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社会福祉士 ソーシャルワーク 相談援助 実習目標【特別養護老人ホーム 等 高齢者福祉】実習計画書 例文 介護福祉士実習
実習目標・実習計画の例
・特別養護老人ホームの実習では、非言語的コミュニケーションも重要であり、関わりが出来るようになる。
・コミュニケーションの取り方を理解し、非言語的コミュニケーション技術を習得し、活用できるようになる。
・施設の生活相談員の業務体験と実習により、利用者像や家族、施設の役割、地域とのつながりを理解する。
・ケアマネジメントの実践から学び、ニーズの把握やサービス計画作成の手法を習得する。
・実習全体を通じて、利用者とのコミュニケーションや個別の介護計画について学ぶ。
・高齢者の問題解決には福祉分野だけでは限界があり、行政や関係機関との連携が重要であるため、その実際を理解する。
・介護支援専門員や生活相談員に同行し、困難事例の実態と対応方法を学ぶ。

主要な目標:特別養護老人ホームの実習を通じて、利用者と社会福祉士等職員の理解を深め、施設と地域のつながりを学ぶ。
・施設の利用者の社会的背景を理解する。
・施設の職員集団内部における協働関係、多職種の連携を理解する。
・利用者の身体的精神的ニーズを理解する。生活支援の実際から学ぶ。
・在宅福祉サービスの役割と実際の運営を理解する。
・施設が地域社会に果たす役割、社会貢献活動を理解する。
・実習を通じて、職員配置や職種間の役割分担、サービス手順などを学ぶ。
・施設の運営管理について理解を深める。
・施設が地域の社会資源であることを認識する。

【新しい社会福祉士実習対応 実習計画】
・利用者やその関係者、施設・事業者・機関・団体、住民やボランティア等との基本的なコミュニケーションができるようになる。利用者との関わりによって、その生きがいを支える方法を学ぶ。
・利用者やその関係者との援助関係の形成できるようになる。利用者のいのちの尊厳を支えるケアの基盤となる援助関係の実際を学ぶ。
・利用者や地域の状況を理解し、そのニーズの把握、支援計画の作成と実施及び評価ができるようになる。生活を支えるケアの計画の立案と計画の実施の実際を学ぶ。
・利用者やその家族・親族への権利擁護活動について理解する。利用者本位のケアとアドボカシーのあり方を考える。
・特別養護老人ホームにおける多職種連携及びチームアプローチの実践的に理解する。施設の運営方法や課題について学ぶ。
・社会福祉士としての職業倫理と組織の一員としての役割と責任を理解する。高齢者虐待の実際や支援、予防の取り組みを現場から学ぶ。
・特別養護老人ホーム等の施設の経営やサービスの管理運営の実際が理解できるようになる。特別養護老人ホームにおいて社会福祉士が、施設経営等の役割について学ぶ。
・実習先の特別養護老人ホームが、地域社会の中で果たす役割と、地域社会への働きかけを理解する。コミュニティに貢献できる施設のあり方を考察する。
・高齢者福祉におけるアウトリーチの実践として、会話等の関わりも拒否される事例、話しかけても反応がない事例について、実習を通じて実践のあり方を学ぶ。

・実習を通じて認知症ケアの実際を学ぶ。
・実習を通じて看取り介護の実践と留意点を学び、利用者の人生の最期を受け止め支える方法を考察する。
・利用者との関わりやケアの場面を通して、ユニットケアにおける支援のあり方を利用者に寄り添いながら理解を深める。
・実習を通して、地域で生活する高齢者の社会的孤立を予防するための包括的な支援のアクセシビリティを現場で考える。


【特別養護老人ホームとは 施設の概要】
・特別養護老人ホームは老人福祉施設の一種であり、介護保険法に基づいたサービスを提供している。
・入所対象者は身体や精神に重度の障害があり、在宅介護が困難な要介護者である。
・特別養護老人ホームは施設単体のサービスだけでなく、デイサービスやショートステイなどの居宅サービスや相談機関を併設していることが多い。
 地域においては総合的な介護センターとしての役割を果たしている。

【特別養護老人ホームの社会福祉士・生活相談員の職務内容】
施設入所に伴う面接、カンファレンスへの参加
退所支援および手続き
ショートステイ入所に伴う支援。実習生、ボランティア等の受け入れと育成
契約の締結および変更・解除
リスクマネジメント
成年後見制度等に関わるサポート、相談
情報公開と広報活動
個人情報保護
施設の評価などに関する業務

連絡調整業務
家族間調整
地域との連携・調整
他機関・行政との連絡調整
職種間調整など

訪問、グループワーク、コミュニティワーク、ネットワーク等の職務

「社会的養護・児童福祉」第4回 前篇 筆者の講義
概要:児童福祉法の改正により、子どもたちの権利保護が強化され、専門的な支援体制が整備されることが期待される。
 改正後は子どもたちが権利の主体として位置づけられるようになった等。「家庭養育優先原則」。
 一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入や、子ども家庭福祉の実務者の専門の向上を目指す取り組み等の改正点。
*児童福祉法の制定
・児童福祉法は1947年に、戦後の困窮する子どもの愛護・救済、すべての児童の健全育成を目的として制定された児童福祉に関する基本的・総合的立法(昭和22年法律164号)
【その背景】
・日本では、第二次世界大戦による本土の空襲や、出征先で戦死によって生じた子供が多かった。戦災孤児の総数は12万余りにのぼったとされる。
・戦災孤児とは、戦争の結果、保護者を失った子どもを指す。
 当時の戦災孤児は、食糧難や社会的冷遇に苦しみ、駅や路上で貰いや靴磨きなどで生活した。栄養失調や病気で死亡、犯罪に手を染める子どもも。
 戦災孤児の保護は、厚生省や自治体が「浮浪児」として収容施設に送る「狩込」などの措置をとった 。

*児童福祉法の2016年改正 概要 
・「家庭養育優先原則」とは 講義にて解説
・児童の権利に関する条約の精神に則っている=児童福祉法の理念が明確
・改正前の「すべて国民は」が「全て児童は」に置き換わり、子どもが権利の主体として位置づけられた。
・改正後の児童福祉法第2条では、児童の意見が尊重され、最善の利益が考慮される。
・改正の全体像とは 講義にて解説

*以降の児童福祉法の改正点について
第1点目 児童相談所長や都道府県知事が児童に関する決定を行う際に、子どもの意見を聴取することが法制化された。
これは、子どもの権利に関する条約である「意見表明権」に基づいたものであり、児童の意見を尊重することが求められる。

第2点目 一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入。
これにより、一時保護が適正に行われ、児童の権利に関する条約第9条や、親権者による育成責任の法改正に基づく法的手続きが確立される。

最後の改正点 子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上を目指す。国の基準を満たした認定資格を導入することで、ソーシャルワークの専門性を身につけた人材を早期に輩出し、児童福祉の現場での専門的なサポートを行うことができるようになることが狙い。
 以上の改正点により、児童福祉における児童の権利保護が強化され、専門的な支援体制が整備されることになる。

【児童福祉法 概要】
 児童の福祉を促進するための法律で、児童福祉施設や事業などの制度や基準を定めている。
 児童福祉法は、1947年に制定され、その後何度も改正されている。最近では、2021年6月に児童虐待防止や子育て支援の強化を目的とした改正が成立した。
 児童福祉法は、児童の権利の擁護や健全な発達を保障することを目的としており、国や地方公共団体、関係機関や団体に対して責務や努力義務を課している。

*家庭と同様の環境における養育の推進 
家庭養育優先原則の根拠となる条文が設けられた。
優先順位=家庭養育が適当でない場合
②児童は家庭と同様の環境で養育される
③良好な家庭的環境

「家庭における養育環境と同様の養育環境」は、養子縁組、里親家庭、小規模住居型児童養育事業を指す。
③は小規模グループケアや地域小規模児童養護施設など、施設でも家庭に近い環境で養育される

児童福祉法
第三条の二 国及び地方公共団体は、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならない。
ただし、児童及びその保護者の心身の状況、これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童を家庭において養育することが困難であり又は適当でない場合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、
児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあつては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならない。

*児童育成の責任
新設された第2条第2項により、
保護者が根本的な責任を負うことが確認され、
その上で国及び地方公共団体が児童の保護者を支援し、児童が家庭において心身ともに健やかに養育されるようにするため、家庭養育の尊重と支援が法律で示されるようになった。

*児童の代替的養護に関する指針
児童福祉法改正において家庭養育が優先される理由は明記されていないが、児童の権利に関する条約の前文には家族が自然な環境であることが述べられており、児童の代替的養護に関する指針でも家庭養育優先原則が支持されている。

2022年の児童福祉法のさらなる改正案は、子育てに困難を抱える世帯が増えている現状に対応して可決、公布された。改正内容には、子どもの意見聴取等のしくみの整備が含まれる。

児童福祉法の改正、家庭養育優先原則【社会的養護・児童福祉】第4回前篇 筆者の講義_f0206007_09352113.jpg

社会福祉士 相談援助 ソーシャルワーク実習目標【児童養護施設等】実習計画書の書き方 保育士の施設実習
実習目標・計画の例
・児童養護施設における支援の実践を理解する。施設の機能と役割も総合的に理解する。
・入所児童の家庭的・社会的な背景を正しく理解し、施設とその職員の方々が、児童をどのように支援しているのかを実際に関わり、参加しながら理解する。
・子どもたちと一緒に生活し、共感しながら、日常生活の支援や遊び、宿題の補助などを通じて支援方法を学ぶ。
・社会福祉士等、児童指導員、保育士の職務の内容と、多職種の連携を理解する。支援計画の立て方や実施の方法、連携の方法を学ぶ。
・児童の家族への支援の実際や、家庭復帰に向けた取り組みについて学び、児童相談所や他の関係機関との連携を理解する。
・学校との連携の重要性を理解し、虐待を受けた子どもに対する正しい理解と対応方法、施設と学校との連携方法を学ぶ。
・被虐待児に対する個別対応職員や心理職員の支援方法について理解する。
・子育てに支援を必要とする家族・保護者にも関わり、虐待事例への対応の留意点、面接や訪問等、家族への支援のあり方を現場から学ぶ。
・母子世帯等の当事者の声を聴き取り、子育て支援のニーズと支援のあり方について考察を深める。
・虐待等の家族問題の要因となる、アルコール依存症、ギャンブル依存症の問題についても理解を深める。
・家族の面接への同席、家庭訪問への同行等を通して、家族の支援の現場において考察する。
・実習を通して、子どもと向き合い、深く関わるなかで、ソーシャルワーカー像(施設の保育士)を獲得し、児童福祉の実践者を目指す。
・ソーシャルワーカー(施設の保育士)を目指す私とは何者なのか、支援の対象とは誰か、支援を必要とする問題とは何か。ソーシャルワークの支援(保育)の意味とは何か。これらの課題を現場において探求する。
・施設と地域社会との関係について学び、地域の子ども会やスポーツ団体への参加状況を理解する。
・児童との関わりを通じて、信頼関係を構築する
・施設職員の方々のご指導やアドバイスに真摯に耳を傾ける
・児童のプライバシーや人権に配慮した行動を常に心がける
・児童養護施設の運営に必要な知識・技能を積極的に習得する

・児童養護施設において、実習生として共に生活し児童に寄り添うなかで、家庭的な養護における施設や職員のあり方を学ぶ。
・児童養護施設における学習の支援や自立に向けた取り組みの方法・あり方を参加しながら学ぶ。
・社会や家族等環境の影響を受け、施設入所に至った子どもの成長を支える児童養護施設における支援の技術と、その根幹にある価値について、実践の現場から学ぶ。
・児童養護施設において虐待を経験した子どもの心身や行動への影響、その支援の実際を子どもに関わり、寄り添いながら学ぶ。
・母子生活支援施設において、可能なかたちで利用者に関わり、また記録や職員の方々からご教示を頂きながら、利用に至った生活困窮やドメスティック・バイオレンス等の問題と、危機介入及び今後の生活再建の支援の方法・あり方を学ぶ。

【厚生労働省が示す「ソーシャルワーク実習の教育に含むべき事項の10項目」対応】
・利用者や家族、関係者(友人等)、施設・団体、住民やボランティア等との円滑なコミュニケーション、関係の形成を図る。特に地域の子ども支援に関わる、子ども食堂等のボランティアとの交流を深め、活動の動機、支援の内容、実践知、展望などについて活発な意見交換を行う。
・利用者やその関係者(家族・親族、友人等)との援助関係の形成を図る。利用者とは共同生活を行う中で向き合い、人間的な関わりを構築していく。利用者の家族面接の機会に同席し、家族の声を聴き取ることに努める。
・利用者やその家族、関係者への権利擁護活動とその評価。入所児童の過去の虐待、現在の権利侵害について理解に努め、子どもへのの権利意識向上の働きかけと、子どもの権利擁護の具体的な取り組みへとつなげていく。

【実習の目的 まとめ 児童養護施設実習】
・児童養護施設の運営や、児童の支援に関する知識・技能を習得する
・児童の心理・社会的背景や家庭環境について理解を深める
・児童との関わりを通じて、支援・保育のあり方を考える
・児童の支援・保育の実践的な実習を通じて、自己の現在の課題と、専門職を目指すうえでの課題を考える

【実習内容 児童養護施設 社会福祉士、保育実習 等】
・児童の生活支援への参加
 ・食事場面での関わり
 ・生活環境の整備や掃除などの日常生活支援
 ・レクリエーションや遊び、学習支援

・児童の個別支援への参加
 ・対話やコミュニケーションを通じた関わり
 ・支援者としての役割を考える
 ・感情や行動の変化に気づき、的確な対応を行う

・児童との関わり方や支援技術の習得
 ・専門職員やスタッフとのコミュニケーションの取り方
 ・児童の発達段階や個別性に合わせた支援技術の習得
 
・施設運営や社会福祉に関する理解の深化
 ・児童福祉法や児童虐待防止法などの法律や制度の理解
 ・社会福祉や教育機関との関係性や協働の必要性の理解
 ・施設の理念や目的に基づく運営や支援の実践

【実習のスケジュール】
1日目:施設見学、施設概要説明、ミーティング、児童との関わり
2日目:生活支援業務、レクリエーション
3日目:児童との関わり方や支援技術の向上
4日目:児童の学習支援、
5日目:施設の特別活動
 以降、子どもたちとの交流(遊びや食事など)、子どもたちの学校への送迎、子どもたちの支援に関する課題、ケース会議への陪席、施設運営や社会福祉に関する理解の深化、支援計画の作成、児童との面談の実習、スタッフとの振り返り会・意見交換等

【実習終了後の取り組み】
・児童養護施設での実習の内容、経験、感想を報告する
・実習を通じて得た・児童養護施設での子どもたちの生活や支援についての理解と考察
・児童福祉に関する知識・技能、課題、今後の取り組みについて考える
・児童養護施設職員の業務や役割についての理解と認識の深化


【児童養護施設とは 根拠法 設置の目的】
・児童福祉法に規定されている。
・対象は、保護者のいない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童
 上記の児童を入所させ、養護と自立のための援助を行うことが児童福祉法に規定されている。
・運営要領によると、保護者のない児童には、父母と死別した児童、遺棄された児童等が含まれる。
 虐待されている児童その他環境上養護を要する児童とは、保護者がいるが虐待されている児童、福祉を阻害する行為を受けている児童、家庭環境により必要な監護や衣食住が受けられない児童を指す。

・児童福祉法改正により、自立を支援することを目的とする施設が規定され、生活指導や職業指導を通じて児童の自立を支援し、家庭環境の調整を行うことが位置づけられた。

・総じて、児童養護施設とは、保護者のいない児童や虐待されている児童など、社会的な養護が必要な児童が生活する施設である。

【児童養護施設の 現状と課題】
・2019年時点で全国に605カ所あり、約2万5千人の子どもたちが生活している。
 児童養護施設への入所理由のおよそ65%は虐待によるもので、虐待を受けた子どもたちには個別対応職員や心理療法担当職員などが支援を行っている。
・児童養護施設で暮らす子どもたちは、地域の学校に通い、友達と遊び、地域社会からも多くのことを学んでいる。しかし、高等学校卒業後の進学や自立に関しては様々な課題がある。
 児童養護施設で生活する子どもの大学等の進学率は、全国平均を大きく下回っている。
 退所後の社会的な孤立や、職業や経済的な不安定もあり、自立した生活を送ることが困難な場合もある。

・児童養護施設で暮らす子どもたちの権利や福祉を保障するためには、児童福祉法などの法令を遵守することが必要である。
 家庭と同様の環境における養育を推進するために、里親制度やファミリーホームなどの家庭養護への取り組みも重要である。

【欧米の社会的養護】
・欧米では、施設養護というよりは、 foster care(里親制度)や adoption(養子縁組)という家庭的養護が主流である。
 児童養護施設は、一時的な保護や特別なニーズを持つ児童のために残されている。
- 児童の利益が最優先されるという法的・倫理的原則がある。児童虐待やネグレクトなどの危険がある場合は、迅速に保護され、親権を停止・剥奪される場合もある。
- 基礎自治体が児童福祉の主体となり、多様な民間支援団体や相談機関と連携して総合的な支援を提供する。
- 里親や養子縁組は、児童の永続的な家庭を確保するための最善の選択肢とされる。

*欧米の社会的養護の課題
- 移民や難民の増加により、文化的・宗教的な違いを持つ児童や家庭への対応が難しくなっている。里親や養子縁組のマッチングや支援にも、マイノリティへの支援、多様性や包摂性が求められる。
- 里親や養子縁組の質の確保と評価が求められている。


トラウマインフォームドケア
概要:トラウマに関する知識や対応技術を身につけ、対応する支援の枠組みであるトラウマインフォームドケア(TIC)が注目されている。医療、福祉、司法、教育など多様な領域で活用が進んでいる。
関連ワード:トラウマサバイバー、自然災害、暴力、子どもへの虐待、ネグレクト
 トラウマインフォームドケア (TIC)とは、支援者が子どもの行動化の背景にトラウマがある可能性を考慮し、トラウマに関する知識や対応技術を身につけ、対応する支援の枠組みである。
* 3 つの「 E」
Event(出来事や状況)
 個々のトラウマは、出来事や状況の組み合わせの結果として生じる。
Experience(体験)
 身体的または感情的に有害であるか、または生命を脅かすものとして体験(Experience)される
Effect(長期的な悪影響)
 個々のトラウマは、、個人の機能的および精神的、身体的、社会的、感情的またはスピリチュアルな幸福に、長期的な悪影響(Effect)を与える。

*4つの「R」
Realizes: トラウマインフォームドなプログラム・組織・システムはトラウマの広範な影響を理解する。
Recognizes: クライエント・家族・職員やシステムに関係する人たちに生じるトラウマの兆候や症状を認識する。
Responds: トラウマに関する知識を方針・手続き・実践に十分統合して対応する。
Resist re-traumatization: 積極的に再トラウマ化を予防する。

 トラウマインフォームドケア (TIC)は、トラウマ症状やトラウマ反応として子どもの行動化を捉え、ルール禁止などの方法で対応するのではなく、まず子どもの自己否定的な認知の修正を図るためにトラウマ症状について支援者とともに学び、本人と課題を分離して、その対応方法を支援者とともに学ぶという考え方である。
 TICは、支援者や養育者が調等を用いて対応すると、改善しない子どもの行動化に対してますますと威圧的な対応を強化させ、二次被害を子どもにもたらすこともあるため、二次被害を予防するために有効である。
 TICは、北米を中心に2000年代以降認識が広がり、最近日本でも医療、福祉、司法、教育など多様な領域で活用が進んできた。
 TICの背景には、小児期逆境体験(ACE)研究の知見がある。ACEは、多様な深刻な被害体験や喪失体験を意味し、逆境体験を重ねると適切な支援や対応がなければ行動面、心理面、健康面のリスクが高まることが明らかにされてきたため、TICの必要性が認識されるようになってきた。

トラウマインフォームドケアを支援者間で共有し、子どもへの対応のあり方について共有することが重要である。

トラウマインフォームドアプローチの6つの主要原則
1.安全
2.信頼性と透明性
3.ピアサポート
4.協働と相互性
5.エンパワメント、意見表明と選択
6.文化、歴史、ジェンダーの問題

【トラウマインフォームドケア=欧米では精神医療や福祉などの分野で普及】
 欧米では、トラウマインフォームドケアは多くの機関や組織で採用されており、その効果も検証されている。
 しかし、日本ではまだ普及しているとは言えず、認知度や理解度も低いと言われている。また、文化的な違いや資源的な制約なども課題と言えるだろう。日本でのトラウマインフォームドケアの導入には、当事者や支援者のニーズや意見を反映させた研修システムや教材の開発が必要である。

こども家庭庁 
概要:2023年4月に発足の「こども家庭庁」。より充実した子ども支援を目指す。
 こども家庭庁は3つの部門により構成される。
 企画立案・総合調整部門は、各省庁が行ってきた子ども施策に関する総合調整機能を集約し、大綱を作成推進する。
 成育部門は、子どもの安全安心な成長に関する事務を担い、文部科学省と協議し、教育・保育内容の基準を策定する。
 支援部門は、子ども虐待やいじめ、ひとり親家庭など、さまざまな困難を抱える子どもや家庭の支援を担い、重大ないじめに関しては文部科学省と情報を共有して対策を講じる。

 こども家庭庁は、こどもの最善の利益を第一として、こどもの視点に立った当事者目線の政策を強力に進めていくことを目指している。
 こども家庭庁の発足までの経緯
- 2020年6月、こども家庭庁設置法案とこども基本法案が国会で可決成立
- 2021年3月、こども家庭庁設置準備室が内閣府に設置
- 2021年6月、小倉こども政策担当大臣が就任
- 2022年3月、こども家庭庁設置法とこども基本法が施行
- 2023年4月、こども家庭庁が内閣府の外局として発足
 こども家庭庁の現状
- こども家庭庁は、総理大臣直属の機関として、各省庁に対して勧告権などを持つ。
- こども家庭庁は、「こどもまんなか社会の実現」を最重要コンセプトとして掲げている。
- こども家庭庁は、ライフステージごとに希望が持てる社会を目指すことや、全ての子どもに安全・安心な環境を提供することなどを取り組む3つの柱を設定している。
- こども家庭庁は、少子化対策や児童虐待・いじめ・貧困対策など、子どもに関わる幅広い業務を担当。
トラウマインフォームドケアで二次被害を予防【TIC  3 つのE、4つのRとは】社会的養護・児童福祉 第3回後編 筆者の講義_f0206007_11212743.jpg

「社会的養護・児童福祉」第3回 中編 筆者の講義
概要:児童養護施設における子どもの権利擁護アドボカシーとは。社会的養護の施設で生活する子どもたちは、家庭等で虐待を受けた経験を持ち、施設での成長の過程で、自らの権利と安全が保障されることを実感し、成長していく。「保護の感覚」を実感する経験が求められる。
関連ワード:家庭支援専門相談員、家族支援、関係機関との連携、週末里親、児童養護施設のアフターケア、親の面会、
週末帰省、余暇活動、児童福祉施設のレクレーション、児童の個性に応じたコミュニケーションの方法

 【子どもの権利のとらえ方と、権利擁護アドボカシーに向けた取り組み】 
 自己否定による生活意欲の低下に苦しむ子どもは、他者の権利や共感を感じることが困難な傾向もある。
 繰り返された被害等によって、学習した無力感もみられる。
 児童養護施設など、社会的養護の施設での生活を余儀なくされた子どもたちは、家庭等で虐待を受けた経験を持つ。
 しかし、施設での成長の過程において、権利と安全が保障されていると実感できると、子どもたちは成長していく。
「保護の感覚」を持って、保育士や社会福祉士等の職員たちが、子どもたちの成長を支えることが求められる。

 児童の権利に関する条約・子どもの権利条約は、生存と発達のために必要なものを与えられる権利、有害なものから保護される権利、自分にかかわることに参画する権利に分類される。
 これは、能動的権利である子ども観に基づくもので、従来の保護主義的な「保護」の配慮を乗り越えるものである。

 大人側が一方的に保護の対象としてとらえる子ども観から、子どもから教えてもらうという寛容さや謙虚さも必要である。
 「ワン・ダウンポジション(一段下がった立場)」という技法も、子どもたちの声に耳を傾けるために有効である。

 児童福祉法に基づいた取り組みの例を挙げならば 略
 施設入所などの措置が必要な場合
 児童相談所
 子ども、保護者の意向

 子どもの権利擁護、アドボカシー
 権利擁護の取り組みは、しばしば矛盾やジレンマを引き起こすことがある。

 また、社会福祉法には、事業経営者が利用者等からの苦情の適切な解決に努めることが規定されている。
 これは、利用者の権利擁護に関する取り組みの一環である。
 権利擁護には、法的な側面だけでなく、社会的な側面も含まれるため、事業経営者には様々な責任が求められる。
 このように、権利擁護に関する取り組みは、多岐にわたり、それぞれに異なった課題を抱えていることがわかる。

児童の権利に関する条約の現状と課題
- 世界ではまだ多くの子どもたちが貧困や飢餓、戦争や災害、人身売買や性的搾取などから権利を侵害されている。
- 日本では、子どもの権利条約を批准してから28年が経っても、国内法や制度の整備が十分に進んでいないと国連から指摘されている。
- 子どもの意見を聞く体制や仕組みが不十分で、子どもたちが自分たちの権利について知る機会や学ぶ場が少ないという問題がある。
- 子どもを性犯罪から守るための法律や制度が不十分で、被害に遭った子どもたちへの支援や再発防止のための対策が必要。
・これらの課題に対処するためには、国や自治体、市民社会、そして子どもたち自身が協力して、子どもの権利を実現するための取り組みを進める必要がある。

児童養護施設の 子どもの権利、権利擁護アドボカシーとは 「社会的養護・児童福祉」第3回 中編 筆者の講義_f0206007_13560484.jpg