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相談援助実習指導 前期第13回レジュメ 7/13 相談援助・記録の方法とは 社会福祉士養成学科

相談援助実習指導 前期第13回 レジュメ 2011/07/13
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科1クラスAグループ

<今回のテーマ:相談援助実習と記録2
*はじめに
 実習の記録へのメモの活用、メモの取り方について。
 実習記録、記入上の注意点。

1 記録の技術の実際

*事実そのものを記述するのは、叙述体・要約体の記録様式である。例は別紙資料参照。
 事実への解釈や意向は、説明体の記録様式を用いる。
(記入例は、当日、配布した資料を参照)
①叙述
*面接を時間的順序に沿って記述する様式のものを叙述体という。

②要約
*叙述体で書かれた記録をもとに、援助者(記録者)の考察を経て再整理し、主眼点を明確にしようとするものを要約体という。

③説明
*援助者(記録者)の主観的な考えや解釈を記録したものを説明体という。
 「事実」と「事実に対する解釈」を区別して記入する必要がある。

<解説>
○生活史(ケース・ヒストリー) 後述
○エコマップ 後述
○ジェノグラム 後述

*記録の方法
2 記録の方法 相談援助の理論と方法ⅠテキストP278

・記録の公表の有無
 公式・非公式の記録がある。通常は、公式のものが多い。
 公式記録には、援助記録、運営管理記録、ケース・事例記録(広義と狭義のもの)、その他が含まれる
 非公式記録には、専門職各自の実践記録・フィールドノーツ、当事者記録などが含まれる。
・記録データの性質:質的な記録と統計的な記録の区別がある。
・記録の手段は、機器によるもの、手書きによるもの。
・記録作成者は、単数の場合と複数の場合がある。複数とは、チーム体制をとる場合、複数の専門職が協働で作成する。

・記録の目標:個別化した記録、標準化した記録を目指すのか。
・記録の様式:項目記録、過程記録、要約記録など。
・記録の文体:叙述体と逐語体がある。
・記録文の種類:要約体と説明体がある。
・文章の時制:現在形、過去形
・書き手の人称:一人称単数か複数
・専門用語:専門用語の使用の抑制、通常
・俗語、方言、機関・個人への非難:訂正、書かない、事実をありのまま書く
・図表の使用:ジェノグラム、家族図、エコマップなど
・項目を用いた記録:問題解決志向型など
・電子化に伴い、トラブル・故障に備え、記録のバックアップが課題となる。
・記録を読む相手、用途を考える必要がある。

3 ソーシャルワーク記録のIT
・情報技術・ITは、ソーシャルワーク記録に影響を与えた。
・記録媒体の拡大に伴う記録(個人情報・データ)の保管が問題となる。
・ソーシャルワーク記録は、手書きからコンピュータによるものへと変化しつつある。
導入の理由は、記録作成時間の短縮化と、情報の共有化、編集が可能となる。
職員の入力技術の有無、人力ミス、紙媒体の記録の保存・運用の並行等の問題がみられる。
・電子記録の導入は、記録内容にも影響を与えている。
人間味や個別化の情報が少なくなり、一般化した文体や用語の使用。
・データの漏洩や改ざんの危険性がある。データへのアクセス制限・監視体制、リスク対処策も必要とされる。
・ITは、今後も文書の作成・保存、報告方法など組織的な文書処理に影響を与えると考えられるが、ソーシャルワーク実践の記録の重要性は不変のものである。

4 記録と倫理 テキストP280~
*記録上の倫理と制

・記録に関して、クライエントには二つのリスクがある。
・第1のリスク:個人情報が守られない
「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が2003(平成15)年に制定されている。
・「個人情報」の定義
(定義)
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。

・基本理念
第三条 個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ、その適正な取扱いが図られなければならない。

・利用目的による制限
第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

・第2のリスク:不適切な専門職の対
・個人データの開示
第二十五条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
 一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
 二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
 三 他の法令に違反することとなる場合
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部又は一部について開示しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
3 他の法令の規定により、本人に対し第一項本文に規定する方法に相当する方法により当該本人が識別される保有個人データの全部又は一部を開示することとされている場合には、当該全部又は一部の保有個人データについては、同項の規定は、適用しない。

*記録上の倫理と倫理綱領・行動規
・日本社会福祉士会の「社会福祉士の倫理綱領」では、「プライバシーの尊重」「秘密の保持」「記録の開示」「情報の共有」と題して倫理基準と行動規範を示している。

*プライバシーの尊重と秘密保
・専門職団体の倫理綱領・行動規範は、法律である個人情報保護法と比べて拘束力が弱い。
 個人情報保護法は責任主体が「個人情報取扱事業者」、倫理綱領・行動規範の責任主体は社会福祉士という専門職個人である。
・倫理綱領は、社会福祉士個人に課せられた倫理規定ではある。
 個人情報保護は、専門職個人にのみ課せられるものではない。専門職の雇用主である組織等も関わる
・記録の倫理性を守るために、ミクロ・メゾ・マクロレベルの体制ができつつある。

*記録の開
・クライエントへの記録の開示は、開示の備えができていても、日常の記録をそのまま開示できない。
・悪い例:記録開示に備えて記録の簡略化を進めている機関。
・スーパービジョンのために過程叙述体は必要であり、これは開示の対象にはできないという機関もある。
・「情報(個人データ)の開示」が法律で規定され、現実的な課題となっている。
・専門性と無駄のない限られた情報に基づく記録であれば、倫理的記録にもなり効果的記録にもなる。

*情報の共
・組織内の情報共有の必要性は増している。クライエントとの情報の共有もあり得る。
・専門職の協働と、クライエントとのパートナーシップの側面から、記録の開示は言うまでも無く、専門職の責任において、情報の共有化が求められている。

*記録における倫理的課
・記録の倫理の補足として、クライエントの記録の情報はクライエントのものであるという考え方もある。
・専門職は、自分の役割、責任、専門性により、援助目標と援助計画等を明確化して記録をとることが、誠実な記録といえる。これは、倫理的かつ実践的である。説明責任の遂行に繋がる。

5 記録の今後の課
1 スーパービジョン テキストP284
・スーパービジョンにおいては、過程叙述体や圧縮叙述体を、指導に用いることが多い。

2 ケースカンファレンスに提出する記
・カンファレンス・会議には、ケース概要を要約記録で提出することが多い。

*記録の三つの課題
①記録を有効に活用すること

・援助活動・業務の証拠のための記録も必要であるが、保身の道具にとどまることは誤りである。
・明確な目的をもった記録は、記録を活用する必須条件である。
・専門職養成や実践力向上のための記録の活用が必要と考えられる。
実践的かつ専門的にケース(事例)記録を活用することが求められる。

②記録業務を組織的にバックアップすること
・記録業務は、ソーシャルワーク業務としての認知度が低い。
しかし、適切な記録をつけることが、クライエントや地域社会に対して「説明責任」を果たすことに繋がる。
記録は、援助活動をクライエントや地域社会に認知させる最もよい証拠になる。
・記録媒体の拡大に伴う記録・個人情報・個人データ保管体制の確立が求められる。
③個人情報保護と情報・記録の共有に対して前向きな記録作成を模索すること
・悪い例:個人情報保護に備えて、組織として記録を2本立てにする
・利用者との記録の共有などの社会的要請に応えられることも、機関やや専門職団体の今後の課題である。
 社会福祉士受験支援講座・教員日記


*前回のレジュメ
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助実習指導 前期第12回レジュメ・前編 7/4 実習記録の書き方 社会福祉士養成学科
社会福祉士受験支援講座・教員日記 : 相談援助実習指導 前期第12回レジュメ・後編 7/4 実習記録の留意点 社会福祉士養成学科


日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法


*レジュメ続きは下記をクリック



○生活史(ケース・ヒストリー)
・相談援助機関等を利用するまでのその利用者の生活の背景を,時間の経過に沿って記録化したもの。生活史,生活歴とも訳される。具体的にその背景の何をどのように把握するかということは,援助機関の性格や機能,理論的基盤の違いによって異なり,個人の問題状況に焦点を合わせた医学モデルに準ずるもの,個人を取り巻くさまざまな環境とその相互作用なども含めて焦点が当てられる生活モデルに準ずるものなどがある。

○エコマップ
・「社会関係地図」「生態地図」ともよばれる。基本的には,記録用紙の中央に家族の状況を書き,その家族を取り巻くさまざまな社会環境との関係性や作用する力などを,線の種類や矢印の方向などで表し,その家族や個人のエコシステム,サポート・ネットワーク,ストレス領域などをアセスメントするためのマッピング技法。利用者から得られる情報に基づいて援助者が作成する場合と,利用者と共同で作成する場合がある。

○ジェノグラム
・幾世代にわたる家族関係を表す図。性別,結婚・離婚,死亡などを図に表す。他、例えば,別居,同居,遠距離居住,個人間の関係の良し悪しなどについては,作成者によってさまざまな工夫が凝らされる。ジェノグラムはエコマップと併用して頻繁に用いられる,代表的なアセスメント・ツールである。

○過程記録 process recording
・社会福祉援助の経過を時系列的に記述した記録。フェイスシート(氏名,生年月日,家族成員,収入,機関の利用記録等の,クライエントの属性や身上にかかわる記録)に続いて,クライエントとワーカーおよび当該機関との接触が記され,援助内容そのものの記録といえる。スーパービジョンや事例研究には不可欠であり,またクライエントとワーカーの権利を守るためにこれが必要とされる場合もあるので,日時や内容には正確を期す必要がある。記述方法には逐語記録や要約記録があるが,適宜使い分ける。
by yrx04167 | 2011-07-14 08:45 | Comments(0)