講義レジュメ 社会的養護、里親養育、一時保護、貧困の連鎖とは インテーク面接、コミュニケーションの留意点、相談援助

保育士養成課程にて、当ブログ筆者が講義
インテーク面接の留意点 概要

相談援助 第2回講義レジュメ4 (レジュメ要約) 

3.インテークの内容
*概要

 インテークは,「取り入れること」あるいは「受理」面接と訳すことができる。

・通常、インテークは,問題が持ち込まれた時点で,初回の面接というかたちをとって行われる。

 単なる事務的な”サービス申請書類の受理”と混同しないため,「インテーク」という言葉が使用されている。

・ケースワーク・相談援助は、実質的にインテークによって開始される。


*インテークでは次の三つの点に注意しながらすすめる必要がある。
①申請者(この段階では利用者ではない)の主たる訴え(主訴)に十分耳を傾け(傾聴),その要求(ニーズ)が何であるかをあますところなく表明してもらい,的確に把握する。

②援助者が所属する機関や施設が提供できるサービスの内容と機能を情報として明示し,申請者の要求と関連させて十分な理解と納得がいくようにわかりやすく説明する。

申請者の要求と、施設・機関の提供できる機能とが適合するか否かを検討しつつ,申請者による選択を促すことが重要である。


*インテーク面接における、コミュニケーションをとる際の留意点とは 

 インテークにおける相談員の姿勢の基礎とは、来談者を理解しようとする気持ちを持つことである。

 来談者の主訴、感情を理解したいという受容的な態度である。

 来談者が表現する言葉が必ずしも本人の真の主訴、感情であるとは限らない。その表情や行動による非言語、社会的な背景からその言葉の潜在的なものを考える。

・支援のあり方として、来談者への共感、存在と個性の肯定、全人的な理解と尊重が基本となる。

 来談者中心、来談者主体の支援につながる。理解と想像力を持つことは、危機の予防も可能となる。


(契約)
 申請者の要求と、施設・機関の提供できる機能とが適合するか否かを検討しつつ,申請者による選択と、解決に向けた協同の確認を行なう。

*二つ(二重)の不安
・社会福祉機関、福祉施設に相談を持ち込む人は,二重の不安を抱いている。
 直面する問題からもたらされる不安と,いま直面している問題について,相談を持ち込もうとしている機関や施設の職員が真摯かつ受容的に対応してくれるかどうかの不安である。
援助者はインテーク段階で利用者の話を「傾聴」し,この二重の不安を緩和するという援助を開始する。これはカタルシスを図るという意味も持つ。

 医療が診断を下すまで治療を開始しないこととは異なる、ケースワークのプロセスのあり方である。


◎解説:カタルシス catharsis
 今日では一般に,心理的な浄化をさす。抑圧された怒りや悲しみなどの情動を言語により発散し、心の緊張を解消させる。

*率直な感情表現の相互性、コミュニケーションの深化

・関わり、相互作用の継続と深化は、クライエントと援助者の双方が、表向きの自己、見せかけに感情を隠すことは出来なくなる。

率直な感情の交流が、重要な過去の感情の表現「あの出来事で生じた感情」の表現を促す

 人間は誰でも生活問題、家族問題、内面の問題を抱え、自力で解決が出来なくなることが起こり得る。特に家族介護、心身の病気、ターミナルにおいて。

 喪失というソーシャルワークの支援の最大のテーマ、健康、仕事、人間関係、財力等、すべてのものはやがて失う。

 例えば、生老病死=避けることのできないこの世での人間の4種の苦悩。何一つ人間の思うようにはならない。

 生まれること、老いること、病気をすること、死ぬこと。四苦。

 生活問題-経済的困窮、働くことを巡る問題、人間関係、医療・介護の問題、交通の問題等。

 社会福祉領域の支援者とは、人生の苦境のなかにある人々の隣に寄り添うことが、専門職としての使命である。


*対応時の留意点
・援助者が申請者の不安を和らげようとするあまり,安易に問題解決を請け負ってしまうことのないようにすべきである。

過度の依存や,問題解決がうまくいかないときの援助者あるいは所属する機関や施設に対する利用者の不信につながる可能性がある。

*ラポールの形成、傾聴、個別化

・信頼関係形成のために、援助者は利用者が表出するニーズや情動を受け止め,理解できていることを利用者に的確に伝える必要がある。

・また、面接を行ないながら、相手を観察することも重要となる。
・ソーシャルワークのインテークの特徴は,この段階から援助の一部が開始されていることにある。
・インテークは、慎重な対応のうえにも緊張と不安が和らぐような雰囲気のなかで面接が行われる必要がある。
 自分の声にも耳を傾けてくれる、孤立から脱する、もう一人ではないという人間関係の実感を、面接によって獲得する。


*スクリーニング 
・援助要求の確認作業では,その援助が当該の機関や施設では提供できないことが明らかになる場合もある。この場合,相談を持ち込まれた機関や施設が,利用者にほかの機関や施設を紹介したり,その相談を適切な機関に送致する。
・申請者は資源にたどり着いたという状況であり不安感も強いのであるから、つなぎすぎるということはない。


*緊急度の検討
・クライエントの問題の、緊急度の検討が必要不可欠である。
・急迫した問題や、利用者がパニック状態になっている場合、インテークも必要最小限にとどめ、援助者の判断で必要な援助を行ない、状況が安定した段階で、改めてインテークから個別援助の過程を開始すべきである。
 状況が安定した後に、利用者自身が今後のことを考えていけるよう援助することも重要である。

*役割とサービス内容の明確化
・インテークでは,問題解決における援助者の役割と援助者が属する機関や施設が提供するサービスについて,利用者に説明する。
 これは,社会福祉制度のもとに保障された利用者の権利を明らかにするとともに,過度の依存や不信を回避するためにも必要な作業である。

◆援助担当者との引継ぎ
福祉事務所における生活保護申請窓口や,一部の児童相談所,民間の相談機関にはインテーク専門のワーカーが配置されているが,インテークが終わった段階で援助担当者に引き継がれることになる。
・インテークを担当したワーカーは,担当者の変更を利用者に伝え,継続して援助を利用するうえでの動機づけを行う。また,インテークワーカーは援助担当者にインテークで得られた情報を提供し,アセスメント以降の課題についても伝達する。

・インテークにおける情報収集の留意事項は、必要事項を自然な流れで聞き,傾聴に集中する,情報は本人だけでなく,家族や関係者からも聞くことも必要な場合がある,個人情報保護、守秘義務について注意する,などである。

<当ブログバックナンバー>
 2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国 「悩む職員の心のケア」(やまゆり園事件が残したもの:下)
 朝日新聞から取材を受け、障害者福祉施設等において支援、ケアを担う現場職員を支援する必要性を筆者は提言した。
 また、筆者の開発した「福祉施設職員のストレスケア研修」プログラムは、福祉施設の現場を支えたいという想いから開発し、施設職員のストレス対処、感情労働、セルフケアをサポートするために実施を続けていること等をコメントした。

 介護留学生支援、外国出身の介護福祉士(在留資格「介護」の創設)の増員と並行して行うべきことがある。
 障害者福祉施設の支援員、高齢者福祉のケアワーカー、児童福祉施設の指導員や保育士等、現場の福祉施設職員への支援である。
 介護福祉、社会福祉領域の従事者の離職率の高さ、つまり福祉の現場から人が逃げていくかの様な状況を放置せず、改善を図らなければならない。介護士や支援員等、福祉施設職員の働く環境の問題等の課題がある。
 専門職キャリアの入口の支援だけではなく、職員の研修や個別の支援、メンタルヘルスへのサポートを拡充すべきと考える。
 <「全国社会福祉教育セミナー2016(主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会 於:淑徳大学)」における筆者の報告に、加筆したものである>



<社会的養護、子どもの貧困に関連して>
日時  :11月19日(日)14~18時  ※開場13時半
会場名 :快・決いい会議室 KDX東新宿ビル内 ホールA
所在地 :〒160-0021 東京都 新宿区 歌舞伎町2-4-10 KDX東新宿ビル 3F
アクセス:地下鉄副都心線・大江戸線「東新宿駅」から徒歩1分
参加費 :無料
お問合せ:kodomo_forum.2017@living-in-peace.org<mailto:kodomo_forum.2017@living-in-peace.org>
お申込み:https://goo.gl/emQMbj

【プログラム(予定)】
3. パネル「新しい社会的養護のビジョン - 変わるもの、変わらないもの」
引用「社会的養護のあり方についての国の方針が大きく変わろうとしています。この数年の間に社会的養護の全体制度策定に深く関わってきた方々が、それぞれの考える社会的養護のビジョンについて語ります」
*登壇者
 奥山 眞紀子(国立成育医療研究センター こころの診療部 部長)
 鈴木 聡(三重県児童相談センター児童相談センター所長)
 藤野 興一(社会福祉法人鳥取こども学園 理事長)
 山本 麻里(厚生労働省 内閣審議官)
*モデレーター
 慎 泰俊(NPO法人Living in Peace 理事長)

4. パネル「社会的養育の現場から」
引用「社会的養護は、家庭の貧困・虐待から始まり、一時保護、里親・施設養育、卒業後の支援と幅広い分野にまたがっています。それぞれの現場で長年子どもたちに関わってきた専門家らが、自分たちの見てきた世界を語り、これからの社会的養育がどうあるべきかについて語ります」
*登壇者
 上栗 哲男(社会福祉法人広島新生学園 園長 理事長)
 山口 公一(社会福祉法人筑波会 理事長)
 ロング 朋子(一般財団法人ベアホープ 代表理事)

5. 私たちに今すぐにできること

引用「私たちが暮らしている日本には、虐待などを背景に親と暮らせない子どもたちが全国に約5万人います。
 その子たちは、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、里親など、児童福祉法によって定められた養育環境で日々を送っています。保護者の代わりに別の大人が子どもと愛着関係をきずき、子どもの成長を見守っていくのです。
 そのような養育のあり方を「社会的養護」と呼びます。
 2016年、児童福祉法が大きく改正され、「子どもの権利」を尊び、子どもの最善の利益を追求すること、社会的養護において家庭的な養育環境を目指すことが宣言されました。
 さらに本年8月には、厚生労働省より「新しい社会的養育ビジョン」という社会的養護全体に関わる抜本的な改革案が提出されています。
 このビジョンには、幼児は里親養育を原則とすること、施設も子どもの一時保護の役割を担っていくことなどが記されています。
 社会的養護下で暮らす子どもたちに目を向けることはまた、「子どもの貧困」というもう一つの社会課題に目を向けることでもあります。日本では依然として、7人に1人の子どもが「相対的貧困」と呼ばれる生活困窮家庭で生活しています。
 経済的困窮は子どもから人とのつながりや心の健全な成長を奪い、大人になったときの貧困、さらにその子どもたちの貧困と連鎖していきます。多くの場合、そのなかで虐待も発生します。こうした背景から、社会的養護下で暮らす子どもには生活困窮世帯の出身が多いのです。
 子どもの貧困は大変に大きく複雑な社会課題ですが、社会的養護はその解決の鍵となります。社会的養護がすべての子どもに最善の利益を提供できれば、社会的養護を入り口に貧困の連鎖を止めることができるはずです。
 当日は、家庭の貧困・虐待、児童相談所、施設・里親、自立支援にまたがる社会的養護の全体像を俯瞰し、それぞれの分野を牽引してきた方々の話に耳を傾け、過去に里親養育に大きく舵を切った欧米諸国に学びながら、今の私たちにできることは何かを考えたいと思います」引用ここまで

「新たな社会的養育の在り方に関する検討会」(座長:奥山眞紀子 国立成育医療研究センターこころの診療部長)では、このほど、「新しい社会的養育ビジョン」をとりまとめましたので、公表します。


<ルーテル学院大学 ファシリテーター養成講座修了生グループの活動紹介>
 関心をお持ちの皆様、ぜひ、ご参加下さい。
*詳細は下記をクリック
 災害発生時、困難に直面する方々の孤立防止に関心をお持ちの方のための情報!
日時:平成29年10月28日(土)14時から16時30分
会場:前原暫定集会施設A会議室
講師:荒井康善さん(小金井市聴覚障害者協会 会長)

*プログラム
第1部 講演会 午後2時から3時
     聴覚障がいとは
     東日本、熊本大震災を見ての現状
第2部 ワークショップ 午後3時10分から4時10分
     第3部 災害ボランティア、情報の交差点から情報提供 午後4時半終了

対象:障がい、福祉に関心のある方 聴覚障がいについて知りたい方
参加費:無料
定員:30名(定員に達し次第締め切ります)
主催:情報の交差点チーム
共催:小金井市社会福祉協議会
後援:三鷹市社会福祉協議会・武蔵野市民社会福祉協議会
協力:ルーテル学院大学



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by yrx04167 | 2017-10-09 20:41 | Comments(0)