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ソーシャルワーク演習 後期第2回 職場のメンタルヘルスとリワーク支援
 当ブログ筆者の、大学における演習 レジュメ概要1 10月18日
はじめに リワーク概要
(1)リワークとは

 ここでは、「うつ病リワーク研究会」による文献 を参考として、精神科医療機関等が、うつ病等により企業等を休職中の人々を対象に実施している「リワーク」について概要を述べていく。
 なお、福祉施設や民間企業等が実施している復職支援事業は、「リワーク支援」と呼ばれている。
 「リワーク」とは、うつ病・気分障害等、メンタルヘルスに関連する要因により休職中の職員を回復させ、職場復帰へと繋ぐ取り組みのことであり、そのために医療機関が提供するものを「リワークプログラム」と呼んでいる。精神科デイケアの枠組みで実施されている、グループによる精神科リハビリテーションである。

 リワークの目標とは、次のものが挙げられている。
一、気分障害等の病状を安定させ、心身の健康の回復を図る。
二、復職準備性を向上させ、職務への復帰を可能とする。
三、不調の再発と再び休職することを予防するため、セルフケア能力を向上させる。
これらを目標としながら,リワークプログラムを通じて、適応・対処する能力の向上していく。

(2)復職準備性-復職支援の要
 職務を担えるレベルの状態の回復の程度を、復職準備性と呼ぶ。
 メンタルヘルスの疾病が要因となった休職から、職場に復帰する場合、その時期が職場にとって重要な課題となる。復職の決断が容易ではないのは、心身の状態が回復したことと、職務が可能になることは、同義ではないからでもある。
 この復職準備性は、主治医の診断のみではなく、リワークのグループワークにおける行動、課題の達成度等も加えて多面的に、かつ慎重に判断することは、復職の成否の鍵を握っていると言えよう。

1 職場のメンタルヘルス
 具体的に職場のメンタルヘルスを推進するにあたっては、次の3つの対策の要素がある。
1次予防とは、職員のメンタルヘルスに関する問題の発生の予防に努めるというものである。
2次予防とは、メンタルヘルスの不調を抱える職員を早期に発見、対策を実施する。
3次予防とは、メンタルヘルスの要因から休職した職員の職場復帰(リワーク)に関する支援を実施するというものである。

2 復職支援の進め方
*その困難
・組織として、復職支援をどのように進めるべきか。
 管理職として行うべきこと、留意点は何か。
・休職中の職員を支えている管理職の方が燃えつきてしまわないか。
・リハビリ出勤の進め方、留意点は何か。
・復職後のメンタルヘルスの困難を抱える職員の力になりたいが、接し方が分からない。
・忙しいときの仕事の断り方が上手く出来なくて、ストレスを感じる。
燃えつきや抑うつの症状、不眠等のメンタルヘルスの困難が、自らと同僚にも思い当たる

*ポイント
・ストレスから復元する力であるレジリアンスの重要性。
・実践ストレスのセルフケアのプロセスの概要。
・ストレッサーの自己分析の方法。

(3)リワークプログラムのポイント
 次の4つが、既存のリワークプログラムにおける実施の要点である。
一、通勤と職務の時間帯を模倣して、定期的に通所する場を設ける。
二、ルールのもとで空間的、時間的な拘束を行う枠組みを提供する。
三、課題を課す作業プログラムにより、調整しながら心身への負荷を掛けていく。
四、不調と休職の再発予防を目指すセルフケアへ繋がる心理社会教育プログラムを実施する。
 これらによって、心身を枠組みに慣らしながら、本人の心身の状態に応じて作業によって負荷を掛け、セルフケアの向上を図っていく 。

また、リワークプログラムを実施している医療機関で実際に行われているプログラム内容を次に挙げる。
*リワークプログラムを持つ医療機関で実際に行われているプログラム内容
・プレゼンテーションやディペート
・参加者とスタッフを交えたミーティング
・ディブリーフィング(うつ病エピソードの振り返り作業)
・セルフケアやストレスマネジメントのための心理社会教育
・集団認知行動療法
社会生活技能訓練
・アサーショントレーニング
・サイコドラマ
・映画鑑賞

【プログラム内容】 参考例
オフィスワーク
自己分析
セルフケア
生活習慣講座
ストレッチ
卓球
スキルアップタイム
個別面談

<続く>


当ブログ筆者が全国社会福祉教育セミナーにて報告を行います お知らせ
第46回全国社会福祉教育セミナー2016 会場 淑徳大学 「ソーシャルワーク教育の新たな発展をめざして」
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題(仮)』2016年10月30日

コーディネーター: 空閑浩人氏(同志社大学)
発題者: 山本由紀氏(上智社会福祉専門学校)
     明星明美氏(日本福祉大学福祉経営学部 通信教育)
     関屋光泰 (日本福祉教育専門学校)
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会


全国社会福祉教育セミナー分科会第4 社会福祉士養成校におけるソーシャルワーク専門職養成1 当ブログ筆者

福祉施設職員のメンタルヘルスの支援 職員のストレスマネジメントと施設のリスクマネジメント論文 業績一覧

貧困問題と相談援助 当ブログ筆者の講演 音声記録の一部を公開中

当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題 依存症と生活困窮(pp.171-178)
<概要>
 簡易宿泊所街「寿町」の精神科診療所におけるアルコール依存症と薬物依存症患者の支援の実践から、回復を図るグループワークや相談援助の課題等を考察した。
 生活保護を受給し簡易宿泊所に居住するアルコール・薬物依存症患者の回復の鍵を握るものとして、レジリアンスを挙げた。具体的には失敗を繰り返しても援助者と繋がり続け、危機を回避するための協働や、訪問やグループワーク等による社会的孤立を防ぎ、全人的な支援の持続が有効であると論じた。


障害者に対する支援と障害者自立支援制度 練習問題
 第28回社会福祉士 精神保健福祉士国家試験受験対策 共通科目


問題1 特別支援教育に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 盲学校・聾(ろう)学校・養護学校において,一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育を行う。
2 ほとんどの授業を通常の学級で受けながら,障害の状態等に応じた特別の指導の場(通級指導教室)で授業を受ける児童生徒数は,年々減少している。
3 特別支援学級を設けることができるのは,従来の特殊学級と同様に,小学校,中学校である。
4 1994年,スペインのサラマンカで開催された会議で,「特別ニーズ教育(Special Needs Education)」と「インテグレーション(Integration)」という新しい考え方が示された。
5 文部科学省の調査(平成14年)によれば,小・中学校の通常の学級に在籍する,学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD),高機能自閉症等,特別な教育的支援を必要とする児童生徒数は,全体の6%程度である。

問題2 障害者基本法に関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい

1 障害者基本法は「障害者の日」を定めている。
2 市町村障害者計画の策定は、努力義務である。
3 中央障害者施策推進協議会の委員は、厚生労働大臣が任命する。
4 障害者基本法は、障害を理由とした差別禁止の理念を明示している。
5 政府は、3年ごとに障害者施策の概況の報告書を国会に提出する義務がある。

*解答と解説
 注意欠陥多動性障害ADHD、学習障害、
 障害者基本法、障害者週間、障害者基本計画とは
 中央障害者施策推進協議会 地方障害者施策推進協議会  
 attention-deficit/hyperactivity disorder ; ADHD 混合型,不注意優勢型,多動性・衝動性優勢型
 反社会性人格障害とは 記事下方をクリック


More*解答と解説:注意欠陥多動性障害ADHD、学習障害、障害者基本法、障害者週間⇒⇒
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ソーシャルワーク演習(相談援助演習) レジュメ概要
 学部にて、大学3年生対象 当ブログ筆者の講義

<相談援助 面接技術2>
3.コミュニケーション 言語・非言語
 コミュニケーションとは、記号などを媒介して,意思や意味のある事柄を相互に伝え合い,理解しあうこと である。
 クライエントとの専門的な援助関係を深める為に、継続的なコミュニケーション、信頼関係を築くことが必要である

*コミュニケーションには以下のような特徴がある。
・「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション(=表情、視線、態度、うなずきなど)」。
・言語のコミュニケーションは、共感のもとに、感受性をめぐらしながら理解することに努める。

*観察の重要性 非言語(ノンバーバル)コミュニケーション
・観察は、面接において、クライエントが非言語的に発しているメッセージを読み解く技術である。
 観察について、フロレンス・ナイチンゲールは、「看護は、観察にはじまり、観察に終わる・・・生命を守り健康と安楽とを増進させるためにこそ、観察をするのである」と述べている『看護覚え書 』。


*非言語的コミュニケーション行動による援助技法の例-相互性
①共感性:肯定的な頭のうなずき,顔の表情、まなざし。
②尊敬:クライエントと時間を共有する,全身を傾けて向き合う。率直な配慮。
③思いやり:笑顔,接近、親しみやすさ 。
④純粋性:言葉と非言語行動の一致性(一貫性)。真実性。
⑤具体性:話の内容を図示したり,身体動作を用いて明確化する,明確かつ適度の音声。
⑥自己開示:冷静な表情で真剣に自己を語る姿勢。
⑦直面化:冷静な(自然な) 声の調子
⑧即時性:その場その瞬間に熱中する姿勢

・観察の能力を高めるためには、クライエントの顔の状態、呼吸のスピード、目の動き、まばたき、声のトーン・スピード、口元などを気をつける。
 クライエントの姿勢・動きなど。

*後光効果(hallo effect)
 視覚から得られる情報は,観察者の主観的評価が入りやすいため,過小評価,もしくは過大評価する可能性がある。自覚が必要である。
 つまり、外見上の好印象、もしくは警戒心をもたらす外見。見えることよりも、見えないものに価値をおく。

・クライエントのストレッサーを探る
 ストレッサーとは、ストレスを引き起こす因子となるもの。

・観察によって得られた情報を、全体的に、総合的に把握していく。問題の本質を把握するために、収集した情報を検討する 。
 全人的、生活の全体を捉える多面的な視野=援助者の視野の広さが求められる。
 具体的な関わりを行ないながら、観察は進められる-関与しながらの観察。


4 面接・コミュニケーション技法1
<アイビーのマイクロカウンセリング「かかわり行動」を参考>
1) 視線を合わせること-援助者の視線

・文化にあった視線の合わせ方をする。
 クライエントを凝視するのではなく,自然で暖かい視線が求められる。

*アイコンタクト
 日本人の場合,目のやり場や捨て場がある程度、用意された方が話しやすいことが多い 。
 初回面接時は、施設のパンフレット等があると、クライエントは目のやり場に苦慮せずに済む。

 座る位置も真正面より少し斜め横に位置する方が落ち着くことが多い。

2)身体言語に気を配る-援助者の姿勢
・自然体、オープンスタンス

 クライエントが安心して話ができるように,援助者は適度にリラックスし,少し前かがみになって関心を向けている姿勢を伝える。足や腕を組む等,知らないうちにでてしまう場合があるので注意が必要である。動作も相手への自然、率直な尊重が望ましい。

3)声の調子-言語による応答
・自然体で話す。分かり易く、ゆっくりと話す。

 クライエントの聴力については、確認を要する。必要に応じて、筆談等の手段も用いる。
・援助者が受容・理解・共感していることは、相手に伝える必要がある。
・クライエントの語りへの肯定的な応答が必要である。

4)言語的追跡
・暖かく豊かな調子で,クライエントの話の中から話題を進め,不用意にさえぎらず,傾聴する姿勢が基本である。
 援助者の側からは、話題を飛躍させてはならない。

・相手の話し方や状態、呼吸などに、援助者側が適応することも有効である。
 相手の話し方を合わせるとき、話し方のスピード、声の大小、音程の高低、リズムなどに注意する。

*参加型コミュニケーション、相互性
 平等―当事者はワーカーから学ぶが、ワーカーもまた当事者から学ぶ。相互性、対等な援助関係のあり方。
・クライエントが語ることを促進し、更に引き出し、妨げないことが最重要な課題である。
 クライエントの語り、そのことばを途中でさえぎって援助者の意見をのべたり,質問したりしないように気をつける。

・クライエントも援助者も双方が、互いを必要としている。面接とは出会い、つながりを創る場でもある。つながりの場を必要としている孤独な人々のために、ソーシャルワークは存在する。
 相談援助の場において、クライエントと援助者が共に、障壁を取り払い、受け容れあう新しい心、共生の力が必要である。

・世界の現実、日常に押しつぶされない心と、主体的に生きる力とも言えよう。
 自分の生き方を選ぶこと、どのようにしたいかの方向性がはっきりしないままでは、生活に根を下ろす生き方は、困難であるだろう。
 相談援助とは、クライエントの主体的な生き方を支え、自由な選択、本人が決定するプロセスを支える場、技術でもある。


・援助者側、機関の提供できることとできないことを明らかにし,できるかどうかわからないことを,簡単に約束しないようにする。

*最小限度のはげまし
・うなずき,相槌などで,相手の話しを促す。援助者がクライエントと共に存在し、肯定し、話を続けるべきであると促すこと。
・援助者が、クライエントにその話を傾聴し、受容している姿勢を示す1つのしるしである。また、クライエントに話し続けるよう促し、語ることを支え、励ますためである。
 うなずき等、反応を示しながら聞くことで、傾聴しようとする援助者の意思が伝わり、相手も話しやすくなる。
・非言語的な「最小限度のはげまし」とは、視線をあわせ、興味を持ち聴いていることを示すために上体をすこし前に傾けること、うなずく(首を縦に振る反応)等である。
 うなずきが相手の話の腰を折る危険性は少ない。
 援助者が無表情、緊張し過ぎる、動きが大げさになり過ぎてはならない。

・言語的な「最小限度のはげまし」は、クライエントに共感を表現するものである。
  1.「なるほど」「そうですか」「ええ?」「そう?」「それで?」「それから?」
  2.1語または2語のくり返し。
  3.「もっと続けて話してください」
  4.「うむむ……」「うーん」
  5.クライエントが話をした文章の最後の数語をそっくりくり返す。


・頻繁すぎるとわざとらしくなり、相手の話の腰を折ることにもなる。
・沈黙も有効に活用する。援助者の応答をはじめる前に、援助者が数秒間待つことを意味する。クライエントに話をつづけさせたり答えさせたりするための時間を与える。

<面接技術 次回に続く>


当ブログ筆者が報告を行います お知らせ
全国社会福祉教育セミナー2016
分科会第4 『一般・短期養成施設や通信課程におけるソーシャルワーカー養成の現状と課題(仮)』2016年10月30日
主催 日本社会福祉教育学校連盟 日本社会福祉士養成校協会 日本精神保健福祉士養成校協会


貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中

当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

2017社会福祉士国家試験過去問解説集 第26回-第28回全問完全解説 日本社会福祉士養成校協会編集 中央法規出版
ISBN978-4-8058-5338-2

 450問を選択肢ごとに詳しく解説、科目別ポイント。過去3年分の国家試験全問題を掲載。最新の制度や数値にアップデート。

<当ブログ筆者の論文>
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


<当ブログ筆者の論文 最新>
「福祉施設職員のメンタルヘルスとリワークの支援」
日本福祉教育専門学校 研究紀要 55頁から73頁


<ブログ記事 バックナンバー>
当ブログ記事バックナンバー 福祉施設職員研修


ソーシャルワーク演習レジュメ 面接技術1 基本的態度 純粋性、構成要素、無際限性、沈黙とは 大学学部にて


第28回社会福祉士国家試験合格発表2016年 正答と合格基準 日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科 合格率84.9%62人合格 一般養成施設ルート(通学)合格者数全国第1位。

社会福祉士 国家試験受験対策コース 当ブログ筆者の受験対策講義

低所得者に対する支援と生活保護制度 練習問題 初級
*社会福祉士・精神保健福祉士共通科目 基礎
<この4月から学習を開始した受講生向き練習問題 入門編>


問題1 公的扶助制度の特徴に関する次の記述の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,適切なものを一つ選びなさい

  一般的に,公的扶助制度はセーフティネットとしての機能を持ち,最低限度の生活水準以下の状態に対して「 A 」にはたらく。また,我が国の生活保護法では,労働能力の有無や困窮の原因にかかわらず保護の対象とする「 B 」を採用しながら,「 C 」によってその要件を確認している。
   A     B           C
1 防貧的-- 一般扶助主義--資力調査(ミーンズ・テスト)
2 防貧的--制限扶助主義--所得調査(インカム・テスト)
3 救貧的--制限扶助主義--資力調査(ミーンズ・テスト)
4 救貧的-- 一般扶助主義--所得調査(インカム・テスト)
5 救貧的-- 一般扶助主義--資力調査(ミーンズ・テスト)

生活保護法

心理学理論と心理的支援(心理学)練習問題 初級
*社会福祉士・精神保健福祉士共通科目 基礎
<この4月から学習を開始した受講生向き練習問題入門編>


問題2 次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,適切なものを一つ選びなさい

  人間の記憶には性質の異なるいくつかの機能があることが知られている。例えば,電話帳から電話番号を覚えて電話をかけるような場合には「 A 」が用いられる。その容量には制限があり,記銘した情報を保持しておくためには「 B 」が必要であることが知られている。最近はその概念が拡張され,「 C 」のモデルが提案されている。
 <組み合わせ>
   A      B        C
1 短期記憶--リハーサル --作動記憶(作業記憶)
2 感覚記憶--アイコン ---作動記憶(作業記憶)
3 短期記憶--リハーサル --手続き記憶
4 短期記憶--アイコン ---手続き記憶
5 感覚記憶--リハーサル --作動記憶(作業記憶)

*解答・解説:ミーンズ・テスト、稼働能力、一般扶助主義、制限扶助主義、セーフティネット、選別主義的給付
普遍主義的給付、インカム・テスト、福祉ミックス、旧生活保護法とは 下記をクリック

*解答・解説:記銘,保持,想起、ワーキングメモリー、エピソード記憶、展望的記憶、
意味記憶、短期記憶とは 下記をクリック


More*解答・解説 稼働能力、一般扶助主義、制限扶助主義とは ⇒⇒⇒⇒⇒
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ソーシャルワーク演習 レジュメ概要
 学部にて、大学3年生対象 当ブログ筆者の講義

<相談援助 面接技術1>
*面接とは
 面接者とは、その役割と専門性を持った、平凡な人間のである。
 平凡だから限界がある-他者を分かり、感情を共有することにも限界がある。
 「ありのまま」の相互性-面接者も来談者も、人間であること。弱さや限界、強さも持っている。
 つまり、相談、面接の本質とは、人と人との出会いであり、小手先の技術ではない。


・面接の無際限性
 人とは基本的に捉え尽くせないもの、無限なもの、『分からない』もの、謎である。
 人間の分からなさ認めながら、分かろうとして接近するのも、面接の一つの側面である。
 人間にはその時々の感情があり、意味づけて生き、それぞれの生き方がある。


・専門職としての傾聴こそ、求められている役割の基本である。傾聴に集中する姿勢が求められている。
・全体像をみること、偏見を持たないこと。近づくこと。
・誰に対しても、親しみやすさを基本に接する。自然な対話のなかで、クライエントの人生とその困難を読み取る。

1.面接におけるクライエントの抵抗
 事例 クライエントの沈黙。
・多くをしゃべらない,無言を続ける。
・自分の問題を直視することへの抵抗。
 問題に向きあわない、逃避するクライエントも少なくない。


<クライエントの抵抗の要因>
・クライエントは、生活問題等のストレスから、敏感、傷つきやすい状態で、相談の場に来談する。
・問題を自力で解決出来ないことの、恥の感情、苛立ち。
・自分の感情を、援助者に表出することの抵抗感や、援助者に非難されるのではないかという怖れ 。
 援助者の、クライエントに対する事実や感情の探求に対する(クライエント側の)抵抗。
・信頼感の欠如が原因の一つとも言えよう。

<援助における諸問題の例>
○沈黙
 援助場面においては,沈黙が非言語的コミュニケーションとしてさまざまな意味をもつ 略 。
・「沈黙」は、その意味の理解と、適切な対処が求められる。
 沈黙は、援助への抵抗、ワーカーへの依存や安心感、否定的感情などにより現れる。
 また、何を話すか、話さないかの迷いや、どのように話すのかなどにも現れる。沈黙の時間にも意味がある場合があり、クライエントの自己理解が進む場合もある。
・迷いによる沈黙は、話したいこと等を考えつくまで待つ必要がある。
・抵抗や否定的感情、依存などは、共感的な語りかけが有効である。
 安心感によるものは、沈黙を尊重しつつ、次の話題に移るなどの配慮が必要である。
・「次の言葉を探して考えている」場合と、「聞かれた意味がわからない」「何を答えていいかわからない」などの場合の違いを受け止め,それに応じて,答えを待つ,もう少し具体的な問いかけをする,ワーカーの応答の不適切さを修正する等の対応が必要である。

2.面接の概要
 面接は,ソーシャルワークにとって援助の主要な道具であり,ソーシャルワーカーとクライエントの間に起こる相互作用をつくりあげている-相互に変化する。
 それぞれの面接には目的やゴールが必要である。
 略
 面接は言語技術のみでなく,ソーシャルワークの価値,知識,援助関係によって支えられている。

・クライエントの語りを、
 引き出す
 妨げない
 障壁をとり除く

*援助者の基本的態度 (ロジャーズ)
・無条件の積極的関心(肯定的配慮)
・共感的理解 笑うものと共に笑い、泣く者と共に泣く
・純粋性(真実性) 率直な感情の交流


*ソーシャルワーク面接における課題
・クライエントにとって優先すべき問題は何か、生活問題の明確化が必要となる。
 援助の対象となる課題を絞る。
 ソーシャルワークの組織、専門職個人の抱え込み 力量や範囲を超えたことは困難である。

・クライエント目線の捉え方
 児童福祉、子育て支援、家族問題に関しては、市民社会の「当たり前」が通用しないこともある。
 例えば、「・・・・・が出来て当たり前」は、当事者にとって出来ないこともある。当事者とその周囲が自力では出来ないから、支援を求めて相談に来ている。

・面接の準備とは、ケース記録や事前の情報を熟読し、可能な限り手がかりとなる情報を集め、それを基に話題を整理し、クライエントに接近する手法として活用する。
・クライエントの非言語の、特に顔色や視線(目)、口元、態度などに注意を払い、話のきっかけになる話題をひき出す。
 立ち上がり方は、非言語の情報の宝庫といえる。
・クライエントの緊張により,直接問題の焦点に入ることには抵抗が感じられるような場合、日常生活の話題などを語りあい,クライエントの気持をやわらげるよう心がける。
 しかし、なるべく早く,適当な頃合いを見て,核心にふれるようにする.
・ワーカー自身の気持をよく整理して,ワーカーの個人的感情や先入観が面接過程にもちこまれないよう注意する。
・面接の予約を,ワーカーの側から破ることは,絶対にしないよう気をつける。


<相談援助における面接の形態>
1 面接の構成要素

・面接はさまざまな構成要素をもち、面接の目的、面接の対象、面接の形態、面接の時間的・空間的条件などにより規定される。
 面接の構成要素のうち、重要なのは「面接者」であり、その生活歴、家族、人間関係、個性等が、面接に大きな影響を与える。
・面接の目的 略
・面接の対象は、クライエント本人、その家族、他の専門職、近隣・友人も対象となる。

*面接の時間的条件
・面接の時間的条件は、面接の時間と時間的制限の設定の有無により規定される。
 初回面接や急迫した場合など、より長い時間を必要とする場合もある。
 制度説明だけで終わる面接等は、短い時間で終わることもある。
・あらかじめ時間制限を設けて、面接を行なうことが原則である 。 略
・予約をして面接を行うことも有効であり、クライエントの面接に対する動機づけが強化される。またワーカーは、必要な準備(波長合わせ)ができる。
 波長合わせとは 略

・「愛情の贈り物」とは 略
・「激励」 クライエントの力や能力についての信頼感の表現 略

*面接の空間的条件=、面接を行なう場所に関する条件
 その条件として、秘密が守られ、雑音がなく、温度調整ができ、落ち着きのある雰囲気など面接に集中しやすい、人の出入りや電話により面接が中断されないなどである。リラックスして話ができるような環境に配慮する 。
・面接室は広さ、明るさ、色彩、家具の配置等に配慮が望まれる。
・地理的条件も考慮する。クライエントにとって遠すぎる場所、交通アクセスが極端に悪い、身体的精神的条件(移動に障害のあるクライエント)により来所が困難な場所などは避ける。
・来所面接が困難な場合は、訪問面接などを行なう(可能な場合)。

*構造化面接と非構造化面接
・何らかの筋道・過程に沿って、方法や回数、場所等を設定して行なう面接のことを「構造化面接」という。

・随時に対処する形の面接は「非構造化面接」という(面接の枠はある程度あるが )。
生活施設のレジデンシャルソーシャルワークにおいて、必要に応じて行なう面接などに多い。

*面接の形態
 個別面接(一対一 )
 合同面接:クライエント等の複数の人に一人のワーカーが面接する(家族合同面接等)
 並行面接:一ケースで、複数の人がそれぞれ個別面接を並行して行う(親子並行面接等)
 協同面接:一つの面接に複数のワーカーが参加する

2 生活場面面接
・クライエントの生活場面で行われる面接のことである。クライエントの居宅、生活施設の居室、病院のベッドサイド等で行われる。居宅訪問面接が多くを占める。
 従来から公的扶助ケースワークにおいて、居宅訪問面接は従来から重視されてきた 。
 利点は、クライエントの生活環境を観察できる、生活上のリスク(虐待等)の発見が可能 、通常は来所しない家族に会い、面接することができるなどである。クライエントの生活全般の情報を具体的に得ることが可能である。居宅での介護サービスを利用している場合など、クライエント本人と面接する機会が得にくい事例では、本人と接する機会となる。
・反面、時間設定がしにくい、ほかの家族がいることで秘密が守りにくい、面接内容が深まりにくい場合がある。援助者側の負担が大きい(留守、職員体制)などのデメリットもある。
・訪問時間はクライエントの生活に合わせ、落ち着いて面接ができる時間を設定する 。

・施設・医療機関における生活場面面接では、同室者などに話が聞こえてしまう難点があり、配慮を要する。また、離床が困難な場合には、その身体的状態等を考えて、クライエントに負担をかけないよう面接時間等を設定することが求められる。
 事例 生活場面面接
メリット:生活等の観察、構えのない面接
 モニタリングとして有効な手法
 転倒、生活の変化等、生活上のリスク発見についても敏感になることが求められる

インテーク面接、観察技法、非言語コミュニケーションとは 相談援助の理論と方法講義概要



アウトリーチ、拒否的クライエント、電話相談、予防的援助活動とは 相談援助の理論と方法 講義概要



当ブログ筆者執筆の新刊
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
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発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

2017社会福祉士国家試験過去問解説集 第26回-第28回全問完全解説 日本社会福祉士養成校協会編集 中央法規出版
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 450問を選択肢ごとに詳しく解説、科目別ポイント。過去3年分の国家試験全問題を掲載。最新の制度や数値にアップデート。

貧困問題と相談援助:当ブログ筆者講演の音声記録の一部を公開中

<当ブログ筆者の論文>
当ブログ筆者の論文 「福祉施設職員のストレスケア サポーティブ研修プログラムの開発」
日本福祉教育専門学校 研究紀要第23巻1号 37頁から55頁 平成27年4月


<当ブログ筆者の論文 最新>
「福祉施設職員のメンタルヘルスとリワークの支援」
日本福祉教育専門学校 研究紀要 55頁から73頁


<ブログ記事 バックナンバー>
当ブログ記事バックナンバー 福祉施設職員研修



第28回社会福祉士国家試験合格発表2016年 正答と合格基準 日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科 合格率84.9%62人合格 一般養成施設ルート(通学)合格者数全国第1位。

社会福祉士 国家試験受験対策コース 当ブログ筆者の受験対策講義
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ブログ講師(日本福祉教育専門学校専任講師、社会福祉士)の日記
<ブログ講師の担当講義の概要など、社会福祉士養成学科・養成科等>


2012/11/21(水)
相談援助演習 後期第9回の概要(1-2時限 社会福祉士養成学科にて)
<今回のテーマ>
緩和ケアとソーシャルワーク①

1 概要
*ターミナルケアとは terminal care

*ホスピスとは hospice
 近代ホスピスの発祥:1967年にイギリスに設立されたセント・クリストファー・ホスピス
 シシリーソーンダース

*緩和ケアとは palliative care
・1990年、世界保健機構(WHO)はがん医療における終末期医療を含む新しいケアの考え方を"緩和ケア(palliative care)"と呼ぶことを提言している。
 この中で、「緩和ケアとは、治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケアである。痛みやその他の症状のコントロール、精神的、社会的そして霊的問題の解決が最も重要な課題となる。緩和ケアの目標は、患者とその家族にとってできる限り可能な最高のQOLを実現することである。末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対しても治療と同時に適用すべきである」としている。

*死の受容のプロセス
 悲嘆と受容

・エリザベス・キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』
・否認
・怒り
・取引
・抑うつ
・受容

*精神的ケアの要点
1)ベッドサイドマナー

*癌性疼痛マネジメント
 薬物治療,神経ブロック,放射線治療など

*参考:看取り介護とは
*看取り介護の具体的支援内容
①入居者に対する具体的支援(例)
②家族に対する支援

*事例
 ホスピスに勤務し、燃え尽き(バーンアウト)の援助者。

<詳しくは、演習時に配布のレジュメ、講義を参照のこと>

社会福祉士専門科目 国家試験受験対策 社会調査の基礎 受験対策ポイント 総集編 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記

地域福祉の理論と方法 ポイント10 第三者評価、コミュニテイオーガニゼーションとは 社会福祉士受験対策 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
 *オンブズパーソン  *福祉オンブズマン、オンブズパーソン  *苦情処理制度  *サービスの質
 *第三者評価  *障害者・児施設サービス評価基  *ISO など
地域福祉の理論と方法 重要ポイント9 シーボーム報告とは 社会福祉士 精神保健福祉士受験対策練習問題 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
<ポイント レジュメ掲載>
 *シーボーム報告  *ウルフェンデン報告  *バークレイ報告  *グリフィス報告
 *社会サービス  *国連・障害者の十年  *ICF(国際生活機能分類)
 *アウトリーチなど
地域福祉の理論と方法 重要ポイント8 ホームレス自立支援とは 社会福祉士精神保健福祉士受験対策 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
*ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法  *子育て支援総合コーディネーター
 *福祉有償運送  *個人情報保護 など
地域福祉の理論と方法 重要ポイント7 赤十字、共同募金とは 社会福祉士・精神保健福祉士共通科目受験対策 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
*共同募金 *コミュニティ・チェスト *配分委員会 *ボランティア *日本赤十字社 *子育てサークル
*配食型食事サービス *企業の社会貢献活動 *メセナ *フィランソロピー *マッチング・ギフト制度
*1%クラブ  *寄付の文化 など

社会福祉士教員の日記(ブログ筆者、社会福祉士養成学科等) 11月12日 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
相談援助実習指導 後期第7回(1-2時限 社会福祉士養成学科にて)
*ドメスティック・バイオレンスとソーシャルワーク
社会福祉士教員の日記(ブログ筆者、社会福祉士養成学科等) 11月15日 : 社会福祉士受験支援講座・教員日記
 相談援助の理論と方法 第29回講義(社会福祉士養成科トワイライト 6-7時限) 
*ドナ C.アギュララ『危機介入の理論と実際―医療・看護・福祉のために』の概要



日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
社会福祉士及び介護福祉士法

<進路検討中の方等にお知らせ>
社会福祉士 仕事の実際 説明会・相談会
 日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
12/19(水)18時から19時半 参加費:無料(どなたでも参加できます)
 担当:当ブログ筆者(専任講師、社会福祉士)

相談援助の専門職=社会福祉士は、児童や障害者、高齢者等の福祉機関・施設、医療機関において、虐待や貧困などの問題にも取り組む仕事です。
*お問い合わせ先 日本福祉教育専門学校 電話:0120-166-255

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相談援助演習レジュメ概要 児童福祉・里親とソーシャルワーク7  社会福祉士養成学科2クラスBにて
*環境療法的接近による心理的援
 虐待を受けた子どもは、そのトラウマゆえに対人関係や感情体験に様々な問題を抱える傾向がある。
 こうした子どもの問題、たとえば自分にとって養育的、保護的立場にある大人に挑発的に関わって虐待的な人間関係を繰り返す、あるいは、かんしゃくを起こしてパニックに陥り、暴力的、破壊的な行動にでるなどといったことは、カウンセリングルームでよりも、施設での日常生活場面において生じやすい。
 そのため、施設環境が環境療法(milieutherapy: Trieschman etal., 1969)的な要素を備えることによって、子どもの問題行動への修正的接近が可能になると考えられる。
 虐待を受けた子どもに対して、施設が備えていなければならない環境療法的特徴の中で特に重要なものを以下に列記する。
[1]  安全感・安心感の再形
 虐待を経験した子どもは、いつ身体的暴力を受けるか分からないといった危険に満ちた環境で成長してきたわけで、そのために自分を取り囲む環境が危険なものだという学習をしてきている。環境や他者が危険なものだという認知は、当然、子どもと他者の関係に大きく影響する。
 そのため、子どもは環境や他者が安全なものであり、自分は安心できる環境にいるのだということを再学習しなければならない。他者が自分にとって危険な存在ではないという再学習を可能にするためには、子どもを取り巻く環境を「非虐待的」なものにすることが重要となる。

[2]  保護されているという感覚(保護膜)の再形
 子どもが心理的に健康な発達をとげていくためには、「自分は保護されている」「自分は守られている」という感覚を持てることが非常に重要である。「自分は守られている」という感覚は、子どもの心を様々なストレスから守ってくれる保護膜とでもいえるような機能をはたすのである。
 しかし、虐待環境で育った場合、子どもの心は保護膜を持つことができなくなる。自分を最も愛してくれて、守ってくれるはずの存在である保護者から暴力を受けるということが、子どもの心から保護膜を奪ってしまうのである。
 したがって、虐待環境で育ち、保護膜を持たない子どもに対して、施設環境は保護膜の再形成を目指した関わりを行う必要がある。子どもが、「自分は守られている」という感覚を回復できるためには、まず「自分のことが分かってもらえている」という感じが持てることである。現在の自分を取り巻く施設環境内に存在する大人が、自分の苦しい体験、現在抱えている様々な問題や不安、そして自分の考えや気持ちを理解してくれていると感じられることが、保護膜の再形成に向けた第一歩となるのである。虐待を受けた子どもたちは、その体験に関連したトラウマ性の感情や思考、認知を日常生活において持ちやすい。また、虐待のために家族から分離されて養育される子どもは、自分が保護者から見捨てられたという考えを持ちやすく、それが日常において様々な悲しみや怒りを生じることが多い。子どもの養育に関わる大人が子どものこうした状態を理解し、「おうちであったことを思い出して怖くなったみたいだね」「もしかしてお母さんから見捨てられたような気持ちになって悲しくなったのかなあ」といったような言葉を子どもに向けることによって、子どもは「この人は自分のことを分かってくれているのかもしれない」という考えを持つようになる。自分が理解されているという体験を積み上げた子どもは、次第に、その大人に対して心の中にある様々な思考や感情を伝えていくようになる。こうした関係の中で、子どもは「この人は自分を守ってくれているんだ」という思いを持つことができるようになるのである。

[3]  人間関係の修
 虐待環境で成長することによって、子どもの対人関係のパターンは様々な歪みを抱えてしまう。その最たるものが虐待的人間関係の再現傾向である。その他にも、無差別的愛着傾向を中心とする親密な人間関係の歪み、強いものへの従順さと弱いものへの抑圧・攻撃性を特徴とした「力に支配された対人関係」、人間関係を苦痛なもの、不快なものとして避ける対人関係の回避傾向などが見られることもある。
 こうした対人関係のパターンを身に付けてしまった子どもに対して、施設環境はそのパターンを修正する機会を提供しなければならない。たとえば虐待的な対人関係を再現する傾向のある子どもが挑発的な言葉や行動で関わってきたとき、そうした再現傾向に捕まることなく、子どもがどのような心理状態にあるのかを理解しようとする態度を大人が示すことによって、子どもの対人関係パターンの修正への道が開かれることになる。「今、あなたは僕を怒らせようとしているみたいなんだけど、どんな気持ちでそうするのかなあ」といった言葉が大人から返ってきたとき、自分の言葉に対する大人からの虐待的な反応に慣れている子どもは虚を突かれて驚くことになる。もちろん、これがすぐに子どもの人間関係の修正につながるわけではないことは言うまでもないが、こうした体験の積み重ねが、子どもをして自分の行動傾向に目を向けさせることになるのである。そして、子どもと大人の間で、対人関係パターンの裏に潜む子どもの不安や恐れなどの感情が次第に理解されていくことになる。こうした理解を通して、次第に子どもはそのパターンを変えていくのである。

[4]  感情コントロールの形
 虐待などによるトラウマを抱えた子どもはトラウマ性の感情反応を生じやすく、また、保護者の不適切な関わりのために感情調整能力が形成されていない場合が多い。虐待環境で育った子どもは、それが怒りや不安などの否定的なものであれ、あるいは喜びや興奮などの肯定的なものであれ、ある程度の強度を持った感情を抱えておくことができなくなり、それを爆発的な行動として表現したり、パニックを起こしてしまうことが多い。こういった傾向を示す子どもに対して、施設環境は感情コントロールの形成に向けた関わりを行わねばならない。
 感情コントロールの形成のためにまず必要となるのが、環境による「抱きかかえ」(holding)である。子どもは自分の中に起こった感情を抱きかかえておくことができないため、爆発的に表現したり行動化することでそれを自分の外に放り出す。それを環境が抱きかかえて吸収するわけである。そして、次に必要となるのが、環境から子どもへのフィードバックである。子どもの感情表現を受け止めて抱きかかえた環境が、今度は受け止めたものを子どもが理解し受け入れることのできる言葉に直して再び子どもに戻す、つまりフィードバックしてあげるのである。たとえば「あなたが~したかったのに、私が忙しくてあなたの相手をできなかったから、あなたは私に無視されたような気持ちになって、すごく悲しくなって、それからとっても腹が立ったのね」といった具合にである。
 自分の気持ちを抱えることができない子どもにとって、環境がそれを抱きかかえてくれて、さらに言葉で自分の心の状態についてのフィードバックを受けるという体験は、抱えられたことによる安心感と、そして、フィードバックによる自己の感情の理解へとつながっていく。こうした体験を積み重ねることにより、子どもは次第に自分の感情を理解し始める。こういった感情の理解は、子ども自身が次第に自分の感情を抱きかかえておくことができるといった状態へとつながる。
 感情コントロールの形成に向けた関わりとして、もう一つ必要とされるのが、言語化の促進である。これまで述べてきたプロセスによって、自分の感情についての子どもの理解はある程度進んできたと考えられるが、今度は、その自己理解の言語的表現を促進するわけである。こうした言語化の促進によって、感情をコントロールする力が次第に獲得されていく。

子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件
数等 厚生労働省

*児童虐待・対応の課題
1 望まない妊娠
 児童相談所が支援していた家庭だが、養育者にとっては、望まない妊娠について相談できる機関になっていない。

2 妊娠期からの継続的な支援体制
 妊娠・出産等の各種届出時や産科入院中のリスクアセスメントが十分でなく、継続した支援につながらない。

3 乳幼児健康診査受診者・未受診者フォローの在り方
 養育者や子どもと関わることができる唯一の機会である健康診査を利用して、きょうだいの状況や養育の悩みを捉えることができていない。

4 複数機関の連携による適切な家族アセスメント
 各関係機関の情報を統合し、家族の状況を適時にアセスメントすることができていない。

5 生育歴、生活歴等からの潜在的な問題の把握
 養育者の成育歴やストレスとなるライフイベントからのリスクアセスメントが十分でない。

6 初期対応と関係機関の連携
 関係機関の役割分担が明確でないため、必要な措置が行われていない。

7 入所措置解除時のアセスメントと家庭復帰後支援
 入所措置解除のアセスメントを一部の関係機関で行い、解除後の支援方針が明確でなく関係機関の間で共有されていない。

8 学校等の組織的対応の在り方
 虐待を疑ったが、組織の判断として通告を見合わせ、児童相談所等に速やかに通告していない。

9 虐待防止・早期対応における医療機関の体制
 虐待を見逃さない診療を行うための虐待に対する院内体制が十分でない。

*児童虐待のリスク
○ 保護者等に精神疾患がある、あるいは強い抑うつ状態である
○ 妊娠の届出がされていない
○ 母子健康手帳が未発行である
○ 特別の事情がないにも関わらず中絶を希望している
○ 医師、助産師が立ち会わないで自宅等で出産した
○ 妊婦健診が未受診である
(途中から受診しなくなった場合も含む)
○ 妊産婦等との連絡が取れない
(途中から関係が変化した場合も含む)
○ 乳幼児にかかる健診が未受診である
(途中から受診しなくなった場合も含む)
○ 子どもを保護してほしい等、保護者等が自ら相談してくる
○ 虐待が疑われるにもかかわらず保護者等が虐待を否定
○ 過去に心中の未遂がある
○ 訪問等をしても子どもに会わせてもらえない
○ 双子を含む複数人の子どもがいる

*保護者の側面
・子どもが低年齢、または離婚等により一人
・児童委員、近隣住民等から様子がおかしいと情報提供がある
・きょうだいに虐待があった
・転居を繰り返している

*生活環境等の側面
・子どもの顔等に外傷が認められる
・子どもが保育所等に来なくなった
・保護施設への入退所を繰り返している

*社会資源
・単独の機関や担当者のみで対応している
・要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)が一度も開催されていない
・関係機関の役割、進行管理する機関が明確に決まっていない

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク1 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク2 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク3 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク4 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク5 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク6 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて


<記事バックナンバー 講義レジュメ等>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉1 児童虐待の定義とは 社会福祉士養成学科

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉2 児童相談所・子ども虐待対応とは 社会福祉士養成学科

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉3 児童虐待とDV配偶者からの暴力対応とは 社会福祉士養成学科


<児童福祉・虐待関連ニュース ブログ記事バックナンバーの一部>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 児童虐待再発防止訪問、児童相談所職員増員、子ども虐待の連鎖相談、虐待被害
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 虐待子ども保護、児童虐待連鎖相談、オレンジリボン、ママは専門学校生 女性自身
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:子ども・児童虐待 所在不明児童、乳児揺さぶり、児童虐待増加
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:児童虐待・子どもの貧困 虐待電話相談、相対的貧困率、福島県外転校希望

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 生活保護家庭の子ども学力・学歴・教育支援・連鎖、シングルマザー雇用、貧困集会
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 児童虐待医療ネットワーク・病院に専門員配置方針・厚労省、震災義援金付き商品券
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:震災と児童福祉 震災孤児・遺児、親族里親支援、福島子ども交流キャンプ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 児童虐待死・大阪府が全国最多、虐待連鎖・再生産、虐待電話相談、専業主婦羨望
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 地域福祉、孤独死対策、高齢者見守 安否確認、親なき後支援事業、震災ボランティア



日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
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相談援助演習レジュメ概要 児童福祉・里親とソーシャルワーク6  社会福祉士養成学科2クラスBにて

虐待を受けた子どもへの心理的援助の基本的枠
[1]  保護者等から虐待を受けて施設に入所してきた子どもは、直接的な身体の外傷が治癒した後も、心理的虐待や虐待的な生育環境、分離体験等から生じる様々な課題を抱えていることが多い。
 その場合には職員や他の子どもとの間で安定した関係を取り結ぶことが難しく、自立した社会人として成長していくための障害となること等が指摘されている。

[2]  虐待を受けた子どもの援助に当たっては、施設等が従来から持ってきた受容と支持の機能が基盤となる。
 職員と子どもが起居を共にする中で、施設等が子どもを暖かく受け入れている場所であることを伝え、職員が子どもの感情を否定的な感情も含めて支持し共感的に理解するなかで、子どもが物心両面で安心して生活できる場、守られているという実感をもてる場を提供していくことが援助の基本である。日常生活の場面場面での職員と子どもとの感情の交流を通して密接な信頼関係を築き、それを維持していくことによって、子どもが心の傷を癒し、自立した社会人として成長していくための基盤ができるのである。
 このことを可能とするためには、児童福祉司、心理職員、精神科医等の児童相談所の専門職が共同の事例検討や助言・指導を通じて施設を技術的に支援していくことが不可欠であるとともに、施設職員が虐待を受けた子どもの心理・行動特性を理解していく必要がある。

[3]  虐待を受けた子どものうち、虐待に起因する心的後遺症(単なる心の傷ではなく日常生活に支障があって治療を要するもの。)を有していて、心理療法や精神科医の治療・助言等が必要と考えられる子どもに対しては、児童相談所への通所や児童相談所職員の施設訪問等により、心理療法等必要な治療を受けさせるとともに、生活上の援助に当たる職員への専門家の助言を得ることが必要である。
 虐待を受けた子どもへの心理的援助を行う上で大切なのが、チームによる援助体制の確立である。

[4]  ただし、虐待を受けた子どもの心的後遺症が重篤な場合には情緒障害に該当し、情緒障害児短期治療施設の対象となるから、情緒障害児短期治療施設に入所して精神科医と心理療法を担当する職員による治療とそれら専門家の助言をもとに行われる生活指導を受けることが適切である。
 情緒障害児短期治療施設は昭和36年に創設された児童福祉施設であるが、十分な整備が進んでいない。未設置の都道府県では児童相談所の通所部門や医療機関等を活用して必要な子どもへの援助に当たっているとしているが、整備の促進が望まれている。

子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等|報道発表資料|厚生労働省
*子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等
1 子ども虐待による死亡事例等の検証結

 児童虐待防止法に基づき、虐待による死亡事例など重大な事例の検証を「社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」で実施しており、このたび第7次報告を公表。

・対象は平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事例。
 (1)対象期間に発生または明らかになった虐待死事例は47例(49人)【20年度64例(67人)】
 (2)死亡した子どもの年齢は、虐待死事例では0歳児が20人(40.8%)と最も多く、0~5歳児が約9割(43人)を占めている。
 (3)虐待死事例では、「望まない妊娠」、「妊婦健診未受診」、「母子健康手帳未発行」が多く、これらの妊娠期・周産期の問題を併せて抱える傾向。
 (4)地方公共団体と国への提言のうち、国への提言で主なものは、
   ・望まない妊娠について相談できる体制、養育支援を必要とする家庭に対する妊娠期・出産後早期からの支援体制及び関係機関の連携体制の整備
   ・通告義務・通告先等についての広報・啓発の一層の充実
   ・地方公共団体による検証内容の分析、提言に係る取組に対する評価の確認

2 児童相談所における児童虐待相談対応件
 平成22年度中に、全国205か所(注)の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は55,152件(速報値)(宮城県、福島県、仙台市を除いて集計した数値)で、これまでで最多の件数となっている。
(注)児童相談所は平成23年4月1日現在で206か所となった。

3 平成22年度に実施された出頭要求な
 平成20年4月より、長期間、子どもの姿が確認できない家庭には、裁判所の許可に基づく臨検・捜索ができるようになるなど、新たな制度が導入された。
 平成22年度におけるこれらの実施状況は次のとおり。
(1)出頭要求等  50ケース(対象児童数延べ72人) 【21ケース(25人)】
(2)再出頭要求    6ケース(対象児童数延べ 7人) 【 2ケース( 2人)】
(3)臨検・捜索      2ケース(対象児童数延べ 2人) 【 1ケース( 1人)】      

*レジュメ7に続く

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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉1 児童虐待の定義とは 社会福祉士養成学科

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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉3 児童虐待とDV配偶者からの暴力対応とは 社会福祉士養成学科



<児童福祉・虐待関連ニュース ブログ記事バックナンバーの一部>
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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:子ども・児童虐待 所在不明児童、乳児揺さぶり、児童虐待増加
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:児童虐待・子どもの貧困 虐待電話相談、相対的貧困率、福島県外転校希望

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 生活保護家庭の子ども学力・学歴・教育支援・連鎖、シングルマザー雇用、貧困集会
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児童福祉・里親とソーシャルワーク4 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて相談援助演習レジュメ概要 児童福祉・里親とソーシャルワーク4  社会福祉士養成学科2クラスBにて
*環境療法的接近による心理的援助
 虐待を受けた子どもは、そのトラウマゆえに対人関係や感情体験に様々な問題を抱える傾向がある。こうした子どもの問題、たとえば自分にとって養育的、保護的立場にある大人に挑発的に関わって虐待的な人間関係を繰り返す、あるいは、かんしゃくを起こしてパニックに陥り、暴力的、破壊的な行動にでるなどといったことは、カウンセリングルームでよりも、施設での日常生活場面において生じやすい。そのため、施設環境が環境療法(milieutherapy: Trieschman etal., 1969)的な要素を備えることによって、子どもの問題行動への修正的接近が可能になると考えられる。
 虐待を受けた子どもに対して、施設が備えていなければならない環境療法的特徴の中で特に重要なものを以下に列記する。
[1]  安全感・安心感の再形成
 虐待を経験した子どもは、いつ身体的暴力を受けるか分からないといった危険に満ちた環境で成長してきたわけで、そのために自分を取り囲む環境が危険なものだという学習をしてきている。環境や他者が危険なものだという認知は、当然、子どもと他者の関係に大きく影響する。そのため、子どもは環境や他者が安全なものであり、自分は安心できる環境にいるのだということを再学習しなければならない。他者が自分にとって危険な存在ではないという再学習を可能にするためには、子どもを取り巻く環境を「非虐待的」なものにすることが重要となる。
[2]  保護されているという感覚(保護膜)の再形成
 子どもが心理的に健康な発達をとげていくためには、「自分は保護されている」「自分は守られている」という感覚を持てることが非常に重要である。「自分は守られている」という感覚は、子どもの心を様々なストレスから守ってくれる保護膜とでもいえるような機能をはたすのである。しかし、虐待環境で育った場合、子どもの心は保護膜を持つことができなくなる。自分を最も愛してくれて、守ってくれるはずの存在である保護者から暴力を受けるということが、子どもの心から保護膜を奪ってしまうのである。
 したがって、虐待環境で育ち、保護膜を持たない子どもに対して、施設環境は保護膜の再形成を目指した関わりを行う必要がある。子どもが、「自分は守られている」という感覚を回復できるためには、まず「自分のことが分かってもらえている」という感じが持てることである。現在の自分を取り巻く施設環境内に存在する大人が、自分の苦しい体験、現在抱えている様々な問題や不安、そして自分の考えや気持ちを理解してくれていると感じられることが、保護膜の再形成に向けた第一歩となるのである。虐待を受けた子どもたちは、その体験に関連したトラウマ性の感情や思考、認知を日常生活において持ちやすい。また、虐待のために家族から分離されて養育される子どもは、自分が保護者から見捨てられたという考えを持ちやすく、それが日常において様々な悲しみや怒りを生じることが多い。子どもの養育に関わる大人が子どものこうした状態を理解し、「おうちであったことを思い出して怖くなったみたいだね」「もしかしてお母さんから見捨てられたような気持ちになって悲しくなったのかなあ」といったような言葉を子どもに向けることによって、子どもは「この人は自分のことを分かってくれているのかもしれない」という考えを持つようになる。自分が理解されているという体験を積み上げた子どもは、次第に、その大人に対して心の中にある様々な思考や感情を伝えていくようになる。こうした関係の中で、子どもは「この人は自分を守ってくれているんだ」という思いを持つことができるようになるのである。
[3]  人間関係の修正
 虐待環境で成長することによって、子どもの対人関係のパターンは様々な歪みを抱えてしまう。その最たるものが虐待的人間関係の再現傾向である。その他にも、無差別的愛着傾向を中心とする親密な人間関係の歪み、強いものへの従順さと弱いものへの抑圧・攻撃性を特徴とした「力に支配された対人関係」、人間関係を苦痛なもの、不快なものとして避ける対人関係の回避傾向などが見られることもある。
 こうした対人関係のパターンを身に付けてしまった子どもに対して、施設環境はそのパターンを修正する機会を提供しなければならない。たとえば虐待的な対人関係を再現する傾向のある子どもが挑発的な言葉や行動で関わってきたとき、そうした再現傾向に捕まることなく、子どもがどのような心理状態にあるのかを理解しようとする態度を大人が示すことによって、子どもの対人関係パターンの修正への道が開かれることになる。「今、あなたは僕を怒らせようとしているみたいなんだけど、どんな気持ちでそうするのかなあ」といった言葉が大人から返ってきたとき、自分の言葉に対する大人からの虐待的な反応に慣れている子どもは虚を突かれて驚くことになる。もちろん、これがすぐに子どもの人間関係の修正につながるわけではないことは言うまでもないが、こうした体験の積み重ねが、子どもをして自分の行動傾向に目を向けさせることになるのである。そして、子どもと大人の間で、対人関係パターンの裏に潜む子どもの不安や恐れなどの感情が次第に理解されていくことになる。こうした理解を通して、次第に子どもはそのパターンを変えていくのである。
[4]  感情コントロールの形成
 虐待などによるトラウマを抱えた子どもはトラウマ性の感情反応を生じやすく、また、保護者の不適切な関わりのために感情調整能力が形成されていない場合が多い。虐待環境で育った子どもは、それが怒りや不安などの否定的なものであれ、あるいは喜びや興奮などの肯定的なものであれ、ある程度の強度を持った感情を抱えておくことができなくなり、それを爆発的な行動として表現したり、パニックを起こしてしまうことが多い。こういった傾向を示す子どもに対して、施設環境は感情コントロールの形成に向けた関わりを行わねばならない。
 感情コントロールの形成のためにまず必要となるのが、環境による「抱きかかえ」(holding)である。子どもは自分の中に起こった感情を抱きかかえておくことができないため、爆発的に表現したり行動化することでそれを自分の外に放り出す。それを環境が抱きかかえて吸収するわけである。そして、次に必要となるのが、環境から子どもへのフィードバックである。子どもの感情表現を受け止めて抱きかかえた環境が、今度は受け止めたものを子どもが理解し受け入れることのできる言葉に直して再び子どもに戻す、つまりフィードバックしてあげるのである。たとえば「あなたが~したかったのに、私が忙しくてあなたの相手をできなかったから、あなたは私に無視されたような気持ちになって、すごく悲しくなって、それからとっても腹が立ったのね」といった具合にである。
 自分の気持ちを抱えることができない子どもにとって、環境がそれを抱きかかえてくれて、さらに言葉で自分の心の状態についてのフィードバックを受けるという体験は、抱えられたことによる安心感と、そして、フィードバックによる自己の感情の理解へとつながっていく。こうした体験を積み重ねることにより、子どもは次第に自分の感情を理解し始める。こういった感情の理解は、子ども自身が次第に自分の感情を抱きかかえておくことができるといった状態へとつながる。
 感情コントロールの形成に向けた関わりとして、もう一つ必要とされるのが、言語化の促進である。これまで述べてきたプロセスによって、自分の感情についての子どもの理解はある程度進んできたと考えられるが、今度は、その自己理解の言語的表現を促進するわけである。こうした言語化の促進によって、感情をコントロールする力が次第に獲得されていく。

*レジュメ5に続く

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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:子ども・児童虐待 所在不明児童、乳児揺さぶり、児童虐待増加
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 特集:児童虐待・子どもの貧困 虐待電話相談、相対的貧困率、福島県外転校希望

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 日刊 社会福祉ニュース 生活保護家庭の子ども学力・学歴・教育支援・連鎖、シングルマザー雇用、貧困集会
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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
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虐待を受けた子どもへの心理的援助の基本的枠組
[1]  保護者等から虐待を受けて施設に入所してきた子どもは、直接的な身体の外傷が治癒した後も、心理的虐待や虐待的な生育環境、分離体験等から生じる様々な課題を抱えていることが多い。その場合には職員や他の子どもとの間で安定した関係を取り結ぶことが難しく、自立した社会人として成長していくための障害となること等が指摘されている。

[2]  虐待を受けた子どもの援助に当たっては、施設等が従来から持ってきた受容と支持の機能が基盤となる。職員と子どもが起居を共にする中で、施設等が子どもを暖かく受け入れている場所であることを伝え、職員が子どもの感情を否定的な感情も含めて支持し共感的に理解するなかで、子どもが物心両面で安心して生活できる場、守られているという実感をもてる場を提供していくことが援助の基本である。日常生活の場面場面での職員と子どもとの感情の交流を通して密接な信頼関係を築き、それを維持していくことによって、子どもが心の傷を癒し、自立した社会人として成長していくための基盤ができるのである。
 このことを可能とするためには、児童福祉司、心理職員、精神科医等の児童相談所の専門職が共同の事例検討や助言・指導を通じて施設を技術的に支援していくことが不可欠であるとともに、施設職員が虐待を受けた子どもの心理・行動特性を理解していく必要がある。
[3]  虐待を受けた子どものうち、虐待に起因する心的後遺症(単なる心の傷ではなく日常生活に支障があって治療を要するもの。)を有していて、心理療法や精神科医の治療・助言等が必要と考えられる子どもに対しては、児童相談所への通所や児童相談所職員の施設訪問等により、心理療法等必要な治療を受けさせるとともに、生活上の援助に当たる職員への専門家の助言を得ることが必要である。虐待を受けた子どもへの心理的援助を行う上で大切なのが、チームによる援助体制の確立である。

[4]  ただし、虐待を受けた子どもの心的後遺症が重篤な場合には情緒障害に該当し、情緒障害児短期治療施設の対象となるから、情緒障害児短期治療施設に入所して精神科医と心理療法を担当する職員による治療とそれら専門家の助言をもとに行われる生活指導を受けることが適切である。情緒障害児短期治療施設は昭和36年に創設された児童福祉施設であるが、十分な整備が進んでいない。未設置の都道府県では児童相談所の通所部門や医療機関等を活用して必要な子どもへの援助に当たっているとしているが、整備の促進が望まれている。



子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等|報道発表資料|厚生労働省

子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第7次報告概要)及び児童虐待相談対応件数等


1 子ども虐待による死亡事例等の検証結果
 児童虐待防止法に基づき、虐待による死亡事例など重大な事例の検証を「社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」で実施しており、このたび第7次報告を公表。

  対象は平成21年4月1日から平成22年3月31日までの事例。
  (1)対象期間に発生または明らかになった虐待死事例は47例(49人)【20年度64例(67人)】
  (2)死亡した子どもの年齢は、虐待死事例では0歳児が20人(40.8%)と最も多く、0~5歳児が約9割(43人)を占めている。
  (3)虐待死事例では、「望まない妊娠」、「妊婦健診未受診」、「母子健康手帳未発行」が多く、これらの妊娠期・周産期の問題を併せて抱える傾向。
  (4)地方公共団体と国への提言のうち、国への提言で主なものは、
   ・望まない妊娠について相談できる体制、養育支援を必要とする家庭に対する妊娠期・出産後早期からの支援体制及び関係機関の連携体制の整備
   ・通告義務・通告先等についての広報・啓発の一層の充実
   ・地方公共団体による検証内容の分析、提言に係る取組に対する評価の確認


2 児童相談所における児童虐待相談対応件数
 平成22年度中に、全国205か所(注)の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は55,152件(速報値)(宮城県、福島県、仙台市を除いて集計した数値)で、これまでで最多の件数となっている。
(注)児童相談所は平成23年4月1日現在で206か所となった。


3 平成22年度に実施された出頭要求など
 平成20年4月より、長期間、子どもの姿が確認できない家庭には、裁判所の許可に基づく臨検・捜索ができるようになるなど、新たな制度が導入された。
 平成22年度におけるこれらの実施状況は次のとおり。
(1)出頭要求等  50ケース(対象児童数延べ72人) 【21ケース(25人)】
(2)再出頭要求    6ケース(対象児童数延べ 7人) 【 2ケース( 2人)】
(3)臨検・捜索      2ケース(対象児童数延べ 2人) 【 1ケース( 1人)】      

集計結果による分析-「虐待死」・「心中」の事例- 事 例 の 分 析
集計結果による分析-0日・0か月児の死亡事例-
個別ヒアリング調査結果の分析-6事例から-
○死亡した子どもの年齢は、虐待死事例では、 0歳児が20人(40.8%)と 一番多く、0~5歳児が約9割(43人)を占めている。
心中事例では、各
年齢に分散している。
○虐待の種類は、身体的虐待が多く(59.2%)、3歳未満ではネグレクトが
約半分を占めている。主な死因は、虐待死事例で「頭部外傷」(30.6%)、
心中事例で「頚部絞厄」(33.3%)であり、これまでの報告と同様。虐待
死事例では、「車中放置による熱中症・脱水」と「溺水」が増加した。
○主たる加害者は、虐待死事例と心中事例のいずれにおいても、「実母」が最
も多い。(虐待死事例で23人(46.9%)、心中事例で22人(56.4%))
○虐待死事例では、「望まない妊娠」、「妊婦健診未受診」、「母子健康手帳
未発行」が多く、これらの妊娠期・周産期の問題を併せて抱える傾向。
○虐待死事例での加害の動機について、3歳未満では、「子どもの存在の拒
否・否定」、「保護を怠ったことによる死亡」が多く、3歳以上では、「し
つけのつもり」が最も多い。
○虐待死事例・心中事例ともに、児童相談所が関わっていた事例が増加してい
る。(虐待死事例で12事例(25.5%)、心中事例で6事例(20%))児童
相談所が関与していた虐待死事例のうち、虐待の認識があり対応していた事
例は2例、虐待の認識がなかった事例は5例であり、情報収集、アセスメン
トや措置解除後の関係機関を含めた連携・フォロー体制が要因である。


児童相談所が支援していた家庭だが、養育者に
とっては、望まない妊娠について相談できる機関に
なっていない。
2 妊娠期からの継続的な支援体制
妊娠・出産等の各種届出時や産科入院中のリスク
アセスメントが十分でなく、継続した支援につなが
らない。 3 乳幼児健康診査受診者・未受診者フォローの在
り方
養育者や子どもと関わることができる唯一の機会
である健康診査を利用して、きょうだいの状況や養
育の悩みを捉えることができていない。 4 複数機関の連携による適切な家族アセスメント
各関係機関の情報を統合し、家族の状況を適時に
アセスメントすることができていない。 5 生育歴、生活歴等からの潜在的な問題の把握
養育者の成育歴やストレスとなるライフイベント
からのリスクアセスメントが十分でない。 6 初期対応と関係機関の連携
関係機関の役割分担が明確でないため、必要な措
置が行われていない。 7 入所措置解除時のアセスメントと家庭復帰後支

入所措置解除のアセスメントを一部の関係機関で
行い、解除後の支援方針が明確でなく関係機関の間
で共有されていない。 8 学校等の組織的対応の在り方
虐待を疑ったが、組織の判断として通告を見合わ
せ、児童相談所等に速やかに通告していない。 9 虐待防止・早期対応における医療機関の体制
虐待を見逃さない診療を行うための虐待に対する
院内体制が十分でない。

○ 保護者等に精神疾患がある、あるいは強い抑
うつ状態である
○ 妊娠の届出がされていない
○ 母子健康手帳が未発行である
○ 特別の事情がないにも関わらず中絶を希望し
ている
○ 医師、助産師が立ち会わないで自宅等で出産
した
○ 妊婦健診が未受診である
(途中から受診しなくなった場合も含む)
○ 妊産婦等との連絡が取れない
(途中から関係が変化した場合も含む)
○ 乳幼児にかかる健診が未受診である
(途中から受診しなくなった場合も含む)
○ 子どもを保護してほしい等、保護者等が自ら
相談してくる
○ 虐待が疑われるにもかかわらず保護者等が虐
待を否定
○ 過去に心中の未遂がある
○ 訪問等をしても子どもに会わせてもらえない
○ 双子を含む複数人の子どもがいる
保護者の側面
※子どもが低年齢、または離婚等により一人

単独の機関や担当者のみで対応している
○ 要保護児童対策地域協議会(子どもを守
る地域ネットワーク)が一度も開催されて
いない
○ 関係機関の役割、進行管理する機関が明
確に決まっていない
援助過程の側面

児童委員、近隣住民等から様子がおかし
いと情報提供がある
○ きょうだいに虐待があった
○ 転居を繰り返している
生活環境等の側面

子どもの顔等に外傷が認められる
○ 子どもが保育所等に来なくなった
○ 保護施設への入退所を繰り返している

*レジュメ5に続く

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<資料:子ども虐待 被虐待児童の心理的特徴
*虐待を受けた子どもは、人間に対する不信感を抱いており、なかなか本当のことを言おうとしない。そして次のような特性を持っていることが多い。
・ 虐待の事実を家族内のこととして秘密を守ろうとする
・ 親はよい存在であってほしいという思いから、親をかばおうとする
・ 親は悪くない、悪いのは自分だから暴力を振るわれるのだという理解をして、虐待されることを納得しようとする
・ こんな悪い子どもは親から見捨てられるのではないか、という不安を持っているためにより親にしがみつく

*したがって虐待が子どもにとって耐えがたい状況になって、明らかに親子を分離し施設に入所させなければならない場合でも、保護者の前では萎縮し、保護者の意向にそった返事しかできないこともある。
 施設入所についての子どもの意向は、安心した状況のなかで子どもの本心を酌み取るための配慮をした上で確認したい。

・一時保護所などで子どもが保護者と分離できている場合、「家には帰りたくない」とはっきり表明することがある。このような場合、子どもは施設入所に納得していると判断できるが、「どういう気持ちで施設にいくの?」と質問すると、「僕が悪いことをするから、イライラしたお父さんが酒を飲んで家の中がもめる。僕がいないほうが家が平和だから施設に行く」と答えた事例もある。
 これは明らかに「虐待されるのは自分が悪いから」という低い自己評価に陥っており、このような思い込みは修正する必要がある。
・ 保護者がイライラするのは子どもの性格や行動だけが原因ではない。保護者もまた助けを必要としている人である
・ すべての子どもは「安全に」「自信をもって」「自由に生きる」権利を持っており、大人はそれを認めなければならない
・ 今の家族の中では子どもの体や心が傷つき、安心して暮らすことができないことを説明した上で、心身の安全と健やかな成長のために、家族から離れて施設で生活する必要があることを伝える。
 また、親が「行け」というなら施設に入所するが、自分から親を切るようなことはしたくないと施設入所に躊躇する子どもに対しては、「児童相談所が様々な状況から判断して施設入所が適当と決定した」と言い渡すことが、子どもの精神的負担を軽減する。
 
*子どもへの心理的援助はどのように行うか
 虐待のために家族から分離されて施設に入所することは、子どもにとって非常に重大な体験である。
 こうした体験は、子どもに「二重のトラウマ(心的外傷)」を生じさせる可能性がある(西澤哲「虐待を受けた子どもへの初期対応」1995)。一つは、保護者からの虐待によるトラウマであり、もう一つは保護者を失ったことによるトラウマである。
 何らかの手当を施されない限り、こうしたトラウマが自然に癒えていくことはまずないと言っていいだろう。したがって、子どもの施設入所後にも、彼らがこれらのトラウマから回復できるよう、児童相談所はできうるかぎりの援助を行わなければならない。

*施設に入所している子どもに対して児童相談所が行いうる援助を、施設職員等へのコンサルテーションと子どもに対する直接的な心理療法の二つに分けて述べる。
*施設職員等へのコンサルテーション
 虐待や家族からの分離によるトラウマは、子どものさまざまな「問題行動」として現れる傾向がある。施設の職員は日常的にこれらの行動に振り回されてしまう傾向があり、そうした事態で子どもが「問題児」のレッテルを貼られてしまうことも珍しくない。
 子どものトラウマ性の反応としてまず考えられるのは、PTSD(Posttraumatic Stress-Disorder:心的外傷後ストレス障害)である。
 Benedek(1985)は、DSM-IIIのPTSDの症状は基本的に成人を対象とはしているものの、子どもにも適用可能であるとしている。しかし、虐待という刺激の反復的、慢性的な特質を考えた場合、子どもが示すトラウマ反応をPTSDにのみ限って考えるのは適切ではないといえる。またBriere(1992)も、虐待を受けた子どものトラウマ反応は、認知、情緒、感情、行動、対人関係などさまざまな領域において観察されるとしている。

*従来の諸研究と、児童養護施設における西澤らの観察(「養護施設における子どもの入所以前の経験と施設での生活状況に関する調査」1996)に基づいて、虐待というトラウマによって生じうると考えられる特徴を列記すると以下のようになる。

○ 入眠困難などの睡眠障害
 (PTSDの過覚醒症状)
○ 注意集中困難、多動性
 (PTSDの過覚醒症状)
○ 悪夢、夜驚
 (PTSDの侵入性症状)
○ 無感情、無感覚
 (PTSDの回避・麻痺症状)
○ 無気力、抑うつ
 (慢性化した回避・麻痺症状)
○ 年少の子どもや小動物に対する過度の攻撃行動
 (行動上の再現性)
○ かんしゃく・パニックや、それにともなう破壊的行動
 (感情調整障害)
○ 年長者や力の強いものに対する従順さ
 (力に支配された対人関係)
○ 年少時に見られる無差別的愛着傾向
 (愛着形成の障害)
○ 思春期以降に見られる対人関係の希薄さ
 (愛着形成の障害)
○ 他者、特に自分にとって重要な意味のある年長者に対する挑発的行動と、それにともなう虐待的な対人関係(トラウマとなった対人関係の反復的再現)
○ 万引き、暴力的行為、喫煙などの反社会的行為
 (トラウマ性の情緒の行動化)
○ セルフカットなどの自傷行為
 (感情調整障害、あるいは乖離症状への対処行為)
○ 拒食や過食などの摂食障害、食べ物への固執
 (口唇期性障害)
○ アルコールや薬物への依存
 (PTSDの回避・麻痺症状)

*児童相談所としては、以上のような症状もしくは行動を、保護者からの虐待や家族の喪失のトラウマに起因するものであると施設の職員が理解できるようなコンサルテーションを提供することが必要となる。

*参考 (心的)外傷後ストレス障害 PTSD
 posttraumatic stress disorder;PTSDは、突然の衝撃的出来事を経験することによって生じる、特徴的な精神障害である。
 PTSDが持つ他の精神障害にない特色は、明らかな原因の存在が規定されているという点で、PTSDの診断のためには災害、戦闘体験、犯罪被害など、強い恐怖感を伴う体験があるということが、必要条件とされる。しかし、どのような衝撃的出来事がPTSDの原因となりうるのかについては、議論がある。

*PTSDの主な症
 PTSDの主要症状は再体験(想起)、回避、過覚醒の3つである。
1) 再体験 (想起)
  原因となった外傷的な体験が、意図しないのに繰り返し思い出されたり、夢に登場する。
2) 回避
 体験を思い出すような状況や場面を、意識的あるいは無意識的に避け続けるという症状、および感情や感覚などの反応性の麻痺という症状を指す。
3) 過覚醒
  交感神経系の亢進状態が続いていることで、不眠やイライラなどが症状として見られる。
PTSD/外傷後ストレス障害 家庭の医学 - Yahoo!ヘルスケア
・抜粋 「標準治療:PTSDの症状自体は「異常な出来事に対する正常な反応」です。多くの人はショックな出来事を経験しても時間経過とともに心身の安定を取り戻していきますが、大きな心身の障害を残す場合には治療が必要となります。
 治療法は、薬物療法と心理療法です。不安・過敏症状・睡眠障害には抗不安薬、抑うつ症状には抗うつ薬、最近では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第1選択薬として用いられています。
 心理療法としては、支持的な心理療法(カウンセリング)が中心ですが、恐怖体験の言語化と不安反応のコントロールをめざした行動療法、また、最近の新しい治療法としてEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)があります。これは、問題の記憶場面を思い浮かべながらリズミカルに目を動かすという方法で、外傷的記憶を処理するという効果があります。また、PTSDの人は外傷的記憶を思い出したくないのであまり口に出さず、ただ我慢しているために、周囲からなかなか理解を得られないことがありますから、ソーシャル・サポートの意義が重要です」。

*レジュメ6に続く

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク1 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク2 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク3 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 児童福祉・里親とソーシャルワーク4 相談援助演習レジュメ概要 社会福祉士養成学科2クラスBにて


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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助演習レジュメ 子ども虐待・児童福祉2 児童相談所・子ども虐待対応とは 社会福祉士養成学科

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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法


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相談援助演習レジュメ概要 児童福祉・里親とソーシャルワーク4  社会福祉士養成学科2クラスBにて
*里親による養育上の視点(児童虐待 被虐待児童の場合)
ア.初期

 一般に委託当初は、親子関係も浅く、なじみのない環境の中で、子どもは想像以上に緊張し、いわゆる「良い子」になりがちである。それまでの生活の中で体験してきたしつけや規則を守ろうという形で現われることが多い。
この時期には里親家庭内の大人が徹底して子どもを受け容れることが重要である。
 特に虐待を受けた子どもの場合、その表現が固すぎたり、過剰だったりする。無理に悪いところを矯正するような対応をすると緊張が長期化し、親子関係を築く妨げになる。
 また、この時の子どもの姿を本来の姿だと思うのは危険であるので児童相談所としては特に委託直後は頻繁に往き来しなくてはならない。この「良い子」の状態が長く続く場合は、子どもが里親家庭で緊張し続けていると考えられるので注意を要する。

<この時期に児童相談所が状況把握するポイント
・ 問題があった場合、それを誰が受け止め、誰がどう対応しているか
・ 家族のコミュニケ-ションのあり方に、年齢や委託日数を考慮して、自然な感じがあるか
・ 子どもの発達に応じた部屋の雰囲気があるか
・ ペットがいる場合、子どもとペットとの関係はどうか
・ 子どもが安心していられる決まった居場所があるか 等が挙げられる。

イ.中期(混乱期
 子どもが里親家庭に慣れるに従い、個人差があるものの、手のかからない「良い子」から手をかけさせる「悪い子」や「赤ちゃん」に変わっていく。ある年齢まで退行していく現象は「赤ちゃん返り」と言われ、新しい親、特に里母との関係を確認するために、本来の養育経験をやり直しているものと考えられている。そして、子どもなりに満たされると自然に年齢相応のところに戻ってくるものである。
 これはあるがままの自分をどこまで受け入れてくれるのか無意識のうちに試しているということである。そこで子どもは親の愛情を確認するために、親の一番嫌がることをしがちであり、特に虐待を受けた子どもには行動の逸脱や激しさが目立つ。

<子どもの特徴 傾向
・ 里母から片時も離れず、里父になつかない
・ 反抗的な態度をとり続ける(自己中心的で叱っても効果がない状態)
・ 自分を表現しない(何を考えているかわからない)
・ 嘘をつく
・ 里親以外の大人に甘えたり、他の家に行き食事等を欲しがる
・ 過食が続く
・ 排泄、着脱衣、あいさつ等できていたことができなくなる
・ 夜泣きや夜尿が続く
・ 教室や友人の家から物を持って来たり、里親宅からお金を持ち出す
・ 同年齢の子どもに乱暴する、噛みつく
等が挙げられるが、これらの行動は環境の大きな変化による心因的なものが大半である。
 この時期に里親が子どもの状態をどのように受け止め、どのように対応するかによって、状況が変わる。里親が振り回されて混乱したり、しつけを急いだりするとさらに「悪い子」になるという悪循環に陥ることとなる。
 児童相談所はこの時期に頻繁に訪問して(内容によっては心理職員が関わる通所も)問題を共有の上、一緒に問題を乗り切る姿勢をとらなくてはならない。

<里親が陥りやすい状態 傾向
・ 子どもに振り回され、心身ともに疲れ果てる
・ 受託前に抱いていた子どものイメ-ジと、現実との違いに失望する
・ 「良い子にしなければ」としつけが厳しくなる
・ 溺愛したり、拒否的になったりと、片寄った養育姿勢をとる
・ 実子がいる場合、実子との違いに戸惑い、愛情が公平に持てないと悩む 等がある。
 この時期を乗り越えるために児童相談所はいろいろな形態で援助を行うが、その場合の留意点は以下のとおりである。
・ 里親はかくあるべきという先入観を持ったり、実子でもこの程度のことはあるという視点で臨むことは避ける
・ 里親も子どもも変化するものであるという視点で、焦らず、問題を一緒に解決していこうという姿勢を持ち続ける
・ 児童相談所が行うグル-プ指導や里親会の活動に積極的に誘い、里親同士のつながりが持てるように配慮する
 このように里親と児童相談所が協調しても「問題行動」が軽減しなかったり、逆にエスカレ-トし続けるようであれば、里親家庭への不適応行動と考えて、援助の再検討をする必要がある。

ウ. 後期(安定期
 安定したかどうかは、「問題行動」が落ち着くということ以外に、次の点を目安にする。 ・ 子どもが安心してくつろいでいる
・ 子どもが自由にふるまえる
・ 子どもが家族全員に親愛感を持つ
・ 子どもを含め、家族全員の表情がよい
・ 里親の言動に自信(安定感)が感じられる
・ 混乱期の大変さを理解して、里親なりにその意味をつかんでいる
・ 理屈抜きに子どもを可愛いと感じている雰囲気がある

*レジュメ5に続く

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参考 抜粋 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年五月二十四日法律第八十二号)
(目的

第一条  この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする。

(児童虐待の定義
第二条  この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一  児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二  児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三  児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四  児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

(児童に対する虐待の禁止
第三条  何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。

(国及び地方公共団体の責務等)
第四条  国及び地方公共団体は、児童虐待の予防及び早期発見、迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援(児童虐待を受けた後十八歳となった者に対する自立の支援を含む。第三項及び次条第二項において同じ。)並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援、医療の提供体制の整備その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。
2  国及び地方公共団体は、児童相談所等関係機関の職員及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し、その他児童虐待の防止に寄与することができるよう、研修等必要な措置を講ずるものとする。
3  国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所等関係機関の職員、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保及び資質の向上を図るため、研修等必要な措置を講ずるものとする。
4  国及び地方公共団体は、児童虐待の防止に資するため、児童の人権、児童虐待が児童に及ぼす影響、児童虐待に係る通告義務等について必要な広報その他の啓発活動に努めなければならない。
5  国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析を行うとともに、児童虐待の予防及び早期発見のための方策、児童虐待を受けた児童のケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方、学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。
6  児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならない。
7  何人も、児童の健全な成長のために、良好な家庭的環境及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。

(児童虐待の早期発見等
第五条  学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。
2  前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。
3  学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

(児童虐待に係る通告
第六条  児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
2  前項の規定による通告は、児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条 の規定による通告とみなして、同法 の規定を適用する。
3  刑法 (明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

第七条  市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所が前条第一項の規定による通告を受けた場合においては、当該通告を受けた市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所の所長、所員その他の職員及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

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