2017年 09月 19日 ( 1 )

筆者の担当講義 精神保健福祉学科、社会福祉学科にて。

地域福祉の理論と方法 第10回講義レジュメ

1 社会福祉法の施行と福祉コミュニティ

・社会福祉法第4条は、実質的に福祉コミュニティの形成を理念として掲げた(2000(平成12)年6月に改正・改称)。

⇒福祉コミュニティづくりを法律上明記した意義。

・社会福祉法第四条

 「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない」

*福祉コミュニティとは

 地域社会を「福祉」という機能の面から捉えた概念である。

 略

福祉社会をコミュニティ・レベルで実現することを意味している。

<補足>

福祉コミュニティとは、一般のコミュニティの形成を基盤にして、福祉的な援助を必要とする人々と共に生きるバリアフリーの状態を地域社会のなかに実現し、

コミュニティに具体的な社会資源やサービスを整備し(制度的・資源的要件)

地域の住民が社会福祉に関心と理解をもって、それに積極的に参加する(態度的要件)コミュニティのイメージである。

つまり、ノーマライゼーションが地域に根づいている福祉社会という意味でのコミュニティを指している。

無関心、不寛容、無理解といった心の障壁、バリアを克服していくことを促進する。地域福祉の働きの一つである。

ハンディキャップの有無、文化の違いなど、多様性のある人々が共に生きるコミュニティを組織化する。

地域の結びつきも深めていく、繋がりを創る。

居場所づくりとしてのコミュニティカフェ、オレンジカフェ、子ども食堂の働き。

また、コミュニティに暮らす一人ひとりには、人間としてその力の限界があるが、地域で共に暮らす仲間として受け容れ合うこと、支え合うことが求められる時代である=共助を促進するコミュニティワークへ。


*福祉のまちづくり

 最広義には,福祉コミュニティの形成など,援助を要する人々を市民として受け入れることのできるノーマライゼーション社会の実現を意味している。

■岡村理論にみる福祉コミュニティの考え方

 福祉コミュニティの考え方を最初に提起した岡村重夫は、地域福祉における地域共同社会のもつ意味を支持した。

・「福祉コミュニティ」の必要性

社会的不利条件をもつ少数者の特殊条件に関心をもち、これらの人々を中心とした『同一性の感情』をもって結ばれる下位集団が『福祉コミュニティ』である。

「福祉コミュニティ」は「社会福祉サービスの利用者ないし対象者の真実の生活要求を充足させるための組織体である。

市民社会型地域社会

生活者としての住民の主体的参加

地域的連帯責任

■岡村・福祉コミュニティ論の今日的課題 テキストP29

1970年代から、福祉ニーズの普遍化-社会福祉問題の国民化と地域化。

岡村の「一般住民の生活課題と福祉サービス対象者の福祉課題との乖離」が縮小しつつある。

福祉サービス(介護、育児等)を必要としている人は特殊な条件の下にあるのではない

・岡村は地域福祉の構成要件の一つとしてコミュニティケアを指摘-一般的社会サービスとは異なる。

⇒今日、地域福祉はコミュニティケアの個別支援機能を中核にしながら、ソーシャルサポートネットワーク構築、ユニバーサルデザインの都市、福祉教育の推進、社会参加の促進へ。福祉コミュニティの総合的な展開

・「一般コミュニティ」を、岡村の「福祉コミュニティ」の視点において再構築する。

・従来の町内会、自治会等の「地域コミュニティ型組織」と、共通の関心で結成された「アソシエーション型組織」とが、生活圏域、市区町村を基盤にして、地域福祉のプラットホームをつくり、活動をして推進していくこと。

*解説:アソシエーション

(略)

<福祉コミュニティの形成に向けて>

地域福祉の基盤となるコミュニティは、福祉コミュニテイである。

その思想の根幹は多様性を認め合う社会、いかなる少数者も少数者であることに誇りをもって生きることのできる社会の実現というノーマライゼーションであり、中核には常に当事者が存在しなければならない。すでに住民の参加とネットワークにより社会福祉法人を住民が運営する動きも始まっている。

コミュニティ概念には地域社会と共同社会という2つの意味内容が含まれるが、公共性・共同性が喪失しつつある現代社会で、現実にある問題や課題を打開する過程のなかで共同社会を実現していく道が地域福祉であり、少数者を排除しない共同杜会に向けて、共同の活動、組織、システムを創出する動きがボランティア活動等でも始まっている。

排除しない、受け容れ合うコミュニティは、時間の流れと共に成長し、深みを増し、その内面は発展していく。

少しづつ共通の想い、価値観が創られていく。

本物のコミュニティとは人々の生き方であり、暮らし方、物事のとらえ方である。

人と人との繋がりのように、目に見えるものよりも、みえないものこそ重要とも言える。


<当ブログバックナンバー>
 2017年7月26日 朝日新聞朝刊 全国 「悩む職員の心のケア」(やまゆり園事件が残したもの:下)
 朝日新聞から取材を受け、障害者福祉施設等において支援、ケアを担う現場職員を支援する必要性を筆者は提言した。
 また、筆者の開発した「福祉施設職員のストレスケア研修」プログラムは、福祉施設の現場を支えたいという想いから開発し、施設職員のストレス対処、感情労働、セルフケアをサポートするために実施を続けていること等をコメントした。

 離職、職業訓練(求職者支援制度)を経て、介護施設へ就職をした元訓練生の介護職員対象のグループインタビュー、ヒアリング等から、彼ら彼女らの介護現場における離職等につながり得るストレス要因について考察したものである。 

 介護留学生支援、外国出身の介護福祉士(在留資格「介護」の創設)の増員と並行して行うべきことがある。
 障害者福祉施設の支援員、高齢者福祉のケアワーカー、児童福祉施設の指導員や保育士等、現場の福祉施設職員への支援である。
 介護福祉、社会福祉領域の従事者の離職率の高さ、つまり福祉の現場から人が逃げていくかの様な状況を放置せず、改善を図らなければならない。介護士や支援員等、福祉施設職員の働く環境の問題等の課題がある。
 専門職キャリアの入口の支援だけではなく、職員の研修や個別の支援、メンタルヘルスへのサポートを拡充すべきと考える。
 <「全国社会福祉教育セミナー2016(主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会 於:淑徳大学)」における筆者の報告に、加筆したものである>


<参考>

外国人介護人材に熱い視線 日本語学校や福祉施設がセミナー

2017年09月13日 福祉新聞

引用「日本語学校、介護福祉士養成校、福祉施設が集まり、外国人介護人材の活用について情報を共有するセミナーが8月31日、都内で開かれた。

介護現場の取り組みについて講演した竹田一雄・社会福祉法人若竹大寿会理事長(横浜市)は、略。同法人は2015年からEPA(経済連携協定)に基づき介護人材を受け入れ、現在、技能実習生の受け入れに向けて現地で面接選考を行うなど外国人雇用に積極的に取り組んでいる。外国人人材への日本語研修のほか、日本人職員に受け入れにあたっての教育も行っている。竹田理事長は、法人内では外国人人材の記録業務に問題はなく、利用者とのトラブルもないという。外国人人材の介護の適性は高いとし「外国人ゆえのトラブルではなく、受け入れる法人の経営者や職員の質に問題があることが少なくない」と指摘した。 同法人では最終的に外国人人材を常勤職員の1割程度(70~100人)に広げたいとしている。

外国人介護人材をめぐっては9月1日に外国人の在留資格に介護が追加され、11月1日には技能実習制度に介護が追加される」引用ここまで


外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ 厚生労働省

<子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin熊本 開催概要>

子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

日時 2017年10月8日(日) 13時~17時

会場 熊本県庁 地下大会議室 (熊本市中央区水前寺6-18-1)

主催 公益財団法人 あすのば

共催 熊本県

後援 内閣府/熊本県教育委員会/熊本市/熊本県社会福祉協議会/熊本県母子寡婦福祉連合会

助成 公益財団法人 キリン福祉財団

プログラム

■第一部(全体会)13時~15時

主催者あいさつ(小河光治・代表理事)/共催者あいさつ(蒲島郁夫・熊本県知事)

来賓あいさつ(多野春光・熊本市副市長)

熊本県の取り組み発表(冨永章子・熊本県子ども家庭福祉課長)

パネルディスカッション『子どもの貧困問題を熊本で考える』

●パネラー: 稲田明日菜・子ども支援塾ステップ学生代表(熊本大学3年)

上村加代子・にしはらたんぽぽハウス施設長

冨永章子・熊本県子ども家庭福祉課長

三宅正大・あすのば子どもサポーター(創価大学4年) (50音順)

●コーディネーター:小河光治・あすのば代表理事

■第二部(意見交換会)15時20分~17時

分科会「地域ですすめる子どもの貧困対策」/意見交換タイム など

参加費 無料


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