の一つで,一般には労役場と訳される。1722年のワークハウス・テスト法制定により,救貧法による救済は労役場への収容に限定されることとなった。その後,1782年のギルバート法制定により院外救済が復活し,労役場は無能貧民のための施設となっていったが,1834年の新救貧法制定によって再び院外救済は厳しく制限され,労役場において懲罰的な処遇が行われることとなった。
by yrx04167 | 2016-05-17 19:06 | Comments(0)