講義:相談援助の基盤と専門職 前期第6回レジュメ(2)5/21*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 前期第6回 講義 
 2010/05/21 社会福祉士養成学科にて講義
<前回の続きで、下記についても解説の予定>
4 社会資源
*ソーシャルワークにおける社会資源の位置 など


第5章相談援助の理念Ⅰ
第1節ソーシャルワーカーと価値
1 価値とは など



<前回講義において配布 参考資料・概要>
*ゴッフマン Goffman, Erving 著、石黒毅訳『アサイラム-施設被収容者の日常世界-』1984,誠信書房


・ゴッフマンによる「全制的施設」とは、外部との社会的交流に対する障壁、塀や施錠等の物理的障碍物によって象徴されている。 
・ゴッフマン:欧米社会の「全制的施設」は5つに分類できる。
 第一、障害者を世話する収容施設、
 第二、世話が必要であるが社会に脅威を与える(本人の意志に関わらず)精神病者等の療養施設、
 第三、社会に対して意図的に危害を与える可能性がある者を隔離収容する刑務所等矯正施設、
 第四、任務や目的の遂行のため正当化されている兵営・寄宿学校等の施設、
 第五、世間から宗教的に隠棲するための修道院等の施設である。
・以降に示す全制的施設の特徴は、固有のものではなく、全ての全制的施設が共有しているのでもない。しかし、多くの施設が明瞭にこれらを示している。

*患者と職員との間にある。「根源的裂け目」
 患者は外界との接触が限られる。一方、職員は社会的には外部世界に統合されている。
・管理体制。情報からの隔離、患者に対して統制力を振るうために存在する。

*職員と被収容者の権力関係、統制。
 職員は自らが「正義の味方」であり患者に対し優位にあると感じている。患者に対しては負の評価も持つ。
 一方、患者は職員に対し、頭が高い等と思っている。自身については、非難に値し、負い目を感じている。
 両者の視点の違い。社会的距離は極めて大きい。

*患者と職員は、いくつかの公式的な点に関しては接触をもちながらも相互にほとんど浸透し合うことなく、ぎくしゃくしながら、社会的にも文化的にも二つの異なる世界が展開する。

*患者にとっての、院内作業の意味。
 僅かな報酬、労働の強制。士気の喪失。

*全制的施設は家族生活と両立しない。家族生活の対照、団体生活である。職員は、家族を職場から遠ざけておけば、外部社会に統合され続ける。

*・被収容者は施設に「既存の文化」=入所前の生活様式、習慣的な活動を持ってくるのが特徴的な点である。
・施設の固有の文化は、被収容者の「既存の文化」の代わりにはならない。
・被収容者の施設への収容が長引くと「文化剥奪」が起きる。
・被収容者とその既存文化は、入所時から無力化されていく。
・外部世界からの隔離による、役割の切断=「役割剥奪」が行なわれる。
・過去からの切断が行なわれる。
・患者入所時の「不要部分切捨て」。施設への社会化
・新入りの低位。私的なもの、氏名などの剥奪
・「アイデンティティ装備」の剥奪による、アイデンティティの消毒。
・外見を装う手段、体面の喪失。
・肉体的安全、安心感の喪失
・屈辱、汚辱、無礼
・無意味な仕事や日課、無力化、汚染、非聖化
・自己の情報の露呈。自己の露出

*二章 職員の世界
・全制的施設の「公式的目的は、何らかの理想的基準の方向へと被収容者を変えることである。」
 しかし、施設の本来の機能と現実との矛盾がある。
*職員は「独特な仕方で人々と関わらねばならない」
<以降、独特な仕方について>
・「サービス」をするのではない。しかし、「世話」に関する記録も管理体制に残される。
・仕事には特別な危険が伴うと職員は信じている。
・職員は被収容者の外部社会での権利、義務について配慮しなくてはならない。また、患者からの正当な要求、家族の要求への対応が求められる。
・人間を統治する葛藤が不可避である。精神科病院は、あたかも一つの国家のように機能する。その葛藤とは、病棟の管理体制、監視、また病室の施錠や抑制である。治療のために行なう自由の制限と、権利とのバランス。
・精神科病棟内の患者の私物を持たせず、衣服も共有にすると、管理は容易になる。
・被収容者の反抗の可能性。「被収容者が人間に見えて来る、という危険は常に存在するのだ」
・被収容者に同情的な職員は、被収容者への懲罰に苦しめられることになる。逆に、被収容者が人間らしく振舞わない場合、侮辱されたと感じる。職員と被収容者の関係性と隔たり、接近と疎遠。
・自傷他害の恐れのあるとき、職員は被収容者を手荒に扱わざるを得ない。
・施設の公式目標の全面的追求は非現実的である。
・精神病院に入院したからこの患者は精神病者だという規定が行なわれる。
・解釈と言葉、「翻訳」。刑務所における独房での拘禁は「建設的冥想」と称される。
・職員による、被収容者の現在や過去の恣意的な「解釈図式」。
・職員の「人間性に関する理論」、例えば施設入所当初に患者を服従させれば、以後は扱いやすい患者になる。
・被収容者の管理や統制は、施設の目的やサービスにより、正当化されている。しかし、このような場所では、職員は治療といった職責を果たすことが出来ないという根本的な問題がある。


<用語解説は下記をクリック>



*ゴッフマン Goffman, Erving (1922-82)
 カナダ生まれのアメリカの社会学者。シェトランド諸島のフィールドワークを出発点として,社会的自己,対面状況,そして社会的現実の構成をテーマに,規範をもつコミュニケーションのなかで道徳的規範によって形成される社会的構成体としての自己に焦点をあてた。「観察的参加者」になる特徴的な方法で,ミクロ社会学的現象に社会を社会として成り立たせるものの核心をみた点が彼の研究のポイントである。1962年カルフォルニア大学バークレー校,68年ペンシルベニア大学教授,82年アメリカ社会学会学長。
[主著] The Presentation of Self in Everyday Life, 1959 ; Stigma, 1963 ; Interaction Ritual, 1967 ; Frame Analysis, 1974.

Goffman, E., The Presentation of Self in Everyday Life, Bantam Dell Pub., 1959(石黒毅訳『行為と演技』誠信書房, 1974).
Goffman, E., Stigma, Penguin Books, 1963(石黒毅訳『スティグマの社会学』せりか書房, 1984).
Goffman, E., Interaction Ritual, Rondom House Inc., 1967(広瀬英彦・安江孝司訳『儀礼としての相互行為』法政大学出版局, 1986).
Goffman, E., Frame Analysis, Northeastern Univ. Press, 1974.
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by yrx04167 | 2010-05-20 14:19 | Comments(0)