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社会調査の基礎 第3回講義レジュメ 質的調査1 特徴、帰納的方法、シカゴ学派とは

社会調査の基礎 第3回講義レジュメ<前半> 2011/05/13 3時限
日本福祉教育専門学校 ソーシャルケア学科 にて講義
質的調査の特徴と種類 テキストP76~
1)概要

・質的調査(qualitative research)は、定性的研究等とも言われ、非構造化面接・フリーインタビューや、観察、加えて文書(日記等)や映像、歴史的記録などの質的データ(定性的データ)を得るために、社会学、文化人類学などで用いられる調査方法である。
2)特質  
*質的調査の手法は、社会の全体像の把握を目的とする社会調査としては有効ではないが、先行研究が少ない分野の研究のために、探索的な調査をする目的として有効とされる。

*量的調査の論理―比較のために
 調査によって集まったデータから、仮説が真だとわかれば、理論が支持されたことになる。
*量的調査の特性
(1)標準化
 測定の条件が同一になるようにすること。回答者に対する「刺激の等しさ」。
具体的には、すべての回答者が、同じ質問を、同じ意味づけ、同じ言い回し、同じ抑揚、同じ順番、同じ状況で問いかけられたということ
(2)再現可能性
 調査に用いた測定を、他の調査者が再現できる可能性
 他の調査者の追試によって、調査結果の真偽が判定できる可能性
(3)信頼性
 同一の対象に対して同一の手法で測定を行えば、同一の測定結果が得られること
(4)妥当性
 意図したものを実際に測定していること
 仮説や変数の操作化する際に問題となる論点
(5)代表性
 サンプルが調査対象の母集団をよく代表していること
  ランダム・サンプリングの必要性

2 質的調査の基本的種類
*質的調査の特徴

① 主観的見方
・ 質的調査では、調査者と対象者の主観的認知、感情、価値観などの全てを研究資料として扱う。

② 過程に関する関心
 動態的・立体的に対象を把握する。

③ 手続きの柔軟性
・ 柔軟性により、未だ研究されていない分野の探索的研究に優れている。

④帰納的方法
・ 経験やデータから、理論の構築を目指す。
・帰納的とは、個々の特殊な事実や命題の集まりからそこに共通する性質や関係を取り出し、一般的な命題や法則を導き出すこと。

⑤研究内容の質的豊かさ
*調査対象の個別性を捉えることが可能である。
 量的な実証研究と比較し、現象等を深く研究することが可能である。

⑥理論の一般化の限界
理論構築の基礎となる情報を提供する。しかし、特定の個人や小集団から質的データを収集するため、一般化は困難とされている。

*質的調査に向く研究課題
・質的調査の目的は、調査対象の個人や集団の、ありのままの状況、内面、価値観を記述形式で説明し、対象を理解することにある。調査対象の文化、歴史について詳しく記述する等。

*質的調査の方法=帰納的な方法
・調査の準備において:調査者が既に何が重要な事柄なのかを知っている量的調査に対して、質的調査では、何が重要なのかについて決まり切った仮定はしない。
・質的調査は、量的調査のように演繹的な方法で検証するのではなく、観察から調査者の考えを進展させていく帰納的な方法をとる
・帰納的とは、個々の特殊な事実や命題の集まりからそこに共通する性質や関係を取り出し、一般的な命題や法則を導き出すこと。

*理論の一般化には限界があるという指摘
 質的調査の手法は、社会の全体像の把握を目的とする社会調査としては有効ではないが(目的ではない)、先行研究が少ない分野の研究のために、探索的な調査をする目的として有効とされる。

*質的調査
1)目的

・質的調査の目的は、調査対象の個人や集団の、ありのままの状況、内面、価値観を記述形式で説明し、対象を理解することにある。調査対象の文化、歴史について詳しく記述する等。

2)アプローチ
*質的調査の特質は、少数対象の質的データを集約的に調査するものである。
①少数の事例が対象
②上記の多数の側面を全体関連的に
③主観的・洞察的、柔軟性に富んだ手法を用いて
④質的データを多面的・動態的に資料収集、分析 
⑤主観的・洞察的に分析する 
これらを目指す、帰納的な方法である                    

3)対象とフィールド
・質的な対象の選択が行なわれる。

4)データ収集
・「記述」による。

5)分析
・データ収集と分析との往復。

6)結果
・探索的な調査により、新たな視点を提供する。

7)調査者と調査参加者との関係
・両者の心理的・関係の近さが求められる。
・例:参与観察等では、理解を図る調査対象者・集団の活動にすっかり入り込むことが求められる。

○補足:質的調査の起源
・ロバート・パークを中心とするシカゴ学派の社会調査が、質的調査・参与観察の起源の一つである。1920年代から1930年代のシカゴにおいて、絶えず変動し続ける社会現象を観察という手法で研究することを、学生に説いた。主な研究対象は、犯罪、逸脱、人種関係、都市化など。

・古くは,ヘンリー・メイヒューの『ロンドンの労働とロンドンの貧民』(1861 年)などが有名なものである。この中では,19 世紀中頃のロンドンの街角に見られる呼び売り商人などの実態が生き生きと描き出されている。

*後半に続く


社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第2回講義レジュメ<前半>4/29 質的・量的調査とは ソーシャルケア学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 社会調査の基礎 第2回講義レジュメ<後半>4/29 観察法・面接法・質問紙法とは ソーシャルケア学科


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社会福祉士及び介護福祉士法

by yrx04167 | 2011-05-15 21:11 | Comments(0)