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相談援助の基盤と専門職 後期第13回 講義レジュメ・前半 12月20日*相談援助専門職*社会福祉士養成学科

相談援助の基盤と専門職 後期第13回 講義レジュメ・前半 12月20日
*社会福祉士養成学科 にて講義
10章 相談援助にかかる専門職の概念と範囲
1節 相談援助専門職の概念・続き
3 ソーシャルワークの職能団体の役割 テキストP174~
*専門職と職能団体

・「専門職団体」とは、専門職の倫理、質の維持・向上などのために研修などを行なう職能団体である。
・専門職団体とは専門職に従事する者によって構成される職能団体であり、一般的にはプロフェッショナルとしての矜持や倫理性に支えられつつ,研修・研鑽や技量向上の機会提供,社会的主張などを行う。社会的地位を確保したり,経済的権益を享受する基盤となることもある。

・福祉領域の専門職団体としては,日本社会福祉士会、日本ソーシャルワーカー協会,日本精神保健福祉士協会,日本医療社会事業協会(MSW協会)、日本介護福祉士会があげられる。

*日本ソーシャルワーカー協会の活
・日本ソーシャルワーカー協会とは、社会福祉従事者によって組織化された専門職団体。1958年に誕生し,一時休止状態を経て83年に再建された。翌年,国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)に加盟した。ソーシャルワーカーの資質の向上,一般社会に理解を深めるよう啓発に務め,社会福祉の増進に寄与することを目的とする。具体的には,研究や運動,機関紙・会報の発行,セミナーや講演会の開催,国際交流などの活動を行っている。

*日本社会福祉士会の活

 国家資格である社会福祉士に登録した者を入会資格とする専門職団体。1993年に設立され,96年に社団法人となった。倫理綱領を採択し,利用者の権利を擁護し,その自己実現を支援する役割を担えるよう,社会福祉士の活動を推進するとともに,関連機関領域の専門職と協働し,社会福祉サービスを担っていくために行動している。具体的には,大会・学会の開催,研修・研究・調査・広報活動を行っている。

*日本精神保健福祉士協会の活
 1964年に創設された精神科ソーシャルワーカーの全国組織。設立当初より日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会と称していたが,1999年度より日本精神保健福祉士協会(略称・日本PSW協会)に名称変更し,国家資格取得者を入会資格に定めている。職能団体として,専門職としての資質の向上を図り,精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進めることを目的とする。

*領域・職種別の職能団体
*日本医療社会事業協会

 わが国の医療領域で働くソーシャルワーカーの職能団体。1953年に前身である日本医療社会事業家協会が設立され,より幅広く活動をするという理由で1958年に現在の名称となった。従来の病院や診療所だけではなく,老人保健施設,在宅介護支援センター等で働くソーシャルワーカーも増加している。


2節 相談援助専門職の範囲 テキストP178~
<社会福祉行政における専門職>
■福祉事務所の概

 福祉事務所は地域における、社会福祉行政の中心的な第一線の相談機関である。
 福祉事務所とは、社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」をいう。
 市・特別区・町村の福祉事務所は、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を司る社会福祉行政機関である。
 つまり、住民に対して社会福祉全般に関する相談・指導や、給付等の実務、現業を行なう。

・都道府県及び市(特別区を含む)は福祉事務所の設置が義務付けられており、町村は任意で設置することができる。

■福祉事務所における相談援助(公的扶助ケースワーク
* 生活保障としての金銭が給付されても,それだけでは生活を充足されない人々がいる。
生活保護を受給する高齢者や障害者,病弱者等の中には、個別的支援を提供する必要がある事例もある。社会的自立や日常生活の自立を支援するための、ケースワークの必要性がある。

*生活保護の実施機関である福祉事務所は、最低生活を保障しながら利用者の経済的自立のみならず広く社会的自立に向かっての相談援助活動を行っている。被保護者の生活状況の把握,自立助長への処遇方法の確立,被保護者の問題・課題解決を目的に行われる。

*福祉事務所には,福祉事務所長のほか,指導・監督を行う所員,現業を行う所員,事務を行う所員をおかねばならない(社会福祉法14条)。このうち,指導・監督を行う所員と現業を行う所員は社会福祉主事でなければならない。

*家庭児童相談
 「家庭児童相談室の設置運営について」(厚生事務次官通達,昭和39年発児92号)に基づき,福祉事務所の家庭児童福祉にかかわる相談・指導業務を充実・強化するために設置される機関。家庭における適正な児童養育,その他家庭児童福祉の向上を図ることを目的としている。設置は,任意である。福祉事務所が行う家庭児童福祉に関する業務のうち,専門的技術を必要とするものを担当する。職員として,家庭児童福祉に従事する社会福祉主事と家庭相談員が配置されている。家庭相談員は原則として非常勤。専門的技術を必要とするケースのうち,主として訪問による指導および法的措置を必要とするケースは社会福祉主事,所内における相談・指導で解決されるケースは家庭相談員が担当する。不登校,非行,家族関係など複雑化,多様化する子どもの問題とそれを取り巻く環境に対し,地域住民に身近な相談機関として機能することが求められている。

*家庭相談
 福祉事務所に設置される家庭児童相談室に配置される,原則として非常勤の職員。家庭児童福祉に関する専門的技術を必要とする相談・指導業務を行う。任用資格は,①学校教育法に基づく大学等で児童福祉,社会福祉,児童学,心理学,教育学もしくは社会学を専修する学科またはこれらに相当する課程を修めて卒業した者,②医師,③社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者,④これらに準ずる者で,家庭相談員として必要な学識経験を有する者。

<社会福祉法・抜粋> 福祉に関する事務所
(設置)
第14条 都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならない。
2 都道府県及び市は、その区域(都道府県にあっては、市及び福祉に関する事務所を設ける町村の区域を除く。)をいずれかの福祉に関する事務所の所管区域としなければならない。     
3 町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができる。
4 町村は、必要がある場合には、地方自治法の規定により一部事務組合又は広域連合を設けて、前項の事務所を設置することができる。この場合には、当該一部事務組合又は広域連合内の町村の区域をもつて、事務所の所管区域とする。
5 都道府県の設置する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法及び母子及び寡婦福祉法に定める援護又は育成の措置に関する事務のうち都道府県が処理することとされているものをつかさどるところとする。
6 市町村(特別区を含む。以下同じ。)の設定する福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福址法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務のうち市町村が処理することとされているもの(政令で定めるものを除く。)をつかさどるところとする。   (7、8 略)

■各相談所に関して
①児童相談
所 
・児童相談所とは、児童福祉法15条で都道府県に設置が義務づけられている行政機関である。
 児童に関する各般の問題につき,家庭その他からの相談に応じ,児童および家庭につき必要な調査ならびに医学的・心理学的等の判定を行い,それらに基づいて児童および保護者の指導を行うとともに,児童を一時保護する等を業務とする。「児童の権利を保護することを主たる目的として設置される」(児童相談所運営指針)。
 児童福祉法17条で,必要に応じ一時保護所を設けなければならないとされている。
 32条で,里親委託,児童福祉施設入所措置等の27条に基づき都道府県が採るべき措置の権限を児童相談所長に委任できると規定されており,大半の都道府県が委任している。
 児童相談所長は16条の2第2項各号に該当する者から任用されるが,専門性の低さが指摘され,2000年の児童福祉法改正で,社会福祉士を加えるなど基準が厳格化された。

*児童相談所の業務
①児童の生育上の問題について、家庭その他から相談に応ずる。
②児童とその家庭について必要な調査を実施し,医学的,心理学的,教育学的,社会学的及び精神保健学的判定
③上記判定に基づいて必要な指導を行い,また児童福祉施設への入所,里親及び保護受託者への委託措置をとる。
④必要な場合,一時保護を行う。
*上記のような業務に応じて、児童に対して養育・保健・養護・教護・心身機能・長期欠席および不就学・性向相談,しつけ相談など個別的,専門的な援助の方法でもって対応する。

*児童福祉
 児童相談所長の命を受けて児童の福祉に関する相談に応じ,専門的技術に基づいて指導等を行うソーシャルワーカー。児童福祉法11条1項各号に該当する者から任用されるが,専門性の低さが指摘され,2000年の児童福祉法改正で,社会福祉士を加えるなど基準が厳格化された。

②婦人相談
 売春防止法34条に基づき設置されている「要保護女子」の保護更生のための機関であり,都道府県に設置義務がある。
 その主たる業務は,①要保護女子に関する各般の問題についての相談,②要保護女子およびその家庭について必要な調査や,医学的・心理学的・職能的判定およびこれらに付随する必要な指導,③要保護女子の一時保護等を行うことである。
 一時保護所は,単身の女性および母子世帯が無料で利用でき,利用期間は原則として2週間となっている。
 外国人も含め,社会生活を行ううえで困難な問題を抱えた女性の相談に幅広く応じており,1970年代なかば頃からは,ドメスティック・バイオレンスの被害者である女性たちの緊急避難先として機能するようになってきている。
 なお,2001年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されたことにより,ドメスティック・バイオレンス被害者救済のための拠点として婦人相談所などに「配偶者暴力相談支援センター」が設置されることとなった。

③身体障害者更生相談
 身体障害者福祉法11条により,都道府県ならびに政令指定都市に設置が義務づけられており,全国に69カ所ある。身体障害者に対して,専門的な知識・技術を必要とする相談・指導を行うとともに,身体障害者手帳の交付,身体障害者施設の入所判定,更生医療の判定や各種診査を行う。また必要に応じて補装具の処方および適合判定を行う。

*身体障害者福祉
 身体障害者福祉法11条の2に規定されており,都道府県は身体障害者更生相談所に身体障害者福祉司をおかなければならず,市町村はその設置する福祉事務所におくことができるとされている。身体障害者福祉司は自治体公務員の職名であり,身体障害者の福祉に関する専門的な知識・技術を必要とする業務を行う者である。

④知的障害者更生相談
 知的障害者福祉法12条において定められ,都道府県に設置が義務づけられている。業務内容は,市町村間の連絡・調整,情報提供,専門的な相談・指導,および18歳以上の知的障害者の医学的,心理学的,職能的判定である。

*知的障害者福祉
 知的障害者福祉法に定められ,知的障害者援護業務に携わる専門職員で,都道府県は,福祉事務所,知的障害者更生相談所におかなければならない。知的障害者の福祉についての指導,相談を行っており,時には訪問指導も行っている。

<後半に続く>


*前回の講義レジュメ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期12回 講義レジュメ・前半*ジェネラリスト*社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 後期12回 講義レジュメ・後半*相談援助専門職*社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の基盤と専門職 練習問題 後期-12*エンパワメント*社会福祉士養成学科

by yrx04167 | 2010-12-20 07:16 | Comments(0)