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相談援助の理論と方法 第19回講義レジュメ5 ケース・ケアマネジメントの過程・プロセスとは 社会福祉士

相談援助の理論と方法 第19回講義レジュメ5 2011/08/25 6・7時限
社会福祉士養成科(夜間部トワイライトコース) 担当:当ブログ筆者

2章1節 ケース(ケア)マネジメントの基本・続き
2 ケースマネジメントの構成要素 P24
①クライエント・利用

・日々の生活の維持に支障があるため(例:介護ニーズ),多種のサービスを適切に活用しなければ在宅生活を維持することのできない利用者。
・利用者には,病院や入所型の施設から自宅へ戻ろうとしている人が含まれ,かつ必要なサービスを自分や家族の力だけでは適切に活用できない場合、マネジメントが必要となる。
・利用者はケアマネジメントによる支援を受けることによって,自らの問題解決能力を高めようとしている。
・利用者の家族も含めて支援する場合がある。

②社会資
・ケースマネジメントは、利用者の生活障害・問題を,複数のサービスを調整、活用することにより、解決を支援する技術である。
 ⇒サービス資源がなければ問題解決はすすまない
・フォーマル・サービス…質が安定していて,長期にわたる利用も可能であるが,柔軟性や即応性に欠ける。
・インフォーマル・サポート…利用に制約が少なく,柔軟であり,複雑な利用手続きも必要としないという利点。しかし,長期に利用しつづけることは困難,質も不安定。
・専門的で制度的なフォーマル・サービスとインフォーマル・サービスに区分される。前者の核となるのは、ホームヘルプと訪問看護の居宅訪問サービスであるが,デイサービスなどの通所サービスやグループホームなどのサービスが含まれる。後者には,家族,地域住民,ボランティアなどが含まれる。

・内的資源…クライエントの能力、意欲、資産等。ストレングス。

③ケースマネージャー
・ケースマネジャーは、フォーマル・サービスとインフォーマル・サポートの効果的な組み合わせにより、サービス利用を支援することによって,利用者が自ら問題解決に立ち向かう力を強めていく。
・多種多様なサービスを,利用者のおかれている状況やライフスタイル,経済的条件等に合わせて有効適切に活用するための支援が必要である。

*補足:ケース(ケア)マネジャー care manager
・ケアマネジメント・プロセスのアセスメントからモニタリングに至る全過程において,サービス利用者や介護者の自立を促進しQOLの向上を図るために,ケアチームのコーディネーターとしての役割を担う。
(後述)

②複合的なサービスニーズ
*ケアマネジメントの特徴→支援者が多数であるために,サービスを円滑に実施し合うための合議による協働の技術が必要。
*ケアマネジメントによる支援を必要とする複合的なサービスニーズは,次のような条件のなかで発生
①長期ケア
②自宅を生活の拠点とする地域ケア
*ケアマネジメントによる支援を必要とするのは,かなり長期間にわたる地域ケアを可能にするための複合的なサービスニーズを有している場合。

*用語解説
*インフォーマル・サポート

・個人を取り巻く家族,親戚,友人,近隣,ボランティア等が制度に基づかずに行うケアの総称。
(後述)

○解説:国民保健サービス及びコミュニティケア法
・イギリスの医療制度である国民保健サービス(NHS)と,コミュニティケアとよばれる在宅福祉サービスの総合的な調整を図ることを目的に,1990年に成立した法律。
(後述)

○解説:在宅ケア home care services
・長期ケアの対象となる障害者や高齢者等に対して,できるだけ在宅で地域生活が継続できるように提供されるケアサービス。
(後述)

2節 ケースマネジメントの過程 テキストP27から
1 ケースマネジメントの過程
*ケースの発

・クライエント・家族による申出か、他からの連絡による支援の受付。
 例:病院を退院し、在宅生活に復帰する際に、ケースマネジメント機関に連絡が入る等。他、サービス提供事業者・施設や、民生委員等からも連絡が入る。
・ケースマネジメントのクライエントを発見するためには、地域の団体、機関、施設、個人等との連携を図り、クライエントを送致(refer)の仕組みの構築、機能が必要である。
地域の組織・個人によるネットワーク形成が鍵になる。

*スクリーニング
・クライエントがケースマネジメントを必要としているのか否かを検討し、対象者に該当するか、緊急度等を仕分けをする作業である。

*ケースマネジメントを必要とするクライエントの特徴 P29
・複数の、または複雑な身体的・精神的不全を抱えている
・複数のサービスを必要としている、あるいは受けている
・サービスが十分に提供されていない、
・受けているサービスが不適切である
・世話すべき家族員がいない、あるいは十分な世話が受けられていない
・行動や態度が他人の耐えうる範囲を越えている
・何度も入退院を繰り返している、あるいは自分自身の健康管理ができない
・金銭管理ができない、あるいは行政サービスを申請するのに手助けがいる
・個人的な代弁者が必要

*インテーク
 ケースマネジメントの経緯をクライエント・家族に説明し、ケースマネジメントを開始する契約を結ぶ段階である。
・本来は、クライエント・家族の、動機付け、意識化が重要である。

*アセスメント
・クライエントの生活状況全般を把握し、生活課題(ニーズ)を明らかにすること。
ケースマネジメントでは、アセスメント用紙・シートが多くの場合、活用される。
アセスメント用紙は、クライエントの、身体状況、心理状況、社会環境状況を記入する内容がフォーマット化されている。このデータをもとに生活課題を明らかにする。
・介護保険制度では、様々なアセスメント用紙が開発されている。

・アセスメント用紙のみでは、クライエントの全てを把握することは困難である。シート以外の重要な情報(行動やしぐさ等)についても、聞き取る必要がある。

*ケース目標設定とケアプラン作
・クライエントが、どのような生活をしたいのか等の大きな目標を決める。ケース目標・大目標の設定と呼ばれる。サービス事業者がサービスを提供する際の目標にもなる。

・ケース目標を実現するために、生じている生活課題(ニーズ)を解決する計画がケアプランである。
クライエントの、複数のニーズに対して、それぞれ望ましい目標や結果を設定し、いつまでにどのように改善させるのか等の内容を、具体的にわかりやすく明記する。
・ケアプランを作成時、クライエントのニーズ、目標や結果に向けての解決方法をクライエントと一緒に確定していく必要がある。
ニーズと社会資源を結びつけることでケアプランを作成する。
・ケアプランは、クライエントとケースマネジャーとの契約内容でもあり、クライエントから承認を得る必要がある。

*ケアプランの実施 テキストP31
・ケアプランの実施前に、サービスを提供する事業者や個人が参加し、カンファレンスを開催する。クライエント本人やその家族の参加を目指す。
目標、ケアプラン、サービスの分担について共有化し、チームワークをつくる。
・介護保険では、サービス担当者会議と呼ぶ、
・カンファレンスを経て、ケアプランに沿ったサービスがクライエントに提供される。

*フォローアップ
 クライエントの状態や、社会環境の変化により、在宅生活が困難となる場合がある。
・これらのため、ケースマネジャーは、状況をモニタリングし、継続的な評価を実施することが必要となる。
 定期的なモニタリングと、サービス提供状況の急激な変化に応じたモニタリングがある。
・モニタリングにより、変化が生じ、生活の継続が困難であると判断される場合には、再アセスメントを実施し、ケアプランを修正する。
介護保険では、モニタリングは1か月に1回実施し、記録に残すことが義務づけられる。

*終
・過程はテキストP27図 のように循環していく。
・終結の場合とは、クライエントが在宅で死を迎える、施設入所、入院による中断、本人や家族が自らプランを作成する等である。
・各回の面接において、アセスメント、ケアプランの作成、ケアプランの実施が重層的に展開している。進捗により、プランの作成・実施部分が主要な位置づけとなる。
・ケースマネジメントの実践は、クライエントのニーズを明確化し、適したケアプランの作成・実施により支援することが、在宅生活を長く継続するための基本である。


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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
社会福祉士及び介護福祉士法



*用語解説は下記をクリック  インフォーマル・サポート、国民保健サービス及びコミュニティケア法、在宅ケア



*補足:ケース(ケア)マネジャー care manager
・ケアマネジメント・プロセスのアセスメントからモニタリングに至る全過程において,サービス利用者や介護者の自立を促進しQOLの向上を図るために,ケアチームのコーディネーターとしての役割を担う。
 ニーズの発生要因,発生過程を幅広く全体として捉える視点をもち,課題解決に向けて関係機関と積極的に調整できる能力が求められる。
 主な役割は,利用者や介護者の意向を把握し,ケア方針を定めたうえで,直接・間接を問わずアセスメント情報を集約し,ニーズを導き出し,目標設定,解決のために必要なサービス,サービス種別の検討を含むケアプランに関するまとめ役を務める。
 そのほかに,確認・調整のためにカンファレンス・サービス担当者会議を開催し,プランが実行に移された後も,継続的に状況を把握し,必要に応じて再アセスメントやケアプランの見直しをする。
 ケアマネジャーには,フォーマル・サービスに限らず,インフォーマル・サービスの活性化や地域の関係者に支援の働きかけをし,ネットワークづくりに至る活動が求められる。

*インフォーマル・サポート
・個人を取り巻く家族,親戚,友人,近隣,ボランティア等が制度に基づかずに行うケアの総称。フォーマル・セクターが行うケアの対概念。インフォーマル・サポートともよばれる。個別的なケアが求められるなか,画一的となりやすいフォーマル・ケアに対して,柔軟かつ温かみのあるサービスとして期待されているが,専門性や安定性に課題が残る。専門職はケアを必要とする個々人の生活を包括的に理解し,両者を必要に応じて組み合わせたケアが求められている。

*用語解説
○解説:国民保健サービス及びコミュニティケア法
・イギリスの医療制度である国民保健サービス(NHS)と,コミュニティケアとよばれる在宅福祉サービスの総合的な調整を図ることを目的に,1990年に成立した法律。ノーマライゼーションと福祉多元主義の考え方を基礎に,医療の民営化(内部市場化),インフォーマル・民間部門の促進とネットワーク化,中央・地方政府における財政責任と運営責任の明確化,ケアマネジメントの徹底化を図り,日本の介護保険制度の手本にもなった。
・国民保健サービスとは、イギリスの医療保障制度で,ベヴァリッジ報告を踏まえ1948年に成立したもの。予防からリハビリテーションまで含む包括的な保健・医療を,税方式に基づき原則無料で提供している。患者はまず地域の家庭医(GP)の診察等を経て病院の医師にかかるのが原則。保守党政権は国営医療の効率化を図るため1990年の制度改正で病院間競争を促す仕組を導入したが,政権交代後も大枠を維持しつつ計画的な医療供給がめざされている。

○解説:在宅ケア home care services
・長期ケアの対象となる障害者や高齢者等に対して,できるだけ在宅で地域生活が継続できるように提供されるケアサービス。居住移動を行って専門的ケアを受ける施設ケアに対置されるが,最近は施設ケアと在宅ケアを対立して捉えるのではなく,相互に補完しあいながら,地域社会の一員としてさまざまな活動への参加の実現を図ると考えられるようになってきた。
・在宅ケアでは,全人的な視点にたった保健・医療・福祉のチーム・アプローチによる支援が重要である。先進国では高齢化が進んだ1970年代以後,在宅ケアの進展がみられる。在宅ケアは,その国の医療・福祉制度,長期ケア施設,女性の就業率,GNP,家族観等に深く関係し,その進展は国によって異なる。日本では,1989年に策定された高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)で在宅ケアが重視され,ホームヘルプサービスとともに,医療ニーズをもつ人の在宅療養を可能にする訪問看護サービスの充実が図られてきた。
by yrx04167 | 2011-09-01 11:17 | Comments(0)