第2回講義 相談援助における社会資源とは 当ブログ筆者の公開講座「介護予防ボランティア養成講座 地域の居場所づくり」社会福祉協議会主催 学習支援コーディネーター講座
2.社会資源について
*補足:社会資源に関して
・社会資源とは,援助の行われる生活環境に実在するものである。不足もしくは無いときに、開発する場合もある。
・来談者のニーズは多様であり、例えば貧困・低所得者のなかでも,経済的な保障のみで自立可能な人から、人間関係や住居の支援を必要とする人まで,様々である。
これら人々のニーズとその変化によって、必要な社会資源も多様である。
1.社会資源とニーズの調整
・ソーシャルワークの役割として,ニーズと社会資源とを調整すること、また利用者が社会資源を利用できるように援助すること、加えて社会の変動により生じるニーズの変化に応じ,新たに社会資源を開発することが求められる。
*社会資源の開発は、ソーシャルワーク、地域福祉活動の重要な課題の一つである。
コミュニティにおいて、住民と協働して当事者、住民が必要としている社会資源を開発する。
コミュニティが必要としている資源は、コミュニティ主体で、地域に合ったものを力を合わせて皆で創っていく。
これこそ、住民主体の地域福祉活動である。
住民が主役の地域福祉活動、共助を促進するソーシャルワークによる支援が課題である
◎ソーシャルワーク実践には,社会資源の再活性化や新たな資源の創出に向けた活動が含まれる。
◎社会資源の活用・開発にあたっては、社会資源充実のために当事者の意見に耳を傾ける。
援助に必要な資源が無い場合に、諦めるのではなく、当事者の声に耳を傾け、工夫し、既存の資源の改善を図っていく。
ソーシャルワークは利用者中心であり、利用者に合わせて資源も開発していくところに特徴がある。
ソーシャルワークの醍醐味とも言える。
2.ソーシャルワークにおける社会資源の位置
・社会資源とは、社会生活上のニーズの充足や問題解決のために活用される多様な資源の総称である。
施設・機関,設備,備品,資金等の物的資源,ソーシャルワーカーなどの各種専門職,家族,ボランティア等の人的資源,制度,政策,法律等の制度的資源のほか,知識,技能,情報など、あらゆるものが含まれる。
・仮に、社会資源無しでは個別援助は展開できない。
・また、来談者は多くの場合、有効な人的資源と繋がることが出来ない、不足がある。
換言すれば、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の欠乏とも言える。
繋がりの貧困、公私の支援からの孤立。
・だからこそ、個別のニーズにフィットした資源の開発、社会資源のマネジメント、繋がりの構築=ネットワーキングの支援として、ソーシャルワークの専門性が求められている。
相談のプロセスで、クライエントのニーズに応じた社会資源へのアクセスを支援する。
・クライエント本人が気づいていない身近なインフォーマルな資源への気付きや、捉え方の転換も支援する。
・クライエントにとって、必要としている支援を積極的に求め、アクセスすることは生き抜くための技法である。
・社会資源は、ソーシャルワークを構成する最も基本的かつ不可欠な要素、キー概念である。
ソーシャルワークの援助は,社会資源と切り離すことはできない、密接で不可分なものである。
・ネットワークとして連携することで,個々の社会資源の有効性を高めることができる。
・利用者の資料の収集は、その取り巻く環境の情報に加え、個々のインフォーマルな資源やフォーマルな社会資源の状況、利用者との関係なども、情報収集する必要がある。
3.内的な資源と外的な社会資源
・外的な社会資源ばかりが資源ではなく,利用者の内面にある問題解決の力、援助への動機づけは、内的な資源である。
・援助者は社会資源を動員しながら,利用者が資源に依存し自らの能力を低下させるのではなく,利用者の能力といった内的資源を刺激し、活用することで利用者の問題解決と対処の能力を高めることを目指す。
・内外の資源を開発するソーシャルワークの働き。
障害者福祉施設の支援員、高齢者福祉のケアワーカー、児童福祉施設の指導員や保育士等、現場の福祉施設職員への支援である。
介護福祉、社会福祉領域の従事者の離職率の高さ、つまり福祉の現場から人が逃げていくかの様な状況を放置せず、改善を図らなければならない。介護士や支援員等、福祉施設職員の働く環境の問題等の課題がある。
専門職キャリアの入口の支援だけではなく、職員の研修や個別の支援、メンタルヘルスへのサポートを拡充すべきと考える。