相談援助の基盤と専門職 後期第10回 講義レジュメ後半*総合的かつ包括的な相談援助*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期第10回 講義レジュメ・後半 2010/11/29
*社会福祉士養成学科
8章 総合的かつ包括的な相談援助の全体像 テキストP142~
1節 「総合的かつ包括的な相談援助」の動向とその背景
1 「総合的かつ包括的な相談援助」をめぐる動向

・コミュニティ、地域社会において,従来の対象別対応・実践に捉われずに、地域におけるニーズや課題の解決をめざす実践。

・総合相談
・権利擁護
・障害者の地域生活の支援、インフォーマル・住民との協働
・地域包括支援センター
・地域福祉活動、地域福祉計画

*補足:全人的にニーズを捉える必要性
・利用者・当事者・住民にしてみれば,自らの抱えている諸問題は制度上の縦割りに存在しているわけでもなければ,分野ごとに問題が生じてくるわけでもない。
 つまり,利用者の諸問題は文脈もなく,個々ばらばらに関連なしに存在するのではなく,貧困,疾病,障害,失業等いずれをとってみても、一つの問題は生活上複雑に絡まり,専門分業的のみではとらえることができない問題でもある。すなわち,利用者に降りかかる問題は第三者や専門家としての援助者の視点からとらえられるものとは異なり,一つの全体であって,けっして専門分化され分離された姿で存在しているのではなく,相互に複椎に絡まりあって問題が構成されている。
・当事者の立場や視点から問題を認識するということは,利用者の生活を部分に分けないこと,換言すれば,生活の全体をみるという、総合的な視野・見識にほかならない。

*解説:地域包括支援センター
 介護保険法で定められた、地域住民の保健・福祉・医療の向上、虐待防止、介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関である。各区市町村に設置される。2005年の介護保険法改正で制定された。
 センターには、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士が置かれ、専門性を生かして相互連携しながら業務にあたる。
 法律上は市町村事業である地域支援事業を行う機関であるが、外部への委託も可能である。 要支援認定を受けた者の介護予防マネジメントを行う介護予防支援事業所としても機能する。

2 「総合的かつ包括的な相談援助」の背景 テキストP143
①生活課題の多様化

・生活課題、福祉ニーズは多様化した。
・社会的排除の傾向により、少なくない人々が、脆弱な生活基盤、社会関係のうえに存在している。問題の連鎖による、心理・健康問題や家族問題の危険性を常に抱えている。

②ソーシャルワーク課題の深刻
・複雑化、深刻化するクライエントの生活問題に対する、総合的なソーシャルワークの必要性。

③全人的な視点と援助

④地域福祉の推進

・共助・共同援助概念は、自己援助能力を活用しつつ、家族やコミュニティへの働きかけの過程を含む。周囲の人々との協力によって、幸福祉の実現、維持、向上を目指す。福祉社会の論理である。  
・公助・公共援助概念は、日本国憲法第25条に基づき、国と地方自治体の公的責任・義務として援助施策を推進・施行する概念である。
・自助・自己援助概念とは、自己の学習経験の蓄積や成長、状況の変化、能力の回復などによって、主観的・客観的に確立した自己が果たす役割である。

*共助・自助・公助を巡って
・超高齢・少子社会の顕在化は、公共・公助、共同・共助、自己・自助の全て、つまり国家と地方自治体、地域社会、近隣や職場、家族の参加のうえに福祉社会が構築されなければならない時代に到達した。
・住民諸組織,あるいは住民組織と、専門機関・専門職との協働による組織的・計画的な地域福祉活動が期待されている。
 また、コミュニティワークは、地域福祉活動をソーシャルワーカーが専門的に援助する方法・技術である。今後、重要性が更に増大すると言えよう。

・ソーシャルワークの援助概念とは、公的責任と利用者主体の論理を前提とした、福祉社会に生きる人間の共生・参加・協働の生活論になる必要がある。共同援助概念は、ソーシャルワーカーの姿勢と態度の根幹、実践の中心論理である。

⑤社会福祉基礎構造改革の影
・社会福祉基礎構造改革に伴って,援助者と利用者が対等な関係をもとに契約を結んで援助が展開されるようになった。そのなかで「利用者本位」という理念が基盤に据えられることになり,援助過程においてもそれが具体化されることになった。

・しかし,これらの考え方は現行の法制度のもとでは援助者側の援助に関する論理が先行し,加えて,法制度の要件を満たす必要から,いわゆる受給要件(eligibility)を充足しない限り,供給側のサービスが始動しない仕組みになっている。
・例えば,生活保護を受給する場合,資産調査(means test)をクリアしない限り,給付は開始されないことになっており,受給に関する可否は供給側の裁量に委ねられなければならないことになっている。
・こうした措置制度の課題を克服し,対等な関係を確保するために,社会保険方式を導入し,利用者となりうる被保険者はあらかじめそのリスクの発生に備えて保険料を拠出することによって,その義務を果たし,保険事故の発生に際して明確な権利を取得できるようにしておくことになっている。
 他方,保険者たる供給者は,利用者に対して保険事故に責任を負うということになり,両者の権利一義務関係が成立する。

・利用者が高齢や障害等のために判断能力が低下するなど,実質上は利用者が不利な状態になったり,直接不利益を被る可能性が高い。そのため,権利擁護の取り組みが必要不可欠である。

*求められる専門的援
1)自己選択・決定が困難な人々への援助
 権利擁護・アドボカシーが必要である。

2)自己決定過程の援助
 情報収集・自己選択・自己決定プロセスを援助する必要がある。

3)支援困難事例への専門的援助

4)総合相談と小地域福祉活動の統合

5)サービスの創造と制度改革

6)住民の参加と共同

<解説:小地域福祉活動システム
・小地域において住民が地域内の福祉ニーズを発見し、住民が相互に支援するシステムが普及してきている。
 発端は、1959(昭和34)年からの国庫補助による保健福祉地区組織育成事業のモデル地区指定によって開発されてきた。

◆小地域活動システムの目
・小地域活動システムの目的とは、①高齢者の孤立予防等、②安否対応・緊急対応、③住民の見守りと活動のネットワーク化、④健康保持、予防活動等が挙げられる。

<具体的な活動
①小地域活動システムでは町内単位に「福祉委員」を委嘱し、社会福祉協議会と連携しながら訪問活動を行なう。
 例えば、「福祉委員」を町内単位に20世帯に1人ボランティアとして委嘱し,月に1回以上訪問して,チェックリストで点検して,市社会福祉協議会の担当保健師に報告するというシステムになっている。
②「民生委員」の連携の核としての位置付け、役割への期待。
③老人クラブの「友愛訪問活動」の活用や併用。
④ボランティア(有料含む)や3級ヘルパーの活用、郵便局との提携等様々な形態がある。

*小地域活動システムの方法・手
①定期的な訪問を、社協機関紙配達、老人クラブによる手土産、郵便や「乳飲料」等の配達による安否確認など、様々である。
②配事サービスや会食会など、食事サービスを活用した活動。
③緊急通報も活用されている。


<前回の講義レジュメ・練習問題 下記をクリック>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第9回 講義レジュメ・前半11/22*社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第9回 講義レジュメ・後半 11/22*社会福祉士養成学科

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第10回講義 練習問題 11/29*社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期第10回 講義レジュメ・前半 11/29*社会福祉士養成学科



*用語解説は下記をクリック



*解説 生活の全体性  
 社会福祉サービスの利用者の生活は,経済,医療,教育,福祉などのさまざまな側面が密接に関わっており,これらが互いに関連し合って利用者の生活問題が生じている。生活の全体性とは,生活の一側面からニーズを捉えるのではなく,利用者の立場から生活全体を捉えることを通してそのニーズを把握し,援助方法を考えていく視点のことをいう。
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by yrx04167 | 2010-11-30 00:20 | Comments(0)