相談援助の基盤と専門職 後期第5回 講義レジュメ<後半> 10/25*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期第5回 講義レジュメ<後半> 10/25
*社会福祉士養成学科
4章2節 ソーシャルワークの展開期・続き
2 ジェネラリストアプローチからジェネラリスト・ソーシャルワークへ テキストP80

 ソーシャルワークが専門職として社会的な認知を得る過程で,ある意味で,ソーシャルワークの理論は社会的要請に応えつつ進化し,多様化してきたといえる。こうした発展あるいは複雑化のプロセスにおいて,人と環境,そしてその交互作用を包括的に捉えることが,本来のソーシャルワークであることが再認識され始め,統合化の動きがでてきたといえる。
 バートレット(Bartlett, H.)は,ソーシャルワークの専門職性(プロフェッション)を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,「ソーシャルワーク実践の共通基盤(common base)」(1970)としてまとめている。
 ジャーメインとギッターマン(Gitterman, A.)のエコロジカル・パースペクティブやライフ・モデルは,ソーシャルワークの統合理論として広く受け入れられるようになっている。
 今日ではこうしたエコシステムの理論がソーシャルワーク統合化理論として不動の位置を占めているが,人と環境を一体とみなし,そのダイナミックな関係を包括的な視点で捉え,計画的に援助をしようとする姿勢はソーシャルワークの伝統的な視点をより明確,かつ具体化したものであるともいえ,ソーシャルワークの基本には一貫したものがあるといえよう。

*エコロジカル・パースペクティブとライフ・モデル
 今日の社会福祉援助活動は、エコシステム接近方法(生態学的視座とシステム思考の統合)を取り入れたライフモデルの枠組みによって得られる。
<解説>
1 エコシステム接近方法
・エコシステム接近方法とは、何らかの問題を抱える個人を、様々な環境(自然環境、社会環境、人間環境)と別々のものとして捉えるのではなく、一体的なシステムとして捉える方法である。また、そうした捉え方に基づく支援のありかたを具体化したのがライフモデル(生活モデル)である。

◎エコシステムとは、あるエリアのすべての生物と,そこに存在するすべての物理的条件の間に発生する,物質の循環,エネルギーフロー,情報伝達といった相互作用を機能の観点から捉えたシステムである。マイヤー(Meyer, C. H.)は,ソーシャルワークに多大な影響を与えてきた生態学理論とシステム理論の統合を試みるなかで,このエコシステムの概念をソーシャルワーク実践の文脈に則してエコシステム視点として体系化した。 
 エコシステム視点では,クライエントのみならず,クライエントを取り巻く環境(家族,友人・知人,関係社会機関,地域など)からの影響、クライエントと環境との間にある相互関連性をも含めて包括的に理解することが求められる。

2 ライフモデル
 ライフモデル(生活モデル)は、人々の成長と発達を最大限にし、環境を改善すれば相互に良好な適合状態が確保されるという観点で、人間の持つ不健全性だけではなく、健全性にも関心をもつ。またライフモデルにおいて、援助者は利用者の生活を指導するのではなく支援するのであり、利用者は受動的存在ではなく、能動的・応答的存在として援助者のパートナーとしてみられる。



*用語解説は下記をクリック



■用語解説:一般システム理論 general systems theory
 1968年,生物学者ベルタランフィ(バータランフィ Bertalanffy, L. v.) によって発表され,有機体の全体性を包括的に説明した理論として位置づけられている。この理論は,ニュートン力学など,それまで主流だった還元主義に基づく近代科学に対して,有機体の構成要素を分断せず,構成要素間の関係性に注目した点に特色がある。具体的には,①有機体の各構成要素間の相互作用・相互制御に基づく全体性の存在,②開放システムによる外的諸条件との相互作用,③構成要素間あるいは外的条件との間で生じるフィードバック・メカニズムとシステム維持機能 (ホメオスタシス),といった三つの基本概念から有機体システムの特徴を説明している。生物学にとどまらず,物理学,心理学,あるいは社会科学で扱われるいかなるシステムにも適用できる一般的特性を示しており,多くの分野でシステム分析のために活用されている。社会福祉分野では,1980年代以降,エコロジカルな視点に基づく方法論の統合化が行われた際,「人と状況の全体性」を捉える理論的枠組として重要な役割を果たした。

■用語解説:ジェネラリスト・ソーシャルワーカーgeneralist social worker
 ジェネラリストの定義には明確なものはないが,本来ソーシャルワークは,人と環境,個人と社会(制度),そしてその交互作用を捉え,さまざまな援助方法を用いて援助をしてきたことが,きわめてジェネラリスト的であると考えられている。共通する特徴は,さまざまな理論を拠り所とする方法を折衷的に活用し援助する方法論的多様性と,援助対象を捉える包括的な視点である。アメリカなどではソーシャルワーカーの専門的教育は大学院レベルで行うと考えられている場合が多く,ジェネラリストの教育は,そうした大学院レベルの教育訓練の前段階として行う,全般的,入門的なものとして捉えられることもある。しかし,ジェネラリスト・ソーシャルワーカーには高度なマネジメント機能などが求められ,アメリカでは,上級(advanced)ジェネラリスト教育の必要性が唱えられるようになっている。

○解説:ライフ・モデル・アプローチ life model approach
 1960年代以降アメリカでは,複雑で多様な生活問題に対する援助の社会的要請が高まり,従来の個人のパーソナリティに治療の焦点をおいた伝統的なアプローチに対する批判が高まった。そのソーシャルワークの限界を打開するために,生態学や一般システム理論などの新たな理論的枠組を背景に登場したのがジャーメインらによって体系化されたライフ・モデル(生活モデル)である。このモデルでは,人,環境のどこに問題があるのかを問うのではなく,問題は生活空間における不適切な交互作用(transaction)にあると考え,人と環境の接触面(interface)に焦点をあてていく。ソーシャルワーカーの社会的目的は,人々の成長と発達を最大限にし,環境を改善する交互作用を生み出すように,人々の適応能力と環境の特性を結び合わせることとされる。そこでは,生活体の適応能力を高めると同時に環境を改善するという二つの実践の焦点があり,人も環境も等しく重要であって,この両者の互恵的適応関係のバランスがいかに獲得されるのかに最大の関心が払われる。したがって,ソーシャルワーカーが扱う対象は人と環境の「開かれた」連鎖的交互作用であり,「人と環境の適合性」(person-environmental-fit)である。



*前回の講義レジュメ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第4回 講義レジュメ<前半>10/18*コミュニティオーガニゼーション

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第4回 講義レジュメ<後半>10/18*社会福祉士養成学科

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 第4回講義 練習問題10/18*社会福祉士養成学科

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by yrx04167 | 2010-10-25 16:03 | Comments(0)