子ども食堂 ボランティア講座2
事例で学ぶ こども食堂 サポーター ワークショップ 研修資料案
1.子ども食堂活動の特徴-多様性
 筆者が取り組む子ども食堂の担い手の調査研究(フィールドワークと質的インタビュー)等により、下記の事柄が明らかになりました。
 これらは概要の報告であり、後日、全労済協会公募委託調査研究報告「コミュニティにおける生活・子育ての相互支援活動としての「子ども食堂」の有用性の研究」関屋光泰 として報告を行います。

①子ども食堂は全国で3000ヶ所(推測)、なぜ拡大し、誰が担っているのか
 約3年で10倍に、子ども食堂は全国に広がりました。
 2016年5月は319カ所(新聞報道)、
 2018年4月は2286カ所、
 最新の調査研究から、2500から3000箇所であると推測できます。
 各地域において子ども食堂は急速に拡大しました。
 またその「数」のみならず、子ども食堂は、社会的に孤立している子どもと家族、子育てに対する「食」を入口にした多世代の住民の支え合い共助の活動として、成功した形態であると言えるでしょう。

<その他、子ども食堂の広がり>
・高齢者へ対象の拡大と多世代交流、支えあいに拡大した子ども食堂も多い。
 逆に高齢者の居場所や配食が子どもに対象を拡大も。
・高齢者や障害者福祉施設、医療機関が開催する子ども食堂も。
・お寺子ども食堂、レストランや寿司屋が開催する子ども食堂にも拡大した
・子ども食堂ボランティアの広がり
 子ども食堂食堂の広がりは、地域のシニア・退職者とミドルの住民がボランティアに参加しているという側面もある。
 調理の専門職や元・現職の教員、塾講師、高校生、大学生等も含めて、幅広いボランティアが子ども食堂の担い手なのである。
 従来の社会福祉分野のボランティア枠に留まらない、ボランティアの文化が、日本において更に成長したとも言えるだろう。

②子ども食堂の定義
 2018(平成30)年6月、厚生労働省より「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について」が通知されました。
 「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂(略)が、各地で開設されています。
 子ども食堂は、子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待されます」と厚生労働省は提示しました。
 子ども食堂の特徴の一つは、その対象、形態、具体的な活動、担い手、考え方の多様性にあります。
 それぞれの子ども食堂の良いところ、個性などの共有も行い、また各子ども食堂の多様性を認め合うことが必要不可欠です。
 すべての子ども食堂は、社会的な孤立から子どもを支え、つながり、相互理解を深める場、ありのままを受け容れ合う場を創ることを目指します。また支え合いのきっかけを創り、共助やお互いを活かす人間関係を学び合い、相互に成長する居場所です。
 つまり、新たなつながりを地域社会の中に創っていく、また子どもを中心とした地域、コミュニティとして子育てや子どもの成長を支えるなど、地域共生社会と新たな生活のスタイルを創っていく活動でもあります。

③地域社会の課題とは
 近年、子どもの経済的困窮を含む生活の問題に関連し、児童虐待、社会的に孤立した家族、子育ての困難、孤食、子どもの遊び場の不足等、地域の子どもを巡る問題が表面化しつつあります。
 地域における子どもを巡る諸問題と併せて、人口の減少と、家族やコミュニティの変容が一層進みました。
 その中で、地域共生社会の実現に向けた取り組みが各地で進められ、子ども食堂も拡大したと言えるでしょう。
 各地域においては、住民主体の相互支援による地域福祉活動の立ち上げと、その促進と維持が喫緊の課題となっています。

④子ども食堂はなぜ急増し、誰が、なぜ活動に参加しているのか
 その鍵は、次の四点が密接に関わっています。今回の調査によって明らかになりました。
1当事者性(子育て経験、地域の生活者、食事)、
2地域性(同じ地域の住民)が生み出す共感(他人事に思えない)、
3相互性(お互い様意識、活動からの学び)
4食堂活動の明確さの印象「調理なら出来そう」

 食堂の担い手とは、食堂と同一地域の住民のボランティアが中心であり、民生委員児童委員、子育て中の住民、高校生や大学生、退職教員等多様です。
 「子ども食堂」は、身近で参加し易さ等の特徴がある活動形態であると言えるでしょう。
 なお、子ども食堂のなかには、担い手が高齢者のみであることが悩みと語って下さるところもあります。子ども食堂活動の継続のために、担い手のサポートも重要な課題です。

*各子ども食堂の活動理念
次に厚生労働省通知から紹介したいと思います。
「1。子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進
(1)子ども食堂の現状
 現在、子ども食堂は全国各地で開設されており、その活動の在り方は、困難を抱える子どもたちへの支援を中心に活動するもの、地域の様々な子どもたちを対象とした交流拠点を設けようとするもの、「地域食堂」等の名称により、子どもたちに限らず、その他の地域住民を含めて対象とし、交流拠点を設けようとするものなど、多岐にわたります。
 いずれの活動も、困難を抱える子どもたちを含め、様々な子どもたちに対し、食育や貴重な団らん、地域における居場所確保の機会を提供しているという意義を有しているものと認められます」
 ポイントは、子ども食堂の支援活動の対象、内容、目的の多様性を認めるということです。

 今回の調査からも、子ども食堂の理念は、例えば「コミュニティの皆で子どもを育てよう・子育てを地域で支えよう、孤食の解消を含めての家族支援、子どもを含めた多世代の地域交流・繋がりの場、子どもの食の安全と食育、食支援を出発に農業体験・自然との交流、食文化の継承」など、子ども食堂が目指すものは多様です。
 子ども食堂の目指すもの、理念も重要であると考えられます。何を目指すのかは、活動がどこに向かうのかに関わる重要なものだからです。

 これらの理念の源には、ボランティアも子育てを経験し、また同じ子育て中の当事者として何かをしたいという子育ての当事者意識や、同じ地域の生活者としてという地域性からのゆるやかな連帯意識、同じコミュニティの住民であり身近な地域で「他人事ではない、放っておけない」という連帯の意識が生まれています。
 総じて、子ども食堂の活動理念とは、「みんなで子育てを支えよう。コミュニティが子どもを育てよう」、子育てをコミュニティが支えること、コミュニティとして子どもを育てること。
 また「家族を支えよう。地域でつながろう」地域で家族を支えよう孤食の解消を含む家族支援、多世代の繋がりの場等です。




子ども食堂 ボランティア講座1 (研修資料案) 
事例で学ぶ、こども食堂 サポーター ワークショップ 当ブログ筆者
<事例1 不登校のCさん>
 半年前からふるさと子ども食堂に、ほぼ毎回、顔を出している小学生Cさんが、1ヶ月前から不登校になっていることが分かりました。
 クラスの中で、他の生徒から無視などのいじめもあって、学校に通うことが難しくなったとのことです。
 Cさんの家庭は、ひとり親家庭で子どもに対して優しい母親ですが、将来の教育費のことも考えて長時間働き、毎日の帰宅が夜8時を過ぎることも多々あります。なかなか子どものCさんがお風呂に入ろうとしないことも分かっていても、高齢者介護の仕事から帰ってくると、身体が疲れてしまって、嫌がる子どもに入浴を促すことも難しかったのです。
 その生活の困難がある中で、クラスの中で、入浴していないということをからかわれたことも一つのきっかけになり、学校に行かない日が増えていきました。
 学校には通えなくても、子ども食堂にはやって来て、学生のボランティアや、学年の違う子ども達とは元気に遊んでいます。

 不登校の問題をボランティアが知ってから、どのように考えたらよいのか、ミーティングの中で話題に上がることも数回ですが、具体的にどうすべきか、一致した答えが出ません。そもそも、不登校を問題として捉えるのか、学校に復帰出来たら解決なのか。また、進学し、優良企業に就職することが、幸福なのか。様々な意見が出されますが、まとまりません。
 
1.皆さんがボランティアとしてその場にいたら、どうしますか。
2.なぜ、そうしたいと思いますか。
3.この事例を読んで、何を感じましたか。

 不登校などの問題は、スクールソーシャルワーカーと連携を図りましょう。
 スクールソーシャルワーカーは、学校、教育領域を基盤として、相談や訪問等の形態で、ソーシャルワークによる支援を行う専門職です。子どもを巡る貧困・生活困窮、虐待・家族問題、薬物問題,不登校,いじめなどの問題に対し、スクールソーシャルワーカーの機能は、学習環境を整えるためにも,問題の解決を援助することです。子どもの生活と権利を擁護し、成長を支えることこそ、その使命です。
 学校は本来、子どもの教育だけの役割ではなく、学習の基盤となる生活なども含めて全人的に子どもを捉える必要があります。ただし、教員はあくまで教育の専門職であり、社会福祉の制度などあまり詳しくない場合もあるかもしれません。
 そのため、教育委員会などに所属しているスクールソーシャルワーカーとの連携が不登校や児童虐待が心配な子どもに対して有効なことがあります。
 今回の筆者の子ども食堂担い手調査においても、子ども食堂の立ち上げにスクールソーシャルワーカーが中心的な役割を果たした子ども食堂も訪問しました。
 スクールソーシャルワーカー側にとっても、事例のように学校には行けないが、子ども食堂に通えるなどの子どもの居場所として、子ども食堂は有効です。月に2回しかない子ども食堂は限界もあります。しかし、月に2回というのは利用する人たちも、ボランティアも、双方にとって負担が少ない回数であるということは、高齢者の通いの場などでも共有されていることです。
 子どもにとっても、自力では学校に戻ることが難しい場合、学校ではない場所で、スクールソーシャルワーカーなど、学校に属する大人と話し合えることは、解決への道筋を見いだすことに繋がることもあります。また全く外に出れないのではなく、月に2回という疲れない回数で、学校とは違う子ども達や学生ボランティアに会って、食事や遊びを共にすることは、孤独の解消に繋がるでしょう。
 子ども食堂にとっても、不登校や学校におけるいじめ、児童虐待の疑いなどの難しい問題を自分達だけではなく、学校側のスクールソーシャルワーカーと力を合わせて、連携して支えていくことことは、大変に意義があります。
 つまり、スクールソーシャルワーカーや学校との連携は、支援を必要とする子どもの個別支援にとって重要な課題です。
 学校との連携を図る上で、スクールソーシャルワーカーの、学校と子ども食堂との媒介や、コーディネートに期待しています。
 また教育委員会や学校、教員のみならず、PTAと、子どもをめぐる問題の共有も課題なのでしょう。
 これから子ども食堂を始める場合、ぜひ、地域の民生委員児童委員と合わせて、最寄りの学校を担当しているスクールソーシャルワーカーを訪問して、挨拶すること、そして子ども食堂がオープンしたら足を運んでもらうことから、連携と協力を深めていきたいものです。

 子ども食堂活動も、スクールソーシャルワーカーや児童福祉・子育て支援分野の機関・施設・団体等との連携と、ネットワークによる子どもの支援が求められています。
 不登校の子どもの支援、児童虐待等の深刻なニーズの発見等、子どもに寄り添う活動のために、活動の開始時から日常的に、ネットワークの構築に努めましょう。

<子ども食堂に関連する機関 一覧>
・社会福祉協議会 人や情報、もののコーディネート
福祉専門職、民生委員等ボランティア、関連のボランティアグループなど人、会場、助成制度等の情報を提供する。
居場所の活動は、関わる人が基盤である。人と人とを繋げるコーディネートの働きが求められている。
現場とグループを支える中間支援組織の働き。

・関連する行政機関
生活困窮・学習支援等については、生活困窮者自立支援制度の相談窓口。
その他、子育て支援、児童福祉、就労支援等について、相談できる窓口を活用する。

・児童館
子どもや住民に居場所の PR、案内を掲示する、子どもに声かけをする等。

・民間の組織、支援者
 フードバンクによる食材の提供。
 民生委員等、地域の協力者
 教員、栄養士、保育士等、専門性をもったボランティア。

 続く





最新情報はこちらを参照下さい

社会福祉士試験予定 平成30年度
試験日 2019年 平成31年2月3日 日曜 第31回
合格発表 平成31年3月15日(金曜日)

第31回 社会福祉士・精神保健福祉士国家試験 事例問題等 直前出題予想 2019年 平成31年
 国家試験直前ですが当ブログ筆者が、事例問題等の出題予想をします。
 今回(31回 2019年)の問題の難易度は、前回(30回)より、やや難しくなると思われる。
 難しくなった印象を与えため、近年、よく登場する用語等に気をつけよう。

「子ども食堂 こども食堂」に関する事例問題
 ポイントは、子どもの貧困への住民の支援の思いから、各地域において子ども食堂は急速に拡大した。
 実際は、多様な子ども、高齢者を含めた多世代交流、食を接点とした「地域共生社会」の具体的な地域福祉活動といえる。 子ども食堂は子どもと家族を支える地域活動、子育て、住民の相互支援の成功した活動形態と言えるだろう。また、食事の支援を端緒とする住民主体の地域資源の開発という側面もある。

 厚生労働省HPより(厚生労働省サイト検索 下記の通知で)
 平成 30 年 6 月 28 日
ら抜粋「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂(子どもに限らず、その他の地域住民を含めて対象とする取組を含みます。以下単に「子ども食堂」といいます。)が、各地で開設されています
 子ども食堂は、子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待されます」引用ここまで

出題予想
燃えつき 事例問題
職場のメンタルヘルス、ストレスチェック
社会福祉の職場のメンタルヘルスケアの推進、スーパービジョン
ワークライフバランス、働き方改革

ギャンブル依存症、依存症治療・リハビリテーション 事例問題
自助セルフヘルプ・グループ

LGBT、セクシャル・マイノリティ、性同一性障害 子ども 事例問題
当事者活動

災害(地震、台風等) 事例問題
災害時の危機介入
避難所に関連した問題

施設と地域のコンフリクト 事例問題
 例えば、各分野の社会福祉施設の新設、移設時に、施設利用者等への偏見や誤解、理解不足によって、地域住民などから近隣立地への反対を受ける紛争(conflict)のことである。しかし、この紛争の経験が、施設と地域の関係形成、相互理解の契機の可能性もあり、共生と交流が図られた事例もある。

地域共生社会 事例問題
 地域共生社会とは、制度・分野ごとの縦割りや「支え手」「受け手」とい
う関係を超え、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会

「「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)」を、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部で決定。H29年
改革の骨格
地域課題の解決力の強化
地域丸ごとのつながりの強化
地域を基盤とする包括的支援の強化
専門人材の機能強化・最大活用

地域生活支援事業

*その他、事例問題等 直前出題予想
・地域包括ケア、住民参加型の地域福祉活動(例 認知症カフェ)
 町内会・自治会等との地縁組織と地域福祉活動
・アウトリーチ
 生活困窮者、一人暮らし高齢者等の社会的孤立、孤立死予防、見守り、民生委員
・児童虐待、家族問題への支援
 
ドメスティックバイオレンス
・多様性の尊重 コミュニティ
・スクールソーシャルワーカー
・コンプライアンス

<下記を確認 当ブログ バックナンバー>

<直前予想 事例問題 子ども食堂>
問題1 次の事例を読み、社会福祉協議会の職員として、子ども食堂(地域食堂)の立ち上げの支援を行うA社会福祉士の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つ選びなさい。
【事例】
 B市社会福祉協議会では、地域住民の支え合い、多様な子どもの成長を地域が支えることや子育て支援、多世代交流等を図るため、子ども食堂(地域食堂)の立ち上げと活動の継続の支援を実施している。B市内のC団地における子ども食堂設立・準備会議をB市社協のA職員が加わって開催することになった。その地域の町内会役員や民生委員、近隣小学校の読み聞かせボランティア、参加の意思を表明している住民等が集まり、初回の会議が行われた。

1 会議の途中から、町内会の役員ばかりが発言するようになり、役員の提案した方針に決定しそうになったため、このままでは住民主体の活動の障害になると思われたので、A職員がリーダーシップを握った。
2 生活に困窮した子どもはC団地にもいるはずであり、その成長や教育にも関わる危機が迫っていることが確実であるので、会議の意向は確認せず、困窮した子どもに対象を限定した食堂を直ちに開始させる。
3 子ども食堂設立の準備を確実に進めるために会議の継続が欠かせないと考え、会議の冒頭に次回の会議の日時と開催場所について決めることを最優先した。
4 社会福祉協議会の職員として会議を常に主導し、他の参加者に地域福祉の現状と課題について教示し、地域福祉活動の一翼を担うことを強く働きかけた。
5 会議には地域住民の有志も参加しているため、会議の開始時には自己紹介や、各自の思い等を丁寧に説明することにより、つながりや連携を深めように促進した。

問題1 答5
1 × 誤り
 各地域社会によって、コミュニケーションやリーダーシップ等に違いがある。特徴を活かしながら、その地域、人々に合ったより良い方法を考えていくことがコミュニティワークにとって重要である。強引に専門職がリーダーシップを握ろうとするのは適切でない。
2 × 誤り
 社会福祉協議会やA職員だけで活動を主導するのではなく、住民主体を基本に、関連する組織と協働で、活動を進めることが重要となる。
3 × 誤り
 地域福祉活動推進のためには、継続的な会議の開催は重要であるが、冒頭の議題にするのは適していない。事前の連絡時に決めるか、または会議の終盤に調整する方が適切である。初回の会議であるから、冒頭には自己紹介や、どのような子ども食堂を目指したいのか等のワークショップのプログラムの方が必要であろう。
4 × 誤り
 設問のような社協職員、専門職のリーダーとしての姿勢では、住民主体の地域福祉の原則に反すると考えられ、適切でない。
5 ○ 正しい
 子ども食堂の立ち上げ、活動の推進という目的を共有し、地域住民や関係する組織、関係者が顔の見える関係を構築することで、活動の開始と新たな課題の発見や連携を図れる。A職員には、ファシリテーターとしての役割が求められている。


<直前予想 事例問題 アウトリーチ、支援の拒否>
問題2 事例を読み、地域包括支援センターのE社会福祉士の対応に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
【事 例】
 Fさん(78歳,男性)は,長年,地域のアパートで一人暮らしをしていて,交流のある人はいない。最近,認知症の症状が疑われる言動が見られるようになり,Fさん宅で軽いボヤがあった。そこで,E社会福祉士は,訪問を要請した民生委員に同行し,Fさん宅を初めて訪問したところ,室内は大量の空き缶や鉄くず等で埋め尽くされていた。食べ残し等も散乱し,健康にも悪影響が懸念される状態であった。E社会福祉士がFさんと話をすると,「一日一善、鉄は,夜のため人のために集めている。忙しいから1人にして欲しい。私のことは放っておいてくれ」と語った。

1 Fさんの意思、選択を尊重し,特別な支援は行わないと民生委員に伝える。
2 必要な支援を本人が拒否しているため,次回訪問時はあらかじめ所轄の警察署と連携し,複数の警察官に同行してもらい訪問する。
3 近隣住民や関連する専門職による見守りネットワークの強化を目指す。
4 Gさんには,生命や身体にかかわる危険性が迫っていることが確実であるため、本人の意向は確認せず,直ちに特別養護老人ホームへ入所させる。
5 Gさん本人に,不衛生な環境の健康への悪影響と,認知症とはどのような特徴を持った病気であるのか説得する。

問題2 答3
1 × 誤り
 Fさんは,適切な判断をすることが難しいとも考えられるため,具体的な支援を何も行わず,関係も構築しないまま,また、それらの検討も行わないことは適切ではない。
2 × 誤り
 警察官の同行は,本人の態度を硬化させる可能性もあり,この段階では適切とは言えない。
3 ○ 正しい
 E社会福祉士だけで支援を実施するのではなく、インフォーマル支援や関連する専門職と協働で,地域における生活を支援することが重要となる。ネットワークを活用した支援が求められている。
4 × 誤り
 Fさんは,事例の段階においては,ひとり暮らしを本人なりに維持していることもあり,本人の意向を確認しないままに施設に入所させることは適切ではない。
5 × 誤り
 事例においては,認知症が疑われる言動が見られる段階であって,また初回訪問でもあるため,この段階で認知症の説明を本人に行うことは適切でない。一方的に不衛生と決めつけることも適切さに欠ける。


<直前 出題予想 ピックアップ 社会福祉士・精神保健福祉士共通科目>
科目 人体の構造と機能及び疾病
出題予想 パーキンソン病、レビー小体型認知症、生命倫理。

科目 社会理論と社会システム
出題予想 セグリゲーション(分離居住)、
 人工知能AI、フェイクニュース、限界集落

科目 現代社会と福祉
出題予想 多文化共生、ダイバーシティ
 持続可能な開発目標(SDGs)

科目 地域福祉の理論と方法
出題予想 民生委員(児童委員・民生委員協議会) 済世顧問制度、方面委員、小河滋次郎
「我が事・丸ごと」 地域共生社会

科目 社会保障

障害者に対する支援と障害者自立支援制度
出題予想 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)、
セクシャルマイノリティ、

低所得者に対する支援と生活保護制度
出題予想 生活保護法 就労自立給付金、自立支援プログラム
指定医療機関の指定の有効期間 更新制、後発医薬品の使用。

保健医療サービス
出題予想 緩和ケア
医療ソーシャルワーカーの業務指針
済生勅語 恩賜財団済生会

権利擁護と成年後見制度
出題予想 過労死


第31回社会福祉士・精神保健福祉士国家試験 受験生の皆様へ応援メッセージ 平成29年1月実施 平成28年度
 いよいよ国家試験当日が近づいてきました。
 当日は、落ち着いて受験しましょう。
 忘れ物がないように、また会場までの移動等、確認しましょう。
 大学における、筆者の授業を受講した学生の皆さん、また当ブログを閲覧して下さっている受験生の皆様のご健闘を、当ブログ筆者は願っています。
 東京、埼玉、神奈川、千葉等、各地の試験会場で、最善を尽くして下さい。
 社会福祉士及び精神保健福祉士であるソーシャルワーカーとなった皆さんを、支援を必要としている多くの人々が待っています。
 もちろん、資格取得はゴールではなく、成長するソーシャルワーカーのスタートとも言えます。
 皆で共に頑張りましょう!!


 当ブログ筆者の社会福祉士国家試験問題の解説
 当ブログ筆者は、これまで明治学院大学、日本福祉大学、山梨県立大学、東洋大学、ルーテル学院大学、日本福祉教育専門学校等の社会福祉士、精神保健福祉士受験対策講義を担当してきました。
 当ブログ筆者が、精神保健福祉士、社会福祉士の国家試験問題(2018年2月実施)の解説を執筆しました。
 低所得者に対する支援と生活保護制度の解説を担当。
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5661-1 予価 4,104円(税込)

一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5662-8 予価4,104円(税込)

社会福祉士国家試験問題 第30回 共通科目 専門科目

試験日 平成30年2月4日(日)
合格発表日 平成30年3月15日(木)14時
合格発表  厚生労働省および公益財団法人社会福祉振興・試験センターで合格者の受験番号を掲示
受験者数  43 ,937人
合格者数   13,288人
合 格 率   30 .2 %
合格基準(合格ライン)は、総得点150点に対し、得点99点以上の者



当ブログ筆者の講義レジュメ概要等



学習のために リンク



子ども食堂と、子どもの貧困対策の推進、学校との連携へ
 近年、子どもの経済的困窮を含めた生活問題と、その世代間連鎖に関連し、児童虐待、犯罪被害、いじめ、引きこもり、社会的に孤立した家族等、地域の子どもをめぐる問題が顕在化しつつある。加えて、子育て支援、心身の健康と成長、孤食、子どもの遊び場の不足、自然との交流、地域の伝統の継承等の、子どもに関連するコミュニティの課題がある。
 国としても、2013(平成25)年 6 月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」を制定した。同法第1条において「貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、(中略)子どもの貧困対策を総合的に推進する」と目的を示している。また同法第5条は「国民は、国又は地方公共団体が実施する子どもの貧困対策に協力するよう努めなければならない」と示している。

 2014年(平成26)8月には「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定され、その「基本的な方針」で「子供の貧困対策を進めるに当たっては、国、地方公共団体、民間の企業・団体等が連携・協働して取り組むとともに、積極的な広報・啓発活動等によって国民の幅広い理解と協力を得ることにより、国民運動として展開していく必要がある」と示している。
 つまり、生活に困窮する子どもを支えるのは、国と地方自治体のみならず、民間の組織や市民との協働によってなされるものと位置づけた。

 貧困問題への対応として子ども食堂は、報道される機会も多く、これらも啓発の効果を生み、子ども食堂は増加し、全国のネットワークも結成された。
 地域の子どもをめぐる問題、特に子育ての困難、家族の生活困窮、家族関係、学力やいじめ、不登校等の問題への支援は、学校との連携が必要不可欠である。
 しかし、後述の農林水産省の「子供食堂向けアンケート調査結果」にあるように、教育機関や関連行政機関との連携にも課題がある。
 先日の厚生労働省「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について(通知)」も示すように「(子ども食堂への)学校・教育委員会の協力が得られないといった課題を抱えている地域もあるとの指摘があります。略 本通知においては、子ども食堂の意義を確認しつつ、地域住民、福祉関係者及び教育関係者に対し、子ども食堂の活動に関する理解と協力を促すようお願いする」これらが、具体的に地域における子どもを支えることにつながる改善点であると考える。
 例えば、子ども食堂のなかには、会場の継続的な確保が困難なグループもあり、また数人の子どもの参加のみのグループもある。もし、学校の調理実習室等を子ども食堂として使用できるようになれば、これらの課題が一挙に解決する。特に、アクセシビリティの向上は、何にも代えがたい。
 学校との連携は、スクールソーシャルワーカーの学校と子ども食堂との調整や、各地域におけるコミュニティワークに期待したい。これは、教育委員会や学校、教員の課題のみならず、スクールソーシャルワーカーやPTAの、コミュニティと子どもをめぐる問題への意識が問われている。

子ども食堂の課題 全ての子どもにとって身近な相談できる居場所へ ニーズ発見、アウトリーチ、連携
 子ども食堂の今後の課題の一つは、様々な生活や健康、家族の問題を抱えていながら、子ども食堂に来て食べることができない子どももいることを子ども食堂と担い手が認識し、子どものニーズの発見、子どもと家族の傾聴と個別支援、必要な社会資源に繋げていくことが、子どものために求められているのだろう。
 先に述べたように、地域において多くの子どもが、家族や学校以外の居場所と、サポーティブな関わりを必要としている。
 しかし、支援を必要としている子どもが、相談するべき専門職等、場所があっても、子どもに情報が届いていない、アクセスし難い等の課題がある。また、子どもは家族の生活問題や心身の健康問題、食生活の問題、孤立について、自らがおかれている状況を正しく理解できず、支援を求めること、子どもが相談機関等の社会資源にアクセスすることは困難である。
 地域住民主体の活動であり、子どもにとって身近な子ども食堂が、ニーズを発見し、子どもと他の社会資源、学校等との接点、媒介を担っていく必要があると考えられる。
 また、子ども食堂は、支援対象者として子どもとその親のみならず、一人暮らし高齢者も考えている団体も少なくない(農林水産省「子供食堂向けアンケート調査」)。高齢者にとっても、上記のようなサポートが期待される。
 ある意味、子ども食堂を、地域における住民主体の共助による包括的な、しかし身近で誰でも参加できる支援の活動とも捉えることが出来るだろう。

解説 アウトリーチとは
 地域において、社会的なつながりから孤立し、関連制度に基づく援助に結びついていない人々を発見し、具体的な支援や制度、社会資源の情報提供を実施する、支援者側が出向く形態の支援の方法である。
 ニーズ発見、ニーズの掘り起こしは、社会福祉等の専門職のみでは困難であり、地域におけるニーズ発見の仕組みが必要である。例えば、子ども食堂で子どもや家族への傾聴、必要に応じての訪問によって、家族の困難を知ることが出来るだろう。その問題を抱え込むのではなく、適切な相談窓口、ソーシャルワーカー等につないでいく働きが求められている。
 地域において、困難を抱える子どもと家族のサポートの推進、全ての人々を対象とする地域共生社会の実現に向けて、包括的な相談支援体制の構築が課題であり、アウトリーチがその要諦である。従来の分野別、年齢別に縦割りだった社会福祉を、子どもファーストの包括的支援へと転換していく。
 社会的に孤立する家族、関連の制度の狭間になって、必要なサポートにつながっていない子どもと家族に、アウトリーチを必要に応じて実施する。
 またアウトリーチ、ニーズの掘り起こしによって把握した地域の福祉ニーズを踏まえて、子ども食堂が呼びかけ、資源開発を行う。それは大掛かりなものではなく、見守り等、住民主体の地域課題解決の力を向上し、地域福祉活動を進めていく。

農林水産省 子供食堂向けアンケート調査 調査の抜粋は太字
 子供食堂の運営者を対象としたアンケート調査結果から、子供食堂の運営実態について
 回答した子供食堂 合計 274 件

子供食堂の活動目的とは 「子供食堂の活動目的として意識していること」
「とても意識している」「どちらかといえば意識している」の割合の合計は、
多様な子供たちの地域での居場所づくり」(93.4%)が最も多く
子育ちに住民が関わる地域づくり」(90.6%)、
「生活困窮家庭の子供の地域での居場所づくり」(86.5%)がそれに次いで多く見られた。

<農林水産省 同調査の事例調査から 活動の目的等>
「貧困家庭や課題を抱えた子供だけでなく、たくさんの子供に来てほしい 略 たくさんの子供が来て楽しめる場所となること」
「貧困支援ではなく、子供の居場所づくりとして取り組みたい」
「震災を経験し、平時から顔の見えるつながりを築くことの大切を学んだ。こども食堂の取組が、貧困の状況にある子供たちだけに向けた取組であるという誤解が定着しないように、全ての子供たちが気兼ねせずに利用できるように」

「農業体験や調理体験、共食の場である居場所づくり
高齢者にとっても、世代間交流できる時間は生きがい
「早起きをして朝ごはんを食べよう」
「地域に関わりを持ちづらく、支援を必要する子供や大人がいる、引きこもり等」
「こども食堂は、困難を抱えている子供たちだけが利用している食堂ではありません」
大人も子供も一緒に集まる場をつくりたい

当ブログ筆者コメント 皆にとっての拠り所、多世代交流の食事の場としての子ども食堂 
 活動目的として「生活困窮家庭の子供の地域での居場所づくり」も掲げる子ども食堂も多いが、目的に貧困対策は掲げない子ども食堂も少なくない。
 「子どもの貧困」報道がきっかけとなって、住民の問題意識から主体的に活動を開始した子ども食堂が目立つ。しかし、経済的困窮家庭の子どもだけが地域住民の関わりを必要としているのではない。「すべての子供を対象とする食を大切にした居場所づくり」(農水省調査事例より)が、共有できる活動目的とも言えるだろう。多様な子ども、多世代の食支援、誰もが尊重される交流の場をコミュニティを住民自身がつくる取り組みであり、今後、「引きこもり」の人々との交流や、自然・社会体験学習プログラム等への支援の拡大が期待される。皆にとっての拠りどころとなるコミュニティを、子ども食堂は目指していると考えることができるだろう。
 根底には、コミュニティが子どもを育てるという意識を、ゆるやかに共有できるのかという課題がある。

<農林水産省 子供食堂向けアンケート調査>
子供食堂の運営形態
 80.7%が自治体や社会福祉協議会の直営や委託ではない「独立した法人等による運営」である。そのうち 42.5%が任意団体、23.1%が NPO 法人、14.9%が一個人が運営する子供食堂である。

スタッフの確保
 子供食堂を運営するスタッフは 1 回につき平均 9 人。分布を見ると 6~10人が最も多い。

スタッフの不足感
 常に足りないと感じている子供食堂は 13.9%、足りない回がある子供食堂は 28.1%。

<農林水産省 同調査の事例調査から 運営形態>
「ママ友4 人が声をかけあって設立した任意団体」
「NPO 法人ー放課後児童クラブ、ファミリーサポートセンターの受託、運営」
「高齢者のデイサービス」
「代表は、有機農業、田舎ツーリズム、農業体験の提供等の活動を長年行ってきた」
「飲食店店主と客である町内会長等が開始」

筆者コメント 子ども食堂担い手の高齢化を超えて 子どもが担い手に
 新聞報道では、飲食店店主が自らの店舗を会場に、開始する事例の数々が紹介されている。総じて、任意団体やNPO等の小規模なグループが、毎回6~10人の担い手で活動している。また筆者のフィールドワークのなかでは、担い手の高齢化が悩みであるとも聴き取っている。
 今後の可能性として「高校生が食べたり遊びに来るだけでも歓迎していますが、ボランティアとして手伝ってくれる高校生も出てきており、好循環ができてきています」(農水省 事例)のように、利用者が担っていく、活動の共助性、相互性の深化が挙げられる。

<農林水産省 子供食堂向けアンケート調査>
子供食堂以外の活動
 子供食堂以外の活動としては「子育て支援」「学習支援」「児童福祉」「高齢者福祉(介護福祉施設等)」が上位に挙げられている。活動が子供食堂のみである団体も21.5%。

筆者コメント 子ども食堂で障害者との交流の推進を
 上記の調査結果のうち、「高齢者福祉(介護福祉施設等)17.9%、障害者福祉(障害福祉施設、作業所等 9.1%」である。子ども食堂の30%弱が、高齢者・障害者福祉事業である。これらの特徴を活かして、子どもと高齢者や障害者との交流の拡大が、福祉教育としても望まれる。

 ガイドブックが紹介する、子ども食堂と関連機関との連携の事例
1 社会福祉協議会(社協) P10
2 児童館・児童センター P12
3 行政(区役所・市役所) P14
4 学校 P16
5 地域の仲間

地域資源
 子ども食堂の活動を行ううえで地域で頼りになる人は?
 町会・自治会
 PTA
 民生委員・児童委員(主任児童委員)

こども食堂を立ち上げたい時は?サポーター
社会福祉協議会
行政の子ども関係の部署

子どもの様子が気になった時は? ニーズを発見し、連携する先
 子ども家庭支援センター
 児童相談所
 スクールカウンセラー
 スクールソーシャルワーカー

子ども食堂の課題 コミュニティのファシリテーター、住民の手作り、参加型の居場所
 まちづくり、コミュニティワークから考えるならば、子ども食堂は、広範な住民が活動に参加し、計画の立案や運営にも可能なかたちで参加することが重要ではないか。課題や目標を共有し、活動を皆で創り、皆で担う住民手作りのプロセスを重視することが求めれている。グループをつくっていくことは、コミュニティとしての成長のプロセスでもある。
 住民の主体的な参加と、話し合いの活性化、子ども等利用者側の自己決定の重視は、コミュニティが力をつけていく、コミュニティ・エンパワメントのプロセスでもある。
 ここで求められているのは、カリスマ型の強力なリーダーシップよりも、コミュニティの動き、話し合いを側面から支え、望ましい動き、変化を促進するファシリテーターたちが必要不可欠と言えるだろう。
 子ども食堂を担う方々からのヒアリング等のなかで、大学や学生への期待を聴かせて頂くことがある。
 学生は、かつてのセツルメントのように、子ども食堂の活動とそのなかの人間的な交流によって、地域づくりの課題に気づき、自らのあり方を問い直し、相互の成長に繋がることが出来るのだろう。
 子ども食堂は、担い手や、学生にとって、気付きや学び、活動の機会を提供している要素も含んでいる。
 今、何が出来るのかよりも、どのようになっていこうとするのかが課題ではないだろうか。


平成30年7月5日 文部科学省HP
文部科学省生涯学習政策局長 常盤豊
文部科学省初等中等教育局長 髙橋道和
抜粋「この度、厚生労働省から各都道府県知事等宛に、略 別添のとおり通知がなされました。
 子ども食堂を含め、子供の育ちを支えるような地域における活動と、学校、社会教育施設や地域住民等が連携することは、学校、社会教育施設と地域が一体となって子供たちの成長を支援していく観点からも重要です。また、子供の安全と安心の観点から適切な配慮を行っている子ども食堂の活動は、地域における食育の観点からも意義があるものと考えられます。
 学校、公民館・青少年教育施設等の社会教育施設、PTA及び地域学校協働本部や、教育委員会等が実施する学習・体験活動等の事業関係者を通じて、困難を抱える子供たちを含む様々な子供たちに地域の子ども食堂の情報が行き届くよう、福祉部局と積極的な連携を図っていただく」抜粋ここまで


当ブログ筆者の最新記事は下記をクリッ 画面左側メニューの研究ブログ






子ども食堂とは「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂 略 子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待」厚生労働省通知

厚生労働省HPより(厚生労働省サイト検索 下記の通知で)
 平成 30 年 6 月 28 日
(宛先 各都道府県知事 指定都市市長  中核市市長殿)
 厚生労働省 子ども家庭局長
 厚生労働省 社会・援護局長
 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長
 厚生労働省老健局長

<以下、通知本文は「   」内で太字でご紹介します。下線は筆者。それ以外は当ブログ筆者の コメントを付けさせて頂きます(太字以外)。
 総じて、子ども食堂の現場のニーズに応え、縦割りではなく包括的に各地域の活動を支えようという時宜にかなった通知だと筆者は考えます>

通知から抜粋「地域のボランティアが子どもたちに対し、無料又は安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する取組を行う、いわゆる子ども食堂(子どもに限らず、その他の地域住民を含めて対象とする取組を含みます。以下単に「子ども食堂」といいます。)が、各地で開設されています
 子ども食堂は、子どもの食育や居場所づくりにとどまらず、それを契機として、高齢者や障害者を含む地域住民の交流拠点に発展する可能性があり、地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待されます」引用ここまで

当ブログ筆者コメント>
1.子ども食堂はなぜ急増し、誰が担っているのか <多世代住民交流の場、地域共生社会への役割>
 報道されたように全国の子ども食堂が2286箇所あるとするならば、各地域において子ども食堂は急速に拡大したと言える。またその「数」のみならず「地域共生社会」という観点から、子ども食堂は子どもと家族を支える地域活動、子育ての相互支援の成功した活動形態と言えるだろう。また、食事の支援を端緒とする住民主体の地域資源の開発という側面もある。しかしながら、子ども食堂の活動における課題も顕在化しつつある。
 子どもの未来のために、行政、民間非営利、営利企業といった様々な力を結集して子ども食堂の継続をサポートする必要があると考えられる。子ども食堂への総合的な協力、連携を求めている今回の厚生労働省の通知は、時宜にかなったものであると考えられる。
 つまり行政機関や社会福祉協議会、企業、社会福祉法人等の機関・組織による、縦割りではない包括的な子ども食堂の支援体制の構築と、これらの機関・組織、特に社会福祉協議会等のソーシャルワーカーによる個別の子ども食堂に対する連携や調整、ファシリテーション等の具体的な情報、組織マネジメントなど技術的な支援の更なる充実が今こそ求められている
 子ども食堂はある意味、地域社会、地域福祉や地域づくりにおいて、今、風が吹いていると言えるだろう。

通知の抜粋「1.子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進
(1)子ども食堂の現状
 現在、子ども食堂は全国各地で開設されており、その活動の在り方は、困難を抱える子どもたちへの支援を中心に活動するもの、地域の様々な子どもたちを対象とした交流拠点を設けようとするもの、「地域食堂」等の名称により、子どもたちに
限らず、その他の地域住民を含めて対象とし、交流拠点を設けようとするものなど、多岐にわたります。
 いずれの活動も、困難を抱える子どもたちを含め、様々な子どもたちに対し、食育や貴重な団らん、地域における居場所確保の機会を提供しているという意義を有しているものと認められます」引用ここまで

<当ブログ筆者コメント>
 生活の困難を抱える子どもの支援型、子どもの交流・居場所型、多世代交流の地域食堂型の3つのタイプの子ども食堂を厚生労働省は具体例として挙げている。
 生活の困難を抱える子どもの(個別も含めた)支援か、子どもや多世代の居場所、交流の接点と捉えるか。どちらも今日の地域社会・子ども・家族にとって必要な活動であり、食という生活に不可欠なものが媒介となった、地域を基盤とした民間支援、ソーシャルサポートネットワークづくりともいえる。

 当ブログ筆者が取り組むフィールドワークとヒアリング等により、下記の事柄が明らかになりつつある。これらは途中経過のノートであり、後日、全労済協会 公募委託調査研究報告「コミュニティにおける生活・子育ての相互支援活動としての「子ども食堂」の有用性の研究」関屋光泰として報告する。

2.誰が子ども食堂の担い手なのか <専門職を含めた多様な担い手>
 子ども食堂の担い手は、ボランティア、福祉・医療や教育、調理の専門職等、多様であり、各地域で子どもと家族を支えようと真摯な支援活動を行っている。
 子ども食堂の担い手とは具体的には、地域住民を中心としたボランティア、民生委員・児童委員、地域の小学校PTA、学生ボランティア、高齢者福祉・障害者福祉・児童福祉従事者や保育、教員・退職教員、医療専門職、調理の専門職、市民活動等、多様である。
 なお、子ども食堂のなかには、新たな担い手が集まらないなかで担い手が高齢者のみであることが悩みと語って下さるところもある。子ども食堂活動の継続のために、担い手のサポートも重要な課題である。

 次に、各地の子ども食堂の事例である。
 事例:コミュニティの民生委員を中心として、調理、教育、福祉関連の専門職と、地域住民のボランティアが担っている子ども食堂。地域住民は、同じマンションの住民同士が誘い合ったり、親族に声を掛ける等、地域内の繋がりが強い。子ども食堂と並行して、教員(元教員)とのコラボレーションにより、同じ会場で学習支援を行っている。食事の前に短時間、メニューに関連して食育が行われる。近隣の小学校は、子ども食堂の案内チラシ配布などお知らせ等、積極的に協力、連携している。立ち上げ時に、社会福祉協議会の相談や先行する子ども食堂の紹介、ボランティア希望者等のコーディネート等による支援を受けている。
 事例:医療関連専門職が主催する子どもの居場所・食事会。オレンジカフェやオープンスペースとしての活動も行っている。食事会は、平日昼間の開催のため、保育園入園前の子どもと親、高齢者の参加者が目立つ
 事例:福祉専門職が中心となって設立、運営しており、福祉団体関連の建物を会場としている子ども食堂。グループ活動等も行っている。
 事例:子どもの学習支援活動等を行ってきた僧侶が中心となって開設し、運営している。寺を会場として使用している(。食材の寄付の保管場所にも苦労しない。他の子ども食堂にもプールした食材を提供しサポートが可能である。
 事例:ひとり親の当事者体験を持つ地方自治体議会の議員が中心となって運営する子ども食堂。議員がアクティブに活動を行っている。
 事例:研究者が中心的に運営する子ども食堂。子どもの栄養、健康を支えること、食の安全等を意識した食事の支援を行っている。
 事例:経営者を中心に企業が開設し運営する子ども食堂。企業が所有する建物を使用し、社員も活動に参加している。
 加えて、子ども食堂支援の方針をもつ生活協同組合、社会貢献活動として子ども食堂の支援を検討している社会福祉法人(高齢者福祉等事業)、子ども食堂を開設し運営するワーカーズコープ等の事例がある。

3.各子ども食堂の理念
 コミュニティの皆で子どもを育てよう・子育てを地域で支えよう孤食の解消を含めての家族支援、子どもを含めた多世代の地域交流・繋がりの場、子どもの食の安全と食育食支援を出発に農業体験・自然との交流、食文化の継承など子ども食堂の理念、目指すものは多様である。
 各子ども食堂の目指すもの、理念も重要であると考えられる。何を目指すのかは、活動がどこに向かうのかに関わる重要なものだからだ。
 これらの理念の源には、子育てを経験して、同じ子育て中(経験者)として何かをしたいという子育ての当事者意識や、同じ地域の生活者としてという地域性からのゆるやかな連帯意識、同じコミュニティの住民であり身近な地域で「他人事ではない、放っておけない」という意識がある

4.「子ども食堂」の多様な活動の形態 <食堂か居場所か学習支援か>
 「子ども食堂」は多様な形態がある。農林水産省の「子供食堂向けアンケート調査」平成29年によれば、月1回から2回の開催が73%を占める。しかし、常設型(朝食、昼開催)食堂も少ないが存在している。
1 高齢者給食拡大型 子ども食堂
 従来からの高齢者の食の支援(会食型の「老人給食活動」)が、子どもと家族に対象を拡大した食支援活動である。子ども食堂のうち、数多いと思われる。

2 学習支援・子どもの居場所づくり&食堂型
 子どもの居場所づくり、学習支援、グループ活動に伴って食の支援を行う子ども食堂である。
 近いものとして
3 創造活動・クッキング・自然(農業)体験学習プログラム&食堂型
 農園や自然体験、屋外活動、調理体験学習等を志向する食堂である。
 児童福祉分野のグループワークとして、自然との交流、体験学習重視は伝統的な支援の手法である。

4 子育てピアサポート志向・親子カフェ型
 保育園入園前からの子育て世代の交流、相互支援(ピアサポート)に伴って、親子の調理体験や食事の場を設ける。

5 多世代交流・地域交流志向型
 誰でもコミュニティ食堂、一人暮らし高齢者やハンディキャップを持つ当事者を含む多世代交流を目指す。
 これらが挙げられる。

 子ども食堂の利用者と開設時間、会場は関連があり、計画段階で想定される対象者に合わせて設定する必要がある。 
 夕方以降開催の子ども食堂は、小学生が中心となるが、親子(乳幼児)も参加する。小学生等への学習支援、グループ活動を併せて行う食堂もある。小学生以上の子どもの食支援を含む生活支援、食育、学習習慣の確立など、多くの成果が期待できる。一方、送迎等の支援が必要となる。
 平日昼の開催は、保育園入園前の乳幼児と家族、高齢者が中心となる。子育て支援のための親子の居場所であり、子育て中の住民の相互支援(緩やかなピアサポート)、保育園待機児童の支援、多世代交流による子育ての知恵と経験、知識の共有等の意義がある。
 子ども食堂の会場は地域差がみられるが、公民館、社会福祉福祉施設、企業(社員食堂)、店舗、個人宅、寺、キリスト教会等である。
 地域福祉領域では、地域活動への空き家活用が注目されている。
 多くの場合、会場 公民館等、フォーマルな施設は制約がある。
 他方、都内においても空き家を活用してコミュニティのオープンスペースにしようという取り組みもある。
 会場の構造によって、大広間で皆で会食するかたちか(給食的な会食)、飲食店等の会場では、テーブルごとに別れて食堂によっては一斉に食事ではない(カフェ形式)になる。

 一方、子ども食堂の「対象」に関する難しさもヒアリングのなかで挙げられている。
 子ども食堂をはじめるきっかけとして、報道によって子ども食堂の活動や子どもの生活困窮、食の困難に対して「何とかしなければ」というやむにやまれぬ思いによって開始する、という場合が多い。
 しかし、子ども食堂を開始すると、実際、集まる子どもは、経済的に困窮している子どもとは限らない。当初、考えていた対象と異なる等と考えている間に、数十人以上の子どもや大人が参加するようになり、一つの会場で対応出来る人数を超えて、実施回数を増やす、複数会場で実施する等の対応を行っている子ども食堂もある。一方、数人の子どもたちしか利用しないという子ども食堂も少なくない。
 地域社会において、サポートを必要としている人々は、当然ではあるが、経済的困窮世帯だけではない。フィールドワークにおいても、普段は孤食になりがち(であろうだろう)子ども、野菜が苦手な子ども、乳児を抱え子育てで多忙そうな母親と子ども等に出会った。
 また、子育ての難しさ、子育てや家事の多忙さから食生活を充実できないこと、心身の健康問題、家族関係の難しさ、地域や学校との関わりの難しさ、学習の心配等の生活の悩みも抱えながら、社会的に孤立の傾向もあって、気軽に相談できる相手がいない。ほかの課題として、地域における子どもの遊び場の減少、自然との関わり、食生活と栄養を考え子どもの現在と未来の健康をつくる、健康を支えるということが挙げられる。
 総じて、子ども食堂の対象とする課題は、経済的困窮だけではない。生活困窮も、社会的孤立、家族問題、人間関係の困難、心身の健康問題、雇用等多様な側面がある。地域のなかには、様々な子育てのしづらさがある。子ども虐待の予防も地域において専門職と連携しながら取り組むことは有効である。
 子どもも大人も孤立しがち、生きづらさもあるなかで、つながりを創る居場所、交流による気付き、支えあいづくりが求められている。

通知抜粋「(2)子ども食堂の活動への協力
 厚生労働省においては、子ども、高齢者、障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる地域共生社会の実現を目指し、地域に
おける取組への支援を進めています。
 こうした観点から、(1)で示したような子ども食堂の意義について、行政のほか、子ども食堂を取り巻く地域の住民、福祉関係者及び教育関係者等が、運営者と認識を共有しながら、その活動について、積極的な連携・協力を図ることが重要す。このため、日頃から運営者等と顔の見える関係を築くよう努める」

<当ブログ筆者コメント>
5.地域共生社会のファシリテーター
 子ども食堂を含む民間の地域活動は、公的施策のみではなしえない、ボランティアの特徴も持っている。家族でもなく、教育・福祉機関の専門職とも違う、コミュニティの大人による関わり、支援である。多世代の住民相互の支援を生み出す場でもある。つながりを生み出す接点、支え合いのきっかけ、相互支援のファシリテーションの場でもある。
 また、子ども食堂は具体的な活動だけではなく、地域社会のなかに繋がり、相互理解、支え合いの雰囲気を創っていく活動でもあるべきだと考える。換言すれば、子ども食堂の不可視の側面である。子どもや他者に無関心なコミュニティではなく、子どもを中心にして、多様な隣人がゆるやかに支え合う共生のコミュニティへの道のりとも言える。
 子ども食堂の取り組みには、賀川豊彦の「相愛互助の精神」が生きているとも言える。賀川は「社会事業というものは、人間相互のたすけあいによって、個人あるいは社会をよくしてゆこうという働きである」と述べている。
 一方、子ども食堂のなかには、子どもの参加者が広がらないという困難に直面している地域もある。教育機関の広報への協力を得られないことなど、今回の厚生労働省の通知でも示している困難である。子ども食堂ボランティア、教育機関、福祉の「顔の見える関係」の構築、認識の共有の必要性は通知が示す通りだと考えられる。
 しかし、各地域の子ども食堂と、地域福祉関連の社会資源、教育機関(スクールソーシャルワーカー)、各団体、福祉施設、企業等との連携も広がりつつある。子どもを中心として、多くの人々のサポートの輪が広がっている。
 例えば、子ども食堂・居場所づくりの会場や食材の協力等として、個人、社会福祉協議会、NPO(フードバンク)、社会福祉法人、デイサービス等介護保険事業所、病院・診療所、生協・生活クラブ・パルシステム、寺院や教会等である。

「(3)活用可能な政府の施策
 厚生労働省において実施している以下のような施策と連携し、又は一体的に実施することで、子ども食堂の活動についてより効果的に展開することが期待されます。
生活困窮者自立支援制度における子どもの学習支援事業 等
 略
2.子ども食堂の運営上留意すべき事項
(1)食品安全管理に関して留意すべき事項
 略
(2)その他留意すべき事項
① 安全管理に関して留意すべき事項
 子ども食堂の活動を始め、ボランティア活動中に不幸にして、怪我や食中毒等の事故が起きることがあります。万一の備えとして、個人や団体向けの保険に加入することが考えられます。保険加入については、最寄りの市区町村社会福祉協議会などで相談することが可能です。

<当ブログ筆者コメント>
6.社会福祉協議会の役割、ボランティア保険等の活用
 食品安全管理は、徹底しなければならない。社会福祉分野では、福祉施設(通所介護、障害者支援施設等及び行事)、高齢者給食(食支援)、高齢者等サロン活動、障害者福祉や様々な当事者活動によるコミュニティカフェ等、食事の提供が各地で継続して取り組まれている。これらの資源、知識、経験等を共有しながら万が一の事故の予防に取り組む必要があるだろう。先行する地域の食に関わる福祉施設、活動団体は情報、知識等のサポートを提供することが地域社会への貢献でもあると考えられる。
 これらのコーディネートは社会福祉協議会の役割でもある。
 そもそも子ども食堂活動は、住民主体の地域福祉活動の今日的な動きである。社会福祉協議会としてサポートすることは、使命とも言えるだろう。子ども食堂の担い手と、子どもと家族の支援に関わる広範な人々と組織のネットワークの構築、繋がりを創ることも社会福祉協議会の役割だと考える。
 ボランティア活動にとって身近な保険として、社会福祉協議会が窓口の「ボランティア保険、行事保険」が先ず想起される。保険の活用促進も社会福祉協議会の具体的な支援と言える。
 各地域の子ども食堂の継続は、地域福祉、様々な領域からの支援、経済的のみならず技術的な支援、民間の助成の活用等によって、更に有効に支えることが出来るはずだと考える。「保険もない」という声、また農林水産省の子供食堂調査の「活動資金もボランティアが負担」といった各地の孤軍奮闘の状態におかれている子ども食堂の孤立の解消が課題である。今回の通知の通りだと考えられる。
 子ども食堂等、地域のソーシャル・インクルージョンの現場における、保育、教育と福祉、医療等の連携による総合的な支援が必要とされている。

通知の抜粋「② 生活困窮者自立支援制度との連携
 運営者におかれては、その活動を通じて、生活に困窮する子どもや家庭を把握し、支援が必要と考えられる場合には、最寄りの生活困窮者自立支援制度の自立相談支援窓口にご連絡ください。
 ③ 社会福祉法人との連携
 社会福祉法人は、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 24 条第2項の規定に基づき、地域ニーズ等に応じて、自主性・創意工夫の下、「地域における公益的な取組」に取り組むこととされており、その一環として、地域住民の交流や協働の場の創出等(子ども食堂の運営を含みます。)に取り組んでいる場合があります。(別添9参照)
 運営者におかれては、こうした地域の社会福祉法人の取組と連携して活動を展開していくことも効果的と考えられます。
養育に支援が必要な家庭や子どもを把握した場合の対応
 運営者におかれては、その活動を通じて、保護者の養育を支援することが必要と考えられる家庭や子どもを把握した場合、速やかに、市区町村の子育て支援の相談窓口又は児童相談所にご連絡ください。
 なお、市区町村や児童相談所におかれては、相談を受けた場合は、関係機関が連携しながら早期に必要な支援を行うことができるよう、ご協力をお願いいたします」引用ここまで 

<当ブログ筆者コメント>
7.子ども食堂による子どものニーズの発見、アウトリーチ活動
 子ども食堂における子どもと家族への支援的な関わりから福祉ニーズを発見すること、ニーズを掘り起こすこと、支援や関わりを必要としている子どもを待つだけではなく、出向くというかたちのアウトリーチの支援が行われている事例もある。
 地域において子どもに関連する問題を共有化し、一部の家族が抱える問題から、地域の皆の普遍的な課題へと転換する場になることも、子ども食堂への期待なのだろう。
 これらの子どもへの支援活動は、社会福祉協議会や行政機関、地域包括支援センター、地域の社会福祉法人等の専門職の技術的支援、アドバイス、連携による具体的な協働の拡大が求められている。社会福祉法人は、社会福祉の歴史の中で、様々な事業を開拓してきた。今日、その使命と公益的な活動・社会貢献からも、子ども食堂へのサポートを、各地の社会福祉法人の側でも前向きに考えているだろうと期待したい。
 また、子ども食堂は、地方においても都会であってもコミュニティづくりという側面があり、多世代交流を創り出す活動も期待されている。このようなコミュニティにおける世代間の人間的な交流こそ、子育てや子どもの進路にとって有用な情報をもたらし、各世代の社会的孤立を防ぐ効果が期待できる。子どもと家族の深刻な生活問題の予防にも直結する有効な資源である。
 これは、地域において住民が担う、ソーシャル・キャピタルを創る、繋げる支援とも言えるだろう。
 地域のなかの住民間の人間関係、地域の社会資源との関わりを調整し、支援を必要とする子どもと家族を支えるネットワーク(ソーシャルサポートネットワーク)の構築という側面もある。

8.子ども食堂の継続、多様性を支えるために
 子ども食堂の担い手は、地域の生活者、子育て等の当事者性、地域性からのゆるやかなコミュニティの連帯意識によって活動を行っている。多様な担い手がいるなかで、大きな理由と言うよりは、身近な理由、動機から活動に加わり、コミュニティの身近な子ども、家族と交流し、支え合う等身大の活動として子ども食堂の意義がある。子ども食堂は、多様な子どもの成長のために、食事を共に食べながら家族以外の大人と関わる多世代交流のコミュニティ、居場所でもある。
 それは一方的に大人が困窮する子どもを助ける活動ではなく、双方向の関わり、相互支援、相互成長の場でもある。他者を支えながら、自分も支えられ、人間的な交流から相互に成長している。その活動には、相互性も含んでいる。当事者同士のピアサポートの側面もある。
 加えて、実施回数を増やすという意味ではなく、月1回の子ども食堂を、その機会のみの非日常の共助、共生の活動から、コミュニティの日常へと拡大、深化していくという拡大の方向性が求められているのだろう。コミュニティの共生、共助の文化を創るとも言える。
 子ども食堂が各地に燎原の火のように拡大した。その形態、活動内容の多様性が子ども食堂の力の源泉とも言えるだろう。しかし、活動の継続性が求められている。集う子どもたちの人数として顕在化していなくても、子ども食堂に期待する子どもたち、家族がいる。その期待に応えることを、活動を継続することによって果たしていくべきではないだろうか。これは、子ども食堂の課題のみならず、連携し協力する側の課題である。
 今回の厚生労働省の意義ある通知によって、子どもの未来のために、行政、民間非営利、営利企業といった様々な知恵と力が子ども食堂を中核としたコミュニティの集いに結集することを期待したい。
 以上 当ブログ筆者のコメント


当ブログ記事 続き


追記 平成30年7月5日 文部科学省HP
文部科学省生涯学習政策局長 常盤豊
文部科学省初等中等教育局長 髙橋道和
抜粋「この度、厚生労働省から各都道府県知事等宛に、略 別添のとおり通知がなされました。
 子ども食堂を含め、子供の育ちを支えるような地域における活動と、学校、社会教育施設や地域住民等が連携することは、学校、社会教育施設と地域が一体となって子供たちの成長を支援していく観点からも重要です。また、子供の安全と安心の観点から適切な配慮を行っている子ども食堂の活動は、地域における食育の観点からも意義があるものと考えられます。
 学校、公民館・青少年教育施設等の社会教育施設、PTA及び地域学校協働本部や、教育委員会等が実施する学習・体験活動等の事業関係者を通じて、困難を抱える子供たちを含む様々な子供たちに地域の子ども食堂の情報が行き届くよう、福祉部局と積極的な連携を図っていただく」抜粋ここまで

通知に関連して
東京都地域公益活動推進協議会
引用「子ども食堂に関する通知が、平成30年6月28日付で厚生労働省より発出されました。
 取組まれている法人におかれましては、ご参照ください」


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社会福祉士、精神保健福祉士 共通科目受験対策 通信課程学習
基礎練習問題 現代社会と福祉

 正しいものは○、誤っているものは×で解答しなさい。
問題1 1601年にイギリスで制定された救貧法は,救貧行政の中央集権化を確立するとともに,劣等処遇の原則を確立した。

問題2 ビスマルクの「飴と鞭」の政策は,19世紀後半に労働者保護と社会主義運動の取締りを目的として,デンマークで実施された政策をいう。

問題3 社会保障という名称を持つ法律は,世界恐慌後の1935年にスウェーデンにおいて世界で最初に制定された。

問題4 イギリスのウェッブ夫妻によって20世紀初頭に提唱されたナショナルミニマム論は,福祉国家構想に影響を与えた。

問題5 イギリスでは、第二次世界大戦後、「チャルマーズ報告」にもとづき、社会保険でナショナル・ミニマムの基本二一ズを保障し、不足する部分を公的扶助で、超遇する部分は任意保険でまかなうという方法で、福祉国家が成立した。

問題6 日本では、幕末維新による窮民の増加のため、1874(明治7)年、恤救規則が制定されたが、相互扶助を重視し、国家責任や貧困の社会性を否定した、制限の強いものであった。

問題7 日本では大正末期から昭和初期は不況であり、貧困問題が顕在化し、恤救規則ではこの問題に対処できず、1929(昭和4)年に救護法が公布され、同年に実施された

問題8 日本では1946年、旧生活保護法が交布されたが、国家責任による無差別平等の扶助をはじめて示したものの、素行不良者・怠惰者などは排除し、保護請求権・不服申立て権を認めないものであった。

<バックナンバー>



<関連イベントのご紹介>
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【主催・問い合わせ】一派社団法人 全国食支援活動協力会(03-5426-2547)
【プログラム】
 オープニング「来て、見て、知って つながる食の居場所
      子どもから高齢者まで、さまざまな食支援の取組みポスター展示
セッション1 〔高齢者の栄養問題を見つめて〕
 地域における食支援のこれから
  講師 熊谷 修さん(東京都健康長寿医療センター研究員) 

セッション2 〔施策・先進事例を知る〕
 食・居場所を通じた生活支援の取り組み
 《話し手》三政 貴秀さん(秋田県小坂町役場町民課)
      松本 春美さん(社福)青山里会栄養管理部 部長/四日市市)
      山崎 美貴子さん(東京ボランティア・市民活動センター所長)  

セッション3 〔グループワーク〕
 仲間が増える活動の伝え方 活動の価値や効果をうまく伝えよう
 《ファシリテーター》鈴木 訪子さん(荒川区社会福祉協議会) 

協賛 ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会 明治安田生命保険相互会社 株式会社安田保険センター


<参考資料>
平成30(2018)年6月6日 毎日新聞 東京朝刊
引用「子どもの就寝時間は「遅い」ことより「不規則」なことの方が、問題行動などにつながりやすいとの論文を、東京医科歯科大の研究チームがオランダの学術誌に発表した。小学1年生約4000人を対象にした調査で、平日の就寝時間が不規則な子は、逆境を乗り越える力が低い傾向があったという。
 チームは東京都足立区の協力を受け、2015年に区立小69校の1年生(6〜7歳)の保護者に、国際的に広く使われている「子どもの強さと困難さアンケート」などを配布。4291人から有効回答を得た。このうち13.6%の児童は平日の就寝が午後10時以降で、7.5%は就寝時間が不規則だった。
 こうした睡眠の習慣と、「レジリエンス」と呼ばれる困難に打ちのめされずに立ち直る力などとの関係を分析したところ、就寝時間が不規則な子は規則的な子に比べてレジリエンスの点数が低く、「多動・不注意」「仲間関係」などの問題行動が多い傾向が出た。一方、規則的な就寝時間の子の中では、午後10時前に寝る場合と10時以降の場合に大きな差がなかった」引用ここまで

 平成30(2018)年6月6日 東京新聞 朝刊横浜版
引用「県と横浜、川崎、相模原、横須賀の4市は、昨年度に管轄の児童相談所で受けた児童虐待の相談件数をまとめた。合計で1万3102件(前年度比1651件増)に上り、県によると、データを比較できる2011年度以降、最多。県の担当者は「県民
の虐待への意識が高まり、通報が増えている」と話した。
 虐待の種別は、暴言などの「心理的」が6273件、ネグレクト(育児放棄)3246件、暴力などの「身体的」2930件、「性的」116件。被害に遭った子どもの年代はゼロ歳〜就学前が5827件と4割以上を占め、小学生4344件、中学生1858件と続いた。
 通報を基に実際に対応した事案(前年度からの継続を含む)は1万3084件。「保護者への面接指導」がほとんどで、「児童養護施設などに入所」「里親への委託」も一部あった」引用ここまで


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地域福祉の理論と方法 基礎知識 練習問題
 3択問題 1から3のうち、正しいものを1つ選びなさい。

 地域社会は、資本主義の発展とともに人びとの生活空問の拡散や生活形態の変化が生じ、
<問題1 1 都市、2 ニュータウン、3 高級住宅地>と農村という2類型が形成された。

奥田道大の地域社会モデル>
 4つの類型とは、排他的で住民が地域に対して主体的な旧村落のような、
「<問題2 1 血縁村落共同体、 2 治療共同体、 3 地域共同体>」、排他的だが地域に対し主体的ではない「伝統的アノミー」、開かれているが地域に対し主体的でない「個我社会」、開かれており地域に対し主体的に行動する
<問題3 1 孤独社会、 2 コミュニテイ、 3 排除型社会>」が提示されている。

 イギリスでは19世紀末、資本主義の発展とともに広がった失業と貧困に対し、トインビー・ホールを拠点に貧困調査、協同組合や、 
<問題4 1 労働組合、 2 株式会社、  3 保険会社>の設立など、社会改良的な
<問題5 1 自立生活、 2 フェミニズム、 3 セツルメント>運動が展開され、これが戦後の福祉国家を生み出す原動力となった。

<バックナンバー>

<今年度の講義レジュメ 当ブログ筆者>
ドヤ街、簡易宿泊所、寄せ場とは 日本の貧困問題の基盤
「山谷」とは 山谷フィールドワークをふまえて
1973年8月、寿町における子ども食堂の開始


<参考資料>
2017年06月15日 読売新聞
引用「中央児童相談所(千葉市稲毛区)は、児童虐待対策の中心拠点だ。しかし建物は築45年と古く、規模も職員数も児童虐待の急増に見合っていない。
 一時保護所には15畳ほどの寝室が三つあり、男性用、女性用、未就学児用として使われている。子供は畳の上に布団を敷いて寝る。定員は計25人だが、昨年度は定員超過日数が3分の2以上に上った。最も多い日には41人を受け入れ、寝室に入りきらない子供は、体調が悪い子供が使う「静養室」に寝かせた。
 定員オーバーの常態化は、一時保護した子供の預け先となる里親や施設が見つからず、1人当たり平均保護日数が37・3日と長期化していることも要因だ。
 一時保護課の職員は非正規も含め、課長以下28人。子供が定員を大幅に超えると、超過勤務や他部署の応援を受けて対応している
 〈一時保護所〉
 児童福祉法に基づく、児童相談所の付属施設。虐待や非行で緊急的に保護した18歳未満の子供を受け入れる。国の基準では、児童は1部屋4人以内で過ごせるよう定められ、1人あたりの面積も決められている。」引用ここまで

平成30(2018)年6月10日 毎日新聞 地方版
引用「県は、県内2カ所の児童相談所(児相)に寄せられた昨年度の虐待相談件数が、前年度比19件増の1142件と、2年連続で過去最多を更新したと発表した。前年度から引き続き、家庭内暴力(DV)を子供に見せる「面前DV」など心理的虐待の相談が最も多く、全体の半数近くを占めた。
 県によると、虐待相談のうち、最も多いのは、言葉による脅しなど「心理的虐待」で526件(前年度比45件増)。暴行など「身体的虐待」325件(20件増)▽育児放棄など「ネグレクト」280件(44件減)▽性的虐待11件(2件減)--と続いた。
 被害者の年齢は、小学生が最多の379件で、3歳から就学前が313件、3歳未満244件だった。
 加害者は、実母が537件で全体の約5割に上り、次いで実父は428件だった。実父以外の父親34件と実母以外の母親8件を加えると、加害者の約9割が両親だった」引用ここまで


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当ブログ筆者の講義レジュメ アーカイブ 2017年度(昨年度)の当ブログ筆者の担当講義
地域福祉の理論と方法 第10回講義レジュメ
2 地域福祉推進の原理 テキストP30
・全体性、主体性の尊重
・身近性・総合性の尊重
・交流性、社会性の尊重
・協働性の尊重
 住民参加型の地域福祉の推進が求められている。
 地域福祉活動の例として、誰でも参加が可能なコミュニティにおける居場所づくり(サロン、コミュニティカフェ等の形態。

住民参加のレベルと地域福祉の主体形成 テキストP31
“住民”か“市民”か。
“参加''か“参画か
 例 子育て中の親のグループを、住民主体、子育ての当事者を中心につくっていく。ネットワークの構築である。

住民とは  community residents

市民とは citizen

市民社会 civil society

住民参加
 総じて、住民間のコミュニケーション、地域における繋がりを拡大し、深めていく。
 住民の活動の促進、ファシリテーション、ゆるやかな住民のネットワーク、つながりを形成する。

アーンスタインの住民参加の八つの階梯説、住民参加の梯子とは
操り
治療(セラピー)
情報提供
相談
慰め
パートナーシップ(協働)
権力の委任
市民統治

 操り、治療(セラピー)の段階が住民の非参加のレベル
 情報提供、相談、慰めが形式的参加のレベル
 パートナーシップ(協働)、権力の委任、市民統治が実質的住民の参画のレベル

地域主体の実践モデル
 地域主体の実践モデルとして、重度障害者による自立生活運動や住民参加型サービス供給を組織化した福祉NPOなどが挙げられる。
 地域の問題は地域主体で解決を目指す。住民の気づき、住民自身の力により支え合うことのできる地域をめざしていく。

3 地域福祉論の展開 テキストP38
右田紀久恵
 「生活権と生活圏を基盤とする一定の地域社会において, 経済社会条件に規定されて地域住民が担わされてきた生活問題を,生活原則・権利原則・住民主体原則に立脚して軽減除去し,または発生を予防し,労働者・地域住民の主体的生活全般にかかる水準を保障より高めるための社会的施策と方法の総体であって,具体的には労働者・地域住民の生活権保障と,個としての社会的自己実現を目的とする公私の制度・サービス体系と地域福祉計画・地域組織化・住民運動を基礎要件とする」1973年

機能的・構造的アプローチの分類
A.機能的アプローチによるとらえ方 岡村重夫に代表
 全国社会福祉協議会の研究委員会--在宅福祉を中核とする地域福祉の枠組みとして明確化した。

・永田幹夫による定義
 「地域福祉とは,社会福祉サービスを必要とする個人・家族の自立を地域社会の場において図ることを目的とし,それを可能とする地域社会の統合化・基盤形成を図る上に必要な環境改善サービスと対人的福祉サービス体系の創設・改善・確保・運用,及びこれらの実現のための組織化活動の総体をいう。
 尚,行政的努力と住民参加による民間努力との機能分担が重要な課題で,その構成要素として 
①予防的サービス,専門ケア,在宅ケア,福祉増進サービスを含む在宅福祉サービス,
②物的・制度的条件の改善整備のためのサービス,
③地域組織化,福祉組織化を含む組織活動」。

B.構造的アブローチによるとらえ方 右田紀久恵などに代表
 地域福祉を制度・政策論,さらに運動論的アプローチから規定した。
 階級・階層構造を媒介にした政府・自治体等による社会問題対策と位置づけた。

4 地域福祉論の新たな展開・深化 テキストP39
自治型地域福祉
 右田紀久恵らが『自治型地域福祉の展開』(1993)
「自己と環境との相互作用の中で主体的,自律的に計画策定などを行い,活動を発展させていく」
 生活問題
 個人の主体性と内発性を要件とした新しい地方自治体モデルによる。

岡本栄一 四つの志向性

阿部志郎 横須賀キリスト教社会館の活動の主題をコミュニテイ・ケアに置き定義
「地域内の公私の機関が協同し,各種社会福祉のための施策。施設等の資源を動員することによって,地域のニーズを充足するとともに住民参加による社会福祉活動を組織し,地域の福祉を実現していく具体的努力の体系」

大橋謙策:コミュニティ・ソーシャルワーク
 コミュニティ・ソーシャルワークとは、コミュニティを基盤にして展開されるソーシャルワークである。
 地域を基盤としたソーシャルサポートネットワーク、ケアマネジメント。

<コミュニティとは何か>
 地域社会に対して住民が主体的な行動をとるのか、他の地域対して開かれたものなのかという2つの軸で4類型を提示する奥田道大のコミュニティモデルでは、
 排他的で住民が地域に対して主体的な旧村落のような「地域共同体」、排他的だが地域に対し主体的ではない「伝統的アノミー」、開かれているが地域に対し主体的でない「個我社会」、開かれており地域に対し主体的に行動する「コミュニテイ」の4つの類型が示されている。
 これは、実態としての地域社会に対し、コミュニティとは単なる地域ではなく、「々とが共に生き、それぞれの生き方を尊重し、主体的に生活環境、そのシステムに働きかけていくという価値的・態度的な意味を持っている。

5 地域福祉の理論化への展望と課題 テキストP39
 コミュニティソーシャルワーク コミュニティ基盤の総合支援、全人的なものへ
・コミュニティ、地域社会において,従来の対象別対応・実践に捉われずに、かつ領域を拡大し、地域におけるニーズや課題の解決をめざす実践。

*求められる地域福祉における支援
1)自己選択・決定が困難な人々への援助:権利擁護・アドボカシーが必要である。
2)自己決定過程の援助:情報収集・自己選択・自己決定プロセスを援助する必要がある。
3)支援困難事例への専門的援助
4)総合相談と小地域福祉活動の統合
5)サービスの創造と制度改革
6)住民の参加と共同

 地域における社会資源のネットワークの構築。住民参加型の資源の開発。

<今年度の講義レジュメ 当ブログ筆者>
ドヤ街、簡易宿泊所、寄せ場とは 日本の貧困問題の基盤
「山谷」とは 山谷フィールドワークをふまえて
1973年8月、寿町における子ども食堂の開始


当ブログ筆者の 論文 リンク

関屋光泰(2010)「簡易宿泊所街・横浜寿町地域における民間支援活動-歴史的経緯の概要」『研究紀要』第18 巻第1 号 学校法人敬心学園日本福祉教育専門学校福祉文化研究所,39-48頁


当ブログ筆者執筆

精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)


<子ども食堂 地域福祉活動関連記事>

「生活習慣知らず育つ子多い」 孤立、暴力や子どもの貧困対策で講演=福井

2018.01.22 読売新聞大阪朝刊福井25頁

引用「暴力や貧困、地域社会からの孤立などの環境に置かれた子どもの支援を考える講演会が21日、敦賀市東洋町の市福祉総合センターであり、大阪市西淀川区のNPO法人西淀川子どもセンターの西川日奈子代表理事が取り組みについて語った。

 敦賀市の子ども支援団体「つるがCAP」の主催で、25人が参加した。

 同NPOは、子どもたちが安心して自分のことを話せる場を作ろうと、2007年に発足。子どもの貧困対策などとして無料や定額で食事を提供する「子ども食堂」の先駆けとなる取り組みや、親と子の相談の場作りなどの活動を紹介した。

 西川代表理事は子どもと出会うほどにそれぞれが抱える事情が見えてくると言い、親に殴られていることを明かす子や、歯磨きの習慣がない子の事例をあげ、「人として必要な文化や習慣を教えてもらえずに育てられている子どもが数多くいる」と指摘した」引用ここまで


杉並「子ども食堂」パンフ  区役所などで配布 場所や開催日を紹介=東京

2018.01.17読売新聞 東京朝刊都民26頁

引用「杉並区内に8か所ある「子ども食堂」の場所や開催日などをまとめたパンフレットが完成した。食堂を利用してもらおうと、各食堂を運営するボランティアらの有志が作成した。

 各食堂の運営者らが2016年に「杉並子ども食堂ネットワーク」を結成し、パンフレットづくりを企画した。

 パンフレットはA4判で、8か所の食堂の住所や電話番号、開催日、利用料金などを紹介。中には、子どもたちとハンバーグなどを一緒に作ったり、大学生らが小中学生に勉強を教えたりする食堂もある。

 区役所や区社会福祉協議会などで配布しているほか、区のホームページからダウンロードできる。

 JR西荻窪駅近くで「西荻・寺子屋食堂」を運営し、ネットワーク世話人を務める能登山明美さん(67)は、「パンフレットやポスターが、子どもが気軽に訪れてくれるきっかけになれば」と話している」引用ここまで


奈良市 フードバンク協力 市職員ら 缶詰など持ち寄る=奈良

2018.01.26 読売新聞大阪朝刊セ奈良29頁

引用「家庭で余った食品を持ち寄る「フードドライブ」を、奈良市が25日、市職員を対象に初めて行った。生活に困っている人たちに無償で食品を届ける「フードバンク奈良」が昨年12月に設立されたため、協力しようと動き出した。同バンクは27日に市内で開く設立記念イベントで食品を受け取り、子ども食堂や福祉施設に提供するなど活動を本格化させる。

 同バンクは、食べられるのに廃棄される「食品ロス」に歯止めをかけるとともに、貧困などで食べ物を必要としている人に食品が届くようにする活動。県内では取り組みが遅れていたが、大学教授や福祉関係者らが中心となって発足させた。

 国によると、2014年度、国内で生じた食品ロスは年間約621万トン。奈良市でも16年度、家庭からの可燃ごみに出された手つかずの食品は約3%で、推計1385トンに上る。一方、厚生労働省によると、15年時点で子どもの7人に1人が貧困状態にある。

 福祉政策課の早瀬宏明課長は「余っている食品を必要とする人に届けることは、環境、福祉の両面で望ましい。どんな食品が必要かを把握していきながら、市民から集めることも検討したい」と話した」引用ここまで


子ども食堂支援 音楽会 30日 ピアノなど若手が披露=神奈川

2018.01.27 読売新聞東京朝刊28頁

引用「クラシックやタンゴの演奏を若手音楽家が披露するチャリティーコンサート「プレミアムアーティスト・ガラ・コンサート」が30日、横浜市神奈川区で開かれる。

 収益の一部は同市南区の子ども食堂に寄付される。

 主催する一般社団法人「Harmony AI」代表理事の石川秋子さん(66)は、40年以上にわたってピアノ教室の教師として子供たちを指導してきた。演奏家に活躍の場を提供しようと、これまでもチャリティーコンサートの開催を続けてきた。東日本大震災の被災地支援なども行ってきた。

 石川さんは昨年、横浜市南区の常照寺で月に1度、70人ほどの子供たちに無料で食事を振る舞う子ども食堂を見学。「地域に必要な子ども食堂に協力したい」と今回のコンサートを企画した。「一人きりで食事をしたり、居場所さえなかったりする子供たちが、横浜にたくさんいることを知ってもらいたい」と話している」引用ここまで


<参考 第2回 子どもの貧困を考える映画会>
日時:2018年7月16日(月・祝)10時00分~16時20分(9時30分開場)

<最寄り駅>JR中央線、武蔵野線 西国分寺駅南口 徒歩7分
<住所>国分寺市泉町2-2-26  <TEL>042-359-4020

参加費 500円(可能な方から・学生無料)
申込み不要

2回上映・出入自由 映画上映中の入退場はご遠慮下さい。

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークでは、市民の皆様に「子どもの貧困」について広く・深く考えて頂く機会として、この映画会を企画致しました。
 今回の映画会では、第69回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した、『わたしは、ダニエル・ブレイク』 (2016年イギリス/2017年日本公開)を2回上映致します。

プログラム(予定)
9:30 開場
10:00 開会
10:10 『わたしは、ダニエル・ブレイク』第1回上映(~11:50)
11:50 休憩(~12:50)
12:50 トークセッション(~14:20)
     ”声をあげる”~
     『わたしは、ダニエル・ブレイク』に学ぶ貧困問題
     <ゲスト>
     猪熊弘子(ジャーナリスト)氏
     稲葉剛氏(つくろい東京ファンド代表、立教大学特任教授)
     <コーディネーター>
     中塚久美子氏(朝日新聞記者)
14:20 休憩(~14:30)
14:30 『わたしは、ダニエル・ブレイク』第2回上映(~16:10)
16:20 閉会


 生活保護行政と日雇労働者、ドヤ街、寄せ場、簡易宿泊所、飯場 生活困窮者支援とは。当ブログ筆者の20年間の実践をふまえて解説。
 公的扶助分野全般に、特に生活保護受給者やホームレスを含む生活困窮者に深く関わる簡易宿泊所街(ドヤ街)、日雇労働者の寄せ場は深く関わる。
 都市の貧困問題に関連する事柄ではあるが、各社の社会福祉士テキスト(低所得者支援と生活保護制度等)には十分に解説されていない。
 生活困窮者支援や生活保護等、相談の実務に、貧困問題の理解に必須の知識といえるこれらの領域について、当ブログ筆者の 担当講義において概要を解説した。

1.ドヤ街、簡易宿泊所、寄せ場とは 日本の貧困問題の基盤
 簡易宿泊所が集中し、日雇労働市場である「寄せ場」を含む地域を通称「ドヤ街」という。
 今日、「寿町」(横浜市中区)等の簡易宿泊所地域には、高齢者や障害者、精神疾患等生活保護受給者、土木建築を中心とする日雇労働者が一時的か、多くは半定住的に宿泊している。かつてドヤ街は日雇労働者の家族、子どもも居住し、日雇労働の分野も寿町や釜ヶ崎(あいりん地区)では港湾労働も多かった。

*簡易宿泊所とは 社会福祉法の「無料低額宿泊所」ではない
 「簡易宿泊所」とは、旅館業法における4種(ホテル、旅館、簡易宿所、下宿)の旅館営業許可業種のうちのひとつである。
 同法第二条 3 「この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう」
 社会福祉法の第二種事業の「無料低額宿泊所」(「生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業」)とは別のものである。無料低額宿泊所は、NPO等が運営し、ホームレスなど生活困窮者の居住の場の一つとして役割を担っている。先進的な生活支援に取り組むNPOの活動もみられるが、課題のある宿泊所も存在した。

*ドヤ街 語源等
 簡易宿泊所街は、「ドヤ街」とも言われているが、ドヤは、宿の逆語であり、旅館やホテルと区別された、日雇労働者の簡易宿泊所を意味する。
 簡易宿泊所街は寿町(横浜市中区)の他、東京(台東区・荒川区)の「山谷」や、大阪(西成区)の「釜ヶ崎」(行政は「あいりん地区」と称する)が同様のドヤ街であり、名古屋市(中村区)「笹島」、川崎、福岡等には日雇労働市場「寄せ場」が存在する。
 こうした地域はまた、「寄せ場」とも言う。寄せ場は、大都市内のドヤの密集地域に位置づく日雇労働者の就労場所をいう。寄せ場では手配師等による求人(相対方式)も常態化している。
 青木(1989)によれば、多くの場合、寄せ場は、周辺スラムとともに複合地域を形成する。寄せ場は、日雇労働者が集まる都市下層地域として、固有の社会と文化(生活様式)をもっているとも言われている。 青木秀男『寄せ場労働者の生と死』 明石書店,1989年

2.「山谷」とは 山谷フィールドワークをふまえて
 台東区と荒川区にまたがる山谷地域は、首都圏・東京都最大の寄せ場であり、ドヤ街が形成されている。かつては、都内には高田馬場等にも寄せ場と簡易宿泊所が存在していた
 山谷地域は、江戸時代には木賃宿等の地域であり、明治以降は労働者が居住していた。
 戦後、空襲の焼け跡の被災者援護のテント村(宿泊所)の集中地域を経て、多数の簡易宿泊所が建設されていった。
 山谷地域の簡易宿泊所(190軒弱)の宿泊者は、1960年代には1万人を超え、家族での居住も少なくなかった。その後、家族への住宅斡旋が行われ,1970年代には単身男性への純化傾向が進んだ(他のドヤ街も同様)。
 また,オイルショック,1990年代の不況を経て、日雇労働者の寄せ場からの就労経路が衰退し,宿泊者も5000人前後と減少した。高齢者が主要な宿泊者となった。高齢者として生活保護を受給している宿泊者も増加し、50歳代の失業者はホームレスへと移行し、隅田川周辺等で野宿生活を送っている。
 加えて、講義において、山谷におけるホスピス「きぼうのいえ」の文献等を回覧しライフヒストリーの概要を解説した。
 またファウラーの「山谷ブルース」等の文献から、民間支援活動の特徴について概説した。

3.釜ヶ崎(あいりん地区)
 190軒程の簡易宿泊所に、約2万人が宿泊(もしくは寄せ場から就労)、日本最大の寄せ場,ドヤ街である。しかし釜ヶ崎という地名はなく西成区萩之茶屋を中心とする。1966年の第五次釜ヶ崎暴動以降,大阪府・市・府警により「あいりん地区」の呼称が使われるようになり,行政機関や報道が用いている。約2万人の日雇労働者が生活しているといわれている。阪神地区の労働市場の産業予備軍、雇用の調整弁として機能してきたが,オイルショック,1990年代の不況を経て,日雇労働者の寄せ場としての機能は衰退しつつある。他の寄せ場と同しく,高齢化が著しい。
 釜ヶ崎地域の特徴としては、生活保護受給者へのサポーティブ・ハウジングや、ホームレス対象のシェルター、就労支援プログラム等が行われている。また地域内外の子どもへの支援も民間団体によって続けれており、子どもが担うホームレスへのアウトリーチ活動、交流と学習活動でもある「こども夜回り」等、先進的な取り組みが行われている。

*簡易宿泊所街・寿町の誕生=1956年
 「寿町」地域とは、横浜市中区の簡易宿泊所街である。上記の記事を参照。
 終戦後、寿町を含む一帯は、米軍によって接収された。一方、横浜港は、軍貨の集積と殻物輸人港として活況を呈し、失業者が仕事を求めて流入した。横浜公共職業安定所と横浜労働出張所があった、桜木町駅周辺、野毛地区には、これらの人々が溢れた。人々は、運河に浮かぶ、はしけ等を改造した「水上ホテル」等に宿泊していた。
米軍は、寿町一帯の接収を、昭和30 (1955)年頃までに解除した(解除時期は諸説がある)。
 昭和31(1956)年、寿町に最初の簡易宿泊所の建築申請が行なわれた。以降、「水上ホテル」は徐々に姿を消し、寿町に簡易宿泊所が建築された。昭和32(1957)年、横浜港公共職業安定所(日雇扱い)が、桜木町駅前から寿町に移転した。それを契機として、寿町地区は、横浜港に近い立地条件等も要因となり、1956年は5軒、57年9軒、58年1軒、59年7軒、60年12軒と簡易宿泊所の建築申請が次々と行なわれた。1961年(昭和36)10月の時点で、簡易宿泊所数は49軒、部屋数は3189室であった。宿泊者数は5141人であり、そのうち単身世帯は3477人、家族世帯が704世帯、1166人であった。また宿泊者のうち、生活保護を受給している世帯は、単身世帯が37人、家族世帯が56世帯、192人であった。
 簡易宿泊所街としての寿町は、1956年の誕生から約5年でその基礎が形成されたと言える。
 しかし、簡易宿泊所街の誕生から後述の1962年まで、公的な支援施策も、また民間による支援活動も無い時期が続いた。

2 寿町の子ども支援活動の開始 未就学児問題、子ども会活動、売血
 1960 (昭和35) 年10月9日付の神奈川新聞の記事は、寿町には未就学児が約50人存在し、市は無策であると報じた。神奈川新聞は、翌1961年には「戸籍のない子を救おう」(5月5日付)と報じた。形成されつつある寿町に関して、児童は救済すべきという世論が推し測れる。同年、寿町内での火災発生や、横浜血液銀行が寿町に移転し、売血の蔓延等もあり、環境の悪化が進んだ。1963年には、簡易宿泊所内での集団赤痢が発生している。

*横浜市青少年相談センターと市職員ボランティアによる子ども会活動
 寿町における福祉行政による施策は、昭和37(1962)年からの中民生安定所の夜間出張相談、翌1963年の「横浜市青少年相談センター」開設により開始された。
 一方、昭和39(1964)年、同センターの若手職員の自主的な実践である「子ども会 ぼっこ」の活動開始が、民間支援活動のはじまりとなった。
 子ども会「ぼっこ」は、行事を軸とした子ども会活動に始まり、会食、キャンプ、スポーツ大会、クリスマスパーティ、子ども会新聞等の活動を展開していった。

*「寿生活館」セツルメントハウスの設置
 昭和40(1965)年、横浜市の隣保施設「寿生活館」が設置され、寿町における福祉行政と民間支援活動の拠点となっていった。
 1972年6月には、寿生活館の3・4階増築部分がオープンした。
 1973年5月、寿生活館は、子ども対象の「絵の教室」と「そろばん教室」を開始した。以降、寿生活館主催の行事のなかに、子ども会活動は吸収されていく 。

 野本三吉は、市職員として寿生活館のケースワーカーの一人となった。
 本書では、寿町の簡易宿泊所に住み込んだ野本(他にも市職員が住み込み支援活動を展開した)の、コミュニティによる子育ての実践と思想の記録である。
 野本の理念は、簡易宿泊所街「寿町」における、コミュニティが子どもを育てる。それは、地域と子どもと大人の関わりの思想でもある。
 野本三吉の(簡易宿泊所の)部屋を訪れる寿町の子どもと大人の人間らしさが文章から伝わってくる。セツルメントとしての側面がある。
 時に野本と労働者・住民・子どもは真正面からぶつかり合う、人間対人間の対等な関係性である。セツルメントが持つ人間的交流を含む。
 日雇労働者父子世帯の事例が挙げられてている。父は夜遅くまで飲み屋に子ども連れ回し、あげく泥酔した父の世話を子どもが焼く。この生活は、社会福祉や教育の専門職との摩擦を生じる。頑固な父が労働者の逞しさを伝えていくが、愛情深さがその根幹にある。野本は、「狩猟民の生活」と称し、かつての非定住狩猟民の逞しさ、生き方、文化を重ね合わせる。
 また、親の病気による家族と生活の不安定、シンナー等の依存症のリスクが事例との関わりから述べられている。家族の不安定は、食生活の質と量の貧困をもたらす
 印象深いのは、不登校傾向の少年が寿町に滞在した際に、日雇労働者の青年が仕事に連れていったり面倒を見るエピソードがある。別れが近くなり、労働者の青年は社会の不正義は許せない、社会の不正を正すため「本当の学問をやれ」と少年に労働者の青年は語りかけ、沖縄海洋博関連の工事に仕事師として出立する。
 また簡易宿泊所街の少女は、生活保護世帯で育ち、生活と環境の影響を受けながら成長していく。様々な大人の只中で、自分の心身を大切にして生きていけるのかが課題となってしまう。
 加えて、簡易宿泊所の環境よりも、自ら児童養護施設への入所を希望する子ども、問題行動を起こして少年院送致になる寿町の少年などの事例も挙げられている。

 1973年8月、寿町における子ども食堂の開始
 この本のなかにも、寿町において1973年の夏休みの子どもの食生活を支えるために行われた「子ども食堂」の記述がある。
 1973年7月14日、17日、22日に寿町の母親たち、横浜市寿生活館職員等を中心に準備会議。23日に食材買い出し。
 1973年7月24日、子ども食堂第一回を、地域内のバプテスト教会(益牧師)を会場に実施し30名を超える子どもたちが集まる。午後は子どもたちを根岸のプールに連れて行く。
 夏休みの期間、継続する。
 8月31日、夏休み子ども食堂最終日。
 1973年9月2日 夏休み子ども食堂反省会。以降、毎週土曜日の開催を決定する。
 詳しくは、後日、報告したい。

*ことぶき共同保育 子どもと家族のコミュニティ 
 1973年9月に開始された「ことぶき共同保育」は、時間を限定した保育の取り組みとは異なり、支援者が寿町に居住と生活の場を置く、セツルメント的な活動の、寿町における確立であった。また、支援者とその家族、寿町の子どもの共同体という面もある。

 1973年7月には、寿町の日雇労働者の集まりである「寿立会」が活動を開始した。同年12月には、その寿立会と寿町自治会の共同による越冬闘争が行われた。この時期、1973年のオイルショックにより、寿町は不況の影響が甚大となっていく。このような状況下、ソーシャルアクションが展開されていく。1974年11月には、 越冬実行委員会が横浜市民生局との団体交渉を行なっている。

*飯場の労働と生活については、「飯場へ」を回覧しながら、解説した。
 従来から「飯場」は、日雇労働と併せて、貧困・生活困窮者支援、生活保護受給者にとって深く関わる就労の場であった。
 寄せ場を経由する飯場への就労、「駅手配」などと呼ばれる駅周辺の路上求人からの就労、「人夫出し(飯場)」と呼ばれる様々な工事現場への労働者派遣型(労働者をプールする飯場)等、特徴的な就労の場である。
 渡辺の飯場への参与観察、インタビューによる質的研究は、今日の飯場が、真面目に働く労働者を経営側も求め、飯場に定着している労働者たちも求めている等の特徴がまとめられている。
 若年の生活困窮者にとって、飯場は就労と住まい、食事等がセットになった開放的労働市場の一つであったが、今日、「真面目さ」、土木建築労働や飯場の生活スタイル、人間関係への適応が求められている=誰にとっても開放されているわけではないことが分かる。

公的扶助論 生活保護制度の解説 続き
1.福祉事務所と生活保護制度
・社会福祉法第14条に規定された,社会福祉全般に関する相談や給付等の実務(現業)を行う第一線の相談機関である。14条の「福祉に関する事務所」をいう。
 福祉事務所は地域における、社会福祉行政の要、フロントラインと言える。

*福祉事務所は、都道府県・市・特別区は必置である。
 都道府県及び市(特別区を含む)は福祉事務所の設置が義務付けられている(=義務設置)

*町村は任意設置
 町村は任意で設置することができる。
 つまり日本には、いずれの福祉事務所の所管区域にも属さない区域はない。

社会福祉法第十四条 都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならない。
2 都道府県及び市は、その区域(都道府県にあつては、市及び福祉に関する事務所を設ける町村の区域を除く。)をいずれかの福祉に関する事務所の所管区域としなければならない。
3 町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができる
4 町村は、必要がある場合には、地方自治法の規定により一部事務組合又は広域連合を設けて、前項の事務所を設置することができる。この場合には、当該一部事務組合又は広域連合内の町村の区域をもつて、事務所の所管区域とする。
5 都道府県の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法及び母子及び父子並びに寡婦福祉法に定める援護又は育成の措置に関する事務のうち都道府県が処理することとされているものをつかさどるところとする。
6 市町村(特別区を含む。以下同じ。)の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務のうち市町村が処理することとされているもの(政令で定めるものを除く。)をつかさどるところとする。 略

*福祉事務所の組織
 職員体制は、所長、指導監督(スーパーバイザー)、現業員(ケースワーカー)、事務

(組織)
第十五条 福祉に関する事務所には、長及び少なくとも次の所員を置かなければならない。ただし、所の長が、その職務の遂行に支障がない場合において、自ら現業事務の指導監督を行うときは、第一号の所員を置くことを要しない。
一 指導監督を行う所員
二 現業を行う所員
三 事務を行う所員
2 所の長は、都道府県知事又は市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の指揮監督を受けて、所務を掌理する。
3 指導監督を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、現業事務の指導監督をつかさどる。
4 現業を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等の家庭を訪問し、又は訪問しないで、これらの者に面接し、本人の資産、環境等を調査し、保護その他の措置の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対し生活指導を行う等の事務をつかさどる。
5 事務を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、所の庶務をつかさどる。
6 第一項第一号及び第二号の所員は、社会福祉主事でなければならない。

*解説:福祉六法
 生活保護法(1950年),児童福祉法(1947年),身体障害者福祉法(1949年),精神薄弱者福祉法(1960年。99年から知的障害者福祉法),老人福祉法(1963年),母子福祉法(1964年。81年から母子及び寡婦福祉法、現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法)を総称して「福祉六法」。

*福祉三法
 戦後、緊急性のある問題(戦後の緊急課題として、生活困窮、戦災孤児、傷痍軍人等)として、昭和20年代に立法化された旧生活保護法(1946年),児童福祉法,身体障害者福祉法の三つの法律を「福祉三法」と称する。その時期は「三法時代」。

*参考:傷痍軍人
 戦闘または軍の公務によって負傷,または発病した軍人。
 世界各国で,戦傷病軍人に対しては特別の保護が与えられている。

*軍事援護事業
 陸軍士官兵卒給俸諸定例(1871年),
瑕疵 (かし) 兵卒家族救助令(1904年),
廃兵院法(1906年),
軍事救護法(1917年),
軍事扶助法(1937年,軍事救護法の改正)など。

*廃兵院  出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
・(各国においては)戦傷を受けて,生活能力を失った軍人を収容した施設。 1676年フランスのルイ 14世が,特定施設に収容し保護したのが始りという。
 日本では,日露戦争の際,1万 7000人の傷兵を出したことを契機に,1906年東京予備院渋谷分院に設置され,翌年豊島区巣鴨町に移転。その後,厚生省所管の傷兵保護院と改称,第2次世界大戦の敗戦とともに廃止。

<解説 福祉事務所等の歴史 概要>
1945年12月 生活困窮者緊急生活援護要綱
 1945年12月,占領軍(GHQ)からの「救済ならびに福祉計画の件」(SCAPIN 404号)に基づき,戦災者(海外引揚者・在外者留守家族・傷痍軍人とその家族・遺族)や、失業者,その家族を含む生活困窮者への救済を計画的に行うために閣議決定された要綱である。宿泊(施設収容),給食・生活必要品などの現物の給付,生業の斡旋等を,都道府県の計画に基づき,市町村単位で実施することを規定した。

1946年2月、SCAPIN 775号
 SCAPINとは,Supreme Commander for the Allied Powers Instructionの略、連合国最高司令官指令。
 775号は,1946年2月27日に出された公的扶助3原則の指令である。
 GHQは,保護の無差別平等,扶助の国家責任の明確化,最低生活保障の3原則を日本政府に指令した。これらの3原則は、後の生活保護法に原理・原則として組み込まれた。 略

 敗戦後の窮乏と混乱の状態にある国民生活に対する対策についても,占領軍の政策に従う必要があった。戦後のわが国の社会福祉政策の基盤は,ほとんどGHQの指令を通して形成されたといえる。(有斐閣 現代社会福祉辞典)

昭和21(1946)年
 1月4日 GHQが公職追放を指令
2月13日 GHQが憲法改正に関する草案を日本政府へ手交
3月6日 日本政府が「憲法改正草案要綱」発表
5月22日 第1次吉田茂内閣成立

1946(昭和21)年11月3日、日本国憲法公布
 
1946(昭和21)年、「旧生活保護法」制定
 (保護国家責任・無差別平等・最低生活保障など占領軍指令を取り入れるが、素行不良者は不適格などは救護法を引き継ぐ)
旧生活保護法 1946 昭和21年9月9日法律第17号。
 第二次世界大戦後最初に制定された公的扶助法(昭和21年法律17号)。
 無差別平等原則(1条)を規定したが,他方,保護請求権を明記せず,労働能力のある者(労働の意思のない者,労働懈怠 (けたい) 者,素行不良の者),扶養義務者のある者を保護から排除する制限扶助主義を残した(2条・3条)。最低生活保障の規定もなく,民生委員を補助機関とするなど,近代的公的扶助法として不十分なため,1950年に全面改正により現行生活保護法が成立した。
 旧生活保護法 抜粋
第1条 この法律は、生活の保護を要する状態にある者の生活を、國が差別的叉は優先的な取扱をなすことなく平等に保護して、社會の福祉を増進することを目的とする。
第 2条 左の各号の一に該当する者には、この法律による保護は、これをなさない。
 一  能力があるにもかかわらず、勤労の意思のない者、勤労を怠る者その他生計の維持に努めない者
 二  素行不良な者
第5條 民生委員令による民生委員は、命令の定めるところにより、保護事務に關して市町村長を補助する。

*共同募金community chest 有斐閣『現代社会福祉辞典』2003
 1947年から開始された「赤い羽根」をシンボルとした募金活動。国民の助け合いの精神を基調とし,民間社会福祉活動の資金援助を目的としている。制度的には,社会福祉法で規定されており,第一種社会福祉事業である。略

(1948年2月 孤児院エリザベス・サンダース・ホームの設立)
 三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘である沢田美喜が、岩崎家大磯別邸において、「混血孤児」のための孤児院として設立した。
1953年、学校法人聖ステパノ学園を併設。

1947(昭和22)年、児童福祉法 制定
1949(昭和24)年、身体障害者福祉法 制定
1950(昭和25)年、現行(新)生活保護法 制定 

民生委員法 昭和23年法律198号。

1950(昭和25)年、ケースワーカーとして「社会福祉主事」が制度化
 昭和25年5月「社会福祉主事の設置に関する法律」が制定

1951(昭和26)年、社会福祉事業法(現・社会福祉法)制定
(第1種2種の社会福祉事業制限列挙、社会福祉を援護・育成・更生などの福祉サービスに限定、社会福祉法人創設、福祉事務所の設置、社会福祉協議会設置、民生委員は協力機関に)
 10月、福祉事務所発足(民生安定所改組) 社会福祉主事は福祉事務所に専任職として配置。

1951年、社会福祉協議会の設立
 成り立ちは,第二次世界大戦後のGHQによる社会福祉における公私分離政策に基づく民間社会福祉事業の育成策の一環。
 具体的には,GHQの指導を受けた厚生省(当時)により,旧関連団体である日本社会事業協会,全日本民生委員連盟,同胞援護会等の団体が統合され,中央社会福祉協議会(後の全国社会福祉協議会)が1951年に設立されたのが始まり。

用語解説:社会福祉協議会
 地域住民と公私の社会福祉機関・団体より構成された民間組織。根拠法は社会福祉法。

・1948(昭和23)年から1949(昭和24)年にかけて、占領軍の指導のもと行われたグループワーク講習会。 

*実施機関等
・「実施機関」とは、都道府県知事、市長、福祉事務所を管理(設置)する町村の長
⇒生活保護法実施のための現業機関として福祉事務所(「福祉に関する事務所」)を設置し、保護の決定、実施等に関する権限を福祉事務所長に委任-保護の開始、変更、停止、廃止、被保護者への指導又は指示に関する権限を委任されているのは、福祉事務所長である。

・「居住地保護」と、「現在地保護」
 現在地保護とは、現在、存在している地域で保護の給付を行う。通常は,居住地で保護を行う。しかし、居住地が無いか定かでない,あるいは居住地があるが急迫した事由による場合においては,現在地で給付を行い,実施責任を現在地所管の実施機関が行っている。

生活保護法(実施機関)
第十九条 都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
 略
4 前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
5 保護の実施機関は、保護の決定及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。 略 ここまで

・福祉事務所を設置しない町村長には次の役割がある(生活保護法第19条)。
 一、急迫した事由のある要保護者に対して、応急的処置として必要な保護を行う。
 二、保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合に実施機関又は福祉事務所所長に通報する。
 三、保護の開始または変更の申請があった場合に、これを実施機関に送付する。
 四、実施機関又は福祉事務所所長からの求めに応じて被保護者等に対して保護金品を交付する。
 五、保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行う。

以上は、国立武蔵野学院 附属児童自立支援専門員養成所にて、当ブログ筆者の  担当講義のレジュメ、講義の概要より
 HPより引用「児童自立支援専門員養成所とは。非行などの問題を抱える子どもや、虐待などの理由により支援が必要な子どもたちと施設での生活を共にしながら、資格取得に向けて学ぶところです。
 国立武蔵野学院は、大正8年 (1919年) 3月に開設された児童自立支援施設です」
 児童自立支援専門員とは、児童自立支援施設において,生活指導,家庭環境調整等,ソーシャルワークによって、児童の自立を支援する専門職である。国立武蔵野学院に附属児童自立支援専門員養成所が設置されている。


当ブログ筆者の 論文 リンク

関屋光泰(2010)「簡易宿泊所街・横浜寿町地域における民間支援活動-歴史的経緯の概要」『研究紀要』第18 巻第1 号 学校法人敬心学園日本福祉教育専門学校福祉文化研究所,39-48頁


ブログ筆者の新刊 社会福祉士国家試験過去問解説集 第30回社会福祉士国家試験問題解説を執筆 中央法規出版


当ブログ筆者執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)


朝日新聞に関屋光泰コメント掲載 福祉施設介護職員のストレスケアと施設のリスク


公的扶助論 講義概要6 被保護者の権利と義務、不利益変更の禁止、勤労、節約、費用返還義務とは 子ども食堂補助金、調査結果



<参考 第2回 子どもの貧困を考える映画会>
日時:2018年7月16日(月・祝)10時00分~16時20分(9時30分開場)

<最寄り駅>JR中央線、武蔵野線 西国分寺駅南口 徒歩7分
<住所>国分寺市泉町2-2-26  <TEL>042-359-4020

参加費 500円(可能な方から・学生無料)
申込み不要

2回上映・出入自由 映画上映中の入退場はご遠慮下さい。

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークでは、市民の皆様に「子どもの貧困」について広く・深く考えて頂く機会として、この映画会を企画致しました。
 今回の映画会では、第69回カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した、『わたしは、ダニエル・ブレイク』 (2016年イギリス/2017年日本公開)を2回上映致します。

プログラム(予定)
9:30 開場
10:00 開会
10:10 『わたしは、ダニエル・ブレイク』第1回上映(~11:50)
11:50 休憩(~12:50)
12:50 トークセッション(~14:20)
     ”声をあげる”~
     『わたしは、ダニエル・ブレイク』に学ぶ貧困問題
     <ゲスト>
     猪熊弘子(ジャーナリスト)氏
     稲葉剛氏(つくろい東京ファンド代表、立教大学特任教授)
     <コーディネーター>
     中塚久美子氏(朝日新聞記者)
14:20 休憩(~14:30)
14:30 『わたしは、ダニエル・ブレイク』第2回上映(~16:10)
16:20 閉会


障害者福祉分野、障害者支援施設実習 実習目標、実習計画書の作成 社会福祉士
社会福祉援助技術実習指導 障害者福祉分野 当ブログ筆者の担当授業 レジュメの概要と補足
 障害者福祉分野、福祉施設の実習指導のクラスを当ブログ筆者は担当している。
 今回は、実習計画とその作成について 続き。2018年6月14日。
 障害者福祉分野の実習とノーマライゼーション等に関連する参考文献を4冊紹介、回覧した。

1.寺本晃久、岡部耕典、末永弘、岩橋誠治『良い支援?─知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援』2008年,生活書院
 障害者の地域生活支援における「良い支援」とは何か。誰にとって「良い」支援であると言えるのか。障害者の自立とは、自己実現、コミュニティとは何かを深めるためにこの文献を紹介した。
 また、当事者に加えて、障害者の親やきょうだい等の家族、支援を担う介助者・職員の支援と生き方についても示唆に富む。
 第4章は、当事者の親の、当事者を育て、生活と学習を支援しながら、自立生活を目指していく思いと家族としてのケアのあり方が述べられている。過去には、成人後、特に親が先立った跡の当事者は、生活の場の選択肢が入所施設のみであった。障害者福祉制度に課題があるこの国では、いまだに「親亡き後」に、様々な事情が重なって、入所施設に移らざるを得ない当事者(本人の選択とは関わりなく入所)の事例も稀ではない。4章も指摘している。
 4章のタイトルは、入所施設「ハコ」に入れるのではなく、当事者の自立生活を支える地域のサポートに繋げて、当事者の地域生活を確立するということである。これは、当事者の意志、親の側の準備として自立生活のための住まいの準備等、そして地域の社会資源側の支援を持続する決意と力量が求められる。この地域の自立生活への移行プロセスは、長期的にかつ確実に、子の将来の自立を目指し、当事者と家族の成長と共に行われている。
 下記は、授業当日に当ブログ筆者が口頭で解説した内容と補足である。
 当ブログ筆者の実践を振り返っても、ハンディキャップを持つ当事者の個性、ライフスタイル、その人らしい生き方と、社会のマナー、常識、「普通」や「当たり前」にしなければならないこととのせめぎあいの経験は少なくない。援助者、専門職は、障害者と社会の狭間に立たせられる。ハンディキャップと「普通」の板挟みである。
 例えば、頭から足までショッキングピンクといった服装や、ランニングシャツに短パン、麦わら帽子といった服装が、マナーに反する、普通ではないとされる場合もある。また、住まいの整理整頓ができない、自宅でも交通機関の車内等でも声や音が大きいこと等、当たり前のマナーを守ることができない。
 なぜ、普通に生きられないのか、当たり前のことができないのか、「空気が読めない」とされてしまうのか。
 しかし、ノーマライゼーションは、障害者にノーマルになることを強制する思想ではない。当然ではあるが「矯正」ではなく、「共生」の思想である。
 確かに、普通の枠組、マナー、モラルを共有しなければ、コミュニティは成り立たない。まして、職場においては、常識に加えてチームワークがなければ働いていくことは困難かもしれない。
 だがしかし「普通」であることを強制し合うことは、お互いに生きづらさを強いていく。不自由さ、相互監視、異質なものの排除へと追い詰めていく。「普通」の牢獄とも言えるだろう。
 ブログ筆者が実践を続けている簡易宿泊所街は、隣人や他者に対して無関心な居住者が多数派である。先述のようなマナー、人付き合い等、お互いに煩いことは言わない。プライバシーも住民同士は詮索しない。相互に不干渉な、異質さ、いい加減さに寛容なエリアである。ハンディキャップを持っていても、他の場所ではコンフリクトを生じる人も、気楽に暮らせる場であり、アジールとも言えるだろう。自由、勝手至上主義のコミュニティではあるが、「孤独」の牢獄という側面もある。
 社会福祉は、オルタナティブな道のヒントを持っている。普通の強制でもなく、孤独に引きこもることでもない。相互に理解し合い、受容し合い、支え合うコミュニティ、居場所となるグループづくり、ピアサポート等である。総じて人間は、お互いを承認し、尊重し支え合う共生のコミュニティを目指すことが出来る。その可能性はある。
 援助者は社会福祉の原点に立ち返り、板挟みを嘆くよりも、積極的に障害者と社会の媒介となり、相互の交流を促進していきたい。遠く困難な道程ではあるが、障害者福祉分野の施設から、その一歩ははじまるのだろう。後述の糸賀一雄『福祉の思想』もそのように示している。 以上、ブログ筆者コメント

『良い支援?─知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援』目次
第一部 これまでのこと、支援の実際
第1章 自立生活という暮らし方がある 
自立生活という暮らし方がある
自立生活とその支援の実際

第2章 当事者運動のかたわらで──運動と私の歴史 
自立生活運動に出会う
ピープルファーストが主張したこと
・ピープルファーストがはじまる
・当事者主体であること、それを支援すること

第二部 自立すること、支援の位置取り
第3章 それぞれの自立生活への道と自立生活獲得のための支援 
・二三年前入所施設を出て一人暮らしをはじめた重度知的当事者Jさんの場合
・本人の意思ではなく親の限界から自立生活をはじめたNさんの場合
・家族という単位が成り立たなくなったMさんの場合
・親が長年自立生活を望んできたKさんの場合
・本人の意思によって自立生活をはじめたYさんの場合
・自立生活獲得プログラムという支援者プログラム

第4章 ハコに入れずに嫁に出す、ことについて──〈支援者としての親〉論
・一〇〇メートルの憂鬱
・それから六年たち、期限を区切ろう、と思う
・ハコにいれない、ならば嫁に貰って欲しい、ということ
・親に対策することについて
・支援者から区切るほうがよい
・持参金はいらない、ということも
・そして〈きょうだい〉のこと
・最後は、どのように納得し/させられるのか

第5章 意思を尊重する、とは──ある「支援」論 
・頼むことは難しい
・託される
・流れを感じる
・どっちでもないこと
・そこにいてしまう

第6章 当事者に聞いてはいけない──介護者の立ち位置について
・利用者と介護者が一緒に過ごす時間と空間
・だらけていて、かつ緊張感のある関係
・当事者に聞いてはいけない
・金銭管理と健康管理の支援
・介護者としての責任、介護の基準
・介護という仕事、組織の役割

第7章 介助で暮らし/働く、ということについて──介助労働論 
・介助で暮らし/働く、ということ
・時間で区切り/時給で働くこと
・訪問介護……〈政府=事業者〉モデル
・キャリアアッププラン?
・介助 ……〈当事者=事業体〉モデル
・〈利用者=介助者〉という「生き方」のモデル
・「介助で、暮らし/働く」という生き方のモデル
・とにかく俺は、やっていくと思うよ。

第三部 制度のありよう、これからのこと
第8章 いうまでもないことをいわねばならない「この国」の不幸──制度論
・自分の財布と相談しながら好きなように飯を食う、ということ
・「当事者」が居て/「地域」が支える、のだから、「国」は払えばよい
・聴き/支え、まず分けるということ
・予防(監視)/制御(抑制)ではなく、見守り/見護ること
・繰り返し/蒸し返す

第9章 「見守り」という介護
・「見守り」介護の三つの意味
障害者自立支援法中での「見守り」介護の位置付け
・介護保険制度での認知症高齢者問題
・触法行為や自傷他害のある人の見守りの必要性
・入所施設から地域での「見守り」介護へ

あとがき 「お決まり」から抜け出す

引用「支援のマニュアル(略)は最近とても多く刊行されています。療育の文脈では、まず「あるべき姿」や「守るべきルール」があり、そこに適合するようにどう教えたり支援したりするかということになると思います。社会の常識に乗れるようにどう教えたり支援したりするかということになると思います。
社会の常識に乗れるようにすることが、「良い支援」なのでしょうか。けれども、そもそものあるべき姿やルールとはどのようなものなのか、問い返したくなってしまいます。もちろん生きていくために一定の教育やルールを守ったりすることや、コミュニケーションを容易にしていくことはあると思うし、そのことで楽に生きられるようになるという面はあります。ただ、ぼくはルールを守ることは生きていく手段にすぎないと思うし、ルールを守ることが先に来てしまうことが、現実的には必要なこととはわかりつつも、いつも気になってしまいます。さまざまな常識的な対応の狭間で逡巡することや、どうしても「正しさ」からはずれてしまうところに、せつなくなるとともに応援したくなってしまうことがあります。 ( 6-7頁)

引用「介助の相手が気を使ってくれることがある。オフィシャルな場所での顔とプライベートの顔はちがう。介助者の間でも、介助者Aと介助者Bに対するのとでは表情や対応や会話が変わってきたりする。介助者が相手に合わせる以上に当事者が合わせてくれていることがある。「私が相手を見ている」と同時に、私を見ている」
引用「社会的な地位向上だったり、報酬を得る(を上げる)ための根拠として「専門性」が持ってこられる。支援費以降、報酬と引き換えに資格化が条件とされた。さらに報酬単価を上げる際には、それに伴って新たな研修を受けて資格を得ることとなった。
 専門性があるかないか、必要か必要でないかと問われれば、「ある」し「必要」だと答える。しかしその専門性は「資格」と同じではない。
 いろんな人がいて、いろんな経験や目の当たりにしている状況や就労形態がある。それぞれの介護者にどの程度の専門性があるかないかということの前に、そもそも安定して介助にあたれるだけの生活を支える報酬が保障されなければ、専門性は育たない」

 第2章の中心である、ピープル・ファーストの思想、理念について。
 知的障害を持つ当事者は、従来は純粋、無垢、永遠の子どもといった捉え方、「愛護」の対象とされていた。
 しかし、ピープル・ファースト、権利の主体である。
解説:ピープル・ファースト People First
 カナダを中心に各国に広がりつつある、知的障害を持つ当事者によるアドボカシーの運動である。1973年、米国におけるシンポジウムの際,知的障害者本人たちがラベリングの痛みを話し合い,知的障害者としてではなく,「まず第一に人間として」(people first)接して欲しいという願いを表明したことが源流である。当事者たちのセルフヘルプ,自分自身の権利擁護であるセルフアドボカシーを行っていくことが強調されている。


2.糸賀一雄『福祉の思想』1968年,日本放送出版協会
 日本におけるノーマライゼーションに関連した思想として、糸賀一雄の思想は不朽のものである。もちろん、思想だけではなく近江学園、びわこ学園等の施設の創設と実践に伴うものである。

解説:糸賀一雄  (1914-68)
「近江学園」、「びわこ学園」の創設。 略 当日の配布レジュメを参照。
 重度の障害児を含めて人間としての生命の展開を支えることが重要であるとの理念のもとに、「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」と唱え、人間の新しい価値観の創造を目指した実践を行った。

解説:この子らを世の光に
 糸賀一雄の福祉実践思想を表す。世の光を障害児たちに当てるのではなく,障害児たちこそが世の光として輝いているのであって,周囲の者たちは,その輝きに気づき,大切に育てていくとともに,障害児たちが輝けるような世の中にしていこうという実践思想である。

解説:発達保障の理論
略 当日の配布レジュメを参照。

①滋賀県立近江学園とは
 略 当日の配布レジュメを参照。

②糸賀一雄・略歴
主著「この子らを世の光に」、「愛と共感の教育」、「勉強のない国」、「精神薄弱児の職業教育」、「精薄児の実態と課題」、「福祉の思想」などがある。
略 当日の配布レジュメを参照。

<参考資料>
「この子らを世の光に」糸賀一雄著 抜粋
 すべての人間は生まれたときから社会的存在なのだから、それが生きつづけていくかぎり、力いっぱい生命を開花していくのである。
 問題は子どもたちの発達の段階をどのようにしたら豊かに充実させることが出来るかということである。教育技術が問われるのはこの一点においてである。
 教育技術を生み出すもの、それは子どもたちとの共感の世界である。
 それは子どもの本心が伝わってくる世界である。
 その世界に住んで私たち自身が育てられていくのである。
 子どもが育ちおとなも育つ世界である。
 あらゆる発達の段階において、子どもたちは、このような関係の中におかれ、あわてたりひっぱたかれたりしないで、豊かな情操をもった人格に育つ。
 それはちょうど木の実が熟して木から落ちるように次の発達の段階にはいっていくのである。
 近江学園やその他多くの施設は、社会でもてあまされた子どもたちの終着駅であってはならない。むしろ始発駅であり、健全な社会そのもののいとなみである。すべての人間生命の発達を保障するという考え方が、真に日本の社会計画のなかみを形成するようになるための、ささやかではあるがもっとも具体的な試みであり、訴えである。むしろそれは発達を保障するための社会資源のひとつである。

『福祉の思想』抜粋
 「この子らに世の光を」あててやろうというあわれみの政策を求めているのではなく、この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよみがきをかけて輝かそうというのである。「この子らを世の光に」である。

<レジュメの概要 当日配布したレジュメを参照>
1.ノーマライゼーション 発展の経緯
<概要>
 デンマークのミケルセン(Bank Mikkelsen, N. E.)
 デンマークにおいて「親の会」の主張に共鳴し,その願いをノーマライゼーションということばで明示した。 略
 1959年制定の知的障害者法において,バンク- ミケルセンは「知的障害者の生活を可能な限り通常の生活状態に近づけるようにすること」と定義した。 略

 スウェーデンのニィリエ(Nirje,B. ニルジェ、ニーリエ等とも表記)
 1967年、スウェーデンで制定された知的障害者援護法にノーマライゼーションの理念が盛り込まれた。略
 同法制定に尽力したニーリエが1969年に論文「ノーマライゼーションの原理」を著した。
 ニーリエは,ノーマライゼーションをすべての知的障害者の「日常生活の様式や条件を社会の普通の環境や生活方法にできるだけ近づけること」と定義し、「1日・1週間・1年のノーマルなリズム,ライフサイクルにおけるノーマルな経験,ノーマルな要求や自己決定の尊重,男女両性のいる暮らし,ノーマルな経済的水準,ノーマルな住環境水準」といった具体的な目標を提示した。略

 ヴォルフェンスベルガー
 1972年に「可能な限り文化的に通常である身体的な行動や特徴を維持したり,確立するために可能な限り文化的に通常となっている手段を利用すること」とノーマライゼーションを定義した。 略
 「価値のある社会的な役割の獲得」(ソーシャルロール・バロリゼーション)を中核概念として提唱した。略

ノーマライゼーションとは
 社会福祉サービスの利用者も一般市民と同様に地域社会での生活を共に送ることがノーマルである。
 隔離収容や分離処遇とも訳されるセグリゲーションに対して異議を唱える理念である。略

当事者運動とは

 続く

当ブログ筆者の 論文 リンク

関屋光泰(2010)「簡易宿泊所街・横浜寿町地域における民間支援活動-歴史的経緯の概要」『研究紀要』第18 巻第1 号 学校法人敬心学園日本福祉教育専門学校福祉文化研究所,39-48頁


ブログ筆者の新刊 社会福祉士国家試験過去問解説集 第30回社会福祉士国家試験問題解説を執筆 中央法規出版


当ブログ筆者執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)


公的扶助論 講義概要6 被保護者の権利と義務、不利益変更の禁止、勤労、節約、費用返還義務とは 子ども食堂補助金、調査結果


参考資料 関連の新聞記事

 年収270万円未満の住民税非課税世帯対象 低所得家庭の学費減免 高等教育、奨学金拡充 骨太の方針

 平成30(2018)年6月6日 朝日新聞 東京朝刊

引用「5日に公表された政府の「骨太の方針」の原案には、消費増税分を使って大学など高等教育の負担を軽減する具体策が盛り込まれた。2020年度から始まる。

 主な支援対象は年収270万円未満の住民税非課税世帯。国立大に通う場合、授業料(年約54万円)を全額免除し、私立大の場合は一定額を上乗せし、70万円ほどを減額する。給付型奨学金には通学費や課外活動費、自宅外生の住宅費などが含まれ、私大に通う自宅外生なら総額年100万円規模になると想定される。

 また、年収300万円未満ならば非課税世帯の3分の2、年収300万〜380万円未満ならば3分の1の支援額を出す。

 低所得層を集中的に支援することを問題視する声もあり、自民党教育再生実行本部はより幅広い層が支援を受けられる制度として国が授業料を肩代わりし、卒業後に収入に応じて「後払い」する仕組みを提案している」引用ここまで


学校検診  大阪府の小中高生、6割が眼科未受診 背景に貧困 、ひとり親家庭、長時間労働

平成30(2018)年5月25日 毎日新聞 大阪朝刊

引用「大阪府保険医協会(大阪市)などは24日、学校の眼科検診に関する調査に回答した大阪府内の公・私立小中高校のうち、治療や受診が必要と診断された児童・生徒の6割超にあたる約2万6400人が未受診だったと発表した。

 背景にひとり親家庭や、親が長時間労働を強いられる貧困問題があるとみられる。

 調査は昨年11月〜今年1月末、府内の公・私立の1802校を対象にアンケートを実施し、270校から回答があった。

 2016年度に学校で実施された眼科検診(視力検査含む)を受け、再受診が必要と診断されたが未受診だった割合は62・9%(2万6338人)だった。養護教諭に理由を聞いたところ▽保護者の健康への理解不足▽共働きや長時間労働▽ひとり親家庭▽経済的困難−−などの回答が寄せられた。

 学校からは「眼鏡のつるが折れていてもテープで止めている」「視力低下の児童が多く座席配慮が十分にできない」「黒板が見えにくくノートをとることを諦めている」など、学習環境に支障が出ている報告も寄せられた」引用ここまで


<陸前高田・子どもの貧困>震災後 家計悪化5割 母子家庭 高い困難度

河北新報 2018年05月26日土曜日

引用「陸前高田市では、子どもがいる貧困世帯の5割で震災前より家計が悪化していることが、市の調査で分かった。非貧困世帯の家計悪化率を上回っており、被災が貧困世帯により強く影響している実態が浮き彫りになった。

 市は、震災で被災した岩手県沿岸部の市町村で初めて子どもの貧困実態調査を実施。中学生の子どもがいる世帯を対象に2017年11~12月に調査した。

 所得が平均の半分に満たない貧困世帯の中学生の割合は16.9%だった。単純比較はできないが、全国平均の子どもの貧困率13.9%(2015年)を上回っている。

 貧困世帯の52.9%が震災前より経済状況が「悪くなった」「少し悪くなった」と回答。非貧困世帯の37.7%を15.2ポイント上回った。

 貧困世帯の被災状況(複数回答)は「住まいが被災した」(52.9%)「家族が被災(死亡)した」(17.1%)「仕事がなくなった」(15.7%)など。被害程度も非貧困世帯に比べて大きい傾向にあるという。

 貧困世帯の家族構成は「両親家庭」(21.4%)と「母子家庭」(22.9%)が拮抗(きっこう)。母子家庭の割合は非貧困世帯の4.1%を大きく上回った。

 貧困世帯で過去1年間で必要なものを買えないことが「頻繁にあった」「何度かあった」のは食料で18.6%、衣料で22.9%だった」引用ここまで


 当ブログ筆者は、明治学院大学、日本福祉大学、山梨県立大学、ルーテル学院大学、日本福祉教育専門学校等の社会福祉士、精神保健福祉士受験対策講義を担当してきました。日本福祉教育専門学校において8年間、毎年合格率80%以上を維持し、第23回社会福祉士国家試験では96.1%の合格率を達成しました。
社会福祉士国家試験出題予想 受験対策講座 

社会福祉士試験予定 平成30年度
試験日 2019年 平成31年2月3日 日曜 第31回
受験申込書の提出期間
平成30年9月6日(木曜日)から10月5日(金曜日)(消印有効)まで
 受験を希望される方は、あらかじめ受験の申込みに必要な書類『受験の手引』を取り寄せる必要があります。
合格発表 平成31年3月15日(金曜日)


最新情報はこちらを参照下さい


第31回 社会福祉士国家試験2019年 試験科目及び当ブログ筆者の出題予想 専門科目 前編
社会調査の基礎
 ビックデータ、テキストマイニング、
 ロンドン調査、
 ヨーク調査、第一次貧困、第二次貧困 ラウントリー、
 社会調査の定義、エビデンスベースドプラクティスEBP、
 社会福祉調査倫理指針、基礎調査と応用調査、
 量的調査、標本調査、パネル・コホート調査、RDD法、
 サンプリング、多段階・層別無作為抽出、標本抽出法、標本の代表性、
 集団調査(コーホート分析)、パネル調査・分析
 配票(留置)調査法 (自記式 )
 質的調査・研究、グラウンデッドセオリー、KJ法、
 母集団、留置調査、個別面接調査、ダブルバーレル質問、
 先行研究の探索、リサーチクエッション、
 フィールドワーク  参与観察、観察者、完全な参与者、
 インタビュー調査法、非構造化面接

*社会調査の基礎 ポイント
 調査の倫理、
 量的調査法(質問紙作成等)、
  質的調査(フォーカス・グループ・インタビュー、エスノグラフィー、観察法等)

相談援助の基盤と専門職
 相互扶助論 ピョートル・クロポトキン、
 イギリス 新救貧法 劣等処遇の原則、宗教改革、マルサス人口の原理、
 ワークハウス、混合収容、
 チャルマーズ 隣友運動、友愛訪問、
 セツルメント、トインビーホール バーネット夫妻、
 ネイバーフッドギルド、ハルハウス ジェーン・アダムス、
 フレックスナー報告 6つの属性、リッチモンド 社会診断、ミルフォード会議、
 医療ソーシャルワーカー マサチューセッツ総合病院 キャボット医師、
 グループワークの定義、ニューステッター、コノプカ、集団と個別化、
 集団援助技術、グループダイナミックス、
 貧困の再発見、貧困戦争、アファーマティブアクション、ヘッドスタート計画、
 パールマン、ワーカビリティ、
 ソーシャルワークの統合化、システム理論、ジェネラリスト ジャーメイン ギッターマン、
 隣保相扶、恤救規則、棄児養育米、感化救済事業、下層社会、
 キングスレー館 片山潜、石井亮一、
 社会事業、社会連帯、出獄人保護 原胤昭、救済制度要義、
 浄土宗労働共済会 渡辺海旭、マハヤナ学園、
 SCAPIN 775号 公的扶助3原則、
 生活困窮者緊急生活援護要綱、民生安定所
 地域包括ケアシステムの構築、コーディネーション、連携、協働、
 ソーシャルワークの統合化、
 自助 セルフヘルプグループ、ヘルパー・セラピー原則、
 倫理的ジレンマ、看取り、リアリティショック、生命倫理、
 アドボカシー、権利擁護、社会正義、社会的コンフリクト、価値の内在化、
 ソーシャルワーク定義 国際ソーシャルワーカー連盟2000年、
 ソーシャルワークのグローバル定義 解説 2014年、社会開発、社会的結束、集団的責任、
 グループワーク シュワルツの媒介機能、
 セルフネグレクト、自立支援、
 コミュニティエンパワメント、
 ソーシャルワーカーのコンピテンシー、
 ピアカウンセリング、
 認定社会福祉士、

*相談援助の基盤と専門職 ポイント
 出題は、相談援助の理念、価値が中心
 専門職として、基盤となる基本的な考え方、社会福祉士の仕事、役割や機能を理解することが重要

第28回試験 出題傾向
・社会福祉士の行動規範 日本社会福祉士会
・IFSW ソーシャルワーク・グローバル定義
・倫理的ジレンマに関する事例問題
・日本のソーシャルワーク形成・発展過程
・自立支援に関する事例問題 等

第27回出題
「改正社会福祉士及び介護福祉士法」「貧困撲滅とソーシャルワーカーの役割に関する国際方針文書(IFSW:2010)」
「人権に関する国際的な条約」などのソーシャルワーカーの価値倫理に関する問題が 
「日本のソーシャルワーク形成過程」や
事例 医療ソーシャルワーカーの「自己決定にかかわる支援」 がん
事例 スクールソーシャルワーカー
授業中に教室を歩き回る 虐待疑い

相談援助の理論と方法
 システム論、エコロジカルモデル、ストレス対処、
 医療ソーシャルワーカー、スーパービジョン、
 コノプカ グループワーク14原則、波長合わせ、
 シュワルツの平行過程の原則
 トレッカーのグループワークの原則
 治療的グループワーク、相互作用モデル、
 ジェネラルソーシャルワーク、ライフモデル、
 モデル・アプローチ、エンパワメント、
 問題解決アプローチ、危機介入、課題中心アプローチ、
 生活場面面接、
 面接技法、質問のスキル、
 専門職の自己理解・自己覚知、
 グループワークの契約、
 中途障害者の障害受容、
 アウトリーチ、ACT包括的地域生活支援、
 多問題家族、接近困難なクライエント、孤立・孤独死予防、非自発的クライエント、
 ネットワーク構築、連携の促進、予防的対応、
 サービス・社会資源開発・計画・調査、
 相談援助の過程、カタルシス、
 インテーク面接技術、観察技術、
 ソーシャルワーク援助契約の内容、
 アセスメント基礎情報、アセスメントシート、
 アセスメント項目、発達課題、高齢期の喪失、生育歴、ストレッサー、
 ソーシャルワーク援助計画、プランニングの留意点、
 モニタリング効果測定、チームアプローチ、
 支援の終結、効果測定、評価、アフターケア、再アセスメント、支援の見直と強化、
 ストレングス視点、
 ソーシャルワークの対象、
 レジデンシャルソーシャルワーク
 ソーシャルアクション
 マクロソーシャルワーク

*この科目のポイント
①ソーシャルワーク関連の理論(モデル・アプローチ)。
 グループワーク 毎年、2問から3問出題。
②相談援助のプロセス
 +関連知識(スーパービジョン、システム理論や実験等。相談援助の基盤と専門職と重複)
・この科目は21問であり、10問が事例問題(短文の事例)

<第28回 出題>
・アプローチ、モデル 危機介入アプローチ、行動変容アプローチ
・相談援助の過程
・スーパービジョン、ソーシャルワークの記録
・ケースマネジメント
第27回国家試験
 理論・アプローチ、モデルに関する問題や、相談援助の過程に関する問題が、例年同様に多く出題
「システム理論」等

第26回国家試験
 理論やアプローチ、モデルに関する問題、ソーシャルワーク・プロセスに関する問

福祉サービスの組織と経営
 福祉運営管理・アドミニストレーション、社会福祉における運営管理の内容、
 民間社会福祉組織・団体、福祉サービスにかかわる組織や団体、
 社会福祉法人審査基準、社会福祉法人の基本的性格、社会福祉法人の定義、
 社会福祉経営、経営理念、福祉サービスの組織と経営の基礎理論、経営戦略、経営理念、
 苦情解決・対応、サービス管理、
 福祉施設の人事管理、人事考課、
 ソーシャルビジネス、コンプライアンス、福祉サービス提供組織、
 組織のコンフリクト、特定非営利活動法人の社員、理事、解散、
 社会福祉法人の合併、破産、解散、
 社会福祉法人会計基準、貸借対照表、定款、基本財産、認可の権限、公益事業、
 バーンアウト尺度、燃え尽き症候群(バーンアウト)、マスラック、情緒的消耗感、フロイディンバーガー、
 社会福祉法人の第三者評価、第三者評価機関、
 ハインリッヒの法則、リーズンの軌道モデル、リスクマネジメント、
 コンプライアンス、
 マイナスの福祉、
 運営適正化委員会、
 OJT(On the Job Training 職務を通じての研修)、OFF-JT(Off the Job Training 職務を離れての研修)、
SDS(Self Development System 自己啓発援助制度)、
 労働組合
 ライン組織
 マグレガーのX理論とY理論
 ハーズバーグの動機づけ要因・衛生要因理論
 コンティンジェンシー理論(フィドラー)
 PM理論 三隅理論
 リーダーシップに関する基礎理論
 エンカウンター・グループ
 集団の力学に関する基礎理論 グループダイナミクス
 インフォーマル・グループ
 ソシオメトリー モレノ(Moreno, J. L.)
 同調、グループ圧力
 集団規範
 われわれ感情
 集団凝集性

*頻回の出題
・「集団のパフォーマンス(課題遂行)」 第29回試験 問題122
・「リーダーシップ理論」 第29回試験 問題123
 +「管理運営理論」、「組織や経営に関する基礎理論」の出題頻度が高い。
第29回社会福祉士試験出題:集団に関して、パフォーマンス(課題遂行)等 問題122
第29回 問題119
 特定非営利活動法人(NPO法人)の概要
第29回:リーダーシップ理論 問題123
第28回試験:コンテンシェンジー理論
第28回試験出題:ハーズバーグ
第28回試験出題:マグレガー
第27回試験出題:メンタルヘルスケアの推進

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
児童虐待、ネグレクト
子どもの貧困  貧困の世代間連鎖
岡山孤児院、石井十次
福田会育児院
留岡幸助 家庭学校
バーナードホーム
「児童虐待防止法」1933(昭和8)
 第1回ホワイトハウス会議
「被措置児童等虐待対応ガイドライン」
「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために(概要)」社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会
「社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン」(厚生労働省 親子関係再構築支援ワーキンググループ)
社会的養護の課題と将来像」(児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・ 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会)
感化法

自立援助ホーム
情緒障害児短期治療施設
母子生活支援施設
乳児院
児童厚生施設  児童の遊びを指導する者 
児童養護施設 
児童養護施設等における自立支援計画
児童自立支援施設 児童自立支援専門員
母子生活支援施設
乳児院
児童相談所
養子縁組里親  親族里親  専門里親
早期療育
婦人相談所

*児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度 ポイント
児童福祉法、里親制度、関連領域の発達過程、児童虐待等


社会人学生の学習法 受験対策
 福祉施設、福祉関連の事業所等で働きながら通信課程、夜間通学で学び、社会福祉士、精神保健福祉士を目指すみなさんへ。
 今回、紹介したような各科目の重要事項を確実に理解することと、単なる言葉の暗記ではなく、内容を理解したことを過去問題集で確認する必要があります。
 過去問題集は、記事下方でご案内しています。問題が解けるレベルへの向上のため、国家試験問題に慣れるためにも過去問題集による学習の確認は、必須です。
 また働きながら、子育て、家族介護を担いながらの学びは、学習時間の捻出が容易ではありません。
 通学等のすき間の時間を活用し、このブログや各出版社の一問一答式の問題集で学びましょう。
 また、福祉実践の経験は、貴重なものです。しかし、通信、通学で学ぶ際には、知識をストレートに吸収していくことが効果的です。
 経験者、現任者が必ず国家試験に合格できるわけではありません。

 ボランティア活動経験者のみなさんへ。
 社会福祉士や精神保健福祉士養成のカリキュラムを学ぶなかで、ギャップを感じるかもしれません。
 知識偏重で、ソーシャルワークの専門性は、当事者を支えることができるのか、福祉の現場で役立つのか等、疑問もあるでしょう。
 しかし、ソーシャルワーカーは、貧困者への友愛訪問、セツルメント、青少年のグループワーク等、ボランタリーから生まれました。
 言い換えれば、ボランティア経験者のみなさんは、ソーシャルワークの源流を経たと言えるでしょう。
 長期的な視野で、学んでいきましょう。

 大学4年生のみなさんへ
 卒論、就職活動、実習等と、並行しながら、復習と受験対策を行っていくことになります。
 早めのスタートが重要です。もう受験対策をスタートしなければなりません。

 社会福祉士、精神保健福祉士を目指す全ての皆さんへ
 焦らず、諦めずに学んでいきましょう。
 皆さんを応援しています。

 当ブログ筆者

社会福祉士国家試験問題 第30回 共通科目 専門科目

試験日 平成30年2月4日(日)
合格発表日 平成30年3月15日(木)14時
合格発表  厚生労働省および公益財団法人社会福祉振興・試験センターで合格者の受験番号を掲示
受験者数  43 ,937人
合格者数   13,288人
合 格 率   30 .2 %
合格基準(合格ライン)は、総得点150点に対し、得点99点以上の者



社会福祉士試験予定 平成30年度 第31回
試験地 北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県


 当ブログ筆者が、精神保健福祉士、社会福祉士の国家試験問題(2018年2月実施)の解説を執筆しました。
 低所得者に対する支援と生活保護制度の解説を担当。
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5661-1 予価 4,104円(税込)

一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5662-8 予価4,104円(税込)


社会福祉士試験予定 平成30年度
試験日 2019年 平成31年2月3日 日曜 第31回
試験地 北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県
受験申込書の提出期間
平成30年9月6日(木曜日)から10月5日(金曜日)(消印有効)まで
 受験を希望される方は、あらかじめ受験の申込みに必要な書類『受験の手引』を取り寄せる必要があります。
合格発表 平成31年3月15日(金曜日)


第31回 社会福祉士国家試験2019年 試験科目及び当ブログ筆者の出題予想 共通科目
科目 人体の構造と機能及び疾病
出題予想 高齢者に多い疾病、認知症、ICF、健康の概念、精神障害や精神疾患、
 統合失調症、気分障害、DSM等。
 パーキンソン病、認知症、レビー小体型認知症、世界保健機関 WHO。
 生命倫理。

科目 心理学理論と心理的支援
出題予想 マズローの欲求段階説、学習理論、オペラント条件づけ スキナー(Skinner, B. F.)、
ストレス セリエ(Selye, H.)、心的外傷後ストレス障害 PTSD、
ギャンブル依存症、アルコール依存症、依存症治療 リハビリテーション、バーンアウト、
記憶、発達、モラトリアム、エンカウンター・グループ、内観法 吉本伊信

科目 社会理論と社会システム
出題予想 社会移動、社会階層、社会変動、ウェーバー Weber, Max  官僚制 権力、役割概念。
 インナーシティ、ジェントリフィケーション、ブルデュー ハビトゥス、
 カール・マルクス プロレタリアート ブルジョアジー 資本論、
 デュルケム(Durkheim,E.)、ジェンダー・トラック、リプロダクティブライツ、
 有賀喜左衛門、鈴木榮太郎、
 セグリゲーション(分離居住)。
 子ども食堂、人工知能AI、フェイクニュース、限界集落、エコビレッジ等。

科目 現代社会と福祉
出題予想 ワークフェア、バウチャー、ウェッブ夫妻 フェビアン協会、社会連帯、地域福祉活動コーディネーター、
福祉国家、ケインズ、福祉社会、福祉多元主義、
エスピン- アンデルセン(Esping-Andersen, G.)福祉レジーム、
ウィレンスキー 福祉国家収斂説、ティトマス  社会政策、
ハイエク(Hayek,F.)新自由主義、アンソニー・ギデンス(Giddens,A.)「第三の道」、
センSen, Amartya ケイパビリティ、ベーシック・インカム構想、孝橋正一、
新しい公共、準市場、社会福祉法、多文化共生、ダイバーシティ
持続可能な開発目標(SDGs)

科目 地域福祉の理論と方法
出題予想 社会福祉協議会、社会福祉協議会基本要項、住民主体の原則、運動体社協、
社協・生活支援活動強化方針、
民生委員(児童委員・民生委員協議会) 済世顧問制度、方面委員、小河滋次郎、共同募金、
レイン委員会報告、ニーズ・資源調整説、インターグループワーク ニューステッター(Newstteter,W.)、
コミュニティ・ディベロップメント、グリフィス報告 コミュニティ・ケア政策、
地域福祉計画、企業の社会貢献活動、
社会保障審議会福祉部会「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」、
テンニース ゲマインシャフトとゲゼルシャフト、
「我が事・丸ごと」地域共生社会

科目 福祉行財政と福祉計画
出題予想 福祉計画(根拠法、計画に含まれる内容)、次世代育成支援行動計画、
SCAPIN 775号 公的扶助3原則、生活困窮者緊急生活援護要綱、
認知症施策推進5カ年計画「オレンジプラン」、21世紀福祉ビジョン、
法定受託事務、自治事務

科目 社会保障
出題予想 年金保険、医療保険等。
ベヴァリッジ報告 ナショナル・ミニマム、国民保健サービス ナショナル・ヘルス・サービスNHS、
絶対的貧困 ラウントリー 貧困線、相対的剥奪 タウンゼント、
社会的排除、貧困の世代間連鎖 貧困の文化、アンダークラス、
ディーセントワーク ILO 国際労働機関、
防貧と救貧、所得再分配、
国民年金、障害基礎年金、厚生年金、後期高齢者医療制度、
エリザベス救貧法、貧民監督官、ワークハウス、院内救済、ギルバート法、院外救済、スピーナムランド制度、
ビスマルク、「飴と鞭」政策、
棄児養育米給与方 、恤救規則、救護法、
貧困家庭一時扶助 TANF、メディケアとメディケイド

障害者に対する支援と障害者自立支援制度
出題予想 障害者福祉制度の発達過程、宣言、障害者総合支援法、特別支援学校等。
ノーマライゼーション、ニーリエ Nirje, Bengt、
ソーシャルロール・バロリゼーション ヴォルフェンスベルガー Wolfensberger, Wolf、
自立生活思想、ピア・カウンセリング、障害者権利宣言、国際障害者年、障害者権利条約、
ピープルファースト、セクシャルマイノリティ、
特別支援教育コーディネーター、

低所得者に対する支援と生活保護制度
出題予想 生活保護法、生活扶助、教育扶助、医療扶助、生業扶助、保護の実施機関と実施体制、
保護施設 救護施設、被保護者の権利・義務等。
ミーンズ・テスト 資力調査、漏救、濫救、保護の補足性の原理、無差別平等の原理、
妊産婦加算,母子加算,障害者加算,在宅患者加算,放射線障害者加算,
児童養育加算,介護施設入所者加算,介護保険料加算。
扶養義務者、扶養照会、福祉事務所の調査権限、
不服審査請求、生活保護訴訟、
就労自立給付金、自立支援プログラム
指定医療機関の指定の有効期間 更新制、後発医薬品の使用。
江口英一 開放的労働市場 産業予備軍 名目的自営業、ワーキングプア
生活福祉資金貸付制度、世帯更生運動、ボーダーライン階層

保健医療サービス
出題予想 高額療養費、診療報酬制度、緩和ケア、インフォームドコンセント、クリティカルパス。
二十一世紀における第二次国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」、
COPD慢性閉塞性肺疾患、患者の権利 ペイシェント・アドボカシー、セカンドオピニオン、
社会保険診療報酬支払基金、医療ソーシャルワーカーの業務指針
済生勅語 恩賜財団済生会

権利擁護と成年後見制度
出題予想 成年後見制度、補助人、保佐人、
日常生活自立支援事業、憲法の基本原理(基本的人権の尊重 生存権等)、
生活保持義務、生活扶助義務、身上監護権
過労死


 当ブログ筆者の社会福祉士国家試験問題の解説
 当ブログ筆者は、これまで明治学院大学、日本福祉大学、山梨県立大学、ルーテル学院大学、日本福祉教育専門学校等の社会福祉士、精神保健福祉士受験対策講義を担当してきました。
 当ブログ筆者が、精神保健福祉士、社会福祉士の国家試験問題(2018年2月実施)の解説を執筆しました。
 低所得者に対する支援と生活保護制度の解説を担当。
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5661-1 予価 4,104円(税込)

一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集
中央法規出版
ISBN 978-4-8058-5662-8 予価4,104円(税込)

問題67のポイント(当ブログ筆者が解説を担当)
・保護の実施機関におけるドメスティック・バイオレンスの相談支援の事例。
・生活保護を受給するための要件とは何か。
・母子生活支援施設
・配偶者暴力相談支援センター
・母子・父子休養ホーム
・ドメスティックバイオレンス、暴力の被害、生活困窮等の危機状態
・ドメスティックバイオレンスと離婚、養育費

問題66のポイント 当ブログ筆者が解説
・福祉事務所を設置していない町村の役割等に関して。
・福祉事務所を設置していない町村は、社会福祉主事を置くことができる。
・「保護の実施機関」とは。
・福祉事務所を設置しない町村長の役割。
・「急迫した事由」とは。
・生活保護の開始または変更の申請
・被保護者(受給者)に対する指導又は指示

*受験対策 学習のポイント
 先述の社会福祉士、精神保健福祉士共通科目の出題予想は、受験対策の重要事項、キーワードです。
 今後も当ブログでは、社会福祉士や精神保健福祉士関連、受験対策等の情報を掲載していきます。
 2018年度、第31回の社会福祉士、精神保健福祉士試験を受験する皆さんは、受験対策のスタート期です。
 大学4年生のみなさんは、就職活動や実習、インターンシップ、卒業論文等、忙しい時期ですが、4年間の集大成として確実に学んでいきましょう。応援しています。
 共通科目の学習は、時間がかかります。この時期から参考書と過去問題集を活用して、講義の復習と受験対策を開始しましょう。
 当ブログ筆者

社会福祉士国家試験問題 第30回 共通科目 専門科目

試験日 平成30年2月4日(日)
合格発表日 平成30年3月15日(木)14時
合格発表  厚生労働省および公益財団法人社会福祉振興・試験センターで合格者の受験番号を掲示
受験者数  43 ,937人
合格者数   13,288人
合 格 率   30 .2 %
合格基準(合格ライン)は、総得点150点に対し、得点99点以上の者



当ブログ筆者の講義レジュメ概要等







学習のために リンク


公的扶助論 低所得者に対する支援と生活保護制度 その5 ブログ筆者の担当講義
 HPより引用「児童自立支援専門員養成所とは。非行などの問題を抱える子どもや、虐待などの理由により支援が必要な子どもたちと施設での生活を共にしながら、資格取得に向けて学ぶところです。
 国立武蔵野学院は、大正8年 (1919年) 3月に開設された児童自立支援施設です」
 児童自立支援専門員とは、児童自立支援施設において,生活指導,家庭環境調整等,ソーシャルワークによって、児童の自立を支援する専門職である。国立武蔵野学院に附属児童自立支援専門員養成所が設置されている。

1.被保護者の権利及び義務
*被保護者の権利 経緯 「生活保護法の解釈と運用」より
 恤救規則からはじまり、救護法及び旧生活保護法は、これらの救貧制度の(行政側の)運営について定めた法であって、被保護者の権利について十分な規定がなかった。
 また大正14年の「普通選挙法」において、被保護者は選挙権及び被選挙権を持たないと定められた。この被保護者の参政権の制限は、昭和22年の衆議院議員選挙法の改正によって削除されるまで継続された。
 つまり、明治から旧生活保護法までの救貧制度は、被保護者の参政権の制限と並んで、救済を求める権利を認めていなかった
・また、他国の公的扶助制度と比較をしても、被保護者の権利について独立した章を設けて定めている例はない。この現行生活保護制度の被保護者の権利は先進的な形と言える。

<解説>
*恤救規則
 1874年に府県に出された通達(明治7年太政官達162号)である。日本の救貧制度の源流である。「人民相互ノ情誼」が強調され,生活困窮者に対しては血縁・地縁による隣保相扶を優先させた。扶助の対象は無告の窮民に制限され、家族の扶養を受けられない者、極貧の労働不能者等に対象を制限した。1932年の救護法施行により廃止。

*隣保相扶とは、村落共同体を中心とした相互扶助の思想である。江戸時代の五人組制度などもその一形態である。

*救護法
 第一次世界大戦後の不況を背景に,制定された法律(昭和4年法律39号,1932年7月施行)。1946年(旧)生活保護法が制定までの,一般救貧法である。生活扶助,医療扶助,助産扶助,生業扶助(及び埋葬費)。居宅保護を原則とし,(施設への)収容保護,(私人への)委託保護を容認。

*不利益変更の禁止(第56条)
「生活保護法の解釈と運用」より
・保護実施機関の裁量などによる、窓意的な変更は許されないという規定である。
・これは被保護者と保護の実施機関との間の基本的な関係を規定したものである
 保護の実施機関が被保護者に対して保護の開始等を決定したなら、この法に定めるところの変更の手続きを正規に取らない限りは、決定された内容において保護の実施を受けることが被保護者にとっての権利となり、被保護者はその実施を請求する権利を持つ。また、保護の実施機関は、決定した保護を決定通りに実施しなければならない義務を負う
・「正当な理由」:例えば、地方自治体が保護費の予算の不足などによって、保護費の減額を決定することは正当な理由ではなく、この場合の保護費の変更は違法である。

生活保護法第56条では、「被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない」不利益変更の禁止が規定されている。

*公課禁止(第57条)、差押禁止(第58条)
・生活保護法第57条と第58条では、公課禁止と差押禁止が明示されている。公課禁止は、被保護者は最低限度の生活であり、租税の余地はない、差押禁止は民事上の債務から保護金品を保障する。
第五十七条 被保護者は、保護金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。
第五十八条 被保護者は、既に給与を受けた保護金品又はこれを受ける権利を差し押えられることがない。

「生活保護法の解釈と運用」より
(国税、市県民税の)公課禁止の規定は、保護費のみを対象とすると解釈できる。

*譲渡禁止(第59条)
・一方、被保護者の義務としては、第59条で、「保護又は就労自立給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない」。
 保護を受ける権利は一身専属権で、第三者に譲渡できるものではないことを明示している。

*生活上の義務(第60条)
「生活保護法の解釈と運用」
 この義務に違反した場合、直接的な制裁の規定はないが、保護機関の指導指示に従わない場合は、必要な手続きを行ったうえで保護の変更、停廃止がなされる場合もある。
・生活上の義務「勤労に励む」とは、単に「惰民防止」という見地からではなく、被保護者の自立助長の考え方に基づいて、この規定も定められている。
 生活保護制度の運営について注意すべき点の一つは、被保護者が保護の受給に慣れて、能力があるにも関わらず無為徒食する惰民としてしまわず、また(この影響から)一般の人々の勤労意欲を低下させないようにすることである。
 しかしこれは困難な課題であって、イギリスの救貧法の歴史から見てもこれらの公的扶助の永遠の宿題ともいえるものである。
 ただしここでいう勤労に励むことは、働く能力のない人々に求めているものではない
・「支出の節約を図る」とは、生活保護費の計画的な支出を含む。

・第60条では、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない」。

*届出の義務(第61条)
「生活保護法の解釈と運用」
 「生活の維持及び向上に努め」ていないと判断できる例
 収益を伴わない、また成功の可能性もない研究・発明に没頭するもの、また「気が向かなければ仕事をしない」という態度のものは、生計・生活の維持向上に努めていないということになるであろう。これらの行為の可否は別として。
 同じく労働争議ストライキに参加した場合も、一般的には生計・生活の維持向上に忠実に勤めているタイプとは言えないだろう。これらの行為の可否は別として。

・第61条では、「被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動」があった場合は速やかに保護実施機関に届け出る義務を課している。

*費用返還義務(第63条)
・第63条で費用を返還する義務を課している「被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない」。

*指示などに従う義務(第62条)
・第62条では、被保護者は原則として保護実施機関の指示に従う義務があり、従わない場合は被保護者に弁明の機会を与えたうえで、実施機関は保護の変更、停廃止を行うことができるとしている。
 被保護者の自由を尊重すべきことも規定されているが、保護実施機関の指導指示権限がぎりぎりのところで上回っているといえる。
62条「被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
2 保護施設を利用する被保護者は、第四十六条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。
3 保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4 保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない」

<続く>

<参考資料 講義関連>
2018/5/21 11:45 日本経済新聞 電子版
 引用「地域住民らが子供に無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」の運営を軌道に乗せようと、自治体が支援策に知恵を絞っている。食堂は全国で開設が相次ぐが、資金繰りや食材集めに窮し、閉鎖するケースもある。運営経験の豊富な民間団体に助言してもらったり、家庭で余った食材の提供を呼びかけたりして普及を後押しする。
 大阪府は2018年夏にも、福祉活動の運営実績がある団体を「コンシェルジュ」に任命し、子ども食堂の運営団体にアドバイスする制度をつくる。立ち上げなどの相談に応じたり、運営のノウハウを教えたりする。週3日以上、相談窓口を開くことなどを条件に最大450万円の補助金を出す仕組みだ。
 導入の背景には、子ども食堂の運営の難しさがある。府などによると、集まる子供の数や食材の仕入れが安定せず、短期間で閉鎖してしまうケースがある。「食堂の開設を促し、継続できる環境を整える」(府福祉部)のが狙いだ」抜粋ここまで

関連:子ども食堂補助金、地域福祉活動コーディネート、ファシリテーター、社会資源の開発、ボランティア活動

平成30(2018)年4月10日 神戸新聞 朝刊
 引用「兵庫県内でも広がりを見せる「子ども食堂」。自宅などを開放した小規模なものや、朝食を提供する形も登場し、子どもの貧困対策という意味合いを超え、見守りや学習支援、子育て中の母親のサポート、3世代交流など多様な役割を備え、子どもを核にした「つながりの場」として根付きつつある。一方、自治体の支援には地域差があり、運営費やスタッフの確保、教育・福祉との連携も課題だ。
 「気になる子どもをピンポイントで支援するのは無理。とにかく居心地のいい場所をつくりたい」抜粋ここまで

関連:子育て支援、多世代交流、小地域福祉活動、社会的孤立、ソーシャルインクルージョン、アウトリーチ

平成30(2018)年4月5日 朝日新聞 東京朝刊
引用「朝日新聞社とベネッセ教育総合研究所が共同で実施する「学校教育に対する保護者の意識調査」の結果が4日、まとまった。全国の公立小中学校の保護者7400人に聞いたところ、教育格差について「当然だ」「やむをえない」と答えた人は62・3%となり、4回の調査で初めて6割を超えた。また、子どもの通う学校への満足度は83・8%で、過去最高となった。
 調査では「所得の多い家庭の子どものほうが、よりよい教育を受けられる傾向」について「当然だ」「やむをえない」「問題だ」の3択で尋ねた。
 「当然だ」と答えた人は9・7%で、2013年の前回調査の6・3%から3ポイント以上増えた。1回目の04年、2回目の08年(ともに3・9%)からは6ポイント近い増加だった。また、「やむをえない」は52・6%で、初めて半数を超えた前回の52・8%とほぼ同じ。格差を容認する保護者は計62・3%となった」抜粋ここまで

関連:教育格差、学力格差、福祉国家、福祉社会、貧困の世代間連鎖、社会連帯、社会的排除、セツルメント

毎日新聞2018年4月6日 地方版
引用「子どもの貧困状況を把握し今後の対策に生かそうと、県が「生活実態調査」を初めて実施したところ、小中学生がいる世帯のうち1割近くが困窮状態であることが分かった。所得が低い世帯ほど子どもの教育に関する支出が少ない傾向にあることも判明し、県は市町村などと連携しながら対策を講じていきたいとしている。

関連:コミュニティワーク、住民主体、地域ニーズ

フードドライブ:余っている食品、提供して 子ども食堂に寄付 一宮であす /愛知
2018.02.24 毎日新聞地方版/愛知
引用「一宮市の名鉄一宮駅で25日、利用されない食料品を持ち寄り「子ども食堂」などに寄付しようという「フードドライブ」が行われる。一宮サウスライオンズクラブが企画し、家庭や職場で利用されない食品の提供を呼び掛けている。
 集まった食品は同市の福祉NPO「のわみ相談所」を通じ、子ども食堂などに提供される。
 寄付を呼び掛けているのは、米、缶詰、レトルト食品、インスタント食品、調味料、菓子、飲料など。生鮮食品や冷蔵・冷凍食品、アルコール飲料などの寄付は遠慮してほしいという。同クラブの杉本敏之会長(65)は「食事が満足に取れない子どもが一宮にも大勢いる。協力してほしい」と話している」引用ここまで

OSAKAおお!:大阪・ミナミの子供食堂 水曜日は一緒に食べよう 提供するのは食事と安心感 /大阪
2018.02.19 毎日新聞地方版/大阪
引用「大阪・ミナミの繁華街にほど近い一角で、地域の子供たちに無料で食事を振る舞う「子供食堂」が毎週水曜日の夜に開かれている。付近にはアジアを中心としたニューカマーの住民が多く、子供食堂の利用者も半数程度が外国ルーツだ。温かな食事と心を子供たちに届け、多文化共生の一助にもしようと、有志のボランティアらが取り組みを続けている。
 しま☆ルームは昨年6月にオープンした。代表を務める福井潤一郎さん(62)は元々薬局を営んでいたが、数年前に子供食堂に関する報道に触れて関心を持った。リタイア後、開設準備を進める中で外国ルーツの子供の支援に携わる人たちと知り合い、ニューカマーが数多く暮らすミナミで開くことを決めた。
 大阪市にある私立の建国高校から生徒が栽培した野菜の提供を受けるなど、取り組みに賛同する動きも広がっている。一方、今後の運営には課題もある。会場費は無料だが、食事は契約した近くのマンションの1室で作っているため、賃貸料と材料代で毎月約10万円かかるという。
 現在、個人でこうした経費を負担している福井さんは「一人でご飯を食べる子供を何とかしたい」と話し、安定した継続方法を模索している。
 子供食堂
 一人親世帯の子供らに低価格や無料で食事を提供する取り組み。府によると、府内には昨年9月時点で少なくとも219カ所ある。NPOや福祉団体が公共施設などで運営する形が多い」引用ここまで

夢童:子ども食堂支援プラットフォーム=菅波茂 /岡山
2018.02.16 毎日新聞地方版/岡山
引用「昨年12月23日、岡山市で「AMDA子ども食堂支援プラットフォーム」の設立フォーラムが開催された。「子ども食堂の支援と役割」についてフォーラムがあった。
 子ども食堂の必要性と役割、子ども食堂や利用する子どもたちへの具体的支援を討議した。制限がある中で支援できることの具現化を当プラットフォームの役割と結論付けた。今年中のできるだけ早期の活動開始を予定している。
 このプラットフォームの大前提は子ども食堂を運営しておられる先駆者の方々の意欲と経験を尊重することである。その上で次の3点を考えている。(1)子ども食堂への食材料の提供(2)企業などによる社会参加の機会の提供(3)子どもたちにボランティア活動を提供」引用ここまで

関連:コミュニティ、孤食、貧困家庭

子供食堂向けアンケート調査結果 等

当ブログ筆者が執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

当ブログバックナンバー
 相談、面接、生活保護受給者訪問調査
 貧困、生活困窮の子どもと家族
 アルコール依存症と生活困窮、精神科医療との連携の必要性

キーワード 生活保護不正受給問題、適正化政策、ワークフェア、バウチャー、貧困家庭一時扶助、私的扶養、ベーシックインカムとは。




公的扶助論 低所得者に対する支援と生活保護制度 第1日目 その4 当ブログ筆者の担当講義
生活保護法の「基本原理」とは 前回講義レジュメの補足
「基本原理という言葉は、人為によって左右されないという気持ちを表すために用いられている」
 小山進次郎『生活保護法の解釈と運用』1950年
 生活保護は、無差別平等であり、生活に困窮する全ての人のための制度である。保護は国民にとっては権利であり、国家にとっては責務である。
 これらを基本原理として揺るがぬものとして示している。

1.保護の原則
 生活保護法第7条から第10条まで、生活保護制度の運営上の原則(やや具体的な法実施の枠組)である。
 生活保護を具体的に実施していく場合の、行政行為の指針を定めている。
 7条「申請保護の原則」
 8条「基準及び程度の原則」
 9条「必要即応の原則」
 10条「世帯単位の原則」

1.申請保護の原則
 なぜ、生活保護制度は申請主義なのか。申請する権利があるが、原則として申請がなければ給付は開始されない
 「日本の救貧制度は、恤救規則 から旧生活保護法に至るまで、職権保護の原則(建前)がとられてきた。
 保護を受ける側の意思に関わりなく、保護が開始される(もしくは開始されない)。
 現行の生活保護法は、職権による保護の開始から脱し、申請保護の原則により、困窮した人々に保護請求権、申請する権利を認めるものである」

 しかし「申請保護の原則によって、要保護者の発見に対する保護の実施機関の責任がいささかでも軽減されたと考えてはならない待ちの姿勢ではなく、地区担当員が社会調査を実施し、要保護者を積極的に発見する、また民生委員の積極的努力を受け、要保護者について連絡を受ける、保健所、学校などで発見された要保護者につき、速やかに連絡を受けるなどして要保護者と生活保護制度とを結びつけることに最善の努力を払うべきである」

生活保護制度におけるアウトリーチ、生活困窮ニーズの掘り起こし
 実際の貧困、生活困窮問題を考えると、保護の実施機関が来談を「待つ」だけでは、困窮者への有効な支援が実施できない。
 地域における生活困窮ニーズの発見と、ニーズと資源を結びつけるソーシャルワーク的支援が求められている。
 とりわけ出向いていく形の支援、つまりアウトリーチが今日、求められているといえよう。

申請保護の原則は、生活保護法第7条に定められている原則で、
①保護は申請にもとづいて開始すべきこと、
②申講権者の範囲を規定したこと、
③但し書きとして急迫した場合に職権保護が補完的に可能であることの3点がその趣旨である。
 また、保護の開始については、実施機関は保護申諸のあった日から原則14日以内に保護の要否等について通知すべきことが規定されている。

・『生活保護法の解釈と運用』 子どもの生活保護の申請は 
・「被保護者」とは、生活保護を受給している保護者であり、保護を要する者のことをいう。
・「保護率」とは通常人口千人当たり被保護者人員数=パーミル(‰)で表示する。

2.基準及び程度の原則
 この「程度」とは、要保護者の資力で充足することができない、保護基準からの不足を補う程度とする。

 生活保護法第8条に、第3条「健康で文化的な」最低限度の生活を、具休的に決定する場合の手続きや考え方を規定している。その趣旨は、
①保護の基準は厚生労働大臣が決定すること、
②この基準は最低限度の生活に十分である一方、この限度を超えてはならないこと、
③保護の程度はミーンズ・テストを行ってその不足分を補うものであることの3点である。

生活保護の収入認定とは
 要保護者の資力の認定のことを収入認定と呼ぶ
 収入認定においては、冠婚葬祭の場合の祝い金や香典料、社会福祉団体などからの臨時的に送られた慈善的性質の金銭、地方公共団体などからの福祉増進のため条例に基づき定期的に支給される金銭のうち、一定限度以内の額については認定の適用除外として収入として取り扱わない。

3.必要即応の原則
 生活保護を機械的、画一的に運用することなく、制度上認められる限り、要保護者の個別的な必要性を重視する原則である。
 生活保護法第9条に、「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態などその個人または世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする」と定めており、保護の実施は要保護者の個別事情の違いに応じて柔軟に対応すること、というものである。

4.世帯単位の原則
 生活保護法第10条に、「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする」と規定し、状況により個人を単位とする世帯分離についても定めている。
 原則として、住居と生計を同一にしている場合を同一世帯として認定する。
 「世帯単位の原則」が規定されているが、個人を単位とする世帯分離も定められている。

*小山進次郎 (1915-72)
 1950年,(現行)生活保護法の制定に参画した。
 1950年の著書『生活保護法の解釈と運用』

 HPより引用「児童自立支援専門員養成所とは。非行などの問題を抱える子どもや、虐待などの理由により支援が必要な子どもたちと施設での生活を共にしながら、資格取得に向けて学ぶところです。
 国立武蔵野学院は、大正8年 (1919年) 3月に開設された児童自立支援施設です」
 児童自立支援専門員とは、児童自立支援施設において,生活指導,家庭環境調整,関係機関との連携等,ソーシャルワークによって、児童の自立を支援する専門職である。国立武蔵野学院に附属児童自立支援専門員養成所が設置されている。

<参考資料 講義関連>
2018/4/10 06:20神戸新聞NEXT 神戸新聞 朝刊
引用「地域の子どもらに無料か低額で食事を提供する「子ども食堂」が、兵庫県内の21市2町で計98カ所運営されていることが、各自治体への取材で分かった。
 子どもの貧困対策や居場所づくりとして認知度が上がったことを背景に、ここ数年で全国的にも急増。自治体による財政支援も開設を後押ししているようだ。
 子ども食堂は2012年に東京で始まったとされ、現在は主に地域住民やNPO法人、民間団体などが運営している」抜粋ここまで

2018年03月24日 06時00分 西日本新聞
引用「「子ども食堂」について、九州の運営者にアンケートしたところ、7割が「来てほしい家庭の子に来てもらえない」とニーズ把握に悩んでいることが分かった。17日に福岡県春日市であった「広がれ、こども食堂の輪! 全国ツアーin福岡&九州サミット」の実行委員会が調査した。
 実行委は「地域や子どものニーズに合わせて食堂の形態を考えていく段階に来ている」と指摘する。
 アンケートは2〜3月に実施。九州7県で子ども食堂を運営する49の団体・個人から回答を得た。
 利用対象者を尋ねたところ、7割以上が「大人を含めて誰でも」。子ども食堂は貧困対策を出発点としてきたが、最近は家庭や地域に居場所のない子の受け皿になった
り、学習支援の場になったりと形態が多様化しており、対象を「生活困窮家庭の子」に限っているのは2カ所だけだった」抜粋ここまで

関連:アウトリーチ、アクセシビリティ、接近困難なクライエント、地域福祉活動、ソーシャルサポートネットワーク、共生社会、ソーシャルインクルージョン

貧困の連鎖、解消狙う 子ども向け学習支援事業、充実 /埼玉県
2018年02月14日 朝日新聞朝刊埼玉全県
引用「県が掲げる課題の一つが「貧困の連鎖解消」だ。負の連鎖を絶つために生活困窮者の子ども向け支援を充実させる。2018年度予算案に、小学生から高校生までの学習支援促進事業費として1億448万円を計上した。
 県は10年から中・高校生向けの学習支援「アスポート事業」を行っているが、日本財団の調査では、貧困による学力差は小学校低学年から生じる。物事に取り組む意欲など生きていく上での力、非認知能力も同様の傾向を示すという。
 県は小学生の早い段階から、学力向上とその土台となる非認知能力の育成が重要と判断。新年度から小3以上の児童を対象に「ジュニア・アスポート教室」を開くことにした。
 社会福祉課によると、県内の生活保護受給世帯の小学生は4025人(15年度)。その他、就学援助が必要と認められる児童も対象となる。
 具体的な活動内容は、支援員やボランティアによる学習・生活支援、キャンプや化学実験などの体験活動、食事の提供など健康支援の三つで、地域のNPOや子ども食堂、フードバンクなどと連携する」引用ここまで

県、「子ども食堂」で数値目標 子どもの貧困対策で行程表 /愛知県
2018年02月20日朝日新聞朝刊名古屋
引用「貧困家庭に育つ子どもの支援策を部局横断で検討する県の「子どもの貧困対策推進プロジェクトチーム(PT)」は19日、2018年度から5年間の施策の進め方をまとめた「子どもが輝く未来へのロードマップ」をまとめた。
県のまとめでは、市民団体などが無料や低額で食事を提供する子ども食堂は17年度に24市町の計56カ所だったが、5年後には県内全域の200カ所に増やせるよう、取り組みを支援していく」引用ここまで

(りぽーとFUKUOKA)子ども食堂に居場所あるよ 田川の居酒屋、手応えと自問/福岡県
2018年02月26日 朝日新聞朝刊福岡
引用「田川市の居酒屋「花野の香」の入り口にカラフルな「こども食堂」の横断幕が立つ。
「花野の香」は、田川地区で初の定期開設の子ども食堂だ。運営者の山本敬子さん(37)は、2歳の長男の世話をしながら夜の居酒屋と昼のランチ営業を切り盛りする子育て世代。飲食業を営む者として「食」で地域の子どもたちに還元したいと、かねて構想をあたためていた。昨年7月、土曜のランチ営業を取りやめて踏み切った。中学生まで無料、高校生は300円。おかわりもできる。
 応接スタッフは近くの県立大学の女子学生有志がボランティアで務める。調理スタッフは店の従業員ら。
 山本さんは当初、家庭の経済的な事情で満足に食べられない子が来るだろうと想定して身構えていた。だが実際に始めてみると、「お金はあっても、ふれあいが足りない子がいるのでは」と感じる。「本当に必要としている子に『ここに居場所があるよ』と声が届いているか」との思いを常に抱いている。
 運営は、ひと月あたり数万円の自費をかける山本さんの熱意と、話を聞きつけてお米を提供してくれる人や、おつりを寄付してくれる居酒屋の客たちの善意に支えられている。
(子ども食堂は)広がるにつれ、共通の課題も明らかになっている。その一つが、子ども食堂を本当に必要としている子へどう情報を届けるかだ」引用ここまで

関連:ニーズと資源の調整、ニーズの把握・掘り起こし、困難を抱えている子ども・家族、教育の機会の均等、フードバンク、切れ目のない支援、生活保護費の削減、里親、特別養子、居場所づくり、子どもの貧困対策検討会議

2018/4/6 0:15日本経済新聞 電子版 日本経済新聞 電子版
引用「経済的に厳しい子育て世帯に対し、新入学準備や課外活動などの就学援助を強化する動きが都内の自治体で相次いでいる。
 品川区や豊島区などは入学準備金を増額したほか、支給時期も前倒しする。文京区はPTA会費や中学生のクラブ活動費も支援の対象とする。さらなる負担軽減を進めて効果的な貧困対策につなげる。
 就学援助とは、経済的な理由で就学が難しい子どもの保護者に自治体が財政支援する制度。生活保護の家庭と、各自治体が生活保護に近いと判断した「準要保護」の家庭が対象」抜粋ここまで

関連:貧困の世代間連鎖、ヘッドスタート

平成30(2018)年3月23日 神奈川新聞 朝刊
引用「子どもの貧困が社会問題化する中で県が2016年度に設置した「かながわ子どもの貧困対策会議」が、2年間の活動の集大成として提案書をまとめた。
 高校生や大学生の意見も取り入れた内容で、22日、県庁で黒岩祐治知事に提出した。
 同会議は有識者や子どもの支援を担う福祉、教育関係者などで構成。ひとり親家庭へのアンケートや、児童相談所、市町村、自立支援施設などの職員約2千人を対象に
意識調査を行う一方、高校生や大学生らでつくる子ども部会を設置し、当事者の声を吸い上げてきた」抜粋ここまで

関連:利用者主体、エンパワメントアプローチ、マクロソーシャルワーク、政策提言

毎日新聞2018年4月3日 大阪夕刊
 引用「生活保護世帯の子どもが大学に進学するのは、依然としてハードルが高い。
 小さいころから保護を受けて育った大阪府出身の女性(18)はこの春、関西地方の私立大に進んだ。貧困、虐待、家出--。数々の苦難の末に手にした切符だが、進学と同時に保護の対象から外れるため、台所事情は苦しい。「学校の先生になるのが中学校のころからの夢だった。でも、奨学金を返すの大変だろうな」。その胸には、期待と不安が交錯している。
 3歳の時に両親が離婚。家計を支えようと、母親は二つの仕事を掛け持ちした」抜粋ここまで

関連:生活保護の自立支援、生活保護世帯の教育問題、教育格差、教育扶助と生業扶助、世帯単位の原則と世帯分離

2018年5月20日(日)東奥日報 朝刊
引用「2017年度に県内6児童相談所(児相)に寄せられた児童虐待に関する相談件数は
1073件となり、統計を開始した1996年度以降、過去最多を更新したことが19日まで
に、県こどもみらい課のまとめで分かった。同課は全県的に児相通告への意識が高ま
り、件数増加につながったと分析している」抜粋ここまで
児童相談所と警察等の連携

関連:ネグレクト、心理的虐待、多問題家族、子育て支援


当ブログ筆者が執筆
精神保健福祉援助演習(専門)第2版
精神保健福祉士シリーズ 10
福祉臨床シリーズ編集委員会 編

ISBN978-4-335-61117-9
発行日 2016/02/22 弘文堂

第8章 地域における精神保健問題(依存症と生活困窮)

当ブログバックナンバー
 相談、面接、生活保護受給者訪問調査
 貧困、生活困窮の子どもと家族
 アルコール依存症と生活困窮、精神科医療との連携の必要性

キーワード 生活保護不正受給問題、適正化政策、ワークフェア、バウチャー、貧困家庭一時扶助、私的扶養、ベーシックインカムとは。

キーワード 最低生活費、セーフティネットとスプリングボード、生活保護制度の在り方に関する専門委員会、垂直的再分配、水平的再分配、地域的再分配、社会連帯、ナショナルミニマム。

<参考>
 『保育料・教育費無償化と子どもの貧困を考える』
 政府は、3歳以上の子どもの保育・幼児教育の無償化に向けて動きをすすめているとされます。
 5歳児については、2019年度から先行されるとの報道もなされていますが、十分明らかにされていません。
 また、保育所・幼稚園に通うには保育料以外の保護者負担分もあり、その点については言及がありません。
 一方、無償とされる義務教育での保護者負担の高さは、これまでにも指摘されています。
 特に給食費については、中学校での実施の有無を含め、自治体ごとの違いが大きいとされます。
 今回は、保育料・教育費無償化をテーマに、学び、議論する機会としたいと思います。
 あわせて、北海道、沖縄の子どもの生活実態調査から、報告をお願いしています。
日時 2018年6月16日(土)13:00~16:10(開場 12:30)
定員 100人
資料代 500円(可能な方より・学生無料)
プログラム(予定)
各地の取り組み
・北海道・札幌市 子どもの生活実態調査から
 松本 伊智朗さん/北海道大学教授

・沖縄県乳幼児調査から
 山野 良一さん/沖縄大学教授

報告
・「保育料無償化と子どもの貧困問題」
  丸山 啓史さん/京都教育大学准教授
・「学校給食と子どもの貧困」
  鳫 咲子さん/跡見学園女子大学教授
主催:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク
助成:公益財団法人 キリン福祉財団