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相談援助の理論と方法 前期第13回講義レジュメ2 単一事例実験計画法、シングルシステムデザイン、効果測定とは

相談援助の理論と方法 前期第13回講義レジュメ2 2011/07/07 5・6時限
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース)

*単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン) テキストP237
<ポイント

・シングル・システム・デザイン(SSD法)は、シングル・ケースデザイン、シングル・サブジェクト・デザイン、単一事例実験計画法、またはN=1実験等とも言われている。
・社会福祉の実践現場において、実践の効果を科学的に測定する方法の一つである。
一事例で調査・分析を実施することができる特徴がある。
<解説>
1 シングルシステムデザインは何を明らかにするのか

・単一事例実験計画法は、1事例から介入(インターベンション)の効果を測定する方法である。
 援助を行う前(ベースライン期)の問題の状態と援助を受けた後(インターベンション期)の問題の状態を、時間の流れに沿って繰り返し観察することによって、問題の変化と援助との因果関係を捉えようとする方法をいう。

2 基礎線(ベースライン
・シングル・システム・デザインでは,介入(援助)開始前に分析対象となる行動や意識を一定期間、継続的に測定する。これを基礎線=ベースラインという。
・介入・援助の後に、明確な結果が出てくるように、介入を行なう前の測定値の推移を安定したものとするために、原則として最低3回、倫理的、現実的に可能ならば10回の測定を行なうべきである(ブルーム等,1999)。

*基礎線の目
 基礎線・ベースラインとは、介入を加えない状態のことである。
 介入による変化を評価するための枠組として、必要である。

*基礎線期のデータを収集する方法
①介入前のアセスメントにおける測定(観察

 上記のために十分な期間をとる。
・倫理的な問題として、ベースラインの測定、情報収集のために、介入が保留状態になってしまう。

②既存の公私の記録をもとにベースラインを構築する
③クライエント自身、もしくは熟知している人の回顧による方法
 このような、過去の振り返りによるベースラインを、リトロスペクティブ・ベースラインという。

3 介入期
・シングル・システム・デザインの測定法は、介入(援助)開始から終結まで、分析対象となる行動や意識の測定が継続的に行われる。
 分析対象となる行動等の継続的な測定を行ない、特定の介入を行なう事によって、効果があらわれ、きちんと反映されているかどうかを検討する。
・ベースライン=介入開始前と、介入開始から終結までで,分析対象となる行動等がどの程度変化したかを比較し,援助効果を評価する。

*効果の判
 シングル・システム・デザインのデータは統計的方法ではなく、グラフの読み取りによって解釈がされており、現在も基本的にその方向性に変わりはない。つまり、単一事例実験のデータは一般的に視覚的判断によって評価され、データをグラフ化して効果を目で確認するという方法である。
 しかしこのような視覚的な方法はグラフの読み手によって解釈の仕方が違ってくるといった問題もあげられてきている。そのような考え方から、最近では、単一事例実験データにも、多数の被験者を対象とした実験と同様に統計的検定を導入すべきではないかという提言もある。

*シングル・システム・デザインの形態・A-Bデザイン
◆A-Bデザイン
 「A」とは、介入開始前=介入・援助を加えていないとき=基礎線・ベースライン期である。
 「B」とは、介入開始後=介入・援助を加えている時期=介入・インターベンション期である。
 このA期とB期の比較を行なう。
・A-Bデザインと呼ばれており、最も簡単で、基礎的な単一事例の実験方法である。

◆A-B-Aデザイン
 A=ベースライン期 ⇒ B=インターベンション期 ⇒ A=ベースライン期
 A-B-Aデザインとは、A=ベースライン期、B=インターベンション期、A=ベースライン期と推移するものである。
 単一事例実験は、通常、何らかの好ましい行動変容をさせようとするものであり、ABAデザインにおいては実験結果がきちんと出てきたとしても、また元のベースライン期に戻すので、意味のないことになってしまい、実践的には意味のないことになってしまう。倫理的な問題を生じる可能性がある。

◆A-B-A-Bデザイン
 A=ベースライン期 ⇒ B=インターベンション期 ⇒ A=ベースライン期 ⇒ 
Bインターベンション期
 A-B-A-Bデザインとは、A=ベースライン期、B=インターベンション期、A=ベースライン期、B=インターベンション期と推移するものである。
・A-B-A-Bデザインでは、二度目のベースラインAの後に、インターベンション期Bをおくことで、その効果を確認すると同時に、さらに好ましい行動の定着をはかろうとするものである。

◆B-A-Bデザイン
 介入期から測定が開始され、介入中断後、介入を再開する形態である。

補足:A-B-Cデザイン、A-B-C-Dデザイン
 他の介入=C、Dに切り替えるデザインである。

11章4節 評価とサービス開発
1 プロセス評価とアウトカム評価 テキストP240

・効果測定は、介入・サービスの手順を明確化し、その効果を測定し、判断するものである。
・ソーシャルワーカーの相談援助は、多様な資源の活用や、直接実施する介入を含む全体であり、この全体としての有効性を包括的に検討し、判断する=評価と捉えている(テキストP240)。

・プロセス評価とは、相談援助のプロセスについての評価である。
・アウトカム評価とは、最終的な成果(エンド・プロダクト)についての評価である。

*プロセス評価(過程評価)
<ポイント

 援助が援助計画で作成された目標を達成できているかどうかを確認するために行う評価方法である。過程評価においては,プログラムや援助の実施段階で,先に計画で作成された目標が達成できたかどうかを確認し,目標達成が難しい場合には,目標をどのように変更すればよいのか,あるいは,目標達成が難しくなる要因は何か,などを考えていく必要がある。

<解説>
・モニタリングは、主に短期目標に対応する、介入・援助に関するモニター情報に基づき実施するプロセス評価が中心である。
・モニタリングの情報に加え、ケース記録を活用し、援助の過程と、援助の終結において、援助のプロセス全体を見直し、評価する。
・援助の全プロセスを評価する場合は、アセスメントやプランニング、介入全般とクライエント等との関わり、フォローアップをも含むプロセスの総合的な評価であるべきとされる。
しかし、「総合的なプロセス評価のモデルとしてはまだ明確なものがないのが現状(テキスト)」

*アウトカム評価(結果評価)
<ポイント

 援助終結後に利用者のニーズが満たされているか,あるいは特定のニーズや問題に対して特定の援助方法やプログラムが効果的かを判断するといったように,援助方法の効果を援助結果によって判断することをアウトカム(結果)評価という。
・福祉プログラムや福祉における援助が,その利用者にとって最終的に有益であったのかどうかを確認するために行う評価である。
<解説>
・特に長期目標が達成できたかを判断することである。
 モニタリング情報による短期目標達成の判断を総合することにより、長期目標達成の判断にもつながる。
・アウトカム評価のより重要な点は、長期目標が具体的かつ明確に設定されているかである。これにより、目標達成の判断は容易になる。
・しかし、新たなニーズや問題の出現によって、長期目標は変化する可能性がある。
 また、長期目標についても関係者の合意が求められる。

2 サービス開発の必要
・援助プランに沿ったサービス資源が、効果測定の結果、有効ではないことが判明する、また、援助プラン設定時に、適切なサービス資源が無いこともある。
・サービス資源が有効ではないか、存在しない場合、資源の開発が、ソーシャルワーカーの役割として求められる。これは、ソーシャルワークにとって、重要なものである。
・岡村重夫は、社会生活上の要求に対応する資源(制度)がない場合、社会福祉が一時肩代わりし、資源を提供する機能=代替的機能(後に開発的機能)と提示した。

・サービス資源の開発のみならず、相談援助の手続き・手法の開発も求められる。
 これは、援助の対象、ニーズ、問題の種類により異なる。
 領域により、開発の進展がみられるが、医療や看護等に比べると、対象・問題に対応する相談援助モデル・手法の開発は十分ではない。
・ソーシャルワークにおいても、実践のなかで、詳細な問題に対応できる相談援助モデルと、新たなサービス資源の開発に努めることが求められている。

<用語解説>
○代替的機能 substitutional function
 一般的な社会制度やサービスが整備されていないことにより,人々のニーズが充足されない場合に,社会福祉がそれらの制度やサービスに代わって,人々が必要とする制度やサービスを提供する機能をさす。例えば,高齢者向けの住宅が充分に整備されていないために,高齢者が養護老人ホームに入所せざるをえない場合がこれにあたる。ただし,未整備なサービスを代替するにとどまらず,将来の制度やサービスの拡充に向けた働きかけも求められる。

<前回の講義レジュメ>
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第12回講義レジュメ<前半>6/30 モニタリングとは 社会福祉士養成科
11章1節 経過観察(モニタリング) テキストP218
1 相談援助のプロセスとモニタリング・再アセスメント・効果測定・評価 テキストP218

社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助の理論と方法 前期第12回講義レジュメ・後半6/30 再アセスメント、効果測定 社会福祉士養成科
11章2節 再アセスメント 1 再アセスメントの手順と援助の方向 テキストP229


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法
by yrx04167 | 2011-07-09 16:48 | Comments(0)