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生活保護受給者、簡易宿泊所街「寿町」の精神障害者を対象とした精神科デイケア、グループワーク実践
 当ブログ筆者の論文
 『生活保護受給者を対象としたグループワーク-ドヤ街「寿町」における実践報告と考察-』
 日本福祉教育専門学校研修紀要第21巻1号 39頁から52頁 2013年5月

2.生活保護受給者、精神障害者や依存症者対象のグループワークの援助関係
(1)生活保護受給者、生活困窮者の人間関係の問題

 生活保護受給者や生活困窮者の人間関係、コミュニケーションには特性と、大きな問題がある。後述するように、過去の「縦の人間関係」の影響から、グループワークにおいても相互不信に陥り利用者間で対等な関わりを構築出来なかったり、自分よりも弱い対象を排除する「内なる排除」を行ってしまう傾向も見られる。
 貧困問題の当事者の社会的孤立を緩和し、孤独死を予防するためのは、繋がりを創ることを支援することが不可欠である。どのような方法で、関わりを媒介することをなし得るのか。ソーシャルワークにおいては、グループワークによって、全人的な交流を持つ新たな経験と場の提供を実施することが可能である。コミュニケーションが意欲を喚起し、生活の質の向上と、やがて地域における相互支援へと成長することを促進する。
 当ブログ筆者の、1999年から今日に至る生活保護受給者対象のグループワーク、精神科デイケアの実践の報告と考察である。

(2)貧困問題当事者の「内なる排除」 弱いものを叩く「縦の人間関係」からのオルタナティブへ
 簡易宿泊所街「寿町」において、生活保護受給中の精神障害者、アルコールや覚醒剤依存症者等が日々通所するこの精神科デイケアの利用者は、コミュニケーションが不得手な人が多く、元来、他の利用者にはあまり関心を持たない。人間関係そのものへの関心が希薄とも言えよう。また、利用者には、児童養護施設等で育った、もしくは精神病院への長期入院、「暴走族」等のアウトサイダーの組織に関係していた、刑務所の服役等を経て、簡易宿泊所街とこのデイケアの通所に至っている場合もある。
 つまり、このような生活歴を経て、人間関係の持ち方が独特なものとなっている。過去には、管理や支配等、主に「縦の人間関係」のなかで生きてきたというのも過言ではないだろう。
 当然ながら、これら利用者者対象のグループワーク、デイケアにおいては、支配と被支配、利用する・されるではない、利用者と職員間では、対等な専門的援助関係を、利用者間では水平な相互支援の繋がりを築いていくことを目指している。

(3)生活保護受給者対象グループワークの援助技法

 利用者の古い人間関係のあり方の影響を、職員側は分析しつつ、新たな関わりの形態や協調を、言動により、時にはモデルとなり、方向を示す必要がある。デイケアでは、日中の6時間程を共に過ごし、調理や作業等の様々な恊働の場面があること、加えて多様な職員の、それぞれの専門性、個性を活用した働きかけによって可能となったと考えられる。
 利用者と職員の関わりにおいて、専門的な距離感を持ちながらも、情緒的に関わろうとする姿勢が無ければ、個別の援助関係も、ましてグループワークも成立しない。しかし、寿町の利用者の中には、職員に対する過度の依存や独占欲を持ち、適切な関わりを持つことが困難な利用者もいる。時には、職員を独占した利用者への、他の利用者からの嫉妬、羨望に繋がることがある。援助関係を確立するために、職員は過度に巻き込まれないことと、客観的かつ全人的な視点が不可欠である。
 また、利用者の多くは、「SOS」、支援の要請を素直に発しづらい特性がある。支援を必要としていても「放っといてくれ」等の、言語による表面的な情報と、裏側に潜む感情や真のメッセージが異なる。このような場面では、利用者の言語だけではなく、表情や態度などの非言語にも注目し、理解を基に働きかける必要がある。

(4)処遇困難事例へのチームアプローチ 利用者の「嘘」と暴力

 また、稀に利用者は、職員に不調や薬の紛失を訴え、薬の処方を要求する等、職員を利用しようとすることがある。また、一職員が許可した等の嘘をついて、職員を操作しようとする場合もある。職員チーム内での情報の共有により、適切に対処しなければならない。
 加えて、利用者の中には、ルールを無視して食事を求めたり、自分の希望が通らないと、声をあらげる場合もある。実際に、職員に対して「ババア」等と暴言を吐いたり、職員に物品を投げつけた利用者もいた。必要に応じて、複数の職員での対応等、毅然とした姿勢が必要であろう。また、ルールや許容範囲等を各職員が共通認識を持たなければならない。利用者も個々の職員とチームを観察し、職員側のルール等の解釈の不一致、あいまいさ、チームワークの隙を突くことがある。

(5) 観察による幻聴等の精神症状悪化の早期発見 覚醒剤依存症からの回復
 多様な個性を持つ利用者を注意深く観察しつつ、個別に関わることによって、各個人の独自性を認識することが必要とされる。利用者が参加するグループワークの基本的技術ではあるが、デイケアにおいては、心身の健康状態、睡眠や、気分障害の利用者のうつと躁の変化、生活の様子等の観察と関わりによる理解によって、症状の悪化の早期発見が可能となる。
 特に利用者の幻聴の中には「屋上から"飛び降りろ"と、男性の声で仕向けられる」といったものもあるが、危険な幻聴や妄想は、薬物依存症者に目立つ。これらに支配された言動や自殺のほのめかしに対し、本人や周囲の安全を守るために、注意を要する。
 生活困窮者の薬物依存においては、少年時代はシンナーを乱用し、その後に覚醒剤を使用していた事例が目立つ。
 また、適切に服薬しているか否かを観察し、本人から聞き取り、必要に応じて、簡易宿泊所を訪問して確認する実践も行われた。

 以上、抜粋

 横浜市中区の簡易宿泊所街「寿町」の精神科診療所に併設された精神科デイケアという形態のグループワークにより、園芸・緑化、調理等の作業、田植や稲刈り等の農作業、造形や絵画、書道の創作活動、ゲートボール等のスポーツなどのプログラムが、筆者も参画し1999年から実践を開始した。
 診療所は、精神科・内科等の医療機関であり、通院する殆どの患者が、地域内の簡易宿泊所に住む生活保護受給者である。併設の精神科デイケアの利用者は、簡易宿泊所に単身で居住し、疾患は、アルコール依存症、薬物精神病(依存症、主に覚醒剤)、統合失調症等の多岐にわたる。
 各利用者の精神科リハビリテーションの課題は、断酒の継続、心身の健康と日常生活の維持、ギャンブル問題の改善、人間関係やコミュニケーションの向上、お互いに支え合う関わり、就労等であり、年齢層と合わせて幅広い。
 生活保護受給者を対象としたグループワーク、精神科デイケアの実践の報告と考察である。


<当ブログ筆者の論文 最新>
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


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「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

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社会福祉士受験対策web夏期講習 相談援助の理論と方法編 第6回
*エンパワメントアプローチ
*概要:エンパワメント

・エンパワメントの考え方は,クライエントが自ら力を回復し,自分たちを取り巻く問題状況を解決していけるようにしようというものである。
 エンパワメントでは,クライエント自身が,問題解決に必要な知識やスキルを習得することを支援する。
・エンパワメント・アプローチとは、クライエント、利用者が本来もっている力、潜在的な力、可能性に着目し、その力を引き出して積極的に利用、援助することをいう。今日、社会福祉をはじめとして、多様な領域で取り入れられている。
・人間の福利(ウェルビーイング)と社会の変革を進め,人びとのエンパワメントと解放を促していくことが,国際ソーシャルワーカー連盟の「ソーシャルワークの定義」(2000年)で唱えられている。
・ケアマネジメント実践では,利用者主体の地域生活を目指すために,エンパワメントの視点による支援が強調され,障害者福祉の分野でも障害者が地域生活を自らマネジメントできる力をつけることが重視されている。
・サレエベイ(Sallebey,D.)によれば,ストレングスとは,「人間は困難でショッキングな人生経験を軽視したり,人生の苦悩を無視したりせず,むしろこのような試練を教訓にし,耐えていく能力である復元力を基本にしている」という。

・住民が生活問題状況を自覚し,自分たちの生活をコントロールしたり,改善したりする能力の形成を目指すことは,「エンパワメント」の考え方に含まれる。
 福祉サービスを必要とする地域住民が,自らの問題への気づき,仲間づくりなどを通して,生活主体者としての自己決定能力を高めるなどのエンパワメントアプローチの手法は,地域福祉の実践にとっても有意義である。

・ エンパワメントが社会福祉、ソーシャルワークのあらゆる領域で取りいれられるようになった背景には、ソーシャルワーク理論として一般システム論やエコシステム論、ライフモデルが定着したことがある。
エンパワメントは、1960年代のアメリカにおける公民権運動やブラックパワー運動を源流とする。

*B.ソロモンによるエンパワメントの定義
・エンパワメントは、1976年にソロモンによって初めて用いられた用語である。
 「エンパワメントとは、スティグマ化されている集団の構成メンバーであることによって加えられた否定的な評価によって引き起こされたパワーの欠如状態を減らすことを目指して、クライエントもしくはクライエント・システムに対応する一連の諸活動にソーシャルワーカーが関わっていく過程である」とソロモンは定義した。

・エンパワメントは、クライエントの潜在能力や能力の強さに焦点を当てる。
 エンパワメントは、クライエント自身が問題解決の主導者であることを前提としており、ソーシャルワーカーは原則として側面的援助に徹するべきである。
 エンパワメントの視点は生活モデル(生態学的視点)の実践展開に方向性を与える側面がある。
 エンパワメントは、ミクロの個人的問題に対する心理調整と、マクロの社会構造の改革という、両者の援助に同時に関わる。
*エンパワメントは、長期にわたって社会的ケアを受けなければならない状況におかれているような高齢者、身体や精神に障害のある人々へのソーシャルワーク実践に拡大されている。
*エンパワメントにおける「パワー」は、ソーシャルワーク実践を統合していく重要な構成要素である。また、医学モデルに基づいたクライエントシステムの病理や弱さの側面を志向するあり方を脱却しつつ、クライエントの健康や強さの側面を重視する「強さ志向の視点」の必要性が強調されるようになった。

<テキスト解説>
1 起源と基盤理論 テキストP164

・17世紀の法律用語が起源と言われ、「公的な権威や法律的な権限を与えること」の意味。アメリカの公民権運動等を経て、広範に用いられ、現在は学際的用語として定着した。
・ソロモン(B.Solomon)は、『黒人へのエンパワメント 抑圧された地域社会におけるソーシャルワーク』を1976年に著した。
・ポストモダニズムの潮流に沿い、障害者運動、セルフヘルプ活動などの影響を受けた。
・ソーシャルアクションのレイノルズの思想と実践、マルシオの「コンピテンス概念」を摂取した。昨今のストレングス、リカバリーの概念等との親和性をもっている。
・国際ソーシャルワーカー連盟・ソーシャルワーク定義において、専門職の役割として明示された。
 
2 エンパワメントアプローチを理解するためのキーワード
*ポストモダニズム

・建築分野発祥の概念であり、論理性、実証性、合理性の近代主義(モダン)を否定し、脱近代を目標とする思想的潮流。
・近代を超えようとする文化・芸術運動であり、近代の合理主義的傾向を否定する考え方。もともとは、機能主義・合理主義に対置する新しい建築を意味した。
・社会学では、ポストモダン哲学の影響を強く受け、従来の部分/全体の二元論的発想、近代的自我に根ざした社会分析を離れつつも、難渋かつ抽象的な哲学論議に深入りすることなく、「主体の脱中心化」のテーマに則った経験的記述の方法論が彫琢されている。

*パワー
・人が、自律性を確保し、生活を維持のために他者と協働しつつ、自らの人生に影響を行使する力。

*パワーレスネス
・問題解決のための資源との接触が制限されていたり、知識や技術が不足している状態。

3 適用対象・適用課題 テキストP165
・障害、人種、貧困、性など、社会的マイノリティであることを理由に抑圧され、パワーレスな状態におかれてた人々と、その課題全般である。

4 支援焦点
・支援展開は、クライエント自らが、抑圧状況を認識し、自らの潜在能力に気づき、能力を高め、抱える問題に対処する。加えて、抑圧状況の要因を変革していく。

5 支援展開
・エンパワメントアプローチの具体的内容(デュボイスとミレイ)
  テキストP166表
・援助の当初より、ミクロ・メゾ・マクロの各次元への介入、環境との交互作用を意識し、複眼的視点で同時併行的に、問題・課題の解決に挑戦する。

・クライエントとの面接、社会生活技能訓練(SST)、グループワーク・自助グループ活動、アドボカシー活動、ソーシャルアクションなどの手法が活用されている。

危機介入アプローチ 悲嘆、ストレスマネジメントとは 相談援助理論 ソーシャルインクルージョンと民間支援

簡易宿泊所街 寿町の生活保護受給者対象の精神科デイケア 実践 相談援助の理論 行動変容アプローチ


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生活保護受給者、簡易宿泊所街「寿町」の精神障害者を対象とした精神科デイケア、グループワーク実践

 当ブログ筆者の論文
『生活保護受給者を対象としたグループワーク-ドヤ街「寿町」における実践報告と考察-』
日本福祉教育専門学校研修紀要第21巻1号 39頁から52頁 2013年5月


抜粋
 精神科診療所に併設された精神科デイケアという形態のグループワークにより、園芸・緑化、調理等の作業、田植や稲刈り等の農作業、造形や絵画、書道の創作活動、ゲートボール等のスポーツなどのプログラムが、筆者も参画し1999年から実施された。簡易宿泊所街における、生活保護受給者を対象としたグループワーク、精神科デイケアの実践の報告と考察である。

Ⅲ.寿町のグループワークの手法-実践からの抽出
1.グループワークの援助の視点
 デイケアのグループワーク実践から導き出される、支援を有効なものとするために必要であった視点は、次の7点である。
(1) 引きこもりを脱し、生活の拡充を図る支援
 調理や外出、その他のプログラムが、個々の利用者の生活のリハーサルとなって、生活の幅、生活圏を広げることを支援する方向性である。利用者は、デイケア終了後に簡易宿泊所の自室に帰れば、引きこもる場合が多い。グループワークを通じて、人間関係を持つことや、プログラムにより様々な事柄に取り組むことにおいて、新たな経験を提供したと考えられる。また、利用者の自信を強化し、自尊感情を支え、生活の質の向上も目指した。

(2) 各種作業における承認の機会
 個々の利用者の、強み、能力、意欲を持って取り組める作業を見出し、承認する場面をつくることである。利用者自身の力で出来ることは取り組みを促し、職員は側面から支援する姿勢である。取り組みの結果は、率直に受け止め、次の方策を考える。例えば、飲食業等調理に関連する職歴を持つ利用者は、昼食の調理において活躍する場面をつくり、能力を引き出しつつ本人のエンパワメントを推進する。例えば、公園の緑化作業や農作業においては、穴掘り作業等は、土木・建設の元プロフェッショナル達の独壇場である。

(3) グループワークと個別援助の併用
 統合失調症や覚醒剤依存の後遺症、アルコール依存症等、症状や生活が不安定な利用者等に対して、情緒的な安定を図るために、面接や簡易宿泊所への訪問などの個別援助を、必要に応じ、グループワークに併せて実施することである。また、健康や生活の危機の予防も図る。事例として、他者からの批判や攻撃を恐れ、周囲の視線が常に気になって通所が困難になり、個別のフォローを必要とした利用者もいた。加えて、利用者の危機に際しては、主治医等の医療スタッフと共同での訪問等の対応や、福祉事務所の担当ケースワーカーとの連携を行った。

(4) 創作活動による自己表現の機会の提供
 造形や書道等の創作活動プログラムによって、自己表現を促すことである。デイケアの利用者のなかには、全ての創作活動に対して「不器用だから」等の苦手意識を抱えていたり、アートに関心が皆無、集中が続かない人も少なくなかった。利用者の取り組みを職員が個別に励まし、優れている点を誉め、自己表現を豊かにし、その技能を高めていく実践を行った。

(5) 社会資源の適切な利用の為の情報提供
 デイケアの利用者は、社会資源を含む様々な情報に対し、誤解を持っていたり、噂に左右されていることが少なくない。職員が情報を提供し、もしくは利用者相互に情報の共有化を図って、正しい理解を持つことが、資源の適切な活用にも繋がる。

(6)柔軟な参加形態と能力の向上
 個々の利用者の心身の健康状態や障害の程度、グループへの抵抗に応じて、参加するよう個別に働きかける。全日程参加の利用者が多数ではあるが、曜日を定めたり、特定のプログラムのみの参加も認めている。個別の目標やスケジュールを、利用者と職員が共同で設定し、障害が重くても参加できる活動を考える。なお、利用者には、主体的に参加するよう励まし、また能力を更に高めるため、やさしい内容から難しい内容へと段階的に目標達成へと進む働きかけを行う。

(7)ドヤ街の生活と文化に合ったプログラムの立案
 次の様な留意点が必要となる。プログラムは、利用者の持つ文化、関心、その生活を基に立案されなければならない。しかし、寿町の住民は、これらの幅が狭い傾向がある。あまりに迎合すると、利用者に新たな経験や生活の拡充をもたらすことが困難となり、マンネリ化に陥る。利用者の生活からかけ離れたものは、利用者の参加意欲や満足度、グループの求心力の低下に繋がる。これらのバランスが求められる。また、寿町故の特殊なニーズとして、 略  行き先の選定時に配慮を要する。
 略
 利用者とグループに望ましい変化と、その動機付け、グループ内外の相互作用の促進が図られた。利用者は、プログラムを経験することで、自らの新たな側面を見出し、職員からエンパワーされていった。また、グループのまとまりや共同性、協力、責任、社会との関わり等を生み出した。これらは、個々の利用者の情緒的な安定、意欲の向上、地域生活の維持に繋がっていくものであったと言えよう。
 略
 「寿町」 地域とは、横浜市中区の簡易宿泊所が密集した「ドヤ街」 である。現在は、高齢者や障害者等の生活保護受給者が単身で集住する「福祉の町」である。
 当診療所は、精神科・内科・整形外科等の医療機関であり、通院する殆どの患者が、寿町の簡易宿泊所に住む生活保護受給者である。
 併設の精神科デイケア(以降、デイケアと表記)は、利用者のほぼ全員が、寿町の簡易宿泊所に単身で居住する精神障害者であり、生活保護を受給している。
 利用者の疾患は、アルコール依存症、薬物精神病(依存症、主に覚醒剤)、統合失調症等の多岐にわたる。
 各利用者の精神科リハビリテーションとしての課題は、断酒の継続、心身の健康と日常生活の維持、借金・ギャンブル問題の改善、人間関係やコミュニケーションの向上、就労等であり、年齢層と合わせて幅広い。
 現在、デイケアは火曜日から土曜日の午前10 時から午後4 時まで、午前は共同調理と会食、午後は公園の緑化・園芸作業、造形と書道の創作活動、音楽・茶道・エアロビ・ヨガの教室、卓球等のスポーツ、散歩や映画鑑賞などのプログラムを実施している。
 また、季節毎の農作業等の宿泊プログラム、運動会、餅つきなどの年間行事を実施している。
 これまでのデイケアにおける実践の成果としては、統合失調症で簡易宿泊所に閉じこもっていた利用者が、デイケアに欠かさず通所し生活も安定した事例や、アルコール依存症から回復した事例等が挙げられる。
 反面、毎日通所していたが自室で孤独死、自殺を迎えた利用者も目立つ。
 筆者は、準備段階を含めて1999年3月から現在まで、かつては常勤職員、現在は非常勤職員として、この診療所とデイケアにおける実践を継続中である。
(註)
 簡易宿泊所とは、旅館業法における4種(ホテル、旅館、簡易宿所、下宿)の旅館営業許可業種のうち
のひとつである。
 ドヤ街は他に、「山谷」や、「釜ヶ崎」が現存する。山谷は、東京都台東区と荒川区にまたがる、「泪橋交差点」を中心としたドヤ街である。釜ヶ崎は、大阪市西成区萩之茶屋周辺の簡易宿泊所街・寄せ場である。1966年の「第五次釜ヶ崎暴動」以降は、行政や大阪府警により「あいりん地区」の呼称が用いられるようになった。


 以上、抜粋 

<当ブログ筆者の論文 最新>
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日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


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貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記



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内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

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社会福祉士受験対策web夏期講習 相談援助の理論と方法編 第5回
6節 行動変容アプローチ
○概要:行動変容アプローチ(行動主義モデル) E.トーマスら  1967年

 この行動主義モデルでは,クライエントの行動変容を目指して援助が行われる。
 つまり、主には「特定の好ましくない行動の明確化及び修正」が、支援の焦点となる。
 利用者の問題行動の原因や動機にさかのぼることをせず、問題行動そのものを取り上げて、特定の問題行動の変容を目標に働きかけるアプローチである。ケースワークに、学習理論、行動療法を導入した。あくまで目的は問題行動それ自体の解消、修正であって、問題行動の原因や動機を解消、修正することや、クライエントの意識や思考の変容は直接の目的ではない。

 行動療法とは、学習理論を基礎とし,すべての行動は経験を通して学習されたものであると考える治療方法。

*解説:学習理論
 人の行動は学習によって形成され、また、その改善も学習によって達成されるとする理論である。

1 起源と基盤理論 テキストP159
・行動変容(行動療法)アプローチとも呼ばれる。行動療法をソーシャルワークに導入した。
・1960年代後半、精神分析や自我心理学の影響を受けたソーシャルワークへの批判から出発。
・基盤は、学習理論であり、リスボンデント条件づけ等、認知行動療法が折衷・統合的に導入されている。

2 行動変容アプローチを理解するためのキーワード
*学習理論

 広義には、人間の「学習」の成立過程を説明する理論を意味する。連合説は、刺激とそれへの反応の連合=学習である。認知説は、人間の環境に対する認知構造=学習である。

*オペラント条件づけ
・行動の結果の如何により、その行動の生起頻度が変容される過程。正と負、強化と罰の両側面をもつ。トークンエコノミー法などの具体的方法を用いる。

○補足:オペラント条件づけ
 レスポンデント反応
 古典的条件づけ
 オペラント反応
 スキナーの実験
 強化子 略

*モデリング
 人間の行動は、他者の行動を観察し、模倣により学習する=社会学習理論に基づき、学習すべき行動を示す具体的方法。ロールプレイング法などが活用される。

○補足:モデリング(観察学習)
 他者の行動を観察することによって学習が成立することをモデリング(観察学習)と呼ぶ。 略

3 適用対象・適用課題 テキストP160
・多様な範囲が支援対象となり得る。不安や抑うつ、対人関係上の問題、暴力、問題行動などの課題に適応可能である。

4 支援焦点
・具体的に、望ましい行動を増加させ、望ましくない行動を減少させることである。

5 支援展開
・行動変容アプローチの展開過程-テキストP161図参照。
アセスメントの着眼点(方法)、目標設定や介入技法、また評価方法に特徴がある。

*補足:行動変容アプローチ
 学習理論をケースワーク理論に導入したもので、条件反射の消去あるいは強化によって特定の症状の解決を図るものである。利用者の問題行動の原因や動機にさかのぼることをせず、問題行動そのものに焦点を置き、変化すべき行動を観察することによって、特定の問題行動の変容を目標に働きかけ(条件反射の消去か強化)、問題行動を修正しようとする考え方をいう。
行動修正モデルにおいては、援助者は利用者の行動の原因を突き止めようとはしないし、なぜそうするのかも探ろうとはしない。問題行動の社会生活史をとることは援助者の目的ではないとされている。


危機介入アプローチ 悲嘆、ストレスマネジメントとは 相談援助理論 ソーシャルインクルージョンと民間支援

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貧困問題、生活困窮者生活保護受給者対象のソーシャルワーク、社会福祉
 当ブログ筆者の論文
 「簡易宿泊所街・横浜寿町における民間支援活動-歴史的経緯の概要-」
<前回から続き>
2.社会的排除と「支援」
(1)社会的排除とソーシャル・インクルージョン
 ここでは、本論のキー概念である、社会的排除とソーシャル・インクルージョンに関して、概括したい。この二つは、対になった概念である。
 社会的排除とは、貧困の現代的な概念と言える。岩田によると、社会的排除とは「お金がない、という意味での貧困が、貧困ラインの上や下(アップ・アンド・ダウン)として把握できるとすれば、社会的排除は通常の社会的関係への組み込まれと排除(イン・アンド・アウト)として描かれうる」と述べている。
 換言するならば、現代における貧困とは、市民社会の内部における経済的困窮と職業等の地位の下降に留まらず、市民社会の外部への放逐、つまり排除であると考えられる。それは、社会における居場所の喪失とも言える。
 また、バラとラペールによる、社会的排除の3つの主要な側面とは、次のものである。第一に、経済的な次元として、他の人びとが有している雇用や所得、住宅、保健、教育、サービスへのアクセスからの排除。第二に、社会的な次元として、他の人々が得ている「社会関係の織物(ファブリック)」や、医療や教育などの社会サービス、一般的労働市場へのアクセスからの排除。第三に、政治的な次元として、他の人々が有している市民的権利(表現の自由など)、政治的権利、社会経済的権利(機会の平等)からの排除である。
 つまり、社会的排除とは、多次元的で構造的な過程であり、貧困を単なる経済的・物質的な困窮と捉らえるものではない。それは、経済的脆弱さ、地域社会や人間関係からの孤立、社会的ネットワークの喪失、所得保障・住宅・医療・教育等の社会サービスへのアクセス困難、労働市場からの排除等をもたらす、社会的剥奪であると捉らえる 。
 総じて、社会的排除とは、社会関係の喪失に焦点をあてた、安定した生活を営む為の資源やサービスからの排除と考えられる。
 一方のソーシャルインクルージョンは、『ソーシャルワーカーの倫理綱領』において、倫理基準として次のように掲げられている。「1.(ソーシャル・インクルージョン)ソーシャルワーカーは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努める」 。また、「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」の報告書においては、「イギリスやフランスでも、"ソーシャル・インクルージョン"が一つの政策目標とされるに至っているが、これらは"つながり"の再構築に向けての歩みと理解することも可能であろう」 と述べられており、また、「つながり」の構築を通じて偏見・差別を克服し、人間の関係性を重視するところに、社会福祉の役割があるとも述べられている。
 つまり、ソーシャルインクルージョンとは、社会関係の再構築に焦点をあてた、共生・包摂型社会を目指す概念と言えよう。

(2)「支援」と「民間支援活動」
 次に、もうひとつのキー概念である「支援」について、ふれておきたい。
 後述する寿町の歴史的経緯において、社会福祉、医療、労働領域に関する民間活動は、「支援」という行為を巡って、「取り組み」、「ボランティア」、「活動」、「支援」など、いくつかのことばで称してきた。特に1974年頃から「支援」「支援者」が、用いられることが多くなっていった 。
 「支援」とは、英語のサポート(support)の日本語訳である。類語に援助=エイド(aid)、手助け=ヘルプ(help)、補助=アシスト(assist)がある。「支援」とは、『大辞林 第二版』によれば、「他人を支えたすけること。援助。後援」とある。「支援」は、近年、社会福祉領域における様々な領域で用いられている概念でもある。
 本論では、支援の一般的な概念について、支援基礎論研究会による『支援学』 を参照することとしたい。支援学とは、支援の概念とシステムに関する、学際的な研究である。同書のなかで今田は、支援の定義を「支援とは、他者への働きかけが前提になっており、支援者と被支援者というセットで意味をなす行為である。そして支援される人(被支援者)の意図を理解すること、行為の質の維持・改善、およびことがらをなす力をつけること(エンパワーすること)がポイントである。(中略)被支援者がどういう状況に置かれており、支援行為がどう受け止められているかを常にフィードバックして、被支援者の意図に沿うように自分の行為を変える必要がある」 と述べている。また、支援の構成要素として「1.他者の行為への働きかけ、2.他者の意図の理解、3.(支援)行為の質の維持・改善、4.エンパワーメント」という4点を提示している。加えて、支援システムは、被支援者の置かれた状況に応じて自らを自在に変化できなければ、その支援は効果的ではないものとなってしまうことから、「自省的フィードバック」が重要となる。支援が成立するためには、一連の支援行為がばらばらになされるのではなく、それらがまとまりをもったシステムを形成することが必要である。そして、これらの支援の働きかけをおこなうものを、支援者と呼び、支援を受ける行為の主体を、被支援者と呼ぶと位置づけている 。 
 こうした定義をふまえて、本論における「支援」についても、先述の4つの構成要素を持つ他者への働きかけと定義し、それを行う主体を、「支援者」と位置づけることとした。
 また本論では、寿町で行われている支援者による支援活動を「民間支援活動」と表現している。民間支援活動は、公的機関によって、あるいは一定の法律のもとで目的を持って行われる支援活動ではなく、民間人、そして公務員などの職にある者であっても職務を離れて、自発的に行なう支援活動を指す。


*以上、当ブログ筆者の論文より抜粋
 「簡易宿泊所街・横浜寿町地域における民間支援活動-歴史的経緯の概要-」『研究紀要』第18巻第1号,
 学校法人敬心学園日本福祉教育専門学校福祉文化研究所,2010年,単著

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当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


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社会福祉士受験対策web夏期講習 相談援助の理論と方法編 第4回
危機介入アプローチ
概要:危機介入アプローチ
 危機とはクライエントがそれまで獲得し、用いてきた対処方法では問題解決を図ることができず情緒的に不安定な状況である。
 危機に直面して情緒的に混乱している利用者に対して、適切な時期に、迅速に、危機介入していく援助方法である。危機理論を導入したもの。積極的・集中的な援助を行い、危機状況からの脱出を目的とする援助方法である。
 危機介入アプローチでは,災害や急病といった突発的な出来事ばかりでなく,ライフサイクル上の課題等によるストレスも視野に入れて介入を行う。
 災害の被災者は自らの生命の危険を感じるだけでなく,死別や喪失,生活変化などで急性ストレスや慢性ストレスが生じやすい。

 犯罪被害者に対する支援は,被害者がストレスなどに対処し,自ら立ち直っていくことを必要な範囲で援助するという姿勢が基本である。

 ストレスの成立を阻止するための対応策を総称してストレスマネジメントと呼ぶが,心の問題の発生を予防する重要な手段の一つである。
 対人援助職がセルフコントロールやセルフリラクセーションの方法を習得することは,援助スキルの理解にとどまらず,自らのストレス対処方略にも役立つ。

危機理論
 危機理論とは、火災で犠牲となった人々の関係者(遺族,親族,友人・知人)の悲嘆にまつわるリンデマン(Lindemann, E.)の研究に端を発し,後にキャプラン(Caplan, G.)らと共同で1940年代から60年代に構築された理論。
 危機とは,対処困難な事態に突然直面した際に引き起こされる,ホメオスタシス(恒常性)のバランスを崩した状態。この理論は、危機状態から脱する過程において一定の段階と法則が存在し,その期間が長期的なものではないと捉える。

1 起源と基盤理論
・フロイト精神分析、エリクソンの自我心理学(発達段階・課題)、学習理論を基盤とする。
 リンデマンの急性悲嘆反応研究、キャプランの地域予防精神医学研究、キューブラー・ロスの「死の受容過程」の研究を摂取し、短期処遇の方法として理論化、体系化された。

2 危機介入アプローチを理解するためのキーワード
*死の受容過程
 ロスは、重要な他者の死を適応・受容するプロセスを、①否定、②怒り、③取引き、④抑うつ、⑤受容と捉えた。各段階の特徴や支援方法などの明確化を図った。

*地域予防精神医学
 キャプランは、危機理論を構築し、危機の予防、早期の介入の重要性を示した。

*危機 
 従来の対処能力が損なわれたことにより、通常の安定した状態に生起する急性の感情的混乱。

3 適用対象・適用課題
・専ら「危機的状況」が課題として取り上げられ、危機を抱える個人・家族・グループが対象となる。危機と危機による社会的機能の障害が生起している状況に適用され得る。

4 支援焦点
・急性の心理学的危機(感情的混乱)におけるニーズ充足等を図り、新しいパターンを教示しつつ対処能力を強化し、社会的機能を回復する。

5 支援展開
・キャプランは、「危機は、人が大切な目標に向かう時障害に直面し、それが習慣的な問題解決の方法を用いても克服できない時に生じる。混乱の時期、動転の時期が続いて起こり、その間にさまざまな解決の試みがなされるがいずれも失敗する」と捉えた。

・予期できる危磯とは、発達段階で予測される(成熟に伴う)危機である。
・予想できない危機とは、喪失に由来する危機、準備が十分でない状態で経験する危機といった状況的危機、災害等の危機がある。
・危機によって生じる身体や心理、関係機能面での苦痛を軽減・解消するために介入する。
 
・早期の介入、時間的制約(通常4~6週間の限定)、懸念・不安の表出が奨励され、実際的な情報や支援が提供される。加えて、自我の適応力を強化し、対処能力を高めていく。
・初期段階はアウトリーチが重要である。

<補足>
*危機介入法の目標

 危機介入法は,危機状態に陥り、情緒的均衡が崩れている人に,介入によって,できるだけ早く均衡を回復させることを目標 略

*危機介入法の行われる期間
 危機介入法では,限られた期間内での面接で対処することになる。危機状態が持続するのはおよそ1~6週間程度で,その間にタイミングよく介入する必要がある。面接回数もそれ程は多くない(例:5回以内 略

*危機介入法で扱う素材

 危機介入法では,後に述べる危機理論に基づいて,現時点でのクライエントの問題発生状況を理解し,危機に関係する事柄に集中的に取り組む。 生育歴  略 現在の問題の理解と,将来に向けての対処の仕方が中心的に扱われる 略
 また,危機への対処にあたって,心の内面の検討だけではなく,クライエントを支える可能性のある周囲の関係者(家族や学校・職場の関係者など)や関係機関などの援助資源の査定と,その利用をはかり,必要があれは,家族面接や訪問面接などによって環境の調整 略

*危機理論
 危機理論では,危摸状態とは,「人生上の重要目標が達成されるのを妨げられる事態に直面した時,習慣的な課題解決法をまず始めに用いて,その事態を解決しようとするが,それでも克服できない結果発生する状態である」と定義される。この,「人生上の重要目標が達成されるのを妨げられる事態」を危機発生状況とよぶ。
 ライフサイクル上のさまざまな発達課題として,あるいは偶発的な出来事として脅威,喪失などの形で生じる 略

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社会福祉士受験対策web夏期講習 相談援助の理論と方法編 第3回
課題中心アプローチ
*課題中心アプローチの概要

・クライエントの訴える具体的な生活問題を中心に,クライエントとともに課題を設定,遂行する。
 具体的な作業計画の策定、実行、評価を通じて、短期間内で問題の解決を図る。

・このアプローチは,援助の枠組を提供するものでもあり,ソーシャルワークの重要なアプローチとして広く認知され応用されている。

1 起源と基盤理論 
・1970年代、リードとエプスタインにより理論構築された。
 心理社会的アプローチや問題解決アプローチ、行動変容アプローチから影響を受けた、折衷的なアプローチであり、各アプローチの基盤となる理論を摂取している。
・効果測定に基づく実証主義的な手法で「課題中心アプローチ」を開発した。

<課題中心アプローチの特徴>
・クライエントとともに課題を明確にし,計画的かつ短期に援助する方法である。

・最大の特徴は、短期処遇を明確に示していることにある。短期間の計画的な実践を志向し、プラグマティズムの影響を受 けている。プラグマティズムとは、「実用主義」と訳される。

3 適用対象・適用課題
・限定された期間において、クライエント自身が認識し、解決できる可能性がある具体的な生活諸課題が対象である。分野・領域は柔軟性をもって適用が可能とされる。

<課題中心アプローチの対象問題、問題選択>
*第1の問題-対人関係の葛藤
・人と人との交わり(相互作用)のなかで生ずる摩擦であり,家族関係の問題。

*第2の問題-社会関係上の不満
 関係における孤独、他人への過度の依存、積極性の欠如等、他者との付き合いのなかでの不満。

*第3の問題-組織体との問題
・福祉サービス機関や病院,学校などとの関わりのなかで生ずる葛藤。

*第4の問題-役割の遂行に伴う困難
・自分に課せられた社会的役割を遂行することに困難を感じる場合等である。

*第5の問題-社会的過渡期の問題
・社会的状況が変化することによって生ずるものであり、適応上の困難などがある。

*第6の問題-反応性の情緒的苦悩
・特定の出来事がきっかけとなって生じる不安や抑うつ状態をいう。

*第7の問題-不十分な資源
・経済的な問題、住まい、医療など適切な資源が無いことの問題である。

4 支援焦点
・クライエント自身の段階的な問題解決行動により、問題解決と社会的機能を改善する。

5 支援展開
・課題中心アプローチの支援過程(3段階・4ステップ)
*第1ステップ-問題の明確化と選択

 クライエントの認識と解決可能な具体的問題を選択。
<補足>
 問題の内容を具体的に例をあげる。
 問題が生起する場所と,解決に役立つフォーマル・インフォーマル資源などを整理する

*第2ステップ-契約
 目標を設定し、面接の回数や頻度・期間を合意し、動機づけを高める。

*第3ステップ-課題遂行
 クライエントとの協働作業。行動療法的方法(ロールプレイ、シミュレーション等)を活用する。

・ワーカーとクライエントがこれらの点で合意に達し、課題スケジュールが明確に定まれば,ロールプレーや行動リハーサルといった方法を用いて行なわれる。
・リハーサルが成功すれば、実際の場面でクライエントによって課題が実行に移されることになる。

*第4ステップ-終結
・評価により、課題の修正や契約の更新を検討する。

・基本的に3~4か月間に、8~12回の面接を実施する。

<課題中心アプローチ 事例>
 障害児がいる家族への課題中心アプローチによる支援に関する次の事例
 T子(6歳・女児)は,高熱を出し,痙攣発作を起こした後,意識障害が生じた。入院中のT子について,担当医師から病院のソーシャルワーカーに依頼があった。
 T子は,結婚歴15年の父親(40歳),母親Mさん(38歳)と3人暮らしである。
 Mさんが病院の相談室に思い詰めたようにうつむきかげんで入室し,しばらく沈黙があり,「これまでずっと泣くのをこらえてきました」と,現在と将来の不安や看病疲れ,娘の元気なときの様子を泣きながら話し始めた。さらに続けてT子の今回の病気を機に家族問題が発生したこと,しばしばT子のことをめぐって夫と口論になっていることを話した。加えて夫の面会が減っているのは娘の状態を見るに忍びないのだと思うと夫へのいたわりを示しながらも,Mさんは家族問題をなんとか解決したいと言った。
 数回の面接を通して,Mさんは母親として,妻として努力している気持ちを整理でき,現状での取り組むべき具体的課題が明らかになった。
 その中で最も優先的に取り組む課題として「Mさんの看病疲れの軽減」を取り上げ,ソーシャルワーカーはMさんとともにこれを確認した。それに対する計画は①Mさんと週1回のサポート面接実施の取り決め,②病棟でのT子に対する看護体制の調整,③Mさんと病棟ボランティア活用についての合意形成である。
 その後も医療費の助成制度や社会資源の活用,また,T子とのかかわりや今後の療養先の計画などについて,Mさんや夫に個別面接を行い,彼らとともに取り組む課題を決定した。夫は,娘の病状を心配し,娘の顔を見るのがつらいことなどを話していたが,次第に心の整理ができたことでT子の世話をし始めた。
 在宅療養の準備のために医療担当スタッフが家族指導を行い,地域の関係機関との連携を図った。援助開始から2か月後,T子の病気は徐々に回復に向かい,それとともにMさん夫婦も精神的に安定してきた。近いうちに自宅退院となることが決まった。
(以上、社会福祉士試験問題の事例より)

2 課題中心アプローチを理解するためのキーワード
*課題

 クライエント自身によって着手される、一連の問題解決行動。

*計画的短期性
・課題を設定し、援助を計画的に実行する。

・取り組む問題を選び出す視点
①クライエントが認める問題を対象とする。
 クライエントが自ら「これが私の問題である」と認めた問題を優先的に処遇の対象とする。
②対象となる問題はクライエント自身の努力によって解決できうるもの。
 現実の場面でのクライエントの行動が重要と考える。現実の場面で,ワーカーの援助なしにクライエント自らが行動すること、自らが解決できなければならない。
③具体的な問題。

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貧困問題、生活困窮者対象のソーシャルワーク、社会福祉
 当ブログ筆者の論文
「簡易宿泊所街・横浜寿町における民間支援活動-歴史的経緯の概要-」

1.貧困・簡易宿泊所街「寿町」・「支援」
(1)はじめに-貧困のリバイバル-
 高度経済成長を経た日本社会は、「一億総中流」と言われた、多くの人々が、生活が更に豊かになっていくと実感できる状況を謳歌した。社会は、貧困を忘却し、もはや貧困は過去のものとなっていた。また、貧困の忘却の傾向は、社会福祉の領域においても、例外ではなかったと思われる。しかし、貧困は、顕在化していなかったに過ぎなかった。生活に困窮する人々は、ひっそりと、「豊かな社会」の周縁に追いやられていた。
 所謂「失われた10年」を経て、近年、貧困や格差の拡大は、社会問題化しつつある。書籍や新聞、テレビ番組等の各種メディアにおいても、様々な切り口で、関連したテーマが取り上げられている。それは甦った貧困、もしくは貧困のリバイバルとも言えるかもしれないが、誰も望まないものであろう。また、社会福祉領域においても、貧困の今日的な概念である「社会的排除」と、問題の緩和を図る「ソーシャル・インクルージョン」等が昨今、注目されている。
 しかし、現在のところ、社会的排除の緩和を目指し、ソーシャル・インクルージョンを具体化する、この領域における民間支援活動は広範なものとなっていないと思われる。貧困に対してのキャンペーンや、各種の調査等は行なわれているが、地域における新たな支援活動の拡大は、先駆的な実践が現れるに留まっている。
 貧困を巡るこれらの課題に対して、地域社会や民間支援活動は、如何に取り組むべきなのか。言うまでもなく、生活保護法による生存権・生活保障を中心とした、公的な支援施策が不可欠である。しかし、民間支援活動が果たすべき、固有の役割があると考えられる。
 戦後、貧困領域における民間支援活動は、簡易宿泊所街である、東京「山谷」 や、大阪「釜ヶ崎」 、横浜「寿町」と、「寄せ場」と呼称される日雇労働市場である名古屋「笹島」 等で行なわれてきた。
 本論文は、簡易宿泊所街・寿町における民間支援活動のあり方と、歴史的な経緯について、先行研究・文献・資料の調査から、その概要を述べる。寿町の民間支援活動は、子どもたちへの支援を発祥とし、セツルメント活動や医療支援、福祉施設開設等の経緯を経て、活動の内容と形態ともに多様化しつつ、現在に至っている。その歴史的経緯を概括し、今日の貧困領域におけるソーシャルワーク実践やボランティア活動を含めた支援への示唆を得ることを試みる。
 略
 本論文においては、寿町の民間支援活動の経緯を整理するために、時期を下記のように三期に区分する。
 第一期 民間支援活動の「開始・定着期」(1964年から1980年代前半まで)
 第二期 民間支援活動の「発展期」(1980年代後半から2000年まで)
 第三期 民間支援活動の「模索期」(2001年以降)
 略
 「寿町」地域は、横浜市中区の簡易宿泊所街である。この地域は、寿町2丁目の一部及び3丁目と4丁目、扇町3丁目の一部と4丁目、松影町3丁目と4丁目、三吉町の一部、長者町1丁目の一部を含む、簡易宿泊所の密集地域である。面積は、およそ0.06平方キロメートルである。
 「簡易宿泊所」とは、旅館業法における4種(ホテル、旅館、簡易宿所、下宿)の旅館営業許可業種のうちのひとつである。
 簡易宿泊所街は、「ドヤ街」とも言われているが、「ドヤ」は、宿の逆語であり、旅館やホテルと区別された、日雇労働者の簡易宿泊所を意味する。簡易宿泊所街は他に、東京(台東区・荒川区)の「山谷」や、大阪(西成区)「釜ヶ崎」が現存する。加えて、名古屋市(中村区)「笹島」、川崎、福岡等には日雇労働市場「寄せ場」が存在する。
 こうした地域はまた、「寄せ場」とも言う。寄せ場は、大都市内のドヤの密集地域に位置付く、日雇労働者の就労場所をいう。多くの場合、寄せ場は、周辺スラムとともに複合地域を形成する。寄せ場は、日雇労働者が集まる都市下層地域として、固有の社会と文化(生活様式)をもっているとも言われている。
 また、これらの地域においては、民間支援活動が行なわれている。何れの地域も、炊き出しと呼ばれる食の支援と、パトロール、もしくは夜回りという野宿の場への巡回による支援、医療支援という三大領域が共通している。各地域・領域の支援活動は、年末年始期の「越冬活動」等を連合して取り組み、他に日雇労働者の労働組合と連携すること等においても共通する。
 寿町も、簡易宿泊所街のひとつであり、2007年の時点では、120軒の簡易宿泊所が集中し、6301人が宿泊・居住している。このうち、3666人が60歳以上であり、4893人が生活保護の住宅扶助を受給している 。寿町に、かつての日雇労働者とその家族・子どもの街の面影は無く、現在は、高齢者等の生活保護受給者が集住する、簡易宿泊所街である。
 略
山谷とは、東京都台東区と荒川区にまたがる、簡易宿泊所街・寄せ場である。「泪橋交差点」を中心にした、簡易宿泊所が集中する地域である。
釜ヶ崎は、大阪市西成区萩之茶屋周辺の簡易宿泊所街・寄せ場である。1966年の「第五次釜ヶ崎暴動」以降は、行政や大阪府警により「あいりん地区」の呼称が用いられるようになった。
笹島とは、名古屋市中村区名駅南にある名古屋中公共職業安定所の周辺の寄せ場である。簡易宿泊所街は無く、日雇労働市場のみである。


*以上、当ブログ筆者の論文より抜粋
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講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

福祉施設職員のメンタルヘルス支援研修 講義レジュメ 看取り介護、社会起業福祉分野、社会資源開発

福祉介護職の職場ストレス、人間関係 研修 心理社会的アプローチ、心理社会療法 社会福祉士受験夏期講習

講義レジュメ 生活困窮アセスメント、貧困生活スタイル、簡易宿泊所街とは 子どもの貧困学力と学習支援

現代社会と福祉練習問題 PFI、バウチャー、市場化テストとは 家庭訪問型子育て支援、発達障害児出張相談


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<当ブログ筆者の講義レジュメ概要>
相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第18回講義レジュメ概要1
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015年8月19日 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>

9章 相談援助のためのアセスメントの技術
1節 ソーシャルワークにおけるアセスメントの特性、援助的関係、面接
<ポイント>

・アセスメントとは、介入の前段階の、分析・評価の過程である。つまり、何が問題で,問題の要因と背景を探求し、かつ、クライエントの十分に機能している健康な面と、クライエント本人の課題を評価する。次の過程で、適切な目標の設定と,介入方法と援助計画の決定の基盤となる重要な作業である。
・クライエントの問題、状況とその背景への理解と分析が必要であり、人と環境との相互作用に対する視点、考察がその基盤となる。
・クライエントの問題対処能力、満たされないニーズ、問題の原因を考察する。
・クライエントの強さ=ストレングスへの着目も求められている。

*事例 貧困、困窮の生活スタイル、文化
 人間とその生活スタイルには、様々な面がある、単純ではない-生活歴による「文化」の違い。
 簡易宿泊所街の住民のファッション。
 簡易宿泊所という環境の良い影響-他者に干渉しない-障害者等のマイノリティにとっての生き易さの側面も。
 ドヤ街のアジール(逃れ隠れる場)としての側面とは。
 悪い影響-悪いつながり、依存症にとって。

 事例:児童福祉分野のケースでは、悪い関係から脱することが課題となる場合もある(薬物等)。

・援助者を含む市民との間に、生き方、生活、食生活、文化の大きな違い、隔たりがある。媒介し、交流による相互理解を図る専門職でもある。
 先ず、援助者がクライエントのあるがままの姿、生き方を受け容れることが求められる。多様な価値観、考えを尊重し合い、多様性の中の調和を見出していく。
 異なる他者を理解し、包容、寛容さの資質がソーシャルワーカーには必須である。


*解説 簡易宿泊所 貧困とメンタルヘルス
 簡易宿泊所とは、旅館業法における4種(ホテル、旅館、簡易宿所、下宿)の旅館営業許可業種のうちのひとつである。
 東京の山谷、大阪の釜ヶ崎(あいりん地区)、横浜の寿町等の簡易宿泊所街(ドヤ街)が現存する。
 寿町地域 とは、横浜市中区の簡易宿泊所が密集した「ドヤ街」 の一つである。現在は、高齢化した元日雇労働者や精神障害者等の生活保護受給者が単身で集住する地域である。当ブログ筆者は、1999年からは寿町の精神科等医療機関における精神科デイケアにおいて、主にグループワークの実践を継続して今日に至っている。利用者は簡易宿泊所に単身で住む生活保護受給者であり、アルコール・薬物(覚醒剤等)依存症、統合失調症等の多様な疾患・障害を持つ。


1 アセスメントの特性-統合的で多面的な問題のとらえ方 テキストP177~
<受験対策ポイント>
・アセスメントに当たっては,利用者のニーズの緊急性や優先度が考慮されなければならない。
・アセスメントでは,クライエントの社会生活の全体性を見て,多様な環境と人との相互作用のうち,どれが問題に関連しているかを検討できる広い視野が必要である。
・ストレングスアプローチでは,クライエント固有の強さ,クライエントの有する資源や問題解決能力に焦点を当てるアセスメントを行う。

・アセスメントの特徴の一つとして、現状の問題点の背景、原因の分析が挙げられる。

・ソーシャルワークのアセスメントの特性を、以下に述べる。
 アセスメントの対象は、家族、小グループ、組織、地域など広範である。
 アセスメントの起源は、1917年のリッチモンドの『社会診断』にある。診断の用語を当てつつ、クライエント理解の枠組みを「社会」に求めようとした。
 「アセスメント」という用語が「診断」の代わりに用いられるようになった。
 近年、システム論、エコロジカルモデル等に準拠した統合的アセスメントが主流となり、アセスメントの特性は統合的で多面的に問題を把握することが強調されている。

*ソーシャルワークのアセスメントの特徴
 人間、状況は変わる-常に変化する。高齢者、障害者は加齢による変化がある。生と死に関わる変化のスピードがあまりにも速い場合がある。その流れを前にして人間の健康、生命には限界がある。
 しかし、身体は加齢等の影響を受けても、人間の内面、内なるもの、精神は日々新しくなり、最期のときまで成長を続けることが出来る。

*全人的・ホリスティックな人間観、捉え方
・アセスメントは、静的なものではなく、支援の進行とともに情報が追加、統合、分析することによる動的なプロセスである。
 例えば、クライエントの潜在的な感情等の新たな情報は、支援方針を検討する際に重要な役割を果たす。
 家族の秘密による潜在的な感情 略

・障害者の生涯の段階における、出来ること出来ること、出来ないことの変化。
 身体障害者の二次障害とは   略

 これらのソーシャルワークの人間観を深め、磨くための思索が求められる。
 人間にとって、幸福とは何か、幸福とはどのような状態なのか。
 死をどのように捉えたらよいのか。生きることの意味とは。
 健康とはどのような状態であるのか。自らは健康なのか。


・ヘップワースらによるアセスメントに関する記述 略
・ソーシャルワークは、クライエント個人と、周囲の環境の相互・交互作用に着目する。

*問題の意味の探求
・メイヤーによると,「(アセスメントとは)問題の意味を探すことであり,すなわち,ソーシャルワーカーがいかにして,かなり複雑であるケースを理解するかという認識の過程」であると定義 略
 つまり、困難の意味の探求、意味づけが、アセスメントにおいても重要なものである。

*全人的、ホリスティックな視点
・クライエントの多くの側面を誤りなく理解することが、クライエントが真に望むこと、求めることの実現を支えることに繋がる。 
 多様性と複雑さをもつクライエントである個人、家族、グループ、コミュニティの生活を捉え、支えるには、内面、精神とその動きを見続けることが不可欠である。
 援助過程を通じて、クライエントは自分自身の痛みを伴う経験、トラウマ、孤独感と向き合う精神的な強さ、力を引き出され、関わりのなかで磨かれていく。
 だからこそ、安易な妥協よりも、全人的な成長のためのチャレンジが求められる。
 人間にとって、自らの痛み、経験は成長の糧となることがあり、それを支えるソーシャルワークが求められている。痛み、弱さ、屈辱、無力さが、やがて力、強さ、誇りに変わる。回復と新たな出発の場を創る。


・これらを整理すると,「アセスメントとは、クライエント・システムの問題に対して,ソーシャルワーカーとクライエントや関係者たちが、可能な限り必要かつ適切な情報収集を行ない、その情報に基づき生活問題、状況の理解と、援助計画や実践展開に必要な資源や方法の提供を目指して専門的判断を行なう過程である」 略

<補足>
・ピンカスとミナハンによれば、アセスメントは,二つの部分からなるプロセスである 略
 一つ目は、クライエント・システムとその環境に関する適切なデータを収集すること,
 二つ目は、インターベンション計画を展開するための基礎になるデータを評価することであると定義 略

<講義 参考文献の紹介>
真野節雄 著『「学校」がほしい 川崎に夜間中学ができるまで』,新泉社,1983年
ISBN4-7877-8314-9
 日本においても近年、子どもの貧困、教育格差等が社会問題化している。当ブログや筆者の講義でも扱う重要なテーマであるが、ソーシャルワークにとって昔も今も主要なテーマである。シャルロット・トールの『コモンヒューマンニーズ』Towle, C., Common Human Needs, NASW, 1965 においても、子どもの教育機会の平等が、社会の安定、民主主義の維持のためにも必要不可欠であり、生活保障と栄養、健康等の総合的支援が、ソーシャルワーカーの職務であると位置づけられた。併せて、トールも科学技術を飛躍的に発展させた人類が、貧困問題を解決、緩和させることが出来ないことを嘆いている。
 そこからおよそ半世紀。ソーシャルワークにとって、貧困、困窮家庭の子どもの学習支援、進路等は課題であり続けている。

 この文献『「学校」がほしい』は、30年程前に、川崎市で公立夜間中学開設を求める運動を推進した著者たちが、市民の力によって「自主夜間中学」を開設し、未就学者の学びの創った。当時も、心身の障害、生活困窮、時代の波に翻弄されて教育の機会が無かった人々がいた。「自主夜間中学」は、公的な卒業証書も、補償もないなかで、「学びたい」という切実な願いで、集い続けた「生徒」と、支援を続けた市民の「先生」の6年間の記録である。

 教育を受けている時には、学ぶことの価値を忘れてしまうこともある。しかし、生活困窮、障害、社会問題等によって、学びたくても学べない子どもたち、市民もいる。教育格差に派生する生活問題、社会的不利益も看過できない。
 ソーシャルワークは、学びたい人々の生活を支援し、学びと繋がなくてはならない。学ぶことは、生きる力になるのだから、支える実践が求められている。
<関連する当ブログ過去の記事 下記をクリック>
講義レジュメ 教育と福祉、識字能力、ストレングスによる生き方支援、虐待の回復とは 相談援助基盤第6回
 教育と社会福祉 事例から学ぶ、読み書きが出来ないということ。



<当ブログ筆者の論文 最新>
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


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ブログ閲覧中の皆様、卒業生、学生、福祉施設や機関の職員の皆様にお知らせ
ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士の実践報告 公開
 関心をお持ちの方、どなたでもご参加ください。
 日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科 主催
 参加無料 参加申し込み不要、直接会場へ
 日時 2015年8月29日(土)14時半から16時半

 ソーシャルワーク実践研究会は、子ども家庭福祉、地域福祉、貧困生活困窮者支援、高齢者や障害者福祉、スクールソーシャルワーク等、毎回さまざまなテーマで、本校社会福祉士養成学科の卒業生等の社会福祉士からの実践報告、現場レポートなどを行なっています。
 また、それぞれの実践の経験からの知識を共有するディスカッションを行い、卒業生と在校生、教員、福祉施設職員、一般の参加者との交流の場ともなっています。
 社会福祉士養成学科・養成科等の本校の学生や卒業生はもちろん、現場の福祉職員の方々や社会福祉に関心をお持ちの一般の皆様の参加も歓迎です。

<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

福祉施設職員のメンタルヘルス支援研修 講義レジュメ 看取り介護、社会起業福祉分野、社会資源開発

福祉介護職の職場ストレス、人間関係 研修 心理社会的アプローチ、心理社会療法 社会福祉士受験夏期講習

福祉介護職のストレングス 講義レジュメ 問題解決アプローチ、パールマン、コンピテンスとは 受験対策


<進路検討中の皆様 当ブログ筆者の説明会 >
社会福祉士養成学科 養成科オープンキャンパス説明会<ブログ筆者担当>
8/29(土)13:20から15:30 参加無料  参加申込不要
会場 日本福祉教育専門学校 本校舎

 オープンキャンパスでは、本校の社会福祉士養成学科と養成科の特徴、就職先、カリキュラムの概要等を初めての皆様向けに解説しています。2015年社会福祉士の国家試験合格率が81.9%と合格者数全国1位の社会福祉士養成学科。全国でトップクラスの実績を維持している理由も、当ブログ筆者(社会福祉士養成学科 学科長)が説明します。ご質問やご相談も歓迎です。関心をお持ちの皆様、ご参加下さい、参加無料


*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部(通学)です
お問い合せは 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255

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<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>

(5) 「くぐり抜け体験」の共有化、意味づけによる困難の克服
 職員それぞれの、実践の困難な局面やストレスの「くぐり抜け体験」、つまり有効な対処の共有化を図る。これらを引き出し、促進する同僚とリーダーからの働きかけが必要となる。実践知の共有化とも言える。
 また、それぞれのストレングス、長所を指摘し合う。ストレングスや自己の新たな側面の発見を助ける働きである。他者は容易には変えられないのであり、相手の良さを引きだすことの方が現実的である。
 基本姿勢は、自分にしてほしいことを他人に行うということをシンプルに考え、実行することであるとも言えよう。
 フランクル(註)によれば、困難の持つ意味を捉えること、意味を見出すことによって、困難な状況を乗り越えることが出来る 。例えば、最近の困難な経験は、自らの成長のための試練であると意味を見出すか、状況のなかで自らを失い、流されるままかということである。
 そして、ある経験に意味を付与するためには、言語化する必要がある。語りを紡ぎ、困難を意味付けするためにも、職員チーム内外の語り合いの機会が必要であろう。
 実践から生じる怒りや戸惑い、怖れ等の負の感情を表現し、語れる場所と機会が、福祉施設職員には必要である。お互いに自然なかたちで、感情の表出と傾聴を含め、緩やかな繋がりを創ることが要である。
 ブトゥリムによれば、ソーシャルワークは、望ましい生き方への基本的な関心を持っている。利用者の生き方、生きる意味、生の尊厳に関わる援助者側も、自らの価値観の確立、生の拡充が求められる。それは自らの精神、内面において内省し見出すだけではなく、フェローシップとも呼ばれる集団の繋がりのなかで働く相互支援の力により支えられる。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

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東京都社会福祉協議会登録講師派遣事業

貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中


社会福祉士受験対策web夏期講習 相談援助の理論と方法編 第2回
<問題解決アプローチ>
*問題解決アプローチ(モデル)の経緯

 H.パールマン(H.H.Perlman)は,1952年の論文で、ケースワークに「ソーシャル」な特質を取り戻す努力をすべきであると強く訴えた。
 また、A.マイルズは1954年に、社会環境条件に重点をおく立場を回復すべきであり、ソーシャルワークと社会科学との連携を訴えて「リッチモンドに帰れ」と主張した。

・パールマンは1957年に「ソーシャル・ケースワークー問題解決の過程」を著し、診断派の立場に立ちつつ機能派を取り入れた「問題解決モデル(アプローチ)」を体系化した。
問題解決アプローチとは、診断主義の理論、その科学性と、機能主義のクライエント中心、その主体性の尊重という二つを折衷的に取り入れた。また、自我心理学や経験主義教育学,社会学の役割理論などの影響がみられる。

・パールマンの問題解決アプローチの特色は、利用者を、社会的に機能する主体的な存在として捉える点と、個別援助を、施設・機関の機能を担った援助者と、問題を担っている利用者の役割関係を通じて展開される問題解決の過程として捉える点にある。

<受験対策ポイント>
・問題解決アプローチは,人の自我機能としての問題解決能力を重視し,役割機能上の問題に対処できるように援助する方法である。

 問題解決モデルの特徴とは、
①人の生活は問題解決の過程であり困難は病理ではないという視点、
②問題解決の主体はクライエント、
③社会的役割葛藤を重視、
④ケースワークの構成要素である「四つのP(人・問題・場所・過程)」、
⑤支援を利用しつつ問題解決に取り組むクライエントの力を「ワーカビリティ」と呼ぶ。


1 起源と基盤理論
・パールマンは、心理社会的アプローチと機能的アプローチの折衷として、問題解決アプローチを構築した。
・自我心理学のコンピテンス、役割理論等を摂取した 略

2 問題解決アプローチを理解するためのキーワード
*「四つのP」

 パールマンが用いた、相互に関連するケースワークの四つの基本的構成要素をさす。
①人=Person(援助を必要とする問題をもち、施設・機関に解決の援助を求めてくるクライエント)、
②問題=Probrem(その人と環境との間に調整を必要とする問題)、
③場所=Place(援助者が所属し、個別援助が具体的に展開される場所である施設・機関)、
④過程=Process(個別援助者と利用者との間に築かれた相互倍額関係を媒介として展開される援助の過程)をいう。
 後に、6つのPとなる。
*6つのP
・援助を求めてくる人、問題、具体的援助が展開される場所、援助過程、専門家、制度・政策・資源(provisions)-実践の構成要素。

*「ワーカビリティ」

・クライエントの、問題解決における支援活用能力。
 ワーカビリティとは、問題解決に向かう能力と,自発的に援助を受けようというクライエントの動機づけ、問題解決の機会をさす。
能力は,身体的・知的・情緒的側面から評価する。
「動機づけ」はクライエントや家族の価値観,生育歴や周囲などによって影響を受けるため,個人を取り巻く環境にも注意を払いつつ検討する 略

*コンピテンス
・能力の活用への興味、希望などの動機づけを含み、環境からの要請にはたらきかけ、課題を遂行しようとする能力のことをいう。「潜在能力」「社会的自律性」などの訳がある。

*MCOモデル
・動機づけ、能力、機会-問題解決への要素。

3 適用対象・適用課題
・人間を潜在的問題解決者、ソーシャルワークは「好ましくない状態から好ましい状態への移行を含む」問題解決過程である。援助の活用を動機づけされた個人が対象となり、適用課題は特に設定していない。

4 支援焦点
・パールマンは、「援助の本質は、それが個人の社会的適応をもたらし、一社会人としての彼の機能を回復させ、新生面をひらき、補強することを目的とする(『ソーシャル・ケースワーク』)」
・クライエントの社会的な課題を遂行する場合、効果的な対処が可能なように援助する。

5 支援展開
<問題解決アプローチ 援助の過程>

・問題解決アプローチは、①接触、②契約、③活動の各段階で展開される。
・接触段階は、問題の明確化、短期・長期の目標の明確化、資源の検討が行なわれ、予備的な契約となる。「動機づけ」「能力」「機会」を検討する。
・契約段階は、問題のアセスメントにより、目標、サービス提供の方法、両者の役割などの計画を策定する。
・活動段階は、計画が実行に移され、達成内容の評価後、終結となる。

・パールマンは,人が生きることあるいは社会的に機能すること(social functioning)は問題解決のプロセスであると考え,自我機能としての問題解決能力を重視した。
問題解決プロセスを重視し、「専門的ヘルパー」(=援助専門職)としてのケースワーカーとクライエントとがやりとりしながら前進するプロセスであり,ワーカーとクライエントがともに行う一連の問題解決作業であるとした。
 パールマンは,こうしたプロセスにおけるケースワーカーの役割は,クライエントへの問題解決の動機づけと,問題解決するための技術を身につけるようにすること,そして,その技術を実際に使う機会を提供することであるとしている。

*折衷主義に立つアプティカーは、機能派の立場に立ちつつ、診断派の理論を積極的に取り入れ、ケースワークとカウンセリングの関係について、比較分析した。

<続く 社会福祉士国家試験受験対策web夏期講習>

新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版



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<当ブログ筆者の社会福祉士 国家試験対策講座 模擬試験+ポイント解説>
 日本福祉大学の社会福祉士受験対策講座
【社会福祉士養成校協会】全国統一模試+ポイント解説講座
講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
10月25日(日)東京会場
10月31日(土)岡山会場

お問い合わせは日本福祉大学名古屋オフィス 電話052-242-3069



<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

福祉施設職員のメンタルヘルス支援研修 講義レジュメ 看取り介護、社会起業福祉分野、社会資源開発

福祉介護職の職場ストレス、人間関係 研修 心理社会的アプローチ、心理社会療法 社会福祉士受験夏期講習

低所得者支援と生活保護練習問題 貧困の文化、履歴効果とは ひとり親世帯就職サポート事業、障害者就職率


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ソーシャルワーク実践研究会 卒業生社会福祉士の実践報告 公開
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 日時 2015年8月29日(土)14時半から16時半

 ソーシャルワーク実践研究会は、子ども家庭福祉、地域福祉、貧困生活困窮者支援、高齢者や障害者福祉、スクールソーシャルワーク等、毎回さまざまなテーマで、本校社会福祉士養成学科の卒業生等の社会福祉士からの実践報告、現場レポートなどを行なっています。
 また、それぞれの実践の経験からの知識を共有するディスカッションを行い、卒業生と在校生、教員、福祉施設職員、一般の参加者との交流の場ともなっています。
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<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>
(6) 協同による実践と新たな働き方
 第一に、福祉施設職員のストレス、燃えつきは総合的問題である。
 福祉職員の働き方、生き方の質が問われる側面もある。ストレスの緩和のためには、各自のメンタルヘルスのみならず、総合的な対応が求められる。自省しながらの実践によって成長し、かつ自らの生の拡充を図る。
 第二に、福祉施設の職員チームの人間関係は、ストレッサーとなり得るものであり、またストレスを緩和する要ともなる重要なものである。
 第三に、ストレスを皆無にすることは出来ないが、ストレスに対処し、復元、回復する力、レジリエンスを高めることは出来る。
 第四に、ストレスからの拠り所となるのは、職場の内外の「仲間」との相互支援のネットワークと、個別の支援である。
 実践知の共有や多様性を尊重する対話、実務とメンタル両方の相互支援の促進が課題である。

 これらの方法により、ストレスに対処し、実践を持続可能なものとしていく。現状においては、常にストレスからの悪影響を緩和する資源やストレス対処スキル、自己効用感等の、主にソフト領域を中心としたストレスからの防護と、実践からのストレスやマクロ要因、労働条件等による不安等がせめぎ合っていると言えよう。
 もちろん、労働条件等のハード領域の改善も福祉職員を支えることに直結するのであり、マクロレベルにおける対応を待望したい。福祉施設職員の置かれている現実から出発する議論の活性化が、必要不可欠であると思われる。その間に、ストレス・マネジメントを更に強化するものとして、本論の提案する対処策を施設や個々の職員が導入することが、職員の職場への定着と安定に繋がると考えられる。
 スローガンや理念ばかりではなく、割り切った単なる賃労働ではなく、慢性疲労を抱えた「でもしか介護」でもない。現場と共に新たな働き方、生き方を創造していきたい。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

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相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第18回講義レジュメ概要1
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015年8月 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


8章2節 契約の方法と留意点
<契約のポイント>
*概要

・原則として、ソーシャルワークと関連サービスによる支援は、契約に基づいて提供される。
・契約とは、援助者とクライエントの間で、目標や支援の具体的な方法、期間、面接等のルールなどについてなされる取り決めである。
・支援において、契約を結ぶこと自体に意味を持たせる場合もある。
 事例によっては、援助者とクライエントの双方が、契約を守るということが重要な意味を持つ場合もある。信頼された経験-信頼関係、承認の機会-認められるということ等による自尊感情の回復である。
 つまり、クライエントが、他者から裏切られ、また自分が疑われた過去を越えて人は信じられるという基本的な信頼感と、虐待や屈辱から傷ついた誇りを回復する。人として生きることの全人的な回復が、ソーシャルワークの援助過程にとって大きな課題である。
 事例によっては、支援の枠組みを設定して、双方がそれを守るということが重要な意味を持つ場合もある。
 例えば、アルコールや薬物の依存症者の事例等。


*グループワークの契約とは-シュワルツ(Schwartz,W.)による

・(グループワークにおける)契約では,グループワーカーは、グループを作る目的・意義などについて、ワーカーとメンバーが合意形成する作業を援助する。
 つまり、何のためにこのグループが会合し,どのような約束のもとに活動を展開していくのか,などについて,ワーカーとメンバーの合意をつくる。

1 アセスメント段階までの共有 テキストP167
・(テキスト)契約とは、アセスメント段階から援助計画段階の間にあり、援助の目標に関する契約である。
・契約段階を経ることにより、ソーシャルワーカーとクライエントは協働で目標設定をし、達成のために計画を立案し、その進展や結果の評価が可能となる。
・ソーシャルワーカーは、クライエントの問題、状況への理解深め、問題等の共有化を図る。
 これによって、クライエントの動機づけ、クライエントへの尊重、自己決定の尊重を具体化する。
・共通理解のうえに、双方が問題解決のために協働することの合意がもたらされる。双方の理解の共有は、全過程で行われるべきだが、特にアセスメント終盤は重要である。
*恊働のソーシャルワークへ
 つまり、契約はパートナーシップによる問題解決を具現化する。参加型のソーシャルワークとも言えよう。
 問題解決の主体はクライエントである。自助努力の促進というクライエントの課題も含まれる。


・双方の見解が異なる場合、ソーシャルワーカーは更に情報を収集し、アセスメントのやり直しの必要が生じることもある。
・クライエント自身が直面を避ける問題に、気付きを促すことが課題となる場合もある。
 クライエントの自立と、自身の進むべき方向を自ら決める力を育む。


<補足>
・アセスメントの過程によって、クライエントの問題と取り巻く状況が明らかになり,次に進むべき道すじ・方向性も見えてくる。
・ソーシャルワーカーとクライエントとが共にアセスメントで見えてきた問題の本質を踏まえ,可能性や障害・問題についても話し合われる。これらを理解し,具体的な支援・取り組みを取り決めるのが「契約」である。

*援助契約の作業と留意点
具体的には、問題の明確化,目標の設定,援助方法にかかわる複数の選択肢,援助期間や提供される場所をクライエントと合意する作業が必要 略
・「契約」段階では,サービス利用者が現に直面している問題状況の明確化を図る働き掛けが含まれている。
・契約際しては,利用者のスティグマに留意しつつ,説明責任(アカウンタビリティ)に配慮し,説明と同意(インフォームド・コンセント)を遂行 略

2 目標設定の合意 テキストP168
*エンパワメントを徹底した目標の設定へ
 問題に取り組み解決する主体は、クライエントである。
 ソーシャルワークは、問題の解決にクライエント自身が主体的に取り組むことができるように側面から援助していく。
 クライエントの個別性を捉え、問題解決能力などその主体性を強めるために、専門的知識・方法・技術などを提供する。
 ソーシャルワーカーは、クライエントのニーズをクライエント自らが明確化できるように援助し、ニーズを充足するための計画が可能になるように目標の設定を支援することが求められる。


*新たな生き方への目標
 クライエントの生き方の転換、再出発が課題となる場合もある。自らを問い直し、生きることの新たな意味を見出すとも言える。
 その基盤には、多様な文化、多様な考えの尊重がある。相互の信頼、協力、共感、調和、対等な繋がり等が挙げられる。全人的、ホリスティックな視点、人間観が必要となる。 略
 人間中心の支援であることが、目標に集約される。


<補足:目標設定>
・アセスメントにおいて収集できた情報を基礎にして、利用者に最もふさわしい援助の目標設定を利用者とともに考え,立案する過程である。
 ここでは具体的な目標の設定が必要であり,多くの場合,当面の緊急を要するものから,中長期の展望のもとに設定すべき目標までを視野に入れて行われる必要 略
・援助者と利用者はいわゆるインフォームド・コンセント(説明と同意)を周到に行う 略

・取り組むべき問題が同意 ⇒ 問題解決の目標・到達点を設定する。
・目標は、到達されるべき結果の形態で設定される。
・目標と、目標を達成する方法や手段も区別すべきである。
 例:「~の状態になる」は目標であり、その為の「~サービスを利用する」は、目標を達成するための手段である。

<目標設定の留意点>
*特定化すること

・目標は漠然、曖昧、具体的でない表現は避ける。明確に特定される必要 略
・目標の特定化は、クライエントの課題を顕在化させ、取り組むべきことを明らかにする。

*検証可能であること-目標は、検証できる形で設定されることが望ましい。
・具体的、測定可能な目標の設定により、課題達成の評価が可能 略

*現実的であること
・クライエントの意欲や能力などと、インフォーマル・フォーマルな資源の活用により、達成可能なものでなければ 略
・クライエントの価値観や文化、適性や能力、関心に沿ったものを設定すべき 略

*時間的枠組みを設けること
・行動の具体化は時間の限定によって進められる。

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貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


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福祉現場の語り 実践力


講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

講義レジュメ 地域包括支援センター、アウトリーチとは 福祉施設職員のセルフケア研修、レジリエンス

福祉施設職員のメンタルヘルス支援研修 講義レジュメ 看取り介護、社会起業福祉分野、社会資源開発

低所得者支援と生活保護練習問題 貧困の文化、履歴効果とは ひとり親世帯就職サポート事業、障害者就職率

新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


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講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
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<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>

(9) 福祉施設職員のメンタルヘルス
 燃えつきの症状の一つである不眠は、不眠そのものによって心身を消耗させ、燃えつきを促進させることもあり、放置することは悪循環に繋がる。そして、心身の健康への悪影響、体力の損耗、不眠によって注意力が損なわれることにより事故に繋がるといったリスクマネジメントの点からも、早期の対処が求められる。1週間程続いた場合には、医療機関の受診や、相談等の職場外の資源を活用した対処が必要ではないだろうか。 
 不眠の原因となっている問題の緩和も当然ながら追求すべきではあるが、主治医の診断によっては、睡眠を助ける薬を用いることも一つの方法である。同様の対処が、アルコール依存症や気分障害等の職員のメンタルヘルスの問題にも当てはまる。予防と適切な対処の必要がある。
 また身体的なセルフケアとして、下園は、看護師へ呼吸法等の心身のリラックスを図る具体的な方法を勧めている 。他にも、教師等を対象とした休息、落ち着くことを促進する方法の勧めもある 。
 援助者のメンタルヘルスを維持するために、気分転換やストレスの緩和に繋がる身体的な健康促進法も重要である。換言するならば、これはストレスや疲労の蓄積を避け、心身の健康管理を含めたストレスケアの一つなのである。

(10) 喪失と成長-看取り介護など、人間の根源的なもの
 利用者の生の終わりは、移行の支援であると、キューブラー・ロスは示している。つまり、生の過程は、喪失の連続であり、誰もが大切だと思ってきたもの、例えば若さ、体力、親しい人、地位等が自らの側から離れていくことや、失うことを経験する。これらには、永続的に独占して所有できるものなど無く、やがて時が来たら失うのである。ロスによれば、喪失という痛みを経て、人間として成長することが出来る。
 看取り介護の課題とは、最大の喪失である、いのちの終結に伴う痛みに利用者が耐えるときに、寄り添い支える存在が求められるという点にある。福祉施設職員は、加齢、疾病、死などの人間にとって最も重要なライフイベントに関わるのであるが、喪失とその痛みから学ぶという姿勢が求められる。このような視点から捉えるるならば、実践を通して援助者とその感受性は磨かれ、利用者も援助者も共に全人的に成長することが望める。

 総じて、援助者自身も実践の困難、職場のストレスに意識が縛られ、心身の慢性的疲労のなかで自尊感情が損なわれることがある。実践のストレス、燃えつきは、援助者の価値観、生き方を含めた全人的な問題とも言えよう。援助者自身の生きていることの意味、最終的に目指すものが問われる側面がある。全人的なセルフケアと自身のサポートネットワーク、サポーティブな職場によってリジリエンスを高め、情緒の摩滅からの回復、自信を持つことが必要である。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

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東京都社会福祉協議会登録講師派遣事業


相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第16回講義レジュメ概要2
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015/7/29 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>


6章4節 予防的対応とサービス開発 続き
5 サービス開発・事業企画 テキストP152

 社会福祉領域、ソーシャルワークにおいてクライエントのニーズは多様であり、制度で対応困難なこともある。
 コミュニティの協力者等のインフォーマル・サポートの活用や、社会資源の開発なども必要である。コミュニティソーシャルワークとしても、地域住民との協働によるサポートの展開が、今日、求められている。

*社会資源の開発と事業化
 社会福祉士機関・施設として対応可能ならば、組織として事業化を図る。
 所属機関において、企画案を提示し、機関の事業として承認を得、実施する。また、関係する機関・人々に協力を要請するなど、具体的な準備、計画が必要となる。

*社会資源開発とソーシャルワーク コミュニティを基盤とした相談援助へ
 資源開発は、今後のソーシャルワーカーにとって、大きな役割となる。コミュニティを基盤に住民との協働で、自然な協力、相互扶助を活かしながら資源を創る。
 ソーシャルワーカーには、その促進プロセス、組織のコーディネートの専門職としての役割が、求められる。 また、協力を呼びかけるプレゼンテーションやスピーチ、ワークショップ等の技術が必須となる。

*福祉の社会起業、創造のソーシャルワーク
 社会福祉領域には、現行の関連制度の、フォーマル資源の課題、問題点を挙げる関係者も目立つ。
 しかし、政策提言も必要であるが、自分たちで資源を創る姿勢、社会起業の取り組みも求められる。
 この講義でも紹介しているように、各地で社会資源開発、福祉領域の社会起業が活発に展開されている。この講義が、更なる社会起業の種まき、創造力を生み出すことを願っている。


◎ソーシャルワークにおけるインターベンションでは,クライエントやその環境及びその両者への介入を行い,状況に応じて社会資源の開発などを行う。
◎(社会資源の活用・開発)社会資源充実のために当事者の意見に耳を傾ける。
*精神保健福祉領域における地域援助技術(コミュニティワーク)
◎地域社会の偏見・差別というバリアの除去や軽減が含まれる。
◎精神障害者の地域生活を支え,希望を実現していく機会や資源の開発が含まれる。


<社会資源開発-社会福祉領域における社会起業のすすめ>
・福祉ニーズを持つ人々、同様のコミュニティに対する社会資源・社会福祉援助システムが効果的に機能しなかったり,最初から資源・援助システムがなかった場合には,必要に応じて資源・援助システムを開発することが、必要になる。
・ソーシャルワーカーは、その実践において,特定の集団(例 DV被害者,精神障害者,ホームレスなど)のニーズを充足する施策が既存の制度にないこと,あるいは既存の施策ではニーズ充足が不十分なことを認識することが少なくない。
 新しい事業・プログラムの構築の必要性を認識したならば,地域の関係する組織・団体(町内会、社会福祉協議会),住民に,問題への関心をもってもらい,積極的な関与を引き出すための組織づくりを行って,その組織を中心に新しい事業(プログラム)の創設を図っていく。
 地域レベルで創設された新たな社会資源・事業を,他の地域でも実施する、展開すること
略 マクロソーシャルワークの役割といえる。 専門職団体の役割 略
・新たなニーズに対応して、組織化の課題への対応や資源開発に取り組むことが求められている。
 地域におけるソーシャルワークは、住民が持つ自立、自助、協働の理念に働きかけ、 略 開発に力点をおく 略

*コミュニティ(当事者の集まりや、関心を持つ市民の組織を含む)と共にあるソーシャルワーク
 新たな社会資源の開発において、住民、当事者の主体的な参加を引き出す為の、動機づけなど働きかけの力量、ワークショップ等のスキルが求められる。
 住民参加の促進-住民への具体的な働きかけ、協力の呼びかけは、どのように進めるか?
 アジア諸国や、ラテンアメリカでは、民衆劇等の手法を用いて、住民に働きかけていく。
 まちづくり、コミュニティ・デザインの領域では、ワークショップ等の手法が用いられている。参考にしたい。

*ファシリテーターとしてのソーシャルワーカー
 専門職のスキルとしての、ファシリテーションの必要性。
 ファシリテーターとは、「行動やある過程を容易に促進する」という意味のfacilitateから転じた言葉であり、ある課題を容易にするために議論する過程において、進行役や引出し役となる人のことを指す。
 しかし、単なる進行役でも、指導者でもなく、参加者と対等に位置しながら、参加者の主体的な参加、意欲、知識、智慧、経験等を的確に引出し、コミュニケーションを促進していく役割を担う。

*地域福祉ワークショップのあり方
 多様な領域において、参加体験型のワークショップという学びの手法の有効性が注目を集め、その場づくりを担うファシリテーターの役割が重視されている。
 ファシリテーターは、福祉問題の例を提示し、住民は、身近な課題に対して興味を持つように関心を引き出し、その問題意識に働きかけていくスキルも必要になる。

*住民協働のコミュニティソーシャルワーク
 住民、当事者のコミュニケーション、相互支援活動、ディスカッション、ワークショップなど、コミュニケーションの場を通じて自己を探究するという雰囲気も創っていく。コミュニケーションを深めるこれらのプロセスを通じて、住民は相互に交流を深め、仲間意識、一体感、協調、コミュニティへの所属と開放感を取り戻す。もし、コミュニティ内に争い、諍いが過去にあったならば、和解も考えていく。

*まちづくり型地域福祉 コミュニティの所属と責任とは
 これらの新たな地域福祉活動を経験することにより、コミュニティの一員として作業する達 成感を実感し、コミュニティの「絆」づくりを住民もソーシャルワーカーも体感する。
 このコミュニティ内の活動の集まりは当初は小さな種でも、やがて成長し、全ての人々のための活動に、多くの人々がつながる場になるであろう。
 もし、住民や専門職が、コミュニティに対して根無し草のようなあり方であるなら、何につながっているのか、どこに向かっているのかも見失い、成長することも望めない。
 コミュニティという地面に根をおろしてこそ、実を結ぶことができる。根付くとは、コミュニティや住民に対する、自然な使命感を持って生きるようになるということである。その原動力は、個々ではなく、共同体の人々の緩やかな繋がりの中でこそ生み出される。


・社会資源の開発は、現状の社会資源・援助システムでは充足されていないニーズの把握・分析から開始される。
①日常的業務からのニーズ把握
・地域社会の福祉ニーズを把握するには、社会調査も重要であるが、日常的な業務を通じてニーズを把握する 略
 個別の相談事例から地域全体のニーズや問題を把握することも重要である。

②社会調査法によるニーズ把握
・必要に応じ、社会調査によるニーズ把握を実施する。

・なお、予備的なニーズ把握として、地域社会の福祉ニーズを把握するため、行政の資料等から情報を収集する。
・また、地域の専門職や当事者、関係者から、自由面接調査やグループインタビューを行なうことも有効 略
 加えて、専門職や地域の連絡会議等における問題の明確化、共有化も有効な手法 略
 環境、まちづくりが課題であるときは現地踏査も行なう。
・各地域の社会資源の整備状況は 略
・近隣の見守り、支え合いや傾聴ボランティアなど、インフォーマル資源も必要 略
・より良い援助を提供するために、地域の社会資源の不足が障壁となる場合もある。
 不足する資源を開発する 略

*既存資源の再資源化
・既存資源の再資源化とは、既存の資源ではあるが、一部の当事者・クライエントに対してサービス対象に含めていない現状の改善を図り、対象の拡大や、サービス提供の範囲を超えた対応を求めていくことである。
・各施設・社会資源は、クライエントの要件を定める。しかし、他に適切な資源がなく、その資源がサービス提供能力をもっている場合、その資源に対して利用要件の緩和や柔軟な対応をはたらきかけ、調整する 略
 加瀬は、「容易とはいわないが再資源化しうる社会資源は存在する」-協議の重要性。

・略 利用要件の緩和は簡単には進まない。
 交渉の技術が求められる。
 協調的交渉と競合的交渉のうち、前者が必要であろう。双方の利益を示す。「言い分」と「本吉・欲求」の見極めから、最優先事項を絞り込むことや、「問題」を見直すことなど 略

*新たな社会資源の開発
①一つの機関・団体が単独でサービスを設立し、自ら運営する場合
②地域の機関や団体の共同で開発・運営を行う場合(運営は単独の場合も 略
・資源開発は従来から社会福祉協議会等が行ない、近年は多様な取り組み 略

*不足する資源の発見
・個々のクライエントのニーズと資源との調整を図る中で、資源の不足によりニーズの充足が困難になる場合もある。
①ケースアドボカシー=個々の事例に関して、資源側との交渉等により解決を図る。
②コーズアドボカシー=同様の資源不足の状況に置かれている多数の当事者に対して、資源開発 略

*社会資源開発の展開
・鈴木による、社会資源開発の展開
①自己の確立(変革)、コア(核)となる「ひと」の確立
②「組織」の確立(変革)、組織化

 組織のニーズへの対応、サービス内容や質の評価を活かし進化する仕組み 略
③「地域」での福祉サービスを確立し、実践を地域化する
 「組織化」されたものを「地域化」する。地域に合わせたアレンジ、具体化。
④実践や社会資源の改善・開発を社会化する
・社会資源開発は、地域のネットワーク、協働作業から展開 略

6 予防的対応 テキストP152
 住民の要援護・問題の深刻化に対する、早期発見・早期対応の姿勢は重要である。
 地域ケアの過程で、地域の声かけ、見守り体制構築などの予防的な活動が重視される。
 支援者の協力体制構築は、問題発生に備えるための準備体制でもある。会議等によるネットワークづくりが必要である。

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低所得者支援と生活保護練習問題 貧困の文化、履歴効果とは ひとり親世帯就職サポート事業、障害者就職率

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「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
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<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>
(3) 実践ストレスのセルフケアのプロセス
 実践ストレスのセルフケア、特に燃えつきからの回復と再出発にはプロセスがある。要諦は、自らの燃えつき、心身の慢性的疲労の状態を自覚することから回復は始まるということである。 換言するならば、自らの実践と心身の状態を理解していないところからは、復元は望めない。
 第一段階は、燃えつき状態であることの自覚と、その問題を認めることである。
 この段階は、心身の慢性的疲労や意欲の減退が、単なる身体的な疲労のみが要因なのではなく、心理的かつ職場環境の要素が関連していることを自覚することが重要である。
 また、燃えつきの要因でもある実践に関わる「完璧主義」が、自身の痛み、疲労の自覚と、他者への表現を困難にしている。痛みを分かち合うこともできない。
  併せて職員の家族や同僚、現場リーダーによる早期発見と、本人への助言が重要である。

 第二段階は、休養によって実践から距離をとることである。
 自身と職場・実践との間に心理的かつ物理的な距離をとり、実践に関わる思いを休止することにある。職務を継続しつつ心理的な距離をとることは容易ではない。休養によって職場との間に物理的な距離をとるのが有効である。
 しかし、休養することへの 「罪の意識」 が回復を妨げてしまう。症状の悪化に繋がる前に、適切に判断し、回復に踏み出す必要がある。必要に応じて、外部の資源、とりわけ医師などにも相談する。聞き取り等からは、この段階が遅れる程、職場への復帰が困難となる傾向がみられた。

 第三段階は、健康と安定の回復を図る。
 心身ともにリラックスし、健康を取り戻すことが、 この段階の要諦である。 しかし、ストレスが高まり疲労が蓄積され、心身の緊張状態を解くことは容易なことでない。焦らず、充分な睡眠や心身の安定を取り戻していくことが必要である。

 第四段階は、価値観の再検討を図る。
 今までの自らの働き方と生活を振り返り、 自身の再発見と価値観の再検討を行う。燃えつきからの回復のために、職務に傾斜し過ぎていた自己と生活を見直す必要がある。当然ではあるが、職務の手抜きの勧めではなく、生活の中で何を大切にし、何を改めるべきかを自らに問い直す作業である。
 具体的には、完璧主義や他者に依存しない姿勢を克服する。燃えつきからの回復、職務へ復帰するために最重要な段階である。

 早期に回復のプロセスを開始出来たならば、ここまでの段階で、職場への復帰も可能であろう。しかし、復帰が極めて困難な場合は、キャリアの再出発として、次のプロセスに進む。
 第五段階は、新たな働きの場を探す。
 自らと新しい価値観により適合する職場を求める。必要に応じてリカレント教育等を受けて、新たな職場を選ぶこともある。
 第六段階は、キャリアの新生である。
 新しい環境において、生活と働き方のスタイルを再設計していく。新たなキャリアへの出発である。

(4) ストレッサーの自己分析
 ストレッサーとは、ストレスを生じさせるものである。例えば、実践上のアクシデントや、自身の病気やけが、災害、犯罪被害といった非日常的な出来事から、多くの人が経験する日常的な出来事に至るまで、多様な出来事、人物、環境がストレッサーとなりうる。しかし、何がストレッサーとなるか、どの程度のストレスを生じさせるのかは、個人差がある。
 このため、ストレスに関する自己分析が必要である。
 一、何がストレッサーなのかであり、
 二、どんな影響を自らにもたらし状態(ストレン)はどうかであり、
 三、緩和し得る資源、モデレーターを見出すことである。
 なお、援助者の家族も、モデレーターとして重要な存在である。家族によって、ストレスから護られ、回復するためには、家族内の関係性が重要なことは言うまでもない。
 職員にとってのストレッサーが、自身の日常生活上のストレス、また職場外の家庭等の人間関係の場合もある。公私を含めて、自分にとって、何が大切なのか、自己の経験による価値観、考え方への影響や、感情等の特性に向き合う作業も必要である。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
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内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

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相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第17回講義レジュメ概要3
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<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>

2 ソーシャルワーク援助過程における契約の意義 テキストP170
*契約の意義①=対等性、自己決定の尊重を具現化

 契約の意義は、援助過程において対等な関係性を確立し、クライエントの自己選択、自己決定権を保障・尊重することにある。
・これらの理念の前提条件として、クライエントを信頼に値し、自己決定・問題解決の力を持つ存在とする、肯定的な視点、人間観が必要となる。

・医療においても、患者の権利の尊重を背景として、従来のパターナリズムの姿勢からインフォームドコンセントへと移行している。患者の、自己決定権の尊重につながる。
・ソーシャルワークにおける契約尊重の立場は、医療のインフォームドコンセントと同様である。
・権利の保障を図るアドボカシーと、クライエントの自己決定・選択の尊重は、ソーシャルワークの要である。

*人間への信頼感を取り戻す援助 伴走型ケースワーク
・伴走型の支援は、クライエントを信じることからはじまる。
 それは、全ての人は、かけがえのない存在であり、変化すること、成長することができる、お互いに深く関わることもできると信じることである。
 この援助者からの揺るがない信頼によって、クライエントは、自他への不信を乗り越え、自分自身を信じることができるようになる。人間への信頼感を回復するプロセスがはじまる。

*緩やかに繋がり、信じ合えるコミュニティの生活へ
 それは、人間として生きることの本質を取り戻すという精神的な支援の実践でもある。相互に尊重、尊敬し合い、繋がり、協力、調和と一体感を持ったコミュニティで共に生きる。親密な関係の中でこそ、人は生きていくことができる。
 人間支援の基本は、いかなる時も共にあるという確固とした姿勢にある。


*自尊感情を回復する相談援助
・生活の困窮のなかで、人は自信、意欲をも失ってしまう。
 社会的、心理的な困難な状況、つまり目に見える現状は容易には変わらなくても、パートナーシップによる支援の場というクライエントの居場所を創ることが、生き方を含めた全人的な支援の要点の一つである。
 クライエントは、決して独りではない。支援の場や生活するコミュニティのなかの一つの部分として存在し、そこに居場所がある。人間が、主体的な生き方と自らの居場所を取り戻すこと、併せて居場所における共感と分かち合いに至ることが、支援の目指すところでもある。
 何故なら、そこには孤立や心配からの解放、緩和が待っている-助け合い、相互の承認、痛みの共有による。

*コミュニケーションの促進 誇りと居場所を取り戻すということ
 具体的には、その居場所は非階層的、つまりヒエラルキーがない対等な場でなくてはならない。誰にでも責任と役割があり、全てのメンバーが共同体の感覚を持つ。
 また、個々の意見や感情を分かち合える、安全で相互に補完的なコミュニケーションを媒介とする。
 一人ひとりの自由な創造力、意欲が活かされ、自らの誇りを回復する場が切実に求められている。


*契約の意義②=協働作業、相互作用の促進
・ソーシャルワークは、クライエントの問題解決を代行するものではなく、双方が積極的に関与していく必要がある。契約は、問題解決を目指す過程が協働作業であることを具体化する。

*脱代行のソーシャルワーク 双方向のつながりの力
 問題解決の代行主義を脱し、クライエントの主体的な生き方を総合的に支援する、エンパワメントを徹底したソーシャルワークへと変革していく。
 契約によって、ソーシャルワーカーとクライエントの相互作用を促進する。双方向の関わりの力を引き出す。


*契約の意義③=問題解決のモチベーションの向上
・契約の合意形成の作業を通して、クライエントの問題解決への意欲を高める。
・援助者のクライエントへの信頼が本人の自己評価を高め、問題解決への自信を生み出し、意欲を高める。
・契約の内容には、目標やその達成方法、ソーシャルワーカーとクライエントの役割・課題・行動も含まれる。クライエントが、決定に参加することで自らの課題・行動の意味も理解し、意欲も高まる 略

<事例 契約事項:在宅介護を受ける高齢のクライエントの場合>

①援助のゴール
・在宅における自立生活の継続
②援助の方法
・現在の生活を支えるために、必要なフォーマル・サービスと、それ以外のサービスを見つけ出し,サービスが適切に受けられるように調整を行なう。
③援助者の役割
・必要なサービスが何かについてのアセスメント
・サービスをより良く提供する事業所・人々を把握し,それらの条件をクライエントに説明する。
・クライエントの選択に基づき,サービスをクライエントが使い易いように連絡・調整する。
④クライエントの役割
・援助者が収集したサービスの情報を聞き.自らにとって適切なものを選ぶ
・インフォーマル資源について、自分が援助を頼める人やグループなどを、援助者に伝える。有償サービスの使用希望の有無の表明
⑤サービス提供の条件
・各サービスにかかる費用(有償のものか無償かを明確に示す)
・契約内容の変更こ関して(再交渉が可能、変更も可能であること)
・援助の期間
・援助の進捗状況・成果の評価、見直しについて

<補足>
・契約段階では,大きく「利用者の問題状況の明確化」と「援助を提供したり,活用するうえでの内容・方法・諸手続きに関する明確化」という二つのことがらが含まれている 略
・また契約は,利用者と援助者との間で合意に達すれば変更される 略
・契約の過程で現れてくる両者間の顕在的・潜在的な不一致を早期にみつけ,それらを解消するための相互関係上の技能習得が援助者側に必要 略

*契約の方法
・契約の取り交わし方は,抵抗を示す利用者,疑い深い利用者,危機状態にある利用者など,特定の利用者やそのおかれている状況に応じて柔軟かつ適切になされていかなければならない。
 略 拒否的なクライエントの場合には,利用者との間に契約がうまく成立しない場合も考えられる。
 契約の活用は,問題や課題に対する取り組み方を明らかにし,問題解決過程自体が有する利用者と援助者との協働作業的な特質 略

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新刊 当ブログ筆者が試験問題解説を執筆 
「2016社会福祉士国家試験過去問解説集 第25回─第27回全問完全解説」日本社会福祉士養成校協会編集 ISBN 978-4-8058-5161-6
 中央法規出版 2015年5月10日発行

 450問を選択肢ごとに詳しく解説し、科目別ポイントを収載。第27回を含む過去3年分の国家試験全問題を掲載した問題集。過去2年分も最新の制度や数値にアップデートし、次回試験に完全対応。基本の理解、実力試し、傾向対策、総復習で着実に学習効果を発揮。 中央法規出版


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<当ブログ筆者の社会福祉士 国家試験対策講座 模擬試験+ポイント解説>
 日本福祉大学の社会福祉士受験対策講座
【社会福祉士養成校協会】全国統一模試+ポイント解説講座
講座は、東京会場と岡山会場をブログ筆者が担当
10月25日(日)東京会場
10月31日(土)岡山会場

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相談援助の理論と方法Ⅰ 前期第17回講義レジュメ概要2
 当ブログ筆者(専任教員)が、社会福祉士養成科(夜間部)にて、2015/8/5 に講義            
<レジュメ完全版は講義にて配布。解説の詳細は講義にて>

8章1節 契約の意義と目的 テキストP162~
<概要>

・ソーシャルワークにおける契約の定義
 「ソーシャルワークの援助やサービスの利用に関するソーシャルワーカーとクライエントの間の合意」
・社会福祉基礎構造改革により、契約という用語が頻繁に用いられるようになった。

・ソーシャルワーク過程の初期の段階で,クライエントと援助者との間に取り交わされる援助における約束,合意が、ここで言うところの「契約」である。
・援助者は,この契約に基づいて利用者が抱えている特有の問題解決のためにいろいろな援助(サービス提供)を行っていく。そのためにも,契約は可能な限り具体的かつ明確でなければならない。
・契約は,「誰」と「何」を「なぜ」「どのような方法で」「いかにしていくか」を明らかにしていく一つの段階であり,特定の状況下にいる人々に、ソーシャルワークの過程を個別化していくうえでの手段として重要である。

*契約の力 約束とは関わること
 ソーシャルワークにおける契約の段階は、単なる「契約書の作成、締結」の段階ではない
 一人一人のクライエントとの約束である。
 それは、問題の緩和、解決を目指す道程で、共に歩むことの契約である。孤立から寄り添い、協働、繋がりの創造へ。


*契約はクライエントと援助者を結ぶもの 違いを越えて
 ・契約を結ぶ作業は、クライエントとソーシャルワーカーの信頼に基づく。
 契約、約束を結ぶことによって、関わりの結びつきを更に強固なものに打ち固める。関わりを深める。
 両者の間で異なる価値観、立場を越えて、約束を、そして両者を結ぶ作業とも言えよう。


事例:ソーシャルワーク相談援助における契約とは
 アルコール依存症の生活保護受給者の事例
 断酒の「約束」に基づく、援助の契約と援助計画。
 しかし、再飲酒(スリップ)、健康の問題。
 面接:何を話かけても、「飲んでないです」


*変化への扉を開くソーシャルワーク
・クライエントには、変化への恐れもある。今の生活や生き方が変化すること、家族の関係やあり方の変化への抵抗もある。
 しかし、孤立から関わりと相互の尊重へ、希望へと変わること、目に見えない変化もソーシャルワークはもたらす可能性がある。
 自分だけの生活、孤独に引きこもり、拠り所がない生き方から、確かな自分の居場所を持つ変化でもある。新たな生活への扉を開くとも言えよう。
 人間が生きていくためには、関わりと居場所も必要である-衣食住だけではなく。


1 社会福祉援助過程における契約 テキストP163
<「契約」の必要性>
・契約は、クライエントの抱える問題を解決するために,何を達成するのかという援助のゴールを、クライエントと共有できるように話し合い,協働で作り上げたゴールを書面の上で明確にしていくことである。
・また,クライエントの権利、役割等を明らかにし,クライエントと援助者の双方が対等の立場で、それぞれの責任・役割を分担するという姿勢を示すためにも,「ゴールを共通認識する」ことは、重要な事柄である。
・加えて「ソーシャルワーカーは,私が困っている問題をすべて解決してくれると思っていたのに‥」といったような、クライエントと援助者との間のズレを避けるために、双方の確認事項、共通認識を「契約」することが必要である。

<契約段階の二つのとらえ方>
A.援助開始のための契約 インテーク⇒契約

・アセスメント・支援計画に先んじて、契約の段階が設定 略
インテークに関連させて契約段階を位置づける考え方 略
・この場合、契約は、援助を開始するにあたり、援助全般におけるソーシャルワーカーの役割、クライエントの役割、面接に関する時間的枠組み(面接時間、面接回数、期間)、費用等について、合意のうえで援助を開始する。
・面接等援助に関する基本的なルールの、クライエントとの合意と捉えられる。
それは、クライエントからの過度の依存、過大な期待を予防することにもなる。

B.援助目標達成のための契約 アセスメント⇒契約
・一方、契約段階をアセスメント段階と援助計画段階の間に位置づける考え方もある。
「アセスメント」⇒「クライエントのモチベーションを高める」⇒契約であり、援助計画段階につなぐものとして契約を位置づけている。
ヘップワースらによれば、契約は「最初でかつ最も重要な最高点であり,変化を目指す段階への導入部でもある-それは援助のプロセスの心臓とも言える」(1993)ものである。
・契約は、クライエントとソーシャルワーカーの対等性と、クライエントの問題解決過程への参加を、具現化したものである。
・目標の設定と結びついた契約に焦点 略
・援助過程における契約のとらえ方は、これら二つの立場がある。
 テキストはアセスメント段階から援助計画策定の段階の間の契約 略

*契約の内容
・契約は,問題解決の過程にある人(クライエント)を組み入れていく最初の段階である。援助を受ける手続きに関してサービス利用者の自己決定が行われる。
・クライエントは援助者と契約に際する相互の話し合いのなかで,次のようなことを確認し合っていかなければならない。
①取り組んでいくニーズや問題の明確化
②問題解決のための目標設定
③利用者と援助者によって達成される当面の具体的な課題,
④課題に対する可能な援助活動の内容
⑤提供される援助方法,手続き・費用等の明確化,
⑥援助活動の予定期間
⑦援助過程で果たさなければならない利用者,援助者双方の役割分担や責任など。
 援助者の守秘義務等の倫理責任。面接の予約の規定。

<続く>


<福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修・続き 当ブログ筆者の論文から>
5.職員チームによるストレスケア
(1) 燃えつきストッパー=サポートネットワーク
 援助者自身を支える職場の同僚や、専門職団体のメンバー、出身校の同窓生等の「仲間」の存在は、ストレスケアの重要な資源であり、燃えつきのストッパーである。「仲間」の繋がりと相互支援がストレスケアの力の源泉であることは、聞き取り等からも明らかになった。
 具体的には、職員チームによる予防的な取組みが不可欠であり、燃えつき状態の職員が生じたときにだけ対処するのではなく、日常の実践において過度のストレスが生じないように、チームとして改善を図る。燃えつき状態に至る前に、ストレスが高じた職員を個別にケアを行い、早期に休暇等の対応を図るなどが実行出来るサポートシステムを構築していくことが重要である。職務によって消耗し、心身が疲労している同僚に対する言葉かけを端緒として、個別ケアに踏み出すことが求められている。
 また、福祉施設のチームワークとは、利用者への配慮は当然ではあるが、同僚等への気遣いが基本にあるべきである。何故なら、お互いへの配慮のある職場は、お互いを楽にする。換言するならば、同僚等を支えるという視点、姿勢、行動が求められている。

(2) 福祉施設職員の人間関係の二つの側面
 先述のように、職場における職員間の人間関係がストレッサーとなっている現実もあるが、またストレスケアの要でもあって、まさしく諸刃の剣と言えよう。
 もちろん、良好な人間関係による、サポーティブな職場づくりが求められている。良い職員集団は、相互支援を行う。また、職員のインフォーマルグループの関係性が、職員の働きやすさ、チームアプローチ、サービスの質に直結する。職員チームの仲間意識の強弱も、関係する要素である。
 また、職員チームにおける良いリーダーシップが不可欠であるが、管理職自身も、ストレスが高じる、燃えつき状態になる可能性がある。また、管理職が現場を支えていくためにも管理職へのサポートと、職場のメンタルヘルス等の専門的知識が必要となるであろう。


 下記の当ブログ筆者の論文から抜粋、次回に続く。
当ブログ筆者の論文 最新 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


お知らせ 当ブログ筆者の出張講義 福祉施設職員サポーティブ研修 無料
東京都の登録講師派遣事業<研修申込受付 平成27年9月23日まで>
「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修」講座番号31
内容 福祉施設職員のストレスへの対処や燃えつきの予防、心身の健康のセルフケアを支援する研修

「生活困窮者、生活保護受給者対象のグループワーク」講座番号84
内容 貧困・生保受給者対象のグループワークプログラムと留意点等を、講師(ブログ筆者)の実践や事例に基づき解説

「福祉施設職員の職業倫理と福祉マインド、ハラスメント予防」講座番号32
内容 福祉施設職員に求められるモラルや福祉マインドの基礎と、ハラスメントの予防を含めて解説。

「グループワークの基礎」講座番号33
内容 福祉施設におけるグループワークのプロセス、方法、プログラム等の基礎を解説。

 上記は当ブログ筆者が担当する研修の一部です。
この講座は、東京都福祉保健局の委託による、福祉・介護事業所対象の職場研修です。ブログ筆者等の派遣講師が出向きます。講師謝金・講師派遣 無料

詳しくは下記をクリック
東京都社会福祉協議会登録講師派遣事業


<関連資料 バックナンバー>
貧困・低所得・生活保護 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中

講義レジュメ ストレッサーのアセスメントとは 生活困窮者アルコール依存症者支援による援助者のストレス

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高齢者に対する支援 介護保険練習問題 抑制帯とは 生活困窮中学生無料学習教室、生活保護世帯高校進学支援
 

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8/20(木)18時から19時半 参加無料
会場 日本福祉教育専門学校 高田校舎

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 社会福祉士の国家試験問題の実際や、受験対策の方法等の疑問に当ブログ筆者(社会福祉士養成学科 学科長)がお答えします。
 関心をお持ちの皆様、お気軽にご参加下さい、参加無料

*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部(通学)です
お問い合せは 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255



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<当ブログ筆者が執筆>
『職業訓練生たち-1年目職員が感じた介護&ストレス』
「介護人材Q&A 2015年2月号」,産労総合研究所


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