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相談援助演習レジュメ 緩和ケア・看取り1 ホスピス・精神的苦痛の緩和とは 社会福祉士養成学科

相談援助演習 後期レジュメ 緩和ケア・ターミナルケア・ホスピス・看取り1
日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科2クラスBグループ

1 概要
・ターミナルケアあるいは末期医療については様々な考え方があり、定義は容易ではない。
1990年、世界保健機構(WHO)はがん医療における終末期医療を含む新しいケアの考え方を"緩和ケア(palliative care)"と呼ぶことを提言している。この中で、「緩和ケアとは、治癒を目指した治療が有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケアである。痛みやその他の症状のコントロール、精神的、社会的そして霊的問題の解決が最も重要な課題となる。緩和ケアの目標は、患者とその家族にとってできる限り可能な最高のQOLを実現することである。末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対しても治療と同時に適用すべきである。」としている。

*ターミナルケア
 全人的(身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな)ケア(後述)
*ホスピス
 1967年にイギリスに設立されたセント・クリストファー・ホスピス
シシリーソーンダース
(後述)
*緩和ケア

(後述)

*看取り介護とは
・近い将来の死が予見される利用者に対し、その身体的・精神的苦痛などできるだけ緩和し、死までの期間、その方なりに充実して納得して生き抜くことができるように日々の暮らしを営めることを目的として援助することであり、対象者の尊厳に十分配慮しながら終末期の介護を行う。
 看取り介護の視点とは、終末期の過程においては、その死をどのように受け止めるかという個々の価値観が存在し、看取る立場にある家族の思いも交錯する。高齢者施設での看取り介護は、長年過ごした場所で親しい人々に見守られながら自然な死を迎えられる
*看取り介護の具体的支援内容
①入居者に対する具体的支援(例

1.ボディケア
●バイタルサインの確認 ●環境の整備を行う ●安寧・安楽への配慮 ●清潔への配慮 
 ●栄養と水分補給を適切に行う ●排泄ケアを適切に行う ●発熱・疼痛への配慮
2.メンタルケア
●身体的苦痛の緩和 ●コミュニケーションを重視する ●プライバシーへの配慮を行う
●全てを受容してニーズに沿う態度で接する
3.看護処置
●医師の指示に基づき必要な点滴や酸素吸入等の看護処置を看護スタッフによって行う。

②家族に対する支
●話しやすい環境を作る ●家族関係の支援にも配慮する ●希望や心配事に真摯に対応する
●家族の身体的・精神的負担の軽減へ配慮する ●死後の援助を行う

・これらを医師の診断後、看取り介護に関する計画を作成し、終末期を施設で介護を受けて過ごすことに同意を得て実施する。

2 緩和ケア:精神的苦痛の緩和
①ターミナルステージに見られる精神症

 回復の見込みに乏しい疾病や障害に直面したとき、人はさまざまな精神的・心理的苦痛を体験する。末期癌患者の多くは何らかの精神症状が認められ、いらだち、不穏、不安、混乱、淋しさ、孤独感、幻覚・妄想、抑うつ、怒り、恐れ、拒絶、躁状態、自殺念慮、退行などの症状が認められる。これらの精神症状は末期癌患者のみならず、すべてのターミナルステージの患者に出現するものと思われる。

②精神的衝撃後の心理過
 人は不治の病の宣告など、普段の適応機制では対処できない強い不安や恐怖を伴う精神的衝撃を受けると、その後様々な心理的反応を示す。以下のような段階を経ると言える。
当然ながら個人差があり、参考にしながら個別性に合わせて行わなければならない。特に、受容の段階に至ることは極めて困難なことで、家族や関係者の適切な援助や支えが必要となる。

*死の受容のプロセス
・エリザベス・キューブラー=ロスが『死ぬ瞬間』の中で発表したもの。すべての患者がこのような経過をたどるわけではないとも書いている。
*否認
自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階である。
*怒り
なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。
*取引
なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる段階である。何かにすがろうという心理状態である。
*抑うつ
なにもできなくなる段階である。
*受容
最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階である。

③精神的苦痛の要
 回復の見込みに乏しい疾患に直面したときに体験される精神的苦痛の主な理由には、以下のような事柄が関与しているものと思われる。
1)疾病や障害についての知識・情報がないこと

2)健康の喪失と、健康に裏付けられてきたこれまでの個人的、社会的生活の喪失

3)プライドの喪失

4)残される家族への心配

5)治療や入院生活を送る上での権限がないとの思いこみ

6)疼痛などの身体的苦痛に対する不安・恐怖

7)死への不安・恐怖

8)孤独感

④精神的苦痛に対する援助の基本 
 精神症状を評価するには、感情、思考、意志・意欲、意識などの質(内容、統一性、反応性、安定性、方向性、持続性)と量(寡多、レベル、広がり)についてそれぞれ検討する必要がある。主観的な訴えと同時に、表情、態度、話し振り、行動などや第3者からの情報を総合して評価されなければならない。
 精神的苦痛の程度や受容の仕方には、個別性があり、性格、年齢、それまでの生活体験、置かれた環境、人生観、死生観などによって異なると共に、疾患や障害の時間経過によっても異なる。したがって対応は前述の精神的衝撃後の心理過程や、精神的苦痛の要因を念頭に、これらの要因をも考慮した上で行わなければならない。
 また、それぞれの心理的苦痛が、患者自身で解決できる自己完結的なものか、常日頃接している家族や医療関係者などの援助が必要なものか、精神科医やカウンセラーなどの専門家の治療を要するものかを識別した上で対応する必要がある。
 対応の基本はまず患者、家族との良好なコミュニケーションを作ることである。そのためには誠意と共感をもって患者の訴えに傾聴し、患者の感情の表出を促すとともに、表出されたあらゆる感情を保証しながら、熱意と覚悟と忍耐をもって、患者が疾患の受容と新しい適応へと向かうことに付き添って行かなければならない。
 症状に応じて、時には抗不安薬や睡眠導入剤などの向精神薬を使用する必要があるが、薬剤を使用する際の有用性の判断は慎重、かつ的確であるべきで、患者のQOLに配慮しながら、効果と副作用を詳細に観察して判断していかなければならない。ある症状が特に強く、しかも長期間続くものや、抑うつ、不安・焦燥などと共に不眠、食欲不振、便秘、口渇、全身倦怠感、頭痛などの身体症状が、元の疾患や薬物の影響などから了解できる範囲を越えて持続する場合には神経症、心因反応、うつ病などを考慮し、専門家への紹介など適切に対処する必要がある。

⑤精神的ケアの要点
1)ベッドサイドマナー

 患者に接する際に医療従事者が心がけるべき態度や姿勢については、 Yager(1989) や柏木(1997)が指摘しているように、以下の点についての配慮が必要である。
1.ベッドサイドに座り込む。
2.患者のために実際になにかをする。
3.患者に触れたり、沈黙の時を大切にするなど、非言語的コミュニケーションを図る。
4.笑顔で接し、患者の希望を支える。
5.患者との会話に際しては、話される内容とともに、背景にある感情を汲み取りながら患者の話に傾聴する。
6.一方的に話さず患者に質問の機会を与える。
7.患者の状況について知っていることから話し始める。
8.患者が最も心配なことはどんなことかを尋ねる。
9.患者の病気の理解(性質、原因、予後)と心配事(苦痛、障害、死)について詳しく尋ねる。
10.患者の家族や社会的役割、そして病気が人間関係や社会的役割に与えている影響について尋ねる。
11.患者の特性、活動、技能、誇りなどについて耳を傾け、機会をみて敬意を表する。
12.患者が遭遇している苦境について理解を示し、安易な励ましを避けて共に闘うことを知らせる。
13.精神状態を調べる必要性と目的について十分に説明を行い、患者にも共同観察者になってもらう。
14.「病気が長期戦になりそうです」とか「病気の経過は山あり谷ありですから」など、病状の変化に対する布石をする。
15.面接終了時に何か具体的なことを提供する。

2)日常診療の具体的言葉としては以下のような言葉の使用に心がける
1.明るい言葉、希望のある言葉、温かい言葉
2.患者の言葉
3.丁寧な言葉
4.平易な言葉、理解度の高い言葉
5.趣味の話や冗談

<レジュメ2に続く

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日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科・養成科
*日本福祉教育専門学校 社会福祉士養成学科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの昼間部です
 社会福祉士養成科は、4年制大学卒業(見込)等の方々が対象の、1年制の社会福祉士の養成コースの夜間部(2コース)です

社会福祉士及び介護福祉士法

*レジュメ続きは下記をクリック




1 概要
*ターミナルケアterminal care
 現代医学では治癒不能で,積極的治療がむしろ不適切と考えられる末期患者へのケア。終末期ケアともいう。根治目的の治療ではなく,患者が最期の時までその人らしい生をまっとうできるよう,不安や苦痛を取り除くことに重点をおいた全人的(身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな)ケアが重視される。狭義には,死亡前数日程度の臨死期のケアをさすこともある。

*ホスピス hospice
 中世以降のヨーロッパにおける,病者や旅行者に対する修道院などの援助がホスピスの起源。近代ホスピスの発祥は,1967年にイギリスに設立されたセント・クリストファー・ホスピスである。ホスピスは主に末期癌患者(一部ではエイズ患者も)を対象とし,その肉体的,精神的,社会的,宗教的(霊的)な痛みを取り除き,患者が安らかに死にゆくよう援助を行おうという考え方であり,その場所のことでもある。また,患者の死亡の前後において患者の家族のケアも行われる。
中心的人物はシシリーソーンダース。

*緩和ケア palliative care
 末期患者,とりわけ末期癌の患者を対象に,その身体的・精神的・社会的・霊的ニーズを満たすために行われるケア。目標としては,①症状のマネジメント,②コミュニケーションの促進,③患者家族のサポート,があげられる。通常,医師,看護師,ソーシャルワーカー,薬剤師,宗教家,ボランティアなどのスタッフがチームを組んで連携し,総合的なケアを提供する。
by yrx04167 | 2011-12-15 15:30 | Comments(0)