相談援助 講義レジュメ 貧困 生活困窮者、アウトリーチ活動とは 全国社会福祉教育セミナー2016報告

当ブログ筆者が報告を行います お知らせ
第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 「ソーシャルワーク教育の新たな発展をめざして」
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題(仮)』2016年10月30日

コーディネーター: 空閑浩人(同志社大学)
発題者: 山本由紀(上智社会福祉専門学校)
     明星明美(日本福祉大学福祉経営学部 通信教育)
     関屋光泰 (日本福祉教育専門学校)
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会


福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント 当ブログ筆者の論文 抜粋 リンク


相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第17回講義レジュメ概要
 当ブログ筆者(専任講師)が、社会福祉士養成学科にて、2015/8/5 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>

7章2節 アウトリーチの方法と留意点 テキストP155~
<ポイント>

 アウトリーチの手法とは、支援を必要としている当事者と出会い、サービス提供システムに対する誤解を解き、支援の拒絶を解消することから開始する。
 アウトリーチには、包括的アセスメントが必要とされる。また、現場の援助者へのバックアップの体制も必要となる。

 事例:地域包括支援センターにおいて、生活問題を抱える高齢者やその家族に対して、アウトリーチの積極的な実施。

1 援助過程とアウトリーチの具体的方法 テキストP161
*孤立した当事者の発見

・クライエントレベルでの対応
 アウトリーチは、地域に出向き対象を発見する。対象を援助へと引き入れていく支援の方法、あり方である。

*諦めと無力を越えて関わる-アウトリーチの力
 支援に繋がっていない当事者は、自らの現状について諦めや無力感が強く、問題意識をもっていないか、解決の動機づけに乏しい場合もある。
 事例
 「これまでも相談しても何にもならなかった。曖昧な笑顔しか帰ってこなかった」
 「皆が当たり前に出来ていることだから、助けて欲しいなんて言ってはいけないのではないか。依存、甘えではないか」
 「このように困っているのは自分一人だけだ。誰にもこの悩みは分かってもらえない」
 「どんなに説明しても理解してもらえない」
 孤独、虚しさ、諦め、絶望のなかで疲れ、眠れぬ夜を過ごす。
 このような当事者に、支援を行おうとしている専門職や住民の声は届かない。

 専門職の側からのアプローチを行い、静かに呼びかけ続け、関わりを創ることから支援ははじまる。
 当事者も専門職の側も、問題をありのままに共に認識できることから問題解決へと繋がる。

 当事者と援助者との関係構築の出発点として、「顔と名前の分かる関係」、対面での関わりがある。人間対人間の信頼関係形成の入り口である。
 当事者が孤立した点と点の状態から、当事者と援助者との、また当事者相互の繋がりの構築を目指す。

・当事者にサービス利用への強い抵抗感がある場合もある。
 過去の否定的な被援助・拒絶体験や、サービス提供システムへの誤解から抵抗が生じていることもある。

・ワーカーは、これらの背景を理解し、受容的な対話により誤解を解き、問題解決の動機づけを高める働きかけを行なう。
 クライエントの、支援を求めることへの障壁を取り除く。
 このため、入口として、クライエントとの間に信頼関係を構築することが不可欠であるが、単に献身的にかかわれば実現するのではない


・トロッター(C.Trotter)は、「ワーカーとクライエントの役割をクライエントが理解するように支援すること(正確な役割の明確化)、社会的にみて望ましいと思われる行動をクライエントがとることを示し、賞賛や何らかの心理的報酬によって強化していくこと(向社会的価値のモデリングと強化)、クライエントが定義した問題の解決に協働で取り組むことなどが有効」。

事例:クライエントがワーカーに対し、「これまでの人とは違う」と実感することが、信頼関係を築くことを促進する。
 実践的には、何度も対象者のもとに通い、気にかけていること、全人的な共感と受容を行動で示す必要な場合もある。
 率直な言葉、訪問の繰り返しという行動で伝える。

 このような関係を継続し、クライエントが感じている問題に共感するスタンスが不可欠である。

*孤立・セルフネグレクトを脱け出すために、訪問というソーシャルワークの基本に立ち戻る
 人間は、困難によって、怒りや絶望のなか、他者との関わりを閉ざすこともある。根底にあるのは、他者への不信である。
 他者との関わりを怖れ、人間関係、社会から隠れているという側面もある。しかし、逃避、隠れることによって、生きていくことが出来ることもある。それは、間違いではない。
 しかし、関わりたい、近づきたいという、人間への希求も存在し、アンビバレントな内面の状態だと言えよう。
 人間は、他者との繋がりによって、自らの力と希望、現実との絆を取り戻すこと、自分の弱さを受け入れることも可能になる。

*緩やかなつながりを拠りどころへ 居場所を創るソーシャルワーク
 自分が強さを、力を持っていることに気づけない、信じられないことからも、劣等感は生まれる。
 一歩づつ誇りを回復していく途が必要だと言える。それは、人の集いのなかでこそ、支え合える。
 その居場所を創り、繋がりを深めていく支援が求められている。
 やがて繋がりは、生きていくことの、大きな困難、痛み、やりきれなさを相互に支え合う拠りどころに成長していく。

*生活困窮者、貧困、ホームレス支援におけるアウトリーチ
 従来、各地のホームレス、ドヤ街等の民間支援活動の三大領域として、
1.「炊き出し」と呼ばれる給食活動、緊急支援、
2.訪問・アウトリーチ活動、「夜回り」「パトロール」等と称せられる。アウトリーチ・安否確認、ホームレスへの嫌がらせ予防の為の巡回活動、
3.医療支援、相談活動 が継続されている。
 日本において、ホームレス支援における訪問(パトロール)が、アウトリーチ活動の初期の実践と言えるのではないか。
 アウトリーチにおいては、関わりのきっかけづくりとして、スープやお茶、ゆでたまご、ニュースレターを配布する団体もある。
 多くの場合、夜間に実施している。一部、行政機関から専門職への委託の場合、昼間に行われているものもある。


・システムレベルでの対応
・イギリスのケアマネジメント 略
 関連システムの、市民に対する広報が重要 略
・住民や関係機関による、ケース発見のネットワークを構築することも重要である。ケアシステム。
 具体的には、見守り活動等の小地域福祉活動が、インボランタリー・クライエントの早期発見・早期対応を可能にする重要な課題である。


*家族関係アセスメント
 ストレングスの発見、積極的な支持
・ライフストーリーの振り返り(一人一人)と、語りの促し-個人と家族の隠された歴史を語るということ。
 家族のなかで無かったことにされているエピソード
・家族の規範、価値観のモニター
・リフレーミング
・家族の課題の提供
・家族の行事や神話の見直し
 偽りの解決。
・気付きの促し
 直面を避けている痛み。

<社会診断>
・全体的に見てどうなのか
・家族全員と会うこと 
・結びつきの強弱-家族
・食生活・食習慣
 金銭管理-収入と支出
 住居―観察:トイレ、湿気、暗い部屋、過密、給水。
・飲酒問題
 退屈なだけの仕事(苦役)と、酒と賭博
 健康的な刺激を


・情報収集と包括的なアセスメントが必要である。情報とは、心理・社会的、過去、内的世界の理解をもたらす情報などである。
・クライエントの関係者によるカンファレンスを開き、情報の共有と、共通理解を図ることも有効である。

*モニタリング
・クライエントの家庭訪問(生活場面面接)は、生活の様子、戸外の都市環境、住宅の物理的環境、近隣関係の把握に有効である。クライエントの本心も語りやすい。
・インフォーマルな協力がある場合は、訪問時に訪ね、情報収集と、負担への配慮をする。
 インフォーマル支援と、人間関係の維持のために必要である。
・サービス利用を行なっている場合は、機関の担当者を訪ね、情報収集や協議を行なう。
 サービス提供の現場を訪ねることも有効である。

2 アウトリーチを行なうための留意点 テキストP164
<補足:訪問活動の理念>
・家族中心
 生活の基盤としての家族。家族のニーズを理解する。
・コミュニティ基盤
 地域社会における相互扶助。
・協働システム
 家族や地域住民との協働。


*アウトリーチを可能にする要因 テキストP164
 座間によるアウトリーチを可能にする要因
①職員に対する要因
アウトリーチの必要性に対するワーカーの認識・力量、職員体制の課題。
②サービスに関する要因
クライエントの個別性に合わせた工夫、柔軟なサービス提供。
③組織的要因
ワーカーが資源活用に関する実質的な権限をもつ、他機関と積極的に連携をとる。
④地域の状況
ワーカー・機関と地域との関係の構築。

*事例:地域包括支援センターの地域連携・地域づくりの活動
①広報活動:市民に相談機関の存在をアピールする。
②地域ケア会議の開催:関係者のカンファレンス実施。
③民生委員・児童委員、学区社会福祉協議会、各種関係機関等との連携
④出前講座、相談会の実施
⑤社会資源調査と情報発信
⑥実態把握活動


*アウトリーチ活動を行なうワーカーのバックアップ体制
 略
・アウトリーチを正当な業務として認める管理者・機関の姿勢が必要である。
 略
<補足>
・アウトリーチを実施できる体制の整備は、機関・施設の運営管理の課題である。


<前回レジュメの補足>
7 ネットワークと連携  テキストP152

 ケアマネジメントの導入以降、サービス担当者のチーム体制、関係機関のネットワーク構築が一般的となってきている。
 地域の問題解決・対応能力として、ネットワークの充実の必要性がある。ソーシャル・サポート・ネットワークの構築、関係機関との連携協力体制を強化することなどが含まれる。

<補足:ネットワークの構築>
 サービス担当者のチーム体制、関係機関のネットワーク構築 

 コミュニティワークは,社会資源の開発の技術として大きな役割を発揮してきた。
 今後も,福祉施設・団体・機関、住民活動などの連携・調整機能,サービスの開発機能を発揮することが求められている。
 「ネットワーク」とは、実践を行なう際に連携したり,組織間のネットワークを構築していくということを指す。
 ソーシャルワークにおいては、問題の改善を援助するにあたって,ひとつの組織による相談援助やサービス提供だけでは効果的でないことは少なくない。
 効果的な援助を行うために,関連する団体間のコミュニケーションを促進し 、て協働するネットワークづくりが必要である。

 しかし、ネットワークには困難が伴う。
 組織間の特性、活動の経緯、方針、メンバーの問題意識、支援方法の違い等が存在する。ネットワークの維持には力量が問われる。
 テーマによる緩やかな連合、得意分野の活用という課題。
<補足:地域への取り組み>
・住民の課題、共通の関心を確認するために地域社会や住民のニーズアセスメントを実施する 。
 地域福祉活動への住民の参加の促進、その効果的な方法の検討。
住民の主体的かつ積極的な参加-住民自身の利益になる変化をもたらす活動。
・地域の活動が民主的に進められるよう、育てる。ルールづくり(意思決定)、役員の構成。
・住民との頻繁な接触、コミュニケーションの促進。
 住民との話し込みからはじまるコミュニティワーク。
 地域の特性、住民を理解する。情報を集める。調査の実施。
・住民相互による支援を発展させ、維持する。


・フォーマル,インフォーマルシステム,政策,経済が,個人や家族,コミュニティに影響を及ぼす。
 住民の生活に影響を及ぼす地域社会の特徴的な要素とは,交通システム,公衆衛生,安全,資源の利用しやすさ,公平性,地域社会の健康の質,教育や社会サービスなどである。
 地域社会からの、個々の住民の生活への影響の検討、相互の助け合い(品物やサービスの交換)。
・フォーマル,インフォーマルな組織を体系化するための基盤(地区のクラブ,PTA、寺・神社・教会等 )
・住民が活躍できる場
・地域社会や近隣におけるストレッサー

・社会調査の技術が求められる
 多様な支援者を募る。


<相談援助の基盤と専門職 前期講義のキーワード集1>
 ソーシャルワークの価値
 ソーシャルワーカーの専門性、現代の社会福祉士に求められる専門性
 支援のための知識
 社会福祉士及び介護福祉士法における位置づけ
 ニーズ・ニードの定義
 社会福祉における「相談」
 社会福祉士の資格の特性
 ソーシャルワークの使命
 Z.T.ブトゥリム(川田誉音訳)『ソーシャルワークとは何か』川島書店
 QOL  quality of life
 ソーシャルワークを構成する要素
 ディーセント‐ワーク
 地域包括支援センター
 生活困窮者自立支援法が意味するもの
 自尊感情の貧困

 「ハード福祉=社会福祉制度」と、「ソフト福祉=ソーシャルワーク」
 ソーシャルワークの根源的な課題
 自己決定
 精神保健福祉士の役割と社会福祉士との協働
 精神保健福祉士法(平成9年 法律第百三十一号)
 精神保健福祉士の専門性
 ソーシャル・サポート・ネットワーク
 セルフヘルプ・グループ(自助グループ)
 アルコホリクス・アノニマス AA
 アルコール依存症の概要
 スティグマ
 福祉教育

 全人的なニーズの捉え方と支援のあり方
 マイノリティとソーシャルワーク
 補充関係 メイヤロフ
 孤独死
 深刻な問題や課題の顕在化
 ソーシャル・インクルージョン
 子育て支援
 多問題家族
 貧困の世代的再生産(世代間連鎖)
 引きこもり・ニート
 DVのサイクル
 虐待  試し行動、愛着行動
 拒否的 インボランタリークライエント
 超高齢・少子社会
 公助、共助、自助

 コミュニティづくり
 社会福祉協議会
 コミュニティソーシャルワーカー
 利用者の価値観と支援の困難
 ネットカフェ難民
 協同労働 ワーカーズ・コレクティブ
 生活保護制度
 生活の主体
 コミュニティ(地域)・ケア
 施設ケア
 レジデンシャル・ソーシャルワーク(residential social work)
 施設の社会化
 施設症 institutionalism
 ネグレクト
 子ども虐待の定義
 ユニットケア
 大舎制,中舎制,小舎制,
 学校(スクール)ソーシャルワーカー
 障害者の地域生活支援
 自立生活思想
 ピア・カウンセリング
 福祉コミュニティ
 小地域ネットワーク活動(小地域福祉活動)
 チームアプローチ
 フォーマルサポート
 ホリスティック
 ストレングス
 生活の全体性


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<当ブログ筆者の論文>
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


<ブログ記事 バックナンバー>
当ブログ記事バックナンバー 福祉施設職員研修



第28回社会福祉士国家試験合格発表2016年 正答と合格基準 日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科 合格率84.9%62人合格 一般養成施設ルート(通学)合格者数全国第1位。

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by yrx04167 | 2016-08-07 11:37 | Comments(0)