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相談援助の理論と方法 第47回講義 レジュメ・前半 2010/11/22
*社会福祉士養成科・夜間部にて講義

9章3節 コンサルテーション
概要:コンサルテーション

・コンサルテーションとは,独立して仕事をする能力のあるワーカーが,業務遂行上,ある特定の専門的な領域の知識や技術について助言をえる必要のある時,その領域の専門家つまり,コンサルタントと相談することを言う。
・日本においては、重要性が指摘されているにもかかわらず、十分に体系化されていない。

・コンサルテーションは、専門家であるコンサルタントと、現在の仕事上の問題に関してコンサルタントの援助を必要としているコンサルティの、2人の専門職が交わる過程である。また,問題とはコンサルティが仕事上で直面し,他の専門家の領域の問題だと判定された問題である。

・コンサルテーションとは、ある領域の専門職が,自分の担当しているケースの援助に当たって,他領域の専門的な知識が必要となった場合に,その知識を十分にもっていないために,その領域の専門職にアドバイスをもとめる過程のことである。
・ソーシャルワーカーは、関連する事柄のすべてに精通していることはなく、クライエントの援助に関して、他領域からの専門的なアドバイスを必要としている。それらの専門職から有効なアドバイスを受けて,援助に生かせることも重要な技術なのである。

<テキスト解説>
1 コンサルテーションの意義 テキストP201

・専門職の養成に対するニーズが高まり、スーパービジョンは浸透しつつある。
・クライエントのニーズの複雑・多様化により、専門的知識・情報の不足もあり、苦慮するワーカーも少なくない。
・スーパービジョンとは別に、コンサルテーションの活用も有効な手段である。
・しかし、対人援助の領域では、この両者が混同や誤用され易い。

2 コンサルテーションとは
・業務遂行上、特定の専門的な領域の知識や技術について助言を得る必要があるとき、その領域の専門職から助言を受け、新しい情報・知識・技術を習得する過程である。その専門職をコンサルタント、受け手をコンサルティーと呼ぶ。

*コンサルテーションの特
・機関外あるいは他の部門からの人材に依頼し実施
・コンサルタントは、直接、援助活動に関与しない(原則)
・専門分野に関する特別な知識や技能を教示する内容である
・機関(所属部門)の管理者としての機能を有しない

・ケースの全般的なことではなく、特定の問題についてその専門家(上司や業務管理者ではない)に助言を求めること。

3 ワーカーとコンサルタントの関係 テキストP202
・スーパービジョン関係は、専門的援助関係と共通する特徴がある。また組織内におけるスーパーバイザーは、ワーカーの業務に管理責任をもち、指導、評価を行なう。
・コンサルテーションにおける、ワーカーとコンサルタントは、任意で対等な関係である。パートナーシップに基づく。
・コンサルタントは、助言はするが、ワーカーの業務には責任を負わない。
・その助言は、問題解決の方法を専門的に示唆するものではある。しかし具体的な問題解決の業務に有効とは限らない。コンサルタントの助言を採用し、実行するかは、ワーカーの裁量に任されている。

4 コンサルテーションの形
・コンサルタントは、内科医、精神科医などの医療専門職、臨床心理士、弁護士など必要に応じ、外部講師に依頼する。
逆に、社会福祉専門職が福祉関連企業等に、コンサルタントとして招かれることもある。
・会議への参加と助言、サービスへの助言等、多様な手法がある。
コンサルタントを個人、集団あるいは組織で受ける場合もある。
・他分野の専門性を必要とする場合、コンサルタントからの指導が有効である。

*補足:コンサルテーションのタイプ
①実際の援助を行っている時にコンサルタントはいないタイプ(非参加型コンサルテーション)
②援助を行っている時にコンサルタントがおり,何らかの役割を果たしているタイプ(参加型コンサルテーション)
③コンサルタントは直接的に情報を入手するが,その時には積極的に関与はしないタイプ(観察型コンサルテーション)である。
・観察型コンサルテーションにおいて、コンサルタントは、直接的観察やビデオ等から処遇に関する情報を入手し,後に,コンサルティからの要請でコンサルテーションを行う方法である。

*「非参加型コンサルテーション」は、更に分類ができる。
・個別指導型
専門家が個別的に相談にのり,アドバイスする。
・並列的ピア・コンサルテーション
同僚が1対1で,お互いにコンサルテーションし合う。
・ファシリテイター付のグループ・コンサルテーション
 グループによるコンサルテーションで,進行役がいるもの。
・グループ・コンサルテーション
・ピア・グループ・コンサルテーション
 同僚が上下の関係なく,グループで行うコンサルテーション。

*参加型コンサルテーションは、更に分類ができる。
・ジョイント・ワーク
 コンサルタントとコンサルティが個人や家族の処遇に共同で取り組む。
・リブ・コンサルテーション
 面接にコンサルタントも同席するが,コンサルタントとしての役割に徹する。

5 スーパービジョンとコンサルテーション
・ワーカーの養成・訓練はスーパービジョンによって行ない、やがて独り立ちする。その後、コンサルタントの活用に移行すると考えられる。
アメリカなどでは、スーパービジョンからコンサルテーションへと切り替える時期の見極めが重要とされる。また、スーパービジョンとコンサルテーションを併用する時期を設ける方法が有効とされる。
・日本においては、コンサルテーションやスーパービジョンの実践方法や人材が確立されていない。スーパービジョンとコンサルテーションを、当初から併用することが現実的である。
・ケースカンファレンスにおける医療・保健・リハビリテーションなどの専門職からの助言は、スーパービジョンなのかコンサルテーションなのか「判断は難しい」(テキスト)。
業務に責任を負う他領域の専門職が、助言する場合は、スーパービジョンと考えてよい。

*スーパービジョンとの相違
・スーパーピジョンの機能として,管理的機能と教育的機能と支持的機能がある。しかし、コンサルテーションには、ワーカーを管理したり,教育したりするものではないし,しいて言えば,他領域からその専門的知識でワーカーの仕事を支持するものと言うことができる。

<後半に続く>


*前回講義のレジュメ 下記をクリック
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第46回講義 レジュメ・前半11/19*スーパービジョン・機能*社会福祉士養成科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第46回講義 レジュメ・後半11/19スーパービジョンの方法・形態*社会福祉士養成科


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科
社会福祉士及び介護福祉士法


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相談援助の理論と方法 第46回講義 レジュメ・後半 10/11/19
*社会福祉士養成科・夜間部にて講義

2節 スーパービジョンの方法と留意点
1 スーパービジョンの形態 テキストP196
*個人スーパービジョン

・スーパービジョンの原型であり、スーパーバイザー-スーパーバイジーの1対1で実施される。
・個別スーパービジョンでは、スーパーバイザーはケースワークと同じような面接技法を用い、また、スーパーバイジーの援助記録をもとにディスカッションが行われることが多い。
・スーパーバイジーの自己覚知や自己実現を含む個別の課題、関心に合わせて実施できる。
 これらを掘り下げることが可能である。

・しかし、スーパーバイザーの人材の課題や、スーパービジョンの時間の確保が困難という問題もある。

*グループスーパービジョン
・スーパーバイジーが複数で、グループ形式のスーパービジョンの形態をさす。
・個別に深く検討できないという問題がある反面,スーパーバイザー以外にも他参加者から多様な意見,評価,示唆,支持を得ることができ,スーパーバイジー同士が相互に影響し合い、それぞれ学びあうことが可能である。その機能は個別スーパービジョンと同様であり,方法は,事例研究的方法,ロールプレイ,共通の課題について検討する共同参加型法などがあり,目的に合わせて使い分けることが望ましい。

・グループ・スーパービジョンは、グループを活用してスーパーバイジー同士の相互作用による質的な向上を目指すものであり、その過程は、グループワークの過程とほぼ同じである。
<詳細は後述>

*ライブ・スーパービジョン
・スーパービジョンとして、「今,この場で」(here and now)職員の指導や援助を行う方法である。
・面接や指導等の実践場面で,スーパーバイザーがスーパーバイジーの関わり方を指導したり,効果的な関わり方を実際にモデルとして見せることをさす。スーパーバイザーは,スーパーバイジーの感想や意見を交えながら,方法・技術そして援助の基本的な考え方にも及んで教育的にスーパービジョンを行う。
・ライブ・スーパービジョンは実践場面で起きていることを中心に行われるため,教育的スーパービジョンとしての効果が高い。
・ライブ・スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが進行中のケース(事例)に一緒にあたる、つまり、実際にクライエントに接しながら(援助しながら)行われる。

*ピア・スーパービジョン
・一般的に,スーパービジョンとは,実践への経験および知識をもつスーパーバイザーによって実施されるが,ピア・スーパービジョンとは,上下関係の生じない仲間や同僚間で行われるスーパービジョンのことである。
・ピア・スーパービジョンにおいて、ソーシャルワーカーや学生同士が互いに事例を出し合ってスーパービジョンを行うこともある。

・アメリカ合衆国では、スーパービジョンを終了し、自立したワーカーが自主的に学習集団をつくって活動している形態をピア・スーパービジョンと呼んでいる。

*セルフ・スーパービジョン
・ワーカーが自分自身で行なうスーパービジョンである。
困難な場面において、状況(出来事、自身の気持ち、自分自身の行動、その結果)など、記録等を活用し、過去の自らを客観視して、自身に助言を行なう。

2 スーパービジョン関係形成の重要性 テキストP198
・効果的にスーパービジョンが行われるかは、スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係が重要となる。

*スーパービジョン関係とは
・スーパーバイザーとスーパーバイジーとの間に結ばれる関係をスーパービジョン関係という。スーパービジョン関係を通してスーパービジョンは行なわれる。

・スーパービジョンの支持的機能では、困難な状況にあるワーカーを支え、自分自身と向き合うようにはたらきかける。ワーカーは、スーパーバイザーに受容、共感されることによって安心を得、自己覚知を深める。葛藤を抑圧することなく自己開示する勇気を得る。
スーパービジョン関係は、情緒的な関係であるといえる。

・教育的機能からは、スーパービジョン関係は、専門職として必要な知識・技術・価値を伝授する専門職業的な関係である。
施設・機関、専門職としての要請からくるものである。
・管理的機能からは、スーパーバイザーは、ワーカーが組織の目的や方針に沿って、一定水準のサービスの実施を図る管理上の責任がある。

*援助関係のモデルになるスーパービジョン関係
・ソーシャルワークにおいて、専門的援助関係が重要な要素であったように、スーパービジョンにおいてはスーパービジョン関係が重要な要素となる。
この二つの関係には同様の感情面での困難が出現する。二つの関係にはつながりがある。これをパラレルプロセスという。
・パラレルプロセスは、スーパービジョン場面における対人援助場面の無意識の繰り返しである。「模倣」テキスト参照
・パラレルプロセスに象徴されるが、スーパービジョン関係は援助関係のモデルになる。
よい援助関係を形成するためには、よいスーパービジョン関係が必要である。

*将来のスーパーバイザー養成のために
・ワーカー自身が、スーパーバイジーとして体験したスーパービジョン関係をモデルに、新たなスーパービジョン関係を築く。


○補足:グループ・スーパービジョンの過程と実際
・施設や機関の状況から、個人スーパービジョンを行なうには時間的な制約もある場合など、1人のスーパーバイザーによるグループ・スーパービジョンが極めて効果的に目的を達成できる。
・グループ・スーパービジョンの過程とは,グループワークにおける準備期,開始期,作業期,終結期とほぼ同じである。
グループワークでの援助者の役割をスーパーバイザー,メンバーを援助者と置き換えることによって理解できる。

<グループ・スーパービジョンの過程>
1.準備段階

 準備段階としては,援助者が採用される,あるいは配属された時点から,スーパーバイザーとの出会いが始まる。職員となり、職場の方針,目標,仕事内容の説明を受けることになる。また,スーパービジョンのシステムについても説明を受けることになる。

2.開始段階
 開始段階としては,スーパーバイザーとグループのメンバー,つまり指導する者と学ぶ者との職務上の関係が始まる段階である。開始期では,施設・機関側からみるスーパービジョンの目標を明らかにすることから始まっていく。
 スーパービジョンは,メンバーを交えて彼らのニーズに基づく目標を設定することになる。次に,目標達成方法を互いに討論し,決定していく。また,グループ指導方法,会合時間,回数,開始日,グループ・スーパービジョンでの内容はメンバー以外には秘密保持をすることなどの具体的内容の契約をすることにする。

3.作業段階
・作業段階においては,まずメンバーはスーパーバイザーやほかのメンバーと親しくなると同時に,互いを内密に評価判断していく段階でもある。メンバーは参加する援助者相互の知識や経験を共有化することによって,視野をより拡大してくことができる。メンバーはグループに対して信頼度を深めかつ安心感をもつことができるようになると,ほかのメンバーを恐れずに意見を述べることができるようになり,自立した知識や技術の把握が可能となってくる。ほかのメンバーから支持をされる場合もあれば,厳しい指摘を受けることがあるかもしれない。しかし,困難な事例に直面しているほかのメンバーの苦悩や問題の解決の場面にともに参加し,同じ経験をすることができることから,仲間が苦悩し,それを互いが助け合い,支え・支えられる関係がいつしかグループに芽生えてくる。グループの許容的雰囲気のなかで自由な発言ができるようになり,そのことから専門職者としての態度や判断力を発達させ,かつ自立した知識や技術を身につけていくことになる。
・この段階におけるスーパーバイザーに要求される技術としては,援助者が自分のグループに必要とされる技術と同じものである。例えば,焦点を合わせた傾聴法,質問技術,無言の意味を理解する技術などの面接技術,あるいは感情移入技術,感情を分かち合う技術,障害を指摘する技術,情報を分かち合う技術などである。

4.終結段階
・終結段階では,スーパービジョンの目標を達成したことから,指導内容を終結するという段階を迎える。

<グループ・スーパービジョンの方法>
・グループ・スーパービジョンでは,個人に対するスーパービジョンと同様に,援助者の援助過程記録,いわゆるケース記録を討論の主たる資料に使用する。参加する援助者が交代でケースや課題を提出する場合,ほかの援助者に意見を求めたい援助者が毎回ケースや課題を捏出する場合,あるいは1人の援助者が一定の期間にわたって継続してケースや課題を提出するなどの方法がある。
・グループ・スーパービジョンの場合,個人スーパービジョンと比べて,そのほかのいろいろな方法も可能になる。例えば,実際のケースを材料にして,あるいは複数の登場人物によるロールプレイングができる。これを討論の教材にしながら教育的目的や支援的、運営的な目的を達成することができる。
これをビデオに録画したり,テープレコーダーで録音したりして面接技術や集団援助技術の学習や評価検討の材料とすることも可能である。
 また,共通する特定のテーマについての研究会や専門家を招いての講演会なども可能である。さらに,自分たち自身が企画運営するグループとして自発的な現任訓練なども可能であろう。
 しかし,援助者の専門的知識や経験の程度によって,あるいはスーパーバイザーが要請をしたり援助者自身が要請をした場合などは,個人スーパービジョンとの効果的な組み合わせをする必要がある。


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*社会福祉士養成科・夜間部にて講義

9章1節 スーパービジョンの意義と目的・続き
○補足:スーパービジョンの機会

・スーパービジョンは、施設や機関などの職場内で職場の上司(先輩)が新人スタッフに対して行うのが通例である。
 「職場外」のスーパービジョンは、ほとんどは、「一対多数」の研修会等の形をとる。

・スーパービジョンは、新人のワーカーや実習生に対して行われることが多いが、熟練した援助者にもスーパービジョンの必要性はある。

・通常のスーパービジョンは、定期的に継続して行われるが、加えてスーパーバイジーの困難時にも臨時に行なわれる場合もある。これらは、事前の契約で確認される。

○補足:スーパービジョンの手段
①話し合い

・実践に関して話し合い、スーパーバイザーからの助言等が行なわれる。
 記録が併用されることが多い。

②記録を用いる
・事前にスーパーバイジーは,スーパーバイザーに報告する「記録」を用意する。
フォーマルな記録とは別のものを用意するのがよいとされる。
・その記録とは,面接の時間的順序に沿った過程記録がよく用いられる。
・記録を用いながら話し合う方法が、通常の形態といえる。

③ロールプレイを活用する
・役割演技・ロールプレイは、基本的な技法を学ぶために用いることが多いが,スーパービジョンでも大事な訓練・教育の方法である。
・間接的だが,必要な場面を想定し,練習できる。

④録音テープ,ビデオテープ,メールを用いる
・実際の場面をテープによって再現する。紙の記録よりも臨場感が伝わる。繰り返し検討できるので自己学習も可能である。
・スーパービジョンの方法は多様になっており,最近では実習先の学生と教員がメールを用いて、指導・サポートする方法も試みられている。

*解説:ロールプレイ(役割演技)
 場面と登場人物の役割が設定され,筋書きのない即興劇を演じること。今日では,援助や治療だけでなく,学習そのものを目的として,援助者の訓練や学習の教育的方法とし,スーパービジョン場面などでも用いられている。 

3 スーパービジョンの必要性と機能
*支持的機能は、前回講義にて解説済み。
②教育的(学習的)機能 テキストP192

・スーパーバイザーが責任を持って、スーパーバイジーが能力を最大限活かしてより良い実践ができる様に援助する過程ともいえる。

・スーパービジョンを通して、技術を身につける、専門的な判断能力の習得、態度や倫理を身につけることが求められる。
・実務と並行した、専門職養成の継続である。

*ワーカーの学習の動機づけを高める
専門職として成長するために、実務に並行して、継続した研修・学習が必要である。
 スーパーバイザーは、ワーカーの関心、課題に合わせて、自ら学習に取り組む意欲を高める。

*具体的なケースを通して理論と実際を結ぶ
・混乱・困難な場面には、学んだ理論を単純に個別のクライエントに当てはめることは不可能である。個々のケースに合わせた、適切な援助もできない。
・蓄積された経験と実践知、実践的スキルも必要になる。これらと理論の往復が求められる。スーパーバイジーは、具体的な実践によって理論を再確認し、実践的なものとしつつ、クライエントの個別性に柔軟に対応できる実践力を身につける。スーパービジョンはその学習の手段の一つである。

*ソーシャルワーク実践に必要な知識・技術・価値を伝授する
・本来、教育的スーパービジョンの中核をなす機能といえる。
専門職としての知識・技術・価値が同時に発揮されて、援助行為は成り立つ。
・知識・技術は、実践分野によって、共通基盤の他に、特殊なものが必要とされる。
スーパービジョンによる伝授が不可欠である。
 価値に関しては、倫理綱領やバイステックによる援助関係形成の原則も、価値に基づく実践の指標となる。

③管理的・調整的機能
・組織、チームに属するワーカーにとって、組織やチームの環境が、実践に影響を及ぼす。  例:組織やチームの理念や方針には、ワーカーは従い、実現のため貢献し、調整を担う。
・管理的なスーパービジョンが必要となる。

*ワーカーが能力を発揮できる職場環境を整える
・職場環境の整備とは、人間関係の調整等を含む。
・社会福祉基礎構造改革以降、サービスの質向上に取り組む組織が多い。
組織によっては、組織運営管理に偏重し、職員管理・教育、サービス(品質)管理が行なわれ、ワーカーは、組織の方針に沿い、結果として“よいサービス(品質)をつくる組織人”の力量が求められる。これにより、ワーカーの萎縮、クライエント重視からの変節、上司の評価を意識した業務に陥る恐れがある。

*しかし、ソーシャルワークは結果のみを求めるものではなく、援助のプロセスに本質がある。また援助関係のあり方は、一般的サービス業務における、スタッフが顧客と結ぶ関係とは質や深度において、根本的に異なる。
・管理的スーパービジョンにおける職場環境の整備、運営管理と調整が求められる。

*ワーカーが組織の一員として活動できるようにする
・第一義的な目的は、組織の専門的機能が発揮されるよう、ワーカーを管理することである
・ワーカーは組織の機能・サービスを代表する。
 組織の目標や理念、方針の達成に向けて、ワーカーの援助活動が適切なものになるように管理する。

*3つの機能の関連
・スーパービジョンの三つの機能は、互いに関連し合い、一体的なものである。
 どの機能に重点がおかれるかは、スーパーバイザーの立場や権限、両者の関係、組織のなかでの位置づけにより異なる。
・三つの機能を重複させる、あるいは使い分けることで、効果的なスーパービジョンを行うことができるのである。ただし、支持的機能は、教育的・管理的機能の前提になる。

<後半に続く>


*前回講義のレジュメ・練習問題
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第45回講義 レジュメ・前半 11/15*スーパービジョン、バーンアウト
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第45回講義 レジュメ・後半11/15*社会福祉士養成科・夜間部
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 練習問題11/15 スーパービジョン*社会福祉士養成科


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相談援助の理論と方法 第45回講義 レジュメ・後半 2010/11/15
*社会福祉士養成科・夜間部にて講義

9章1節 スーパービジョンの意義と目的
2 スーパービジョンの歴史的変遷 テキストP187
<アメリカにおけるスーパービジョンの発展>
*スーパービジョンの萌芽期(1880年代~1920年代)

・慈善組織協会における友愛訪問員の教育・訓練に発祥がある。
・個別援助の進展と、COSの有給専門ワーカーの雇用もあり、本格的にスーパービジョンが発展し始めた。

*スーパービジョンの確立期(1920年代~1960年代)
・1920年代、ケースワークの焦点は、リッチモンドの理論から、個人の心理・精神内界へと移った。
それとともに、スーパービジョン関係が「治療的関係」であることが強調された。
 
・1930年代、社会福祉の財政が縮小し、効率的なサービス提供が求められた。福祉機関の管理運営的なニーズが高まり、スーパービジョンにおいても管理的機能が発展した。

・1950年代、教育と管理的機能を、同時並行で一人のスーパーバイザーにより可能か議論が行われた。

*スーパービジョンの発展期(1960年代以降)
・1960年代、グループワークやコミュニティ・オーガニゼーションへのスーパービジョンの適用が図られた。それぞれの方法論に合った理論化が行われたわけではない。
・また貧困問題の顕在化により、社会改良が焦点化し、スーパービジョンが軽視された。

・1970年代、ワーカーのストレスやバーンアウトが顕在化した。
この軽減のため、スーパービジョンの支持的機能が注目された。

<わが国におけるスーパービジョンの発展>
*スーパービジョンの導入期(1950年代~1960年代)

・1950年代にスーパービジョンが導入された。心理学等の影響から、内容は困難事例の心理分析・評価が中心であった。限られた病院等が導入したに過ぎない。
・福祉事務所に「査察指導員(指導監督を行う所員)」が設置され、スーパービジョンが制度として導入された。しかし、査察指導員自身が専門性をもたない場合も多い。

*スーパービジョンの展開期(1970年代~1980年代)
・1970年代、援助関係やワーカー自身の自己覚知がスーパービジョンに取り入れられた。
・1980年代、スーパービジョンが専門職養成の過程として位置づけられ始めた。専門職団体等で、研修に「スーパービジョン」という言葉が使われ、演習プログラムが取り入れられた。

*スーパービジョンの確立に向けた発展期(1990年代以降)
・社会福祉基礎構造改革、契約制度への変革は、クライエントの選択、質の高いサービス、効率のよい総合的なサービス提供、連携などが重視されるようになった。高度な知識や技術をもつ専門職の養成が求められた。
・加えて、介護支援専門員(ケアマネジャー)のように、医療や保健など隣接領域の専門職もソーシャルワークに参入し、スーパービジョンは幅広く必要とされている。

*解説:査察指導 supervision
 スーパービジョンの訳。指導・監督ともいう。対人援助を行うソーシャルワーカーに対し,相談・援助活動を適切・有効に行っていけるよう支援していくこと。その機能として,ワーカーに対して行う業務管理,教育,個別支援などがあげられる。生活保護領域でこの職務を行う職員を査察指導員と規定している。
・社会福祉法第十五条「福祉に関する事務所には、長及び少なくとも次の所員を置かなければならない。ただし、所の長が、その職務の遂行に支障がない場合において、自ら現業事務の指導監督を行うときは、第一号の所員を置くことを要しない。
一  指導監督を行う所員
二  現業を行う所員
三  事務を行う所員
(略)
3  指導監督を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、現業事務の指導監督をつかさどる」


3 スーパービジョンの必要性と機能
・スーパービジョンには,①支持、②教育,③管理・運営の機能が含まれる。
*スーパー・ビジョンは、管理的機能や、援助的機能を有する援助者・学生の成長、教育、訓練法の一環である。
①支持的機能
スーパーバイジーに対する、援助的な機能である。

*スーパービジョンの三つの機能のうち、最近は「支持的機能」への関心が高まっている。

・バーンアウトを未然に防止する。

・自己覚知を促し、それに伴う痛みを軽減する

・自己実現を支え、それに伴う葛藤を軽減する

②教育的・学習的機能
・ワーカーの学習の動機づけを高める

・具体的なケースを通して理論と実際を結ぶ

・ソーシャルワーク実践に必要な知識・技術・価値を伝授する。

*スーパーバイザーが責任を持って、能力を最大限活かしてより良い実践ができる様に援助する過程ともいえる。

*スーパービジョンを通して、技術を身につける、専門的な判断能力の習得、態度や倫理を身につけることが求められる。

③管理的・調整的機能
・ワーカーが能力を発揮できる職場環境を整える

・ワーカーが組織の一員として活動できるようにする

*3つの機能の関連



*前回講義のレジュメ等
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9章1節 スーパービジョンの意義と目的 
 解説:燃え尽き症候群(バーンアウト)

 スーパービジョンの今日的な課題として、専門職のストレス、バーンアウトが挙げられる。
◆燃えつき症候群の原因と症状
・アメリカの心理学者フロイディンバーガー(Freudenberger, H. J.)が提唱した概念である。まじめで人一倍がんばる勤勉な人が,何らかのきっかけでまるで燃え尽きたように活力を失ってしまう,心身の疲労状態をさす。無気力,抑うつ,しらけ気分,落ち着きのなさ,体力低下,不眠などの症状が現れる。エネルギッシュで気が短く,高い理想をもって仕事に励む性格傾向の人に発症しやすい。

*燃えつき症候群は、 医療・保健、福祉、教育など、対人援助サービスの従事者に多く見られる。
*具体的な症状として、極度の身体の疲労感や感情の摩滅した状態を経験する。
*原因は、当人の主体的条件だけに帰せられるのではなく、職域で対応しなければならない問題が増加する一方で、そのための資源や支援体制が十分でないなど、客体的要因も大きい。

*職業としての対人援助だけでなく、家族の介護や子どもの養育などもバーン・アウトの原因になり得る。

<テキスト解説>
1 スーパービジョンとは テキストP185から

・社会福祉サービス機関では,新人や中堅専門職の技術の向上,労働環境の向上,管理・運営,効果的な実践,機関内の人間関係機能の向上をめざして監督・指導が行われる。この過程もしくは方法をスーパービジョンとよぶ。

*スーパービジョンの定義 ⇒ テキストP185参照
 スーパーバイザーが行なう、ソーシャルワーク専門職を養成する過程である。

*スーパービジョンの構成要素 P186
・スーパービジョンの機能を実施する人をスーパーバイザー(supervisor)と呼ぶ。
スーパービジョンはその目的,機能に応じて,機関内または機関外の経験保持者がその任にあたる。

・スーパービジョンを受ける側をスーパーバイジー(supervisee)とよぶ。

・スーパービジョン関係を通して、スーパービジョンは実施される。

*その他の要素
①契約

・スーパービジョンの前提として、スーパーバイジーとスーパーバイザーの双方が、目標や課題等について協議し、確認のうえ、開始することが必要となる。

②過程
・スーパーバイジーの専門職養成の過程である。
 ソーシャルワークの過程と重複する。

③相互作用
・スーパーバイジーとスーパーバイザー、両者の相互作用により進められる。

<後半に続く>


*前回講義のレジュメ等
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 第44回講義レジュメ・前半11/12*フェミニストアプローチ*社会福祉士養成科・夜間
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