江東区社会福祉協議会 江東区障害者福祉センター主催
江東区障害者施設職員研修会 平成30年2月
支援の場面でのストレスと職場の人間関係のストレス 事例を用いた研修
当ブログ筆者が 講師を担当
福祉施設の職員間の人間関係、コミュニケーションのストレス。職員のサポート。「燃えつき バーンアウト」からの回復、ストレスケア。
概要の報告 その1
<事例1>
理想のケア・支援と、施設の現実との間のギャップに悩み、転職も考えてしまいます(支援員、30代)
大学(文系学部)を卒業後、5年間程、一般企業に勤務しましたが、職場の人間関係に悩んでいました。人間に関わるやりがいのある仕事、自分らしく働ける仕事を求めキャリアチェンジを目指し、社会福祉士養成(通学課程)の専門学校で学び、今の職場に就職しました。
新設の障害者福祉施設でしたので、就職した当初は何もかもが目新しく、新たな施設を創っていこうとワクワクする日々でした。
しかし、1年半が過ぎ、私に見えるのは、理想の支援と現実のギャップだけです。専門学校の時から抱いていた「理想の支援、ケア」とは程遠い現実が毎日、施設では繰り返されています。
例えば、「一人ひとりの利用者の声を大切にします」という理念が掲げられているのに、利用者本位とは思えない言動で対応する同僚が何人もいます。利用者の声に「集団生活なのだから、我慢して下さい!」と強く遮ったり、「ちょっと待って、後でね」等とスルーしています。実のところ私も、周囲の同僚と同じような言動を度々するになってしまいました。こんな自分に罪悪感と自責を感じ、落ち込んでしまいます。
利用者の自己決定の尊重、自己実現、利用者本位は、施設のどこにあるのでしょうか。社会福祉とは、こんなものなのでしょうか。
このような問題意識を他の職員と共有することを試みましたが、他の職員は「そんなことを誰がやるの!お願いだからこれ以上仕事を増やさないで」「真面目すぎるよ、若いね。NPOでも立ち上げて自分で活動したら。頑張れ青年!」等と取り合ってくれません。利用者支援への考え方、福祉への思いを共有することが、誰とも出来ない職場は、虚しさを感じます。心身がすり減り、疲れてしまって、もう辞めようかなという気持ちもあります。
事例ここまで
<当ブログ筆者が講師の「福祉施設職員ストレスケア」研修-現場からの反応 抜粋>
・理想のケア、理想の介護と現実とのギャップがある。これでは、本当のケア、支援ではないのではないか。
・現場の燃えつきそうな職員、疲れきった職員にどのように声を掛けるのか。
サポートを必要とする職員に関わるきっかけを、どのように作るのか。
管理職、組織として何をすべきなのか。
・実践に熱心ではあるが「空回り」の傾向の後輩、同僚をどのように気づかせ、支えたらよいのか。
<事例1への対処方法(一部抜粋)>
・実践の困難、慢性疲労の原因を探る。
当ブログ筆者による「福祉施設職員のためのチェックリスト」
・理想、理念について
本人の燃えつきバーンアウトや、職員間の人間関係の摩擦になることもある。
しかし、福祉施設の実践において必要なものである。
・本人へのアドバイス-伝え方の工夫。
<研修内容 職員間のコミュニケーション、職員のストレスケア 一部抜粋>
・職員のメンタルヘルス不調、気分の落ち込みの気づきのポイント(周囲が気付く変化とは)
・ストレッサーの分析 <先ず本人の自覚、自己理解から>
・ストレッサーとは、ストレスを引き起こす因子となるもの。さまざまなものがストレッサーとなりうる。
ストレッサーとなるかどうか,またどの程度のストレスを引き起こすかは,個人差がみられる。
・自己分析の必要性
①何がストレッサーか。
②どんな影響か。
③緩和する資源は。
これらと、ストレスコーピング、個性、心身の健康、年齢等が相互に関連する。
・自己理解の必要性-自分自身への理解を深め、ありのままの自己を受容すること
他者の捉え方、ストレスの感じ方(苦手な場面)について、自己の理解を深める 。
・ストレス対処の方法、リフレーミング
認識の枠組みを変えること-リフレーミング。
・心身の疲労のリミッター。自分自身の弱さ。
・自分自身への理解、自分自身との対話する能力
・施設職員間のピアサポート
・職員である自分自身をサポートするネットワークを構築すること
<続く>
当ブログ筆者は、自身の約23年間のソーシャルワーク実践(生活困窮者や精神障害者対象のグループワーク、相談援助等)の経験、事例を活かした研修を下記の東京都「登録講師事業」等で実施しています。社会福祉士や介護福祉士、精神保健福祉士等の養成に携わってきた、ソーシャルワーク教員としての知識も用いています。
福祉施設の現場を支えるため、職員のストレスケアや面接・コミュニケーション、グループワークの技術、障害者福祉や生活困窮者支援等の研修を80ヵ所程の福祉施設で実施してきました。
福祉施設職員の困難の原因と、ストレス対処方法を事例も用い学びます。
高齢者介護職や障害者施設の支援員、保育等の施設職員の燃えつきや離職を予防し、心身のセルフケア等により、職員と職場をサポートする研修です。
福祉施設職員の人間関係、コミュニケーション 事例から学ぶ 科目番号117
福祉施設の職員間の人間関係の難しさと改善の方法を、また利用者とのコミュニケーションの課題を、事例も用い学びます。
障害者・高齢者福祉施設等の人間関係と職場の改善を図り、職員のストレスの緩和を図る研修です。
障害者福祉施設等におけるグループワークの基礎 科目番号63
グループワークのプロセスや、プログラム立案と実例、形態、考え方等、援助技術の基礎を解説。
福祉施設や集団の人間関係を深め、生活の活性化を図るグループワークの方法を、事例も用い学びます。
障害者福祉施設の新人職員等基礎研修 科目番号115
障害者支援の視点やコミュニケーションスキル、職員の倫理等の基礎を、事例も交え解説します。
新人職員等の資質向上もテーマに、福祉援助技術の基礎、姿勢、考え方など、障害者福祉施設の職員をサポートする研修です。
貧困、生活困窮者対象のグループワーク実践 科目番号217
生活保護受給者、生活困窮者等を対象としたグループワークのプログラムと留意点などを、講師の実践や事例も用いて解説。
アルコール依存症の回復支援等の精神保健福祉、地域生活支援、孤立予防の課題も学びます。
貧困、生活困窮者(子ども)支援の考え方 共生社会の課題 科目番号218
子ども食堂等の地域福祉活動の拡大をふまえ、社会的排除、貧困の捉え方や、生活困窮者・児童支援の考え方、関連する健康問題等の基礎を解説。
共生社会、ソーシャルインクルージョン志向の活動事例や、アウトリーチ等の課題も解説。
初回面接(インテーク)の基礎 初対面の利用者とのコミュニケーション技術 科目番号178
訪問等における、初対面の利用者とのコミュニケーションや電話相談にも応用可能な、インテーク面接、相談の基礎を、生活困窮の事例も交え解説。
早期支援により、社会的孤立と危機を防ぐアウトリーチの考え方も扱います。
面接の基礎 バイステック7原則を基盤に学ぶ援助関係の構築 科目番号179
相談や訪問における利用者との人間関係の構築、面接技術、相談の基礎を事例を交えて学びます。
バイステックの7原則を基盤に、利用者との良好なコミュニケーションの方法、姿勢、視点等を解説します。
福祉施設職員の職業倫理、ハラスメント予防研修 科目番号155
高齢者や障害者福祉施設等におけるハラスメントの予防を図る、事例やチェックリストを用いた職業倫理の研修です。
介護職員や障害者施設の支援員に求められる倫理や福祉マインドの基礎を学び、資質向上を図ります。
社会福祉の歴史の基礎 福祉援助の源流から学ぶ 科目番号216
セツルメント等の地域福祉活動、貧困問題と児童福祉、訪問・相談事業など福祉援助の源流を探り、歴史や先人から学びます。
今日のコミュニティ福祉、共生社会、ソーシャルインクルージョンの課題解決のヒントを歴史から探究する研修です。