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相談援助の基盤と専門職 後期第8回 講義レジュメ・後半*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期第8回 講義レジュメ・後半
*社会福祉士養成学科
 相談援助の形成過程(ソーシャルワーク史)
 日本の場合(日本における社会福祉の史的展開)3・続き
*第二次世界大戦以後
*社会福祉の体制づくりとアメリカの社会福祉援助技術の導入
<社会福祉法制度>

●1945年12月 生活困窮者緊急生活援護要綱
 1945年12月,占領軍(GHQ)からの「救済ならびに福祉計画の件」(SCAPIN 404号)に基づき,戦災者(海外引揚者・在外者留守家族・傷痍軍人とその家族・遺族)や、失業者,その家族を含む生活困窮者への救済を計画的に行うために閣議決定された要綱である。宿泊(施設収容),給食・生活必要品などの現物の給付,生業の斡旋等を,都道府県の計画に基づき,市町村単位で実施することを規定している。

●1946年2月、SCAPIN 775号
◎SCAPINとは,Supreme Commander for the Allied Powers Instructionの略であり,連合国最高司令官指令のこと。775号は,1946年2月27日に出された公的扶助3原則の指令である。終戦直後の国民の生活困窮に対して救済が急がれたが,日本政府は戦前の恩恵的枠組を放棄することができなかった。そこでGHQは,保護の無差別平等,扶助の国家責任の明確化,最低生活保障の3原則を日本政府に指令した。これらの原則はその後の生活保護法に原理・原則として組み込まれた。

●1946(昭和21)年、日本国憲法公布
 
●1946(昭和21)年、「旧生活保護法」制定
 (保護国家責任・無差別平等・最低生活保障など占領軍指令を取り入れるが、素行不良者は不適格などは救護法を引き継ぐ)
1946年 シベリア引き揚げ第1船舞鶴入港、大日本傷痍軍人会解散

*1946(S21)、近江学園を糸賀一雄が設立
・この子らを世の光にとは、糸賀一雄の福祉思想を表すことば。世の光を障害児たちに当てるのではなく,障害児たちこそが世の光として輝いているのであって,周囲の者たちは,その輝きに気づき,大切に育てていくとともに,障害児たちが輝けるような世の中にしていこうという実践思想を示している。後の発達保障という考え方の基礎ともなった。

*1948年2月 孤児院エリザベス・サンダース・ホームの設立。
 三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘である沢田美喜が、岩崎家大磯別邸において、「混血孤児」のための孤児院として設立した。
1953年、学校法人聖ステパノ学園を併設。

●1947(昭和22)年、児童福祉法 制定
●1949(昭和24)年、身体障害者福祉法 制定
●1950(昭和25)年、現行(新)生活保護法 制定
 
 福祉三法が制定されたことにより、社会福祉援助の法的基盤が整備されたという点で意義が大きい。
◎福祉三法は,戦災児童,退役傷痍 (しょうい) 軍人およびほかの貧困層への救済を行うという「十五年戦争」の後始末をする性格をもち,当時の社会秩序を維持するためには不可欠な諸対策であった。

<ケースワーク・資格制度>
●1950(昭和25)年、ケースワーカーとして「社会福祉主事」が制度化

●1951(昭和26)年、社会福祉事業法(現・社会福祉法)制定

(第1種2種の社会福祉事業制限列挙、社会福祉を援護・育成・更生などの福祉サービスに限定、社会福祉法人創設、福祉事務所の設置、社会福祉協議会設置、民生委員は協力機関に)
 10月、福祉事務所発足(民生安定所改組) 社会福祉主事は福祉事務所に専任職として配置。

*1951年、社会福祉協議会の設立
 戦前からの社会事業団体が統合され、社会福祉協議会が設立された。設立に関連し、黒木利克、谷川貞夫らにより、米国のコミュニティ・オーガニゼーション理論が紹介された。
*1962年(昭和37年)、社会福祉協議会は地域福祉活動の指針となる「社会福祉協議会基本要項」を策定し、「住民主体の原則」の活動原則を打ち出した。

■用語解説:社会福祉協議会
*地域住民と公私の社会福祉機関・団体より構成された民間組織。根拠法は社会福祉法。

*1948(昭和23)年から1949(昭和24)年にかけて、占領軍の指導のもと行われたグループワーク講習会
 D.サリバンらを講師としてグループワーク技術の紹介。


*講義レジュメ・前半は下記をクリック
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第8回 講義レジュメ・前半*社会福祉士養成科



*用語解説は下記をクリック



○糸賀一雄 (1914-68)
 鳥取県出身で,京都帝国大学哲学科卒業。滋賀県の吏員となる。1946年,戦後の混乱期に知的障害児施設「近江学園」を創設。その後,重症心身障害児施設「びわこ学園」など多くの施設を創設する。知的障害児福祉・教育の先駆者として,その実践と研究に半生を捧げ,「この子らを世の光に」と訴え続けた。そのなかで,障害児の発達保障の必要性を主張し,社会参加を視野に入れた実践を展開した。1968年,研修会の壇上で倒れ,没している。

■用語解説:児童福祉司
 児童相談所長の命を受けて児童の福祉に関する相談に応じ,専門的技術に基づいて指導等を行うソーシャルワーカー。児童福祉法11条1項各号に該当する者から任用されるが,専門性の低さが指摘され,2000年の児童福祉法改正で,社会福祉士を加えるなど基準が厳格化された。

■用語解説:身体障害者福祉司  
 身体障害者福祉法11条の2に規定されており,都道府県は身体障害者更生相談所に身体障害者福祉司をおかなければならず,市町村はその設置する福祉事務所におくことができるとされている。身体障害者福祉司は自治体公務員の職名であり,身体障害者の福祉に関する専門的な知識・技術を必要とする業務を行う者である。

■用語解説:任用資格
 社会福祉行政機関において,専門的な知見を要する職務について,任用されるために一定の資格が必要とされる場合がある。例えば,社会福祉主事として任用されるためには,20歳以上,人格高潔・思慮円熟,社会福祉の増進に対する熱意のほか,大学等で厚生労働大臣の指定科目を修めて卒業することなどが求められている(社会福祉法19条)。このようなものを,一般に任用資格という。ほかに,児童福祉司(児童福祉法11条),身体障害者福祉司(身体障害者福祉法12条)などがある。
by yrx04167 | 2010-11-22 05:45 | Comments(0)