相談援助の基盤と専門職 後期第9回 講義レジュメ・後半 11/22*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期第9回 講義レジュメ・後半 11/22
*社会福祉士養成学科
 相談援助の形成過程(ソーシャルワーク史)
 日本の場合(日本における社会福祉の史的展開)・続き
*政策動向

*1971(S46)、 国立コロニーが開設された

1973(昭和48)年の石油ショックから「福祉見直し」への移行期

1973老人医療費公費負担 (70歳以上医療費の無料化、所得制限付き) 

<福祉見直し・改革前後>
1979年(昭和54)、「新経済社会7ヵ年計画」策定 
「日本型福祉社会」の実現目指す=個人の自助努力,家族・近隣の相互扶助連帯重視
*「日本型福祉社会」
 1979(昭和54)年の「新経済社会7か年計画」で明らかにされたものであり、「個人の自助努力と家庭や近隣・地域社会等の連帯を基礎にしつつ、政府が効率のよい適正な公的福祉を重点的に保障するという自由経済社会のもつ創造的活力を原動力としたわが国独自の道を選択創出する、いわば日本型ともいうべき新しい福祉社会の実現を目指すものでなければならない」としていて、社会福祉改革の方向性が示されている。
つまり、日本型福祉社会とは、自助努力や地域連帯といった私的役割が基礎であり、公的保障はこれらを補完するものにとどめるという「社会福祉改革」の方向性なのである。

1981年~第二次臨時行政調査会(1983年まで)行財政改革のなかで始まった「福祉見直し論」による改革路線

1986(昭和61)年 長寿社会対策大綱(閣議決定

1986年「地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律」制定 

1986年 全社協社会福祉基本構想懇談会「社会福祉改革の基本構想
"社会福祉は、いまや重大な転機にさしかかっている。それは、第一に昭和20年代中頃につくられた社会福祉制度の基本的枠組を、30数年を経過した今日、そのままの形で維持・存続させることが困難。第二に、諸外国に例をみないほどの急速な高齢化が進行しており、21世紀の本格的な高齢化社会のなかで生まれる新しい福祉課題に対して適切に対応することが求められている。"


*地域基盤のソーシャルワークと介護保険・「社会福祉基礎構造改革」
<1970年代末から1980年代>

・病院から地域へという精神医療分野における動向、高齢社会の到来
・地域基盤の社会福祉方法論を構築する必要性が高まる

*1987年、社会福祉士・介護福祉士の国家資格制定

*この時期のソーシャルワークの主な検討課題
①ソーシャルワーク統合化理論
②システム論とエコロジカル・ソーシャルワーク
③シーボーム改革以降のイギリスのコミュニティケア論
④専門家中心の「伝統的医学モデル」から利用者主体の「生活モデル」への転換
⑤ミクロからマクロへの広がりのなかで中間的なメゾの範囲のコミュニティワーク,社会福祉調査,社会福祉マネジメントの理論と方法


<今日のソーシャルワークの課題>
・介護保険制度の導入と社会福祉基礎構造改革がすすめられるなか,再び危機状況にある。

・ソーシャルワーカーは業務に忙殺されて焦りと不安で「燃えつき(burn out:バーンアウト)」してしまう危険が日常的となる

・社会福祉,社会福祉援助技術とは何かを明らかにする必要性がある。当事者の人権を守り,多様なニーズをもつ人々が尊重し合って地域でともに暮らす社会をつくる力の向上を目指し,エンパワメントを志向したミクロからマクロの援助技術を発展させることが現実の大きな課題である。
また、すでにシステム論に批判的なポストモダンの新しい理論モデルへの関心も台頭している。


*講義レジュメ続きは下記をクリック*介護保険から社会福祉基礎構造改革<1990年代から>



◆介護保険から社会福祉基礎構造改革へ
<1990年代から2000年

1989(平成元) 福祉関係三審議会合同企画分科会意見具申「今後の社会福祉のあり方について―健やかな長寿・福祉社会を実現するための提言
 在宅福祉三本柱を中心とした社会福祉サービスの拡充を提言。市町村の役割重視,社会福祉事業範囲見直し(在宅福祉サービスを位置づける),民間事業者・ボラ団体など多様な福祉サービス供給主体育成,地域における福祉・保健・医療の連携した供給体制,在宅福祉と施設福祉の連携強化。

1989年12月 「高齢者保健福祉推進十か年戦略・ゴールドプランの策定
 通称は「ゴールドプラン」。本格的な高齢社会を迎えて,在宅福祉,施設福祉等の事業について2000年までに実現を図るべき10カ年の整備目標を掲げて,当時の厚生・大蔵・自治の3大臣合意として1989年12月に策定された。
 在宅福祉推進10カ年事業としてホームヘルパー10万人,ショートステイ5万床,デイ・サービスセンター1万カ所,また施設対策推進10カ年事業として特別養護老人ホーム24万床,老人保健施設28万床などといった整備目標が設定された。さらには「寝たきり老人ゼロ作戦」の展開,在宅福祉等の充実のための「長寿社会福祉基金」の設置などが掲げられた。

1990年 「老人福祉法等の一部を改正する法律」の成立(社会福祉関係八法改正)
 1990年に成立した「老人福祉法等の一部を改正する法律」(平成2年法律58号)は,社会福祉関係の8法を改正したためこのようによばれている。この法改正は,在宅福祉を積極的に推進するため,社会福祉各法に在宅福祉サービスについて規定し,在宅・施設の福祉サービス事務を市町村に一元化し,老人保健福祉計画の策定を地方公共団体に義務づけた。

1992年 新・社会福祉協議会基本要項
 社会福祉協議会基本要項を改定したもの。社会福祉協議会の住民主体の理念を踏まえながら,構成員を公私の社会福祉関係者とするなどの確認と,福祉サービスの企画・実施を積極的に行うことを強調した。

1994年 「21世紀福祉ビジョン」の発
 厚生大臣(当時)の懇談会である「高齢社会福祉ビジョン懇談会」により,1994年に発表された報告書。介護や子育てなど福祉重視型の社会保障制度への再構築の必要性を明示し,介護施策の充実については,高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)策定当初との事情変更に応じて,ゴールドプランの見直しにより,目標水準の引上げを行うとともに,質的にも充実させ,介護基盤の緊急整備を図っていく必要があることなどの提言が行われた。介護保険制度創設の契機となった重要な報告書。

1994年 「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略・新ゴールドプラン」の発
 1994年に当時の厚生・大蔵・自治の3大臣合意として発表された高齢者施策の政策プランで,「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」といわれるもの。「高齢者保健福祉推進十か年戦略」(ゴールドプラン)の福祉サービスの整備目標量より市町村策定の老人保健福祉計画の整備量が多かったために,先行プランを見直し,策定された(目標年次1999年)。内容としては,「当面の整備目標」の水準を上げるとともに,基本的枠組を明確にし,その理念を,①利用者本位・自立支援,②普遍主義,③総合的サービスの提供,④地域主義としたところに特徴がある。なお,介護保険制度がスタートした2000年から,ゴールドプラン21に引き継がれた。

1994年 「エンゼルプラン・今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」の策
 深刻な少子化に対し,社会全体で総合的な子育て支援をすることを意図した計画の通称。正式には「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」。1994年に当時の文部・厚生・労働・建設の4大臣合意により策定された。基本的施策の方向性として,五つの項目(1)子育てと仕事の両立支援の推進、(2)家庭における子育て支援、(3)子育てのための住宅及び生活環境の整備、(4)ゆとりある教育の実現と健全育成の推進、(5)子育てコストの軽減 があげられた。また,エンゼルプランの具体化として,「緊急保育対策等5か年事業」が策定された。

1995年 高齢社会対策基本法の成立 
 高齢化の進展に適切に対処するための施策(高齢社会対策)の基本理念,基本となる事項等を定め,高齢社会対策を総合的に推進するための基本法である。本法は,参議院の「国民生活に関する調査会」が法案を起草し,に成立した(平成7年法律129号)。基本理念としては,「国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会」の構築などがうたわれている。

1995年 「障害者プラン・ノーマライゼーション7か年戦略」の決
 1995年12月,内閣総理大臣を本部長とする障害者対策推進本部により決定された政策プランで,別名「ノーマライゼーション7か年戦略」。「障害者対策に関する新長期計画」の具体化を図るための重点施策実施計画と位置づけられ,数値目標を基本に1996年度からの7カ年計画で実施された。障害者プランの理念は,全人間的復権をめざすリハビリテーションと,障害者が障害のない者と同等に生活し,活動する社会をめざすノーマライゼーション,地域での自立生活支援におかれている。そのため,障害者プランの骨格には,①「地域で共に生活するために」,②「社会的自立を促進するために」,③「バリアフリー化を促進するために」,④「生活の質(QOL)の向上を目指して」,⑤「安全な暮らしを確保するために」,⑥「心のバリアを取り除くために」,⑦「我が国にふさわしい国際協力・国際交流を」の七つの柱をたてた。特に,障害者の総合的な相談・生活支援・情報提供を行う「地域生活支援センター」を人口30万人あたり,2カ所ずつ設置することとされた。

1998(平成10)年  社会福祉構造改革分科会「社会福祉基礎構造改革について( 中間まとめ)」
 改革の基本的方向:利用者と提供者の対等な関係確立・個人の多様な需要への地域における総合的支援・信頼と納得が得られるサービスの質と効率性の確保・多様な主体の参入促進・住民参加による福祉文化の土壌形成・情報公開による事業運営の透明性確保

1998年 名称変更:教護院→児童自立支援施設 母子寮→母子生活支援施設  養護施設→児童養護施設

1999(平成11年)諮問機関・経済戦略会議「日本経済再生への戦略―経済戦略会議中間とりまとめ―」
 公的年金は、高齢者の基礎的生活コストを十分カバーできる水準に.将来的には税方式に移行.介護と高齢者医療は、将来的には税によって国民にサービスを保障.(株式会社による医療機関経営、保険者と医療機関との直接契約、混合診療。皆保険解体し民間保険中心へ、落ちてくる人を政府が拾うという新自由主義的改革案)

1999年 「ゴールドプラン21・今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向」の策定
老人保健福祉政策の推進計画として策定した2000年度から目標年次2004年度までの政策形成プラン(期間は状況に応じて適宜見直し)。当時の厚生・大蔵・自治の3大臣合意で,正式には,「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向」と称される。
その基本的な目標としては,①活力ある高齢者像の構築,②高齢者の尊厳の確保と自立支援,
③支え合う地域社会の形成,④利用者から信頼される介護サービスの確立,をかかげるとともに,保健・福祉サービスの整備量の増強を図っている。

1999年 「新エンゼルプラン」の策
 1994年のエンゼルプランの目標数値等の内容の見直しとともに,同年「緊急保育対策等5か年事業」の終了を受けて,今後の少子化対策における重点的に実施すべき具体的計画の改正を行ったものである。「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意)が正式名称であり,1999年に策定され,2000年度から04年度末の5年間で取り組むべき具体的内容と目標数値が示されている。
主な内容として,①保育サービス等子育て支援サービスの充実,②仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備,③働き方についての固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正,④母子保健医療体制の整備,⑤地域で子どもを育てる教育環境の整備,⑥子どもたちがのびのび育つ教育環境の実現,⑦教育に伴う経済的負担の軽減,⑧住まいづくりやまちづくりによる子育ての支援,の8本柱を基本に,それぞれについての具体的方向性が明記されている。

2000年「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」成
(平成12年法律111号)この法改正により,社会福祉事業法は社会福祉法に改められ,また社会福祉各法における措置制度の多くが利用者による契約制度に変えられた。

2000(平成12)年 介護保険法施

2000年 地方分権一括法(地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律)施
 機関委任事務なくなり自治体の仕事は法定受託事務と自治事務となる。介護保険は自治事務となる。生活保護の決定・実施は法定受託事務、自立援助は自治事務。社会福祉は主に自治事務。

2000年 「21世紀に向けての社会保障」社会保障構造の在り方について考える有識者会
*持続可能な社会保障
・世代間の公平の視点
1.支え手を増やす
 健康づくり・予防の推進
 子どもを産み育てやすい環境を整備する
2.高齢者も能力に応じ負担を分かち合う
 負担を若い世代と高齢者で分かち合う
  高齢者の資産の問題
3.給付の見直しと効率化
 給付の効率化と合理化
 年金給付の在り方
 高齢者医療の見直し
 効率的で良質な医療の確保
*21世紀の社会保障に向けての国民の選択
・負担を増大させても給付を確保していく選択もしくは、負担を増大させずに給付を見直していく

*地域福祉計
 法的には,2000年に改正された社会福祉法107条に規定されるように,地域福祉の推進に関する事項を一体的に定めるために市町村が策定する計画のことであり,①地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項,②地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項,③地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項をその内容とする(2003年4月施行)。また,市町村地域福祉計画を策定し,または変更しようとするときは,あらかじめ,住民,社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに,その内容を公表するものとされている。

2002年 社会保障審議会福祉部会「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」
 「地域福祉計画とは、地方公共団体が地域福祉を総合的かつ計画的に推進することにより、社会福祉法に示された新しい社会福祉の理念を達成するための方策である。したがって地域福祉計画は、行政計画でありながら、福祉サービスにおける個人の尊厳の保持を基本に据えて、自己決定、自己実現の尊重、自立支援など住民等による地域福祉推進のための参加や協力に立脚して策定されるべきである。」

2002年 「新障害者プラン」の発
 新障害者プランは,2003年度から10年間の障害者施策の基本方針となる「新障害者基本計画」(2003~12年度)の前期重点施策実施5か年計画である。障害者プランの終了年を引き継ぐかたちで,障害者施策推進本部より2002年12月に発表された。同計画は基本理念で「障害の有無にかかわらず,国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会」の実現を掲げ,精神科病院や施設入所における長期生活から地域生活への移行に明確に踏み切る姿勢を内外に明らかにした。「重点的に実施する施策及びその達成目標」では,①活動し参加する力の向上のための施策,②地域基盤の整備,③精神障害者施策の充実,④アジア太平洋地域における域内協力の強化,⑤啓発・広報,⑥教育・育成,⑦雇用・就業の確保,の七本柱を掲げた。

2002年 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置
 2002年8月に施行された法律で,ホームレスの自立支援のため,就労機会や住居の確保,生活相談など,自立につながる総合的な対策の実施を国や地方自治体の「責務」とした法律(平成14年法律105号)。本法により,国には,自治体と協力してホームレスの実態に関する全国調査を行うことが義務づけられた。なお,本法には,施行後5年を目途として見直しを行い,10年を経過した日にその効力を失うとする附則がおかれている。

2005(平成17)年10月「障害者自立支援法」の成立、翌2006年4月から順次施


<用語解説>
■コロニー colony
 心身に障害をもつ人々を長期もしくは終身にわたって保護するために設立された大規模な総合福祉施設群。ノーマライゼーションの推進によりそのあり方や運営が問われており,入所者の障害の重度化,高齢化などの課題が存在している。

■老人医療費公費負担制度
 1973年の老人福祉法の改正に伴い老人医療費公費負担制度が実施され,70歳以上の高齢者と65歳以上の寝たきり老人に対して医療保険における自己負担部分をすべて公費で負担し,その医療費は無料化された。いわゆる老人医療費無料化である。この結果,高齢者の受診率は外来を中心に大幅に上昇しその医療費は7倍以上に達したため,1982年には老人保健法が制定され,翌年より再び高齢者に対して定額の自己負担が導入された。

*活力ある福祉社会
1970年代末の自由民主党や経済計画における議論を受け,1981年の第二次臨時行政調査会の第一次答申で掲げられた基本理念。家族,地域,企業等がその基盤とされた。また,同様の趣旨で日本型福祉社会が議論された。両者は福祉国家の役割を「真の弱者」や「真に必要な者」への援助に限定する選別主義の姿勢をとり,当時の社会政策学者から,①福祉国家の解体を導き,②家族の機能に対して時代錯誤的な期待を抱いている,という批判が集中した。

*福祉見直し論
 第一次石油危機を契機とする低成長経済への突入を背景に,1975年前後からなされた,経済的合理化を前提とした福祉財政の引締めを行うことを主張する議論。当時,革新自治体によって先導されていた福祉拡充政策を「バラマキ福祉」であるとした自民党からの批判に由来する。以後,この議論に即して,1980年代には社会福祉サービスの有料化や,施設福祉から在宅福祉への転換等を指向した具体的な制度の改革が次々と推し進められていった。

*長寿社会対策大綱
 21世紀の高齢化社会に対応するために,1986年6月に閣議決定された政府の施策推進の指針。高齢化社会に対する対策を総合的にまとめた政府の方針としては,わが国はじめてのものである。「雇用・所得保障」「健康・福祉」「学習・社会参加」「住宅・生活環境」の4システムを総合的に推進することなどを基本方針に定めていた。1995年に高齢社会対策基本法が制定,それに基づき96年に「高齢社会対策大綱」が閣議決定されたことに伴い,長寿社会対策大綱は廃止された。

*「老人保健福祉計画」
 老人保健福祉計画とは、1990年の「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,市町村および都道府県に老人保健計画と老人福祉計画を一体的に策定することが義務づけられた。その主な内容としては,「市町村老人保健福祉計画」にはサービス目標量を示すことなどが,「都道府県老人保健福祉計画」には広域的な老人福祉施設の整備目標を定めることなどが規定された。

■社会開発 social development
国民あるいは地域住民の生活向上のために,全国規模または地域的規模において実施される,さまざまな資源を計画的に投入する開発的行為のこと。具体的には,保健・衛生,栄養,住宅,雇用,教育,社会保障,消費者支援,難民保護などの社会的サービスの増進が図られる。この概念は経済成長を主旨とした経済開発に対置されるもので,とりわけ先進国においては経済開発により生じた歪みの是正という側面も有している。国際連合では1961年から70年を「開発の10年」と位置づけ,経済開発と社会開発の均衡を決議している。
*社会開発とは、生産第一主義の経済開発の進展に伴う国民生活への有害な影響を除去、または緩和するために、保健衛生・住宅・雇用・教育・社会保障などの公共的サービスの増進、国民の生活環境の向上を図る総合策である。
 日本において、社会開発は、経済発展と経済計画に従属した位置付けとなっている。


■社会計画social planning
 広義には,社会を特定の方向に変化させるための計画一般をさす。狭義では,産業基盤整備や経済安定化などの経済政策目的のための経済計画に対して,教育,住宅等の生活環境,保健・医療,社会福祉など,産業経済政策とは直接結びつかない側面に関する政策目標達成のための手段を体系化したものをさす。
*日本では「経済計画」による経済開発が先行・優先し、その進行に伴って関連領域(社会開発や社会計画を含んで)を取り込む流れが続いてきた。

■新経済社会7ヵ年計画 1979年
 この計画は,1978~'79年の第2次石油危機により原油価格の上昇が続く中で策定された.計画は,85年度まで年平均5.7%の経済成長を想定しつつ,石油代替エネルギー開発・省エネルギーによる石油依存の低減,輸出主導型の経済成長を生活環境整備を中心とする社会資本の拡充や地域経済の展開などによって内需中心の経済成長に転換させること,財政の再建などを目標に掲げた.財政の再建に関しては,一般消費税の導入を事実上想定したうえで,国民所得に対する租税負担率を78年度の19.9%から85年度には26.5%にまで高めることが目標とされている。

■臨時行政調査会
 日本の行政改革についての体系的な検討は,臨時行政調査会(臨調)で行われてきた。1980~83年,当時の総理府の付属機関として設置されたものであり,1964年に答申をまとめた最初の臨調と区別するために「第二臨調」とよばれる場合もある。最大の目的は「増税なき財政再建」で,各省庁の予算の一律削減がその手段だった。具体的な検討内容は,①行政の役割,②行政機構,③国と地方との機能分担,④許認可等の分野からなっている。 
■第2臨調第3次答申 1982年
第1次答申以降,第2臨調は部会を再編し,4つの部会と5つの分科会を設置,82年5月,相ついで報告をまとめた.第2臨調は,これらの4部会報告を基礎に,第3次答申を提出した.答申は,行政改革の理念として,〈活力ある福祉社会の建設〉,〈国際社会に対する積極的貢献〉を提起,行政組織について〈総合調整機能〉の強化を強調,また国鉄の分割・民営化など3公社改革を求めた.行政の〈中長期的な展望〉を示したとしてみずからを〈基本答申〉と位置づけたが,これ以降の国の〈政策の全般〉の転換の政治的・理論的根拠となった。

■福祉関係3審議会合同企画分科会意見具申
1989年3月,中央社会福祉審議会,身体障害者福祉審議会,児童福祉審議会の福祉関係3審議会合同分科会が,「今後の社会福祉のあり方について」意見具申を行った。いわゆる在宅福祉三本柱を中心とした社会福祉サービスの拡充を提言したものだが,消費税導入を先導するかたちで,同年末いわゆる高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)が打ち出され,翌1990年には,サービスの市町村一元化を図る社会福祉関係八法改正が行われた。

■経済戦略会議「日本経済再生への戦略―経済戦略会議中間とりまとめ―」
 1999(平成11年)、「日本経済再生への戦略」と題した「経済戦略会議中間とりまとめ」は、日本経済の再生に向けた基本戦略として、1.経済回復シナリオと持続可能な財政への道筋 2.「健全で創造的な競争社会」の構築とセーフティーネットの整備 3.バブル経済の本格清算と21世紀型金融システムの構築 4.産業再生への枠組み 5.21世紀への戦略的インフラ投資――を掲げている。

■用語解説:社会福祉基礎構造改革
社会福祉の基礎構造全般にわたる抜本的な改革。基礎構造とは,老人福祉,児童福祉といった個別の分野に共通する基本的事項や制度をさす。社会福祉は,第二次世界大戦後生活困窮者を主な対象として出発したが,いまや福祉ニーズのあるすべての国民を対象とするようになっており,また少子高齢化,低成長化といった社会経済の変化にも対応する必要があるため,その基礎構造を根本的に改革することが求められるようになった。厚生省(当時)の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会が1998年にまとめた「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」等を基礎に法案が作成され,2000年に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」(平成12年法律111号)として成立した。この法改正により,社会福祉事業法は社会福祉法に改められ,また社会福祉各法における措置制度の多くが利用者による契約制度に変えられた。

■地方分権一括法
1995年に地方分権推進法が制定され,この法律のもとで地方分権改革が行われることになったが,その成果が,地方分権一括法である。これは地方自治法や「市町村の合併の特例に関する法律」等をはじめとして地方自治関係法律の諸規定を1本の法律で一括して改正するものであり,関係法律は,475件に及ぶものであった。
この法律は,法案の趣旨説明によれば,①国と地方公共団体との間に新しい関係を築くため機関委任事務を廃止し,地方公共団体が処理する事務を自治事務と法定受託事務に分ける,地方事務官の制度を廃止する,②地方公共団体に対する国または都道府県の関与を見直し,法定主義の原則,一般法主義の原則,公正・透明の原則を明らかにし,関与に係る基本原則,新たな事務区分ごとの関与の基本類型,関与の手続および関与に係る係争処理手続を定め,個々の法律における関与は基本類型に沿った必要最小限のものにする,③国から都道府県に,都道府県から市区町村に権限委譲を行うため所要の改正を行う,また,これに関連して特例市制度を創設する,④地方公共団体の自主組織権を尊重し,必置規制の廃止または緩和を行う,⑤市町村合併の促進,地方議会の活性化,中核市の指定要件の緩和等,地方公共団体の行財政能力の向上と行政体制の整備確立を図るものであった。


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社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第8回 講義レジュメ・後半*社会福祉士養成学科

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第9回 講義レジュメ・前半11/22*社会福祉士養成学科

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by yrx04167 | 2010-11-23 11:24 | Comments(0)