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相談援助実習指導 第3回 レジュメ<前半>医療ソーシャルワーカーとは 社会福祉士養成学科

相談援助実習指導 第3回 レジュメ<前半> 11年4月20日
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科1Aグループ
<実習施設・機関の概要 2>

1 医療ソーシャルワーカー(MSW)の概要
・医療ソーシャルワークとは、ソーシャルワークの分野の一つで,保健・医療領域における、実践のことをさす。
 ソーシャルワーカーとして,医療機関で働き,主として疾病にかかった人が医療を受けるのに妨げとなる心理社会的問題の解決や,疾病によって必要となった生活再構成への援助を行う。具体的には、「医療相談室」などの部署で勤務する。

・一般的に医療ソーシャルワーカーが医療機関から最も期待されている役割は,従来から退院計画として知られていた,退院援助である。入院治療の段階を終了した患者を円滑に次の生活場所へと移していく業務である。医療費の財源問題から,各医療機関での入院期間の短縮化が要請され,それが退院援助と結びつき,医療ソーシャルワーカーの業務として強く求められている。

*地域医療
 医療機関、医師やスタッフが、地域の住民に働きかけて、疾病の予防や健康の維持、増進のための地域活動を行うこと。疾病の治療にとどまらず、予防医療、リハビリ、在宅療養のサポート、地域で暮らす高齢者、障害者の支援、子育て支援などの事業を行なう。近年、他の機関、施設とのネットワーク、連携が重視されている。

医療ソーシャルワーカー業務指針  厚生労働省健康局長 健政発第1129001
1.趣旨
(略)
・・・医療ソーシャルワーカーは、近年、その業務の範囲が一定程度明確となったものの、一方で、患者や家族のニーズは多様化しており、医療ソーシャルワーカーはこのような期待に、必ずしも応えきれているとは言い難い。精神保健福祉士については、すでに精神保健福祉士法によって資格が法制化され、同法に基づき業務が行われているが、医療ソーシャルワーカー全体の業務の内容について規定したものではない。
 この業務指針は、このような実情に鑑み、医療ソーシャルワーカー全体の業務の範囲、方法等について指針を定め、資質の向上を図るとともに、医療ソーシャルワーカーが社会福祉学を基にした専門性を充分発揮し業務を適正に行うことができるよう、関係者の理解の促進に資することを目的とするものである。
 本指針は、病院を始めとし、診療所、介護老人保健施設、精神障害者社会復帰施設、保健所、精神保健福祉センター等様々な保健医療機関に設置されている医療ソーシャルワーカーについて標準的業務を定めたものであるので、実際の業務を行うに当っては、他の医療スタッフ等と連携し、それぞれの機関の特性や実情に応じた業務のウェート付けを行うべきことはもちろんであり、また、学生の実習への協力等指針に盛り込まれていない業務を行うことを妨げるものではない。

2.業務の範囲
 医療ソーシャルワーカーは、病院等において管理者の監督の下に、次のような業務を行う。
(1)療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
 入院、入院外を問わず、生活と傷病の状況から生ずる心理的・社会的問題の予防や早期の対応を行うため、社会福祉の専門的知識及び技術に基づき、これらの諸問題を予測し、患者やその家族からの相談に応じ、次のような解決、調整に必要な援助を行う。
1 受診や入院、在宅医療に伴う不安等の問題の解決を援助し、心理的に支援すること。
2 患者が安心して療養できるよう、多様な社会資源の活用を年頭において、療養中の家事、育児、教育、就労等の問題の解決を援助すること。
3 高齢者等の在宅療養環境を整備するため、在宅ケア諸サービス、介護保険給付等についての情報を整備し、関係機関、関係職種等との連携の下に、患者の生活と傷病の状況に応じたサービスの活用を援助すること。
4 傷病や療養に伴って生じる家族関係の葛藤や、家族内の暴力に対応し、その緩和を図るなど家族関係の調整を援助すること。
5 患者同士や職員との人間関係の調整を援助すること。
6 学校、職場、近隣等地域での人間関係の調整を援助すること。
7 がん、エイズ、難病等傷病の受容が困難な場合に、その問題の解決を援助すること。
8 患者の死による家族の精神的苦痛の軽減・克服、生活の再設計を援助すること。
9 療養中の患者や家族の心理的・社会的問題の解決援助のために家族会等を育成・支援すること。

(2)退院援
 生活と傷病や障害の状況から退院・退所に伴い生ずる心理的・社会的問題の予防や早期の対応を行うため、社会福祉の専門的知識及び技術に基づき、これらの諸問題を予測し、退院・退所後の選択肢を説明し、相談に応じ、次のような解決、調整に必要な援助を行う。
1 地域における在宅ケア諸サービス等についての情報を整備し、関係機関、関係職種等との連携の下に退院・退所する患者の生活及び療養の場の確保について話し合うとともに、傷病や障害の状況に応じたサービスの利用の方向性を検討し、これに基づいた援助を行うこと。
2 介護保険制度の利用が予想される場合、制度の説明を行い、その利用の支援を行うこと。また、この場合、介護支援専門員等と連携を図り、患者、家族の了解を得た上で入院中に訪問調査を依頼するなど、退院準備について関係者に相談・協議すること。
3 退院・退所後においても引き続き必要な医療を受け、地域の中で生活することができるよう、患者の多様なニーズを把握し、転院のための医療機関、退院・退所後の介護保険施設、社会福祉施設等利用可能な地域の社会資源の選定を援助すること。なお、その際には、患者の傷病・障害の状況に十分留意すること。
4 転院、在宅医療等に伴う患者、家族の不安等の問題の解決を援助すること。
5 住居の確保、傷病や障害に適した改造等住居問題の解決を援助すること。
6 関係機関、関係職種との連携や訪問活動により、社会復帰が円滑に進むように転院、退院後の心理的・社会的問題の解決を援助すること。

(3)社会復帰援
 退院・退所後において、社会復帰が円滑に進むように、社会福祉の専門的知識及び技術に基づき、次のような援助を行う。
1 患者の職場や学校と調整を行い、復職、復学を援助すること。
2 関係機関、関係職種との連携や訪問活動等により、社会復帰が円滑に進むように転院、退院・退所後の心理的・社会的問題の解決を援助すること。

(4)受診・受療援
 入院、入院外を問わず、患者やその家族等に対する次のような受診、受療の援助を行う。
1 生活と傷病の状況に適切に対応した医療の受け方、病院・診療所等の機能等の情報提供を行うこと。
2 診断、治療を拒否するなど医師等の医療上の指導を受け入れない場合に、その理由となっている心理的・社会的問題について情報を収集し、問題の解決を援助すること。
3 診断、治療内容に関する不安がある場合に、患者、家族の心理的・社会的状況を踏まえて、その理解を援助すること。
4 心理的・社会的原因で症状の出る患者について情報を収集し、医師等へ提供するとともに、人間関係の調整、社会資源の活用等による問題の解決を援助すること。
5 入退院・入退所の判定に関する委員会が設けられている場合には、これに参加し、経済的、心理的・社会的観点から必要な情報の提供を行うこと。
6 その他診療に参考となる情報を収集し、医師、看護師等へ提供すること。
7 通所リハビリテーション等の支援、集団療法のためのアルコール依存症者の会等の育成、支援を行うこと。

(5)経済的問題の解決、調整援
 入院、入院外を問わず、患者が医療費、生活費に困っている場合に、社会福祉、社会保険等の機関と連携を図りながら、福祉、保険等関係諸制度を活用できるように援助する。

(6)地域活
 患者のニーズに合致したサービスが地域において提供されるよう、関係機関、関係職種等と連携し、地域の保健医療福祉システムづくりに次のような参画を行う。
1 他の保健医療機関、保健所、市町村等と連携して地域の患者会、家族会等を育成、支援すること。
2 他の保健医療機関、福祉関係機関等と連携し、保健・医療・福祉に係る地域のボランティアを育成、支援すること。
3 地域ケア会議等を通じて保健医療の場から患者の在宅ケアを支援し、地域ケアシステムづくりへ参画するなど、地域におけるネットワーク作りに貢献すること。

3.業務の方
 保健医療の場において患者やその家族を対象としてソーシャルワークを行う場合に採るべき方法は次のとおりである。
(1)個別援助に関わる業務の具体的展
 患者、家族への直接的な個別援助では、面接を重視するとともに、患者、家族との信頼関係を基礎としつつ、医療ソーシャルワーカーの認識やそれに基づく援助が患者、家族の意思を適切に反映するものであるかについて、継続的なアセスメントが必要である。
 具体的展開としては、まず、患者、家族や他の保健医療スタッフ等から相談依頼を受理した後の初期面接では、患者、家族の感情を率直に受け止め、信頼関係を形成するとともに、主訴等を聴取して問題を把握し、課題を整理・検討する。次に、患者及び家族から得た情報に、他の保険医療スタッフ等から得た情報を加え、整理、分析して課題を明らかにする。援助の方向性や内容を検討した上で、援助の目標を設定し、課題の優先順位に応じて、援助の実施方法の選定や計画の作成を行う。援助の実施に際しては、面接やグループワークを通じた心理面での支援、社会資源に関する情報提供と活用の調整等の方法が用いられるが、その有効性について、絶えず確認を行い、有効な場合には、患者、家族と合意の上で終結の段階に入る。また、モニタリングの結果によっては、問題解決により適した援助の方法へ変更する。

(2)患者の主体性の尊
 保健医療の場においては、患者が自らの健康を自らが守ろうとする主体性を持って予防や治療及び社会復帰に取り組むことが重要である。したがって、次の点に留意することが必要である。
1 業務に当たっては、傷病に加えて経済的、心理的・社会的問題を抱えた患者が、適切に判断ができるよう、患者自身の状況把握や問題整理を援助し、解決方策の選択肢の提示等を行うこと。
2 問題解決のための代行等は、必要な場合に限るものとし、患者の自律性、主体性を尊重するようにすること。

(3)プライバシーの尊
 一般に、保健医療の場においては、患者の傷病に関する個人情報に係わるので、プライバシーの保護は当然であり、医療ソーシャルワーカーは、社会的に求められる守秘義務を尊守し、高い倫理性を保持する必要がある。また、傷病に関する情報に加えて、経済的、心理的・社会的な個人情報にも係わること、また、援助のために患者以外の第三者との連絡調整等を行うことから、次の点に特に留意することが必要である。
1 個人情報の収集は援助に必要な範囲に限ること。
2 面接や電話は、独立した相談室で行う等、第三者に内容が聞こえないようにすること。
3 記録等は、個人情報を第三者が了解なく入手できないように保管すること。
4 第三者との連絡調整を行うために本人の状況を説明する場合も含め、本人の了解なしに個人情報を漏らさないようにすること。
5 第三者からの情報の収集自体がその第三者に患者の個人情報を把握させてしまうこともあるので充分留意すること。
6 患者から求めがあった場合には、できる限り患者についての情報を説明すること。ただし、医療に関する情報については、説明の可否を含め、医師の指示を受けること。

(4)他の医療スタッフ及び地域の関係機関との連
 保健医療の場においては、患者に対し様々な職種の者が、病院内あるいは地域において、チームを組んで関わっており、また、患者の経済的、心理的・社会的問題と傷病の状況が密接に関連していることも多いので、医師の医学的判断を踏まえ、また、他の保健医療スタッフと常に連携を密にすることが重要である。したがって、次の点に留意が必要である。
1 他の保健医療スタッフからの依頼や情報により、医療ソーシャルワーカーが係わるべきケースについて把握すること。
2 対象患者について、他の保健医療スタッフから必要な情報提供を受けると同時に、診療や看護、保健指導等に参考となる経済的、心理的・社会的側面の情報を提供する等相互に情報や意見の交換をすること。
3 ケース・カンファレンスや入退院・入退所の判定に関する委員会が設けられている場合には、これへの参加等により、他の保健医療スタッフと共同で検討するとともに、保健医療状況についての一般的な理解を深めること。
4 必要に応じ、他の保健医療スタッフと共同で業務を行うこと。
5 医療ソーシャルワーカーは地域の社会資源との接点として、広範で多様なネットワークを構築し、地域の関係機関、関係職種、患者の家族、友人、患者会、家族会等と十分な連携・協力を図ること。
6 地域の関係機関の提供しているサービスを十分把握し、患者に対し、医療、保健、福祉、教育、就労等のサービスが総合的に提供されるよう、また、必要に応じて新たな社会資源の開発が図られるよう、十分連携を取ること。
7 ニーズに基づいたケア計画にそって、様々なサービスを一体的・総合的に提供する支援方法として、近年、ケアマネジメントの手法が広く普及しているが、高齢者や精神障害者、難病患者等が、できる限り地域や家庭において自立した生活を送ることができるよう、地域においてケアマネジメントに携わる関係機関、関係職種等と十分に連携・協力を図りながら業務を行うこと。

(5)受診・受療援助と医師の指
 医療ソーシャルワーカーが業務を行うに当たっては、(4)で述べたとおり、チームの一員として、医師の医学的判断を踏まえ、また、他の保健医療スタッフとの連携を密にすることが重要であるが、なかでも2の(4)に掲げる受診・受療援助は、医療と特に密接な関係があるので、医師の指示を受けて行うことが必要である。特に、次の点に留意が必要である。
1 医師からの指示により援助を行う場合はもとより、患者、家族から直接受診・受療についての相談を受けた場合および医療ソーシャルワーカーが自分で問題を発見した場合等も、医師に相談し、医師の指示を受けて援助を行うこと。
2 受診・受療援助の過程においても、適宜医師に報告し、指示を受けること。
3 医師の指示を受けるに際して、必要に応じ、経済的、心理的・社会的観点から意見を述べること。

(6)問題の予測と計画的対
1 実際に問題が生じ、相談を受けてから業務を開始するのではなく、社会福祉の専門的知識及び技術を駆使して生活と傷病の状況から生ずる問題を予測し、予防的、計画的な対応を行うこと。
2 特に退院援助、社会復帰援助には時間を要するものが多いので入院、受療開始のできるかぎり早い時期から問題を予測し、患者の総合的なニーズを把握し、病院内あるいは地域の関係機関、関係職種等との連携の下に、具体的な目標を設定するなど、計画的、継続的な対応を行うこと。

(7)記録の作成
1 問題点を明確にし、専門的援助を行うために、患者ごとに記録を作成すること。
2 記録をもとに医師等への報告、連絡を行うとともに、必要に応じ、在宅ケア、社会復帰の支援等のため、地域の関係機関、関係職種等、への情報提供を行うこと。その場合、(3)で述べたとおり、プライバシーの保護に十分留意する必要がある。
3 記録をもとに、業務分析、業務評価を行うこと。

4.その
 医療ソーシャルワーカーがその業務を適切に果たすために次のような環境整備が望まれる。
(1)組織上の位置付け
 保健医療機関の規模等にもよるが、できれば組織内に医療ソーシャルワーカーの部門を設けることが望ましいこと。医療ソーシャルワーカーの部門を設けられない場合には、診療部、地域医療部、保健指導部等他の保健医療スタッフと連携をとりやすい部門に位置付けることが望ましいこと。やむをえず、事務部門に位置付ける場合にも、診療部門等の諸会議のメンバーにする等、日常的に他の保健医療スタッフと連携をとれるような位置付けを行うこと。
(2)患者、家族からの理解
 病院案内パンフレット、院内掲示等により医療ソーシャルワーカーの存在、業務、利用のしかた等について患者、家族等からの理解を得るように努め、患者、家族が必要に応じ安心して適切にサービスを利用できるようにすること。また、地域社会からも医療ソーシャルワーカーの存在、業務内容について理解を得るよう努力すること。医療ソーシャルワーカーが十分に活用されるためには、相談することのできる時間帯や場所等について患者の利便性を考慮する、関係機関との密接な連絡体制を整備する等の対応が必要である。
(3)研修等
 医療・保健・福祉をめぐる諸制度の変化、諸科学の進歩に対応した業務の適正な遂行、多様化する患者のニーズに的確に対応する観点から、社会福祉等に関する専門的知識及び技術の向上を図ること等を目的とする研修及び調査、研究を行うこと。なお、3.(3)プライバシーの保護に係る留意事項や一定の医学的知識の習得についても配慮する必要があること。
 また、経験年数や職責に応じた体系的な研修を行うことにより、効率的に資質の向上を図るよう努めることが必要である。


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士国家試験合格率速報 2011年3月 日本福祉教育専門学校社会福祉士養成学科合格率96.1% (現役のみ)

*社会福祉士とは
  「社会福祉士及び介護福祉士法」により定められた、相談援助、運営管理等、ソーシャルワークに携わる専門職の国家資格です。
 各種の相談機関、福祉行政機関、福祉施設・団体、医療機関などにおいて,専門的知識と技術をもって,福祉サービス利用者の相談援助や,グループワーク、施設の運営管理、地域福祉活動等を行なう社会福祉専門職です。
 社会福祉士は、子ども、医療、コミュニティ、障害者、貧困、女性、高齢者、更生保護、行政等、多岐にわたる領域で、他者を支え、社会に貢献する仕事・職業です
社会福祉士及び介護福祉士法.


<続き・用語解説は下記をクリック 退院計画、インフォームド・コンセント、患者の権利



*退院計画
 病院からの退院時にそれぞれのケースの状況に応じて自宅等の退院先を確保,その後の治療や日常生活を維持することを目的とし,患者・家族が適切な支援,サービスを受けられるように,退院前から行う病院におけるシステム化された活動・プログラムをいう。医療・看護・福祉等のチームケアの考え方で,地域と連携し目標を決める。ケアマネジメントの技法の一つでもある。

*医療ソーシャルワークの課題
・患者の、人間としての尊厳の尊重や権利保障、権利擁護を更に進展していく、患者を守る専門職である。
・医療組織が病院のみでなく老人保健施設,在宅介護支援センター,介護保険の介護支援事業所等を併設するようになり,そのなかでソーシャルワーカーが活躍する場も広がり,近年ワーカー数も飛躍的に増加している。
 このような動向は肯定的な面ばかりではない。ソーシャルワーカーにとってその使命が厳しく問われる局面でもある。医療機関で働く以上は所属する組織からの要求や期待は受け入れなければならないが,一方,ソーシャルワーカーである限りは患者の人間としての尊厳の尊重や権利保障というソーシャルワークの価値・倫理を譲ることもできない。採算性がより厳しく問われる医療組織のなかで,所属機関の要求を受け入れつつ,患者を守る立場をいかに保つかは,医療のなかでの福祉職というソーシャルワーカーに負わされた大きな課題である。

*インフォームド・コンセント
 「説明と同意」と訳され,医療において治療や検査は当事者である患者がそのことについて情報を与えられ,同意をしてはじめて行いうるという原則のこと。
 人体を対象とする生物医学的研究において,被験者が研究について知らされ,承諾をしてはじめて研究を実施しうるとしたことに由来する。1960年代,アメリカでの患者の権利運動で,一般の医療においても患者に対してそのような原則の必要性が求められた。伝えられるべき医学的情報として,検査や治療についての目的や内容,それにより予想される結果,それに伴う危険性,副作用,成功・失敗の確率,代替的な方法,検査や治療を受けないことによる予測される結果等が含まれる。
自己の医学的情報についての真実を知る権利と,治療を拒否する権利すなわち自己決定権がインフォームド・コンセントの最も重要な点である。

*患者の権利
 医療におけるパターナリズムから脱却し,患者の人権保障と医療への主体的参加を実現するために必要とされる権利の総称。その表現や権利内容は,必ずしも統一されてはいないが,おおむね患者の自己決定権を主軸として,情報アクセス権(カルテ開示請求権等),同意権,治療拒否権,プライバシー権,苦情申立権などがあるとされる。もっぱら患者・医療従事者関係において主張されるが,それにとどまるものではなく,医療制度に関するもの(例えば,医療サービスアクセス権)などを含む。
 特にインフォームド・コンセントは,治療に関する十分な情報提供と納得したうえでのそれに対する自由な同意を一連の手続として捉える法理・概念として,一般にも広く知られるところとなっている。
by yrx04167 | 2011-04-29 16:58 | Comments(0)